ZX-14Rの系譜

ZX-12R
(ZX1200A/B)
-since 2000-

ZX-12R

「新世代フラッグシップ」

いろんな意味で有名なZX-12R。そのせいか今となっては中古が高止まりでプレミア化しています。

いわゆる変態バイク的な扱いをされる車種な為か、ネタで書かれることはあっても真面目に書かれてる所が少ないのでここでは真面目に紹介したいと思います。

ZX-12Rカタログ

まず細かいことを言うとZX-12RはZZR1100の後継ではありません。

 

でも造りからいくと後のZZR1400やZX-14Rに多大な影響を与えたご先祖様でもあります・・・ややこしいですね。

その最大の理由はZZR1100の頃から検討されていたと言われるエンジンの横ではなく上を通る量産車で初のバックボーン型モノコックフレーム。

ZX-12Rフレーム

これは排気量増加に伴って肥大化する車体幅を抑えるため。

一般的なツインスパーフレームはエンジンの横を通す必要性があるからどうしても幅が大きくなってしまうでの上を通そうという話。

KR500

このバックボーンフレームの礎となっているのは1982年のレーサーKR500・・・と思いきや違う。

ZX-12Rのフレームは、車体設計の古橋さんが10年以上温めていた構想。

GPZ900R外装のモノコック、ZX-9R外装のモノコックなどでを造り

モノコックフレーム

「モノコックにすればこれだけスリムに出来る」

と社内で熱くプレゼンした結果、採用される事になった経緯があります。

 

そしてそんな個性的なフレームに負けず劣らず凄いのが二軸二次バランサー付きのエンジン。

ZX-12Rエンジン

ZZR1100やライバルのハヤブサは一軸二次バランサー。

それに対して二軸二次バランサーなのがZX-12Rの特徴です。ブラックバードなんかも二軸でしたね。

長くなってしまうのでザックリ説明ですが、一軸二次バランサーも二軸二次バランサーも二次振動(ビーンという手が痺れるような上下振動)を打ち消すのが目的の重りで、一軸と二軸の違いは文字通りそのバランサーシャフトが一本か二本かということ。

二軸バランサー

上下振動自体は一軸でも消せるんだけど、今度はそのバランサーの加振力(前後の振動)が出てしまう。だからその加振力を生まないために時計回りと反時計回りで挟む様にしたのが二軸バランサー。

ただ当然ながら二軸(二本)の方が構造が(オイルを叩かないように)複雑化してコストが上がるし、抵抗も重量も増すから馬力を出す場合は不利。

ZX-12R銀

一軸と二軸では5馬力ほど差が生まれるそうです。

じゃあどうして馬力が求められるメガスポーツでカワサキが二軸を選んだのかというと、上で言ったバックボーンフレームが関係しています。

バックボーンフレームというのはエンジンも剛性メンバー、フレームの一部として積極的に使う。

つまり振動を完膚なきまでに消しフレームにエンジンをリジッドマウント(直付け)させるために二軸バランサーを採用したというわけ。

ZX1200Aカタログ

だからこの12Rは(ZZR1400やZX-14Rもそうだけど)強烈なイメージから荒々しいエンジンや加速をイメージする人が多いけど実は凄くジェントルなんです。

ただ1199ccもあるのにB/S比が83.0mm×55.4mmとかなりのビッグボア型なので低速トルクが1200ccと思えないほどない・・・では何故そんな事をしたのかというと、もちろんバランサーを備えつつ最高馬力を叩き出すため。

カワサキはGPZ900Rの頃・・・いやZ1の頃から「世界最速」に並々ならぬコダワリを持っていました。

だからこそGPZ1000RXがコケようとZX-10がコケようとZZR1100というバイクを出してきたわけです。

そんなZZR1100が開拓したと言える世界最速(メガスポーツ)部門の頂を取られて黙っているわけがなく、遂にはエアロダイナミクスを考慮するために航空部門の技術者をも招致。

ZX-12Rエンジン

もうちょっと何とか出来なかったのかと言いたくなる吸気口や弾丸のようなミラー、そしてサイドカウルに設けられたウィングなどが正にその証。

MotoGP系で話題になっているウィングをカワサキはこの段階でやっていたわけです。

 

ちなみにZX-12Rが出る前から当時のKAZEのミーティングでも

「ZZR1100の後継(世界最速)を早く出せ」

とカワサキユーザーから相当責められていたようです。

とにかく最速を目指して作られたZX-12Rですが、完全新設計にも関わらずクラストップではない1199ccという排気量を選んだのは間違いなく技術力を示すためでしょうね。

ZX-12Rエアフロー

そんなZX-12Rですが・・・実はいまの人気と違って見事に売れませんでした。

その理由の一つに"扱いにくい"というイメージが先行した事があります。いやイメージというよりも事実かな。

「ZX-12Rは曲がらない」「最高速だけを取ったバイク」

と言われるのを聞いたことがあると思います。

ZX-12R広告

何故こういう印象を与えてしまったのかというと想定域が高すぎたから。

例えばバイクはフレームが捩れる事で初めて綺麗に曲がれるわけなんですが、その捩れるポイントがこのZX-12Rは圧倒的に高い。

それに加え幅200のタイヤなども加わって曲がらない寝ないバイクという印象が立ってしまった。

旧来のオーナーにはこの”簡単には曲がってくれない感”がカワサキのビッグバイクらしいと好評だったんですけどね。ただ当時はそれを求める人があまり居なかった。

 

そこで2002年にはそれらネガな部分を潰した後期(通称B型)が登場。

ZX-12R後期

140箇所以上にも及ぶ改良によって一転してフレンドリーに。

見た目の方もライト形状の変更に加え、ただの筒だったラムエアダクトをカウル形状に合わせた物に。

ZX-12R後期サイド

さらにフロントフォークとブレーキがZX-10Rと同じラジアルマウント式に変更・・・多分モデルチェンジでの一番の恩恵はこれかと。

ZX-12R(A型)が"危ないバイク"とか言わるようになった理由は怒涛の加速力だけじゃなくて制動力の無さも関係してたり・・・まあこの頃のクラスはみんなブレーキに様々な悩みを抱えてたのでZX-12Rに限った話でもないですけど。

主要諸元

全長/幅/高 2080/725/1185mm
[2085/740/1200mm]
シート高 810mm
[820mm]
車軸距離 1440mm
[1450mm]
車体重量 210kg(乾)
燃料消費率 -
燃料容量 20.0L
[19.0L]
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1199cc
最高出力 178ps/10500rpm
[178ps/9500rpm]
最高トルク 13.8kg-m/7500rpm
[13.7kg-m/7500rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後200/50ZR17(75W)
バッテリー YTX14-BS
プラグ CR9EKPA
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.6L
交換時2.5L
フィルター交換時2.8L
スプロケ 前18|後46
チェーン サイズ530|リンク116
車体価格 [1,250,000円(税別)]
※A型はUS仕様
※[]内B型はマレーシア仕様

系譜図

gpz900r 1984年
GPZ900R
(ZX900A)
gpz1000rx 1986年
GPZ1000RX
(ZX1000A)
zx-10 1988年
ZX-10
(ZX1000B)
zzr1100

1990年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100C)

zzr1100

1993年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100D)

ZX-12R

2000年
ZX-12R
(ZX1200A/B)

zzr1200 2002年
ZZR1200
(ZX1200C)
zzr1400 2006年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400A/B)
1400GTR ZG1400A 2008年
1400GTR
CONCOURS14
(ZG1400A/B)
zx-14 2008年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400C/D)
ZG1400C/E 2010年
1400GTR ABS
CONCOURS14
(ZG1400C/D/E)
ZX-14R 2012年
ZX-14R
(ZX1400E)