SV650X(VP55B)-since 2018-

SV650X

「Riding Pleasure Unleashed」

SV650のバリエーションモデルとして2年後に登場したSV650X/VP55B型。

型式が変わっていないのを見ても分かるように基本はSV650と同じ。

SV650X壁紙

SV650をベースに角ばった専用タンクにタックロールシート、そしてビキニカウルを装備しているわけですが・・・このビキニカウルどっか見覚えあるなと思ったらコレ。

GS1200SS

これですよ。ヨシムラとタッグを組んで優勝した8耐初代王者GS1000Rのカウル。

こういうバックボーンを知っちゃうとヨシムラマフラーしかもう選択の余地がないですよね、元ネタである2016年のモーターショーで参考出品されたSV650ラリーコンセプトもそうだったし。

SV650ラリーコンセプト

ビキニカウルと繋がる様にステムヘッドからタンクまで伸びているカウルはバンディットのリミテッドも彷彿とさせるんですが、それもそのハズでチーフデザイナーの吉浦さんはバンディットもデザインされた方。

SV650コンセプトスケッチ

少し小話をすると、次に出てくるのはSVの代名詞グレードとも言えるハーフカウルのSモデルと思っていた人も多いと思います。

でもネオレトロだった。これは一重にネオレトロブームの影響。

ミドルの主戦場である欧州において

「ネイキッド=ネオレトロorストファイ」

という風潮というか人気に変わっているようです。

スズキSV650X

そんなSV650Xですが見た目をネオレトロにしただけかと言うとそうじゃない・・・コレがSV650Xの大事なポイント。

それはセパレートハンドル化とそれに伴うポジションの変更です。

SV650Xのポジション

こうやって見比べてみると分かる通り、SS程ではないにしろ前傾が強くなりました。

これはカフェレーサーを意識している面もあるんですが、それより大事な狙いがあります・・・それは

『スポーツ性の向上』

です。

そのためにフロントフォークにもイニシャルアジャスターも追加されている。

SV650サイドビュー

これの何がミソなのかって話ですが、SV650が名車である事はここまでの系譜でも散々言ってきました。

大ヒットを飛ばした事もそうですが、SV650の開発に携わった人たちの多くがSV650やV-STROM650を自らも購入し所有しているのを見ても疑いようのない事実かと思います。

そしてそれはこのSV650Xでも例外ではなく、先に紹介した三代目SV650の開発責任者である安井さんもSV650のオーナー・・・ミソなのはここ。

SV650Xのセパハンとポジションの見直しというのは、SV650を造りそしてSV650に乗っている開発者でもありオーナーでもあるSV650を誰よりも知り尽くしてる人が

SV650Xカタログ写真

「こうすれば万人受けはしないけどスポーツ走行をもっと楽しめるよね」

と考えた末の変更であり。、出来上がったのがワインディングを楽しむ事を重視したSV650Xというわけ。

だからこのモデルは既存のSV650を知っている人ほど感動するかもね。

2019年
・マフラーカバーの形状変更(パンチングレスに)
・ブレーキキャリパーが2ポットから対向4ポットに変更

2020年
・ポジションランプの追加

※無印モデル含む

参照:SV650X Development Team Member Interview(youtube)

主要諸元
全長/幅/高 2140/730/1090mm
シート高 790mm
車軸距離 1450mm
車体重量 197kg(装)
燃料消費率 26.6km/L
※WMTCモード値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 645cc
最高出力 76.1ps/8500rpm
最高トルク 6.5kg-m/8100rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー FT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
MR8E-9
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.0L
交換時2.4L
フィルター交換時2.75L
スプロケ 前15|後46
チェーン サイズ525|リンク112
車体価格 724,000円(税別)
系譜図
SV650前期 1999年
SV650/S(VP52A前期)
SV650後期 2003年
SV650/S(VP52A後期)
グラディウス 2009年
SFV650GLADIUS(VP55A)
2016SV650 2016年
SV650(VP55B)
SV650X 2017年
SV650X(C733A)

【関連車種】

CB650F/CBR650Fの系譜MT-07の系譜V-STROM650の系譜Ninja650/Z650の系譜空冷MONSTERの系譜

SV650/A(VP55B)-since 2016-

2016SV650

「V-Twin Fun for all Riders」

EURO4規制に対応した帰ってきた三代目のSV650/VP55B型。

多分このモデルを見て新型としての衝撃を受けた人は少ないんじゃないかと思います。

目を引くことといえばグラディウスから4馬力アップしたエンジンくらいで、後はイージースタートシステムくらいだし、外見もグラディウスの外装取っ払ってシンプルな丸目にしてあるだけだから(ホントはそれだけじゃないけどね)。

SV650フレーム

でもSV650はコレでいいんですよ。

老若男女問わず、どんなシーンにもどんな用途にも応えてくれるミドルライトウェイトの第一人車なんですから。

今の欧州ミドルライトウェイトクラスを熱くしているバイクといえばヤマハのMT-07でしょう。

しかしそんなMT-07が受け入れられる土台を作ったのは紛れも無くSV650。しかもSV650は初代と先代で既にノウハウも絶大な信頼とミドルライトウェイト層を獲得しています。

そして新型SV650はABS付きでMT-07やER-6よりも安い。

向こうのバイクサイトでも

SV650Aカタログ写真

「SVを復活させる正しい判断をした!SVが帰ってきた!」

と、ちょっと言い方がアレですけど歓迎されているようです。

SV650ABS

まあ向こうの人達にとってスズキを代表するバイクといえば、HAYABUSA、GSX-R、そしてSVなわけですからSV復活が話題になるのも当然ですかね。

ただSV650が向こうで評価されている理由は出来が良くコストパフォーマンスに優れているからという理由ではありません。それは売れた理由でちょっと言葉足らず。

もちろんそれも評価の内ですが、SVが絶対的な評価を得ている理由は何回も言ってますが非常にフレンドリーかつ、ただの安物ではないVツインライトウェイトがこんな値段で買えるという事実から。

SV650イギリス仕様

『バイクの敷居を下げ多くの新しいライダーを誕生させた』

という点も評価されているんです。

正に開拓車でもはやリスペクトに近い存在というわけ。

「向こうの事なんて知らねーよ」

と思うでしょうね。

確かに向こうのことなんて知ったところでどうにもならないので知らなくていいです。でもSV650の事は知っておいてください。

SV650ABS

SV650はスズキを代表する看板車の一つ。

目新しさが無いのは

『最もピュアなV-TWIN SPORT』

としてブランドが確立しているからです。

主要諸元
全長/幅/高 2140/760/1090mm
シート高 785mm
車軸距離 1450mm
車体重量 196kg(装)
燃料消費率 26.6km/L
※WMTCモード値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 645cc
最高出力 76.1ps/8500rpm
最高トルク 6.5kg-m/8100rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー FT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
MR8E-9
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.0L
交換時2.4L
フィルター交換時2.75L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ525|リンク114
車体価格 684,000円(税別)
系譜図
SV650前期 1999年
SV650/S(VP52A前期)
SV650後期 2003年
SV650/S(VP52A後期)
グラディウス 2009年
SFV650GLADIUS(VP55A)
2016SV650 2016年
SV650(VP55B)
SV650X 2017年
SV650X(C733A)

GLADIUS(VP55A)-since 2009-

SFV650グラディウス

「It All Comes Down to Fun」

SVの後継といっていいのか、違う派生車と言ったほうがいいのか微妙な立ち位置にいるSFV650 GLADIUS/VP55A型。

ここまで気合の入ったトラスフレームは海外勢を入れても無いのではなかろうか。

グラディウス400

デザインに強弱が付いてるトラスフレームでステップやマフラーまで流れを止めず流してるデザイン。

そしてクランクケースにも一工夫されているんですが分かりますか。

クランクケース

車名や造形を敢えて斜めにし、ボルトも奥に追いやるという非常に凝った形状。

『エレガント&スポーティ』

と言うだけあってデザインにお金を掛けてる意欲的な造り。

ちなみにこれはドイツやフランスがメインターゲットなんだそう。

ただこれは『エレガント&スポーティ』のエレガント部。スポーティの方も手抜きなし。

SDTV(デュアルスロットルバルブ)化。そしてSVシリーズでは初となるメッキシリンダーで馬力が更に上がって72馬力になりました。

グラディウス

要するにSVよりもルックスを磨き、よりVツイン感を味わえるようにエンジンも手が加えられるのがグラディウスなんです。

しかし残念なことに国内外問わず思った程の評価は得られませんでした・・・その最もたる理由は車体価格。

イギリスで表すとSV650が£4999(ポンド)だったのに対してSFV650は£5499と10万円弱も高かった。

これはグラディウスがお金を掛けたから当たり前な話なんですが、SV650のコストパフォーマンスが良すぎた事が仇となってしまったわけですね。

イギリス仕様

「SVは間違った方向に進んでしまった」

と人気だった欧州でも言われる始末。

しかしコレも難しいんですよね。

確かにSV650はロングセラー車でしたが、いくら人気の車種といえど10年以上売ってれば当たり前ですが晩年は販売台数も落ち込みライバル車にリードを許す展開となっていました。

欧州においてSV650の弱点、SVを選ばない理由は

「安っぽい(実際安いんだけど)」

とか

「腐るほど見るから」

という理由。

グラディウス650

つまりグラディウスはそんな声に応える為に生まれた豪華絢爛版SV650なわけですけど、そんなグラディウスを見て

「グラディウスは割高」とか「こんなのSVじゃない」

とか言われたらどうしようも無いですよね。

SV650とグラディウス

「じゃあSV買ってよ・・・」

って話ですよスズキからしたら。

グラディウスカタログ

これは国内でも言えることで、グラディウス400で検索してみると

「SVベースで80万超えは高すぎる」

という意見が多い。

コスパのSVを安っぽいとして選択肢から外す人たちの為にグラディウスを作ったら、今度はコスパが悪いとして選択肢から外された。

スズキ グラディウス650

スズキは少しくらい怒ってもいいかもしれない。

主要諸元
全長/幅/高 2130/760/1090mm
シート高 785mm
車軸距離 1445mm
車体重量 202kg(装)
[205kg(装)]
燃料消費率
燃料容量 14.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 645cc
最高出力 72ps/9000rpm
最高トルク 6.4kg-m/7600rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー YT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EIA-9
または
U24 IU24D
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.0L
交換時2.4L
フィルター交換時2.75L
スプロケ 前15|後46
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 840,000円(税別)
[890,000円(税別)]
※[]内はABSモデル
系譜図
SV650前期 1999年
SV650/S(VP52A前期)
SV650後期 2003年
SV650/S(VP52A後期)
グラディウス 2009年
SFV650GLADIUS(VP55A)
2016SV650 2016年
SV650(VP55B)
SV650X 2017年
SV650X(C733A)

SV650/S/SF/SA(VP52A後期)-since 2003-

SV650S後期

「PURE SPORT PERFORMANCE. PURE V-TWIN POWER.」

SV650のヒットのおかげで誕生する事となった長男SV1000と足並みを揃えた登場となった二代目のSV650/S。

FI化に加え先代のクラス初アルミオーバルトラスフレームから質実剛健なアルミダイキャストトラスフレーム。それに一目見ただけでSVと分かるテールライトが特徴的ですね。

SV650

実は成功した先代モデルの数少ない小さい問題点として

「高速道路やタンデム時にあまりにも優しすぎる(柔らかすぎる)」

という声がありました。

もともとSV650は街乗りを重視したモデルだったのでそれで正解だったんですが、あまりの人気で多目的に使われる様になったことからお金をかけてフレームを作り直し、剛性を上げる事で対応。

VP52A

ちなみにこの二代目は欧州では2014年まで売られるという本当に息の長かったモデルです。

大排気量主義な日本ではモトマップ扱いだった事もあり鳴かず飛ばずで知らない人も多いと思いますが、欧州ではスズキを代表すると言っても過言じゃないほどのロングセラー。

その人気は凄まじくライバルが不在どころか2008年に登場した身内のSFV650(グラディウス650)までも食ってしまうほど。

SV650ネイキッドモデル

普通は初代が成功するとハードルが上がるので期待に答えられず不人気車となってしまう事が多いのに、SV650は初代が大成功して二代目までも大成功したんだから凄いの一言。

長いモデルライフな上に晩年では日本で売らなったから少しマイチェンがややこしいんだけど、2007年モデルからはABSモデルの追加に伴ってラジエーターの幅を縮小、ブレーキ周りの見直し、フェンダーなどの各部修正などが入りました。

SV650SF

そして翌2008年モデルからはハーフフェアリングだったSモデルがフルフェアリングのSV650SFと+ABSのSAに置き換え。

シートも見直されて既に良かった足付きが更に良くなってます。

SV650SF

コレはコレでネイキッドに抵抗がある層から人気が出た。

ところでSVといえば(先代もそうですが)何とも言えない表情が特徴的ですよね。

日本ではアクが強いとかいう意見が多いですが、欧州人にはこれがとってもセクシーに見えるそうです。

SV650

このSV650の優れた特性とデザインを気に入ってる人は感性が欧州に近いんでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2130/730/1175mm
シート高 800mm
車軸距離 1430mm
車体重量 171kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 645cc
最高出力 72ps/9000rpm
最高トルク 6.3kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60ZR17(55W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー YT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
または
U24ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.1L
交換時2.3L
フィルター交換時2.7L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ525|リンク110
車体価格 790,000円(税別)
※スペックはSモデル
※モトマップ価格
※SV650/Fは正規販売なし
系譜図
SV650前期 1999年
SV650/S(VP52A前期)
SV650後期 2003年
SV650/S(VP52A後期)
グラディウス 2009年
SFV650GLADIUS(VP55A)
2016SV650 2016年
SV650(VP55B)
SV650X 2017年
SV650X(C733A)

SV650/S(VP52A)-since 1999-

SV650S

「V-Twin Sportbike Technology, Engineering for Fun」

先に登場していたSV400の一年遅れで登場したSV650/S。

これは排気量を見てもらうとわかる通り欧州に向けて作られたバイク。とはいうものの国内仕様も販売されてました。(すぐカタログ落ちしちゃったけど)

まあ650ccというのは日本にとって微妙な排気量だし、当時はまだTL1000が居たからから仕方ないんですけどね。

SV650

では肝心の欧州で評価はどうだったのかといえば出た当初は笑いもの扱いでした。

なぜなら当時、欧州ではスーパースポーツしか作ってこなかったドゥカティが作ったネイキッドであるモンスターが大ヒットしていたから。

M900

フラッグシップモデル851のフレームに900SSの空冷2バルブエンジンを積んだネイキッド。

今でこそ見慣れてるけど、当時としてはアベコベな異端車。でもこれがウケてドゥカティ史上もっとも成功したバイクと言われるまでの大ヒットしたわけです。

だからSV650やTL1000Sが出たときは欧州はMONSTER一色、モンスターかモンスター以外だったから

SV650S

「スズキが出したプアマンズモンスター」

と馬鹿にされました・・・ところが、ところがです。

あまりにも優しい乗り味、そしてキレるハンドリングに評論家たちが舌を巻き絶賛。

初代SV650フレームエンジン

更には乾燥重量165kgという驚異的な軽さとスリムさで取り回しに長ける車体、低回転域から不足なく出る一方、上で弾ける70馬力のVツインエンジン。

街乗りにおいてSV650の右に出るバイクは居ないと言わしめるほど。

初代SV650

そして止めは米ドルで4999という破格の安さ。

SV650は瞬く間にに欧州においてスズキを代表する大ヒット車に。

SV650のカタログ写真

どれくらい凄かったかというと、2001年の欧州において堂々の販売台数トップ(24,738台)を獲得するほどです。

主要諸元
全長/幅/高 2070/750/1060mm
[2040/740/1130mm]
シート高 785mm
車軸距離 1430mm
[1420mm]
車体重量 165kg(乾)
[169kg(乾)]
燃料消費率 35.5km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 645cc
最高出力 70ps/8500rpm
最高トルク 6.3kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60ZR17(55W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー YT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
または
U24ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.7L
交換時2.3L
フィルター交換時2.4L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ525|リンク110
車体価格 659,000円(税別)
[699,000円(税別)]
※[]内はSモデル
系譜図
SV650前期 1999年
SV650/S(VP52A前期)
SV650後期 2003年
SV650/S(VP52A後期)
グラディウス 2009年
SFV650GLADIUS(VP55A)
2016SV650 2016年
SV650(VP55B)
SV650X 2017年
SV650X(C733A)

TEMPTER(NK43A)-since 1997-

テンプター

「大人のスタンダード」

1997年に登場したテンプター/NK43A型。Savageが”獰猛なやつ”という意味だったのに対しこちらは

「Tempt(誘惑)+er(する人)=TEMPTER(誘惑する人)」

という意味。

ちなみにこれは通称名という一種のあだ名みたいなもので正式な機種名はST400Vといいます・・・そう、クラシックな見た目からも分かる通りST250のお兄さん的な立ち位置で登場したバイクなんですね。

ST400V

特徴としてはサベージと同じエンジンを王道のようなセミダブルクレードルフレームに搭載する形で他にも

・アルミバフ仕上げの二連メーター
・バフ仕上げのシリンダーヘッドカバーキャップ
・懐かしい円筒クロムメッキウィンカー
・スリムさを重視したタンクとシート
・パイプ状のグラブバー
・デュアルツーリーディングブレーキ
・アルミH型リムスポークホイール

などなどちょっとした細かい部品にクラシカルというかイギリス臭プンプンな拘りを散りばめたような形になっています。

テンプターの細部

そんな中でも面白いのが足回りブレーキで、このテンプターは相変わらず聳え立ってるエンジンも目立つんだけどこれが一番の特徴。

『機械式デュアルツーリーディングドラムブレーキ』

を採用しているんです。

テンプターブラックスタイル

デュアルツーリーディングっていうのは簡単に言うとトラックなどに多い強力なドラムブレーキのことで、例えるならWディスクブレーキならぬWドラムブレーキみたいな感じ。

ツーリーディングドラムブレーキ

なんでこれが特徴かと言うとこのブレーキシステムが使われていたのは遥か昔、まだディスクブレーキが普及してない頃に制動力をなんとかするために使われていたドラムブレーキだから。

ただしこれ正に二重苦で調整が非常に難しく、フィーリングも簡単にカックンブレーキになるからディスクブレーキの普及で廃れました。スズキが採用していたのも1972年の水牛ことGT750まで。

それをわざわざH型アルミリムと共に復刻させたんですね。当然ながらこの時代にこんなドラムブレーキが付いていたのはこのテンプターだけ。

デュアルツーリーディングブレーキ

なんで今更そんな大昔のホイール周りを復活させたのかというと

・当時ドラムブレーキによるレトロ化が流行っていた

・1950年代のイギリス車がこういうスタイルだった

という事からでしょう。

そんな昔風を通り越して本当に昔にするという加減を知らずのテンプターだったんですが、残念な事に2000年をもってモデルチェンジされることなくカタログ落ちとなりました。

スズキテンプター

理由はハッキリ言ってしまうとSR400の壁が厚すぎたから。

これなんとも因果な話で、前のページで話した通りサベージは主に北米などでエントリーであると同時にカスタムベースとしても人気が出てカスタムビルダーも参加した。

これによってカスタマイズ性の豊富さというアドバンテージ、言い換えるなら

「買った後も楽しめる付加価値であり参入障壁」

があったからロングセラーになった。

テンプター カタログ

一方でテンプターもサベージと同じように美しくもシンプルな形でカスタムにも持ってこいのポテンシャルは持っていた。

しかしそのポテンシャルを既に持っているライバルが居たことで、育ててくれる時間も環境も人も与えられなかったから短命に終わってしまったという話。

一番最初に市場に出ることで多大な利益を得る『先行者利益』という要素は親しい2つのモデルの評価をこれほどまでに変えてしまう力を持っているんですね。

しかもテンプターの場合さらに可哀想なことに上で紹介した通りホイール周りが完璧だった事からそれだけ取られて重宝されるという仕打ちまでうけました。

テンプター400カタログ写真

しかしそんなテンプターも最近はカスタムブームが落ち着いてきてレトロもパッケージングが求められる時代なったためか、当時が嘘のように再評価され中古が値上がりしているっていう。

もう少し早く出すか遅く出すかしていたらまた違った結果になっていたのではなかろうかと思うんですが、まあそれでこそのスズキとも言えるわけで。

主要諸元
全長/幅/高 2110/730/1040mm
シート高 780mm
車軸距離 1430mm
車体重量 159kg(乾)
燃料消費率 43.5km/L
※60km/hテスト値
燃料容量 12.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 396cc
最高出力 27.0ps/7000rpm
最高トルク 3.0kg-m/5000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前100/90-18(56S)
後130/80-17(65S)
バッテリー FTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR8EA-9
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時1.8L
フィルター交換時2.4L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ520|リンク110
車体価格 469,000円(税別)
系譜図
サベージ 1986年
LS650/400
SAVAGE
(NP41A/NK41A)
テンプター 1997年
TEMPTER
(NK43A)

ST250E(NJ4CA)グラストラッカー(NJ4DA)-since 2008-

ST250E

現行にあたるST250Eとグラストラッカー。

恐らくこのシリーズとして一番大掛かりなモデルチェンジ。そうです、排ガス規制強化に伴ったFI化です。

普通のバイクなら「FI化されました~」で流すような内容なんだけどこれまではコストを抑えるためにも比較的小規模な変更ばかりだった。

それに比べればFI化はとんでもないくらいのコスト増のモデルチェンジ。前代未聞なほど。

2015ST250E

このモデルチェンジを機にEタイプのみの販売に変わりました。

質感向上やFI化や排気ガスの触媒などで値段が449,000円まで上がったのはちょっと残念だけどね。

グラストラッカー

当然ながら兄弟車であるグラストラッカーもモデルチェンジしてFI化。

変更点はST250と同じでFI化に伴いキックが無くなり、燃料タンクが6Lから8Lへ容量アップ。

グラストラッカー10周年

GN250から始まったこのフレームとエンジンもなんだかんだで30年を超えました。

排気ガス強化でバタバタと空冷が倒れていく中でも、しっかりちゃっかり存続してるST250とグラストラッカー。

もうここまで来たらこのエンジンとフレームで何処まで行けるのか見届けてみたいものです。

主要諸元
全長/幅/高 2070/750/1075mm
[2050/900/1130mm]
<2200/910/1145mm>
シート高 770mm
[750mm]
<790mm>
車軸距離 1375mm
[<1405>]
車体重量 146kg(装)
[136kg(装)]
<139kg(装)>
燃料消費率 48.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12.0L
[<8.0L>]
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 19ps/7500rpm
最高トルク 2.1kg-m/5500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前90/90-18(51S)
後110/90-18(61S)
[前3.00-18(47S)
後120/80-17(61S)]
<前100/90-19(57P)
後130/80-18(66P)>
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.7L
交換時1.3L
フィルター1.4L
スプロケ 前15|後43
[前15|後41]
<前15|後43>
チェーン サイズ520|リンク108
[サイズ520|リンク100]
<サイズ520|リンク108>
車体価格 429,000円(税別)
[399,000円(税別)]
<429,000円(税別)>
※[]内はグラストラッカー
※<>内はBIGBOY
系譜図
DR250S 1982年
DR250S
(SJ41A)
GN250E 1982年
GN250E
(NJ41A)
ボルティー 1994年
ボルティー
(NJ47A)
マローダー250 1998年
マローダ250
(NJ48A)
グラストラッカー 2000年
グラストラッカー/ビッグボーイ
(NJ47A/NJ4BA)
ST250 2003年
ST250/E
(NJ4AA)
ST250E 2008年
ST250E/グラストラッカー/ビックボーイ
(NJ4CA/NJ4DA)

ST250/E(NJ4AA) -since 2003-

ST250カタログ

人気を博したボルティーの後継として登場したST250。

人気だったボルティーの基本コンセプトをそのまま引き継いでいるだけあって、相変わらず人気は上々。

またまたこれもしつこいですがエンジンフレーム、足廻り共にGN250から続くもの・・・なんだけど実はシリンダーがメッキタイプに変更されていて燃費とパワーが向上。

ST250

さらにホイールも前後18インチの物に変更されてる。

このモデルからシンプルベーシックなST250とメッキパーツなどの装飾が施されキックスターターが付いたTypeEの二本立てになった。

そう、勘の良い人はピンとくるだろうこのキックスターター。これはグラストラッカーのビッグボーイでも使われてるやつ。ST250Eにも付けてコスト下げようっていうコストパフォーマンス魂の現れ。

主要諸元
全長/幅/高 2070/750/1075mm
シート高 770mm
車軸距離 1375mm
車体重量 127kg(乾)
[129kg(乾)]
燃料消費率 55.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12.0L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 20ps/7500rpm
最高トルク 2.2kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前90/90-18(51S)
後110/90-18(61S)
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.7L
交換時1.3L
フィルター1.5L
スプロケ 前15|後43
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 349,000円(税別)
[379,000円(税別)]
※[]内はE Type
系譜図
DR250S 1982年
DR250S
(SJ41A)
GN250E 1982年
GN250E
(NJ41A)
ボルティー 1994年
ボルティー
(NJ47A)
マローダー250 1998年
マローダ250
(NJ48A)
グラストラッカー 2000年
グラストラッカー/ビッグボーイ
(NJ47A/NJ4BA)
ST250 2003年
ST250/E
(NJ4AA)
ST250E 2008年
ST250E/グラストラッカー/ビックボーイ
(NJ4CA/NJ4DA)

グラストラッカー(NJ47A/NJ4BA) -since 2000-

グラストラッカー

90年代中頃に起こったトラッカーブームに合わせて登場したグラストラッカー。

もちろんエンジンからフレーム、足廻りに至るまでボルティーと一緒。正に七変化。

ただグラストラッカーはセルに付け加えてキックも付いてる。

これは車名となっているグラストラッカーが1970年代にアメリカで流行った草レースの事でキックが付いたのはそのため。(万が一用)

グラストラッカーもボルティーほど安くは無かったんだけど出ると同時にブームの波に乗って人気が出るというスズキとしては珍しくスタートダッシュが決まったバイク。

そして一年遅れで今も続く派生モデルのビッグボーイが発売。

グラストラッカービッグボーイ

これはフロントフォークとスイングアームを延長してワンサイズ大きいタイヤを履いたモデル。

ファッショナブルな無印に比べて未舗装路での走行性を向上させたモデル。

だからBIGBOYの方がよりグラストラッカー(オフ寄り)と言えなくもない。

主要諸元
全長/幅/高 1995/900/1130mm
[2135/910/1145mm]
シート高 745mm
[785mm]
車軸距離 1325mm
[1405mm]
車体重量 124kg(乾)
[127kg(乾)]
燃料消費率 54.5km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 6.4.L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 20ps/7500rpm
最高トルク 2.1kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.00-18(47S)
後120/80-17(61S)
[前100/90-19(57P)
後130/80-18(66P)]
バッテリー YB10L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.7L
交換時1.3L
フィルター1.4L
スプロケ 前15|後41
[前15|後43]
チェーン サイズ520|リンク100
[サイズ520|リンク108]
車体価格 384,000円(税別)
[394,000円(税別)]
※[]内はBIGBOY
系譜図
DR250S 1982年
DR250S
(SJ41A)
GN250E 1982年
GN250E
(NJ41A)
ボルティー 1994年
ボルティー
(NJ47A)
マローダー250 1998年
マローダ250
(NJ48A)
グラストラッカー 2000年
グラストラッカー/ビッグボーイ
(NJ47A/NJ4BA)
ST250 2003年
ST250/E
(NJ4AA)
ST250E 2008年
ST250E/グラストラッカー/ビックボーイ
(NJ4CA/NJ4DA)

マローダ(NJ48A) -since 1998-

GZ250

クルーザーのGN250Eがボルティーへ進化したかと思ったらまた出してきたクルーザーのマローダー250。

もちろんエンジンもフレームも足廻りもボルティーそしてGN250Eとほぼ同じもの。実質的にGN250Eの後継でスズキとしては久しぶりに復活した250クルーザー。

最安のクルーザー(389,000円)でデビューしたけど、既にビラーゴやマグナやエリミネーターといった人気クルーザーが居たのでまあ人気は出ず。

ただこれもGN250と同じく欧州やオーストラリア、アメリカなんかではGZ250として2010年まで売られたロングセラーバイクだったりする。

マローダー250

ちなみにマローダーとは略奪者の意味。

イントルーダー(侵入者)、デスペラード(ならず者)、マローダー(略奪者)

あとバンディット(ごろつき)もだけど相変わらず凄いネーミング。

主要諸元
全長/幅/高 2160/815/1090mm
シート高 680mm
車軸距離 1375mm
車体重量 137kg(乾)
燃料消費率 55.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14.0L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 20ps/7500rpm
最高トルク 2.1kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前110/90-16(59P)
後130/90-15(66P)
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.7L
交換時1.3L
フィルター1.4L
スプロケ 前15|後41
チェーン サイズ520|リンク110
車体価格 384,000円(税別)
系譜図
DR250S 1982年
DR250S
(SJ41A)
GN250E 1982年
GN250E
(NJ41A)
ボルティー 1994年
ボルティー
(NJ47A)
マローダー250 1998年
マローダ250
(NJ48A)
グラストラッカー 2000年
グラストラッカー/ビッグボーイ
(NJ47A/NJ4BA)
ST250 2003年
ST250/E
(NJ4AA)
ST250E 2008年
ST250E/グラストラッカー/ビックボーイ
(NJ4CA/NJ4DA)