「ALL THE BEST IN SUPERSPORTS」
後継モデルと言わなければ分からない人も居るのでは・・・と思うほど中も外も大変貌を遂げた三代目CBR1000RRことSC59型。
これでも開発リーダーは先代と同じっていうんだから驚きですよね。
これが後継に見えないと言われる最大の理由はスラントノーズから脱却したからでしょう。
SSといえば戦闘機のように尖ってて、見るからに風を引き裂いて走りそうに見えるのが当たり前だった。
それなのにショートマフラーにショートテール、そして尖ってないアッパーカウル・・・当時そのルックスに批判が続いたのをよく憶えています。
ただこれは徹底した空力とマスの集中化、そして軽量化の末に導き出した形。理詰めの形なんです。
上がSC59で下がSC57です。
素人目で見てもSC59(写真上)がギュッと中心に凝縮されているのが分かると思います。
数字で言うと、血と汗と涙の軽量化を施した先代からエンジン単体で2.5kg、全体で5kgも軽量化となり199kg(装備重量)でクラス最軽量に返り咲きました。
しかし、いま言ったように単に軽量化して軽くなっただけではなくマスの集中化も徹底して行われているので、体感的な軽さは数値以上のモノ。
そしてもう一つ大事なのがフレンドリー&スリムになったポジションと足つき。
このおかげでミドルスポーツツアラーかなと思うほど優しく、また乗りやすいSSに。
ホンダのバイクというと
「初心者から上級者まで満足させてくれる」
と雑誌のゴマすりでよく言われていますが、このSC59だけは本当にその通り。
初心者に対しては運転しやすい優さ、そして上級者をも満足させる速さ、その両方を持っている。
ちなみに2010年にABSモデル搭載モデルの発売、フライホイールの大径化、クランクシャフトの改良、レンズのクリア化などの微変更が行われています。
ここから先は個人的な小話と思って読んで欲しいんですが・・・RRとしてはコレが正しい姿勢かと思います。
RRの始まりであるCBR900RRも
「とにかく軽く、とにかくコンパクト」
がコンセプトだったから。
これを言うと先代SC57乗りは怒るかもしれませんが、SC57は正直このコンセプトから少し外れていた。
これについては開発経緯の話でも出てたんだけど、キッカケはSSの爆発的なブームとそれに合わせて改定されたレースのレギュレーション。
これによって
「RRでもあるんだけどレースベースのSSでもある」
という難しい立場になったわけです。
そして先代であり初代レースベースでもあったSC57はどちらかと言うとRRというよりSS寄りな異質な存在。
まあだからこそ10年以上経った今でも人を惹き付ける異彩を放ってるんだけどね。
対してSC59はCBR1000RRはSSである前にRRという判断が下されたわけです。
ユーザーが欲するスーパースポーツではなく、ユーザーの為になるスーパースポーツ。
「スペックに囚われない、原点回帰のRR」
SC59はそう言えるのではないかと。もともとレースとは無縁だった生い立ちゆえの苦悩ですね。
更に言うと、これは同郷で永遠のライバルであるYZF-R1もそう。
しかしCBR1000RRがレース路線を改めた一方で、YZF-R1は反対にレースの道を突き進む事に。
始まりは同じで睨み合っていたのに、いつの間にか背を向け合うようになった二台・・・っていうドラマや映画によくある展開。
主要諸元
全長/幅/高 | 2080/680/1130mm |
シート高 | 820mm |
車軸距離 | 1415mm |
車体重量 | 201kg(装) |
燃料消費率 | 24.5km/L ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 17L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 999cc |
最高出力 | 118ps/9500rpm [178ps/12000rpm] |
最高トルク | 9.7kg-m/8250rpm [11.4kg-m/10500rpm] |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70ZR17(58W) 後190/50ZR17(73W) |
バッテリー | YTZ7S YTZ10S(ABS) |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
IMR9E-9HES または VUH27ES |
推奨オイル | Honda純正ウルトラG1(10W-30) |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量3.7L 交換時2.8L フィルター交換時3.0L |
スプロケ | 前16|後41 |
チェーン | サイズ530|リンク116 |
車体価格 | 1,390,000円(税込) ※ABS仕様は+10kg&168,200円 ※[]内は逆輸入車仕様 |