
「CB、空冷、ナナハン」
少し前まで教習車として全国で活躍していたCB750のRC42型。
ちなみに
「ナナハン」
とは言わず
「セブンフィフティ」
と言うわけですが、その前に紹介しておきたいのがタイトルにも入っている通りCB750TまたはNIGHTHAWK750/RC39と呼ばれるモデル。

先代に当たるCBX750Fのエンジンを中低速重視にし、フロント18インチホイールとローシートなボディに積んだアメリカンなCB。

元々1982年から造られていた海外向けCBだったんですが、日本でもセブンフィフティが出る一年前の1992年にモデルチェンジされ750台限定で発売されました。
何故これを先に紹介しないといけないのかと言うと、このナイトホークとセブンフィフティというのはCBというスタンダードであるべき要素を二分化したモデルだからです。

どうして二分化する必要があったのかというと、これまた北米と日欧の文化の違いが理由。
それぞれの国においてのスタンダードの定義が全く違うので
『NAS(New American Standard)』
『NES(New Europian Standard)』
の二本立てで行くことになったんです。
簡単に説明するとナイトホークの方はNASつまりアメリカのスタンダードとしてフロント18インチに加えロングホイールベースで大型らしい乗り味のクルーザー系。

反対にセブンフィフティはNESつまり欧州のスタンダードとしてフロント17インチとショートホイールベースでキビキビ走るスポーツ系。
まあ要するに広大なアメリカの直進を走るために直進安定性を重視したのがナイトホークで、直線よりも町中から峠道までこなせるようコーナリング重視にしたのがセブンフィフティ。
そして日本もどちらかと言うと欧州寄りだからセブンフィフティが選ばれたというわけです。

そんなセブンフィフティなんですが、もう一つ大事にされたのが
『コンサバティブ(保守的)』
にすること。

何処からどう見てもCBにしか見えないデザインがそれを物語っているわけですが、保守的というのは何もデザインだけではありません。
じゃあ何かと言うと教習車で乗ったことがある人なら分かると思います。

これがその教習車仕様のCB750Lというモデル。
どれだけ倒されようと大丈夫なガード、徐行のみでもオーバーヒートしない強化オイルクーラー、背筋が伸びるアップライトハンドル、デチューンされたエンジン。
他にも2ポット化された重いリアキャリパー、そして教習生を泣かせる耐久性第一の超強化油圧クラッチなどなど。

ちなみにオーナー間ではこの教習用の高耐久なパーツに変えるカスタムが珍しくなかったり・・・RC42らしい愛され方ですね。

話が逸れたので戻しますが、セブンフィフティが目指した保守的な部分というのはデザインだけでなく
『乗ったときの感覚』
です。

CBを知らない人でも、大型を知らない人でも何故か懐かしく感じてしまうほど本当にシックリ来る様に造られてる。
ちょうどいい大きさとちょうどいい重さ、ちょうどいいポジションとちょうどいい加速性能。
これがCB750のコンサバティブという魅力なんです。

とてつもない保守的なバイクだったので決して注目を浴びることも話題になることもありませんでしたが、2008年まで16年間なにも飾らずあり続けた最後の空冷ナナハンCBでした。
主要諸元
全長/幅/高 | 2155/780/1100mm |
シート高 | 790mm |
車軸距離 | 1495mm |
車体重量 | 223kg(装) |
燃料消費率 | 27.0km/L ※定置走行テスト値 |
燃料容量 | 20L |
エンジン | 空冷4サイクルDOHC4バルブ並列4気筒 |
総排気量 | 747cc |
最高出力 | 75ps/8500rpm |
最高トルク | 6.5kg-m/7500rpm |
変速機 | 常時噛合式5速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70R17(58V) 後150/70R17(69V) |
バッテリー | FB14-A2 |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
DPR8EA9/EDPR9EA9 X24EPR-U9/X27EPR-U9 |
推奨オイル | Honda純正ウルトラG1(10W-30) |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量3.8L 交換時2.8L フィルター交換時3.0L |
スプロケ | 前15|後40 |
チェーン | サイズ525|リンク112 |
車体価格 | 689,000円(税別) |
RC42の初期型と後期型の違いを調べていたのですが、文章内の写真がほとんど後期型な上に途中に初期型が入っていたりしたのは残念です。そういう見方をする人は多くはないと思いますが