CRF250L/M/RALLY(MD44) -since 2017-

2017CRF250L

ユーロ4規制(排ガス規制)に伴いエンジンに改良が入りMD44となりました。

少し驚きなのは単純に触媒盛ってガスを薄くして対応しただけではなくスロットルボディとエキパイの大径化で抜けを良くして1kw(1.36馬力)アップしたこと。

2017CRF250

しかもただ抜けを良くしただけでなく流石ホンダというか自分たちで作ってるだけあって、その分エアクリーナーとスロットルボディを繋いでるコネクティングチューブを長くして吸気圧を確保。

馬力のピーク回転数をキープするだけでなく、最大トルクを0.1上げつつピーク回転数は250rpm下げるっていう流体力学分かってます感を見せつけてます。

CRF250LとCRF450R

見た目もモトクロッサーのCRF450Rに更に近づきました。メーターも改良されてタコが付いたみたいですね。

ちなみにABSはアフリカツインと同じようにコンビではなく前後独立式でリアは切れる2チャンネルになってるとの事。

まあしかし一番の話題はやっぱり追加されたRALLYモデルでしょう。

CRF250RALLY

CRF250Lをベースにラリーレイド感(CRF450RALLYレプリカ感)を出したツーリングモデル。CRF250Lと何が違うのか挙げていきましょう。

まず何と言ってもタンク量が増えたこと。ただでさえ燃費良いのに更にタンク容量を2.4L増やし総容量10.1Lとした事で航続距離が300km超え。リアシート脇には小物入れまで付いてます。

CRF250RALLYタンク

そしてツーリングにありがたいカウルやハンドルガードやスクリーンなんだけど、アンダーカウルが付いたことで最低地上高が更に下がったかと思いきやキャスター角(フロントフォーク角度)を1°立てることでハイリフト化。最低地上高は+15mmで270mmとなりました。まあそれに伴ってシート高もアンダーカウルの取り分である5mmを足して20mm上がってるですが。

このハイリフト化をCRF250Lでしなかったのはシート高895mmに気が引ける人が多いと読んだからでしょうね。同じシート高のWR250Rも短足泣かせとして有名ですし・・・ただRALLYもLと同じようにローダウン仕様もあります。しかも-65mmとCRF250Lの-45mmより下げ幅が大きい。

CRF250RALLYシート高

でもオフ車全般に言える事けどシート細いし軽いからいうほど気にしなくてもいいと思うんですけどね。

オフ車の傷は勲章と言われるわけですし。立ちゴケ傷も立派な勲章ですよ。凄く他人事ですけど。

その他の目立った装備差としては、ビッグタンクやカウルといった装備が加えられCRF250L比で+12kgとなった事からディスクローターも一回り大きい物に変更されてます。

CRF250RALLYヘッドライト

いやしかしBAJAに負けずとも劣らないインパクト大な顔ですね。

この異型二眼LEDヘッドライトは大きい方がLOWでHIGHは両目点灯なんですが、これはホンダのラリー競技車であるCRF450RALLY(CRF450Xベースのファクトリーマシン)のモチーフだったヘッドライトから来てます。ちょっと並べてみましょうか。

CRF250RALLYヘッドライト

兄であるCRF1000LアフリカツインもCRF450RALLYの市販という立ち位置だったんですが、CRF250RALLYは異型ヘッドライトからカウルまで寄せてきていて瓜二つ。

アフリカツインもそうですがホンダは2013年から再びダカールラリーに挑戦している事もあってか結構オフに強く振ってますよね。

CRF250RALLY広告

CRF250Lに+15万円で65万円との事ですが、先に出た大型で手の出しにくいアフリカツインですら発売一ヶ月で年間目標の1000台を達成したらしいので、コンセプトの頃から反響が大きく維持費も易く手の出しやすいCRF250RALLYなら尚のこと売れるでしょう。

CRF250RALLY壁紙

多目的に使えるマルチパーパスまたはデュアルパーパスの人気が国内でも広がりを見せつつあるような・・・無いような。

主要諸元
全長/幅/高 2195/815/1195mm
[2125/815/1150mm]
{2210/900/1425mm}
シート高 875mm
[855mm]
{895mm}
車軸距離 1445mm
車体重量 143kg(装)
[145kg(装)]
{155kg(装)}
燃料消費率 44.3km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 7.8L
{10L}
エンジン 水冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 24ps/8500rpm
最高トルク 2.3kg-m/6750rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.00-21(51P)
後120/80-18(62P)
[前110/70-17(54S)
後130/70-17(62S)]
{前3.00-21(51P)
後120/80-18(62P)}
バッテリー YTZ8V
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
SIMR8A9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.8L
交換時1.4L
フィルター交換時1.5L
スプロケ 前14|後40
[前14|後39]
チェーン サイズ520|リンク106
車体価格 497,880円(税別)
[538,920円(税別)]
{648,000円(税別)}
※[]内はCRF250M
※{}内はCRF250RALLY
※ABS仕様は+3kg
系譜図
ホンダドリームSL250S1972年
DREAM SL250S
(SL250)
MD031975年
XL250/S/R
(MD03)
MD081983年
XLX250
(MD08)
MD16/20/221985年
XLR250R/BAJA
(MD16/20/22)
MD261991年
XL Degree
(MD26/MD31)
MD301995年
XR250/BAJA
(MD30)
MD30後期2003年
XR250/BAJA/Motard
(MD30後期)
MD362005年
XR230/Motard
(MD36)
MD382013年
CRF250L/M
(MD38)
ラリー2017年
CRF250RALLY/L/M
(MD44)

【関連車種】
WR250R/Xの系譜SEROW250の系譜KLX250/D-TRACER Xの系譜

CRF250L/M(MD38) -since 2012-

CRF250L

「On(日常)を便利に、Off(週末)を楽しむ “ちょうどいい相棒 New On & Off Gear ! ” 」

ホンダの250オフだったXR250が2007年モデルで生産終了となってから4年が経とうとしていた頃、外からは

「XR250の後継はどうなっているんだ」

との声が日増しに大きくなっただけでなく、社内からも

「このままだとホンダのオフロードの未来はない」

と言われるまでに。

CRF250Lデザイン

そんな声に危機感を抱いたホンダが作ったのが実に5年ぶりのオフロード車となる水冷250オフロード車のCRF250Lです。

XRからレーサーと同じCRFになったのはアジアなど海外へのブランド力をアピールするため。CBRとかと同じですね。

重い腰を上げて作ったCRF250Lの主要コンセプトを挙げてみると

・オンロードもオフロードも扱いやすく、楽しい走りを実現するエンジン特性
・ランニングコストを抑えられる燃費性能
・市街地からオフロードまで気軽に扱える、取り回し性に優れた車体サイズとディメンション
・オンロードとオフロード走行の楽しさを両立する本格的な足回り
・トップエンドモデルを凌駕する存在感ある最新のモトクロッサースタイリング

CRF250

XR250の後継ということでフルサイズ&シート高875mm。さすがに腰が引けちゃう人が多いとホンダも思ったのか最初から45mmもシート高を下げるローダウンキットも発売されました。

CRF250Lエンジン

このモデルからタイで作られていてエンジンはCBR250Rにも使われているローラーロッカーアームで超低燃費な水冷249cc単気筒。でも流用ってわけじゃなくて共同使用前提開発のエンジン。CBR250Rの方が先に出たからそっちが先行しちゃうけどCBR250チームとCRF250チームで話し合って作ったエンジンだそう。

もちろんそのままじゃなくて吸気ポートをストレート構造にして吸気慣性力を強める事で低速寄りにしてる。

設計案の一つとしてメインフレームのアルミ化も検討したようなんだけど費用対効果が悪いと見送りに。その代わり完全新設計のツインチューブフレームを造りスイングアームをアルミ化。

CRF骨格

そしてサスペンションもフロント倒立サスでしかも前後SHOWA製っていう贅沢さ。

ココまで奢ったのは主に市街地での使い勝手を考慮したからで、舗装路でのコーナーリングに寄与しているそう。要するに剛性を上げるのが狙いですね。CRF250はよく剛性が褒められるけどそれはこういった所から。

贅沢なSHOWAの倒立サスなんだけど、手の届きやすい価格にする事も大事なコンセプトだったハズなのに何でまたこんな費用対効果が大きいとは言い切れない倒立サスを採用したのかというと面白いエピソードがあります。

CRFデザイン

CRFのデザイナーの松岡さんが

「オフロードバイクといえば何?」

という社内アンケートを実施した所

「オフロードバイクといえば倒立サスでしょ!」

という答えが一番多かったんだそう。その声があったからCRF250Lはコストを抑えながらも倒立サスペンションを採用することになった。

ホンダって倒立嫌うイメージがあったんだけど意外だね。悪くない正立だったXR250が後期で倒立になったのも同じ理由なのかもしれない。

モタードバージョンのCRF250Mは翌年2013年に登場。

CRF250M

前後17インチホイールを履いた事でシート高は20mm低い855mmになり、ディスクローターは一回り大きい296mmを装備して制動性アップ。フロントフォークはブラックアルマイト加工までされています。

ホンダっていつもモタードは数年遅れですよね。初期需要の分散が狙いなんだろうか。

ただまあいくらモタードが認知されたジャンルとはいえマイナーなのは否めないようで、ホンダの販売計画を見るに割合的には【L:7|M:3】とオフのLの方が需要があるみたい。

CRF250L/M

エントリーユーザーの事を考えてオフとしては珍しくフューエルメーターまで装備されてます。警告灯でもまあ不自由は無いんだけどあったほうが安心出来るのは間違いない。

そして何と言っても449,400円(税込)とかなりの安さだった・・・安いといえば開発責任者の塚本さんも言ってたんですが、みなさんもし同じエンジンを使ったオンロード車とオフロード車があったどっちが車体価格高いと思いますか。

オンロードの方が高くてオフロードの方が安いという漠然としたイメージを持たれてる方が大多数ではないでしょうか。CRF250Lも正にその消費者心理から価格を抑える事が重要視されたようです。

だからCRF250L/Mはアルミスイングアームに倒立SHOWAサスなのに兄弟車CBR250Rより安い。これ実はかなりのバーゲンセール価格ではないかと。

CRF250Lタイホンダ

恐らく耳にした事があると思いますが、批判的な意見としてよく言われているようにCRF250Lはオフ車にしては少し重い車重や最低地上高の低さからジャンプやスタックを起こすモトクロスのようなコースや、岩だらけなガレ場などをアタックできる走破性は持っていません。腕次第ではありますがあくまでも多目的に使えるデュアルパーパスです。

じゃあどういう人たちがターゲットなのかというと、初代NSX開発メンバーの一人で試作バイクには必ず自らが乗って確かめ、稀にCB1100で出勤していた根っからのバイク馬鹿・・・じゃなくてバイク好きで有名な七代目ホンダ社長の伊藤さんみたいな人。

CRF250M

この人はカブに始まりSL250S→XL250→バハとCRF250の系譜というかホンダ250オフに乗り継いでる大のシングルオフ車好き。

そんなバイク歴に対しインタビューで

「何故オフ車にばっかり乗っているのか?」

と聞かれてこう答えていました。

ホンダCRF

「実際はほとんどオンしか走らない。でも行きたいと思えば道を選ばず行けるのを選んでしまう。」

CRF250の狙いはこういう人達です。

実際CRF250L/Mの販売台数を見るに思い当たる節のある人は多かったようですね・・・このバイクが作られたのって社長の差し金ではなかろうか。

主要諸元
全長/幅/高 2195/815/1195mm
[2125/815/1150mm]
シート高 875mm
[855mm]
車軸距離 1445mm
車体重量 143kg(装)
[145kg(装)]
燃料消費率 44.3km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 7.7L
エンジン 水冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 23ps/8500rpm
最高トルク 2.2kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.00-21(51P)
後120/80-18(62P)
[前110/70-17(54S)
後130/70-17(62S)]
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
SIMR8A9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.8L
交換時1.4L
フィルター交換時1.5L
スプロケ 前14|後40
[前14|後39]
チェーン サイズ520|リンク106
車体価格 428,000円(税別)
[466,000円(税別)]
※[]内はCRF250M
系譜図
ホンダドリームSL250S1972年
DREAM SL250S
(SL250)
MD031975年
XL250/S/R
(MD03)
MD081983年
XLX250
(MD08)
MD16/20/221985年
XLR250R/BAJA
(MD16/20/22)
MD261991年
XL Degree
(MD26/MD31)
MD301995年
XR250/BAJA
(MD30)
MD30後期2003年
XR250/BAJA/Motard
(MD30後期)
MD362005年
XR230/Motard
(MD36)
MD382013年
CRF250L/M
(MD38)
ラリー2017年
CRF250RALLY/L/M
(MD44)

XR230/Motard(MD36) -since 2005-

XR230

開発コンセプト「エンジョイ・ライト級、マイファースト・オフロード」

XR230はXR250の後継じゃなくてSL230(200系)の後継なんですがせっかくなんでご紹介を。

XR230カタログ

いわゆる200系は250系よりも更にフレンドリー、誰でも気軽に楽しめる”エントリーオフ”に徹底してるモデル。

XR250もコンセプトの一つに敷居を下げることがあったんだけど、エントリー層や潜在需要を掘り起こせるような取っ付き易いオフ車ではなかった。まあフルサイズで足がツンツンになるバイクがエントリーだと思えないのは無理もない話だけどね。

走破性を考えたらハイリフトが当たり前なんだけど「これが良いんだ」って言われても何も分からない人にはネガでしかない。

XR

それに対してXR230はシート高がXR250より75mmも低い805mmとディグリー並の低さ。

ボディ全体もコンパクトに纏めてあるから

「このXRなら乗れそう」

な感じを醸し出してる。

モタードも追加されたんだけど排ガス規制に対応するためのマイナーチェンジ、3年後の2008年の後期モデルからとビックリするほど遅かった。当初はまだXR250Motardがあったからかな。

XR230モタード

ちなみに海外の一部の国ではこのモデルの頃からCRFだったりもします。

ただXR230が可哀想だったのがXR250がXR230が出た後に生産終了となった事でXR250の後釜として見られるようになった事。

しつこいようだけどXR230はSL230/XLR230の後継であってXR250の後継では無い。でもXRというホンダのオフ/モタが実質XR230一択になったから、エントリー層だけじゃなくてオフ車をよく知るエキスパート層まで寄ってきてボロカスに叩かれた。

XR230壁紙

これはホンダがXR250の後継を出さなかった事もあるんだけどホンダから言わせれば

「だって250オフ全然売れないんだもん」

って話でしょうね。

水冷フレンドリーのディグリーに対し空冷フレンドリーのXR230ですがフレンドリーなのは何も車格やスペックだけではありません。

XR230の秘めたるフレンドリーさ、それは223cc/18馬力というSL230から続く馬力も新技術も入ってない何の変哲もないエンジン。

XR230エンジン

カラカラに乾き切って干乾びた技術のエンジンなだけあって大きなトラブルも持病も無く非常にタフ。

何の変哲もないから整備性も弄り易さも良好。乗ってフレンドリー、触ってフレンドリー。フレンドリーの塊のようなオフ車です。

じゃあ何で2009年モデルで終わったのかと言えば・・・セローとしか。

主要諸元
全長/幅/高 2080/825/1115mm
{2015/815/1080mm}
シート高 800mm
車軸距離 1340mm
車体重量 120kg(装)
{125kg(装)}
燃料消費率 46.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 8.7L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 223cc
最高出力 18ps/7500rpm
最高トルク 1.9kg-m/6000rpm
[1.8kg-m/5500rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前2.75-21(45P)
後120/80-18(62P)
{前110/70-17(54H)
後130/70-17(62H)}
バッテリー YTX5L-BS
[YTZ7S]
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR8EA-9
または
X24EPR-U9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.2L
交換時1.0L
スプロケ 前13|後39
チェーン サイズ520|リンク100
車体価格 400,000円(税別)
{484,000円(税別)}
※{}内はMotard
※[]内は2008年以降モデル
系譜図
ホンダドリームSL250S1972年
DREAM SL250S
(SL250)
MD031975年
XL250/S/R
(MD03)
MD081983年
XLX250
(MD08)
MD16/20/221985年
XLR250R/BAJA
(MD16/20/22)
MD261991年
XL Degree
(MD26/MD31)
MD301995年
XR250/BAJA
(MD30)
MD30後期2003年
XR250/BAJA/Motard
(MD30後期)
MD362005年
XR230/Motard
(MD36)
MD382013年
CRF250L/M
(MD38)
ラリー2017年
CRF250RALLY/L/M
(MD44)

XR250/BAJA/Motard(MD30後期) -since 2003-

XR250後期

一般的にXR250の後期型と呼ばれるXR250(MD30後期)

大きな変更点としては デジタルCDIユニットによるレスポンスの向上、フロントマスク形状の変更、倒立フォークへの変更、そしてタンクシュラウドが付いたこと。多機能メーターは軽量化の観点からアナログに戻りハンドルガードがオプションになりました。

XR250後期

XR250は「より楽しく軽快に」「より幅広いライダーに」「長時間のライディングにもストレスなく」がモットーなんですが・・・それなのに倒立サスって一体。でもそれよりもタンクシュラウドへの賛否両論が強かったのを覚えています。

タンクシュラウドっていうのは上の写真でいうとXRのロゴが付いてる羽のようなサイドカバーの事なんですが、これの役目は水冷化によって装着しないといけないラジエーターを転倒時に守るためです。

でもXR250は見ての通り空冷。だからこのタンクシュラウドは見た目だけの装飾品なわけで物議を醸しました。

“カッコいいから許す”という人も居れば”オフに余計な飾りなぞ要らん”という人も。個人的にはカッコいいから良いと思うけどね。

そしてこの後期からホンダ初となるモタードのXR250Motardが追加。

XR250モタード

1980年前後には活気のあったオフロードブームも2000年代に入ると去りつつ・・・というかほぼ去ってました。しかしその半面、人気が出始めたのが98年のD-TRACKERを皮切りに広まったモタード。

これメーカーも喜んだと思いますよ。だって(ちょっと汚い話だけど)同じ車体をオンロード仕様にするだけで違う車種として売れるんだから。

オフ車って汎用性に乏しくて排気量によるバリエーション展開しか出来なかったからモタードは本当に死中に活なジャンル。もしかしたらタンクシュラウドを付けたのはモタードの事を考えてかも知れないですね。

肝心の中身ですが、舗装路を考え前後17インチにサスペンションを少し硬めに変更されています。そのおかげでちょっと足付きも良い。

ちなみにモタードが生まれたのは1980年頃と実はなかなか古い。

モタードレース

でも海外のローカルレースに留まるレベルでみんなオフ車をベースに自分たちで改造してた。

SSを剥いたネイキッドであるストリートファイターや、最新のバイクをレトロに改造するネオレトロが10年掛からず広まってメーカーも参入したのに対して、今でこそ世界レースが開かれるまでになったモタードは20年も掛かってる。

そして忘れちゃいけないXR BAJA。

バハ

XR250が大きく変貌したのに対してBAJAはスタイルが確立していたからかタンクシュラウドも倒立フォークも付けることありませんでした。この”変えない勇気”は讃えられる事ではないでしょうか。

ただそれらのパーツを共有しなかったのが仇となったのかBAJAは排ガス規制強化の2007年まで続いたXR250よりも3年早い2004年をもって生産終了となりました。

ちなみにXR250は12年にも続いたロングセラーモデルという事もあってか仮面ライダーシリーズに多く出ていたバイクでもあります。

オートバジン

仮面ライダーブレイド、電王のマシンデンバード、ファイズ等など。おそらく最多出演じゃないのかと。

主要諸元
全長/幅/高 2175/805/1190mm
{2140/820/1220mm}
[2110/790/1150mm]
シート高 875mm
[855mm]
車軸距離 1425mm
{1420mm}
車体重量 133kg(装)
{137kg(装)}
[134kg(装)]
燃料消費率 40.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 9.3L
{14L}
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 28ps/8000rpm
最高トルク 2.6kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 3.00-21(51P)
4.60-18(63P)
[前110/70-17(54H)
後130/70-17(62H)]
バッテリー YTX5L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7EH-9/CR8EH-9/CR9EH-9
または
U22FER9/U24FER9/U27FER9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.7L
交換時1.3L
フィルター交換時1.4L
スプロケ 前13|後40
[前13|後39]
チェーン サイズ520|リンク104
車体価格 509,000円(税別)
{519,000円(税別)}
[519,000円(税別)]
※{}内はBAJA
※[]内はモタード
系譜図
ホンダドリームSL250S1972年
DREAM SL250S
(SL250)
MD031975年
XL250/S/R
(MD03)
MD081983年
XLX250
(MD08)
MD16/20/221985年
XLR250R/BAJA
(MD16/20/22)
MD261991年
XL Degree
(MD26/MD31)
MD301995年
XR250/BAJA
(MD30)
MD30後期2003年
XR250/BAJA/Motard
(MD30後期)
MD362005年
XR230/Motard
(MD36)
MD382013年
CRF250L/M
(MD38)
ラリー2017年
CRF250RALLY/L/M
(MD44)

XR250/BAJA(MD30) -since 1995-

XR250前期

「乗り手が自由自在に操れ、ライダーのポテンシャルを最大限に引き出せるマシンの具現化」

XLR250Rの後継だけどフルモデルチェンジを機にレーサーのXRと同じ名前になったXR250。

少し補足するとホンダは昔からXR250Rという公道走行不可のエンデューロレーサーを出してました。そのレーサーの公道モデルがXLRやこのXRというわけです。

スーパーエンデューロレーサーXR250R

ちなみに海外向けレーサーのXR250Rでしたが、逆輸入という形で登録すると(250cc以下は書類のみと検査が甘いことから)ナンバーが取れちゃったりしてました。本当は駄目なんだけどね。

XR250RがエンデューロレーサーでXR250が公道向けです・・・ややこしいですよね。

ホンダの謳い文句によると先代XLRまではレーサーXR250Rに準拠する公道モデル”XRのオンロードミニマム”という立ち位置だったんだけど、このXR250からはソコから更に裾を広げた”何でも熟せるXR”というコンセプトに変わりました。

具体的に何が変わったのかというとまず挙げられるのがバッテリーが積まれセルスターターが付いた事。

XR250

そそてサスペンションも多目的に使えるように改良されキャブレーターもスムーズさを得るために強制リフト機構のCVキャブに変更。多機能デジタルメーターも付きました。あとはRモデルと共通なドライザンプ化によるエンジン重量の軽量化などです。

カタログスペックだけ見てRの方が高いから

「レーサーでもナンバーが取れるならRのほうが良いじゃん」

と思いがちだけど、そうとも言い切れないのが公道。MD30をME06/08の去勢モデルとかいう人が居るけど、そういうわけではなく多目的バイクのデュアルパーパスとして使い勝手を考えたのがMD30。まして日本は良くも悪くも舗装が何処までも行き届いてますからね。

XRバハ

そして再び登場するBAJAもXRに合わせてXR BAJAにモデルチェンジ。

トレードマークだった丸目二眼はフレームマウントに変更され大きくなりました。

XR250BAJAラフデザイン

何度も言いますがこの強烈な顔は癖になりますね。

ただXR BAJAが猛威を奮ったのは翌年の96年モデルから。

XR250BAJA

というのも一年絶たずにBAJAだけモデルチェンジされタンク容量が9Lから一気に14Lにまでアップしたから。使い勝手が更に向上したわけですね。 

二年後の1997年にはXR/BAJA共々フレームやサスペンションを変更するマイナーチェンジが行われ2000年には排気ガス規制強化に対応するためにエアインジェクションシステムの採用など細部の改良。

MD30カタログ写真

両車種とも非常に人気でオフの定番として長いこと愛されたバイクです。

主要諸元
全長/幅/高 2140/820/1205mm
{2140/820/1225mm}
シート高 880mm
車軸距離 1405mm
車体重量 128kg(装)
{130kg(装)}
燃料消費率 38.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 9.7L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 28ps/8000rpm
最高トルク 2.6kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 3.00-21(51P)
4.60-18(63P)
バッテリー YTX5L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7EH-9/CR8EH-9/CR9EH-9
または
U22FER9/U24FER9/U27FER9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.7L
交換時1.3L
フィルター交換時1.4L
スプロケ 前13|後39
チェーン サイズ520|リンク104
車体価格 479,000円(税別)
{499,000円(税別)}
※{}内はBAJA
系譜図
ホンダドリームSL250S1972年
DREAM SL250S
(SL250)
MD031975年
XL250/S/R
(MD03)
MD081983年
XLX250
(MD08)
MD16/20/221985年
XLR250R/BAJA
(MD16/20/22)
MD261991年
XL Degree
(MD26/MD31)
MD301995年
XR250/BAJA
(MD30)
MD30後期2003年
XR250/BAJA/Motard
(MD30後期)
MD362005年
XR230/Motard
(MD36)
MD382013年
CRF250L/M
(MD38)
ラリー2017年
CRF250RALLY/L/M
(MD44)

XL Degree(MD26/MD31) -since 1991-

XLディグリー

「地球案内人:XLディグリー」

このディグリーは名前こそXLだけど分家のようなXLで街乗りや高速など如何なる状況でも安定してパワーを発揮する為の低速寄りにチューニングされたAX-1ベースの水冷エンジンを積んでます。

更にケッチンの心配が要らないセルスターターに790mm(XLR250Rは860mm)という驚異的な足つきの良さ。優しさ溢れるXLといった感じですね。

元となったAX-1(MD21)というバイクはこれ。いわゆるマルチパーパス250という立ち位置のバイク。

ホンダAX-1

AXの意味は「新しい軸(AXIS)」という言葉から取ってAX-1。残念ながら新しい流れを生み出せず押し返されました。

でもCRF250RALLYが出た今、そのオンロードモデルとして出たら人気が出そうですけどね。アメリカではCRF250RALLYじゃなくてCRF250L RALLYとなってるからCRF250M RALLYも無きにもあらずのような。

ちなみにこのAX-1/ディグリーはこう見えてレーサーのNS500で生み出された軽量かつ放熱性に優れ、過酷な状況下に強いNS(ニッケル・シリコンカーバイド)メッキシリンダーというちょっと贅沢なエンジン加工がされています。

ディグリーカタログ写真

だから初心者や女性向けの分家XL的な立ち位置という優しさの中にもスポーティさがある。

ディグリー分布図

下からモリモリトルクというエントリーらしさは持っているものの、元々が快速マルチパーパスのAX-1だった事もあり眠くないどころか結構元気。

XL250ディグリー

クラストップとなる足つき、各部ラバーマウント化、着色樹脂外装、9.3Lとそこそこ容量が多いタンク、荷掛けフックと多目的にこなせる取っ付きやすさを持つ一方で、元気なエンジンとフロント21:リア18インチというフルサイズホイール。

伊達にXLの名前を付けてる訳じゃないという事かな。

MD26

95年にはフェイスマスクの変更に加え、リアブレーキまでもディスク化などで更に走りを磨きをかけたMD31にモデルチェンジしています。

ちなみにディグリーとは経度・緯度・温度計などの「度」の意味。

主要諸元
全長/幅/高 2100/815/1155mm
[2100/825/1135mm]
シート高 790mm
車軸距離 1360mm
[1355mm]
車体重量 129kg(装)
[131kg(装)]
燃料消費率 45.0km/L
[40.0km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 9.3L
エンジン 水冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 25ps/8000rpm
最高トルク 2.5kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前2.75-21(45P)
後4.60-18(63P)
バッテリー FTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EH9/CR7EH9/CR9EH9
または
U24FER9/U22FER9/U27FER9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.6L
交換時1.3L
フィルター交換時1.32L
スプロケ 前13|後44
チェーン サイズ520|リンク102
車体価格 379,000円(税別)
[399,000円(税別)]
※[]内はMD31
系譜図
ホンダドリームSL250S1972年
DREAM SL250S
(SL250)
MD031975年
XL250/S/R
(MD03)
MD081983年
XLX250
(MD08)
MD16/20/221985年
XLR250R/BAJA
(MD16/20/22)
MD261991年
XL Degree
(MD26/MD31)
MD301995年
XR250/BAJA
(MD30)
MD30後期2003年
XR250/BAJA/Motard
(MD30後期)
MD362005年
XR230/Motard
(MD36)
MD382013年
CRF250L/M
(MD38)
ラリー2017年
CRF250RALLY/L/M
(MD44)

XLR250R/BAJA(MD16/20/22) -since 1985-

XLR250R

こだわりすぎて失敗したXLXの反省からRFVCエンジンはそのままにシングルキャブ化されたXLR250。それでもXLXから2馬力アップと5kgの軽量化を果たしています。ツインキャブはなんだったのかってなりますよね。

ただXLR250Rは出て僅か一年半ほどでモデルチェンジされ型式もMD16からMD20へと変わっています。

1985年モデル

初期型はエンジンまで真っ赤。赤エンジンと黄金に輝くアルミスイングアームとホイールが特徴的ですね。だからこのモデルだけは特別にXLR250Rfと正式名称で呼ばれていたりします。

ちなみにブラックアウト化された渋いモデルもありました。

そして1986年にモデルチェンジされMD20型に。

MD20

エンジンを若干ロングストロークにし加速ポンプ付キャブレターなどで中低速に厚みも持たせリアを18インチにアップさせたモデル。車重も2kgほど減っています。

最終となるのが1989年に出たMD22型。

XLR250R MD22

リアブレーキのディスク化や整備性のアップなど痒かった部分を改良したモデル。翌90年からはスイングアームに付いてたタンデムステップをフレームマウントに変更されています。

そして忘れてはいけないのが1987年に出た派生モデルとなるXLR250BAJA(バハ)

XLR250Rバハ

オイルクーラー、大光量デュアルヘッドライトなどBAJAと名付けるだけあってXLR-Rよりも更にエンデューロ色が強いモデル。シートバッグも専用に大容量の物にされてます。

今更ですがエンデューロとかモトクロッサーとか分からない人は「オフロード|モタード系の特徴と歴史」をどうぞ。

ちなみにBAJA(バハ)というのはメキシコのバハ・カリフォルニア半島で開かれるレースBAJA1000から。

バハ1000

不眠不休で半島の端から端まで約1000マイル(1600km)を走り抜きタイムを競う下手をすると命を落としかねない過酷な世界最長のデザートレース。オフロードの耐久レースみたいなものです。

BAJAはインパクトのある顔からオフを知らない人でも覚えてる人は多いのではないでしょうか。

XLRバハカタログ

ただ何処かで見かけたのですが

「BAJAってこんな顔だったっけ?」

って思ってる人もいるかもしれませんね。恐らくそう思うのは次のBAJA(XR-BAJA)のイメージが強いからかと。XLR250BAJAも1987年と今となってはかなり昔のバイクですもんね。

ただ当時はその癖になる顔付きとエンデューロライクな造りから既に成功していたXLR250Rの上位モデル的な立ち位置で息の長いモデルとなりました。

XLR250SP

XLR250R/BAJAは評判もセールスも申し分なく、XL系最終に相応しい有終の美を飾ったオフ車です。

主要諸元
全長/幅/高 2125/860/1210mm
[2165/860/1210mm]
『2165/860/1210〈1190〉mm』
シート高 850mm
[860mm]
『860mm』
車軸距離 1385mm
[1430mm]
『1430mm』
車体重量 123kg(装)
[121(装)]
『125〈126〉kg(装)』
燃料消費率 53.0km/L
『[50.3km/L]』
※定地走行テスト値
燃料容量 10L
『[9L]』
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 28ps/8500rpm
最高トルク 2.5kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.00-21-4PR
後4.60-17-4PR
[前3.00-21-4PR
後4.60-18-4PR]
『前3.00-21(51P)
後4.60-18(63P)』
バッテリー YB3L-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DP8Z
[DP7Z]
『DPR7Z』
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
分解時1.6L
交換時1.4L
スプロケ 前16|後50
チェーン サイズ428|リンク130
車体価格 358,000円(税別)
[389,000円(税別)]
『419000円(税別)』
「439,000円(税別)」
※[]内はMD20
※『』内はMD22
※〈〉内はBAJA-MD22
系譜図
ホンダドリームSL250S1972年
DREAM SL250S
(SL250)
MD031975年
XL250/S/R
(MD03)
MD081983年
XLX250
(MD08)
MD16/20/221985年
XLR250R/BAJA
(MD16/20/22)
MD261991年
XL Degree
(MD26/MD31)
MD301995年
XR250/BAJA
(MD30)
MD30後期2003年
XR250/BAJA/Motard
(MD30後期)
MD362005年
XR230/Motard
(MD36)
MD382013年
CRF250L/M
(MD38)
ラリー2017年
CRF250RALLY/L/M
(MD44)

XLX250R(MD08) -since 1983-

XLX250R

大成功を収めたXL250シリーズの後継になるXLX250R

最大の特徴はRFVC(Radial Four Valve Combustion Chamber)という新しいエンジンになったこと。放射状4バルブといって燃焼室(燃焼時の形)を理想と言われる半球型にすることが狙い。

XLX250R

右下に分かりやすいイラストが付いているのでそれで分かっていただきたんですが、すべてのバルブが燃焼室の中心を向くように付いています。バルブ駆動もSOHCながらユニカムバルブトレインといってカムシャフト一本で4つのバルブを動かすタイプ。

RFVC半球型

ちなみにこのRFVCじゃないエンジンはどんな形になっているのかというとペントルーフ型といって三角形の燃焼室になる形をしています。自動車もバイクも4バルブは基本的にこれです。

XLX250R

これはCBR250Rの系譜で使ったバルブ挟み角で使った画像なので色々書いてますが、燃焼室が三角形になってるのがわかると思います。吸気バルブ二本と排気バルブ二本が屋根のようになってると言えばわかりやすいでしょうか。

話が少し反れますが、なんで流体力学でみると理想といわれる半球型ではなくペントルーフ型がメジャーなのか簡単に言うと、半球型は乱流がない・・・要するに空気の流れが落ち着いてる事から燃焼伝播(燃え広がる速度)が遅いんです。燃焼伝播が遅いとトルクが落ちます。対してペントルーフ型ってのは燃焼室が三角形で混合気の流れが綺麗ではなく四方八方へ暴れるから燃え広がる燃焼伝播も早いというわけ。

他にも半球型は燃焼室が必然的に広く高くなるから圧縮比を上げ辛かったり。何よりも綺麗な半球の形をバルブで作るのが難しいという問題が。まあ素人に体感できるかといえば間違いなく出来ないでしょうけど。

理想的な燃焼室である半球型エンジンとしてホンダはしばらくシングルはこのRFVCエンジンを推してXR250まで続くわけですが、XLX250Rの場合RFVCエンジンだけでなくキャブレターも二つ付けるという贅沢装備で26馬力とパワーが大幅アップ。

XLX-R

ただ残念な事にXL250の後継にありながらXLX250Rは人気は出ず・・・というか本当に人気が無かった。

理由の一つはそのデュアルキャブで、要するにただでさえ面倒くさいキャブセッティングを二個もしないといけない気難しさや煩わしさが、初心者はもちろん自分で整備するエキスパートそしてバイク屋にまで敬遠されてしまったというわけ。

XLX250Rカタログ写真

こだわり過ぎて失敗っていうホンダらしい不人気車。

主要諸元
全長/幅/高 2175/840/1225mm
シート高 840mm
車軸距離 1415mm
車体重量 128kg(装)
燃料消費率 55.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 10L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 26ps/7500rpm
最高トルク 2.2kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.00-21-4PR
後4.60-17-4PR
バッテリー FB3L-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DP8EA-9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
分解時2.0L
交換時1.8L
スプロケ 前14|後40
チェーン サイズ520|リンク102
車体価格 358,000円(税別)
系譜図
ホンダドリームSL250S1972年
DREAM SL250S
(SL250)
MD031975年
XL250/S/R
(MD03)
MD081983年
XLX250
(MD08)
MD16/20/221985年
XLR250R/BAJA
(MD16/20/22)
MD261991年
XL Degree
(MD26/MD31)
MD301995年
XR250/BAJA
(MD30)
MD30後期2003年
XR250/BAJA/Motard
(MD30後期)
MD362005年
XR230/Motard
(MD36)
MD382013年
CRF250L/M
(MD38)
ラリー2017年
CRF250RALLY/L/M
(MD44)

XL250/S/R(MD03) -since 1975-

XL250

汚名返上のために再度作り上げたのがこのXL250。

ただ正確に言うとXL250はどちらかというとSL250Sのマイナーチェンジに近いモデルで、リベンジの為に作り上げられたオフロードは3年後の1978年に出たXL250Sというモデル。

XL250S

このXL250S最大の特徴は市販車初となるフロント23インチの特大フロントホイール。

このモデルはエンデューロモデルのXR250と同時開発なんだけど、凄いのは4stオフ最大の欠点であった車重を振動を抑えるミッション兼バランサー機能を備えつつ20kgも軽減してる事。

XL250Sカタログ

4st最大の課題だった車重という問題をクリアしたとき、4stだからこその燃費の良さや低域での粘りなどのいわゆる”扱いやすさ”という本来の武器が明快に出た。そのおかげでこのXL250Sは林道ブームを巻き起こすほどの大ヒットとなりました。

勢いそのままに1981年にはXL250Rへとモデルチェンジ。

XL250R

専用6速ミッションやプロリンクなどを装備し走破性を更に向上させたモデルで十八番の赤フレームまで採用。

XL-R

MXワールドチャンピオン記念車や、パリダカ初優勝記念としてタンクを21Lにまで増やしキャリアを装着したパリダカ仕様まで登場しました。

XL250はホンダのオフロードバイクとしては初の成功車だった事から印象に残ってる人も多いと思います。

XL壁紙

ホンダの公式待受にもサラッと登場してたり。

主要諸元
全長/幅/高 2175/880/1130mm
[2175/875/1185mm]
{2170/865/1230mm}
シート高
車軸距離 1410mm
[1390mm]
{1385mm}
車体重量 148kg(装)
[128(装)]
{131kg(装)}
燃料消費率 40.0km/L
[50.0km/L]
{55.0km/L}
※定地走行テスト値
燃料容量 9.5L
{9.0L}
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 248cc
最高出力 20ps/8000rpm
[20ps/7500rpm]
{22ps/7500rpm}
最高トルク 1.9kg-m/6500rpm
[2.0kg-m/6000rpm]
{2.1lg-m/7000rpm}
変速機 常時噛合式5速リターン
{常時噛合式6速リターン}
タイヤサイズ 前3.00-21-4PR
後4.00-18-4PR
[前3.00-23-4PR
後4.60-18-4PR]
{前3.00-21-4PR
後4.60-17-4PR}
バッテリー YB3L-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
D8EA
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
分解時1.8L
[分解時2.0L
交換時1.3L]
{分解時2.0L
交換時1.3L}
スプロケ 前14|後44
チェーン サイズ520|リンク102
車体価格 268,000円(税別)
[282,000円(税別)]
{338,000円(税別)}
※[]内はXL250S
※{}内はXL250R
系譜図
ホンダドリームSL250S1972年
DREAM SL250S
(SL250)
MD031975年
XL250/S/R
(MD03)
MD081983年
XLX250
(MD08)
MD16/20/221985年
XLR250R/BAJA
(MD16/20/22)
MD261991年
XL Degree
(MD26/MD31)
MD301995年
XR250/BAJA
(MD30)
MD30後期2003年
XR250/BAJA/Motard
(MD30後期)
MD362005年
XR230/Motard
(MD36)
MD382013年
CRF250L/M
(MD38)
ラリー2017年
CRF250RALLY/L/M
(MD44)

Dream SL250S(SL250) -since 1972-

SL250S

ホンダの本格トレールとして出たSL250S。海外向けはXL250という名前で発売。

いきなりですが実はホンダはSL250Sの前にもいわゆる未舗装を走ることを考えられたバイクを作っていました。それは1962年に出たCL72 SCRAMBLERという文字通りスクランブラーのバイク。

SL250S

当時はまだ明確な「オフロードバイク」という定義がなく各社とも手探り状態の時代。そんな状況の中でいち早く出たCL72は”オフロード走行に対するホンダの答え”だったわけです。

オンロードモデルCB72をベースにアップハンドル&アップマフラー、そして専用のシングルクレードルフレームにクランク新造と必死に答え求めて考え抜いた形跡が垣間見えるバイク。

でも残念なことに正解ではなかった。当時まだ未知の問題のジャンルだった”オフロードバイク”に初めて正解したのはヤマハ。CL72 SCRAMBLERの6年後の1968年に出たトレールDT-1です。

dt-1

深いストローク量を持つサスペンションにブロックパターンタイヤ、エンジンガードを兼ねたアップマフラー、何より単気筒を武器に低速からトルクフルで圧倒的な軽さと細さを持っていた事から大ヒット。いち早く問題に取り組んだホンダだったけど先に答えを導き出されてしまったわけです。

CL72 SCRAMBLERが間違えていた部分は二気筒エンジン。4st二気筒からくる取り回しの重さがオフロードの先駆車になれなかった最大の理由。

当時ホンダはレースで培った高性能エンジンとして並列二気筒エンジンを全面に押し出していた。つまり皮肉なことに結果を残していた強すぎるオンロードの考えをそのままオフロードに持ってきてしまった事が仇となった。

SL250S

それでもホンダは他社を真似ない精神、オフロードの答えはまだDT-1と決まっていないと、71年にCL250という後継を出しCLシリーズとして展開していきました。

しかしDT-1ブーム(オフロードブーム)の勢いは凄まじく一向に衰える気配がない。

指を加えてみている事しかできなかった営業や卸の堪忍袋も限界で

「DT-01に対抗できるバイクを出せ」

と突き上げを食らい、とうとう折れて出したのが1972年に出たこのSL250Sというわけ。

SL250Sカタログ

アルミリム、マグネシウム合金クランクケースカバー、強制開閉式キャブと当時としては贅沢な作り。そしてなにより単気筒・・・が、やっぱり4st。

この頃は2st全盛期で4stは車重やパワー面での見劣りを否めなかった。ましてオフロード車となると尚のこと。

実際ホンダもこのSL250Sとほぼ同時期にエルシノアMT250という2stオフを出した。だから本来なら2stほどの需要が無い4stオフSL250Sは要らないハズ。それでもなお出し続け止めなかったのは4stへのこだわりというかプライドの現れでしょうね。

このようにホンダのオフロード部門というのは、実は最初から成功を収めたわけではなかったんですね。

主要諸元
全長/幅/高 2120/840/1125mm
シート高
車軸距離 1410mm
車体重量 136kg(乾)
燃料消費率 43.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 8.0L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 248cc
最高出力 22ps/8000rpm
最高トルク 2.0kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ
バッテリー
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
スプロケ
チェーン
車体価格 208,000円(税別)
系譜図
ホンダドリームSL250S1972年
DREAM SL250S
(SL250)
MD031975年
XL250/S/R
(MD03)
MD081983年
XLX250
(MD08)
MD16/20/221985年
XLR250R/BAJA
(MD16/20/22)
MD261991年
XL Degree
(MD26/MD31)
MD301995年
XR250/BAJA
(MD30)
MD30後期2003年
XR250/BAJA/Motard
(MD30後期)
MD362005年
XR230/Motard
(MD36)
MD382013年
CRF250L/M
(MD38)
ラリー2017年
CRF250RALLY/L/M
(MD44)