第二回目はわからない人にとっては一生分からないままとなりかねない馬力とトルクについて。
高馬力、トルクがある、下がスッカスッカ。なんとなくイメージでは分かってるものの、今ひとつハッキリせず調べてみると
「1mを1kgでウンタラカンタラ」「馬1頭がウンタラカンタラ」「自転車ウンタラカンタラ」
というちょっとよく分からない例えを目にし諦めてる人が多いのでは。
まず大前提として覚えておいてほしいのは
「トルク(回転する力)×回転数=馬力(仕事量)」
という事でトルクと馬力というのは切っても切り離せない関係という事。
しかしながらエンジンで考えると難しいので別の物・・・そうですね、公園にある回るジャングルジムで例えましょう。
ヨイショと”押し回して”遊ぶ遊具で中々のデンジャラスさから撤去が相次いでいる「正式名称:回転式ジャングルジム」です。
ある日、ジャングルジムを押し回す力が強いホンダ君と、ホンダ君の半分の力でしか押し回す事が出来ないスズキ君の二人が
「どちらが多くジャングルジムを回せるか勝負だ」
として勝負することになりました。
「ホンダ君が勝つに決まってるじゃん・・・」
とジャッジとSTOPコールを頼まれたヤマハ君は思いましたが、ヤマハ君が二人の回す回数を数えてみると、ホンダ君とスズキ君のジャングルジムを回す速さは全く一緒で勝負がつかなかった。
普通はホンダ君が勝つと思いますよね。でもこれにはヨイショと押し回すだけではなく押し回す”回数”が関係しているんです。
【押し回す力が強いホンダ君】
押し回す回数は10秒に1回だった。
【押し回す力が弱いスズキ君】
押し回す回数は5秒に1回だった
押し回す力が大きいホンダ君は押し回す間隔が10秒で、押し回す力が小さいスズキ君は押し回す間隔が5秒。
つまりスズキ君はホンダ君の倍の速さで押し回することで自身の倍の回す力を持つホンダ君と引き分けに持ち込めたんです。でもこれは反対に言うとホンダ君はスズキ君の半分の回数で引き分けに持ち込めたとも言えます。
そしてこの一件を馬力とトルクに例え直すと
押し回す力=トルク
押し回す回数=回転数(rpm)
x周回すのに掛かった時間=馬力
となるわけです。つまり上の二人をエンジンで例えると、トルク(押し回す力)こそ違えど発生させている馬力は二人とも同じという事になります。
ここでもう余り見なくなった性能曲線を今度はカワサキ君と回転ジャングルジムで例えてみましょう。
カワサキ君がジャングルジムを一番力強く押し回せるのは押し回すペース(エンジン回転数)が1分あたり7500回(7500rpm)の時。この時の押し回す力が一番強い(最大トルク)
しかし押し回す力(トルク)こそ少し落ちるものの、まだまだ押し回すペース(エンジンの回転数)を上げられるので、時間辺りでジャングルジムを一番速く(多く)回せるのは1分あたり9500回(9500rpm)の時。これが最大馬力。
それ以上になると押し回すペース(エンジン回数)が速すぎて手が追いつかず、回す力(トルク)を上手く伝える事が出来なり、時間あたりのジャングルジムの周回数(最大馬力)も落ちてしまうというわけ。
で、単気筒エンジンよりも四気筒などの多気筒エンジンの方が馬力が上がりやすいのは何となくわかると思います。この理由を(誤解を恐れずに)言うと、ヨイショと回す手の数は気筒の数ということ。
もしも4つ手あれば時間辺りの押し回すペース(エンジンの回転数)を増やせますよね。押し回す力(トルク)じゃないですよ、押し回す回数(エンジン回転数)です。
つまり最初に言ったホンダ君とスズキ君の勝負で例えるなら、ホンダ君が片手(単気筒)でやっていたのに対し、スズキ君は両手(二気筒)でやっていた様なもの。
だから両手を使っているスズキ君の方がジャングルジムを回す効率は悪く、すぐにお腹(燃料)が減ってしまうというわけです。
・・・分かりにくかったかな。
この、「エンジン性能曲線」今のバイクのカタログに乗せている車種ありますか?
いま、記載されていないのが大半だと思います。
何時からそうなったんでしょうかね?
学生時代はカタログのこの曲線をトレーシングで写して、他車のカーブと比べたりして、性能を想像していました。
その”予測計測”行為で、俺たちのグループ(1979年頃)ではXJ400、Dを推すヤツはいなくなったですね。もし乗るならスペシャルだと。低速中速のトルクがまだ多いように見えましたから。
いややっぱり重くてもFXだと。毎回喧嘩でした。
で、半数が値引きの多いスーパーホークⅡかGSX-Eを買うというオチですが。
この曲線。それだけで判断する事は無いでしょうが、金の無い学生はカタログスペック命!でしたね。