DIO/SR/ZX(AF34/AF35)-since 1994-

AF34

「生まれ変わった−Body & Heart。」

二代目にあたるスーパーディオ(素モデルのみ)と併売する形で登場した2st最後の世代となる三代目のライブディオことAF34型。

キャッチコピーにもあるようにこのモデルでディオは大きく生まれ変わりました。

変わった部分は先代に引き続きまたもやエンジンで、縦型だったエンジンが今も広く採用されている横型エンジンへと変更すると共にストレート吸気化で7馬力にアップ。

縦型と横型のスクーター

だからライブディオは横ディオとか言われたりもします。

なんで横型に変更したのかといえば上のやっつけイラストを見て察してもらえると助かるのですが一番は

「スペースを稼ぐため」

これによりモデルからタンク容量を+0.3L、オイル容量を+0.1L。そしてエンジンが立っている事からポッコリ出ていたメットイン底面がフラットになり更に使い勝手が向上しました。

ちなみメットインメットインと言っていますが正式にはシート下トランクで、メットインという言葉は実はホンダが生み出した造語。だから商標登録もホンダが持っていたります。

ZX/AF35

話を戻すとこのモデルからはディスクブレーキ化されたSR(写真上)、そして贅沢にもLEDブレーキランプ付きのハイマウントスポイラーのZX(写真下)も最初からラインナップ。

ZX/AF35

ZXの方は相変わらず専用チューニングが施されており0.2馬力UPした7.2馬力エンジン。

今回は更に90/90-10のワイドタイヤも採用しておりデザインも一番定評があるモデル。

TRF

ちなみにカタログにはZXではボーイミーツガールやイージードゥダンスでおなじみTRF。

ZXではない素モデルの方では広末涼子さんが起用されていました。

DIO 広末涼子

豪華過ぎるキャストですが、これはもちろんDIOが相変わらず若者に人気でホンダの一番人気原付だったから。

このライブディオは人気がピークだった世代で販売期間も長かった事から累計157万台とシリーズで一番売れたモデルでした。

モデルチェンジ歴をサラッとおさらいすると1996年(実質1997年モデル)には

・前後連動ブレーキ
・ディスクブレーキの標準化(SR廃止)
・大光量ハロゲンライト
・燃料タンクの6L化
・2ピースタイプのフロントフォーク(ZXのみ)

などの変更。

ZX後期

”規制前後期”といわれるモデルで何気に前期とはかなり部品が変わっていて別物化していたりします。

更に1999年半ばには排気ガス規制に対応するためキャブセッティングと触媒入りマフラーへの変更などが入り、ドラムブレーキの廉価グレードDIO Jも販売。

DIO J

”規制後後期”と呼ばれている世代です。

2001年のマイナーチェンジでイモビライザー(OP)に対応すると同時に素ディオと一本化されDIO Sへと改名されました。

以下ちょっと蛇足。

国産スクーター市場における最量産車モデル(ホンダ調べ)にまで上り詰めたディオなんですが、成功すると変なことを始めだすホンダの悪い癖と言いますかホンダらしさと言いますか、カゴ付きのチェスタやポップ調のフィットなど痒い所に手が届く派生モデルもあったんですが中にはこんな珍妙なモデルもありました。

DIO BAJA

『1995年 DIO BAJA/AF28』

XLR250やXR250でおなじみBAJAのアイコンである丸目二眼を取って付けたディオ。

補足しておくとBAJA(バハ)っていうのはメキシコにある半島をノンストップで駆け抜けるバハ1000というラリー。早い話が北米版パリダカみたいな感じでそれをイメージしたもの。

XLR250で出したらパンチが効いてて好評だったからモンキーと同じ様にディオでもパロったという話。

ディオバハ

ただこのBAJAモデルはディオらしく単純にパロっただけではなくもう一つ特徴があります。それはベースとなっているのがライブディオではなく先代のスーパーディオだという事。

先代の在庫処分なのか・・・それとも本当に過酷なエンデューロに必要不可欠な整備性の良さを取るためにわざわざ縦型エンジンにしたのかは謎。

ただこれだけでは終わりません。

1996年にはDIO STと呼ばれるモデルも販売。

ディオST

『1996年 DIO ST/AF35』

何やらフロントホイールの向こう側にチラリと見える事からダブルディスクかと思いきや、これは車速を測るためのセンサー。驚くことなかれ実はこれABSを採用しているんです。

ABSシステム

しかもリアを握るだけでフロントも自動で掛かる前後連動式という現在多くのホンダ車に採用されているコンバインドABSに通ずるもの。

一般的なオートバイではなく不特定多数が乗るディオで先行搭載する度胸が凄い。

そして最後に紹介するのがこれ。

スケルトンZX

『2000 DIO ZX スケルトン/AF35』

中身が薄っすら見えるスケルトンボディのZX。ショーモデルとかではなく本当に限定5000台で2000年に販売しました。

「スケルトンとかダサいし意味がわからない」

と今なら言われそうですね・・・

スケルトンZXカタログ写真

当時を知る人なら分かると思いますがスケルトンが大流行していたんですよ。

もう本当に猫も杓子もスケルトンモデルを出してた。キッカケはiMacだったかな。

主要諸元
全長/幅/高 1675/615/995mm
[1675/630/995mm]
シート高 700mm
車軸距離 1145mm
車体重量 73kg(装)
[75kg(装)]
{76kg(装)}
燃料消費率 46.9km/L
{46.3km/L}
※定地走行テスト値
燃料容量 5.3L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 7.0ps/6500rpm
{7.2ps/6500rpm}
最高トルク 0.79kg-m/6250rpm
{0.81kg-m/6250rpm}
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前後3.00-10-42J
{前後90/90-10-50J}
バッテリー YTR4A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR6HSA
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
1.3L
Vベルト 23100-GG2-751
車体価格 144,000円
[156,000円]
{167,000円}
※[]内はSR/AF35
※{}内はZX/AF35
系譜図
DJ-11985年
DJ-1/R/L/RR
(AF12/AF19)
AF181988年
DIO/SR
(AF18/AF25)
Gダッシュ1989年
G’
(AF23)
AF271990年
DIO/SR/ZX
(AF27/28)
AF341994年
DIO/SR/ZX/J/S
(AF34/AF35)
AF562001年
DIO/Z4/DX
(AF56/AF57/AF63)
AF622003年
DIO
(AF62/AF68)
JF312011年
DIO110
(JF31)
JF582015年
DIO
(JF58)

DIO/SR/ZX(AF27/AF28)-since 1990-

スーパーディオ

「ザ ストリート スタンダード」

二代目となる本家ディオ改めスーパーディオ/AF27型。

何がスーパーになったのかというと

・5.4馬力→6.8馬力
・燃料タンク4L→5L
・オイルタンク0.8L→1.2L
・ツインフォーカスライト標準装備
・MFバッテリー標準装備
・プッシュキャンセルウィンカー

などなど。

ただし実はこのスーパーディオ、翌年に更なるスーパー化をします。

AF27アクセサリー

翌91年に先代でも好評だったディスクブレーキ装備のSR/AF28型が登場したから・・・ではありません。

実はこのSRが出て少しした頃にディオはエンジンに変更が加えられたんです。変更が加わった部分はストローク運動を受け止めて回転運動に変換する棒であるクランク軸。

クランクシャフト

91年モデルから(SRは出て数カ月後から)クランク軸が12mmから14mmへ一回り太くなったんです。

これが何をもたらすのかと言うとズバリ強度の向上。言い換えるならばチューニングキャパシティの増加。

これによってディオは

「速い、カッコイイ、そして弄れる」

と三拍子揃った原付へと進化。縦型エンジンのおかげで潜る必要がほぼ無いほどの整備性の良さも相まってディオマニア達の間では

『縦ディオ』

として今でも非常に人気があったりします。

そしてそして忘れてはならないのが1992年、原付小僧なら誰もが憧れたZX/AF28型が登場。

AF28

SRにテールスポイラーを付けただけかと思いきや

・シリンダー
・キャブレター
・マフラー

を新設計し更にワイドレシオ化。これにより30km/hを過ぎてから本領発揮するスポーツ性能を獲得。

ちなみに読み方はゼッペケとかゼットエックスとか言われていますが

「ジーエックス」

が公式の読み方です。

主要諸元
全長/幅/高 1640/615/995mm
{1640/625/995mm}
[1650/630/1005mm]
シート高 700mm
{700mm}
[715mm]
車軸距離 1145mm
{1145mm}
[1150mm]
車体重量 68kg(装)
{70kg(装)}
[71kg(装)]
燃料消費率 48.5km/L
{48.5km/L}
[46.9km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 5.0L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 6.8ps/7000rpm
{6.8ps/7000rpm}
[7.0ps/7000rpm]
最高トルク 0.73kg-m/6500rpm
[0.74kg-m/6750rpm]
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前後3.00-10-42J
バッテリー YT4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR6HSA
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
1.2L
Vベルト 23100-GG2-750
車体価格 134,000円(税別)
{145,000円(税別)}
[159,000円(税別)]
※{}内はSR/AF28
※[]内はZX/AF28
系譜図
DJ-11985年
DJ-1/R/L/RR
(AF12/AF19)
AF181988年
DIO/SR
(AF18/AF25)
Gダッシュ1989年
G’
(AF23)
AF271990年
DIO/SR/ZX
(AF27/28)
AF341994年
DIO/SR/ZX/J/S
(AF34/AF35)
AF562001年
DIO/Z4/DX
(AF56/AF57/AF63)
AF622003年
DIO
(AF62/AF68)
JF312011年
DIO110
(JF31)
JF582015年
DIO
(JF58)

G'(AF23)-since 1989-

AF23

「いちばん乗りは、誰だ。」

ディオには派生モデルが色々あるんですが、その中でも紹介しておきたいのがディオが生まれた翌年に登場したこのG’(ジーダッシュ)/AF23型。

先に紹介した初代ディオで話した通りメットイン機能が原付スクーターにとっては必要不可欠な時代になったわけですが、それにも関わらずこのG’は鬼のメットインレスでキャリアやインナーラックすら備えていない。

Gダッシュのアクセサリー

「欲しいなら自分で付けろ」

という時代にあるまじき割り切り。

じゃあメットイン等の利便性を捨ててまで何を取ったのかというと”走り”です。

例えばエンジンはディオと同じかと思いきや超ハイギヤードの専用チューニングが施された上にハイパーマフラーなどの専用部品まで装備。

車体の方も固めの油圧サスにホイールベースもホンダとしては非常に短い1140mmでクイック。そして燃費悪いのにタンク容量も僅か3.5Lしか確保されていないから軽い。

Gダッシュの構造

「なにを思ってホンダはこんな原付を」

という話ですが、これはレースが関係しています。

80年代後半になるとレーサーレプリカブームが起こり各地方のサーキットで熱戦が繰り広げられていたんですが、素人が50万円も60万円もする上にとても手に負えない性能だった250や400でレースをするのは人生を捧げない限り難しい面が少なからずあった。

そこで代わりに人気となったのが負担の少ないNSR50などのミニバイクレース。しかしこれも50といえどオートバイというかレーサーレプリカなのでそれなりにお金が掛かる。

「もっと誰でも参加できるポピュラーなバイクはないのか」

という事で始まり人気が高まっていったのがスクーターレース。他のクラスと同じ様に無改造クラスやら無差別クラスやらで盛り上がっていました。

もうわかりますよね・・・そう。

Gダッシュ/AF23

明らかに実用性を考慮しておらず他の原付スクーターより速いG’はスクーターレースの為に造られた意味合いが強い原付なんです。

何故ホンダはそうまでしてこれを造ったのかといえばそれもレーサーレプリカと同じ。

「DJ-1やDIOより速いスクーターが居たから」

です。

Gダッシュのカタログ

G’は潔すぎる割り切り設計で頭一つ抜きん出た速さを持っていたためスクーターレース界隈から称賛されたというか

「G’じゃないと勝てない」

という事態にまでなり、スクーターレースはG’のワンメイク状態に陥りました。

主要諸元
全長/幅/高 1585/650/1005mm
シート高 715mm
車軸距離 1140mm
車体重量 63kg(装)
燃料消費率 50.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 3.6L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 6.8ps/7000rpm
最高トルク 0.73kg-m/6500rpm
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前後80/90-10(34J)
バッテリー YT4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR8HS
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
0.8L
Vベルト 23100-GR1-753
車体価格 143,000円
系譜図
DJ-11985年
DJ-1/R/L/RR
(AF12/AF19)
AF181988年
DIO/SR
(AF18/AF25)
Gダッシュ1989年
G’
(AF23)
AF271990年
DIO/SR/ZX
(AF27/28)
AF341994年
DIO/SR/ZX/J/S
(AF34/AF35)
AF562001年
DIO/Z4/DX
(AF56/AF57/AF63)
AF622003年
DIO
(AF62/AF68)
JF312011年
DIO110
(JF31)
JF582015年
DIO
(JF58)

DIO/SP/SR(AF18/AF25)-since 1988-

初代DIO

「街を颯爽とStyle & Impact」

原付スポーツスクーターを代表するモデルと言っても過言ではないホンダ ディオの初代にあたるAF18型。

先に登場していたDJ-1RRと同時発売でエンジンも同系なんですが、決定的に違う部分としては24Lのメットイン(センタートランク)機能が設けられている事。

つまり端的に言うと

「DJ-1にメットインスペースを設けたタイプ」

という立ち位置で登場したのがディオの始まりなんですね。

AF18のメットイン

当時を知らない人のために補足すると、ディオを始めここにきてメットインスクーターが相次いで登場するようになったのは

『ヘルメット着用の義務化』

が1986年から始まったから事にあります。それまで原付はノーヘルで良かったんですね。

それだけでも今の人からすると信じられない話かと思いますが、更に驚きなのがヘルメット着用が嫌で原付を乗らなくなる人が続出した事。

だからメーカーがなんとかヘルメット義務化の負担を減らすために編み出し一気に普及したのがメットインというわけであり、その中でも

『若者向けのメットインスポーツスクーター』

という立ち位置で登場したのがディオという話。

初代DIOのメットイン

そんな1988年発売のディオなんですがDJ-1よりもモデルチェンジサイクルは凄かったです。

わずか1年足らずの1989年初頭にスペシャルカラーのSPを発売したかと思えば、年末には6.8馬力にまでパワーアップした新設計エンジンと10インチチューブレスホイールを履いてスポーツ性に磨きをかけた後期モデルを発売。

AF18後期

なんでこんなに早かったのかといえば、いま話したようにヘルメット規制によるメットイン買い替え特需が生まれていたから。加えてディオはスタイルも好評だったから造れば造るだけ売れていたんです。

だからこの初代の時点で年間販売計画台数は当時トップの190,000台。今も絶賛販売中であるタクトの実に6倍もの台数です。

そんなディオ人気をさらに加熱させたのが1990年に発売されたSR/AF25型。

AF18後期

6.8馬力にまでチューニングされたエンジンに加えフロントディスクブレーキという原付にあるまじき豪華装備。

個人的にこのSRが若者人気の要因をよく表していると思います。

元々1980年代前後に爆発的な広がりを見せたスクーターというのは

『ファミリーバイク』

といって主婦を始めとしたバイクにそれほど思い入れがないママチャリを愛用していた層に向けた原付からこそヒットした。そのためスクーターというのはそういう層のためのバイクという固定観念みたいな物がメーカーにも市場にも出来ていた。

ディオが若者に支持されマストアイテムとなったのはこれを真っ向から打ち破ったから。

具体的に言うならばそのルックスも勿論そうなんですが合わせて

・チューブレスタイヤ
・油圧サスペンション
・MFバッテリー
・薄型ツインフォーカスヘッドライト
・インテーク付きエアロボディ

などなど、ただの移動手段ならば省かれるようなオートバイ並の装備を兼ね備えつつ”敷居の低い原付一種”だったからです。

SPカタログ写真

「金のない若者でも背伸びすれば何とか手が届くカッコイイ乗り物」

という存在だったからこそディオは若者に人気が出たんですね。

主要諸元
全長/幅/高 1600/615/990mm
[1610/615/1000mm]
{1605/625/1000mm}
シート高 700m
車軸距離 1135mm
[1140mm]
{1140mm}
車体重量 63kg(装)
[67kg(装)]
{69kg(装)}
燃料消費率 67.4km/L
[50.5km/L]
{50.2km/L}
※定地走行テスト値
燃料容量 4.0L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 6.4ps/6500rpm
[6.8ps/7000rpm]
{6.8ps/7000rpm}
最高トルク 0.74kg-m/6000rpm
[0.73kg-m/6500rpm]
{0.73kg-m/6500rpm}
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前後3.00-10-4PR
バッテリー YT4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BPR7HS
[BR8HSA]
{BR8HSA}
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
0.8L
Vベルト 23100-GS7-003
[23100-GG2-750]
{23100-GG2-750}
車体価格 126,000円
[129,000円]
{139,000円}
※[]内は90/1以降の後期
※{}内はSR/AF25
系譜図
DJ-11985年
DJ-1/R/L/RR
(AF12/AF19)
AF181988年
DIO/SR
(AF18/AF25)
Gダッシュ1989年
G’
(AF23)
AF271990年
DIO/SR/ZX
(AF27/28)
AF341994年
DIO/SR/ZX/J/S
(AF34/AF35)
AF562001年
DIO/Z4/DX
(AF56/AF57/AF63)
AF622003年
DIO
(AF62/AF68)
JF312011年
DIO110
(JF31)
JF582015年
DIO
(JF58)

DJ-1/R/L/RR(AF12/AF19)-since 1985-

DJ-1

「AERO SPORTS」

ホンダが1985年に発売した新世代原付スクーターことDJ-1/AF12型。

特徴としては5.2馬力を叩き出すエンジンも凄いんですが、一番はその後の原付スクーターのポジションを決定づけたとも言える足を前に投げ出す事を前提としたツートンカラーのステップボードとノーズからテールまで駆け伸びるようなラインの流線ボディ。

ドルフィンジャンプ

ちなみにこのシュッと伸びているデザインが

『ドルフィン・ジャンプライン』

という名称で車名もそこから取られているんですが、一方テレビCMでは強烈なディスクジョッキーを起用していたのでディスクジョッキーの略だという勘違いが生まれました。

DJ-1のコマーシャル

「DJ♪DJ♪」

とノリノリで言うだけの何とも珍妙なCMで少しだけ流行ったり・・・いや、そもそもこの人だれっていう。

DJ-1のカタログ

ただまあ当時を知る人ならDJは

『打倒ジョグ』

が本当の意味だというのは有名だと思います。

DJ-1が出る2年前の1983年にヤマハからジョグ(通称ペリカンジョグ)という原付スクーターが登場したんですが、ボディとフロントフェンダーが一体になった斬新なスタイリングが若者を中心に大ヒットしていました。

1983年といえば原付市場を中心とした泥沼の戦いであるHY戦争の終戦宣言がなされた年。ただ両者の中(特にホンダ社内)ではまだ火が激っていたんですね。それが結果としてMVXやNSそしてNSRと”2stスポーツのヤマハ”を叩き落とす為のバイクを生みレーサーレプリカという市場で再び相まみえる事になるんですが、それは原付市場でも変わらなかったという話。

DJ-1デザインスケッチ

ホンダ自身が打倒ジョグだったと名言している情報はありませんが、ホンダ監修の本などを読んでも否定されていないのでまあそういう事なんでしょう。

ただし若者向けスポーティ原付といえどホイールベースは約1165mmとかなり長めでジョグとは打って変わって安定性重視。ここらへんがホンダらしい所ですね。

そんなDJ-1は最初にも言ったようにレーサーレプリカブームに合わせたスタイリッシュなデザインとワイドレシオがもたらす厚い低中速が若者の間で絶大な人気を獲得。

ホンダはそこから手を緩めることなく翌1986年にはスポーツ性を高めたDJ-1Rを追加発売しました。

DJ-1のコマーシャル

専用チャンバーにより0.3馬力UPの5.5馬力(最終87年モデルは6.0馬力)となり10インチタイヤやアンダースポイラーも装備。

カタログにも若者に人気だった

『F-エフ』

というモータースポーツ漫画の主人公である赤木軍馬を起用しアピール。

DJ-1Lとビバユー

更に半年遅れで56ccのDJ-1Lと、とんでもないカラーリングを纏った限定モデルのビバユー(VIVA YOU)モデルを発売。

そしてDJ-1として有終の美を飾るモデルとなったのが1988年に登場したDJ-1RR/AF19型。

DJ-1Lとビバユー

6.8馬力にまでチューニングされたエンジンをベースにエアダクトやデュアルヘッドライト、それに油圧式テレスコピックフロントフォークの通称HR-SUSが奢られた最上級モデル。ちなみにトランクボックスに入っているロゴからも分かる通り、読み方はCBRと同じダブルアール。

ホンダはこのDJ-1のヒットと怒涛の攻勢により若者向けスクーターの地盤を築くことに成功。これがディオに繋がります。

主要諸元
全長/幅/高 1590/590/990mm
[1650/625/1025mm]
<1650/590/1025mm>
{1630/625/1015mm}
シート高 690mm
[735mm]
<735mm>
{710mm}
車軸距離 1165mm
[1180mm]
<1180mm>
{1160mm}
車体重量 56kg(装)
[59kg(装)]
<59kg(装)>
{60kg(装)}
燃料消費率 75.0km/L
[75.4km/L]
<60.2km/L>
{64.3km/L}
※定地走行テスト値
燃料容量 3.0L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
<56cc>
最高出力 5.2ps/6500rpm
[5.5ps/6500rpm
5.5ps/6500rpm※ビバユー
6.0ps/6500rpm※87~]
<5.8ps/6500rpm>
{6.8ps/7000rpm}
最高トルク 0.6kg-m/6000rpm
[0.63kg-m/6000rpm
0.63kg-m/6500rpm※ビバユー
0.69kg-m/6000rpm※87~]
<0.68kg-m/6000rpm>
{0.73kg-m/6500rpm}
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前後3.00-8-2PR
[前後80/90-10(34J)]
<前2.75-10-2PR
後2.75-10-4PR>
{前後80/90-10(34J)}
バッテリー YT4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BP6HSA
{BR8HSA}
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
0.9L
Vベルト 23100-GR1-751
車体価格 109,000円
[129,000円]
<139,000円>
{136,000円}
※[]内はR
※<>内はL
※{}内はRR/AF19
系譜図
DJ-11985年
DJ-1/R/L/RR
(AF12/AF19)
AF181988年
DIO/SR
(AF18/AF25)
Gダッシュ1989年
G’
(AF23)
AF271990年
DIO/SR/ZX
(AF27/28)
AF341994年
DIO/SR/ZX/J/S
(AF34/AF35)
AF562001年
DIO/Z4/DX
(AF56/AF57/AF63)
AF622003年
DIO
(AF62/AF68)
JF312011年
DIO110
(JF31)
JF582015年
DIO
(JF58)
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