「SPORTS MAXIMUM」
再び二年でフルモデルチェンジされた六代目FireBladeことCBR954RRのSC50型。
ちなみに前ページの最後に書いた流れは変わらず、このモデルも海外ではCBR900RRまたはFireBladeで通っています。
ただ面白いことに型式分けがメジャーではない海外のWikipediaでも
『SC28(1992)~SC33(1994)~中略~SC50(2002)』
と、この系譜の様にキッチリ記載されています。
それだけRRが向こうの人達に与えた衝撃は大きかったという事ですね。
話をCBR954RRに戻すと、まずヘッドライトが物凄く尖りました。
若干ヒールさを増したタイガーアイの最終型ですね。
更にエンジンの方もボアを1mm拡大し954ccにしただけでなく、ピストンもクランク見直し軽量化。
合わせられるフレームも改良版セミピボットレスフレームで剛性を最適化し、スイングアームもプレス形成の新開発。
もちろんホイールやオイルクーラー、フルチタンエキゾースト&サイレンサーなどRRとしては譲れない軽量化も行われFireBlade史上最軽量の170kgに。
そしてもう一つ大事なのが、このCBR954RRは生みの親でありミスターFireBladeである馬場さんが手がけた最後のRRである事。
理由は単純に定年退職。
元々研究所の上司から
「お前にしか出来ないから定年までお前がやれ」
と命じられていたそうで、本当にその通りとなったわけですね。
実験畑の人間が開発リーダーになるだけでも異例なのに、七代に渡って開発リーダーを務めるのも異例な事。
だから馬場さんが開発リーダーを務めたのは、後にも先にもこのFireBladeだけ。
そんな馬場さんがこだわり続けたのは(今さらですが)軽量化。
先代のCBR929RRの開発において、車体担当だった永椎さんがプロトタイプを組み上げたら想定よりも500g重かったそう。
500gくらい別にいいだろう・・・と軽い気持ちでその事を報告したら
「その500gがライダーには大事なんだ馬鹿者」
と説教されたと言うほど軽量化に並々ならぬ信念を持っていた。
しかしそれほど軽量化へのこだわりを持っていた馬場さんが、重くなるにも関わらず初代から954まで採用し続けたのがコレ。
ヒンジ付きのリアシートです。
デカール一枚に至るまで軽くするために創意工夫を凝らしていた事を考えると、普通なら真っ先に削られそうな機能。しかしCBR900RRから954RRまで一貫して採用し続けました。
それはこれこそ馬場さん考えるRRのアイデンティティだったから。
「RRは”公道で”いい汗をかくためのバイク」
主役はRRではなくライダーであるという事です。
ライダーに公道で楽しく使ってもらい、楽しくコントロールしてほしい。
初代から重ねられたモデルチェンジも全て
「良い汗をかいたな」
と乗り終わった時に言ってもらうための改良に徹したものでした。
主要諸元
全長/幅/高 | 2025/680/1135mm |
シート高 | 820mm |
車軸距離 | 1405mm |
車体重量 | 193kg(装) |
燃料消費率 | 23.0km/L ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 18L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 954cc |
最高出力 | 91ps/10500rpm [151ps/11250rpm] |
最高トルク | 8.9kg-m/5500rpm [10.7kg-m/9500rpm] |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70ZR17(58W) 後190/50ZR17(73W) |
バッテリー | YTZ10S |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
IMR8C 9H/IMR9C 9H または VUH24D/VUH27D |
推奨オイル | Honda純正ウルトラG1(10W-30) |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量4.0L 交換時3.5L フィルター交換時3.7L |
スプロケ | 前16|後41 |
チェーン | サイズ530|リンク108 |
車体価格 | 1,050,000円(税込) |