「世界最高のロードスポーツモデル」
Z1と全く同じコンセプトを持つ新生ZことZ1000/ZR1000A型。
Zというとどうしても空冷2バルブ四気筒のジャパニーズスタイルネイキッドというイメージが強いので、これが出たときに色々と物議を醸したのが記憶に新しい人も多いかと。
ザンザス900で出す予定だったもののZ1000の商標が期限切れを迎えそうだったので更新を兼ねてZ1000に変更した・・・というエピソードがまことしやかに囁かれていますが、確実に言えるのは新生カワサキの第一弾としてかなり力の入ったモデルだったという事。
肉薄なハイテンスチールのダイヤモンドフレームで400cc並のホイールベースなボディに、低中速に厚みを持たせたZX-9Rベースのエンジンを突っ込んだ形。
だから127馬力/197kg(乾)というポテンシャルを持っており、簡単にウィリー出来るというかウィリーしてくれと言わんばかりの今でいうストリートファイター系になります。
それで何が新生カワサキの第一弾なのかって話ですが、それはこの見た目を見れば分かる通り性能ではなくデザインに関すること。
ちょうどこの頃からカワサキは初代ロードスターのNAをデザインされた田中俊治さんをヘッドハンティングしてデザインプロセスを大幅に見直してるんですね。簡単に言うとデザイナーのヒエラルキーを高める改革。
そしてその第一弾となったのがZX-6Rと、このZ1000。共通点はシートカウルだけじゃなかった。
ただ両車の違いとしてZ1000はZX-6R以上にデザインを最優先に開発されたモデルというか
『デザイナーが思い描いた形が絶対』
で開発された経緯があります。それをエンジニアが再現していく開発プロセス。
更に凄いのが重役の人間も口出し無用だったこと。このZ1000は完成まで市販化の是非を問う重役にすら一切見せず、カワサキのデザイナーが全権限を持った形で開発されてるんです。※KMB39より
そんな背景があったからこそ、このコンセプトデザインを忠実に再現出来た。
ちなみにデザインコンセプトを要約すると
『とにかくフリーダムでパワフルでマッシブで見飽きないバイク』
という感じ。
もちろん性能もインプレッションでSSに迫るほどのラップタイムを叩き出して話題になるほどの物を持っていたんですが、4-2-4マフラーや切削&バフのホイールなど明らかに既存のバイクとは違う、逸脱しているとさえ言えてしまうこの出で立ちは新生カワサキの意欲の現れだったという話。
ある意味ではデザイナーが我を通しきった新生Zとも言えますね。デザインに割く時間がほとんど無かったZ1とは対極的で面白い。
主要諸元
全長/幅/高 | 2080/770/1055mm |
シート高 | 820mm |
車軸距離 | 1445mm |
車体重量 | 198kg(乾) |
燃料消費率 | – |
燃料容量 | 18.0L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 953cc |
最高出力 | 123ps/10000rpm |
最高トルク | 9.7kg-m/8000rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70ZR17(58W) 後190/50ZR17(73W) |
バッテリー | YTX9-BS |
プラグ | CR9E または U27ESR-N |
推奨オイル | カワサキ純正オイルR4/S4/T4 または MA適合品10W-40 |
オイル容量 | 全容量3.8L 交換時3.1L フィルター交換時3.3L |
スプロケ | 前16|後42 |
チェーン | サイズ525|リンク112 |
車体価格 | 1,029,000円(税込) |