DIO110(JF58)-since 2015-

JF58

「New Standard Commuter」

アジアで唯一DIO110が売れた国ともいえるベトナム(向こうではVISION110)への生産移転を機に大きく見直されるフルモデルチェンジが入ったDIO110/JF58型。

JF58のデザイン

エッジが効いた見た目に変更されているんですが、一番はホンダが開発したアイドリングストップ機能付きの新世代エンジンeSPになったこと。ローラーロッカーアームやオフセットシリンダーによってフリクションロスを徹底的に省いた超低燃費エンジンです。

JF58E

仕組みはPCXの方で話した気がするので置いておくとして、これによりパワーアップしつつクラス最高燃費(当時)となる55.6km/Lを達成。

DIO110のエンジン

ちなみにこれにはフレームも新たに設計し直し全体で3kgもの軽量化となった事も貢献しています。

つまりデザインもエンジンもフレームも新しくなってるので、ある意味では先代とは似て非なるモデルなんですね。サイドスタンドやシートオープナーまで標準装備になりましたし。そのぶん価格も少し上がりましたけどね。

DIO110SP

そんなディオ110なんですけどオーナーも自覚があると思われるので正直に言いますが人気無いですよね。

「どうせ乗るならPCXに」

という人が大半なんだろうと思います。

これは日本と同じく絶賛発売中の欧州なんかでもそうでPCXが大ヒットしている一方でディオの話は全然聞かない。

でもこれ良い面もあるんですよ・・・

イギリス版DIO110

「盗難やイタズラに強い」

という事に繋がるからです。だって人気が無いんだもの。

人目につく街などで真価を発揮する天下のホンダが造った確かな品質のコミューターでこの心配が減るって凄く大きいと思うんですよ。

DIO110ブラック

「イモビを鼻で笑える不人気という名の盗難防止機能」

という冗談半分だけど半分本当な装備を付けてる。

もちろん絶対に無いとは言い切れないけど間違いなくPCXより可能性が低いし、万が一そういう目にあっても比較的安い方だからダメージも小さい。

JF58壁紙

所有感やシグナルダッシュは確かに他の原付二種に負けるけどコミューターとして本来最も大事である

「如何に気を使わず付き合えるか」

という要素ではDIO110は完勝でしょう。

主要諸元
全長/幅/高 1870/690/1085mm
シート高 750mm
車軸距離 1255mm
車体重量 100kg(装)
燃料消費率 55.6km/L
※WMTCモード値
燃料容量 5.2L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 108cc
最高出力 9.0ps/7500rpm
最高トルク 0.95kg-m/5500rpm
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前80/90-14(40P)
後90/90-14(46P)
バッテリー GTZ6V
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
MR8C-9N
推奨オイル Honda純正ウルトラE1
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.8L
交換時0.7L
Vベルト 23100-K44-V01
車体価格 212,000円(税別)
系譜図
DJ-11985年
DJ-1/R/L/RR
(AF12/AF19)
AF181988年
DIO/SR
(AF18/AF25)
Gダッシュ1989年
G’
(AF23)
AF271990年
DIO/SR/ZX
(AF27/28)
AF341994年
DIO/SR/ZX/J/S
(AF34/AF35)
AF562001年
DIO/Z4/DX
(AF56/AF57/AF63)
AF622003年
DIO
(AF62/AF68)
JF312011年
DIO110
(JF31)
JF582015年
DIO
(JF58)

DIO110(JF31)-since 2011-

JF31

「ニュー スタイリッシュ コミューター」

原付二種になった新世代のDIO110/JF31型。

・空冷107ccエンジン
・前後14インチホイール
・コンビブレーキ
・メンテナンスフリーのFI
・18Lのメットインとフロントインナーラック

などを標準的な装備。

JF31メットイン

排気量が上がったことからも分かる通りディオは生産拠点を中国に移しグローバルモデルになったわけですが、ネタバレするとこのモデルはタイで造っていたSCOOPY110iというモデルがベース。

くまモンスクーピー

上の写真は現行モデルなんですが、くまモンってアジアでも人気なんですね。でも熊本工場で製造されてるからくまモンなんじゃなかっ・・・

ちなみにDIOは中国製ですが先代の新大洲本田ではなく五羊本田という別の合併会社。新大洲がほぼ輸出なのに対して五羊本田は中国国内向け。

ラフスケッチ

そもそもなんでグローバルモデルになったのかというと廉価なコミューターが世界から求められたからです。

だからハッキリ言いますがDIO110/JF31は快適装備が付いていませんし、お高い125ccと遜色ない走りをするとは言い切れない部分もある。

今どきメットインの鍵がメインキーシリンダーに付いておらずシート下にある鍵穴で開ける必要があったりするし、パワーもそれなりでトルクの谷があるしシガーソケットなんかも付いてない。

でもその分だけ安くて20万円を切る破格の値段でした。

JF31壁紙

そんなDIO110なんですがこれが出た時、そして今もそうですが

「典型的なアジア向けスクーターだな」

って思った人も多いかと。

確かに本来ならばそうなんですが、DIO110の場合そうとも言い切れない部分があります。というのもDIO110が開発される事になった理由はアジアだけじゃないからです。

確かにカブ一辺倒だった東南アジアや中国で生まれ始めていたAT需要の受け皿という狙いもありました。しかし一方で日欧でも不況で廉価な物を求めるようになった事に応える狙いもあった。

だから

「日本で20万円切るとともに欧州初の2000ユーロ切りコミューター ※Honda DESIGN」

という目標の元に開発された背景があるんです。

ディオ110の値段

そしてグローバル展開というスケールメリットのおかげで見事に20万円切り。かつてホンダの原付二種でこれほど安いバイクがあっただろうかと思えるコストパフォーマンスになった。

そこにもう一つ付け加えたいのが

「DIO110は欧州を重視していたのでは」

ということ。

これは2000ユーロを切るという目標もそうなんですが、デザインで見ても欧州で爆発的な人気を誇ったSHモードという石畳を物ともせず走れる大径ホイールのスクーターに通ずる部分があるから。

BIZスタイル

加えて言えるのがDIO110は国によって名前が違って

中国『Breeze』

欧州&ベトナム『VISION』

インドネシア&タイ『Spacy』

とバラバラなんですがアジアでこのデザインが受け入れられなかったのか実はもう売ってない国が多い。向こうはベトナムくらいでホンダの110といえばスクーピーという状態。対して欧州ではまだ現役。

JF31カタログ

つまりDIO110は確かにアジアも睨んでいたんだけど、どちらかというと欧州寄りなコミューターなんですね。

主要諸元
全長/幅/高 1845/670/1090mm
シート高 755mm
車軸距離 1255mm
車体重量 103kg(装)
燃料消費率 52.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 5.5L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 107cc
最高出力 8.4ps/8250rpm
最高トルク 0.89kg-m/6500rpm
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前80/90-14(40P)
後90/90-14(46P)
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR8EA-9
または
U24EPR9
推奨オイル Honda純正ウルトラE1
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.8L
交換時0.7L
Vベルト 23100-KZL-931
車体価格 190,000円(税別)
系譜図
DJ-11985年
DJ-1/R/L/RR
(AF12/AF19)
AF181988年
DIO/SR
(AF18/AF25)
Gダッシュ1989年
G’
(AF23)
AF271990年
DIO/SR/ZX
(AF27/28)
AF341994年
DIO/SR/ZX/J/S
(AF34/AF35)
AF562001年
DIO/Z4/DX
(AF56/AF57/AF63)
AF622003年
DIO
(AF62/AF68)
JF312011年
DIO110
(JF31)
JF582015年
DIO
(JF58)

DIO(AF62/68)-since 2003-

AF62

「The Scooter. Dio」

五代目ディオ・・・と言っていいのか少し微妙な立ち位置にあるAF62型。

というのもDIOはこれまで新型が出ても旧型をしばらく併売させる形を取るのが一般的だったのですが、先に紹介したスマートディオとこの新生ディオはずっと併売されていたから。

デザイン

どうしてそうなったのかというとスマートディオは熊本産なのに対して、このセクシーテールのディオはホンダが中国現地のメーカーと合併する形で2001年に設立した新大洲本田(Sundiro Honda)で生産しているモデルだから。

新大洲ホンダ

一応ホンダとしては

・最新設計のリッチなAF56~63

・コストパフォーマンスのAF62

という展開。

だからスポーツバージョンのZ4もスマートディオだけでコッチは無印モデルのみ。

ちなみにぶっちゃげると中身はトゥデイとほぼ同じなんですが、1988年に登場した初代より9000円も安い119,000円というとんでもない安さとはいえ

・22Lメットイン
・コンビブレーキ
・シートオープナー機能付きキーシリンダー

などスクーターとしての基本は抑えていました。

2007年には排ガス規制に伴いキャブからスマートディオと同じくFI化されたAF68へとモデルチェンジ。

AF68

さらに2011年には排ガス規制に対応するためエンジンが見直されるマイナーチェンジがされAF68後期に。

ちなみに懲りない蛇足ですが中国ではこれとは別にもう一つ別のディオというか従姉妹の様な存在がいました。

DD50

DD50という台湾のSYMが造っていた原付で中身が縦型エンジン時代のスーパーディオつまり先々々代がベース。

これはパクってるわけではなくホンダの技術提供によって作られたスクーターだから。つまりSYM版ディオといえるモデルで2007年まで販売されていました。

さてさて・・・そんなディオなんですが残念な事にこの代(2013年モデル)が50ccとしては最後。

ディオAF68の壁紙

三ない運動を発端としたイメージの悪化や駐禁などによる原付市場の低迷が原因・・・と簡単に片付ける事も出来るんですが2010年代も厳しい状況なりにズーマーやダンクなどがヒットしていたのを見るに

「こういうデザインが若者にはもうウケない」

という事が少なからずあったかと。

ホンダの原付市場分析でも今の若者は”カッコイイ”とか”速そう”という要素ではなく

「目立たず街に溶け込む機能的なハイブランド」

を好む傾向があるんだとか。

ディオ最終型

若者の為に生まれ、若者から支持され、若者と共に歩み続けていたクラスを代表する歴史あるディオが50ccの世界から姿を消したのはそういう背景があったからでしょう。少し厳しい言い方かもしれませんが。

ただ完全に消えたかというとそうとも言い切れない部分もあります。

ホンダとヤマハが原付一種事業で提携したのが記憶に新しいかと思いますが、それにより誕生したのがホンダ製のジョグ。

ホンダのジョグ

ホンダがジョグを造るなんて今でも嘘じゃないのかと思える話なんですが、よく見るとボディは確かにジョグだけど顔は・・・これディオでは。

ディオとジョグ

永遠のライバルだったディオとジョグがまさかの融合というオチ。

悟空とベジータが融合してゴジータ誕生的な。

主要諸元
全長/幅/高 1720/630/1020mm
{1720/650/1020mm}
シート高 695mm
車軸距離 1180mm
車体重量 77kg(装)
[81kg(装)]
{81kg(装)}
燃料消費率 65.0km/L
[73.0km/L]
{73.0km/L}
※定地走行テスト値
燃料容量 5.0L
[4.6L]
{4.6L}
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 49cc
最高出力 4.1ps/8000rpm
[4.1ps/8250rpm]
{3.8ps/8250rpm}
最高トルク 0.38kg-m/6500rpm
[0.38kg-m/7500rpm]
{0.38kg-m/7000rpm}
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前後80/100-10-46J
バッテリー GTH4L-BS
または
YTX4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7HSA-9
推奨オイル Honda純正ウルトラE1
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.8L
交換時0.7L
Vベルト 23100-GFC-890
車体価格 119,000円(税別)
[147,000円](税別)
{147,000円}(税別)
※[]内はAF68
※{}内はAF68後期
系譜図
DJ-11985年
DJ-1/R/L/RR
(AF12/AF19)
AF181988年
DIO/SR
(AF18/AF25)
Gダッシュ1989年
G’
(AF23)
AF271990年
DIO/SR/ZX
(AF27/28)
AF341994年
DIO/SR/ZX/J/S
(AF34/AF35)
AF562001年
DIO/Z4/DX
(AF56/AF57/AF63)
AF622003年
DIO
(AF62/AF68)
JF312011年
DIO110
(JF31)
JF582015年
DIO
(JF58)

DIO/Z4/DX(AF56/57/63)-since 2001-

スマートディオ

「4stという先端。」

4stへの大転換となった四代目ディオことスマートディオのAF56/AF57型。

モーニング娘

カタログにはモーニング娘が起用されていました。

マルチリフレクターヘッドライトが特徴的なモデルですがグレードとしては

・ノーヘルのディオ/AF56
・アイドリングストップとディスクブレーキのDX/AF57
・スポーツタイプのZ4/AF57(翌02年から)

の3タイプでZXは4st化という事で名前がZ4(ズィーフォー)に改名。ちなみに今回はパワーユニットも同じ。

Z4

まだまだ2stが売れる時代にも関わらず4stに切り替えという永遠のライバルだったジョグとは別の道を歩み始めたディオなんですが、これがまたとってもバブリー。

例えばクレアスクーピーからの流れで採用された次世代4stエンジンなんですが初っ端にして水冷エンジン。

ディオの水冷エンジン

しかも徹底的なコンパクトモジュール化されたもの。

今にして思えばホンダが開発したeSPエンジンの基礎はここにあったと言えるでしょうね。

でもそれだけではなくもう一つ驚きなのがフレームで、2ピースのアルミダイキャストになっています。

アルミフレーム

50ccのそれもスクーターでこれほど豪華なフレームってそうそうない。

アルミにした理由について公式では

「従来の鋼管&鋼板よりも部品点数や溶接が少なく環境に優しいから」

との事でしたが4st化に伴う重量増を少しでも解消する狙いも少なからずあったかと。実際これのおかげで車重は2st時代からわずか+3kgしか増加してないわけですから。

そんなもんだから一部のカスタム好きにオリジナル原付のフレームとして人気っていう要らぬ需要まで生んでしまう始末。

そんなスマートディオで紹介しておかないといけないのがこれ。

Z4阪神スペシャル

『Z4 阪神タイガーススペシャル』

ご存知あの阪神タイガースカラーを纏ったZ4で僅か120台限定。しかも驚きのお値段据え置き。

これは開幕から絶好調で有頂天だった阪神ファンがホンダモーターサイクルジャパン(販社)大阪支部に要望し、それをホンダが引き受けて製作したもの。

なにが恐ろしいのがこれ優勝記念車じゃない事。8/30発売という企画から製品化までの日数を考慮すると見切り発車もいいとこの販売だったんです。

しかもホンダは野球部持ってるとはいえ阪神とは縁もゆかりも・・・どちらかというとカワサキ(本社:神戸)じゃないのかっていう。

2004年にはZ4のみクラス世界初となるFI(電子制御燃料噴射装置)を採用するモデルチェンジが入りAF63型となりました。

AF63型

FI化により始動性と燃費が更に向上したんですが、更に嬉しいのがバッテリーが力尽きていてもキックで始動出来るよう配慮されていること。

センサー類を徹底的に統合することで部品点数を減らし、さらに高性能ECUや燃料ポンプを小型&省電力化することで必要な電力を削減。

そしてキック始動時に灯火系やバッテリーへの回路を遮断し、プラグと燃料ポンプとFIにのみ電力を供給するようにした事で僅か0.2秒のキック時の発電でも安定始動できる様にした事で可能にしているというわけ。

まあこれはスーパーカブなど他の原付にも付いてる機能。それより見て欲しいZ4だけの凄い部分はエンジン。

Z4エンジン

たった0.3馬力上げるためだけに直径38mmしかないエンジンを4バルブ化したんです。もうミニチュアの世界ですよね。

もちろん50ccスクーターとしては世界初。

主要諸元
全長/幅/高 1710/620/1010mm
[1710/630/1010mm]
シート高 710mm
車軸距離 1190mm
車体重量 76kg(装)
[77kg(装)]
{81kg(装)}
燃料消費率 75.0km/L
{80.0km/L}
※定地走行テスト値
燃料容量 5.0L
{4.8L}
エンジン 水冷4サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 5.0ps/8000rpm
{5.3ps/8000rpm}
最高トルク 0.47kg-m/7000rpm
{0.49kg-m/7500rpm}
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前後90/90-10-50J
バッテリー YTZ7S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EH-9
{ER8EH-N}
推奨オイル Honda純正ウルトラG1
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.7L
交換時0.6L
Vベルト 23100-GET-003
車体価格 159,000円
[179,000円]
{199,000円}
※[]内はDX
※{}内はAF63
系譜図
DJ-11985年
DJ-1/R/L/RR
(AF12/AF19)
AF181988年
DIO/SR
(AF18/AF25)
Gダッシュ1989年
G’
(AF23)
AF271990年
DIO/SR/ZX
(AF27/28)
AF341994年
DIO/SR/ZX/J/S
(AF34/AF35)
AF562001年
DIO/Z4/DX
(AF56/AF57/AF63)
AF622003年
DIO
(AF62/AF68)
JF312011年
DIO110
(JF31)
JF582015年
DIO
(JF58)

DIO/SR/ZX(AF34/AF35)-since 1994-

AF34

「生まれ変わった−Body & Heart。」

二代目にあたるスーパーディオ(素モデルのみ)と併売する形で登場した2st最後の世代となる三代目のライブディオことAF34型。

キャッチコピーにもあるようにこのモデルでディオは大きく生まれ変わりました。

変わった部分は先代に引き続きまたもやエンジンで、縦型だったエンジンが今も広く採用されている横型エンジンへと変更すると共にストレート吸気化で7馬力にアップ。

縦型と横型のスクーター

だからライブディオは横ディオとか言われたりもします。

なんで横型に変更したのかといえば上のやっつけイラストを見て察してもらえると助かるのですが一番は

「スペースを稼ぐため」

これによりモデルからタンク容量を+0.3L、オイル容量を+0.1L。そしてエンジンが立っている事からポッコリ出ていたメットイン底面がフラットになり更に使い勝手が向上しました。

ちなみメットインメットインと言っていますが正式にはシート下トランクで、メットインという言葉は実はホンダが生み出した造語。だから商標登録もホンダが持っていたります。

ZX/AF35

話を戻すとこのモデルからはディスクブレーキ化されたSR(写真上)、そして贅沢にもLEDブレーキランプ付きのハイマウントスポイラーのZX(写真下)も最初からラインナップ。

ZX/AF35

ZXの方は相変わらず専用チューニングが施されており0.2馬力UPした7.2馬力エンジン。

今回は更に90/90-10のワイドタイヤも採用しておりデザインも一番定評があるモデル。

TRF

ちなみにカタログにはZXではボーイミーツガールやイージードゥダンスでおなじみTRF。

ZXではない素モデルの方では広末涼子さんが起用されていました。

DIO 広末涼子

豪華過ぎるキャストですが、これはもちろんDIOが相変わらず若者に人気でホンダの一番人気原付だったから。

このライブディオは人気がピークだった世代で販売期間も長かった事から累計157万台とシリーズで一番売れたモデルでした。

モデルチェンジ歴をサラッとおさらいすると1996年(実質1997年モデル)には

・前後連動ブレーキ
・ディスクブレーキの標準化(SR廃止)
・大光量ハロゲンライト
・燃料タンクの6L化
・2ピースタイプのフロントフォーク(ZXのみ)

などの変更。

ZX後期

”規制前後期”といわれるモデルで何気に前期とはかなり部品が変わっていて別物化していたりします。

更に1999年半ばには排気ガス規制に対応するためキャブセッティングと触媒入りマフラーへの変更などが入り、ドラムブレーキの廉価グレードDIO Jも販売。

DIO J

”規制後後期”と呼ばれている世代です。

2001年のマイナーチェンジでイモビライザー(OP)に対応すると同時に素ディオと一本化されDIO Sへと改名されました。

以下ちょっと蛇足。

国産スクーター市場における最量産車モデル(ホンダ調べ)にまで上り詰めたディオなんですが、成功すると変なことを始めだすホンダの悪い癖と言いますかホンダらしさと言いますか、カゴ付きのチェスタやポップ調のフィットなど痒い所に手が届く派生モデルもあったんですが中にはこんな珍妙なモデルもありました。

DIO BAJA

『1995年 DIO BAJA/AF28』

XLR250やXR250でおなじみBAJAのアイコンである丸目二眼を取って付けたディオ。

補足しておくとBAJA(バハ)っていうのはメキシコにある半島をノンストップで駆け抜けるバハ1000というラリー。早い話が北米版パリダカみたいな感じでそれをイメージしたもの。

XLR250で出したらパンチが効いてて好評だったからモンキーと同じ様にディオでもパロったという話。

ディオバハ

ただこのBAJAモデルはディオらしく単純にパロっただけではなくもう一つ特徴があります。それはベースとなっているのがライブディオではなく先代のスーパーディオだという事。

先代の在庫処分なのか・・・それとも本当に過酷なエンデューロに必要不可欠な整備性の良さを取るためにわざわざ縦型エンジンにしたのかは謎。

ただこれだけでは終わりません。

1996年にはDIO STと呼ばれるモデルも販売。

ディオST

『1996年 DIO ST/AF35』

何やらフロントホイールの向こう側にチラリと見える事からダブルディスクかと思いきや、これは車速を測るためのセンサー。驚くことなかれ実はこれABSを採用しているんです。

ABSシステム

しかもリアを握るだけでフロントも自動で掛かる前後連動式という現在多くのホンダ車に採用されているコンバインドABSに通ずるもの。

一般的なオートバイではなく不特定多数が乗るディオで先行搭載する度胸が凄い。

そして最後に紹介するのがこれ。

スケルトンZX

『2000 DIO ZX スケルトン/AF35』

中身が薄っすら見えるスケルトンボディのZX。ショーモデルとかではなく本当に限定5000台で2000年に販売しました。

「スケルトンとかダサいし意味がわからない」

と今なら言われそうですね・・・

スケルトンZXカタログ写真

当時を知る人なら分かると思いますがスケルトンが大流行していたんですよ。

もう本当に猫も杓子もスケルトンモデルを出してた。キッカケはiMacだったかな。

主要諸元
全長/幅/高 1675/615/995mm
[1675/630/995mm]
シート高 700mm
車軸距離 1145mm
車体重量 73kg(装)
[75kg(装)]
{76kg(装)}
燃料消費率 46.9km/L
{46.3km/L}
※定地走行テスト値
燃料容量 5.3L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 7.0ps/6500rpm
{7.2ps/6500rpm}
最高トルク 0.79kg-m/6250rpm
{0.81kg-m/6250rpm}
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前後3.00-10-42J
{前後90/90-10-50J}
バッテリー YTR4A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR6HSA
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
1.3L
Vベルト 23100-GG2-751
車体価格 144,000円
[156,000円]
{167,000円}
※[]内はSR/AF35
※{}内はZX/AF35
系譜図
DJ-11985年
DJ-1/R/L/RR
(AF12/AF19)
AF181988年
DIO/SR
(AF18/AF25)
Gダッシュ1989年
G’
(AF23)
AF271990年
DIO/SR/ZX
(AF27/28)
AF341994年
DIO/SR/ZX/J/S
(AF34/AF35)
AF562001年
DIO/Z4/DX
(AF56/AF57/AF63)
AF622003年
DIO
(AF62/AF68)
JF312011年
DIO110
(JF31)
JF582015年
DIO
(JF58)

DIO/SR/ZX(AF27/AF28)-since 1990-

スーパーディオ

「ザ ストリート スタンダード」

二代目となる本家ディオ改めスーパーディオ/AF27型。

何がスーパーになったのかというと

・5.4馬力→6.8馬力
・燃料タンク4L→5L
・オイルタンク0.8L→1.2L
・ツインフォーカスライト標準装備
・MFバッテリー標準装備
・プッシュキャンセルウィンカー

などなど。

ただし実はこのスーパーディオ、翌年に更なるスーパー化をします。

AF27アクセサリー

翌91年に先代でも好評だったディスクブレーキ装備のSR/AF28型が登場したから・・・ではありません。

実はこのSRが出て少しした頃にディオはエンジンに変更が加えられたんです。変更が加わった部分はストローク運動を受け止めて回転運動に変換する棒であるクランク軸。

クランクシャフト

91年モデルから(SRは出て数カ月後から)クランク軸が12mmから14mmへ一回り太くなったんです。

これが何をもたらすのかと言うとズバリ強度の向上。言い換えるならばチューニングキャパシティの増加。

これによってディオは

「速い、カッコイイ、そして弄れる」

と三拍子揃った原付へと進化。縦型エンジンのおかげで潜る必要がほぼ無いほどの整備性の良さも相まってディオマニア達の間では

『縦ディオ』

として今でも非常に人気があったりします。

そしてそして忘れてはならないのが1992年、原付小僧なら誰もが憧れたZX/AF28型が登場。

AF28

SRにテールスポイラーを付けただけかと思いきや

・シリンダー
・キャブレター
・マフラー

を新設計し更にワイドレシオ化。これにより30km/hを過ぎてから本領発揮するスポーツ性能を獲得。

ちなみに読み方はゼッペケとかゼットエックスとか言われていますが

「ジーエックス」

が公式の読み方です。

主要諸元
全長/幅/高 1640/615/995mm
{1640/625/995mm}
[1650/630/1005mm]
シート高 700mm
{700mm}
[715mm]
車軸距離 1145mm
{1145mm}
[1150mm]
車体重量 68kg(装)
{70kg(装)}
[71kg(装)]
燃料消費率 48.5km/L
{48.5km/L}
[46.9km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 5.0L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 6.8ps/7000rpm
{6.8ps/7000rpm}
[7.0ps/7000rpm]
最高トルク 0.73kg-m/6500rpm
[0.74kg-m/6750rpm]
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前後3.00-10-42J
バッテリー YT4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR6HSA
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
1.2L
Vベルト 23100-GG2-750
車体価格 134,000円(税別)
{145,000円(税別)}
[159,000円(税別)]
※{}内はSR/AF28
※[]内はZX/AF28
系譜図
DJ-11985年
DJ-1/R/L/RR
(AF12/AF19)
AF181988年
DIO/SR
(AF18/AF25)
Gダッシュ1989年
G’
(AF23)
AF271990年
DIO/SR/ZX
(AF27/28)
AF341994年
DIO/SR/ZX/J/S
(AF34/AF35)
AF562001年
DIO/Z4/DX
(AF56/AF57/AF63)
AF622003年
DIO
(AF62/AF68)
JF312011年
DIO110
(JF31)
JF582015年
DIO
(JF58)

G'(AF23)-since 1989-

AF23

「いちばん乗りは、誰だ。」

ディオには派生モデルが色々あるんですが、その中でも紹介しておきたいのがディオが生まれた翌年に登場したこのG’(ジーダッシュ)/AF23型。

先に紹介した初代ディオで話した通りメットイン機能が原付スクーターにとっては必要不可欠な時代になったわけですが、それにも関わらずこのG’は鬼のメットインレスでキャリアやインナーラックすら備えていない。

Gダッシュのアクセサリー

「欲しいなら自分で付けろ」

という時代にあるまじき割り切り。

じゃあメットイン等の利便性を捨ててまで何を取ったのかというと”走り”です。

例えばエンジンはディオと同じかと思いきや超ハイギヤードの専用チューニングが施された上にハイパーマフラーなどの専用部品まで装備。

車体の方も固めの油圧サスにホイールベースもホンダとしては非常に短い1140mmでクイック。そして燃費悪いのにタンク容量も僅か3.5Lしか確保されていないから軽い。

Gダッシュの構造

「なにを思ってホンダはこんな原付を」

という話ですが、これはレースが関係しています。

80年代後半になるとレーサーレプリカブームが起こり各地方のサーキットで熱戦が繰り広げられていたんですが、素人が50万円も60万円もする上にとても手に負えない性能だった250や400でレースをするのは人生を捧げない限り難しい面が少なからずあった。

そこで代わりに人気となったのが負担の少ないNSR50などのミニバイクレース。しかしこれも50といえどオートバイというかレーサーレプリカなのでそれなりにお金が掛かる。

「もっと誰でも参加できるポピュラーなバイクはないのか」

という事で始まり人気が高まっていったのがスクーターレース。他のクラスと同じ様に無改造クラスやら無差別クラスやらで盛り上がっていました。

もうわかりますよね・・・そう。

Gダッシュ/AF23

明らかに実用性を考慮しておらず他の原付スクーターより速いG’はスクーターレースの為に造られた意味合いが強い原付なんです。

何故ホンダはそうまでしてこれを造ったのかといえばそれもレーサーレプリカと同じ。

「DJ-1やDIOより速いスクーターが居たから」

です。

Gダッシュのカタログ

G’は潔すぎる割り切り設計で頭一つ抜きん出た速さを持っていたためスクーターレース界隈から称賛されたというか

「G’じゃないと勝てない」

という事態にまでなり、スクーターレースはG’のワンメイク状態に陥りました。

主要諸元
全長/幅/高 1585/650/1005mm
シート高 715mm
車軸距離 1140mm
車体重量 63kg(装)
燃料消費率 50.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 3.6L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 6.8ps/7000rpm
最高トルク 0.73kg-m/6500rpm
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前後80/90-10(34J)
バッテリー YT4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR8HS
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
0.8L
Vベルト 23100-GR1-753
車体価格 143,000円
系譜図
DJ-11985年
DJ-1/R/L/RR
(AF12/AF19)
AF181988年
DIO/SR
(AF18/AF25)
Gダッシュ1989年
G’
(AF23)
AF271990年
DIO/SR/ZX
(AF27/28)
AF341994年
DIO/SR/ZX/J/S
(AF34/AF35)
AF562001年
DIO/Z4/DX
(AF56/AF57/AF63)
AF622003年
DIO
(AF62/AF68)
JF312011年
DIO110
(JF31)
JF582015年
DIO
(JF58)

DIO/SP/SR(AF18/AF25)-since 1988-

初代DIO

「街を颯爽とStyle & Impact」

原付スポーツスクーターを代表するモデルと言っても過言ではないホンダ ディオの初代にあたるAF18型。

先に登場していたDJ-1RRと同時発売でエンジンも同系なんですが、決定的に違う部分としては24Lのメットイン(センタートランク)機能が設けられている事。

つまり端的に言うと

「DJ-1にメットインスペースを設けたタイプ」

という立ち位置で登場したのがディオの始まりなんですね。

AF18のメットイン

当時を知らない人のために補足すると、ディオを始めここにきてメットインスクーターが相次いで登場するようになったのは

『ヘルメット着用の義務化』

が1986年から始まったから事にあります。それまで原付はノーヘルで良かったんですね。

それだけでも今の人からすると信じられない話かと思いますが、更に驚きなのがヘルメット着用が嫌で原付を乗らなくなる人が続出した事。

だからメーカーがなんとかヘルメット義務化の負担を減らすために編み出し一気に普及したのがメットインというわけであり、その中でも

『若者向けのメットインスポーツスクーター』

という立ち位置で登場したのがディオという話。

初代DIOのメットイン

そんな1988年発売のディオなんですがDJ-1よりもモデルチェンジサイクルは凄かったです。

わずか1年足らずの1989年初頭にスペシャルカラーのSPを発売したかと思えば、年末には6.8馬力にまでパワーアップした新設計エンジンと10インチチューブレスホイールを履いてスポーツ性に磨きをかけた後期モデルを発売。

AF18後期

なんでこんなに早かったのかといえば、いま話したようにヘルメット規制によるメットイン買い替え特需が生まれていたから。加えてディオはスタイルも好評だったから造れば造るだけ売れていたんです。

だからこの初代の時点で年間販売計画台数は当時トップの190,000台。今も絶賛販売中であるタクトの実に6倍もの台数です。

そんなディオ人気をさらに加熱させたのが1990年に発売されたSR/AF25型。

AF18後期

6.8馬力にまでチューニングされたエンジンに加えフロントディスクブレーキという原付にあるまじき豪華装備。

個人的にこのSRが若者人気の要因をよく表していると思います。

元々1980年代前後に爆発的な広がりを見せたスクーターというのは

『ファミリーバイク』

といって主婦を始めとしたバイクにそれほど思い入れがないママチャリを愛用していた層に向けた原付からこそヒットした。そのためスクーターというのはそういう層のためのバイクという固定観念みたいな物がメーカーにも市場にも出来ていた。

ディオが若者に支持されマストアイテムとなったのはこれを真っ向から打ち破ったから。

具体的に言うならばそのルックスも勿論そうなんですが合わせて

・チューブレスタイヤ
・油圧サスペンション
・MFバッテリー
・薄型ツインフォーカスヘッドライト
・インテーク付きエアロボディ

などなど、ただの移動手段ならば省かれるようなオートバイ並の装備を兼ね備えつつ”敷居の低い原付一種”だったからです。

SPカタログ写真

「金のない若者でも背伸びすれば何とか手が届くカッコイイ乗り物」

という存在だったからこそディオは若者に人気が出たんですね。

主要諸元
全長/幅/高 1600/615/990mm
[1610/615/1000mm]
{1605/625/1000mm}
シート高 700m
車軸距離 1135mm
[1140mm]
{1140mm}
車体重量 63kg(装)
[67kg(装)]
{69kg(装)}
燃料消費率 67.4km/L
[50.5km/L]
{50.2km/L}
※定地走行テスト値
燃料容量 4.0L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 6.4ps/6500rpm
[6.8ps/7000rpm]
{6.8ps/7000rpm}
最高トルク 0.74kg-m/6000rpm
[0.73kg-m/6500rpm]
{0.73kg-m/6500rpm}
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前後3.00-10-4PR
バッテリー YT4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BPR7HS
[BR8HSA]
{BR8HSA}
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
0.8L
Vベルト 23100-GS7-003
[23100-GG2-750]
{23100-GG2-750}
車体価格 126,000円
[129,000円]
{139,000円}
※[]内は90/1以降の後期
※{}内はSR/AF25
系譜図
DJ-11985年
DJ-1/R/L/RR
(AF12/AF19)
AF181988年
DIO/SR
(AF18/AF25)
Gダッシュ1989年
G’
(AF23)
AF271990年
DIO/SR/ZX
(AF27/28)
AF341994年
DIO/SR/ZX/J/S
(AF34/AF35)
AF562001年
DIO/Z4/DX
(AF56/AF57/AF63)
AF622003年
DIO
(AF62/AF68)
JF312011年
DIO110
(JF31)
JF582015年
DIO
(JF58)

DJ-1/R/L/RR(AF12/AF19)-since 1985-

DJ-1

「AERO SPORTS」

ホンダが1985年に発売した新世代原付スクーターことDJ-1/AF12型。

特徴としては5.2馬力を叩き出すエンジンも凄いんですが、一番はその後の原付スクーターのポジションを決定づけたとも言える足を前に投げ出す事を前提としたツートンカラーのステップボードとノーズからテールまで駆け伸びるようなラインの流線ボディ。

ドルフィンジャンプ

ちなみにこのシュッと伸びているデザインが

『ドルフィン・ジャンプライン』

という名称で車名もそこから取られているんですが、一方テレビCMでは強烈なディスクジョッキーを起用していたのでディスクジョッキーの略だという勘違いが生まれました。

DJ-1のコマーシャル

「DJ♪DJ♪」

とノリノリで言うだけの何とも珍妙なCMで少しだけ流行ったり・・・いや、そもそもこの人だれっていう。

DJ-1のカタログ

ただまあ当時を知る人ならDJは

『打倒ジョグ』

が本当の意味だというのは有名だと思います。

DJ-1が出る2年前の1983年にヤマハからジョグ(通称ペリカンジョグ)という原付スクーターが登場したんですが、ボディとフロントフェンダーが一体になった斬新なスタイリングが若者を中心に大ヒットしていました。

1983年といえば原付市場を中心とした泥沼の戦いであるHY戦争の終戦宣言がなされた年。ただ両者の中(特にホンダ社内)ではまだ火が激っていたんですね。それが結果としてMVXやNSそしてNSRと”2stスポーツのヤマハ”を叩き落とす為のバイクを生みレーサーレプリカという市場で再び相まみえる事になるんですが、それは原付市場でも変わらなかったという話。

DJ-1デザインスケッチ

ホンダ自身が打倒ジョグだったと名言している情報はありませんが、ホンダ監修の本などを読んでも否定されていないのでまあそういう事なんでしょう。

ただし若者向けスポーティ原付といえどホイールベースは約1165mmとかなり長めでジョグとは打って変わって安定性重視。ここらへんがホンダらしい所ですね。

そんなDJ-1は最初にも言ったようにレーサーレプリカブームに合わせたスタイリッシュなデザインとワイドレシオがもたらす厚い低中速が若者の間で絶大な人気を獲得。

ホンダはそこから手を緩めることなく翌1986年にはスポーツ性を高めたDJ-1Rを追加発売しました。

DJ-1のコマーシャル

専用チャンバーにより0.3馬力UPの5.5馬力(最終87年モデルは6.0馬力)となり10インチタイヤやアンダースポイラーも装備。

カタログにも若者に人気だった

『F-エフ』

というモータースポーツ漫画の主人公である赤木軍馬を起用しアピール。

DJ-1Lとビバユー

更に半年遅れで56ccのDJ-1Lと、とんでもないカラーリングを纏った限定モデルのビバユー(VIVA YOU)モデルを発売。

そしてDJ-1として有終の美を飾るモデルとなったのが1988年に登場したDJ-1RR/AF19型。

DJ-1Lとビバユー

6.8馬力にまでチューニングされたエンジンをベースにエアダクトやデュアルヘッドライト、それに油圧式テレスコピックフロントフォークの通称HR-SUSが奢られた最上級モデル。ちなみにトランクボックスに入っているロゴからも分かる通り、読み方はCBRと同じダブルアール。

ホンダはこのDJ-1のヒットと怒涛の攻勢により若者向けスクーターの地盤を築くことに成功。これがディオに繋がります。

主要諸元
全長/幅/高 1590/590/990mm
[1650/625/1025mm]
<1650/590/1025mm>
{1630/625/1015mm}
シート高 690mm
[735mm]
<735mm>
{710mm}
車軸距離 1165mm
[1180mm]
<1180mm>
{1160mm}
車体重量 56kg(装)
[59kg(装)]
<59kg(装)>
{60kg(装)}
燃料消費率 75.0km/L
[75.4km/L]
<60.2km/L>
{64.3km/L}
※定地走行テスト値
燃料容量 3.0L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
<56cc>
最高出力 5.2ps/6500rpm
[5.5ps/6500rpm
5.5ps/6500rpm※ビバユー
6.0ps/6500rpm※87~]
<5.8ps/6500rpm>
{6.8ps/7000rpm}
最高トルク 0.6kg-m/6000rpm
[0.63kg-m/6000rpm
0.63kg-m/6500rpm※ビバユー
0.69kg-m/6000rpm※87~]
<0.68kg-m/6000rpm>
{0.73kg-m/6500rpm}
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前後3.00-8-2PR
[前後80/90-10(34J)]
<前2.75-10-2PR
後2.75-10-4PR>
{前後80/90-10(34J)}
バッテリー YT4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BP6HSA
{BR8HSA}
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
0.9L
Vベルト 23100-GR1-751
車体価格 109,000円
[129,000円]
<139,000円>
{136,000円}
※[]内はR
※<>内はL
※{}内はRR/AF19
系譜図
DJ-11985年
DJ-1/R/L/RR
(AF12/AF19)
AF181988年
DIO/SR
(AF18/AF25)
Gダッシュ1989年
G’
(AF23)
AF271990年
DIO/SR/ZX
(AF27/28)
AF341994年
DIO/SR/ZX/J/S
(AF34/AF35)
AF562001年
DIO/Z4/DX
(AF56/AF57/AF63)
AF622003年
DIO
(AF62/AF68)
JF312011年
DIO110
(JF31)
JF582015年
DIO
(JF58)