Ninja1000SX(ZX1002K) -since 2020-

2020Ninja1000SX

「Best of Both Worlds」

再びモデルチェンジされNinja1000SXという日本名Ninja1000と海外名Z1000SXを足して2で割ったような名前に改められたZX1002K型。

最初に変更点を上げると

・灯火系のフルLED化

・マフラーを一本出しに変更

・吸気ファンネル及びカムの変更

・電スロ化&クルコン装備

・出力モードを4モードに変更(スポーツ・スタンダード・レイン・マニュアル)

・上下対応クイックシフター

・4段階調節機能付きスクリーン

・カウル形状の変更

・フルカラー液晶メーター

・ETC2.0を標準装備

・RIDEOLOGY(ログアプリ)対応

などとなっています。

2020Ninja1000SX変更点

簡単に言うと電子制御化を進めた形で、装備はもちろん出力特性もより調教されたものになりました。

これまたZ1000そっちのけでモデルチェンジっていう・・・やっぱりNinja1000が人気なんでしょうね。それにしてもこのクラスでクイックシフターを標準装備、しかもアップ/ダウン両対応型というのは流石の一言。

2020Ninja1000SXホワイト

クラッチ操作とおさらば出来るクイックシフターは一度使うとあまりの快適さに感動するんですが、同時にアップのみの対応だとダウンも欲しくなるから我慢して乗るか更に払って社外に変更(しかも結構いい値段する)というパターンになりがちだから。

ここらへんの事情を鑑みての装備だと思います。細かい話だけど購入後の満足度を重視するカワサキらしい対応でもある。

ちなみにこのモデルになって車体価格が210,600円も上がって1,485,000円(税込)となりました。

電スロやクイックシフターを始めとしたモデルチェンジの内容を考慮しても少し割高に感じている人が居るかも知れないので説明しておくと、この大幅な値上げはモデルチェンジの内容というよりも

『カワサキケアモデル』

と呼ばれるクラスになった事が要因です。

Ninja1000SXカワサキケア

これは簡単に言うとメンテナンスパックの事で

・1ヶ月点検+オイル&フィルター交換

・6ヶ月プラザ安心点検(27項目点検)

・12ヶ月法定点検+オイル&フィルター交換

・18ヶ月プラザ安心点検(27項目点検)

・24ヶ月法定点検+オイル&フィルター交換

・30ヶ月プラザ安心点検(27項目点検)

の費用込の値段(S4オイルとフィルターを含む)になったから値上げになった感じがするという話。

※冴速など上位オイルがいい場合は差額でOK

「メンテパックに入った方が得ですよ」

って言われて何だかんだで乗り出し価格が高くなるパターンではなく最初からコミコミになってる非常に珍しいパターン。つまりNinja1000SXを買った場合、3年間はメンテナンス費用が不要というわけ。

加えてこのサービスは購入店舗だけではなく全国のカワサキPLAZAで受けることが出来る上、車体に付属したサービスなので仮に中古車購入だったとしても3年未満だった場合サービスは受けられるという話。

Ninja1000SXカタログ写真

Ninja1000SXが(Z H2と並んで)このシステムのトップバッターという事で車体の話よりカワサキケアの話になってしまったのですが、最近カワサキはショップ管理ではなくプラザ管理の中古車つまり全国のプラザで買えるようにする取り組みを始めたのでこれから先この恩恵を受ける車種や機会は増えると思われます。

主要諸元
全長/幅/高 2100/830/1190~1225mm
シート高 820mm
車軸距離 1440mm
車体重量 236kg(装)
燃料消費率 17.5km/L
※WMTCモード
燃料容量 19.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1043cc
最高出力 141ps/10000rpm
最高トルク 11.3kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.2L
フィルター交換時3.8L
スプロケ 前15|後41
チェーン サイズ525|リンク112
車体価格 1,485,000円(税込)
系譜図
Z11972年
900Super4
(Z1/A/B)
Z900
(A4)
Z1000A1976年
Z1000
(Z1000A1/2)
Z1-R1977年
Z1-R/2
(Z1000D)
Z1000MK2
(Z1000A3~)
Z1000J1981年
Z1000J
(Z1000J)
Z1000R
(Z1000R)
Z1100GP1981年
Z1100GP
(Z1100B)
Z1100R
(Z1100R)
GPz11001983年
GPZ1100
(ZX1100A)
ZR1000A2003年
Z1000
(ZR1000A)
ZR1000B2007年
Z1000
(ZR1000B)
ZR1000D2010年
Z1000
(ZR1000D)
Ninja10002011年
Ninja1000
(ZX1000G/H)
ZR1000L/M2014年
Z1000
(ZR1000F/G)
Ninja1000
(ZX1000L/M)
ZX1000W2017年
Z1000/R
(ZR1000H/J)
Ninja1000
(ZX1000W)
ZX1002K2020年
Ninja1000SX
(ZX1002K)

【関連車種】
VTR1000の系譜FZ1/FAZERの系譜GSX-S1000/Fの系譜

Z1000/R(ZR1000H/J)-since 2017-

2017年式Z1000

「sugomi」

五代目にあたるH型とJ型。このモデルはEURO4(排ガス規制)に対応するためのモデルチェンジという意味合いが強いモデルになります。

2017年式Z1000リア

もちろん

・ウィンカーやシートカウルデザインなどの変更

・シフトインジケーター(ギア表示)

・シフトアップインジケーター(シフトアップお知らせランプ)

・キャタライザーやマッピングの変更

・サスペンションをリセッティング。

・ABSモデルの標準化

などさらなる改良も入っています。

そしてこのモデルから上位グレードのZ1000R(ZR1000J)が登場。

2017年式Z1000R

・リモートアジャスター付きオーリンズ

・ブレンボキャリパー&ディスクローター

・ステンメッシュブレーキホース

・専用カラー

・専用タンクパッド

を装備した上位グレードになります。

ただ今回のモデルチェンジの主役はZ1000というよりはNinja1000かと。

Ninja1000
(ZX1000W)
-since 2017-

2017年式Ninja1000

見て分かる通りヘッドライトのLED化を機にカウルデザインが大きく変わりました。

鼻先を伸ばしアッパーからスクリーンまでの流れを改善することで防風性を改善。

その他にも

・ABSモデルの標準化

・メーターを一新

・ETCを標準搭載

・シートの更なる肉厚化

・グラブバーやOPのパニアケース形状の改善

などツアラーとして順当に進化してる感じです。

Ninja1000LEDヘッドライト

でも一番の目玉はKCMF(カワサキコーナリングマネージメントファンクション)じゃないかと思います。

IMU(慣性計測装置)制御というやつでH2やZX-10Rにしか積まれてなかったんですが、Ninja1000にも率先して搭載する形となりました。

KAWASAKI KTRC

・トラクション制御
・ウイリー制御
・スライド制御
・トラクション制御
・ウイリー制御
・ピッチング制御
・旋回中のブレーキ制御
・エンジンブレーキ制御

などなど。やはり売れ筋はお金の掛け方が違いますね。

BOSCH製IMU

ちなみにこれらが可能になったのはBOSCHが開発した超小型高性能IMU(写真左SU-MM5.1)があってのこと。

KAWASAKIに積まれているIMUはほぼコレ。ちなみにもっと小さいのがスマホにも入ってたりします。

2017Ninja1000

まあそんな話は置いといてIMUを装備してほぼフル装備に近い状態となったNinja1000。

販売台数を見るに日本国内では安定した台数が売れているようです。

残念ながらZ1000との内約が分からないのですが、目撃頻度からいってもNinja1000が大部分を占めているんじゃないかと。

猪突猛進を具現化してるZ1000もカッコいいと思うんですけどね。

Z1000とNinja1000

こうやって並べて見ると仁王像みたい。

主要諸元
全長/幅/高 2050/790/1055mm
{2045/790/1055mm}
[2100/790/1185~1235mm]
シート高 815mm
車軸距離 1440mm
{1435mm}
[1440mm]
車体重量 211kg(装)
{221kg(装)}
[235kg(装) ]
燃料消費率 17.5km/L
※WMTCモード値
燃料容量 17.0L
[19.0L]
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1043cc
最高出力 141ps/10000rpm
最高トルク 11.3kg-m/7300rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.2L
フィルター交換時3.8L
スプロケ 前15|後41
{前15|後43}
[前15|後41]
チェーン サイズ525|リンク112
車体価格 1,144,800円(税込)
{1,420,200円(税込)}
[1,274,400円(税込)]
※{}内はZ1000R(ZR1000J型)
※[]内はNinja1000
系譜図
Z11972年
900Super4
(Z1/A/B)
Z900
(A4)
Z1000A1976年
Z1000
(Z1000A1/2)
Z1-R1977年
Z1-R/2
(Z1000D)
Z1000MK2
(Z1000A3~)
Z1000J1981年
Z1000J
(Z1000J)
Z1000R
(Z1000R)
Z1100GP1981年
Z1100GP
(Z1100B)
Z1100R
(Z1100R)
GPz11001983年
GPZ1100
(ZX1100A)
ZR1000A2003年
Z1000
(ZR1000A)
ZR1000B2007年
Z1000
(ZR1000B)
ZR1000D2010年
Z1000
(ZR1000D)
Ninja10002011年
Ninja1000
(ZX1000G/H)
ZR1000L/M2014年
Z1000
(ZR1000F/G)
Ninja1000
(ZX1000L/M)
ZX1000W2017年
Z1000/R
(ZR1000H/J)
Ninja1000
(ZX1000W)
ZX1002K2020年
Ninja1000SX
(ZX1002K)

Z1000(ZR1000F/G)-since 2014-

2014年式Z1000

「sugomi」

新生Z1000としては四代目となるF/G型。

最大の変更点は何と言っても誰が見ても驚くだろう顔で、LEDヘッドライトになったんだけど一般的なLEDとは違いリフレクターレスタイプだから目の玉みたいで表情がある。

LEDヘッドライト

内側2つがローで外2つがハイになってるんですが、よく見るとLEDヘッドライトの上にメーター兼ポジションライトが付いてる。一部で先代の守護霊とか言われています。

このZ1000からモチーフが虎から黒豹に変更。2011年ZX-10Rもモチーフと同じですね。

そんなZ1000のD型で凄いなと思うのはプログレッシブな(初期は柔らかく奥で踏ん張る)動きをするビッグピストンフォークとを始めとしたSSと同じ装備を施してる事もそうなんだけどそれよりも細部へのこだわり。

ビッグピストンフォーク

OPのスライダーやガードは勿論のこと、これまでと同様トキコ製ラジアルマウントキャリパーに至るまでKAWASAKIと刻まれている。

こういう細かい所にまでデザインが行き届いてる事に感心するんですが、同時にトキコがよく許したなっていう・・・トキコって日立グループですよ。川崎重工・日立製作所・三菱電機の連合繋がりなんだろうか。

エンジンガード

ちなみにTOKICOの文字はここにあります。

他にもギア比の変更やエンジン出力の見直しが入ってるんですが、F/G型(GはABSモデル)は初代から変わらずルックスに重きを置き、磨き上げたモデルといっていいかと。

話が少し戻りますが、先代で書き損ねたホリゾンタルバックリンクサスペンションについて少しお話。

ホリゾンタルバックリンクサスペンション

これは要するに見て分かる通り、今までスイングアーム下からリンクを介して縦に付いていたリアサスペンションをスイングアームの上からリンクを介してほぼ水平に付けたサスペンションの事。

今となってはZX-10Rなどのスポーツモデルでは当たり前の装備となってるわけですが、これの何が良いのかというとメリットは2つあります。

一つは車体下のスペースが空くことでマフラーレイアウトの自由度が増すということ。

マフラー

厳しくなっていく規制への対応でどんどん大きくなっていく腹下のプリチャンバー(いわゆる弁当箱)のスペースを確保するため。ついでに排気から離す事で熱の影響を小さくすることができる。

そしてもう一つはマスの集中化。

マスの集中化というのは要するに重いものは可能な限り重心に近づける事で、持つ部分よりもボールを当てる先のほうに重心があるバットをイメージすると簡単なんですが、正しく持って振った場合と反対(重心を手に)に持って振った場合、どちらがより俊敏に動かせるかといえば反対に持った時ですね。

マスの集中化というのはこれで最近のバイクのリアがどんどん短くなってるのもこれが理由。SS(というかレーサー)の場合はスリップストリーム対策もありますが。

ホリゾンタルリアサスペンション

話がそれたので戻しますが、この独創的なサスペンションはそのマスの集中化つまり車体中心に近づけるためにやってる狙いもあるという話。

Ninja1000
(ZX1000L/M)
-since 2014-

2014年式Ninja1000

合わせて紹介で申し訳ないんですが、Z1000がモデルチェンジという事で二年しか経ってないNinja1000も合わせてモデルチェンジされL/M型となりました。

「Z1000が無かったら出ていなかった」

と言われておきながらトラコンKTRC(Kawasaki TRaction Control)やエンジン出力をハイとローに切り替えれるモードセレクタを装備。

Z1000の派生モデルだったのに僅か二代でZ1000より豪華装備なるっていう。

プリロードアジャスター

ビッグピストンフォークは流石に付かないみたいですが、代わりにとっても便利なリモートプリロードアジャスター付きリアサスペンションに。

ニンジャ1000

その他にもミラーやウィンカー、スクリーンやカウルなど細部が変更されてるんですが一番大きいのは純正OPの拡充でしょう。

純正OP

車体に合わせた専用パニアケースは格好良いですね。格好良いし安心だし値段は別にしてもツーリングメインなライダーにはありがたいOP。

イグニッションキーで開閉できるっていう純正の強みを活かしたサイドパニアケース。脱着も楽ちん。

2016年モデルではZ1000/Ninja1000共にスリッパークラッチが採用され、クラッチ疲れとおさらば出来る快適性になりました。

主要諸元
全長/幅/高 2045/790/1055mm
[2105/790/1170~1230mm]
シート高 815mm
[820mm]
車軸距離 1435mm
[1445mm]
車体重量 220kg(装)
[230kg(装)]
燃料消費率
燃料容量 17.0L
[19.0L]
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1043cc
最高出力 137ps/9800rpm
最高トルク 11.1kg-m/7300rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YT12A-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.2L
フィルター交換時3.8L
スプロケ 前15|後43
[前15|後41]
チェーン サイズ525|リンク112
車体価格 1,199,800円(税込)
[1,285,200円(税込)]
※[]内はNinja1000
※ABSモデル(G/M)は+1kg&+63,800円
系譜図
Z11972年
900Super4
(Z1/A/B)
Z900
(A4)
Z1000A1976年
Z1000
(Z1000A1/2)
Z1-R1977年
Z1-R/2
(Z1000D)
Z1000MK2
(Z1000A3~)
Z1000J1981年
Z1000J
(Z1000J)
Z1000R
(Z1000R)
Z1100GP1981年
Z1100GP
(Z1100B)
Z1100R
(Z1100R)
GPz11001983年
GPZ1100
(ZX1100A)
ZR1000A2003年
Z1000
(ZR1000A)
ZR1000B2007年
Z1000
(ZR1000B)
ZR1000D2010年
Z1000
(ZR1000D)
Ninja10002011年
Ninja1000
(ZX1000G/H)
ZR1000L/M2014年
Z1000
(ZR1000F/G)
Ninja1000
(ZX1000L/M)
ZX1000W2017年
Z1000/R
(ZR1000H/J)
Ninja1000
(ZX1000W)
ZX1002K2020年
Ninja1000SX
(ZX1002K)

Ninja1000/Z1000SX(ZX1000G/H) -since 2011-

Ninja1000

「パーソナルジェットファイター」

戦闘的なルックスが話題になってたZ1000の兄弟車として出てきたNinja1000(Z1000SX)/ZX1000G型とABSのH型。

簡単に言うとZ1000のフルカウルバージョンなんだけどZ1000にただサイドカウルを付けただけではなくSSルックな外装に総取っ替え。

「SS乗りたいけどポジションが・・・」

「SSに乗りたいけどサーキット行かないし・・・」

「SSを買ったけどやっぱりポジション辛い・・・」

というSSブームによるSS疲れを起こしたけどスポーツ性は捨てたくないという声にドンピシャで答えたモデル。

Ninja1000白

「カワサキはよく考えたな」

と思うわけですが、意外なことにD型開発当初はこのNinja1000は想定していなかったんだとか。

でもD型の開発過程で非常に良く出来たモデルでストリートファイターだけに留めておくのは勿体ないという事で開発された経緯があります。

ただストリートファイターとして開発したものをSSルックなツアラーにするという事にかなり難儀したようで、ライトを可能な限り低い位置に置きつつスクリーンも立てない事でネイキッドベースのフルカウル車にありがちな腰高感を感じさせないようにするなどの創意工夫が施されてる。

Ninja1000スクリーン

それでも大変だったみたいで開発中に

「ツアラーなのにいくら何でもこの防風性はマズいぞ」

ということで最大で18度も角度を変更できる可変スクリーンを急遽装備することになった背景があったりします。

もちろん見た目だけじゃなくてエンジンもレスポンスをツアラーらしさを出すために

・スプロケの丁数の変更

・厚みを増したシート

・4Lアップの逞しいタンク

・タンデムや積載性を考えたグラブバー付きテール

・ラバーマウントの強化

などなどツアラーとして欠かせない要素はしっかり抑えてありました。

そんな中でも面白いのがハンドルで、Ninja1000はZ1000のバーハンドルからセパレートハンドルに変更されハンドルの切れ角も2度ほど上がってるんですが、ハンドルを変えた割にはあまりポジションは変わってない。

ninja1000メーター

じゃあ何でわざわざセパハンにしたのかというと

「欧州人はフルカウル&バーハンを嫌うから」

だそうです。でもこれ日本でも言えるかもね。

主要諸元
全長/幅/高 2105/790/1170~1230mm
シート高 820mm
車軸距離 1445mm
車体重量 228kg(装)
[231kg(装)]
燃料消費率
燃料容量 19.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1043cc
最高出力 136ps/9000rpm
最高トルク 11.2kg-m/7800rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.2L
フィルター交換時3.8L
スプロケ 前15|後41
チェーン サイズ525|リンク112
車体価格 1,239,000円(税込)
[1,302,000円(税込)]
※[]内はABSモデル(ZX1000H)
系譜図
Z11972年
900Super4
(Z1/A/B)
Z900
(A4)
Z1000A1976年
Z1000
(Z1000A1/2)
Z1-R1977年
Z1-R/2
(Z1000D)
Z1000MK2
(Z1000A3~)
Z1000J1981年
Z1000J
(Z1000J)
Z1000R
(Z1000R)
Z1100GP1981年
Z1100GP
(Z1100B)
Z1100R
(Z1100R)
GPz11001983年
GPZ1100
(ZX1100A)
ZR1000A2003年
Z1000
(ZR1000A)
ZR1000B2007年
Z1000
(ZR1000B)
ZR1000D2010年
Z1000
(ZR1000D)
Ninja10002011年
Ninja1000
(ZX1000G/H)
ZR1000L/M2014年
Z1000
(ZR1000F/G)
Ninja1000
(ZX1000L/M)
ZX1000W2017年
Z1000/R
(ZR1000H/J)
Ninja1000
(ZX1000W)
ZX1002K2020年
Ninja1000SX
(ZX1002K)

Z1000(ZR1000D) -since 2010-

ZR1000D

「ライディングインパクト」

先代でも言いましたが新生Zのデザインにおいて”ワルであること”が非常に大事だったわけですが、それが突き抜けた形になったともいえる三代目のZ1000/ZR1000D型。上の写真は初年度カラーでヘビ柄シートが大きく話題になりましたね。

最初に変更点をあげると

・1043cc/136馬力の新設計エンジン

・剛性30%UP&3kg減の新設計アルミバックボーンフレーム

・新開発ホリゾンタルリアサスペンション

・新型ラジアルマスター&キャリパー

・ファットハンドル

・フルデジタルメーター

などなどスーパースポーツを剥いただけというストリートファイターの文化をそのまま反映させたような形になりました。

Z1000フレーム

フレームがエンジンの横を通らず上を湾曲するように避けて通ってるツインスパーともいえるバックボーンフレームに、リアサスペンションが水平に付いている。

さらにスロットルバルブも楕円形状。

Z1000フレーム

カワサキらしい独特性あふれる中身なんですが、これらは車体の幅を抑える事でニーグリップしやすくするため。

だから厳つい見た目してるけど跨ってみると実は結構細い。

もう一つオマケで面白いのがスロットルへと続く吸気口。

K-CAS

ハニカム形状で強度をキープしつつ大きく開けることで吸気音をライダーに積極的に聴かせる構造になってる。吸気音を積極的に聞かせる手法は昨今では珍しくないけどカワサキは先駆けてやっていたんですね。

そんなD型が掲げるライディングインパクトを最も象徴するであろう部分はそのポジション。

K-CAS

こういう肩肘張って乗る感じは演出なパターンが多いんだけどD型はワイドハンドルも相まって本当にこんな感じ。

マスフォアードなのも相まってエンジンにしがみついて走ってるんじゃないかと錯覚を覚えるほど。

ZR1000D

ただやはり話題になったのはデザイン。

とんでもない形だったアイデンティティである四本出しマフラーが更にとんでもない形になり、Zガンダムのようだと言われました。

マフラー

他にもサイドシュラウドやアンダーカウルも更に尖ったわけですが、これはZのフォルムを現している形だったりします。

マフラー

ついでに言うとシートカウルの下にはフォルムではなく本当に文字としてZを掘っている。

Z1000シート裏

デザインを最優先に開発されたモデルだからここまでの思い切りの良さというかデザイナーの好き勝手に出来たんでしょうね。

見て衝撃、跨って衝撃、乗って衝撃というサードインパクトじゃなくてトリプルインパクトなD型。シートも攻めてるので尻へのインパクトもありました。

主要諸元
全長/幅/高 2095/805/1085mm
シート高 815mm
車軸距離 1440mm
車体重量 218kg(装)
燃料消費率
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1043cc
最高出力 136ps/9000rpm
最高トルク 11.2kg-m/9600rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.2L
フィルター交換時3.8L
スプロケ 前15|後42
チェーン サイズ525|リンク112
車体価格 1,134,000円(税込)
系譜図
Z11972年
900Super4
(Z1/A/B)
Z900
(A4)
Z1000A1976年
Z1000
(Z1000A1/2)
Z1-R1977年
Z1-R/2
(Z1000D)
Z1000MK2
(Z1000A3~)
Z1000J1981年
Z1000J
(Z1000J)
Z1000R
(Z1000R)
Z1100GP1981年
Z1100GP
(Z1100B)
Z1100R
(Z1100R)
GPz11001983年
GPZ1100
(ZX1100A)
ZR1000A2003年
Z1000
(ZR1000A)
ZR1000B2007年
Z1000
(ZR1000B)
ZR1000D2010年
Z1000
(ZR1000D)
Ninja10002011年
Ninja1000
(ZX1000G/H)
ZR1000L/M2014年
Z1000
(ZR1000F/G)
Ninja1000
(ZX1000L/M)
ZX1000W2017年
Z1000/R
(ZR1000H/J)
Ninja1000
(ZX1000W)
ZX1002K2020年
Ninja1000SX
(ZX1002K)

Z1000(ZR1000B) -since 2007-

Z1000B

「テーラーメイド・スーパーネイキッド」

水冷Z1000の二代目になるZR1000B通称B型。

デザインが更にマッシブかつワル(これも重視された要素)になったんですが、中身の方も大幅に改良されました。

具体的には

・フレームを作り直し

・エンジン出力をスムーズに

・エンジンを後方に下げ重量配分を変更

・エンジンマウントを兼ねたアルミサブフレーム

・キャスター角を寝かせ気味にしホイールベースを延長

・ラジアルマウントキャリパー

Z1000B

要するに先代よりも安定志向に振っており、デザインも更に凝ったものに。

ちなみにモチーフになったのは『虎』だそうです。

ZR1000B

細かいことをいうとライトだけではなくウィンカーでもそれを彷彿させるようにしている拘りのビルドインウィンカーだったりします。

このZR1000Bは125馬力という相変わらず猛烈な物を持っている一方で、先に話したとおり少しジェントルにする変更を加えたことで

「カワサキらしくない素行の良さだ」

という褒めてるのか蔑んでるのがよくわからない声が多方から聞かれました。

ZR1000B

でも非常に良く出来ていたのは事実で、そのおかげでこのZ1000は非常にシビアでオールマイティさが求められる欧州ミドルクラスへのZ750Rへの転生を果たし成功(非常に高評価でロングセラー)を獲得しミドルZを確立することになります。

主要諸元
全長/幅/高 2090/780/1065mm
シート高 820mm
車軸距離 1445mm
車体重量 205kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 18.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 953cc
最高出力 125ps/10000rpm
最高トルク 10.1kg-m/8200rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4/T4
または
MA適合品10W-40
オイル容量 全容量3.8L
交換時3.1L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前15|後40
チェーン サイズ525|リンク110
車体価格 1,050,000円(税込)
系譜図
Z11972年
900Super4
(Z1/A/B)
Z900
(A4)
Z1000A1976年
Z1000
(Z1000A1/2)
Z1-R1977年
Z1-R/2
(Z1000D)
Z1000MK2
(Z1000A3~)
Z1000J1981年
Z1000J
(Z1000J)
Z1000R
(Z1000R)
Z1100GP1981年
Z1100GP
(Z1100B)
Z1100R
(Z1100R)
GPz11001983年
GPZ1100
(ZX1100A)
ZR1000A2003年
Z1000
(ZR1000A)
ZR1000B2007年
Z1000
(ZR1000B)
ZR1000D2010年
Z1000
(ZR1000D)
Ninja10002011年
Ninja1000
(ZX1000G/H)
ZR1000L/M2014年
Z1000
(ZR1000F/G)
Ninja1000
(ZX1000L/M)
ZX1000W2017年
Z1000/R
(ZR1000H/J)
Ninja1000
(ZX1000W)
ZX1002K2020年
Ninja1000SX
(ZX1002K)

Z1000(ZR1000A) -since 2003-

ZR1000A

「世界最高のロードスポーツモデル」

Z1と全く同じコンセプトを持つ新生ZことZ1000/ZR1000A型。

Zというとどうしても空冷2バルブ四気筒のジャパニーズスタイルネイキッドというイメージが強いので、これが出たときに色々と物議を醸したのが記憶に新しい人も多いかと。

ザンザス900で出す予定だったもののZ1000の商標が期限切れを迎えそうだったので更新を兼ねてZ1000に変更した・・・というエピソードがまことしやかに囁かれていますが、確実に言えるのは新生カワサキの第一弾としてかなり力の入ったモデルだったという事。

ZR1000Aのディメンション

肉薄なハイテンスチールのダイヤモンドフレームで400cc並のホイールベースなボディに、低中速に厚みを持たせたZX-9Rベースのエンジンを突っ込んだ形。

だから127馬力/197kg(乾)というポテンシャルを持っており、簡単にウィリー出来るというかウィリーしてくれと言わんばかりの今でいうストリートファイター系になります。

ZR1000A2

それで何が新生カワサキの第一弾なのかって話ですが、それはこの見た目を見れば分かる通り性能ではなくデザインに関すること。

ちょうどこの頃からカワサキは初代ロードスターのNAをデザインされた田中俊治さんをヘッドハンティングしてデザインプロセスを大幅に見直してるんですね。簡単に言うとデザイナーのヒエラルキーを高める改革。

そしてその第一弾となったのがZX-6Rと、このZ1000。共通点はシートカウルだけじゃなかった。

ZR1000Aコンセプトスケッチ

ただ両車の違いとしてZ1000はZX-6R以上にデザインを最優先に開発されたモデルというか

『デザイナーが思い描いた形が絶対』

で開発された経緯があります。それをエンジニアが再現していく開発プロセス。

2003年式Z1000

更に凄いのが重役の人間も口出し無用だったこと。このZ1000は完成まで市販化の是非を問う重役にすら一切見せず、カワサキのデザイナーが全権限を持った形で開発されてるんです。※KMB39より

ZR1000Aコンセプトスケッチ

そんな背景があったからこそ、このコンセプトデザインを忠実に再現出来た。

ちなみにデザインコンセプトを要約すると

『とにかくフリーダムでパワフルでマッシブで見飽きないバイク』

という感じ。

Z1000A

もちろん性能もインプレッションでSSに迫るほどのラップタイムを叩き出して話題になるほどの物を持っていたんですが、4-2-4マフラーや切削&バフのホイールなど明らかに既存のバイクとは違う、逸脱しているとさえ言えてしまうこの出で立ちは新生カワサキの意欲の現れだったという話。

ある意味ではデザイナーが我を通しきった新生Zとも言えますね。デザインに割く時間がほとんど無かったZ1とは対極的で面白い。

主要諸元
全長/幅/高 2080/770/1055mm
シート高 820mm
車軸距離 1445mm
車体重量 198kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 953cc
最高出力 123ps/10000rpm
最高トルク 9.7kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9E
または
U27ESR-N
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4/T4
または
MA適合品10W-40
オイル容量 全容量3.8L
交換時3.1L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前16|後42
チェーン サイズ525|リンク112
車体価格 1,029,000円(税込)
系譜図
Z11972年
900Super4
(Z1/A/B)
Z900
(A4)
Z1000A1976年
Z1000
(Z1000A1/2)
Z1-R1977年
Z1-R/2
(Z1000D)
Z1000MK2
(Z1000A3~)
Z1000J1981年
Z1000J
(Z1000J)
Z1000R
(Z1000R)
Z1100GP1981年
Z1100GP
(Z1100B)
Z1100R
(Z1100R)
GPz11001983年
GPZ1100
(ZX1100A)
ZR1000A2003年
Z1000
(ZR1000A)
ZR1000B2007年
Z1000
(ZR1000B)
ZR1000D2010年
Z1000
(ZR1000D)
Ninja10002011年
Ninja1000
(ZX1000G/H)
ZR1000L/M2014年
Z1000
(ZR1000F/G)
Ninja1000
(ZX1000L/M)
ZX1000W2017年
Z1000/R
(ZR1000H/J)
Ninja1000
(ZX1000W)
ZX1002K2020年
Ninja1000SX
(ZX1002K)

GPz1100(ZX1100A) -since 1983-

GPz1100

「THE HIGH IN HIGH-PERFORMANCE」

Z1系エンジンのラストモデルとなるGPz1100/ZX1100A型。

あまり話題にあがることが無いけど最初にGPzと名付けられたのは何を隠そうこのバイク。

GPz1100カタログ

新世代をアピールするフェアリングとモノサスを採用しているのが特徴ですが、他にも液晶ディスプレイや引き続きFIなども搭載。

最速が至上命題であるZという事で、既に時代遅れ感のあった2バルブながら最高時速230km/hというトップスピードをマークしたあたりに並々ならぬ熱意を感じずにはいられない。

GPZ1100諸元

だからGPz1100はカワサキの旗艦としてその名に恥じぬバイクだったんです・・・が、世間的には翌年に登場した元祖NinjaことGPZ900Rの方が有名ですよね。

結局1100はGPに続き僅か3年でフェードアウトするように生産終了となりました。

ZX1100A

ただZ1100GPが最後の空冷Zネイキッドとして評価されるようになったように、このGPz1100も今では

『最後にして最速の空冷2バルブZ』

として当時が嘘のように今では高い評価を得るまでになりました。

主要諸元
全長/幅/高 2320/740/1275mm
シート高 800mm
車軸距離 1565mm
車体重量 244kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 20.4L
エンジン 空冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1089cc
最高出力 120ps/8750rpm
最高トルク 10.2rpm/8000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前110/90V18
後130/90V17
バッテリー YB16L-B
プラグ BR8ES
または
W24ESR-U
推奨オイル
オイル容量
スプロケ 前15|後41
チェーン サイズ630|リンク100
車体価格
系譜図
Z11972年
900Super4
(Z1/A/B)
Z900
(A4)
Z1000A1976年
Z1000
(Z1000A1/2)
Z1-R1977年
Z1-R/2
(Z1000D)
Z1000MK2
(Z1000A3~)
Z1000J1981年
Z1000J
(Z1000J)
Z1000R
(Z1000R)
Z1100GP1981年
Z1100GP
(Z1100B)
Z1100R
(Z1100R)
GPz11001983年
GPZ1100
(ZX1100A)
ZR1000A2003年
Z1000
(ZR1000A)
ZR1000B2007年
Z1000
(ZR1000B)
ZR1000D2010年
Z1000
(ZR1000D)
Ninja10002011年
Ninja1000
(ZX1000G/H)
ZR1000L/M2014年
Z1000
(ZR1000F/G)
Ninja1000
(ZX1000L/M)
ZX1000W2017年
Z1000/R
(ZR1000H/J)
Ninja1000
(ZX1000W)
ZX1002K2020年
Ninja1000SX
(ZX1002K)

Z1100GP(KZ1000B1/2) -since 1981-

Z1100GP

先に紹介したJ型から少し遅れて登場したZ1100GPのB型。

J型がレースを視野に入れたモデルだったのに対しB型は公道向けフラッグシップといった感じで、ボアを3.1mm拡大し1090ccとスケールアップされている。今にして思えばZX-6RとZX-6RRの関係に近いですね。

ただしこちらはH型に引き続き、電子制御燃料噴射装置であるKEFI(Kwasaki Electric Fuel Injection)を採用しているのが特徴です。

カタログ写真

2年目にはDFI(Digital Fuel Injection)へと変更され1馬力UPと追従性向上などの改善に加え、ローソンレプリカっぽいビキニカウルを付けた通称B2を発売。

Z1100B2

ある意味ではZRXの流れはここからとも言えますね・・・という話なんですが鋭い人は

「なんでB型なのかA型は何だ」

と思われるので説明するとA型は同年デビューのZ1100シャフトドライブ仕様になります。

Z1100A

Z1000STの後継モデルで、こちらは普通にキャブ仕様。

ついでにいうと1984年に出たローソンレプリカモデルであるZ1100Rもキャブ仕様でした。

Z1100R

ちなみに1100の方は幻のシルバーローソンレプリカもありました・・・先ず見ないですね。

Z1100R銀

キャブに戻されている理由はお察しの通りまだ少しFIは早かったというのが正直な所というか。

そもそも何故まだ排ガスが厳しいわけでもなかった80年代にFIを採用したのかというと、当時レースマシンでFIが流行っていたからなんです。だからそれをフィードバックさせる事でレプリカ感を高める狙いがあったわけ。

一応ネイキッドの空冷ZとしてはこのZ1100GPが最後となるわけですが、実は凄く短命で2年ほどしか売られませんでした。

理由はFIの件ではなく

「世代交代に迫られた」

というのが理由。

80年代に入ると競合から溢れんばかりの新世代技術を搭載したモデルが多く出ており、カワサキもこれに対応する必要が出てきた。

新世代技術とはなにか・・・それはフェアリングとモノサス。これを満たす後継を開発した事でGPはお役御免となったんですね。

Z1100GP赤

ただこれは当時の話。

いま改めて長い歴史として振り返ってみると第一世代Zの集大成モデルと言ったほうが良いかと。

主要諸元
全長/幅/高 2265/820/1145mm
[2265/785/1240mm]
シート高 805mm
[785mm]
車軸距離 1540mm
車体重量 237kg(乾)
[238kg(乾)]
燃料消費率
燃料容量 21.4L
エンジン 空冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1089cc
最高出力 108ps/8500rpm
[114ps/8500rpm]
最高トルク 9.8kg-m/7000rpm
[10.2kg-m/7000rpm]
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.25V19
後4.25V18
[前110/90V-18
後130/80V-18]
バッテリー YB16L-B
[YB18L-B]
プラグ BR8ES(B8ES)
または
W24ESR-U(W24ES-U)
※()内はUS仕様
推奨オイル
オイル容量
スプロケ 前15|後41
チェーン サイズ630|リンク96
車体価格 ※[]内はKZ1100R
系譜図
Z11972年
900Super4
(Z1/A/B)
Z900
(A4)
Z1000A1976年
Z1000
(Z1000A1/2)
Z1-R1977年
Z1-R/2
(Z1000D)
Z1000MK2
(Z1000A3~)
Z1000J1981年
Z1000J
(Z1000J)
Z1000R
(Z1000R)
Z1100GP1981年
Z1100GP
(Z1100B)
Z1100R
(Z1100R)
GPz11001983年
GPZ1100
(ZX1100A)
ZR1000A2003年
Z1000
(ZR1000A)
ZR1000B2007年
Z1000
(ZR1000B)
ZR1000D2010年
Z1000
(ZR1000D)
Ninja10002011年
Ninja1000
(ZX1000G/H)
ZR1000L/M2014年
Z1000
(ZR1000F/G)
Ninja1000
(ZX1000L/M)
ZX1000W2017年
Z1000/R
(ZR1000H/J)
Ninja1000
(ZX1000W)
ZX1002K2020年
Ninja1000SX
(ZX1002K)

Z1000J(KZ1000J) -since 1981-

KZ1000J

「NEW GENERATION」

Z1シリーズの直系モデルであるものの、その中でも少し特異な存在になる通称J型。

・クランクシャフトの大径化を始めとした改良

・排気量を1016ccから998c化

・給排気の見直し

・フレーム各部の補強

などZ1としては初めて大幅な変更が入ったモデルになります。

Z1000J

どうして特異なモデルなのかというと、排気量を1000cc未満に抑えている事からも分かるようにZ1000Jは市販車レースを睨んで開発されているから。ある意味では現代のスーパースポーツと同じような感じ。

そもそもZ1はレースを睨んでいるわけではなくカワサキの考える最速車だったんですが、その性能の凄さからヨシムラを始めとした色んなカスタムビルダーや現地法人が使った結果レースで活躍していました。

カワサキもこれを良しとしていて、自身がZ1をフルチューニングしてレースに挑むという事はしていなかった。

しかし70年代後半に入るとライバルメーカーが多数登場しレースでブイブイ言わせるようになってきた事からカワサキもMKIIベースで参戦を開始。※この時のカラーリングが黒金だった

しかしMKIIはレース主体で開発したわけではない事から不都合があったので、それを解消するために開発されたのがJ型。

そして活躍したレーサーの一つが981年に出したJ型ベースのKR1000というモデル。

KR1000

なんとなく見覚えがある人も多いかと思いますが、これこそがJ型の狙い。

仏カワサキとカワサキとパフォーマンスというチューニングメーカーのトリオで造り上げた耐久レース用マシンで81年から3年連続で世界耐久レースを制覇。グリーンモンスターとして歴史に名を刻む結果になりました。

ちなみに『カワサキパフォーマンス』というチーム名で変な矢印が付いたロゴが付いていました。

KR1000パフォーマンスカワサキ

これはパフォーマンス社のもので

「前進と上昇あるのみ」

という意味だったりします。カワサキにピッタリですね。

ただ”一つ”と言ってる通りJ型のレーサーはもう一つある・・・恐らく日本ではコッチのほうが有名じゃないかと思います。

Z1000R
(KZ1000R1/2) 
-since 1982-

Z1000R

そうZRXシリーズでお馴染みだったローソンレプリカの始まりであるR型。これもJ型が発端。

欧州では耐久レースが盛んだった一方でアメリカではスーパーバイクが盛んだった。J型はそっちも睨んでいて1981年にそれをチューニングしたマシンでチャンピオンを獲得。

KZ1000R

その時のレーサーが皆さんご存知エディ・ローソン。1980年の黒金MKIIレーサーもこの人。

その記念に発売された今でいう所のレーサーレプリカなのがこのZ1000Rという話なんですね。

ローソンレプリカ

カワサキとローソンのタッグは翌1982年も優勝を遂げたので1983年にも引き続きレプリカであるZ1000R2を出ました・・・が、あくまでもスーパーバイクレプリカ。

R1の頃にはタンクに貼られていた記念エンブレムが付いていないだけでなく、カタログを見てもローソンもローソンレプリカの文字もなかった。

Z1000RIIカタログ写真

これ何故かと言うとR2が発売する頃にエディーローソンさんがヤマハに電撃移籍しちゃったから。大人の事情というやつです。

ただローソンレプリカを語る上でもう一つ欠かせないモデルがこれ。

Z1000S
(KZ1000S) 
-since 1982-

KZ1000S1

これはストックレースのレギュレーションで

「24台以上販売しているバイクじゃないとダメ」

となったことから連覇を目論むカワサキが

「それならレース用バイクを24台売ればいい」

と考え発売したスペシャルホモロゲーションモデル。

30台作って6台はカワサキ自身がレース用として確保。つまり世に24台しかないZ史上一番レアで、まず市場に出回ることは無い世界一貴重なZになります。

おまけで言うと開発チームは当初は逆で

「Rがホモロゲで、Sがレプリカ」

という認識というか名前だったんだとか。まあ確かにホモロゲの方が普通はRだよなと思うところですが、広報かなにかの関係で逆になったんだそう。

非常にザックリですがこれがZ1000GP/Z1000J型の大まかな歴史。

カワサキZ1000GP

正直なことをいうとJ型は初代Z1や二代目MK-IIに比べると知名度は少し落ちるんですが、Z史に与えた影響そして貢献度は非常に大きいモデルでした。

主要諸元
全長/幅/高 2265/820/1145mm
[2240/820/1230mm]
{2265/820/1240mm}
シート高 805mm
[775mm]
{785mm}
車軸距離 1520mm
[1525mm]
{1520mm}
車体重量 230kg(乾)
[222kg(乾)]
{236kg(乾)}
燃料消費率
燃料容量 21.4L
エンジン 空冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 998cc
最高出力 102ps/8500rpm
最高トルク 9.3kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.25V19
後4.25V18
[前100/90V19
後120/90V18]
{前3.25V19
後4.25V18}
バッテリー YB18L-A
プラグ

BR8ES(B8ES)
または
W24ESR-U(W24ES-U)
※()内はUS仕様

[B8ES
またはW24ES-U]

{BR8ES
または
W24ESR-U}

推奨オイル
オイル容量
スプロケ 前15|後41
チェーン サイズ630|リンク96
車体価格 ※[]内はZ1000R1
※{}内はZ1000R2
系譜図
Z11972年
900Super4
(Z1/A/B)
Z900
(A4)
Z1000A1976年
Z1000
(Z1000A1/2)
Z1-R1977年
Z1-R/2
(Z1000D)
Z1000MK2
(Z1000A3~)
Z1000J1981年
Z1000J
(Z1000J)
Z1000R
(Z1000R)
Z1100GP1981年
Z1100GP
(Z1100B)
Z1100R
(Z1100R)
GPz11001983年
GPZ1100
(ZX1100A)
ZR1000A2003年
Z1000
(ZR1000A)
ZR1000B2007年
Z1000
(ZR1000B)
ZR1000D2010年
Z1000
(ZR1000D)
Ninja10002011年
Ninja1000
(ZX1000G/H)
ZR1000L/M2014年
Z1000
(ZR1000F/G)
Ninja1000
(ZX1000L/M)
ZX1000W2017年
Z1000/R
(ZR1000H/J)
Ninja1000
(ZX1000W)
ZX1002K2020年
Ninja1000SX
(ZX1002K)
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