DJ-1/R/L/RR(AF12/AF19)-since 1985-

DJ-1

「AERO SPORTS」

ホンダが1985年に発売した新世代原付スクーターことDJ-1/AF12型。

特徴としては5.2馬力を叩き出すエンジンも凄いんですが、一番はその後の原付スクーターのポジションを決定づけたとも言える足を前に投げ出す事を前提としたツートンカラーのステップボードとノーズからテールまで駆け伸びるようなラインの流線ボディ。

ドルフィンジャンプ

ちなみにこのシュッと伸びているデザインが

『ドルフィン・ジャンプライン』

という名称で車名もそこから取られているんですが、一方テレビCMでは強烈なディスクジョッキーを起用していたのでディスクジョッキーの略だという勘違いが生まれました。

DJ-1のコマーシャル

「DJ♪DJ♪」

とノリノリで言うだけの何とも珍妙なCMで少しだけ流行ったり・・・いや、そもそもこの人だれっていう。

DJ-1のカタログ

ただまあ当時を知る人ならDJは

『打倒ジョグ』

が本当の意味だというのは有名だと思います。

DJ-1が出る2年前の1983年にヤマハからジョグ(通称ペリカンジョグ)という原付スクーターが登場したんですが、ボディとフロントフェンダーが一体になった斬新なスタイリングが若者を中心に大ヒットしていました。

1983年といえば原付市場を中心とした泥沼の戦いであるHY戦争の終戦宣言がなされた年。ただ両者の中(特にホンダ社内)ではまだ火が激っていたんですね。それが結果としてMVXやNSそしてNSRと”2stスポーツのヤマハ”を叩き落とす為のバイクを生みレーサーレプリカという市場で再び相まみえる事になるんですが、それは原付市場でも変わらなかったという話。

DJ-1デザインスケッチ

ホンダ自身が打倒ジョグだったと名言している情報はありませんが、ホンダ監修の本などを読んでも否定されていないのでまあそういう事なんでしょう。

ただし若者向けスポーティ原付といえどホイールベースは約1165mmとかなり長めでジョグとは打って変わって安定性重視。ここらへんがホンダらしい所ですね。

そんなDJ-1は最初にも言ったようにレーサーレプリカブームに合わせたスタイリッシュなデザインとワイドレシオがもたらす厚い低中速が若者の間で絶大な人気を獲得。

ホンダはそこから手を緩めることなく翌1986年にはスポーツ性を高めたDJ-1Rを追加発売しました。

DJ-1のコマーシャル

専用チャンバーにより0.3馬力UPの5.5馬力(最終87年モデルは6.0馬力)となり10インチタイヤやアンダースポイラーも装備。

カタログにも若者に人気だった

『F-エフ』

というモータースポーツ漫画の主人公である赤木軍馬を起用しアピール。

DJ-1Lとビバユー

更に半年遅れで56ccのDJ-1Lと、とんでもないカラーリングを纏った限定モデルのビバユー(VIVA YOU)モデルを発売。

そしてDJ-1として有終の美を飾るモデルとなったのが1988年に登場したDJ-1RR/AF19型。

DJ-1Lとビバユー

6.8馬力にまでチューニングされたエンジンをベースにエアダクトやデュアルヘッドライト、それに油圧式テレスコピックフロントフォークの通称HR-SUSが奢られた最上級モデル。ちなみにトランクボックスに入っているロゴからも分かる通り、読み方はCBRと同じダブルアール。

ホンダはこのDJ-1のヒットと怒涛の攻勢により若者向けスクーターの地盤を築くことに成功。これがディオに繋がります。

主要諸元
全長/幅/高 1590/590/990mm
[1650/625/1025mm]
<1650/590/1025mm>
{1630/625/1015mm}
シート高 690mm
[735mm]
<735mm>
{710mm}
車軸距離 1165mm
[1180mm]
<1180mm>
{1160mm}
車体重量 56kg(装)
[59kg(装)]
<59kg(装)>
{60kg(装)}
燃料消費率 75.0km/L
[75.4km/L]
<60.2km/L>
{64.3km/L}
※定地走行テスト値
燃料容量 3.0L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
<56cc>
最高出力 5.2ps/6500rpm
[5.5ps/6500rpm
5.5ps/6500rpm※ビバユー
6.0ps/6500rpm※87~]
<5.8ps/6500rpm>
{6.8ps/7000rpm}
最高トルク 0.6kg-m/6000rpm
[0.63kg-m/6000rpm
0.63kg-m/6500rpm※ビバユー
0.69kg-m/6000rpm※87~]
<0.68kg-m/6000rpm>
{0.73kg-m/6500rpm}
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前後3.00-8-2PR
[前後80/90-10(34J)]
<前2.75-10-2PR
後2.75-10-4PR>
{前後80/90-10(34J)}
バッテリー YT4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BP6HSA
{BR8HSA}
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
0.9L
Vベルト 23100-GR1-751
車体価格 109,000円
[129,000円]
<139,000円>
{136,000円}
※[]内はR
※<>内はL
※{}内はRR/AF19
系譜図
DJ-11985年
DJ-1/R/L/RR
(AF12/AF19)
AF181988年
DIO/SR
(AF18/AF25)
Gダッシュ1989年
G’
(AF23)
AF271990年
DIO/SR/ZX
(AF27/28)
AF341994年
DIO/SR/ZX/J/S
(AF34/AF35)
AF562001年
DIO/Z4/DX
(AF56/AF57/AF63)
AF622003年
DIO
(AF62/AF68)
JF312011年
DIO110
(JF31)
JF582015年
DIO
(JF58)

「DJ-1/R/L/RR(AF12/AF19)-since 1985-」への1件のフィードバック

  1. 最初期の薄いブルーグリーンに乗っていました。JOG(初期型)と比べると重心が低くて安定していました。FLUSH、BEATよりは見た目も使い勝手も普通で、とんでもない台数が走っていたと思います。

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