「NEW GENERATION」
Z1シリーズの直系モデルであるものの、その中でも少し特異な存在になる通称J型。
・クランクシャフトの大径化を始めとした改良
・排気量を1016ccから998c化
・給排気の見直し
・フレーム各部の補強
などZ1としては初めて大幅な変更が入ったモデルになります。
どうして特異なモデルなのかというと、排気量を1000cc未満に抑えている事からも分かるようにZ1000Jは市販車レースを睨んで開発されているから。ある意味では現代のスーパースポーツと同じような感じ。
そもそもZ1はレースを睨んでいるわけではなくカワサキの考える最速車だったんですが、その性能の凄さからヨシムラを始めとした色んなカスタムビルダーや現地法人が使った結果レースで活躍していました。
カワサキもこれを良しとしていて、自身がZ1をフルチューニングしてレースに挑むという事はしていなかった。
しかし70年代後半に入るとライバルメーカーが多数登場しレースでブイブイ言わせるようになってきた事からカワサキもMKIIベースで参戦を開始。※この時のカラーリングが黒金だった
しかしMKIIはレース主体で開発したわけではない事から不都合があったので、それを解消するために開発されたのがJ型。
そして活躍したレーサーの一つが981年に出したJ型ベースのKR1000というモデル。
なんとなく見覚えがある人も多いかと思いますが、これこそがJ型の狙い。
仏カワサキとカワサキとパフォーマンスというチューニングメーカーのトリオで造り上げた耐久レース用マシンで81年から3年連続で世界耐久レースを制覇。グリーンモンスターとして歴史に名を刻む結果になりました。
ちなみに『カワサキパフォーマンス』というチーム名で変な矢印が付いたロゴが付いていました。
これはパフォーマンス社のもので
「前進と上昇あるのみ」
という意味だったりします。カワサキにピッタリですね。
ただ”一つ”と言ってる通りJ型のレーサーはもう一つある・・・恐らく日本ではコッチのほうが有名じゃないかと思います。
Z1000R
(KZ1000R1/2)
-since 1982-
そうZRXシリーズでお馴染みだったローソンレプリカの始まりであるR型。これもJ型が発端。
欧州では耐久レースが盛んだった一方でアメリカではスーパーバイクが盛んだった。J型はそっちも睨んでいて1981年にそれをチューニングしたマシンでチャンピオンを獲得。
その時のレーサーが皆さんご存知エディ・ローソン。1980年の黒金MKIIレーサーもこの人。
その記念に発売された今でいう所のレーサーレプリカなのがこのZ1000Rという話なんですね。
カワサキとローソンのタッグは翌1982年も優勝を遂げたので1983年にも引き続きレプリカであるZ1000R2を出ました・・・が、あくまでもスーパーバイクレプリカ。
R1の頃にはタンクに貼られていた記念エンブレムが付いていないだけでなく、カタログを見てもローソンもローソンレプリカの文字もなかった。
これ何故かと言うとR2が発売する頃にエディーローソンさんがヤマハに電撃移籍しちゃったから。大人の事情というやつです。
ただローソンレプリカを語る上でもう一つ欠かせないモデルがこれ。
Z1000S
(KZ1000S)
-since 1982-
これはストックレースのレギュレーションで
「24台以上販売しているバイクじゃないとダメ」
となったことから連覇を目論むカワサキが
「それならレース用バイクを24台売ればいい」
と考え発売したスペシャルホモロゲーションモデル。
30台作って6台はカワサキ自身がレース用として確保。つまり世に24台しかないZ史上一番レアで、まず市場に出回ることは無い世界一貴重なZになります。
おまけで言うと開発チームは当初は逆で
「Rがホモロゲで、Sがレプリカ」
という認識というか名前だったんだとか。まあ確かにホモロゲの方が普通はRだよなと思うところですが、広報かなにかの関係で逆になったんだそう。
非常にザックリですがこれがZ1000GP/Z1000J型の大まかな歴史。
正直なことをいうとJ型は初代Z1や二代目MK-IIに比べると知名度は少し落ちるんですが、Z史に与えた影響そして貢献度は非常に大きいモデルでした。
主要諸元
全長/幅/高 | 2265/820/1145mm [2240/820/1230mm] {2265/820/1240mm} |
シート高 | 805mm [775mm] {785mm} |
車軸距離 | 1520mm [1525mm] {1520mm} |
車体重量 | 230kg(乾) [222kg(乾)] {236kg(乾)} |
燃料消費率 | – |
燃料容量 | 21.4L |
エンジン | 空冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 998cc |
最高出力 | 102ps/8500rpm |
最高トルク | 9.3kg-m/7000rpm |
変速機 | 常時噛合式5速リターン |
タイヤサイズ | 前3.25V19 後4.25V18 [前100/90V19 後120/90V18] {前3.25V19 後4.25V18} |
バッテリー | YB18L-A |
プラグ |
BR8ES(B8ES) [B8ES {BR8ES |
推奨オイル | – |
オイル容量 | – |
スプロケ | 前15|後41 |
チェーン | サイズ630|リンク96 |
車体価格 | ※[]内はZ1000R1 ※{}内はZ1000R2 |