S1000RR/HP4Race (0D50/0E31) -since 2017-

2017年式S1000RR

「An icon among superbike.」

四代目となるS1000RR/0D50型。

主な変更点はキャタライザー(触媒)の増強に加え、マフラーの見直しなど排ガス規制への対応が主な変更でカタログスペックに変更はなし。

0D50

分かりやすい見分け方としては、サイドリフレクターが標準装備になっている事や、触媒増築によるアンダーカウル後方のカットなど。

更にこのモデルで『HP4 RACER/0E31』が限定750台で発売。

HP4レーサー

外装、ホイール、各部ステー、そしてメインフレームまでカーボンなモデル。

これのおかげで車重は146kg(乾)という圧倒的な軽さを誇り、エンジンも圧縮比が上げられており215馬力を発揮する上に、足回りも最上級のオーリンズなどを装備。

HP4カーボン

お値段1000万円です。

ちなみにレーサーとありますがこれはレースベースではなくレーサーパフォーマンスを楽しむモデル。

えーっと、書くことが無いので凄く主観的な小言を書きます。

S1000RRはSSの中でもダントツで嫌われてるSSじゃないかなと思います。

2018年式S1000RR

理由は色々あります。

何度も言いますがS1000RRはまんま日本のSSでBMWらしさといえばアシンメトリーな顔くらい。

そしてS1000RRの存在意義であったSBKでも

『Aprilia/RSV4』

『Ducati/SUPERBIKE』

『KAWASAKI/ZX-10R』

の前には太刀打ち出来ずワークス撤退というカッコ悪い結果に終わりました。

ただし、ここで終われば

2018年式ブラック

「BMWといえどSBKは厳しかったネ」

という同情にも近い形で終わると思うんですが・・・このS1000RR、初代の二年間だけで2万台を超える大ヒット。

その人気は今も衰えること無く、SBK王者にも輝いた事があるRSV4やZX-10Rより売れています。歴史と伝統が詰まったドゥカティのスーパーバイクに負けずとも劣らない程売れてる。

これは日本も例外ではありません・・・S1000RRって国産SSより売れてるんですよ。

基本的にモデルチェンジした初年度だけ申し訳程度にランクインする国産SSと違い、S1000RRは年間500台前後と決して多くはないものの毎年コンスタントに売れてる。

200万円を超える人気も下火なクラスでS1000RRが何故これほど一人勝ちの様な人気なのかと言えば・・・

BMW

「BMWだから」

でしょう。それしか考えられない。

「直四は全部一緒」

という認識が日本を含め世界共通であります。

「そんな事はないよ」

って思ってる人、じゃあ日本の直四SSそれぞれの特徴を言えますか。

速さより楽しさなCBR1000RR。

MotoGP直系クロスプレーンなYZF-R1。

ロングストロークと可変バルブなGSX-R1000。

SBK王者なZX-10R。

四者の違いをハッキリと説明できる人がどれくらい居るのか分かりませんが、説明できたとしてじゃあこれが差別化に繋がるのかって言ったら弱いですよね。

しかもそれに加え日本のSSもS1000RRという黒船来航に危機感を覚え、膨大な開発費を掛けて黒船にも負けない装備と価格のSSなりました。

これで対抗できる・・・と本来なら言えるハズなんだけど、これは結局

「ますますどれも一緒」

な状況になってしまったわけで、どれも一緒なら

「BMWのにする」

となるわけですよ。

2018年式S1000RR壁紙

嫌われる理由はここにあるかと思います。

もし仮に同じこと日本メーカーがしたら、もしもアフリカツインやスーパーテネレやVストロムが歴史ある名車R1200GSに対抗して水平対向エンジンやテレレバーにしたらどう思いますか。

Rシリーズ

「プライドは無いのか」

と思うでしょ。

でもS1000RRはそれが許されてる。許されてるどころが大歓迎されてる。

2018S1000RRセンター

これが何故かといえばBMWだから。

S1000RRは正に

「ジャパニーズスーパースポーツキラー」

と呼べるバイクじゃないかと思います。

本来の意義であったSBKにワークス参戦しておきながら結果を残せず、アジア重視というカッコ悪い撤退をしても一番人気。

もうこうなってくると

「SBKって何の為にあるの」

っていう話でもある。

マン島TTやスーパーストック、国別レースで勝ってると言う人も居るでしょうが、それは別にS1000RRに限った話ではないです。

2017年式S1000RRカタログ写真

でもこの嫌われる要素ってとっても大事で、日本メーカーが持ちたくてもなかなか持てない物。

何故なら嫌われるっていうのは結局のところ嫉妬なわけで、それはつまり所有感を満たしてくれるオーナーにとって何よりも大事な要素だから。

トドのつまりS1000RRが嫌われるのは

「最もミーハーなSSだから」

というわけなんですが、そもそも持て余すのが基本なSSはミーハーの典型なのでS1000RRが売れるのも至極当然な話なんですよね。

誰だって嫉妬するより嫉妬されたいですもの。

主要諸元
全長/幅/高 2050/826/1140mm
[2070/770/1193mm]
シート高 816~846mm
車軸距離 1438mm
[1440mm]
車体重量 208kg(装)
<210kg(装)>
[171kg(装)]
燃料消費率
燃料容量 17.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 999cc
最高出力 199ps/13500rpm
[215ps/13900rpm]
最高トルク 11.5kg-m/10500rpm
[12.2kg-m/10000rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17
後190/55ZR17
[後200/60ZR17]
バッテリー AGMバッテリー
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR9D-J
推奨オイル BMW Motorrad ADVANTEC Ultimate
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前17|リア45
チェーン サイズ525|リンク120
車体価格 2,190,000円(税込)
[10,000,000円(税込)]
※<>内はDDC有
※[]内はHP4Racer/0E31
系譜図
S1000RR

2009年
S1000RR
(0507)

S1000RR

2012年
S1000RR/HP4
(0524/0D01)

2015S1000RR

2015年
S1000RR
(0D10)

2017S1000RR

2017年
1000RR/HP4Race
(0D50/0E31)

2019S1000RR

2019年
S1000RR
(0E21)

S1000RR (0D10) -since 2015-

2015年式S1000RR

「YOUR MISSION TO RIDE」

三代目となるS1000RR/0D10型。

2015S1000RRフェイス

左右非対称だった顔が反転したような形になったわけですが、それよりも中身が大きく変わりました。

カムシャフトを始めとしたエンジンヘッド周りやエキゾースト周りなど吸気/排気系を大幅に見直し、先代のHP4に並ぶ199馬力に。

S1000RRフレーム

更にフレーム周りの剛性も見直され-2kgの軽量化。

そしてもう一つ大きいのがDDC(Dynamic Dumping Control)と呼ばれる電子制御サスペンションの採用です。

しかも面白いことにS1000RRの物は定番のオーリンズではなく、内製というかザックスとの共同開発したもの。

DDC

他にもシフトアップ/ダウン両対応のギアシフト・アシスタント・プロ(クイックシフター)も装備など先代のHP4にも劣らない装備となりました。

ちなみにシフトペダルは取り付け位置を変えるだけで逆シフトに出来るという嬉しい配慮。

シフトペダル

さりげない部分なんですが、S1000RRが凄い所ってこういう所なんですよね。

というのもS1000RRはWSBに勝つために開発されたわけなんですが、アジア市場の拡大に注力するという事で2013年をもってワークス撤退となりました。

2015S1000RRサイド

最初は黒船来航だと話題になったんですが、残念ながら年間チャンピオンを獲得する事は出来ず・・・というかオブラートに包まずストレートに言うと、ワークス参戦のわりには期待を大きく裏切る結果となりました。

ちなみにワークスチームを率いていたブッツオーニ総監督はその後ドゥカティに引き抜かれ、今ではドゥカティの副社長だったり。

2015S1000RRリア

じゃあS1000RRがダメだったのかと言うと決してそうでは無いです。

2010年のマン島TTにおいてサイドカーを除く5クラス全制覇したレジェンドであるハッチンソンを始め、国内外問わず多くの人がS1000RRを評価していました。途中で他のバイクを辞めてS1000RRに鞍替えした人までいた程です。

S1000RRの何がそんなに凄いのか、それはスーパーストックでの活躍からも分かるように

「ノーマルの時点で完成度が高い」

という事です。

主要諸元
全長/幅/高 2050/826/1138mm
シート高 815mm
車軸距離 1438mm
車体重量 204kg(装)
燃料消費率 17.5m/L
※定地走行テスト値
燃料容量 17.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 999cc
最高出力 199ps/13500rpm
最高トルク 11.5kg-m/10500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17
後190/55ZR17
バッテリー YTZ7S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR9D-J
推奨オイル BMW Motorrad ADVANTEC Ultimate
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前17|リア45
チェーン サイズ525|リンク120
車体価格 2,190,000円(税込)
系譜図
S1000RR

2009年
S1000RR
(0507)

S1000RR

2012年
S1000RR/HP4
(0524/0D01)

2015S1000RR

2015年
S1000RR
(0D10)

2017S1000RR

2017年
1000RR/HP4Race
(0D50/0E31)

2019S1000RR

2019年
S1000RR
(0E21)

S1000RR/HP4 (0524/0D01) -since 2012-

2012S1000RR

「UNSTOPPABLE」

二代目にあたるS1000RR/0524型。

見た目こそあまり変わっていないもの、トラクションコントロール・ABS・走行モードなどの制御系、そして5000rpmからの出力特性が見直されトルクの谷の解消。

更にステムオフセットや前後サスペンション、そしてピボット等の足回りも見直され乗り味がマイルドに変更。

新旧比較

見た目の違いとして分かりやすいのはサイドカウルのシャークダクトの向きが反対になった事と、シートカウルがエアダクト付きの小ぶりな物になったこと。

そしてこの二代目からは新たにHP4/0D01型も販売。

HP4

HP4というのはハイパフォーマンス四気筒の事で、電子制御サスペンション(DDC)と200の極太タイヤ、更にカーボンカウル等で10kgもの軽減をしたモデル。

トラコンやABSといった電子制御もスリックモード(サーキットモード)に最適化されたものに変更されています。

HP4工場

メーカー希望小売価格は税込みで280万円。

このモデルの狙いはもちろんレースで勝つため。

HP4カタログ写真

BMWはスーパーストックでは圧倒的な速さを誇っていたものの、WSBのトップレースであるSBKでは今ひとつ戦績を残せなかった。

だからこのHP4を引き下げて取りに来たというわけ。

2014マン島TT優勝S1000RR

一方でマン島TTで75年ぶりの優勝した事が大きく話題となりました。

ちなみに75年前に優勝したのはこれ。

BMW RS500

BMW RS500という492ccの60馬力のバイク・・・当時はやっぱり水平対向だった。

ちなみに余談ですが、実はこのS1000RRを造るずっと前の1993年頃にBMWは水平対向のスーパースポーツを開発していました。

その名も『BMW R1』

R1プロトタイプ

アルミツインスパーフレームながら

・水平対向二気筒

・シャフトドライブ

・テレレバー

というBMW色が溢れているスーパースポーツ。

おまけにこの水平対向エンジンはドゥカティで有名なデスモドロミック機構を採用しています。

BMWアール1

それにより1000ccながら140馬力を発揮し、車重も乾燥重量で165kgと非常にパフォーマンスなモデルでした・・・が、やはりレースには向かないシャフトドライブや水平対向では無理があったのか四機作っただけで結局お蔵入りに。

主要諸元
全長/幅/高 2056/826/1138mm
シート高 820mm
車軸距離 1422mm
車体重量 204kg(装)
[206kg(装)]
{199kg(装)}
燃料消費率 17.5m/L
※定地走行テスト値
燃料容量 17.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 999cc
最高出力 156ps/10000rpm
<193ps/13000rpm>
最高トルク 11.2kg-m/10000rpm
<11.4kg-m/9750rpm>
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17
後190/55ZR17
{前120/70ZR17
後200/55ZR17}
バッテリー ETZ10-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR9D-J
推奨オイル Castrol Power 1 Racing SAE 5W-40, API SL /
JASO MA2
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前17|リア45
チェーン サイズ525|リンク120
車体価格 {2,800,000円(税込)}
※<>内はEU仕様
※[]内はプレミアムライン
※{}内はHP4
系譜図
S1000RR

2009年
S1000RR
(0507)

S1000RR

2012年
S1000RR/HP4
(0524/0D01)

2015S1000RR

2015年
S1000RR
(0D10)

2017S1000RR

2017年
1000RR/HP4Race
(0D50/0E31)

2019S1000RR

2019年
S1000RR
(0E21)

S1000RR (0507) -since 2009-

2009S1000RR

「Welcome to planet power.」

BMW初のスーパースポーツとなるS1000RR/0507型がデビューしたのは2009年のこと。

デビューと言っても最初は市販車としてではなくWSB(市販車レース)という順番が逆のような鮮烈デビュー。

S1000RR

市販予定車という名目で出場したわけですが、そりゃもう世界中が大注目しました。

BMWのバイクと言えば

・水平対向エンジン

・独特なサスペンション構造

・シャフトドライブ

というロードレースには向かないバイクが主力で、BMW自身もずっと

「ロードレースに興味なし。それはウチ(BMW Motorrad)だけじゃなくファンもそうだろう。」

と言い続けてきたわけですから。

しかしスーパースポーツのあまりの加熱っぷりに遂に重い腰をあげたというわけ。

S1000RRラフスケッチ

コンセプトデザインの日付が最もスーパースポーツ人気が高まっていた2006となっている事から見ても疑いようが無いかと。

そう考えると2010年の市販化は少し遅い様な・・・リーマンショックの影響ですかね。

ちなみにデザイナーはスウェーデンの人でイメージはシャークカウルを見れば分かる通りサメです。

まあそんな事より車体ですが

S1000RRネイキッド

・アルミツインスパーフレーム

・三軸三角レイアウト直四エンジン

・マフラーを避ける湾曲スイングアーム

・テレスコピック&リンクサス

・チェーンドライブ

などなどエンブレムがなかったからBMWとは分からない、言ってしまえば日本のスーパースポーツそのものな造り。

S1000RR_wall

実際これを開発する際にCBR1000RRとGSX-R1000を参考にしたんだそう。

ただ流石BMWというべきか、処女作なのにとてつもないスペックで世間を賑わせました。

可変ファンネルやスロットルバイワイヤ(電スロ)でクラストップとなる193馬力を叩き出すエンジンに、初っ端からでトラクションコントロールシステムやABSなどを装備。

(※TCS/ABSはプレミアムラインのみなものの日本はプレミアムラインのみ)

2009S1000RRカタログ写真

「まあウチが本気出せばこんなもんよ」

と言わんばかりなスペック。

ではもっと具体的に何が凄いのかと少しご紹介。

S1000RRの凄い所その1

「クラス1のショートストロークエンジン」

エンジン

S1000RRのボアストロークは80mm×49.7mm。

これはリッター四気筒の中では最もビッグボアな超ショートストロークエンジン。

エンジンイラスト

この技術にはF1や、2000年代半ばにMotoGP参戦を目論み開発していたマシンの技術が使わているそう。

当時のスポーツバイクとしては珍しいロッカーアーム式を採用している事がちょっと話題になりましたね。

S1000RRの凄い所その2

「クラス1のフロントフォーク径」

フロントフォーク

一般的なリッターSSがΦ43なのに対しΦ46というこれまたクラストップとなる極太フロントフォーク。

どんなスピードでも負けない高剛性で正確にストロークさせるという完全にサーキットしか見てない足。

S1000RRの凄い所その3

「クラス1の軽さ」

最軽量

マグネシウムヘッドカバー、アルミ製のタンクやステップ周り、専用ホイールにチタンサイレンサーなどで当時としては最軽量となる装備重量204kgという軽さ。

S1000RR日本仕様

ちなみに日本では規制の関係からアクラポビッチのロングサイレンサーが標準装備という嬉しい変更でした。

そのぶん馬力は153馬力と落とされてるんだけどカプラ一つでゴニョゴニョ。

そんな多数のクラスナンバーワン要素を引き下げて登場したS1000RRだったんですが・・・一番話題になったのはやっぱりコレ。

アシンメトリー

左右非対称、アシンメトリーな顔ですね。

ある意味もっともBMWらしい部分。

そんなS1000RRは改造範囲が狭いスーパーストック1000というクラスにおいて、フル参戦初年度にあたる2009年に10戦中9勝という文句なしの成績で優勝。

スーパーストック1000仕様

「WSB(ワールドスーパーバイク)に黒船がやってきた」

とユーザーだけでなく、レース業界にも一石を投じる結果となりました。

主要諸元
全長/幅/高 2056/826/1138mm
シート高 820mm
車軸距離 1432mm
車体重量 204kg(装)
燃料消費率 17.5m/L
※定地走行テスト値
燃料容量 17.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 999cc
最高出力 156ps/10000rpm
<193ps/13000rpm>
最高トルク 11.2kg-m/10000rpm
<11.4kg-m/9750rpm>
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17
後190/55ZR17
バッテリー ETZ10-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR9D-J
推奨オイル Castrol Power 1 Racing SAE 5W-40, API SL /
JASO MA2
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前17|リア44
チェーン サイズ525|リンク118
車体価格 1,690,000円(税込)
[1,990,000円(税込)]
※<>内はEU仕様
※[]内はプレミアムライン
系譜図
S1000RR

2009年
S1000RR
(0507)

S1000RR

2012年
S1000RR/HP4
(0524/0D01)

2015S1000RR

2015年
S1000RR
(0D10)

2017S1000RR

2017年
1000RR/HP4Race
(0D50/0E31)

2019S1000RR

2019年
S1000RR
(0E21)

RSV4 Ver.4  -since 2015-

RSV4

そして2015年モデルからまた変わったRSV4。

2015年モデル最大の特徴は遂に大台の200馬力を突破し201馬力になったこと。まあお高いRRモデルとRFモデルだけだけどね。

2015RSV4RF

これらは見た目はほとんど変わらないんだけど、バルブからカムシャフトに至るまでほとんどの部品が全くの別物。これはより高精度な新しい設備を入れたから可能になったことなんだと。

なんか書くことが無くなってきたというか紹介に飽きてきたのでちょっと個人的な話。

RSV4は今では「史上最も成功したV4」と言われています。

日本の人からすると「V4と言えばホンダ」「V4と言えばVFR」「V4といえばRVF」と思っている人が多いと思います。まあアプリリアはそれほどシェアを持った会社では無いですしね。特に日本では。

さてじゃあここで何故ホンダのV4と違いアプリリアのV4は受け入れられたのか考えてみようと思います。

まず第一の理由としてホンダのV4は最初に話した通り挟角90度というお手本のようなV4エンジンだった事。VFRの系譜を読んでもらえると分かるのですが、ホンダも最初はスーパースポーツはV4で行く路線でした。

V4

良く言えばシルキー、悪く言えば盛り上がりに欠けるのが特徴だった360度クランクのエンジンサウンド。それがユーザーに受け入れられなかった。

だからホンダも途中で180度クランク角に変えたりしたんだけど今ひとつでVFR750R(RC30)やRVF750(RC45)といった販売台数を絞れてレース特化な造りに出来るホモロゲに変更していったんだと思います。

もちろん勝つためのホモロゲでもあったわけで実際勝ってたわけですが。

アプリリアRSV4エンジン

もう何度も言っていますがそれに対しRSV4の最大の武器は挟角65度という異例の狭さにあります。

誤解されないように言っておきますが、ホンダの90度V4が劣っているわけでは決してありません。

90度というのは一次振動を理論上ゼロに出来るVツインやV4にとっては言わば黄金比みたいなものなんです。

「じゃあ何でホンダはV4スーパースポーツを辞めたんだ!作らないんだ!」

ってそれは皆がVFRを買わなかったからであってホンダに文句を言うのはお門違いです。ホンダは今でもV4が一番だと思ってます。実際RCVはV4だしこの前出たRCV-SもV4だし。

・・・話が反れました。

2015RSV4チラシ

アプリリアがV4で成功を収めたのはそんな黄金比を”敢えて”外したからなわけですね。

ミレの方でも言ったけど90度というのはエンジンだけで見ると理想的な反面、それだけ開くわけなので長さが前後の長さが出てくるわけです。

そうすると車体全体の長さに影響しスイングアームを長く取れない。説明は省きますがスイングアームの長さとコーナリング性能は比例して伸びるんです。>>バイク豆知識:アンチスクワット

ヤマハのYZF-R1がコーナリングマシンまたは猫足と言われたのはクランクを寄せ上げて直四ながらエンジンの前後幅を縮めた事でライバル車に比べ大きくスイングアーム長を取れたから。

アプリリアV4

アプリリアの65度V4もそうです。

一次振動ゼロを捨て、その代わりにシリンダーを起こし前後幅を縮めた事でV4ながらスイングアームを長く取ることが出来たおかげで、速さを手に入れSBKで優勝出来るレベルのSSが仕上がったというわけです。

賞賛されているV4らしからぬサウンドは言ってしまえば嬉しい誤算。

RSV4RF

つまりRSV4はV4スーパースポーツなんだけど、皆が想像するようなV4スーパースポーツじゃない。

ただ悲しいかなレース結果とは裏腹に販売台数はどうも伸び悩んでるみたい。アプリリアは大型クラスの需要が弱いみたいなんですよね。

言い忘れていた事がありました。

国内に入っているRSV4は例に漏れず上を切った特別デチューンモデルです。しかしディーラーに持っていけば簡単にフルパワー仕様にしてもらえるとのことです。

(ディーラーが簡単にそんな事をしていいのかとも思いますが)

エンジン:水冷4サイクルDOHC四気筒
排気量:999cc
最高出力:
180ps/12500rpm
最大トルク:
11.7kg-m/10000rpm
車両重量:184kg(装)

系譜図
アプリリアの歴史

1968年~
アプリリアの歴史

RSV Mille前期

1998年
RSV mille(ME)

RSV Mille後期

2001年
RSV mille(RP)

rsv1000r

2004年
RSV 1000 R

第一世代RSV4

2009年
RSV4 Ver.1

第二世代RSV4

2011年
RSV4 Ver.2

第三世代RSV4

2013年
RSV4 Ver.3

第四世代RSV4

2015年
RSV4 Ver.4

RSV4 Ver.3  -since 2013-

RSV4SBK記念車

次に大幅な変更があったのは2013年モデル。上の写真はSBK優勝記念車。

このモデルからABSが標準化されました。メーカーは(安心の?)ボッシュ製で段階設定付き。

他にもエンジンやスイングアームピボットが6mm程下げられる等の細かい変更が入っている。

ファクトリーモデルは更に変更が加えられてて馬力も3馬力アップの183psに。

そして2014年に再びSBKのチャンピオンとなります。

2014アプリリアレーシング

めっちゃ嬉しそう。なんかこの写真を見るといかにもアプリリアだなーって感じですね。

アプリリアって”レースに命を賭けてる”というより”レースが大好き”って感じなんですよね。

でもそれを許してるピアジオも凄い。アプリリアは良いところに拾われたなあ。

あとアプリリアって宣伝もちょっと変わってるんですよね。

RSV4

素直に宣伝しないと言うか、なんでも捻っちゃうっていうか。

エンジン:水冷4サイクルDOHC四気筒
排気量:999cc
最高出力:
180ps/12500rpm
最大トルク:
11.7kg-m/10000rpm
車両重量:184kg(装)

系譜図
アプリリアの歴史

1968年~
アプリリアの歴史

RSV Mille前期

1998年
RSV mille(ME)

RSV Mille後期

2001年
RSV mille(RP)

rsv1000r

2004年
RSV 1000 R

第一世代RSV4

2009年
RSV4 Ver.1

第二世代RSV4

2011年
RSV4 Ver.2

第三世代RSV4

2013年
RSV4 Ver.3

第四世代RSV4

2015年
RSV4 Ver.4

RSV4 Ver.2  -since 2011-

RSV4

RSV4は見た目がほとんど変わってないからずっと一緒と思ってる人も居るかもしれませんがちょこちょこモデルチェンジしてます。

本当は毎年変更入ってるから分けるべきなんだろうけど途方も無い数になるので大まかに分けてご紹介。

最初に大きな変更が入ったのは2年後の2011年。

説明が遅れちゃったんだけどRSV4は2009年に初代RSV4Rが、同年にオーリンズを装着した上位グレードのRSV4FACTORYが発売されました。2010年もこのまま。

そして2011年になるとRSV4R APRCとRSV4FACTORY APRCという名前に。

APRC

APRCってなんぞ?って話ですが

APRC(アプリリア・パフォーマンス・ライド・コントロール)の略で

aTC(アプリリア トラクション コントロール): 全域においてスリップコントロールするシステム

aWC(アプリリア ウイリー コントロール): ウィリーを抑制するシステム

aLC(アプリリア ローンチ コントロール): スタートダッシュをアシストするシステム

aQS(アプリリア クイック シフト):クイックシフター。

という要するにフル電子制御システムの事です。しかもこのAPRCの凄い所は学習能力が付いているということ。ちゃんと学ぶしライダーの好きなようにチューニングすることも可能なんです。

2010RSV4

本当はエンジン周りにもカムチェーンやシャフトといった大幅な見直しが入ってるんだけど、挙げだすとキリがないのでこの辺で。

あと2012年にはマフラー形状とリアのタイヤサイズが190から200に変更されました。

余談だけどRSV4は本当にSBKしか見てないんだよねこのバイク。

エンジン:水冷4サイクルDOHC四気筒
排気量:999cc
最高出力:
184ps/12500rpm
最大トルク:
11.7kg-m/10000rpm
車両重量:184kg(装)

系譜図
アプリリアの歴史

1968年~
アプリリアの歴史

RSV Mille前期

1998年
RSV mille(ME)

RSV Mille後期

2001年
RSV mille(RP)

rsv1000r

2004年
RSV 1000 R

第一世代RSV4

2009年
RSV4 Ver.1

第二世代RSV4

2011年
RSV4 Ver.2

第三世代RSV4

2013年
RSV4 Ver.3

第四世代RSV4

2015年
RSV4 Ver.4

RSV4 Ver.1  -since 2009-

RSV4

2009年にアプリリアが

「これでSBKにまた参戦する!」

と言って出してきたのがRSV4。

SBKのレギュレーションを睨みそれまでのVツインを捨てV4へと生まれ変わったRSV。

アプリリアSBK復帰

正しく言うならRSV4Rなんですが、そのRSV4最大の特徴は何と言ってもそのエンジン。

V4だから?いえいえそれだけではありません。先代までのVツインが挟角60度と異例の狭さだったのに対してRSV4のV4エンジンも65度と非常に狭いこと。

同じV4を作っているホンダのVFRは800が90度で1200が75度。MotoGP車両のRCVでも最も狭い時期でも同じく75度。ドゥカティに至ってはずっと90度。

RSV4エンジン

こう書けば65度がいかに狭いか分かってもらえるかな。 ちなみに爆発間隔は0°→180°→425°→605°

だからV4なんだけどVツインのようなワイルドなドコドコ感。スンゴイ回るハーレーエンジン的な。

RSV4フェイス

顔の方も今ではもう三眼といえばアプリリアと言われるほど定着したものになりましたね。

しかしそれより何よりRSV4と言えばワークス参戦2年目の2010年に念願だったSBK総合優勝を果たしました。

しかもライダーとマニファクチャラーズのダブルタイトルという快挙。

アプリリア2010

イタリアのバイクメーカーがイタリアのライダー(ビアッジ)でダブルタイトル獲得なんだからそりゃもうイタリアは歓喜の渦ですよ。

このおかげで海外では既に

「V4=アプリリア」

という調査結果が出されるまでに。

エンジン:水冷4サイクルDOHC四気筒
排気量:999cc
最高出力:
180ps/12500rpm
最大トルク:
11.7kg-m/10000rpm
車両重量:184kg(装)

系譜図
アプリリアの歴史

1968年~
アプリリアの歴史

RSV Mille前期

1998年
RSV mille(ME)

RSV Mille後期

2001年
RSV mille(RP)

rsv1000r

2004年
RSV 1000 R

第一世代RSV4

2009年
RSV4 Ver.1

第二世代RSV4

2011年
RSV4 Ver.2

第三世代RSV4

2013年
RSV4 Ver.3

第四世代RSV4

2015年
RSV4 Ver.4

RSV1000R  -since 2004-

RSV1000R

RSVシリーズとしては初めてのフルモデルチェンジ。

車名もRSV1000Rとそれまで特別仕様のみの使用されていたRモデルが標準化。

RSV1000Rエンジン

アプリリアはこのRSV1000Rでも総合優勝を果たすことが出来ず、経営がどんどん悪化して窮地に陥っていた。

でも、それでもアプリリアは諦めなかった。それが次に紹介するRSV4で遂に実るわけですね。

RSV1000R

「レース大好きなアプリリアならきっとSBKに返ってくる!」とか「アプリリアお願いだから帰ってきて」と彼方此方で言われてました。

しかし二気筒優遇措置が無くなったためか、RSV4に集中していたからか結局この1000RでSBKに参戦することはありませんでした。他のレースでは色々走ってたりしますが。

ちなみに2006年にマイナーチェンジが入って更に乗りやすくなりました。

そうそうRSV1000Rと言えばこの人ですね。

Samuela De Nardi

サムウェラ・デ・ナルディ(Samuela De Nardi)

美人すぎると日本でも話題になったイタリアの女性ライダー。しかもこの人ルックスだけじゃなくて欧州の女性選手権で表彰台に上がるレベルの速さ。

アプリリアと契約しレーサー&テストライダー&イメージキャラを努めていました。

サムウェラ・デ・ナルディ

ちなみに写真のバイクはRSV1000RのストファイバージョンのTuonoという派生バイク。

別にサムウェラを紹介したかったという下心ではないです・・・それにしても美人さんだな。

エンジン:水冷4サイクルDOHC二気筒
排気量:998cc
最高出力:
139ps/9500rpm
最大トルク:
10.9kg-m/7500rpm
車両重量:216kg(装)

系譜図
アプリリアの歴史

1968年~
アプリリアの歴史

RSV Mille前期

1998年
RSV mille(ME)

RSV Mille後期

2001年
RSV mille(RP)

rsv1000r

2004年
RSV 1000 R

第一世代RSV4

2009年
RSV4 Ver.1

第二世代RSV4

2011年
RSV4 Ver.2

第三世代RSV4

2013年
RSV4 Ver.3

第四世代RSV4

2015年
RSV4 Ver.4

RSV MILLE (RP型) -since 2001-

RSV MILLE後期

ほぼフルモデルチェンジといえるようなモデルチェンジをしたミレの後期。

エンジンレイアウトの変更、吸気バルブの改良などで2馬力UP・2kgDOWNとスペックが向上。

でも一番の変更点は荒削りだった前期モデルからの細部が改良され完成度が高まったこと。

RSVも豪華版としてRモデルが存在していました。

定番とも言えるオーリンズサスとブレンボキャリパーを装着したモデル。

ちなみにワイルド・スピードのバイク版映画である「トルク」で主人公が乗っていたバイクはこれです。

レースの方でも2002年は芳賀さんの乗るPlaystation2-FGFチームで善戦。

芳賀アプリリア

これまた年間成績三位という好成績を収めました。

が、アプリリアはここでSBKから撤退しMotoGPの方へと注力することに。

ちなみにこのミレも次のRSV1000Rも今どき珍しくドライサンプ方式を採用しています。

ウェットサンプとドライサンプが何か分からない人に説明すると

ウェットサンプというのはエンジン下がそのままオイルタンク(オイルパン)になっていてオイルはそこに溜まるのに対し、ドライサンプはオイルタンクがエンジンの外にあるタイプ。

ドライサンプの方がオイルによる抵抗が少ないのでパワーが出ますが、構造が複雑になるという欠点があります。

こういった所がアプリリアRSVの特徴だったりするわけですね。

60度という極端なVバンク角もそうですが、アプリリアがライバルに勝つためにしたことを一言で表すなら

”効率を捨てる事”

だったわけです。

エンジン:水冷4サイクルDOHC二気筒
排気量:998cc
最高出力:
128ps/9500rpm
最大トルク:
10.5kg-m/7250pm
車両重量:215kg(装)

系譜図
アプリリアの歴史

1968年~
アプリリアの歴史

RSV Mille前期

1998年
RSV mille(ME)

RSV Mille後期

2001年
RSV mille(RP)

rsv1000r

2004年
RSV 1000 R

第一世代RSV4

2009年
RSV4 Ver.1

第二世代RSV4

2011年
RSV4 Ver.2

第三世代RSV4

2013年
RSV4 Ver.3

第四世代RSV4

2015年
RSV4 Ver.4