CB1000SUPER FOUR(SC30)-since 1992-

CB1000SF

「ビッグワンであること」

中低速重視にセッティングされたCBR1000Fのエンジンを王道のダブルクレードルフレームに積んだビッグネイキッドのCB1000SF/SC30型。

『プロジェクトBIG-1』

1.心臓部には、水冷・4サイクル・DOHC・直列4気筒エンジンを搭載
2.その体躯はあくまでもセクシー&ワイルドであること
3.走る者の心を魅了する感動性能を有すること

BIG-1カタログ

・大柄な車体

・前後18インチホイール

・ビッグ過ぎるタンク

・装備重量260kg

これでもかってほどビッグバイク要素を詰め込んであるモデル。

レプリカブームにより中型以上に絶滅危惧種となっていた大型ネイキッドをなぜこのタイミングで造る事になったのかというと、キッカケはCB-1という400ネイキッドにあります。

CB1

これはホンダの岸デザイナーが担当したんですが今一つ人気が伸びなかった。

どうすれば広く受けて入れてもらえるネイキッドになるのか再び考え、試しにCB-1に大好きなCB1100Rのタンクを載せたネイキッドを描いてみたら理想的なネイキッド像に近づいた。

BIG1コンセプトスケッチ

これがBIG-1の始まりになります。

そしてもう一人は企画の中野さん。

岸さんと同様、今ひとつ伸びないネイキッドに悩んでいた中で、ふと目に止まったのがCBR1000Fというフルカバードカウルのエンジン。

SC24

「綺麗なエンジンを隠すなんて勿体無いな」

と思い、これで大型ネイキッドを造れないかと考えた。

ここで二人の意見が一致し

CB1000SFラフデザイン

『CBR1000Fのエンジンを積んだビッグネイキッド』

という案が生まれ、自主的にクレイモデル『CB1000ディアブロ』を製作。

cb1000sft2

そして役員によるプロジェクト化か否かのプレゼンに出展するも・・・

「CB750の方がCBらしい(FOURらしい)」

として先に紹介したCB750に敗北。

それどころか

「なにを造ってるんだ片付けろ」

と怒られる始末で見事にお蔵入り。

しかし諦めきれず社内の目立つところに置いていたら、共感を持ってくれた人達が自然と集まりだし議論を交わすように。

そうこうしているうちに歴代CBに携わってきた原さんをプロジェクトリーダーに据えプロジェクトが自然と・・・というか勝手に始動。

CB1000SF内部

『自分たちが欲しいネイキッド』

を合言葉に、16~17インチが主流の時代に18インチという有り得ないサイズを選択し、タンクも出来るだけ大きくし、外装もフレームも操舵も何もかも『見た目最優先』で製作。

しかしながら一度ダメ出しされたモデル、もうプレゼンをする機会すら与えられない。

それでも原さんは

「絶対に自分と同じ様に考えている、同じ様にこんなバイクが欲しいと思っている人は居る」

と諦めず試作機を持って社長室に赴き

「これを売らせてほしい」

と社長に直談判。

すると社長から

「東京モーターショーに出してみれば」

と市販化まではいかないものの出展の許可を獲得。

東京モーターショーモデル

そしていざ東京モーターショーにオマケ扱いで出展してみたら・・・物凄い反響で発売日への問い合わせが殺到。

やっぱり間違っていなかったと原さんを始めチームは確信し、同時に正式プロジェクト化。

こうしてCB1000SFは販売への道を獲得しました。

そんなドラマだらけのCB1000SFですが、発表も実にドラマチックなものでした。

CB1000SFが初めてお披露目されたのは発売半年前の鈴鹿8耐。原さんの独断で決勝前日にマーシャル(セーフティ)としてサプライズで登場したんです。

CB1000SFマーシャルカー

ピットロードからウィリーしながら登場という決して褒められない行為に

「CB1000SFが遂に出た」

と盛り上がる観客と・・・カンカンに怒った鈴鹿サーキット。

その事態を現地のVIPルームで見ていたホンダの歴代社長は原さんを呼び出し。

原さんは怒られると覚悟したんですが・・・

「いいぞ、もっとやれ。明日(決勝)はもっとウィリーしろ。」

と褒められたんだそう。

この一件以降、鈴鹿8耐ではホンダの新型がマーシャルを務める様になりました。

CB1000SFカタログ

そうして発売されたCB1000SFは、まだ限定解除の時代で大型二輪免許を持っている人が少ない時代だったにも関わらず93年には4000台弱の大ヒットに。

二年目には足回りやマッピングが見直され、ビキニカウルを装着しスプロケを一丁上げた「CB1000SF T2」というモデルを追加。

cb1000sft2

ついカウルに目が行きますが、実は一番のこだわりポイントは色。

「黒いCBを造りたい」

というチームの伴デザイナーが考え生まれたバイクで、黒くされた各部に加え赤いサスやプラグコードなど贅沢な配色をしているモデル。

さて・・・

決して乗りやすいわけでも速いわけでもないのに人気モデルとなったCB1000SF。人気の秘訣はビッグバイクらしいビッグバイクだった事でした。

そんなCB1000SFの開発で原さんがビッグバイクの魅力を磨くために心掛けていた事があります。

CB750FOURとのコラボ

「誰が乗るんだこんなバイク」

そう言われる様な存在感を出すことを心掛けていたんです。

これ奇しくも本田宗一郎がCB750FOURを初めてみた時と同じ言葉なんですよね。

主要諸元
全長/幅/高 2200/785/1130mm
シート高 800mm
車軸距離 1540mm
車体重量 260kg(装)
[262kg(装)]
燃料消費率 21.0km/L
※定置走行テスト値
燃料容量 23L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量 998cc
最高出力 93ps/8500rpm
最高トルク 8.6kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/70R18(59V)
後170/60R17(73V)
バッテリー FTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR8EA9/EDPR9EA9
X24EPR-U9/X27EPR-U9
推奨オイル Honda純正ウルトラU(10W-30)
または
ウルトラGP現G2相当(10W-40/20W-50)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.6L
交換時3.9L
フィルター交換時4.0L
スプロケ 前17|後42
[前17|後43]
チェーン サイズ525|リンク116
車体価格 940,000円(税別)
920,000円(税別)
※[]内はT2
系譜図
CB750FOUR1969年
Dream
CB750FOUR
CB750FOUR-Ⅱ-1975年
Dream
CB750FOUR-II
/K/AERA
cb750f1979年
CB750F(RC04)
CB900F(SC01/09)
CB1100R1981年
CB1100R/F
(SC05/08/11)
CBX750F1983年
CBX750F
/Horizon
/BOLD’OR
(RC17)
cb7501992年
CB750/T
(RC42/RC39)
cb1000sf1992年
CB1000SF
(SC30)
cb1300sf1998年
CB1300SF
(SC40)
sc542003年
CB1300SF/SB
(SC54)
ST2008年
CB1300SF/SB/ST
(SC54中期)
sc652010年
CB1100
(SC65)
SC65中期2014年
CB1100/EX/RS
(SC65後期)
sc54後期2014年
CB1300SF/SB
(SC54後期)

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