TL1000S(VT51A)-since 1997-

スズキTL1000S

「The Creation of the SuperTwin」

スズキ初のリッターVツインスポーツとして登場したTL1000S。

そもそもスズキが何で突拍子もなくVツインのリッターバイクを出してきたかというと、当時の市販車レースでのレギュレーションの変更が起因。
四気筒:~750cc
三気筒:~900cc
二気筒:~1000cc

と二気筒有利なレギュレーションに変更されたためで、ホンダのVTR1000Fもその為に生み出されたホモロゲのベースみたいなバイク。

ちなみにヤマハとカワサキは直四で続投(YZF-R7とZX-7RR)。

面白いことにTL1000SはVTR1000Fとボアストローク比が寸分の違いもなく完全に一緒。

VTR1000Fの系譜の方でも説明してるので端折りますが、V型のツイン最大のデメリットは前後の幅があることからホイールベースが長くなってしまう事にある。

VTR100F

そこでホンダのVTR1000Fはピボットレスといってエンジン(クランクケース)に直接スイングアームを付け、更にラジエーターをサイド化で対処した。

それに対しTL1000Sはフロントカウルの下にラジエーター、そしてエキパイ内側にオイルクーラー、更にカムを斜めにオフセットという荒業の様な大変な事をやったわけです。

TL1000Sサイド

ただしそれだけではピボットプレート(スイングアームを付けるステップ部分のフレーム)がある以上は大して短くならない。

何か良い方法はないかと模索され生まれたのが世界初となるロータリーダンパーです。

ロータリーダンパー

これは簡単に言うとオイルが入っているダンパー部を伸縮式の筒ではなく回転式にすることでコンパクト化するという発想。

このおかげでTL1000Sはホイールベースが1415mmというVツインの中でもかなり短い250並のホイールベースにすることが出来た・・・んですが、まあ今でもネタにされてるから知ってると思うけどお世辞にも良いサスペンションとは言えなかった。

ロータリーダンパー解説

ロータリーダンパーの働きが渋すぎてキッチリ働かない。要するにダンパーが機能し難く凄くトリッキー。

ダンパーが働かない事とリアヘビーな事からフロントにお釣りが来てハンドルが取られる。ステアリングダンパー追加リコールという力技で対処しましたが、元の原因となるロータリーダンパーは結局最後までそのままでした。

TL1000カタログ

どうしてVツインの定番であるピボットレスにしなかったのかといえば剛性を稼げないからでしょう。

スズキはSも次に紹介するRも分け隔てないVツインスーパースポーツという考えだったから。126馬力187kgというクラストップのスペックを見てもそのことが伺えます。何が何でもスポーツなスズキらしい。

VT51A

色んな意味で有名なTL1000だけど有名なのはどちらかというとハーフカウルのSより次で紹介するフルカウルのRの方でしょう。

でもじゃじゃ馬っぷりだけで見ると一見ストリート向けに見えるコッチのSモデルの方が格段に上。

翌98年にはバルブタイミングや軽すぎたフライホイールなどが見直されたけど、それでもじゃじゃ馬っぷりは変わらず。

TL1000S

TL1000Sはその荒削りさからお世辞にも高評価を獲得したとは言えないんだけど、そのトリッキーさが一部の頭のネジの外れた人から”最も狂ったバイク”とまた違った評価を獲得しました。

ココらへんは日本と変わらないですね。

※追伸

商品企画担当の西本さんいわく、TL1000のプロジェクトは最初は並列二気筒エンジンで行く予定だったそう。

ちなみにこれが並列二気筒の案。

並列二気筒TL1000S案

ただし

「二気筒でスーパースポーツを造るならVツインだろう」

という事でVツインになり、Vツインという制約のみで片桐デザイナーが描かれたデザインコンセプトがこれ。

TL1000Sコンセプト

最初はVG1000という名前だったんですね・・・この頃からすでにSV要素が見え隠れしていて面白い。

主要諸元
全長/幅/高 2045/715/1175mm
シート高 815mm
車軸距離 1415mm
車体重量 187kg(乾)
燃料消費率 [29.5km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 995cc
最高出力 135ps/9500rpm
[93ps/8500rpm]
最高トルク 10.5kg-m/7500rpm
[8.8kg-m/7000rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー FT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EK
または
U24ETR
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時3.1L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前17|後38
チェーン サイズ530|リンク104
車体価格 [980,000円(税別)]
※[]内は国内仕様
系譜図
TL1000S 1997年
TL1000S
(VT51A)
TL1000R 1998年
TL1000R
(VT52A)
Vストロム1000 2002年
V-STROM1000
(VT53A)
SV1000 2003年
SV1000/S
(VT54A)
Vストロム1000 2014年
V-STROM1000ABS
(VU51A)
2017V-STROM1000 2017年
V-STROM1000ABS
(VU51A後期)
2020V-STROM1050 2020年
V-STROM1050/XT
(EF11M)

「TL1000S(VT51A)-since 1997-」への1件のフィードバック

  1. 1997年に、バイク雑誌の記事でTL1000Sを知った時は衝撃が走りました。
    何とカッコいいバイクだろうか、と。
    今思えばコレが感染初期だったのか(笑)
    当時は中免だったので、まさに高嶺の花。
    その内畳み掛ける様にTL1000Rも発売。いつかはオレも、と思い続けていましたがアッという間に生産終了。凄くガッカリしたもんです。
    そんなこんなで、あの時の憧れを胸に、現在はV-STROM1000XT(L9)に乗っています。
    セミカムギアの「ヨヨヨ」というノイズが心地よいです。

コメントを残す