大成功を収めたXL250シリーズの後継になるXLX250R
最大の特徴はRFVC(Radial Four Valve Combustion Chamber)という新しいエンジンになったこと。放射状4バルブといって燃焼室(燃焼時の形)を理想と言われる半球型にすることが狙い。
右下に分かりやすいイラストが付いているのでそれで分かっていただきたんですが、すべてのバルブが燃焼室の中心を向くように付いています。バルブ駆動もSOHCながらユニカムバルブトレインといってカムシャフト一本で4つのバルブを動かすタイプ。
ちなみにこのRFVCじゃないエンジンはどんな形になっているのかというとペントルーフ型といって三角形の燃焼室になる形をしています。自動車もバイクも4バルブは基本的にこれです。
これはCBR250Rの系譜で使ったバルブ挟み角で使った画像なので色々書いてますが、燃焼室が三角形になってるのがわかると思います。吸気バルブ二本と排気バルブ二本が屋根のようになってると言えばわかりやすいでしょうか。
話が少し反れますが、なんで流体力学でみると理想といわれる半球型ではなくペントルーフ型がメジャーなのか簡単に言うと、半球型は乱流がない・・・要するに空気の流れが落ち着いてる事から燃焼伝播(燃え広がる速度)が遅いんです。燃焼伝播が遅いとトルクが落ちます。対してペントルーフ型ってのは燃焼室が三角形で混合気の流れが綺麗ではなく四方八方へ暴れるから燃え広がる燃焼伝播も早いというわけ。
他にも半球型は燃焼室が必然的に広く高くなるから圧縮比を上げ辛かったり。何よりも綺麗な半球の形をバルブで作るのが難しいという問題が。まあ素人に体感できるかといえば間違いなく出来ないでしょうけど。
理想的な燃焼室である半球型エンジンとしてホンダはしばらくシングルはこのRFVCエンジンを推してXR250まで続くわけですが、XLX250Rの場合RFVCエンジンだけでなくキャブレターも二つ付けるという贅沢装備で26馬力とパワーが大幅アップ。
ただ残念な事にXL250の後継にありながらXLX250Rは人気は出ず・・・というか本当に人気が無かった。
理由の一つはそのデュアルキャブで、要するにただでさえ面倒くさいキャブセッティングを二個もしないといけない気難しさや煩わしさが、初心者はもちろん自分で整備するエキスパートそしてバイク屋にまで敬遠されてしまったというわけ。
こだわり過ぎて失敗っていうホンダらしい不人気車。
主要諸元
全長/幅/高 | 2175/840/1225mm |
シート高 | 840mm |
車軸距離 | 1415mm |
車体重量 | 128kg(装) |
燃料消費率 | 55.0km/L ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 10L |
エンジン | 空冷4サイクルOHC単気筒 |
総排気量 | 249cc |
最高出力 | 26ps/7500rpm |
最高トルク | 2.2kg-m/7500rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前3.00-21-4PR 後4.60-17-4PR |
バッテリー | FB3L-A |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
DP8EA-9 |
推奨オイル | Honda純正ウルトラG1(10W-30) |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
分解時2.0L 交換時1.8L |
スプロケ | 前14|後40 |
チェーン | サイズ520|リンク102 |
車体価格 | 358,000円(税別) |