ジムカーナとは

事務

ジムカーナとは説明するまでも無いとは思いますが決められたパイロンが置かれたコースでのタイムを競う競技。

コース

走る・曲がる・止まるを如何に速く正確に行えるかが肝。ハイレベルな卒検みたいな感じです。

大人気の白バイイベント「全国白バイ安全運転競技大会」も言ってみればジムカーナですね。

全国白バイ安全運転競技大会

ジムカーナはサーキット等と違い、ライセンスやレギュレーションが基本的にありません。

これはサーキットにおけるスーパースポーツの様にメーカーがジムカーナ向け車種を作ってないから。そのため小型から大型まで様々な車種が走ってるのが特徴。

ジムカーナといえば知らぬものは居ないくらいの知名度ですが、実はそれに反して人口や人気はロードレースの比じゃないほど低く、MFJの様な統括する協会はありません。※ジムカーナはMFJの管轄外

そのため全国各地で様々なグループや団体が行っています。

二輪ジムカーナ協議会

その中でも一番大きいのが関東を中心とするJAGE(二輪ジムカーナ主催者団体協議会)でクラスを作って競い合っており、今では各地域も一応ここに準ずる形に。

クラス分けはA>B>C1>C2という形。

ジムカーナのクラス協議会

トップであるAクラスは飛び抜けたライディングテクニックと同時にジムカーナに人生を捧げた限られた人のみがたどり着ける頂です。

以降B→C1→C2と続くんですが、昇格条件はJAGE認定大会で優秀な成績(タイム)を残すこと。ちなみに降格条件はありません。

「Cクラスくらいなら大したこと無いのかな」

・・・と思うかもしれませんがC2でも並の人間ではないです。

ただ安心していただきたいのはその下の初心者クラスやレディースクラスといったノービスクラスもあるので気兼ね無く参加できます。

【参加条件】
・公道走行可能な合法のバイク(爆音マフラーとかも駄目)
・SG規格のフルフェイスヘルメット(日本で売ってるヘルメットはほとんど入ってる)
・指先まで隠れるバイク用グローブ
・ハードプロテクター入りジャケット若しくは肘プロテクター(プロテクターだけなら数千円)
・プロテクター入りパンツ(上に同じく)
・くるぶしまで隠れるブーツ若しくはバイク用シューズ

たったこれだけ。

一般ライダーならほとんど持っているだろう装備ばかりで、サーキットの様に最初に大枚を叩いて装備を揃える必要はないです。

ちなみにジムカーナで一番多い怪我は骨折や切傷ではなく

『ヤケド』

です。

だから薄いウェアや肌が露出する格好が一番危なくレザーが間違いない。

ただ最初に言ったようにレースの比ではない人口の少なさだからホンダやダンロップやオートバイと言った企業の助力や教習所の協力で成り立ってるのが現状なので幾つか注意点があります。

dunlop杯

ジムカーナは別にランクやタイムを競う事だけが魅力ではありません。

先にも言いましたが走る・曲がる・止まるが基本。

教習所でやった習った事のステップアップ的な立ち位置でもあります。
「もう一度教習所を走りたい」

「安全な場所で練習したい」

「もっと愛車と人馬一体になりたい」

とか恐らく誰もが一度は思うことだと思いますが、それに打って付けなのがジムカーナ。

ジムカーナ練習会

嬉しい事にジムカーナは大会とは別に練習会というジムカーナを体験&練習出来るイベントも教習所などの協力により各地で行われています。

上で言った通り”車種の縛り”がありません。

ネイキッドは勿論のこと、SSでも原付でもスクーターでも何でも基本的にOK。普段使ってるバイクで自分もプロテクターを付けるだけで参加できます。

バンク角の浅いビッグスクーターやアメリカンやメガクルーザーはちょっと厳しいですが駄目ということはありません。

ただジムカーナには注意点が二つあります。

その1 「絶対に転倒します」

転倒

これは絶対。サーキットなんかよりよっぽどコケます。

速度がサーキットほどではないので致命傷を受けることはありませんが真面目に取り組むと絶対にコケます。

しかし逆に考えればジムカーナでどうやったらコケるかを学べるわけで、公道でコケなくなるスキルを身につける事が出来るんですね。

一度参加してみて面白いと感じたらエンジンガードを付けるなりジムカーナ用に一台増車するなりしてみるといいかもしれません。

その2 「善意で成り立っている」

教習所での練習風景

ジムカーナは最初に言った通り統括する組織、ジムカーナで利益を得ている団体などはほぼ存在しません。皆の善意によって成り立っている競技です。

そのためゴミをポイ捨てしたり勝手な行動をとったりするルールやマナー違反をした場合、イベント自体が消滅してしまう恐れがあります。

参加する際はそのことを重々頭に入れ、マナー違反や独断行動をしないよう気をつけましょう。

最後になりましたが、ジムカーナに興味を持たれた方はJAGE公式HPを見てください。近くであっている練習会や大会を調べる事が出来ます。

参加とまではいかなくても、見学だけなら無料の所が大半ですので、ツーリングがてら見学に行くのも良いかもしれませんね。

追伸

ジムカーナとは別に安全運転競技会と『安全運転講習会』なるものがあります。

安全運転競技会というのはタイムのみならず法規走行しているかが大事な競技。

バイクの練習

これは日本二輪安全普及協会主催で行われている講習です。

全国展開しており営利ではないので参加料も一日ミッチリやって2000円という安さ。

もう一度教習所で練習したいと思っている方は勿論、スキルを磨きたい人などには打って付けですね。

是非とも参加されてみてはいかがでしょうか?

グッドライダーミーティング

注意点

・車両は基本的に全て持ち込み

・バイクに乗るのにふさわしい服装(半袖・半ズボン・サンダル不可)

・違法改造車不可

となっております。

詳しくはこちら(日本二輪普及協会 安全運転講習)からどうぞ。

FIM(国際モーターサイクリズム連盟)主催 世界三大レース

モトGPオートバイレースの頂
「ロードレース世界選手権 MotoGP(WGP)」
SBK-WSB市販車レースの最高峰
「スーパーバイク世界選手権 SBK(WSB)」
FIM世界耐久選手権耐久性までも試される
「FIM世界耐久選手権 FIM-WEC」

有名なローカルレース

JSB1000世界の国別スーパーバイク選手権
「JSB、AMA、BSC….etc」
マン島TT最も危険で最も崇高なレース
「マン島TTレース」
草レース初心者からベテランまで
「草レース」
ジムカーナ転けた分だけ上手くなる
「ジムカーナ」
サーキットの魅力最後に
レース・サーキットの魅力

草レースについて

草レースって言葉は聞いたことがあると思います。
これはMotoGPやJSB等、協会が主催するレースとは別で、承認や非公認のレース、要するにアマチュアレースです。

もちろん草レースにも本気組が多数いるレースや気分だけ味わうナンチャッテレースなど様々です。

ここではそんな中でも面白いレースを少し紹介してみようと思います。

もし興味を持たれたら近くのサーキット場のHPやMFJ公式サイトを覗いてみることをオススメします。

ワンメイクレース 場所:各地サーキット

ドリームカップ

主にホンダなどのメーカーや主催者が行っている市販車ベースのワンメイクレース。

CBR250RのみだったりGROMのみだったりで改造範囲はほぼ何も出来ないほど厳しく制限されてます。

グロムカップ

そのためそれを買えばもうそのまま出られる様なレース車両をHRCやモリワキといったメーカーが車両を販売しています。

HSR社製CBR250R

狙いはもちろんサーキットを身近なモノにし、多くの人にレースの楽しさや面白さを知ってもらうため。

ドリームカップを例に上げると全国に18あるサーキットでそれぞれ全4~5戦が一年を通して日曜日に開催。

この地方戦で好成績を収めると鈴鹿で行われる決勝レースに出られる。そして優勝すると更に上のクラスST250等へ・・・と言った感じで活躍の舞台が広がるというわけですね。

「ちょっと気が引ける・・・」

と思う人も安心。こういったワンメイクレースにはビギナークラスという初心者、レース未経験者の為のクラスがあります。

興味を持たれた方はコチラの公式サイトをどうぞ。

小さいバイクの大きな祭り「DE耐久」 場所:ツインリンク茂木

DE耐

合言葉は「勝敗を競うのではなく、みんなでバイクを楽しもう」

総排気量が100cc以下の4st市販車限定のレースで満12歳以上なら誰でも参加可能。

7時間にも及ぶ耐久レースな為、瞬発的な速さよりコケない、無理しない等の安定性が求められるレース。

さらに最近になってエンジョイクラスという新しいクラスが出来ました。 これはSBKでいうところのスーパーストックの様なクラスで改造範囲が物凄く厳しく制限されている。
つまり市販の100ccの4stバイクを買えば直ぐにでも参加できるという有って無いのような敷居の低さ。

年一回開催です。詳しい内容はコチラからどうぞ。

バイク無くてもOK!「Let’s レン耐」 場所:各サーキット

DE耐

そもそも走らせるバイクが無い・・・
そんな人の為に考案されたのがレンタルバイクで行うレースその名も「レン耐」

身一つあれば参加できます。条件は皆同じで老若男女ビギナーからエキスパートまで色んな人が走ります。

一番のポイントは速い上級者でも初心者に接触したりして転倒させてしまった場合はなんと失格という厳しさ。万が一レンタルバイクをコケてしまっても罰金はたったの5000円という破格の安さ。

各地のサーキットで行ってる模様です。詳しい内容はコチラ。

ちなみにこのレンタルバイクで走るレースはこの「レン耐」以外にも結構各サーキットでやってたりします。

終わりに

紹介したこれらのレースは草レースの中でもほんの一部です。

「サーキットを走ってみたい」「模擬レースをやってみたい」「皆でワイワイとバイクを楽しみたい」

と思ったらお近くのサーキット場のホームページをご覧になることをオススメします。結構色々やってたりします。

特にミニバイクのレースは非力故に重要度が

『体重>>>テクニック』

だったり、サーキット常連より通勤で毎日乗ってる一般人が速かったりと一筋縄ではいかない非常に面白いものがあります。

毎日の通勤で鍛えられてる通勤最速ライダーは挑戦してみると予想外の活躍が出来るかもしれません。

FIM(国際モーターサイクリズム連盟)主催 世界三大レース

モトGPオートバイレースの頂
「ロードレース世界選手権 MotoGP(WGP)」
SBK-WSB市販車レースの最高峰
「スーパーバイク世界選手権 SBK(WSB)」
FIM世界耐久選手権耐久性までも試される
「FIM世界耐久選手権 FIM-WEC」

有名なローカルレース

JSB1000世界の国別スーパーバイク選手権
「JSB、AMA、BSC….etc」
マン島TT最も危険で最も崇高なレース
「マン島TTレース」
草レース初心者からベテランまで
「草レース」
ジムカーナ転けた分だけ上手くなる
「ジムカーナ」
サーキットの魅力最後に
レース・サーキットの魅力

マン島TTレース

マン島TT

マン島TTレースとはアイリッシュ海にある島の公道をサーキットコースに見立て時速330km/h以上で駆け抜ける事で有名な春に開催されるイギリスのレース。

マン島TTレースGSX-R1000

あまりの吹っ飛びっぷりから映画や動画などでも有名なので見たことがある人も多いかと思います。

全く分からないって人はこのYoutube動画をどうぞ

そもそもマン島が何処にあるのかというと場所はここです。

マン島TT

どうしてこんな都市をいっぱい書いたのかと言うと、ここに書かれている都市からマン島への船や飛行機の直行便が出ているから。

キャンプやらトレッキングやらサイクリング、バイクでもミーティングを始めとしたロケ地などとして人気なスポットなんですね。

マン島コンテンツ

でも勿論ここまで人気になったのは他ならぬマン島TTというレースがキッカケ。

クラスは基本的にSBKに準拠してて簡単に説明すると

『スーパーバイクTT』

リッターSSの改造OK
(実質SBK)

『スーパースポーツTT』

上記の600SS版
(実質SSK)

『スーパーストックTT』

リッターSSで改造範囲が厳しく制限
(実質スーパーストック1000)

『ライトウェイトTT』

二気筒650cc以下

『TT Zero』

電動バイクのみ
(厳密に言うとCO2排出ゼロのバイクのみ)

『セニアTT』

スーパーバイククラスの予選通過者のみ参加可能な大トリ

スーパーバイクやシニアは6周、スーパースポーツやスーパーストックは4周しラップタイムを競うタイムトライアルなんですが10秒置きにスタートという独特な形なのでバッティングしたりもする。

本当は他にもサイドカークラス等がありますが省きますゴメンナサイ。

マン島TTスタート

元々が一般道だからすぐ横が壁だったり民家だったりガードレールだったり崖だったりする中を物凄いスピードで走るんだから当然危ない。

実際マン島TTで亡くなったレーサーは1907年から2013年までで240人超にも及びます。

そのため現在では夏に行われる『マンクスグランプリ』という登竜門レースで実績を上げた者のみが参加できるようになっています。

ちなみに開催前には来客にコースが一般開放される事で突っ込んで亡くなる一般人も非常に多く、そのため開放日は

『マッドサンデー』

とか呼ばれています。

そもそもこのマン島TTは何なのかという話ですが、これは世界レースではなくナショナルレース。

言ってしまえばイギリスのローカルレースみたいなもの。

「何故そんなレースが生まれ続いているのか」

と疑問に思われている人も多いと思うので端折りつつ長々と書いていきたいと思います。

マン島の旗

マン島レースの始まりは1904年になります。

まずここに至るまでの話ですが、19世紀末になると内燃機関の開発が進み自動車やバイクがモータリゼーション先進国である欧米で造られる様になりました。

そんな乗り物を造るメーカーや運転する人が増えればレースが生まれるのは自然な流れ。

「最初のレースがいつかだって?それは2台目が造られた時さ。」

なんてジョークもあるように欧米の各国でレースが行われるようになり遂には

『ゴードンベネット杯』

ゴートンレース

という要するに国別対抗の国際レースが1900年にフランスで開催される事に。

コースはパリからマドリードまでという国ごとにやっていた市街地レースの延長線上の様な形。

ちなみにブリティッシュグリーン、イタリアンレッドなど俗にいうナショナルカラーはこの時に定められたものです。

もちろんベネット杯にはイギリスも参加していたんですが・・・ハッキリ言って全く歯が立ちませんでした。

その理由の一つはドーバー海峡を渡らないといけないハンデがあった事。※トンネルが出来るのは1994年

ドーバー海峡

そしてもう一つは

『イギリスにレース文化が無かった事』

があります。

今では考えられませんが当時のイギリスではスピードを出すことすら厳しく禁じられておりレースなんてもっての外だったんです。

これはイギリスが蒸気機関車の開発にいち早く成功し、汽車に舵を切っていた(汽車に既得権益があった)事が起因しています。

イギリス国鉄

そのため内燃機関におけるモータリゼーションでフランスやドイツに大幅に遅れていた。

フランスやドイツに遅れるというのはイギリスにとって危機的であり屈辱的な事。

そこでイギリスの自動車関係者がこの状況をなんとかするために、ひいては国内のモータリゼーションを発展させるために

「イギリスでもレースを」

と模索するわけですが当然ながら汽車第一のイギリスで認められるわけもない話。

そこでイギリスの伯爵であるラグランという人に相談したところ

「ならばマン島に呼びかけてみよう」

という案を思いつきました。

マン島

何故ならマン島はラグラン伯爵が総督でイギリス連邦の加盟国でも連合王国でもなかったから。

要するに独自の自治権を持っていたからイギリスの方針や法律を守る必要がなかったわけです。

そうして何もなかったマン島の議会を産業になると説き伏せた事で国のメンツを賭けた戦いであるベネット杯に向けて

『ベネット杯選抜レース』

をマン島の道を舞台に開催するように。

マン島の道

これがマン島とレースの始まりになります。

しかしそれから数年後の1906年になるとコースが市街地であるが故に死傷者が出てしまった事、そしてその年の開催国(前年の勝者)だったオーストリアが自国コースの各所に自分たちのリペアパーツを積んだサイドカーを待機させた事に各国が激怒し抗議。

しかしその抗議が通らなかった事で各国がボイコットを行いベネット杯そして協会自体も廃止に。

そこで新たな国際レースを各国が模索し開催したわけですが、イギリスも負けじと1907年にマン島で

『マン島TTレース』

を開催する事に・・・これが第一回になります。

マン島TT

ちなみにマン島が始めた

「TTってどういう意味」

って話ですがこれは

「ツーリストトロフィー」

と読みます。

ツーリストトロフィー

トロフィーは言うまでもないと思いますがその一方でツーリスト。直訳すると旅行者でレースと関係ない様な気がしますよね。

これはレースの発祥が都市間の移動だった事から来ています。

都市と都市をつなぐ道がコースでそこを走って競う・・・競うと言っても当時は今と違って完走すら難しいほどだったので

『完走が勝利』

という感じだった。

つまりこのツーリストトロフィーというのは

『試練の旅をする者』

という意味が込められるんですね。

ちなみに初期は四輪と二輪の同時開催なんですが、栄えある第一回の優勝バイクは単気筒部門がマチレス。

マン島TTマチレス

そして二気筒部門はノートンでした。

マン島TTノートン

まだ1907年なので1周25kmを付属のペダルを漕いでアシストしながら走る感じ。

更に翌年にはトライアンフも単気筒部門で優勝しているんですが、重要なのはこの『トライアンフ』や『ノートン』といったイギリスのバイクメーカーが誕生し高性能バイクとして一時代を築けた事。

これはマン島TTレースのおかげでといっても過言じゃない。

正に

「レースによるモータリゼーションの促進」

という狙いが的中したわけです。

ちなみに勝てば名声を得られるということで自チームの関係者をコーナーに待機させ、通る前に掃除させる作戦を取るチームも居たそう。

そしてチームが走り終わったら道をまた汚すっていうマン島ならではの悪行・・・これがバレた事でレース前日から公道を使用する事が禁じられました。

その後マン島TTは第一次世界大戦で6年ほど空白が開いたものの再開後も年を追うごとに人気となりました。

その要因の一つがクローズドレースつまりサーキットの登場にあります。

イギリスのサーキット場

1930年代に入るとサーキット(レース)場がイギリスを含む各国で建設され、都市間レースからサーキットレースへと切り替えられていきました。

その中でマン島TTだけは反対の声が無かった事から存続する形となり独自色が出て人気が更に出たというわけ。

ただ残念な事に1939年に再び戦争(第二次世界大戦)が始まってしまいレースは休止。

イギリス帝国

終戦後も疲弊した国や国民が多い中で開催するのは不謹慎ではないのかという懸念があった為に再開は未定だったものの、誰が呼びかけたわけでもなく自ずと人が集まりだし1947年に自然とレースが再開。

あまりの人気の高さから1949年からのWGP(現MotoGP)の第一戦に選定されるまでに格上げとなりました。

ただし良いことばかりでもなかった・・・戦前とは戦局が大きく変わったんです。

それまでイギリスメーカーの独壇場だった状態から一転、敗戦により航空機の開発研究を取り上げられたドイツやイタリアの猛攻が始まったんです。

ドイツとイギリス

NSU、MZ、モトグッツィ、ジレラ、ベネリ・・・そしてトップクラスである500cc部門で8連覇を成し遂げ世界最高性能のバイクという称号を取ったMVアグスタ。

まるで敗戦の恨みを晴らすかのような快進撃にドイツやイタリアは沸き立ち、イギリスは屈辱的な思いをする事に。

しかし敗戦で航空機の開発研究を取り上げられたといえばもう一国ありますよね・・・そう日本です。

ホンダのマン島TT宣言分

もともと生粋のエンジニア集団だった事に加え中島飛行機のエンジニアを多く引き受けたホンダが、というか目の当たりにして感化された本田宗一郎が独断で1954年にマン島参戦を宣言。

1959年に初参戦し1961年には125/250部門で悲願の優勝を達成。更に1966年には50~500ccまでの全クラスを制覇。

それに至るまでも最大のライバル、落としたクラスはほぼ全てヤマハとスズキという日本勢の快進撃に。

マン島TTミュージアム

そんな文字通り死闘が繰り返されていたマン島TTレースなんですが1976年に転機が訪れます。

WGPから外される事になったんです・・・これには幾つか理由があります。

【1.TTを嫌うライダーが増えてきた】

時代が進むにつれサーキットが当たり前の時代に生まれたライダーたちがほとんどになった。

するとやはりどうしてもTTは勝手が違うので走りたくないという声が増えてきたわけです。

【2.運営が金銭的に難しかった】

マン島TTレースは優勝賞金は非常に安く200ポンド程度。今でも優勝しても日本円で100万円程と世界GPの1/10以下しか貰えません。

これはコースが公道であるためにサーキットの様に入場料を取れない事が原因。だから運営は火の車だったんです。

【3.倫理的な問題】

危険性を問題視する声が年々高まる一方で、レーサーはどんどん先鋭化していって危険性が増していたから。

マン島TTレース

WGPの一戦に選ばれるというのは名誉である一方、他所と足並みを揃えないといけなくなる事がマン島にとっては非常に厳しかったわけです。

この事から1976年を最後にイギリスGPはマン島TTからシルバーストーンサーキットへと移り、マン島TTはナショナルレースへと実質的な格下げとなりました。

じゃあWGPから離脱したマン島TTが1977年から何をやったのかというというと

『TTフォーミュラ』

という新しいレース。日本でも習ってやっていたので聞いたことがあると思いますが、このレースの特徴は

「一般量販車によるレースであること」

そう、今も続くマン島TTレースの始まりはここから。

これはWGPの一戦ではなくなる事から撤退していくワークス(メーカー)の代わりとなる選手が必要になり、そのためには敷居を下げて呼び込む必要があったから。

ただし最初から人気だったかというとそうともいえなかった。それまでGPレーサーが当たり前に走っていたわけだから、それに比べると物足りないという声もあった。

しかし1978年にそんな空気を変える救世主が登場します。

マイク・ヘイルウッド

『マイク・ヘイルウッド』

過去にアグスタやホンダでWGPやTTなど数多くのレースで優勝を勝ち取ったイギリスの英雄。

その英雄が再び参戦を発表したんです。

「英雄再び」

と企業も観客も世界中が注目しました。

そして何より凄いというかカッコイイのが客寄せパンダという下馬評を見事にひっくり返してクラス優勝したこと。ちなみに翌年にはRG500(市販ファクトリーマシン)で参戦しこれまた優勝しています。

これによりマン島TTレースは再び注目されるようになり人気が回復。

更にその後も

『一度勝てば英雄、二度勝てば歴史に名を残す』

といわれているセニアクラスで3勝、全クラス合わせると26勝もし

ジョイ・ダンロップ

「King of the Roads」

の異名を取る事になるジョイ・ダンロップという英雄の誕生で人気は更に上昇。

この事からマン島TTは

オールスター

『英雄を生むレース』

と言われる様になり、マイク・ヘイルウッドやジョイ・ダンロップに続けと多くのライダーが名誉を勝ち取るために参戦している・・・というのが今のマン島TTレースというわけです。

最後に話を戻すというか締めると

レース風景

「なぜこんな危険なレースが生まれたのか」

という話ですが、その答えは長々と書いてきた歴史を読まれたならもう分かりと思います。

「レースとは元来こういう形だったから」

ですね。

そしてその形が今も続いているのはマン島TTが

マン島TTレース

『由緒正しき崇高なレース』

という事をマン島もレーサーも、そして観客すらも理解し重んじているからです。

参照

百年のマン島―TTレースと日本人|大久保力

isle of man the official visitor website|マン島公式

FIM(国際モーターサイクリズム連盟)主催 世界三大レース

モトGPオートバイレースの頂
「ロードレース世界選手権 MotoGP(WGP)」
SBK-WSB市販車レースの最高峰
「スーパーバイク世界選手権 SBK(WSB)」
FIM世界耐久選手権耐久性までも試される
「FIM世界耐久選手権 FIM-WEC」

有名なローカルレース

JSB1000世界の国別スーパーバイク選手権
「JSB、AMA、BSC….etc」
マン島TT最も危険で最も崇高なレース
「マン島TTレース」
草レース初心者からベテランまで
「草レース」
ジムカーナ転けた分だけ上手くなる
「ジムカーナ」
サーキットの魅力最後に
レース・サーキットの魅力

国別スーパーバイク選手権

SBK(WSB)は「スーパーバイク世界選手権」

それとは別に国ごとに別れ国内サーキットのみで行っている国内レースがあります。

レギュレーションは基本的にSBKに準拠。ちなみに国内レースですが国籍は参加条件に関係ありません。

MFJロードレース選手権(日本) 通称:JRR

JSB1000

我ら日本の国内レースの最高峰がこの全日本ロードレース選手権

クラス分けは
・JSB1000(リッターSSの改造車)
・J-GP2(600SSの改造車)
・J-GP3(250ccの改造車)
・ST600(改造範囲が限定された600SS)

となってる。

主催はMFJ。

ツナギ等のレーシング用品を持ってる人は知ってると思うけど、この「MFJ公認」というマークの入ったツナギじゃないと参戦できない。走行会とか非公式レースはMFJ公認か否かは関係ない。

面白いのがJSB1000ではSBKではやる気のないホンダやヤマハもセミワークスながら参戦しているということ。

まあお陰でSBKでも見れない国内四社の対決が見れます。

もし日本の方で

「俺も腕に自信があるから世界レースに出て勝ちたい!」

と思うならJRRが登竜門になります。

ST600→J-GP3→J-GP2→JSB1000→MotoGPやSBKなどの世界レース

と言った感じ。ST250とかもっと下もあってST600に出場できるのすら一握り。

ちなみにJSB1000クラスの選手になるまではほぼスポンサーは付かないので百万単位で自腹を切る必要があります。

しかし活躍すればメーカー(ワークス)からお声が掛かったり、スクール講師やインプレッションの依頼を頼まれたり・・・と業界からお声がかかり日々バイク三昧で食っていけるという夢の様な生活が送れます。

AMAスーパーバイク選手権(アメリカ) 通称:AMA

AMA

一時期はSBKを凌ぐほどの人気となった世界の番長ことアメリカの国内レース。

でも正確に言うと

「AMA Pro Road Racing」

レギュレーションはほとんど変わりません。
・American Superbike(リッターSSの改造車)
・Daytona Sportsrbike(600SSの改造車)
・SuperSport(改造範囲が限定された600SS)

カワサキのイメージカラーであるライムグリーン、そしてZRXでお馴染みローソンレプリカやヤマハのインターカラーの大元はこのAMAです。

エディ・ローソン

ちなみに今はワークスの参戦は禁止されてます。

そんなAMAのスーパーバイククラスで活躍してる二強はモンスターエナジーヤマハとUSヨシムラスズキ。

AMAというかアメリカはオフ系(モトクロスやATV)のレースも人気です。

その他

イギリスではブリティッシュスーパーバイク選手権、他にもスペイン、イタリア、ドイツ、オーストラリアでも同様にロードレース選手権が行われています。

ちょっと間延び感が出てきたので欧州その他は纏めて紹介させてもらいましたゴメンナサイ。

FIM(国際モーターサイクリズム連盟)主催 世界三大レース

モトGPオートバイレースの頂
「ロードレース世界選手権 MotoGP(WGP)」
SBK-WSB市販車レースの最高峰
「スーパーバイク世界選手権 SBK(WSB)」
FIM世界耐久選手権耐久性までも試される
「FIM世界耐久選手権 FIM-WEC」

有名なローカルレース

JSB1000世界の国別スーパーバイク選手権
「JSB、AMA、BSC….etc」
マン島TT最も危険で最も崇高なレース
「マン島TTレース」
草レース初心者からベテランまで
「草レース」
ジムカーナ転けた分だけ上手くなる
「ジムカーナ」
サーキットの魅力最後に
レース・サーキットの魅力

FIM世界耐久選手権:通称EWC

鈴鹿8時間耐久ロードレース

FIM世界耐久選手権とは文字通り耐久レースで簡単に言うと長時間レースということ。

海外では「Endurance(我慢・耐久)」という名で呼ばれてるクラスです。

「ル・マン24時間耐久」

「鈴鹿8耐」

と言えば聞いたことがある人も多いんじゃないでしょうか。実はこれらはFIM世界耐久選手権の内の一戦なんですよ。

レースは年によって変わりますが2014年度は全五戦で

ボルドール24時間(フランス)

鈴鹿8時間(日本)

オッシャースレーベン24時間(ドイツ)

ル・マン24時間(フランス)

ドーハ12時間(カタール)

となってます。

レギュレーションは先に紹介したSBKと基本的にほぼ同じ。

そして定められた時間内で最も多く周回を重ねたチームが優勝というルール。

勿論24時間耐久といっても24時間一人で走り続けるわけはなく三人一台で交代交代走る。長時間に及ぶのでバイクレースの中ではピットストップがある珍しいレース。

走行中にアクシデントがあっても即リタイアとはならず、ピットまで押して行ったりと結構独特な光景を目にする事が出来ます。

まあそんな世界耐久選手権の名物となっているのが「ル・マン式スタート」

ル・マン式スタート

予選タイムで決まった順番にバイクがグリッドではなくピット前に並べられます。

そして「よーいドン!」の合図とともに反対から各々のライダーがマシンに駆け寄ってスタートするという変わったスタート方式。

なんとも不思議なスタート方法だけど伝統としてル・マンと鈴鹿では今でもこの方式で行われています。

世界耐久選手権は同じ世界選手権であるMotoGPやSBKと違って、地元レース(日本で言えば鈴鹿8耐)だけ出場するチームとかも結構多かったり。

構図としては

・ワークス

・プライベーター

・カスタムメーカー

・有名ショップ

といった感じでレースというよりバイク好きやレース好きの祭典と言ったほうが近いかも知れない。

仮面ライダーカブト

そのためかメーカーもワークス参戦は自粛傾向にあります。

そんな耐久レースで有名なのがご存知ヨシムラですね。

ヨシムラGS1000

不沈艦と言われたホンダのワークスに勝つという歴史的な快挙を成し遂げたメーカー。

これにより『YOSHIMURA』の名が世界中に知れ渡りました。

他にもモリワキなんかもそうで、予選で最速タイムを叩きだした時には社長が嬉しさのあまり号泣したらしい。

両社が一流メーカーと呼ばれたのはこの耐久レースでの活躍が大きかったりするんです。

つまりメーカーの息が掛かっていない企業にとって耐久レースというのは最高のアピール場。

第二、第三のヨシムラ・モリワキを目指して各社参戦してるというわけです。もちろん盛り上げる為や楽しむために参加している所も多いですけどね。

FIM(国際モーターサイクリズム連盟)主催 世界三大レース

モトGPオートバイレースの頂
「ロードレース世界選手権 MotoGP(WGP)」
SBK-WSB市販車レースの最高峰
「スーパーバイク世界選手権 SBK(WSB)」
FIM世界耐久選手権耐久性までも試される
「FIM世界耐久選手権 FIM-WEC」

有名なローカルレース

JSB1000世界の国別スーパーバイク選手権
「JSB、AMA、BSC….etc」
マン島TT最も危険で最も崇高なレース
「マン島TTレース」
草レース初心者からベテランまで
「草レース」
ジムカーナ転けた分だけ上手くなる
「ジムカーナ」
サーキットの魅力最後に
レース・サーキットの魅力

スーパーバイク選手権:通称SBKまたはWSBK

MotoGP

SBKまたはワールドスーパーバイクでWSBと呼ばれるレースでMotoGPに次ぐ人気の世界レース。

MotoGPとの最大の違いは

『市販車によるレース』

ということ。

少なくともSSに乗ってる人や興味のある人は知っておいて損はないかと思います。

スーパーバイク選手権:通称SBK

WSBK

・4stであること
・500台~150台以上販売された車種であること(メーカーの生産規模に応じて)

そして

・二気筒は1200ccまで
・四気筒は1000ccまで

となってます。

CBR1000RR・YZF-R1・GSX-R1000・ZX-10Rなどの俗にいうリッターSSはこのレースの為に作られている車両でもあるんですよ。

ちなみに昔はレギュレーションが四気筒は750ccまででした。

かの有名なVFR750R(RC30)を筆頭にOW01やGSXR-750RRなんかもこのレースの為に生み出されたバイクです。

RC30

ただ2000年頃になると四気筒750ccより二気筒1000ccの方が有利な状況に。

その結果生み出されたのがVTR1000SP(RVT1000R)やTL1000RといったVツインSSですね。

VTR1000SP2

このようにSBKは市販スポーツバイクに大きく関係しているレースで結果が売上に直結してます。

もしSBKが無かったり不人気だったら生まれていない名車は数多くあります。それこそもし四気筒が2004年のレギュレーション改定で1000ccにならなかったら1000RRや10Rは間違いなく生まれてなかったでしょう。それくらい市販車と密接な関係なんです。

WSB YZF-R1

だからメーカーもワークス参戦で力を入れている・・・かと言えば実はそうでもなかったりします。

今ワークス参戦しているのは

・カワサキ

・アプリリア

・アグスタ

・ドゥカティ

・BMW(2019より)

くらいで、それ以外のメーカーの名前を掲げて戦っているのは向こうの現地法人とか。

SBK-10R

なぜMotoGPほど全メーカーが力を入れないのかというとセール面の問題があります。

ご存知まだ記憶に新しいユーロ危機で消費が落ち込みました。それにより比較的嗜好品に位置する二輪、その中でも取り分け嗜好的で高額なリッターSSは大打撃。レース結果に販売台数が追いつかなくなってしまったんです。

2010年に悲願の年間王者に輝いたアプリリアのRSV4も優勝したにも関わらず販売台数はそれほど伸びていない。実際日本でも走ってるのを目撃した事がある人は少ないと思います。

「スーパースポーツは知ってるけどSBKは知らない」

って人が大半なのが現実ですしね。

ワークス参戦というのはメーカーのメンツを賭けるわけなので、賭ける以上は勝つためにプライベーターとはケタ違いの予算なのが常です。

RSV4

そうまでしたにも関わらず市販車の販売台数に結びつかず、メーカーのメンツを賭けて得られたのはチャンピオンという称号だけ。称号や名声だけではメーカーは食っていけません。

しかもその一方で散々なレース結果だったにも関わらず販売台数が好調なドゥカティ1199パニガーレとBMWのS1000RR・・・なんとも皮肉な話。

こうなると数字に厳しい日本メーカーが力を入れないのも無理のない話。SSのモデルサイクルが年々延びてる要因の一つでもあります。

サイクス

そのため現在SBKに全力な日本メーカーはカワサキくらいで独壇場となっています。

これまもちろんカワサキが凄いってのももちろんあるんですけどね。八耐なんかでも圧倒的な速さを証明しましたし。

スーパースポーツ選手権:通称SSK

WSS

SSといえばもう一クラスありますね。そう600ccです。

名前はリッターSSが”スーパーバイク選手権”なのに対し600SSのレースは”スーパースポーツ選手権”です。非常にややこしいですね。

登場するバイクは勿論600SSですが、ミドルSSといえばトライアンフのデイトナ675やアグスタF3といった三気筒がいます。

だから

『三気筒675cc』

までという1000ccにはないレギュレーション(SBKは三気筒も1000まで)がある。ワークス参戦してるのはアグスタ一社だけ。

同じ600ccということでここで実績を作ると上のスーパーバイクに行ったり、MotoGPの方で紹介したMoto2クラスに行く人が多いです。

ちなみにZX-6Rが2013年に636Eへとモデルチェンジしたにも関わらず先代の600Rも併売するのはこのクラスがあるからなんです。

スーパーストック1000/600:通称STK

更にややこしい事にヨーロッパで併催されているのがこのスーパーストックと呼ばれるレース。

BMW S1000RR

その名の通り1000SSと600SSの競技でコチラは上で紹介したWSBやWSSに比べ改造範囲が物凄く狭く、ノーマルに近い状態で競う。

同じ車種でも高額なモデルがあったりするのもこれ(SBKやSSK含む)が影響しています。

「改造がダメなら最初から付けて売っちゃえばいい」

って事ですね。ただし青天井というわけではなく車体価格40000ユーロが上限。つまり2190万円もする事で話題となったRC213V-Sはダメ。

RC213V-S

ちなみにWSBのタイヤはピレリのワンメイクです。

タイヤメーカーがそれぞれ住み分かれてて面白いですね。

FIM(国際モーターサイクリズム連盟)主催 世界三大レース

モトGPオートバイレースの頂
「ロードレース世界選手権 MotoGP(WGP)」
SBK-WSB市販車レースの最高峰
「スーパーバイク世界選手権 SBK(WSB)」
FIM世界耐久選手権耐久性までも試される
「FIM世界耐久選手権 FIM-WEC」

有名なローカルレース

JSB1000世界の国別スーパーバイク選手権
「JSB、AMA、BSC….etc」
マン島TT最も危険で最も崇高なレース
「マン島TTレース」
草レース初心者からベテランまで
「草レース」
ジムカーナ転けた分だけ上手くなる
「ジムカーナ」
サーキットの魅力最後に
レース・サーキットの魅力

ロードレース世界選手権:通称MotoGP (旧名WGP)

MotoGP

これは知ってる人も多いかと思います。

昔は地上波でも放送されてましたし、世界スターであるバレンティーノ・ロッシ選手が有名ですね。

バイクレースにおいては最高峰の花形と言われているレースで世界中で大人気のバイクレースです。特に欧州では知らない人は居らずF1やサッカーをも凌ぐ人気とも言われています。日本からしたら考えられない話ですね。

WGP50周年記念モデル

2013年にヤマハが『WGP参戦50周年記念モデル』を出したのが記憶に新しいと思います。

「WGPってなんだ」

と思われるでしょうがWGPというのは世界レース(ワールドグランプリ)という総称の事。MotoGPになったのは2002年からなのでWGPと言っているわけですね。

エクスタースズキ

話を戻してMotoGPは車でいうところのF1に近く、レギュレーション(制約)の中でメーカーの持ちうる全ての技術を投入し開発したレース用のファクトリーマシン、要するに持てる全ての技術を使って造った最高性能のバイクで競います。

ただMotoGPにもクラスがあります。

【MotoGPクラス】

モトGPクラス

GPクラスはロッシ、マルケス、ロレンソ等が活躍されてるオートバイレースの最高峰クラス。

現在は1000ccまでというレギュレーションが敷かれています。(厳密に言えばもっと細かいレギュレーションがあります)

ホンダやヤマハ、更にはドゥカティなどが強くスズキもワークス参戦しています。

※ワークスチーム・セミワークスチーム・プライベーターチームって?

ワークス(ファクトリーチーム)とはメーカー直々に開発・運営・指揮をするチームの事。

HRC

ホンダは『HRC(ホンダ・レーシング・コーポレーション)』で知名度は高いですね。

対するヤマハは

ヤマハファクトリーレーシング

『ヤマハ・ファクトリー・レーシング』

などなど。

ただワークスといえどスポンサーが付きます。だから参戦する際のチーム名やカラーはメインスポンサーの意向が強く反映される。
MotoGPだとホンダ(HRC)はレプソル・ホンダ。これまた有名ですね。

RC213V

それに対するヤマハ(YFC)はモビスター・ヤマハ・MotoGPなど。

ちなみにモビスターという会社はスペインの携帯電話会社で地元スペインでレーサー育成などもするほどバイクレース界に貢献しています。

ヤマハはメインスポンサーに恵まれないのかコロコロ変わるしここ数年はメインスポンサーイメージカラーが余り濃くないですね。

フィアット・ヤマハ

ちょっと前までスポンサーだったフィアット・ヤマハならピンとくる人が多いかと。

さて話を戻して・・・そんなワークスに対してプライベーター(サテライトチーム)というのは個人(企業など)でスポンサーを見つけるなどでお金を調達し、ホンダやヤマハなどが用意したリース車両を使って走っているチームです。リース代は年間3億とも4億とも言われてます。

メーカーが作ってるので信頼性はありますがワークスの様なサポートが無く、最新パーツや最新技術も当然ながらワークスの周回遅れと言った状況。そのためワークスより「遅い」のが一般的です。

セミワークスチームとはワークスとプライベーター(サテライト)の中間的なチームの事です。

そんなこんなですがMotoGPにおいてはホンダ・ヤマハ両ワークスのガチンコっぷりは凄まじく、社運を掛けてると言ってもいいくらいの力の入れようで他が全くついて行けないレベルです。

ちなみにこのクラスは2001年まではWGP500ccクラスと呼ばれ2stが大活躍していました。

NSRなどがレーサーレプリカと言われたのはこのクラスの車両(NSR500)のレプリカだったから。

レーサーレプリカ

ココらへんが今のMotoGPとSSとの違いですね。

Moto2クラス

モト2クラス

Moto2クラスとはMotoGPが1000ccのプロトタイプマシンなのに対し、入札で決められた一社が用意する600ccエンジン(2018年まではCBR600RRのエンジン)を各々のフレームに積んで走るクラスです。

2st250ccクラスの後釜的なクラスで、このクラスで活躍することでMotoGPへの道が開けるという構図になっています。

みな同じエンジンの半ワンメイクなので腕がモノを言う熱いクラスですね。2019年からはトライアンフの3気筒765ccになります。

Moto3クラス

モト3クラス

MotoGPクラスで最も若いクラスのMoto3クラス。

レギュレーションは4st250ccとなっていてワンメイクとはなっていません。

Moto3用のエンジンやフレーム単体で作っているメーカーは何社かありますが、コンプリートマシンを作ってるのはKTMとホンダだけ。

そんなホンダが用意したMoto3用車両がこれ。

NSF250R

その名も「NSF250R」ちなみにエンジンは4st単気筒250cc。

なんだ大したこと無いじゃんと思われるかもしれませんが単気筒ながら48馬力を発揮し、さらに車重が僅か84kgしかなく最高時速は200kmを超えます。

先に行ったとおりコレはMoto3レースに出たい人や練習向けにホンダが用意した車両なので絶賛発売中。ライセンスがあれば誰でも買えます。値段は166万円。安いのか高いのかよく分かりませんね。

いや億単位のMotoGPクラスに比べれば安いし、手が届かない非現実的な金額でもない・・・のかな。

他にも昔は350ccクラスや125ccクラス、果ては50ccというクラスまで存在していました。

ちなみにMotoGPのタイヤはミシュランのワンメイク、Moto2とMoto3はダンロップのワンメイクとなっています。

ブリヂストン-バトラックス

世界最高峰のレースでホンダとヤマハという日本メーカー同士が優勝争いをするという日本の誇りの様な状況ですが、そんな状況でもお膝元の日本では人気がないっていうのは何とも皮肉な話ですね。

モーターショー展示とか結構頑張ってアピールしてるんですけどね・・・やっぱり日本人選手が活躍しないと難しいか。

中上選手(MotoGP)の活躍に期待しましょう。

FIM(国際モーターサイクリズム連盟)主催 世界三大レース

モトGPオートバイレースの頂
「ロードレース世界選手権 MotoGP(WGP)」
SBK-WSB市販車レースの最高峰
「スーパーバイク世界選手権 SBK(WSB)」
FIM世界耐久選手権耐久性までも試される
「FIM世界耐久選手権 FIM-WEC」

有名なローカルレース

JSB1000世界の国別スーパーバイク選手権
「JSB、AMA、BSC….etc」
マン島TT最も危険で最も崇高なレース
「マン島TTレース」
草レース初心者からベテランまで
「草レース」
ジムカーナ転けた分だけ上手くなる
「ジムカーナ」
サーキットの魅力最後に
レース・サーキットの魅力

MONSTER750シリーズ -since 1996-

モンスター750

勝手に纏めた空冷MONSTER三兄弟の最後にご紹介するのは次男坊の750シリーズです。

出たのは三兄弟の中で一番最後。

革命をもたらした長男M900、コスパの高さから人気が出てドゥカティを救った三男M600、そして遅れてやってきた次男M750は・・・・残念ながら人気が出ませんでした。

スペックでは兄に負け、コスパでは弟に負けるという少し仕方ない面もありますが、消費者からも中途半端だとして売れず。

2001年には他の兄弟に習ってFI化でM750I.E.となり、2003年には排気量のアップでM800となりました。

M800

なりましたが・・・・

コレじゃいかんという事で05年に兄弟とは別に特別なモデルチェンジが入りました。

05年にS2Rと名前を改め、片持ちスイングアームと片側2本出しマフラー、5本スポークホイールなどS4R(水冷MONSTER)に準ずる戦闘的なMONSTERに大変貌。

S2R

900の方でも話したけど、元々このデザインはそのS4Rという水冷ジャジャ馬MONSTERに合わせたデザインだったから、その見た目に空冷2バルブエンジンってのは非常にアベコベなんだけど、そもそもMONSTER自体が良い意味でアベコベな車体設計だった事を考えると正しい方向性だね。

先鋭と旧態が入り混じった正にモンスターの様なS2Rは非常に人気が出ました。その為か翌年には長男までもがS2R化され、この次男は区別のため翌年からはS2R800と名前に排気量が付く事に。芸人の劇団ひとりさんも乗ってるみたいですね。

苦節十年目にしてやっと次男の時代が来た・・んだけどそんな人気とは裏腹にS2R800はドゥカティ全体が規制を機にしたプラットフォームの維新をする事になっていたため発売されていた期間は5年とMONSTERとしてはそんなに長くない。

そんなS2Rの後継として2010年に出たのが維新された新世代のM796

M796

基本的には弟分のM696と同じだけど次男はS2Rの後継アピールの為か片持ちスイングアームになっています。エンジンは+100ccされたロングストロークエンジンで万能型。796だけど排気量は803ccとちょっとややこしかったりする。

このM796は弟の696と並んで第二世代空冷MONSTERが途切れる最後まで発売されました。と言っても2013年までと短い上に最初で最後なわけだけどね。

空冷MONSTERが絶滅してから4年が経った2017年、M797として再び空冷MONSTERが復活。

M797

Monsteristi(モンスターリスティ ※MONSTERに魅せられた人の事)なら気付くと思いますが、トレリスフレームがアルミダイキャストとのハイブリッドフレームから従来のトレリスアピールバッチリなフレームと両持ちスイングアームに戻りました。

M797トレリスフレーム

エンジンはネオレトロブームに乗っかって40年ぶりに復活したスクランブラーの物。ユーロ4(環境規制)に対応した76馬力で装備重量186kg。といってもコレもともと先代の796に使われてたエンジンなんだけどね。だからコレも797と言ってるけど803ccです。

M797トレリスフレーム

スクランブラーは縮小版の400があるからこの797にそのエンジン積んで400がまた出るかもね。

なんか駆け足過ぎてモデル紹介になってない気がしますが最後に・・・

MONSTERがどれだけ凄いバイクかを表すとした場合いろんな言い方があります。

「916と並んで最も成功したバイク」
「DUCATIで最も売れたバイク」
「DUCATIを救ったバイク」
「欧州でネイキッドというカテゴリを蘇らせたバイク」

でもMONSTERの凄さを表すのに最も簡単明瞭な言葉があります。それは

M797エンジン

「トレリスフレームのネイキッド=MONSTER」

という二度と覆る事のない既成事実。

誰が見てもそう思う。好きとか嫌いとか定番といった次元じゃない。

エンジン:空冷4サイクルSOHC二気筒
排気量:748[803]cc
最高出力:
62[76]ps/7500[]rpm
最大トルク:
6.2[6.93]kg-m/6850[5750]rpm
車両重量:178[186]kg(乾) [装]
※スペックはM750 []内はM797

系譜図
M9001993年~
M900の系譜
M6001994年~
M600の系譜
モンスター750ie1996年~
M750の系譜

【関連車種】
CB650F/CBR650Fの系譜FZ6/XJ6/FZ8の系譜GSX-S750の系譜Ninja650/Z650の系譜Z900の系譜

M600シリーズ -since 1994-

モンスター600

900の系譜で

「MONSTERが大ヒットしてDUCATIを救った」

と言ったけど、その中でも一番貢献したのは実は900ではなくジュニアモンスターまたはベイビーモンスターの愛称で親しまれたこのM600だったりします。

ただでさえお買い得だった900の更なるお買い得版として一年後に登場した三男坊。足つきの良さも相まって老若男女問わず人気が出て非常に息の長いモデルとなりました。

モデルチェンジの流れは基本的に兄弟車とほぼ同じで、02年にはインジェクション採用と排気量も618ccアップで通称M620I.E.に。

モンスター620

馬力が77馬力にまでアップされ非常に人気が出たモデル。

そして一般的に第一世代最後といわれるEURO3(規制)対応の06年発売M695。

モンスター695

細部の不具合潰しに加えエンジンの排気量が695ccにまでアップされたんですが、先代よりも更にショートストローク化された事でスポーツ性が向上。

何故かこの三男坊だけはS2R化(片側2本出しマフラーなど)されなかったため台数はそれほど出なかった。なんでしなかったんだろうね。

696イラスト

ちなみにイタリアでは白バイとしても活躍していました。さすが母国。

少し話が反れますが先代の600/620そして今紹介した695をベースに作られたのが95年から発売されたMONSTER400です。

モンスター400

~96年までの前期型(キャブ)と00~08年の後期型(インジェクション)となってます。排気量を見てもらえれば分かる通り400SSと共に日本やフィリピンといったアジア向けに用意された普通二輪で乗れるMONSTER。

それまでもドゥカティは400F3や400SSといったバイクも出すには出してたけど本土イタリア以上にスパルタンなイメージが出来上がっていた国内においては

「こんなのドゥカティじゃない」

なんて言われてた。当然ながらこれはMONSTER400でも。でもこれMONSTERに限っていうと話が変わってきますよね。

900も母国イタリアをはじめとした欧州でも最初は

「こんなのドゥカティじゃない」

なんて言われたわけですから。

MONSTER400

残念ながら4メーカーのお膝元ということもありイタリアのように大ヒットとはならなかった。

でもMonster900誕生の経緯で話した通りMONSTER最大の武器であり最大の功績はドゥカティの敷居を下げた事。端的に表すなら”日常で楽しめるイタリア車”というのがMONSTER。

そう考えた時、400は確かに6xxのスケールダウンモデルで決して速いとは言えなかったけど、日本の道路事情を考えたら最も日本に合ったMONSTERはこの400だったのかもしれないね。

ハンドリングは他のモンスター同様にスポーティなわけだし。その代わりネイキッドにあるまじき切れ角の無さだけどね。

モンスター(特に古いタイプ)はハンドルの切れ角もそうだけど形状も凄く独特で初めて乗ったら絶対に

「何か違う・・・」

と思うハズ。

話を戻しましょう・・・戻しましょうと言っても三男坊としては最後のモデルになる08年に出たM696。

モンスター696

新世代のジュニアモンスターとして見た目が大きく代わりました。スリッパークラッチ(APTC)の採用やエンジンの腰上(ヘッドやシリンダー周り)の改良で80馬力にアップ。

新生モンスターの中でもM696は一番最初に出た事もあって色んな物議を醸しました。異型ヘッドライトなんかもそうだけど一番は象徴でもあったトレリスフレームが大きく変わったこと。

696イラスト

先代がシートまで綺麗に繋がっていたのに対しこの696(というかここからのMONSTER)は前半はトレリスフレームだけど後ろ半分はアルミダイキャストというハイブリッドに。要するにトレリスフレームアピールが少し弱くなりました。

新生モンスター

「DUCATIといえば綺麗なトレリスフレーム」

って考えのドゥカティスタは多いしMONSTERは長いことデザインを変えずに来てたわけだからそう思うのも無理ないけどね。まあしかしこれはスーパーバイクからのフィードバックで作られたハイブリッドフレームなので優れているのは疑いようもない事実ですし、市場でも受け入れられたみたいです。

厳密にいうと三男坊にはもう一つ659というモデルがありました。日本には入ってきてないけどね。

モンスター659

これは659ccに落とされた696みたいなバイクで主にオーストラリアで2013年まで発売されていました。

なんで659なのかというとオーストラリアでは免許取得後の一年は660ccを超えるバイクに乗れないからです。だからわざわざ用意したというわけ。

オーストラリアは日欧米に比べそれほど大きな市場ではないんですが、それにも関わらず用意したのはやっぱりドゥカティにとって空冷MONSTERというのは売れ筋であり、広告塔であり、エントリーモデルとしてライダーに最も歩み寄ったバイクであるという事の証でしょう。

まして6xxシリーズはコストパフォーマンスや足付きの良い優れた末っ子だったからね。

エンジン:空冷4サイクルSOHC二気筒
排気量:583[696]cc
最高出力:
52[80]ps/9000rpm
最大トルク:
4.9[7.0]kg-m/7750rpm
車両重量:174[161]kg(乾)
※スペックはM600 []内はM696

系譜図
M9001993年~
M900の系譜
M6001994年~
M600の系譜
モンスター750ie1996年~
M750の系譜

M900シリーズ -since 1993-

M900

ドゥカティ初のネイキッドとなるモンスター900が誕生したのは1993年の事・・・なんですが少しモンスターが生まれるに至った経緯をお話ししたいと思います。

今でこそマルチパーパスのムルティストラーダ、マッスルクルーザーのディアベル、最近ではネオレトロのスクランブラーなど色んなバリエーションのバイクを出しているドゥカティですが、モンスター900を出すまでは基本的にフルカウルのスポーツバイクしか作っていませんでした。だから”ドゥカティ=スーパースポーツメーカー”みたいな感じだったわけです。

900SS_750F1

そんな中で登場したネイキッドとして出たモンスターはとてつもない批判に晒されました。

元々ドゥカティが好きだったドゥカティスタからは

「スポーツメーカーだったのに失望だ」

と蔑まれ、他からは

「奇をてらった変な形のネイキッド」

と散々な言われようで誰からも理解されず。造りから見ても851/888ベースのトレリスフレームに900SSのエンジンを積むというよく分からない構成。

ドゥカティが分からない人の為にアベコベさを日本車で例えるなら、GSX-R1000の高剛性フレームにGSX1000Sカタナの油冷エンジンを積んだネイキッドって感じ・・・例えが下手ですいません。

M900青

まあとにかくスポーツバイク専門だったドゥカティが性能も見た目もアベコベで意味不明なバイクを出したわけですが、当然ながら意味もなく出したわけではありません。

EUでも80年代に日本でバイクブームが起こったように日本メーカーの大型スポーツバイクが一世を風靡していました。GSX-RにVFにFZRにGPZに・・・しかしトンデモナイ速度が出る大型スポーツバイクということで事故の件数も増加。それにより保険会社はスポーツバイクの保険料をドンドン上げていきました。

この影響を最も受けたのはスポーツバイクしか作ってなかったドゥカティ。窮地に陥ったドゥカティは閃きました。

「スポーツバイクは保険料が高くて駄目ならスポーツバイクっぽくないスポーツバイクを作ればいい」

そうやって生まれたのがモンスター900です。

空冷エンジンで、ポジションも凄く起きてて、芋虫みたいに長いタンクとシートのネイキッド。そういった事から

「モンスターはネイキッドだし空冷エンジンだからスポーツバイクではない」

という評価を保険会社から受けた・・・正にドゥカティの思惑通りの展開。

空冷といえど元を辿ればスーパーバイクに使われていたエンジンを中低速よりに改良したもので街乗りから峠まで十二分なポテンシャル。そしてフレームも元々スーパーバイクに使われていた物がベースだからハンドリングはとってもクイックな今でいうストリートファイター。

M900黄

当時はスポーツバイクといえばカウルの付いたバイクが当たり前でネイキッドは絶滅していた時代。そんな中でネイキッドながらスポーツを味わえるという口コミが広まり”(費用面から)スポーツバイクに乗りたいけど乗れない”という層をガッチリ獲得することに成功。

ドゥカティにあるまじきお買い得車という事もあり瞬く間にイタリアにおいて日本車を抜き去るほどの販売台数、そして2007年モデルまでの時点で15万台を超える出荷台数を記録。街中を走れるドゥカティのスポーツバイクとしてモンスターは定着しました。

モンスターを出すにあたって最大の難関だったのは当時親会社だったCAGIVAを説得することだったようだけど、ドゥカティの売上の半数以上を占めるまでに至ったんだからCAGIVAも喜んだでしょうね。

ミゲール・A・ガールズィ

ちなみにMONSTERの生みの親である工業デザイナーはミゲール・A・ガールズィ(Miguel_Angel_Galluzzi)というアルゼンチン出身のお方。

MONSTERというとドゥカティのトレードマークでもある剥き出しのトレリスフレームが特徴的だけど、ミゲールさん曰く851のフレームを選んだのは自分の思い描くタンクを作るために一番邪魔にならないフレームだったからだそう。つまりMONSTERのトレードマークはフレームじゃなくてタンクなんだね。

M900ラフデザイン

鬼才として有名なタンブリーニさんもそうだけど、向こうはデザインも中身も1人でパッケージングするのが結構当たり前だったりするわけです。イタ車といえば芸術的な物が多いイメージがありますが、それにはこういった事から来てる面もあるでしょうね。

ミゲールさんはMONSTERの後も各メーカーを転々としていて、最近で言うとApriliaの三眼RSV4(2008)もこの方のデザイン。

03

他にはヤマハのコンセプトであるコレもミゲールさんのデザイン。

さっさと歴代モデルを紹介しろと怒られそうなのでいい加減900に話を戻すと、先ず最初に出たのは上で紹介している93年の初代MONSTERことM900です。欧州でネイキッド革命をもたらしたバイク・・・とその前に、知ってる人も多いと思うけどMONSTERには色々グレードがあります(ありました)。

SHOWA/OHLINSサスやビキニカウルといった装備のトップグレードはSまたは+、そしてメインのノーマルグレード、廉価版のDark。日本人ならこの3つだけ覚えておけば大丈夫。

そしてモチベーションの都合で今回グレード紹介や細かいモデルチェンジは割愛させてもらいます。ごめんなさい。

革命をもたらしたM900に初めて大きく手が入ったのは2000年でFIになりました。分けるためにM900I.E.とも言われています。

00年式M900

このモデルからタコメーターも装着。更に翌2001年にはフレームがST系へと変更された事で少しワイドになり安定性が向上。

そして次のモデルチェンジは2003年で排気量が992ccまで上がってM1000となりました。

m1000

これは兄弟車であったSSシリーズがモデルチェンジで1000になったから。馬力も大きく上がって94馬力となったわけですが、日本向けはほぼSモデル(SHOWAサスペンションの上位モデル)だったようです。

そしてそして見た目が大きく変わった06年のS2R1000。

s2r1000

片持ちスイングアームに片側二本出しマフラーと戦闘的なルックスになりました。もともとこれはS4R(ハイスペックな水冷モンスター)向けだったデザインでしたが弟分の800に続く形となりました。

そしてそしてそして09年に16年目にして初のフルモデルチェンジ。エンジンのみならずフレームも新しくなったM1100になります。

s2r1000

排気量が更に上がって1078ccになり異型ヘッドライトや片持ちスイングアームやトラスフレームとアルミダイキャストのハイブリッドフレームとなった新世代モンスター。

そしてそし・・・せっかくフルモデルチェンジしたのに勿体無い気がするけど11年から13年まで発売されたM1100EVOが長男坊最後のモデルとなります。

s2r1000

空冷SOHC2バルブながら100馬力を発揮するEVOエンジンが積まれクラッチが湿式のスリッパークラッチとなり電スロ化され4段階のトラクションコントロールシステムも採用。

最後にして最高のスペックを引き下げた空冷モンスター。

てっきりドゥカティの空冷MONSTERはこの路線でいくのかと思いましたが、このモデルを最後に長男坊は一足先に生産終了。

s2r1000

やっぱり水冷MONSTERとの住み分けが難しかったのか。規制の問題が一番でしょうけど。

エンジン:空冷4サイクルSOHC単気筒
排気量:904[1078]cc
最高出力:
67[100]ps/7000[7500]rpm
最大トルク:
8.3[10.5]kg-m/6000rpm
車両重量:185[169]kg(乾)
※スペックはM900 []内はM1100EVO

系譜図
M9001993年~
M900の系譜
M6001994年~
M600の系譜
モンスター750ie1996年~
M750の系譜