「TRANSCONTINENTAL SUPERSPORT」
ZX-12RとZZR1200の一本化をしたかと思ったら出てきた1400GTR。ZX-14Rと分けようか迷ったのですが合わせて紹介しないと多分誰も読まないのでここに。
言ってしまえばZZR1400から更に中低速域におけるパワーの厚みを増したツアラー特化のようなモデル・・・なんだけど、まあこれが大人しい見た目に反して結構意欲的な造りをしてたりするので興味のない人も少しお付き合いを。
一応紹介しておかないといけないのですが1400GTRにもご先祖様が居ます。
それは1986年にGPZ1000RXのツアラーバージョンとして出た1000GTR。
CONCOURS(コンコース)という名前は北米名。日本や欧州では1000GTR。この流れは今も変わらず、この1400GTRも北米ではCONCOURS14(ZG1400B)という名前。
上のカタログ写真を見ると、見るからに古いバイク感がありますが実はこれ最終にあたる2004年モデル。86年から大きく形を変えることなく続いたモデルだったりします。
そんな1000GTRの後継として3年ぶりに登場した1400GTRですが、ZZR1400と違う所として先ず挙げられるのが可変バルブタイミング機構を備えてる事。
油圧によって吸気バルブのタイミングを変更する機能の事で、低回転時には速く、高回転時には遅く閉じるようになっています。車では非常にメジャーなので知ってる人も多いと思います。
なんで吸気のタイミングを変えた方がいいのか簡単に説明すると、回転数の高さというのはピストンスピードでもあるわけです。つまりピストンスピードの速さ・強さで負圧(空気を吸う力)も変わってくる。
そして一番効率(体積効率)を良く吸える開口時間(吸気バルブタイミング)というのはその吸う力によって違う。吸う力が弱い低回転でいつまでも空いていたら漏れるし、吸う力が強いのにすぐ閉まっちゃったら全然吸えない。
だから低回転と高回転でバルブタイミングを変えようとなって出来たのが可変バルブタイミング。どっかでも説明したかな。
1400GTRが可変バルブタイミングを取り入れた理由はボア・ストローク比をZZR1400から変える事なく中低速に厚みを持たせるためでしょうね。圧縮比も落とされて厚みを持たせるだけでなくマイルドな出力特性になっています。
そしてもう一つ。どちらかというとコチラの方が1400GTRを最も表す部分かな。
1400GTRはシャフトドライブ駆動なんだけど、シャフトドライブなのにテトラレバーリヤサスペンションといって両持ちでリンクロッドが4本も伸びてる凄い形をしてる。
これはシャフトドライブの宿命である加減速時に起こる反トルクから来るサスペンションの上下運動を可能な限り抑えるため。BMWのパラレバーが有名ですね。
シャフトドライブのスーパースポーツが少ないのはこの反トルクによる挙動のブレがあるからなんですが、カワサキはそんな反トルク対策のロッドを4本も付けてシャフトドライブ特有の挙動を徹底的に消し、チェーン駆動と変わらない挙動にしているわけです。だからリアアーム周りがシャフトドライブにあるまじきマッチョさを持ってる。
GTではなくGTRとしているのは、メンテンスフリーなシャフトドライブ駆動ながらも、時にはチェーン駆動であるZZR1400の様にスポーツ走行も出来る特性を持たせたからでしょう。
もちろんキーレス、パニアケース、DC電源ソケット、電動スクリーン、空気圧メーターといったグランドツアラーとしての装備はちゃんと備えられてますけどね。
主要諸元
全長/幅/高 | 2170/760/1170mm |
シート高 | 815mm |
車軸距離 | 1460mm |
車体重量 | 220kg(乾) [224kg(乾)] |
燃料消費率 | – |
燃料容量 | 22.0L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 1352cc |
最高出力 | 150ps/8800rpm |
最高トルク | 13.9kg-m/6200rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70ZR17(58W) 後190/50ZR17(73W) |
バッテリー | FTZ14-BS |
プラグ | CR9EIA-9 |
推奨オイル | カワサキ純正オイルR4/S4/T4 または MA適合品SAE10W-40 |
オイル容量 | 全容量4.7L 交換時4.0L フィルター交換時4.4L |
スプロケ | – |
チェーン | – |
車体価格 | – ※スペックはマレーシア仕様 ※[]内はABSモデル(ZG1400B) |