Z1-R/2(D1~3)Z1000H(H)-since 1978-

Z1-R

「THE FASTEST」

角ゼットの始まりであるカフェレーサー風のお洒落なZであるZ1R。

・曲線デザインから直線デザインに変更

・前後18インチ

・4in1マフラー

・ハンドルマウントのビキニカウル

などなどの変更が加えられています。

Z1Rカタログ

丸みを帯びていた900Super4/Z1の後継とは思えないほどの大変貌を遂げたわけですが

「いくらなんでも変わり過ぎじゃないか」

とも思うかと。実際このデザイン本当はボツになるはずでした。

当時の開発に携わっていた山内さんいわく、このデザインは社内デザイナーがデロリアンでお馴染みジウジアーロに傾注し作った個人的な案だった。

しかし社内では

「なんだこの棺桶デザインは」

と大不評で世に出るはずではなかった。

ではどうして採用されたのかと言うと、同時期にアメリカから

「ブームになってるカフェレーサーモデルを作って」

という要望が入り、デザイナーがこのデザインを試しにアメリカへ提案したところ大好評。アメリカがメイン市場な事もあり無下には出来ないとして本当に形になったというのが経緯。

Z1-R北米カタログ

これが後に『角ゼット』と呼ばれ初代Zと人気を二分するデザインの誕生秘話になります。※KBM Vol39より

ちなみに狙い通りヒットし再びZ人気を浮上させた事でカワサキはラインナップを見直す事にもなりました。つまりこの流れが無かったら後のFXシリーズはまた違った形になっていたわけですね。

そんなデザインで成功を納めたZ1Rですが、ちょっと詰めが甘かったのかウォブル(横揺れ)など操舵性の問題が起こり欧州ではリコールが行われるなど性能面で少し難がありました。

Z1-Rii

そのため翌年のZ1R-2/D2ではフロント19インチ化やフォークのオフセット短縮などでトレール量を増し直進安定性を高める変更し対応。

加えて13Lしか入らなかったガソリンタンクを20Lにまで拡大。こちらもデザインを優先した結果なんですがさすがに13Lは少なすぎると言われた模様。

だからZ1-R(D1)とZ1R-II(D2/3)は全く別のバイクと言えるほどデザイン的にも中身的にも色々と違うバイクだったりするんですが、既に広まってしまった悪評のせいでD1が2万台近く生産されたのに対して、D2は5000台ほどで短命に終わる結果となりました。

その代わりと言ってはなんですがZ1R-IIは別の形で歴史に名を残す事になります。

Z1000MKII
(A3/A4)
-since 1979-

Z1000MK-2

それがこのA3/A4ことZ1000MK2。有名ですよね。

Z1R-IIのネイキッドバージョンともいえるバイクで車名にMk.IIと付いています。

一番大きな変更点としては(Z1R-IIもそうですが)フルトランジスタ点火になった事。簡単に言うと点火タイミングがより正確になる点火方式で、見直しも入った事で馬力が更に上がって93馬力となりました。

Z1000MK-II

角ゼットと言われて1番連想されるモデルじゃないかと思います。

ちなみにZ1000MK2によくある誤解が『黒/金』というイメージ。

実際は『紺/金』でMKIIで黒/金のカラーリングは存在しない。黒/金が人気となったのはこっちになります。

Z1000H(Z1000-H1) 
-since 1980-

Z1000H

1980年に登場したZ1000Hというモデル。

このモデルはフューエルインジェクションシステムを採用したZ1000MKIIという感じのモデル。

昨今のFIのように多数のセンサーから複合的な計算によるFIではないためお世辞にも良いインジェクションとは言い難いのですが

『通称 Hカラー』

とよばれるこのカラーリングに惚れる人が続出しMK2仕様にする人が結構いた。その事から黒金のイメージが付いたんじゃないかと思われます。

補足するとこの黒金の始まりはAMAというアメリカのレースが発端ですがそれは次のモデルで紹介するとして、この頃のカワサキはこのHモデルを始め色んなバリーエーションを出していました。

有名なのは1978年に出たZ10006気筒エンジンを積んだ「キング・オブ・Z」ことZ1300じゃないかと。

Z1300

乾燥重量296kgという重さと6気筒ゆえの巨体モデルです。

>>孤高のレジェンダリー6 Z1300の系譜|系譜の外側

それ以外にも同年に出たクルーザータイプのZ1000LTDや翌年のZ1000STもZマニアには有名かと。

KZ1000ST

STというのはシャフトドライブを採用したZ1000MKIIみたいなモデル。

ちなみに二年後の1981年にはエアサス採用のZ1100(Z1100A)へとモデルチェンジ。補足としてZ1000SというモデルはZ1Rのドイツ名です。

Z1000ST

他にも先代風(丸Z風)のZ1クラシック/KZ1000Gなどこの様にこの頃のカワサキはZをかなり乱発していました。

なにもZ1やMK2だけがZじゃないという話なんですが、カワサキのZ40周年サイト見たらこれらのモデルは載ってませんでした・・・酷い。

主要諸元
全長/幅/高 2160/800/1295mm
[2218(2155)/805/1290(1280)mm]
{2180/900/1180mm}
シート高 815(825)mm
車軸距離 1505mm
[{1490(1478)mm}]
車体重量 246kg(乾)
[250kg(乾)]
{245kg(乾)}
燃料消費率
燃料容量 13.0L
[20.0L]
{17.8L}
エンジン 空冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1016cc
最高出力 90ps/8000rpm
[94ps/8000rpm]
{93ps/8000rpm}
最高トルク 8.7kg-m/7000rpm
[9.2kg-m/6500rpm]
{9.1kg-m/6500rpm}
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.50H18
後4.00H18
[{前3.25V-19
後4.00V-18}]
バッテリー YB14L-A2
プラグ B8ES
または
W24ES-U
推奨オイル
オイル容量
スプロケ 前15|後33
[{前15|後35}]
チェーン サイズ630|リンク92
車体価格 ※スペックはZ1-R
※[]内はZ1R-II/D2
※()内はZ1R-II/D3
※{}内はMK-II
系譜図
Z11972年
900Super4
(Z1/A/B)
Z900
(A4)
Z1000A1976年
Z1000
(Z1000A1/2)
Z1-R1977年
Z1-R/2
(Z1000D)
Z1000MK2
(Z1000A3~)
Z1000J1981年
Z1000J
(Z1000J)
Z1000R
(Z1000R)
Z1100GP1981年
Z1100GP
(Z1100B)
Z1100R
(Z1100R)
GPz11001983年
GPZ1100
(ZX1100A)
ZR1000A2003年
Z1000
(ZR1000A)
ZR1000B2007年
Z1000
(ZR1000B)
ZR1000D2010年
Z1000
(ZR1000D)
Ninja10002011年
Ninja1000
(ZX1000G/H)
ZR1000L/M2014年
Z1000
(ZR1000F/G)
Ninja1000
(ZX1000L/M)
ZX1000W2017年
Z1000/R
(ZR1000H/J)
Ninja1000
(ZX1000W)
ZX1002K2020年
Ninja1000SX
(ZX1002K)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です