ZX-14R(ZX1400E/F/G/H)-since2012-

ZX-14Rフロント

「King of Motorcycle」

2012年からのZX-14R/ZX1400E型とABSモデルのZX1400F型。

ZX-12R以来となるNinjaそしてZX-Rというネームの復活にいろんな人が湧きましたね。

今までと違い発売前から思わせぶりな宣伝を打ってきたことから相当な自信があるのだろうと思ってたら、やっぱり出てきたのは緑色な怪物でした。

ZX-14R

目立つ変更点としてはトラクションコントロールシステム。

仕組みについては1400GTRで話したので割愛しますが、ZX-14Rの場合は強弱に加えて切ることも可能な3モードタイプ。オマケというとアレだけど合わせて2つの出力特性を選べるパワーモードとスリッパークラッチも付いて安全性とスポーツ性が向上。

ZX-14Rface

見た目の方も大きなカバーレンズで覆われZX-Rに合わせた二眼のような四眼に変更されました。

エンジンはストローク量を上げるだけでなく、合わせてヘッド周りは削り出しに変更されピストンやバルブも刷新し圧縮比を向上させ全域でパワフル化。

ZX-14Rエンジン

これによって遂に非加給(ラムエア無しで)200馬力を達成。

ちなみに2016年モデルからはEURO4(排ガス規制)に対応するためキャタライザーが増設され、日本に入ってくるアジア仕様はハンドルも上げられて少し優しくなっています。

2016年ZX-14Rカタログ

写真はブレンボオーリンズ装着のハイグレードモデル。

ただZX-14Rで一番注目してほしいのは実はカタログスペックに載らない部分にあります。

ZX-14Rフレーム

一見すると変わっていないように思えるフレームは剛性が大きく見直され、それに合わせて足回りも

・サスペンションの再セッティング

・軽量化されたホイール

・10mm延長されたスイングアーム

・軽量なスリードチェーン

などなど変わっていないようで大きく変更されてある。

ZX-14Rチェーン

ZX-14Rのモデルチェンジのミソな部分は実はここ。

一見すると地味とも言えるこの変更点の狙いは何かと言うと

「軽快感を出すため」

にあるんですが、この軽快感というのがZX-14Rの裏コンセプトに繋がるんです。

メガスポーツというと世界最速が至上命題にあるわけですがZX-14Rにはもう一つ別の狙いがありました。

それは

『ZZRを造る』

という事です・・・これだけ言うとちょっと混乱しますよね。

2017年式ZZR1400

「いやいや先代や欧州名はZZR1400じゃん」

って。

でもこの場合のZZRという言葉が指す意味はそれじゃない。この場合が指すZZRの意味はこれ。

ZZR1100/D型

この系譜でもご紹介しているZZRの始まりでありZX-14Rの先祖様でもあるZZR1100です。※写真は後期モデル

ZZR1100はカワサキが考える独創的なスーパースポーツの形として登場し一時代を築いた名車。現代風にいえば最高速だけじゃない軽快になんでも熟せる万能スーパースポーツ。

ZX-14Rはこれを現代の技術で造るという裏コンセプトがあったんです。

GPZ900RとZX-14R

というのもZX-12RかZZR1200でも話したと思うですがカワサキ社内にはZやGPZ900Rこそがカワサキの象徴だと考える人がいる一方で

「ZZR1100こそがカワサキの象徴だ」

という人たちも数多くいる。

ZZRの事になると口を出さずにいられない

『ZZR信者』

という厄介な存在がいるわけです。

そして何を隠そうこのZX-14Rの開発リーダーを努めた大島さんもその一人で、もちろんZZR1100(D)のオーナー。

そんな大島さんはZZR1400の後継を任された際にこう考えた。

2017ZX-14R

「ZZR1100オーナーが満足するZZRを造ろう」

と。

そのために自身の価値観や経験はもちろんZZR1100オーナーの話を聞き回ったりオーナーのブログを漁ったりして

『ZZR1100が絶大な支持を得るに至った理由』

を徹底的に検証しZX-14Rに反映させた・・・軽快感を出すためにフレームまでをも見直した理由はここにあるわけです。

(ZZR1100は車格を感じさせない軽快なハンドリングが高い評価を得ていた)

それ以外にもメットホルダーの標準装備や収納式荷掛けフックなんかもZZR1100譲りですね。

2016ZX-14R

「じゃあなんでZZR1400からZX-14Rに改名したのか」

っていうとこれは新しくなった事をアピールするためマーケティング側の要望から。そんなもんだからインタビューなんかで

「名前はZX-14Rだけど造ったのはZZRです」

的なマーケティングを無視した発言をしてしまう始末。

ZX-14Rカタログ

ただ豪華にしたわけじゃない、ただ速さだけを取ったわけじゃない。

ZZR1100が持っていた

『何でも軽快に熟せる万能スーパースポーツ』

という要素を現代の技術で造ったのがこのZX-14Rなんです。

そんなZX-14Rも残念な事に規制の問題から2019年にブライト取扱が終了となりました。

ZX-14Rブライトファイナルモデル

『ZX-14Rという名の新世代型ZZR1100』

という狭義過ぎる為にマーケティングの観点から伏せられていたこの事実をどれだけのZZRファンが感じ取ってくれたのかは分からない。

もしも開発者達に負けないくらいZZR1100が大好きでまだこのZX-14Rを知らない人がいたら是非とも見て乗って体感して欲しいと思います。

ブライトカタログ

『ZZRこそがカワサキのフラッグシップ』

今でもそう信じ疑わず愛してやまない人たちが、同じように信じ疑わず愛してやまない人たちの為に造ったその想いを感じてほしいと切に願います。

主要諸元
全長/幅/高 2170/780/1170mm
シート高 800mm
車軸距離 1480mm
車体重量 265kg(装)
[268kg(装)]
{269kg(装)}
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1441cc
最高出力 200ps/10000rpm
最高トルク 16.6kg-m/7500rpm
{16.1kg-m/7500rpm}
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTX14-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.6L
交換時3.8L
フィルター交換時4.2L
スプロケ 前17|後42
チェーン サイズ530|リンク118
車体価格 1,566,000円(税込)
[1,632,000円(税込)]
※スペックはマレーシア仕様
※[]内はABSモデル(ZX1400F)
※{}内はG/H型
系譜図
gpz900r 1984年
GPZ900R
(ZX900A)
gpz1000rx 1986年
GPZ1000RX
(ZX1000A)
zx-10 1988年
ZX-10
(ZX1000B)
zzr1100 1990年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100C)
zzr1100 1993年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100D)
ZX-12R 2000年
ZX-12R
(ZX1200A/B)
zzr1200 2002年
ZZR1200
(ZX1200C)
zzr1400 2006年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400A/B)
1400GTR ZG1400A 2008年
1400GTR
CONCOURS14
(ZG1400A/B)
zx-14 2008年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400C/D)
ZG1400C/E 2010年
1400GTR ABS
CONCOURS14
(ZG1400C/D/E)
ZX-14R 2012年
ZX-14R
(ZX1400E)

【関連車種】
CBR1100XXの系譜FJR1300の系譜HAYABUSAの系譜世界最速の系

1400GTR(ZG1400C/D/E) -since2010-

2013コンコース14

モデルチェンジされZG1400C型(CONCOURS14はD型)となった二代目1400GTR。

一番の大きな変更点はKTRC(カワサキ トラクション コントロール)を採用したこと。実はカワサキで一番最初にトラクションコントロールシステムを採用したのはこの1400GTRだったりします。

1400GTRトラコン

前後のホイールに元々備え付けられていたABSセンサーで回転速度のズレを監視し大幅にズレた場合、燃料をカットしてリアタイヤを落ち着かせるというシステム。

ABSもコレを機に進化してK-ACT(Kawasaki Advanced Coactive-braking Technology)に。これはホンダの前後連動式C-ABSに近い仕組みで前後どちらかのABSが作動した場合バランスを崩さないようにロックしていない方のブレーキを自動で掛ける仕組み。ソレが今回から配分を変えられる様になりました。

面白いのがフューエルエコノミーアシスタントモードという機能。

1400GTRトラコン

6000rpm以下、スロットル開度30%以下、160km/h以下のみで使用可能な低燃費走行モードでバイクでは1400GTRにしか付いていません。

これはマッピングを希薄燃焼に切り替える事で燃費を向上させる機能。大陸横断スーパースポーツならではの機能ですね。

2015年にはマイナーチェンジのが入って1400GTRもCONCOURS14も型式をZG1400Eに統一。

ZG1400E

シート形状など細部の見直しが入っているんですが、一番大きいのは電動スクリーンに通風口が付いたこと。

あんまり目立たないんですがグランドツアラーとして見た場合、これが有ると無しでは大違いなんです。

ZG1400Eスクリーン

FJRの系譜でも話したので詳しい説明は省きますが、スクリーンというのは防風性を取れば取るほどメーターとライダーの間に負圧が発生してしまう。

負圧が発生するということはライダーが気づかぬ内に身体を前方に引っ張られてしまう。短距離ならそうでもないけど何日も掛けて長距離を走る場合これが結構疲労に繋がる。だから通風口を付けスクリーンからも空気を取り入れる事でその負圧を消しているというわけ。

2015年式1400GTR

そしてもう一つ副産物的なメリットがあります。それは風が入ってくるこということ。

風を防ぐためのスクリーンなのに風が入ってるなんて本末転倒のように聞こえますが、防風性が非常に高いバイクだと話が変わってくるんです。

防風性が高いということは、それだけ風を浴びることが無いので停車している時と近い状態になる。これで困るのが夏。走り出しても風を浴びれないので炎天下の元に座ってる状態になり下手をすると熱中症になる。

バイクの場合はヘルメットを被るのでまだ良いですがそれでも暑いものは暑い。ヘルメットのシールドを開けてもジャケットのチャックを開いても防風性が高すぎてそれほど風を浴びれない。

ZG1400Eスクリーン開放

だからこうやって敢えて正面から風を吹き込ませることが出来る通風口があるというのは負圧もそうですが非常にありがたい装備だったりするんです。

余談ですが、1400GTR(CONCOURS14)は白バイとしてカリフォルニア州などアメリカを中心に世界で採用されていたります。こんなバイクに追われたら逃げる気も失せますね。

カリフォルニア州の白バイ

写真はそのカリフォルニア州で話題のトランプ大統領を警護するシーン。1400GTR(CONCOURS14)もメイドインジャパンなんですけどね・・・。

主要諸元
全長/幅/高 2230/790/1345~1465mm
シート高 815mm
車軸距離 1520mm
車体重量 304kg(装)
[305kg(装)]
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1352cc
最高出力 150ps/8000rpm
[155ps/8800rpm]
最高トルク 13.9kg-m/6200rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー FTZ14-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.7L
交換時4.0L
フィルター交換時4.4L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,600,000円(税別)
※スペックはマレーシア仕様
※[]内は2016以降のABSモデル(ZG1400E)
系譜図
gpz900r 1984年
GPZ900R
(ZX900A)
gpz1000rx 1986年
GPZ1000RX
(ZX1000A)
zx-10 1988年
ZX-10
(ZX1000B)
zzr1100 1990年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100C)
zzr1100 1993年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100D)
ZX-12R 2000年
ZX-12R
(ZX1200A/B)
zzr1200 2002年
ZZR1200
(ZX1200C)
zzr1400 2006年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400A/B)
1400GTR ZG1400A 2008年
1400GTR
CONCOURS14
(ZG1400A/B)
zx-14 2008年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400C/D)
ZG1400C/E 2010年
1400GTR ABS
CONCOURS14
(ZG1400C/D/E)
ZX-14R 2012年
ZX-14R
(ZX1400E)

1400GTR(ZG1400A/B) -since2008-

1400GTR

「TRANSCONTINENTAL SUPERSPORT」

ZX-12RとZZR1200の一本化をしたかと思ったら出てきた1400GTR。ZX-14Rと分けようか迷ったのですが合わせて紹介しないと多分誰も読まないのでここに。

言ってしまえばZZR1400から更に中低速域におけるパワーの厚みを増したツアラー特化のようなモデル・・・なんだけど、まあこれが大人しい見た目に反して結構意欲的な造りをしてたりするので興味のない人も少しお付き合いを。

一応紹介しておかないといけないのですが1400GTRにもご先祖様が居ます。

コンコース1000

それは1986年にGPZ1000RXのツアラーバージョンとして出た1000GTR。

CONCOURS(コンコース)という名前は北米名。日本や欧州では1000GTR。この流れは今も変わらず、この1400GTRも北米ではCONCOURS14(ZG1400B)という名前。

上のカタログ写真を見ると、見るからに古いバイク感がありますが実はこれ最終にあたる2004年モデル。86年から大きく形を変えることなく続いたモデルだったりします。

そんな1000GTRの後継として3年ぶりに登場した1400GTRですが、ZZR1400と違う所として先ず挙げられるのが可変バルブタイミング機構を備えてる事。

1400GTR可変バルブタイミング

油圧によって吸気バルブのタイミングを変更する機能の事で、低回転時には速く、高回転時には遅く閉じるようになっています。車では非常にメジャーなので知ってる人も多いと思います。

なんで吸気のタイミングを変えた方がいいのか簡単に説明すると、回転数の高さというのはピストンスピードでもあるわけです。つまりピストンスピードの速さ・強さで負圧(空気を吸う力)も変わってくる。

そして一番効率(体積効率)を良く吸える開口時間(吸気バルブタイミング)というのはその吸う力によって違う。吸う力が弱い低回転でいつまでも空いていたら漏れるし、吸う力が強いのにすぐ閉まっちゃったら全然吸えない。

だから低回転と高回転でバルブタイミングを変えようとなって出来たのが可変バルブタイミング。どっかでも説明したかな。

1400GTR

1400GTRが可変バルブタイミングを取り入れた理由はボア・ストローク比をZZR1400から変える事なく中低速に厚みを持たせるためでしょうね。圧縮比も落とされて厚みを持たせるだけでなくマイルドな出力特性になっています。

そしてもう一つ。どちらかというとコチラの方が1400GTRを最も表す部分かな。

1400GTR

1400GTRはシャフトドライブ駆動なんだけど、シャフトドライブなのにテトラレバーリヤサスペンションといって両持ちでリンクロッドが4本も伸びてる凄い形をしてる。

これはシャフトドライブの宿命である加減速時に起こる反トルクから来るサスペンションの上下運動を可能な限り抑えるため。BMWのパラレバーが有名ですね。

1400GTR

シャフトドライブのスーパースポーツが少ないのはこの反トルクによる挙動のブレがあるからなんですが、カワサキはそんな反トルク対策のロッドを4本も付けてシャフトドライブ特有の挙動を徹底的に消し、チェーン駆動と変わらない挙動にしているわけです。だからリアアーム周りがシャフトドライブにあるまじきマッチョさを持ってる。

初代1400GTR

GTではなくGTRとしているのは、メンテンスフリーなシャフトドライブ駆動ながらも、時にはチェーン駆動であるZZR1400の様にスポーツ走行も出来る特性を持たせたからでしょう。

2009CONCOURS14カタログ写真

もちろんキーレス、パニアケース、DC電源ソケット、電動スクリーン、空気圧メーターといったグランドツアラーとしての装備はちゃんと備えられてますけどね。

主要諸元
全長/幅/高 2170/760/1170mm
シート高 815mm
車軸距離 1460mm
車体重量 220kg(乾)
[224kg(乾)]
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1352cc
最高出力 150ps/8800rpm
最高トルク 13.9kg-m/6200rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー FTZ14-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4/T4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.7L
交換時4.0L
フィルター交換時4.4L
スプロケ
チェーン
車体価格
※スペックはマレーシア仕様
※[]内はABSモデル(ZG1400B)
系譜図
gpz900r 1984年
GPZ900R
(ZX900A)
gpz1000rx 1986年
GPZ1000RX
(ZX1000A)
zx-10 1988年
ZX-10
(ZX1000B)
zzr1100 1990年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100C)
zzr1100 1993年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100D)
ZX-12R 2000年
ZX-12R
(ZX1200A/B)
zzr1200 2002年
ZZR1200
(ZX1200C)
zzr1400 2006年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400A/B)
1400GTR ZG1400A 2008年
1400GTR
CONCOURS14
(ZG1400A/B)
zx-14 2008年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400C/D)
ZG1400C/E 2010年
1400GTR ABS
CONCOURS14
(ZG1400C/D/E)
ZX-14R 2012年
ZX-14R
(ZX1400E)

ZZR1400(ZX1400C/D) -since2008-

ZX1400C

規制強化に伴いマイナーチェンジされたC型とD(ABS)型。

外見上の変更ほぼ無いものの、EURO3規制に対応するためにエンジンに手が入りました。

O2センサー(欧州仕様)の追加、キャタライザーの増設などで排ガス規制をクリア。凄いのは規制に対応させただけじゃなくて吸気ポートやピストンやインジェクターの改良で従来モデルよりも3psアップしてること。

しかも単に馬力を上げただけでなく出力特性をマイルドにし、中低速域を更に改善しています。その分お値段と車重がちょっと上がっちゃったけどね。

ZZR1400/ZX-14はフラッグシップモデルとして2011年まで5年間ほど販売されていた事もあって多彩なカラーリング設定がありました。

ZZR1400C

上の写真はその一例である2009年SEカラーなんですが、ZZR1400のカラーリングでちょっと意外だったのがライムグリーンが出たこと。

カワサキと言えば誰もがライムグリーンを思い浮かべると思うのですが、ZZR1400で正規逆輸入車(アジア仕様 ※実質日本向け)でライムグリーンの設定があったのは最終年度となる2011年モデルだけ。

ZZR1400C

というか実は歴代ZZRでライムグリーンの設定は(記憶が確かなら)一度も無かった。カワサキとしてはZZRとZ・Ninjaは違うという意志表示だったのかもしれないですね。

それが最後の最後でどういう心境の変化があったのか分かりませんがライムグリーンのZZRが出たというわけです。後継がNinjaになったのもそういう事なんでしょう。

主要諸元
全長/幅/高 2170/760/1170mm
シート高 800mm
車軸距離 1460mm
車体重量 220kg(乾)
[224kg(乾)]
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1352cc
最高出力 190ps/9000rpm
最高トルク 15.7kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー FTZ14-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4/T4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.5L
交換時3.7L
フィルター交換時4.1L
スプロケ 前17|後41
チェーン サイズ530|リンク116
車体価格 1,420,000円(税別)
[1,480,000円(税別)]
※スペックはマレーシア仕様
※[]内はABSモデル(ZX1400D)
系譜図
gpz900r 1984年
GPZ900R
(ZX900A)
gpz1000rx 1986年
GPZ1000RX
(ZX1000A)
zx-10 1988年
ZX-10
(ZX1000B)
zzr1100 1990年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100C)
zzr1100 1993年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100D)
ZX-12R 2000年
ZX-12R
(ZX1200A/B)
zzr1200 2002年
ZZR1200
(ZX1200C)
zzr1400 2006年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400A/B)
1400GTR ZG1400A 2008年
1400GTR
CONCOURS14
(ZG1400A/B)
zx-14 2008年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400C/D)
ZG1400C/E 2010年
1400GTR ABS
CONCOURS14
(ZG1400C/D/E)
ZX-14R 2012年
ZX-14R
(ZX1400E)

ZZR1400(ZX1400A/B)-since2006-

ZZR1400

「FLAGSHIP MEGA SPORTS」

再び一本化して登場したZZR1400のA型とABS付きのB型。

バックボーン式モノコックフレームなのを見ると分かる通りどちらかといえばZX-12R色が強くなっています。

ZZR1400カウルレス

エンジンもZX-12Rの物をベースに排気量を153ccも上げた物ですが、ロングストローク化やスロットルボディの小径化などZZR1200が持っていた低域での扱いやすさも重視した改良内容。

それでも車重は12Rとほぼ同等という見た目からは想像が付かない軽さを持っています。

ZZR1400質実剛健

しかし改めて見ると本当に面白いフレームですよね。

エアクリーナーボックス兼バッテリー兼フレームで、サブフレーム(シートフレーム)もありえないほど下の方から伸びている。

06zzr1400

これのおかげでシート高も12Rから10mm下がって800mmになっています。

でも一番話題になったのはやっぱりミラーに写ると思わず道を譲りたくなってしまうインパクトのある顔。

zx14face

デザインされたのはマツダの初代ロードスターなどを担当された田中俊治さんなんですが、とにかく一度見たら忘れられない魑魅魍魎さを出すことがコンセプトだったそう。

ZZR1400コンセプトスケッチ

それまで培ってきた自動車デザインよりも面白いと言い切っちゃってる辺りZZR1400のデザインは相当刺激的でエキサイトメントだったんでしょうね。

ZZR1400金剛力士

もちろんベースとなっているのは徹底的に追い求めたエアロダイナミクスによるもの。

1352ccで乾燥重量215kgで190馬力

全域最速パワーと一度見たら忘れない顔。ただそれだけでなく扱いやすさも兼ね備えていた事から非常に人気となりました。

zzr1400/zx1400a

最強ZZR1200と最速ZX-12Rを一本化した事で最強最速となったわけですね。

主要諸元
全長/幅/高 2170/760/1170mm
シート高 800mm
車軸距離 1460mm
車体重量 215kg(乾)
[218kg(乾)]
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1352cc
最高出力 180ps/9000rpm
最高トルク 15.0kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー FTZ14-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4/T4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.5L
交換時3.7L
フィルター交換時4.1L
スプロケ 前17|後41
チェーン サイズ530|リンク116
車体価格 1,600,000円(税別)
※スペックはマレーシア仕様
※[]内はABSモデル(ZX1400B)
系譜図
gpz900r 1984年
GPZ900R
(ZX900A)
gpz1000rx 1986年
GPZ1000RX
(ZX1000A)
zx-10 1988年
ZX-10
(ZX1000B)
zzr1100 1990年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100C)
zzr1100 1993年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100D)
ZX-12R 2000年
ZX-12R
(ZX1200A/B)
zzr1200 2002年
ZZR1200
(ZX1200C)
zzr1400 2006年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400A/B)
1400GTR ZG1400A 2008年
1400GTR
CONCOURS14
(ZG1400A/B)
zx-14 2008年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400C/D)
ZG1400C/E 2010年
1400GTR ABS
CONCOURS14
(ZG1400C/D/E)
ZX-14R 2012年
ZX-14R
(ZX1400E)

ZZR1200(ZX1200C)-since2002-

ZZR1200

「(Super)Sport Tourer」

ZZR1100の後継車として開発されたZZR1200のZX1200C型。

先に紹介したZX-12Rと併売する形で登場しました。

ZZR1200カタログ写真

メルセデスの提灯ヘッドライトを参考にしたと言われるライト形状などからも分かる通り、高級感を出したグランドサルーンのようなメガスポーツ。

アルミツインスパーフレームにZZR1100から改良スケールアップされ続けた伝統のGPZエンジンを搭載というZZR1100の後継らしい王道な造り。

ZZR1200ディメンション

立ち位置としてもSSライクなZX-12Rとは違いツアラー要素にウェイトを置いてある・・・わけですが、フラッグシップモデルそれもフレームからエンジンから全く違うモデルを二つも用意するというのは普通なら有り得ない話。

ZX-12RとZZR1200

なんでこうなったのかって話なんですが

公式では

「最速は12Rに任せて、ZZR1200は最強を目指した」

という見解でした。

一方で市場では

「12Rが尖りすぎていたから」

と言われているんですが、これ恐らく社内で意見が二分化したからじゃないかと思うんです。

そう思う根拠は二つあります。

カワサキZX1200C

一つはZX-12Rの企画担当だった谷さんがBSのインタビューでZX-12Rの開発で一番大変だった事を聞かれた際に

「社内にいるZZR信者の説得(原文ママ)」

と漏らした事。

そしてもう一つはZX-12Rが

『ZZRの上位版(次世代版)』

というコンセプトで開発が始まったにも関わらずZZRとは名乗らなかった事。

これらから推測するに、鋭利化するZX-12Rに納得いかない人達が多く居たからツアラーの様なZZR1200が造られたのではないかと。

ZX1200Cカタログ

というのもZZR1100が素晴らしかったのは最高速だけでなくワインディングも長距離も何でも熟せるスーパースポーツだったから。

つまり『ZZRの素晴らしい所』というのは人によって様々あり、それはカワサキの中の人達にとっても同様だった。

だからこそZZR1100の”速さ”を研ぎ澄ませたZX-12Rというこれから先(既定路線)を担うフラッグシップが生まれた一方で、ZZR1100の”万能さ”を研ぎ澄ませたZZR1200という別のZZRが後継は造らないと言っていたにも関わらず登場した。

ZX1200Cパンフ

ZZR1200カタログブックのインタビューで

「最速ZX-12R、最強ZZR1200」

と仰った言葉の真意はここにあるのではないかと。

何にせよ

2002年ZZR1200

「カワサキの人達にとってZZRは特別」

という事ですね。

主要諸元
全長/幅/高 2160/755/1245mm
シート高 800mm
車軸距離 1505mm
車体重量 236kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 23.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1164cc
最高出力 155ps/9800rpm
最高トルク 13.0kg-m/8200rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX14-BS
プラグ CR9E
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4/T4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.2L
交換時3.3L
フィルター交換時3.6L
スプロケ 前17|後44
チェーン サイズ530|リンク112
車体価格 1,150,000円(税別)
※B型はマレーシア仕様
系譜図
gpz900r 1984年
GPZ900R
(ZX900A)
gpz1000rx 1986年
GPZ1000RX
(ZX1000A)
zx-10 1988年
ZX-10
(ZX1000B)
zzr1100 1990年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100C)
zzr1100 1993年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100D)
ZX-12R 2000年
ZX-12R
(ZX1200A/B)
zzr1200 2002年
ZZR1200
(ZX1200C)
zzr1400 2006年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400A/B)
1400GTR ZG1400A 2008年
1400GTR
CONCOURS14
(ZG1400A/B)
zx-14 2008年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400C/D)
ZG1400C/E 2010年
1400GTR ABS
CONCOURS14
(ZG1400C/D/E)
ZX-14R 2012年
ZX-14R
(ZX1400E)

ZX-12R(ZX1200A/B)-since 2000-

ZX-12R

「新世代フラッグシップ」

いろんな意味で有名なZX-12R。そのせいか今となっては中古が高止まりでプレミア化しています。

いわゆる変態バイク的な扱いをされる車種な為かネタばかりが先行して真面目に書かれてる所が少ないのでここでは真面目に紹介したいと思います。

ZX-12Rカタログ

まず細かいことを言うとZX-12RはZZR1100の後継ではありません。しかし一方で後のZZR1400やZX-14Rの礎となったモデルでもあります・・・ややこしいですね。

礎になったと言われる最大の理由はエンジンの横ではなく上を通る量産車で初となるバックボーン型モノコックフレームの始まりがここだから。

ZX-12Rフレーム

これはスケールアップによって肥大化する車体幅を抑えるため。

一般的なツインスパーフレームはエンジンの横を通す必要性がある為、どうしても幅が大きくなってしまうで上を通そうというのがバックボーン。

フレームにエアクリーナーやバッテリーボックスなどフレーム以外の役割も請け負わせて一石二鳥によるというのがモノコック。

合わせてバックボーン型モノコックフレームというわけ。

カワサキはもともとレーサーの方ではこのバックボーンモノコックフレームを開発しレースに参戦していました。

KR500

1982年のWGPレーサーKR500これが元ネタ・・・かと思いきや違う。

ZX-12Rのフレームは車体設計の古橋さんが10年以上を掛けて練っていた一から考えられた構想なんです。

GPZ900R外装のモノコック、ZX-9R外装のモノコックなどを造り

モノコックフレーム

「モノコックにすればこれだけスリムに出来る」

と社内で何度も熱くプレゼンした結果、遂にZX-12Rで採用される事になったという経緯があります。

ただ試作機が出来た時はあまりにも見慣れない形だった為に誰も乗りたがらず、結局テスト走行は古橋さん本人がやる羽目になったんだそう。

そしてそんな個性的なフレームに負けず劣らず凄いのが完全新設計のエンジン。

ZX-12Rエンジン

剛性メンバー(フレーム)の一部として個性的なフレームに合わせて造られた新設計のもの。

ZX-12R銀

B/S比も83.0mm×55.4mmとかなりのビッグボア型で低速トルクが1200ccと思えないほどなく、このクラスにも関わらずかなりブンブン回して走らせるタイプ。

ZX1200Aカタログ

狙いはもちろんGPZ900Rの頃からよりもずっと前、Z1の頃からこだわってきた

『世界最速』

を成し遂げるため。

そのためにこんな極端なボアストローク比のエンジンになっているんですが、ここで終わらないのがZX-12Rの凄い所。

独自の車体設計に加えて航空部門の技術者を招致し、エアロダイナミクスも徹底したんです。

ZX-12Rエンジン

どストレートに来ている吸気口や弾丸のようなミラー、そしてサイドカウルに設けられたウィングなどが正にその証。

MotoGP系で話題になっているウィングをカワサキはこの段階でやっていたわけです。

とにかく何もかも新しい技術が詰め込まれたZX-12R。

完全新設計にも関わらず排気量は抑え気味に1199ccという排気量を選んだのは間違いなく技術力を示すためでしょうね。

ZX-12Rエアフロー

しかし・・・当時はそれほど暖かく迎え入れられる事はありませんでした。生産終了した今のほうが騒がれてるんじゃないかと思うほど。

その理由の一つに”扱いにくい”というイメージが先行した事があります。

「ZX-12Rは曲がらない」

「最高速だけを取ったバイク」

とか言われるのを聞いたことがあると思います。

ZX-12R広告

何故こういう印象を与えてしまったのかというと想定域が高すぎたから。

例えばバイクはフレームが捩れる事で初めて綺麗に曲がれるわけなんですが、その捩れるポイントがこのZX-12Rは圧倒的に高い。

それに加え200/50のタイヤなども加わって曲がらない寝ないバイクという印象が立ってしまった。

これはカワサキらしい伝統のハンドリングともいえ旧来のカワサキを知るオーナー達にとっては

「簡単には曲がってくれない感が面白い」

と好評だったんですけどね。

ただパタンパタンと簡単に寝るSSがトレンドだった当時はそれを認めてくれる人があまり居なかった。

2002年にはそれらネガな部分を潰した後期(通称B型)が登場。

ZX-12R後期

140箇所以上にも及ぶ改良によって若干フレンドリーに変更。

見た目の方もライト形状の変更に加え、ただの筒だったラムエアダクトをカウル形状に合わせた物になりました。

ZX-12R後期サイド

さらにフロントフォークとブレーキがZX-10Rと同じラジアルマウント式に変更・・・多分モデルチェンジでの一番の恩恵はこれかと。

怒涛の加速と直進安定性で

「ZX-12Rは危ない」

とかネタで言われたりするんですが、そのネタの中にもは制動力の無さも関係してたり・・・まあこの頃のクラスはみんなブレーキに様々な悩みを抱えてたのでZX-12Rに限った話でもないですけどね。

今にして思えばSSとメガスポーツその両方を足して2で割った様なバイクでした。

主要諸元
全長/幅/高 2080/725/1185mm
[2085/740/1200mm]
シート高 810mm
[820mm]
車軸距離 1440mm
[1450mm]
車体重量 210kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 20.0L
[19.0L]
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1199cc
最高出力 178ps/10500rpm
[178ps/9500rpm]
最高トルク 13.8kg-m/7500rpm
[13.7kg-m/7500rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後200/50ZR17(75W)
バッテリー YTX14-BS
プラグ CR9EKPA
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.6L
交換時2.5L
フィルター交換時2.8L
スプロケ 前18|後46
チェーン サイズ530|リンク116
車体価格 [1,250,000円(税別)]
※A型はUS仕様
※[]内B型はマレーシア仕様
系譜図
gpz900r 1984年
GPZ900R
(ZX900A)
gpz1000rx 1986年
GPZ1000RX
(ZX1000A)
zx-10 1988年
ZX-10
(ZX1000B)
zzr1100 1990年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100C)
zzr1100 1993年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100D)
ZX-12R 2000年
ZX-12R
(ZX1200A/B)
zzr1200 2002年
ZZR1200
(ZX1200C)
zzr1400 2006年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400A/B)
1400GTR ZG1400A 2008年
1400GTR
CONCOURS14
(ZG1400A/B)
zx-14 2008年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400C/D)
ZG1400C/E 2010年
1400GTR ABS
CONCOURS14
(ZG1400C/D/E)
ZX-14R 2012年
ZX-14R
(ZX1400E)

ZZ-R1100(ZX1000D)-since1993-

ZX1100D

「A Legend in Its Time」

四年目にして早々とモデルチェンジとなったZZR1100後期型の通称D型。

目立った変更としては

・フレーム改良
・ローター径アップ
・リアタイヤ180/55化
・ラムエアダクトのデュアル化
・デザインのブラッシュアップ
・細部の不具合潰し

【1995年モデル】

・騒音規制対応マフラー
・スプロケ丁数の変更
・サスペンションの変更
・キャブレターの変更
・ミッションの改良

【1998年モデル】

・触媒入りマフラー

【2001年モデル】

・メーターが320km/hから280km/hに

などなど改良は多岐にわたっています。

ZZR1100カタログ

ところでZZRというと上の写真を見てもらうと分かる通り

「ZZR」「ZZ-R」

と2パターンの書き方があるんですが、実はこれどちらも正解。仕様地や年度によってバラバラなんです。

ただ2000年ごろから”ZZR”で統一するようにしたよう。だからZZR1100はZZ-Rでもいいんでしょうけどね。

あと発音の方ですが

「ゼットゼットアール」「ズィーズィーアール」

と色んな呼ばれ方をされていますが、カワサキの開発者はズィーズィーアールと言っていたのでズィーズィーアールと読むほうが混乱が少ないかと思います。

ZX1100D4

さてZZR1100は日本のみならず世界的に認められていたんですが、じゃあなんでZZRはそんなに評価されたのか当時を知らない方も多いと思うので少しお話を。

ZZR1100はどうしても

「最高速が凄かったバイク」

という紹介やイメージが先行してしまうんですが、人気となった秘訣は実はそこじゃないんです。

zz-r1100d

人気となった理由はスラントノーズやウイングのようなテールカウルなどエアロダイナミクスを更に進化させた他にない空気を醸し出しているカウルデザインだったのも勿論あるんですが、一番は

「圧倒的なパワーなのに軽快感があったから」

なんですね。

ZZR1100D透視図

これは当時としてはコンパクトに纏めた車体と前後17インチによるもので、ZZRがすごく評価されのは実はこのハンドリングなんです。

でもこれ偶然じゃないんですよ。これこそが開発陣がZZR1100開発で非常に大事にしたこと。

何故ならZZR1100は

『カワサキが考えるスーパースポーツ』

というのがコンセプトだったから。

直線番長だけではなくツーリングでも、街乗りでも、峠でも、サーキットでも、どんなシチュエーションでも敵なしといえるバイクこそがスーパースポーツという考え。

ZZR1100カタログ

だからこそハンドリングに凄くこだわったんです。

これはデザイン担当の青木さんを始めZZRに関わった人みんなが口を酸っぱくして何度も言ってる大事なこと。

そのコンセプトをまざまざと示したのがこのD型。

多くの改良をしたにも関わらずC型から馬力は1馬力も上がっていないんです。理由はもちろんトップスピードだけがコンセプトじゃないから。

ZZR1100カタログ

元祖最高速バイクというイメージが先行しがちですが正しくは

『カワサキ流スーパースポーツ』

というのがZZR1100のコンセプトであり、絶賛された部分でもありました。

主要諸元
全長/幅/高 2165/730/1205mm
シート高 780mm
車軸距離 1480mm
車体重量 233kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 24.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1052cc
最高出力 147ps/10500rpm
最高トルク 11.2kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX14-BS
プラグ CR9E
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.2L
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前17|後44
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格
系譜図
gpz900r 1984年
GPZ900R
(ZX900A)
gpz1000rx 1986年
GPZ1000RX
(ZX1000A)
zx-10 1988年
ZX-10
(ZX1000B)
zzr1100 1990年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100C)
zzr1100 1993年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100D)
ZX-12R 2000年
ZX-12R
(ZX1200A/B)
zzr1200 2002年
ZZR1200
(ZX1200C)
zzr1400 2006年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400A/B)
1400GTR ZG1400A 2008年
1400GTR
CONCOURS14
(ZG1400A/B)
zx-14 2008年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400C/D)
ZG1400C/E 2010年
1400GTR ABS
CONCOURS14
(ZG1400C/D/E)
ZX-14R 2012年
ZX-14R
(ZX1400E)

ZZ-R1100(ZX1000C) -since1990-

ZZR1100 ZX1100C

「世界一の動力性能」

リッターオーバー車の方向性を決定付けたといえるZZR1100の前期C型。ちなみに北米ではZX-11という車名だった事からイレブンという愛称で呼ばれたりもしています。

ZX-11

先代ZX-10をベースにボアを2mm拡大しつつシリンダー傾斜角を2°増、更にピストンやコンロッドも新設計で高回転寄りにして1052cc/147馬力というクラストップの147馬力をマーク。

ストック状態で280km/hまで達する性能で時速300km/hが見えてきたと話題になりました。

※一部雑誌では300km/h超えをマーク

ZZR1100は頭一つ抜きん出ていた速さを持っていたわけですが、この理由の一つはこれ。

F40

0-1000で20秒台を記録し当時世界最速と言われていたフェラーリのF40。

これをベンチマークにし、超える事がZZR1100の目標だった。そのために専用のカウンターまで用意。

最終的に完成したZZR1100は0-1000を18.9秒と19秒台どころか18秒台に。※KBM1999/7より

ZZR1100 C型

ここまでの速さを身につけられた秘訣は、タンクが盛り上がっているにも関わらずガソリン容量が先代から1L減ってる事から見ても分かるように大容量のエアクリーナーボックスなのが一つ。

そしてもう一つがそれに合わせて備え付けられた特徴的なラムエアダクト。

1990ZX11000C

走行風をダイレクトにエアクリーナーに取り入れる事で空気を加圧するセルフターボの様な仕組みで、初出はZXR250なんですが世間が大々的に認知するようになったのはこのZZR1100から。それほどZZR1100のインパクトは強かった。

・・・ただし今でこそ名車として有名なZZR1100ですが、モーターショーでは同時発表されたゼファーに話題を全て持って行かれ影に隠れていました。

1989東京モーターショーZZR

カワサキ自身も国内では750自主規制もあって売れないと考えていたのかアピールしなかった事もあるかと。

じゃあどうやって人気が広まったいったのかというと雑誌などのインプレッション。それまでとは一線を画する速さを持っていることがテストや最高速アタックで白日の下に晒される事になったんです。

ZX-11C

この事で初めてとんでもない性能のバイクだということが多くの人に認知さるれとジワジワと人気が出始め、限定解除や逆輸入という当時としては非常に高いハードルがあったにも関わらず大人気モデルに。一時は弾不足で高騰すら招きました。

※国内登録台数(RIDERSCLUB98/12)

90年1,992台
91年2,626台
92年2,169台
93年623台

1990ZX11000C

ZZR1100はカワサキがGPZ1000RX、ZX-10と止めずに拘り続けた姿勢が報われたモデルであると同時に

「リッターオーバーの方向性を決定づけた」

ともいえるパイオニアの様なモデルでした。

主要諸元
全長/幅/高 2165/720/1210mm
シート高 780mm
車軸距離 1480mm
車体重量 228kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 21.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1052cc
最高出力 147ps/10500rpm
最高トルク 11.2kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70VR17(58V)
後170/60VR17(72V)
バッテリー YB14L-A2
プラグ CR9E
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.2L
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前17|後45
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格
系譜図
gpz900r 1984年
GPZ900R
(ZX900A)
gpz1000rx 1986年
GPZ1000RX
(ZX1000A)
zx-10 1988年
ZX-10
(ZX1000B)
zzr1100 1990年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100C)
zzr1100 1993年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100D)
ZX-12R 2000年
ZX-12R
(ZX1200A/B)
zzr1200 2002年
ZZR1200
(ZX1200C)
zzr1400 2006年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400A/B)
1400GTR ZG1400A 2008年
1400GTR
CONCOURS14
(ZG1400A/B)
zx-14 2008年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400C/D)
ZG1400C/E 2010年
1400GTR ABS
CONCOURS14
(ZG1400C/D/E)
ZX-14R 2012年
ZX-14R
(ZX1400E)

ZX-10(ZX1000B)-since1988-

ZX-10

「INTRODUCING A NEW BALANCE OF POWER」

二年でフルモデルチェンジされた後継となるZX-10。

フレームがアルミツインスパーのe-BOXフレームとなり、エンジンもヘッドとピストンの見直しで16kgもの軽量化&12psアップで再び世界最速に。

ホイールも不評だった前後16インチというクラスにあるまじき小径から主流だった17/18インチへと変更。

ZX-10ボディ

ZX-10の狙いはズバリこのラジアルタイヤにしたかったのが最大の狙い。

このおかげでゼロヨン10.5秒、最高速度270km/hと文句なしの性能になりましが・・・が、残念ながら最速バイクの割にはあまり話題にはならなかった。

ニンジャZX-10

ZX-10が売れなかったとされる理由は、デザインがモッサリだとして評判があまり良くなかったGPZ1000RXからほとんど変えなかったから。

中身を凄く進化させたのに外見はほぼそのままっていう。

何故カウルデザインを大きく変えなかったのかというと、車体担当の藤井さんいわく

ZX1000B

「これはモデルチェンジではなくGPZ1000RXのエボリューションモデルだから」

との事。

要するに変えるために変えるのではなく、積み上げていく安心感を第一に考えた変更ということ。

同じものを何十年も売る重工業らしい考えですね。

主要諸元
全長/幅/高 2170/715/1240mm
シート高 790mm
車軸距離 1490mm
車体重量 222kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 997cc
最高出力 137ps/10000rpm
最高トルク 10.5kg-m/9000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70VR17
後160/60VR18
バッテリー YB14L-A2
プラグ CR9E
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.0L
スプロケ 前17|後45
チェーン サイズ532|リンク110
車体価格
系譜図
gpz900r 1984年
GPZ900R
(ZX900A)
gpz1000rx 1986年
GPZ1000RX
(ZX1000A)
zx-10 1988年
ZX-10
(ZX1000B)
zzr1100 1990年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100C)
zzr1100 1993年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100D)
ZX-12R 2000年
ZX-12R
(ZX1200A/B)
zzr1200 2002年
ZZR1200
(ZX1200C)
zzr1400 2006年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400A/B)
1400GTR ZG1400A 2008年
1400GTR
CONCOURS14
(ZG1400A/B)
zx-14 2008年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400C/D)
ZG1400C/E 2010年
1400GTR ABS
CONCOURS14
(ZG1400C/D/E)
ZX-14R 2012年
ZX-14R
(ZX1400E)
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