GSX-S1000に次ぐGSX-Sシリーズの第二弾として登場したGSX-S750。
環境規制であるEURO4以降に伴いモデルチェンジされました。もともと海外(最初は北米)でGSRはGSX-Sという名前だったんですが恐らくこのモデルから日本でもスズキが2015年に掲げたGSXブランド展開という事でGSX-S(GSXのネイキッドの意味)になると思われます。
馬力が更に上がって114馬力になり、ラジアルマウントキャリパー化とホイールそして批判の多かったスイングアーム形状が新しくなりました。
文句を言われてた部分が完全に無くなりましたね。更に三段階のトラクションコントロールシステムに加えデザイン変更でGSX-Sシリーズの象徴(?)である牙も装備。
さて、先代で質実剛健のコストパフォーマンスバイクと言っておきながらフラッグシップモデルと変わらない豪華装備の750ストファイになったわけですが、弁明というか言い訳を長々とさせてもらうと、近年世界的に直四離れが加速しているからです。
GSR750で言いましたが、このクラスを買う層というのは実用性を兼ねたコストパフォーマンス車を求めている。そうなった場合に直四というのは当たり前ですが単気筒や二気筒よりもどうしても車体価格が高くなり車重も重くなってしまう事から選択肢から外されてしまう。
更にもう一つの問題が直四はどう足掻いても直四ということ。
例えば二気筒ならNinja250やYZF-R25といったスポーツ志向の180度クランク、Wシリーズといったノスタルジックの360度、最近メジャーになってきたNC750やMT-07といったVツインの特性に近い270度などクランク角(点火時期)で違いを作れる。V型だとBMWの水平対向180度からハーレーの45度まで挟み角や相違クランクを含めると多種多様。
それに対して直列四気筒は(R1やMT-10のクロスプレーンを除き)全て180度クランク。これは最も効率的な形なので悪いというわけではないんですが、ザックリ言って全部同じエンジンなんです。
「直列四気筒=高い・重い・無個性」
恐らく高いという事が一番ウェイトを締めてると思うんですが、こういう事から2000年代に加熱したミドル直四層における”直四から直四への買い替えサイクル”も苦戦を強いられてる。
だからコストパフォーマンス部門は復活したSV650に託し、GSR750はGSX-S750としてGSR600路線のハイパフォーマンスモデルへ再び舵を切ったという事です。
しかしスズキもその”無個性直四”のまま何時までもただ手をこまねいているわけではなく打って出ました。それは先に出たGSX-S1000を見ればわかります。
GSX-S1000/Fは市場で非常に好評を得ているスズキとしては本当に久しぶりのヒットとなるネイキッドですが、そのGSX-S1000で力を入れた部分は
“音”
です。開発者の方も力を入れたと言うだけあって純正マフラーとは思えないほど本当にビックリするくらい良い音を出します。五月蝿いだけの社外とは違い本当に綺麗で上質な音。
そしてこのGSX-S750もGSX-Sシリーズとして音に非常に拘ってる。排気音は勿論のこと、そこらから更に吸気音も演出。
自動車のスポーツカー等でメジャーになりつつある吸気音を積極的に聞かせる機能。アクセルを開ければ開けるほど大きくなりライダーをハイにさせる。
つまりGSX-S750は180クランクの直列四気筒しか出すことの出来ないサウンドをイヤらしいほど磨いてるバイク。
直四好きが乗るとちょっと危ないかもしれない。
主要諸元
全長/幅/高 | 2125/785/1055mm |
シート高 | 820mm |
車軸距離 | 1455mm |
車体重量 | 212kg(装) |
燃料消費率 | 20.1km/L ※WMTCモード値 |
燃料容量 | 16.0L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC四気筒 |
総排気量 | 749cc |
最高出力 | 112ps/10500rpm |
最高トルク | 8.2kg-m/9000rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70ZR17(58W) 後180/55ZR17(73W) |
バッテリー | FT12A-BS |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
CR9EIA-9 または IU27D |
推奨オイル | スズキ純正 エクスター |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量3.9L 交換時3.2L フィルター交換時3.6L |
スプロケ | 前15|後41 |
チェーン | サイズ630|リンク96 |
車体価格 | 898,000円(税別) |
系譜図
1976年 GS750/2/E/G/GL (GR72A) | |
1980年 GSX750E (GR72A) | |
1996年 GSF750 (GR7EA) | |
1998年 GSX750INAZUMA (JS1AE) | |
2006年 GSR600 (GK7EA) | |
2011年 GSR750 (GR7NA) | |
2017年 GSX-S750 (C533F) |
【関連車種】
CB650F/CBR650Fの系譜|FZ6/XJ6/FZ8の系譜|Ninja650/Z650の系譜|空冷MONSTERの系譜