Z900RS/CAFE(ZR900C/E) -since 2018-

ブラック

「Timeless Z」

なにかと話題になっていたZ900RS(ZR900C)。サイトにも多くのリクエストが来てるのを見ても凄い反響ですね。

Z900RSフレーム

基本的には先に紹介したZ900(ZR900B型)で、フレームのステム部分を伸ばし長い間隔でマウントすることで直進安定性といいますか、ネイキッドらしい落ち着いたハンドリングを出している様です。

フロント周り

ストファイのZ900を差し置いてネオレトロのRSはラジアルマウントキャリパーを採用、一方でカワサキにしては珍しく非ペタル(花びら)ディスクローターという何とも面白い組み合わせ。

エンジンも低回転域の扱いやすさを増す為に圧縮比を落としています・・・が、まあそれよりも見た目ですよね。

ブラック

丸目LEDヘッドライトから始まり、二眼メーターにティアドロップタンク、冷却フィンの装飾やクランク回りのエンジン外装、長いシートと流れる様なサイド&シートカウルなどなど、何処からどう見てもZ1(というかゼファー?)を連想させる。

Z1とZ900RS

肝心のマフラーが四本出しじゃなかったりするのは、ネオレトロの火付け役であり大事な要素であるカスタムビルダーへの配慮かな。

見た目はレトロだけどトラクションコントロールシステムやABS、スリッパークラッチといった最先端装備ももちろんB型と同様に装備、RSはそれに加えてETC2.0も標準装備となっています。

Z900RSカフェ

コチラはカフェスタイルのZ900RS CAFE/ZR900E。

【野暮な小言】

Z900RSに対するリクエストが何故こんなに来たのかといえば「ザンザスの系譜」

「Zの亡霊」

と言ったからかと。

Z900RSとZ1

それも今ではZといえばZ1/Z2ではなくストファイというイメージが出来上がっていた・・・そんな中で出てきたZ900RS。

正直に言うと

「せっかく除霊したのに呼び戻すイタコみたいな事するなんてネオレトロブームに屈したな」

と思いました。

しかしいざ出てきた物を見るとそうとも言い切れない部分もある。

Z900RSヘッドライト

Z1/Z2やゼファーが好きな人からするとZ900RSは少しズレていると思います。

水冷やモノサスはもちろん、スポークホイールではなくスポークホイール風キャストホイールだったり、倒立フォークやラジアルマウントキャリパーだったり、ウィンカーやフェンダーが今風だったり。

ZR900C

色んな部分がZ1ではない上に寄せる努力をした形跡が見て取れない。

ここで思い出したのがZRXシリーズの車体設計に携わっていた古橋さんがネイキッドの二本サスについてインタビューで

「いつまでも二本サスというのは・・・」

と漏らした事。

Z900RSサイド

それらから思うにZ900RSは、今のカワサキが、今のバイク乗りの為に作った、今のRS(RoadSter)なのかなと。

Z1の様で・・・明らかにZ1じゃない。懐古的ではあるけど回帰的ではない。

それは車名にも現れています。

Z900RSカタログ写真

「Z900RS」

こんな車名のZは今まで存在しません。

Z1は900Super4もしくはZ900、Z2も750RSやZ750FOUR。

でもZ900RSと聞くと誰もが自然とZ1を思い浮かべる。見た目だけでなく車名までもがZ1を連想させるけどZ1ではない・・・上手い車名を付けたものです。

主要諸元
全長/幅/高 2100/865/1150mm
[2100/845/1190mm]
シート高 800mm
[820mm]
車軸距離 1470mm
車体重量 215kg(装)
[217kg(装)]
燃料消費率 20.0km/L
※WMTCモード値
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 948cc
最高出力 111ps/8500rpm
最高トルク 10.0kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.3L
フィルター交換時3.8L
スプロケ 前15|後42
チェーン サイズ520|リンク114
車体価格 1,230,000円(税別)
[1,250,000円(税別)]
※[]内はZ900RS CAFE(ZR900E)
系譜図
Z21973年
750RS
(Z2/Z2A)
Z750FOUR1976年
Z750FOUR
(Z750A4/A5/D1)
Z750FX1979年
Z750FX
(Z750D2/D3/E)
Z750GP1982年
Z750GP
(Z750R)
ZR750J2004年
Z750/S
(ZR750J/K)
ZR750L2007年
Z750
(ZR750L)
ZR750N2011年
Z750R
(ZR750N/P)
ZR800B2012年
Z800
(ZR800A)
ZR900B2017年
Z900
(ZR900B)
ZR900B2017年
Z900RS/CAFE
(ZR900C/E)

【関連車種】
CB650F/CBR650Fの系譜MT-09の系譜GSX-S750の系譜Z1000の系譜空冷MONSTERの系譜

Z900(ZR900B) -since 2017-

Z900

「REFINED RAW」

Z800の後継として登場したZ900。伝統のマジック9という事で大いに注目されました・・・が、今のところ日本への入荷は無し。

伝統のマジック9というのは900ccの事で、900Super4(Z1)→GPZ900R→ZX-9Rと続いたカワサキ旗艦の証だったからです。

そんなZ900ですが先代Z800との大きな違いはベースエンジンがZ1000の物になったものもだけど一番は骨格。

Z900とZ800

メインフレームがバックボーンフレームからトラスフレームへと変更され、スイングアームもアルミ化。これによってZ800比で-19kgという排気量を上げておきながら大幅な軽量化となりました。

これだけでも凄いんですが、カワサキはZ900からSD法(Semantic=意味 Differential=差別)を取り入れた感性評価技術を始めました。

SD法というのは

柔い【1|2|3|4|5】硬い

軽い【1|2|3|4|5】重い

斬新【1|2|3|4|5】陳腐

といったアンケートを取って解析し意味評価を数値化する心理学的測定法だそうです・・・SD法について具体的な事はよく分かりませんが、要するに感性に訴える部分を数値化して高めようという話。

その為にやっていることの一つがエアクリーナーボックスの中に潜んでいます。

Z900エアファンネル

ファンネル(吸気口)の形が1-4番と2-3番で全然違う・・・直四でファンネルの形がコレほどバラバラなんて見たこと無いわけですが、もちろんコレはワザとやっている事。

長い気筒と短い気筒を交互に吸気する様にし吸気音にメリハリを、空気の充填効率を変えることでトルク感をそれぞれ出しているわけです。ちゃんと音響解析技術を使っているそうです。

スズキもGSX-Sで試みていたりしていますね、最近はこういう吸気音好きにはたまらない味がトレンドなんでしょう。

ところでこのZ900もタイ生産なわけで、メーターや灯火系などはZ650と共用な様でZ800とほとんど値段が変わらないお買い得Zなんですが、日に日にタイの設備が充実してるのが伺えますね。

Z900フレーム

例えばフレーム。

アジア生産のモデルがダイヤモンドフレームばかりなのがご存知だと思います。

これはコスト面もそうですがフレーム製造に関する設備というのはとてもお金が掛かるから簡単にいかない面が大きいんです。

ところがZ900はただのダイヤモンドフレームから一歩進み溶接箇所の多いトラスフレームを採用している。これはひとえにタイに新しいフレーム製造の設備(またはサプライヤー)が入ったということ。

始まりは250SLからでしょうか。10年後には当たり前のようにアルミダイキャストフレームまで作ってそう・・・。

Z900パフォーマンス

日本に入ってきたのはデビュー翌年の2018年から。

ただほぼ同時期デビューした兄弟車のせいで影は非常に薄いのが現実・・・。

尖り放題だった先代と比べてシート高など色々と考えられた寄り添い型ストリートファイターっていう良いバイクなんですけどね。

主要諸元
全長/幅/高 2065/825/1065mm
シート高 795mm
車軸距離 1450mm
車体重量 210kg(装)
燃料消費率 18.5km/L
※WMTCモード値
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 948cc
最高出力 125ps/9500rpm
最高トルク 10.0kg-m/7700rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.2L
フィルター交換時3.6L
スプロケ 前15|後44
チェーン サイズ520|リンク114
車体価格 950,400円(税込)
系譜図
Z21973年
750RS
(Z2/Z2A)
Z750FOUR1976年
Z750FOUR
(Z750A4/A5/D1)
Z750FX1979年
Z750FX
(Z750D2/D3/E)
Z750GP1982年
Z750GP
(Z750R)
ZR750J2004年
Z750/S
(ZR750J/K)
ZR750L2007年
Z750
(ZR750L)
ZR750N2011年
Z750R
(ZR750N/P)
ZR800B2012年
Z800
(ZR800A)
ZR900B2017年
Z900
(ZR900B)
ZR900B2017年
Z900RS/CAFE
(ZR900C/E)

Z800(ZR800A) -since 2012-

Z800

もともとZ750そしてZ750Rの欧州での人気は決して悪くなかった。

それなのに何でわざわざ一新してZ800を出したのかというと・・・FZ8に対抗するため(UK Wikipedia参照)。

って書いてあるけどFZ8に限らず過熱化で次々と登場するライバル車に対抗するためでしょうね。

何度も言ってますがこの600~800ccというミドルクラスが欧州でコストパフォーマンスの面から爆発的な人気を呼んでいます。

ただ一言でミドルクラスと言ってもその中でも住み分けがされてる。
600ccはどちらかと言うとコストパフォーマンスでもコストに重きを置いたモデルがメイン。カワサキならER-6ですね。アレも欧州で凄い人気です。

逆にアッパーである800cc近辺のクラスはというと逆にコストパフォーマンスのパフォーマンスに重きを置いたモデルがメイン。このZ750/Z800がそう。

Z800カウルレス

ちなみにFZやGSR等と同じようにZ800も仕様地によってA2免許でも乗れる35kW(47馬力)モデルなどがあります。

もちろん日本に正規で入ってきてる物はフルパワーなのでご安心を。

Z800リア

エンジンが748ccから806ccになったのはボアを広げショートストローク化した為。ついでにサラッと言うとアルミダイキャスト製のメッキシリンダーになってる。

こう聞くと、それまでの扱いやすいZ750よりアグレッシブになってそれまでのチョウドイイZ750から尖ったZ1000寄りになったのかと思うけど、そうではなく従来通りZ750寄りのパワフルかつ扱いやすい性格になっている。

Z800エンジンパフォーマンス

それに加えサスペンションもマウントから見直しが入り靭やかさが増した事で、より街中でも軽快に走れるようになったとのこと。

でも個人的に一番はやっぱり文字通りアグレッシブな見た目かな?

Z750と言われるとどうしても”Z1000の弟分”というイメージを持たれる事が多い。
性格は正反対だし中身も結構違ってるからよく知ると単純な兄弟関係ではないというのが分かるんだけど、見た目がZ1000と似ている事からどうしても差別が難しかった。

Z800マットブラック

でも今回このZ800でそれは完全に無くなったと言ってもいいんじゃないかな。

Z1000はZ1000で斜め上の方に猪突猛進して、Z800はベストミドルの道を突き進む。

カワサキの人も言ってたけどもはやZ1000の弟と言うよりZブランドのセンターミドルと言ったほうが正しいですね。

主要諸元
全長/幅/高 2100/800/1050mm
シート高 834mm
車軸距離 1445mm
車体重量 229kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 806cc
最高出力 113ps/10200rpm
最高トルク 8.5kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EK
または
U27ETR
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4/T4
または
MA適合品10W-40
オイル容量 全容量3.8L
交換時3.1L
フィルター交換時3.4L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ520|リンク114
車体価格 880,000円(税込)
系譜図
Z21973年
750RS
(Z2/Z2A)
Z750FOUR1976年
Z750FOUR
(Z750A4/A5/D1)
Z750FX1979年
Z750FX
(Z750D2/D3/E)
Z750GP1982年
Z750GP
(Z750R)
ZR750J2004年
Z750/S
(ZR750J/K)
ZR750L2007年
Z750
(ZR750L)
ZR750N2011年
Z750R
(ZR750N/P)
ZR800B2012年
Z800
(ZR800A)
ZR900B2017年
Z900
(ZR900B)
ZR900B2017年
Z900RS/CAFE
(ZR900C/E)

Z750R(ZR750N/P) -since 2011-

Z750R

欧州で認められイケイケだったZ750への更なるテコ入れとして登場したのが上位モデルとなる750R

エンジンこそ先代のままなものの、前後サスペンションを始めブレーキやスイングアームに専用品(Z1000と同等クラスのモノ)が奢られている。

専用スイングアーム

外装の変更は少しだけで足廻り強化がメインっていう硬派さは如何にも欧州らしいし、こういったモデルが出るという事が、いかに欧州でZ750が人気だったかが伺える。

非常に完成度が高く、人気もあったからライバル車や果ては後継との比較インプレが続いた。

狭間モデルでもありながら人気モデルでもある珍しいバイク。

主要諸元
全長/幅/高 2085/805/1440mm
シート高 815mm
車軸距離 1440mm
車体重量 224kg(装)
[227kg(装)]
燃料消費率
燃料容量 18.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 748cc
最高出力 106ps/10500rpm
最高トルク 8.0kg-m/8300rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EK
または
U27ETR
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4/T4
または
MA適合品10W-40
オイル容量 全容量3.8L
交換時3.1L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前15|後43
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 ※[]内はABSモデル(ZR750P)
系譜図
Z21973年
750RS
(Z2/Z2A)
Z750FOUR1976年
Z750FOUR
(Z750A4/A5/D1)
Z750FX1979年
Z750FX
(Z750D2/D3/E)
Z750GP1982年
Z750GP
(Z750R)
ZR750J2004年
Z750/S
(ZR750J/K)
ZR750L2007年
Z750
(ZR750L)
ZR750N2011年
Z750R
(ZR750N/P)
ZR800B2012年
Z800
(ZR800A)
ZR900B2017年
Z900
(ZR900B)
ZR900B2017年
Z900RS/CAFE
(ZR900C/E)

Z750(ZR750L) -since 2007-

2007年式Z750

水冷Zとなって二代目のZ750(ZR750L)

先代から質感が大幅に上がり倒立サスを奢ってもらえた。
これは先代がコストパフォーマンスの優秀さなどで欧州でそこそこ好評だったからにほかならない。

先代もそうだけど基本的な構造はZ1000に倣ってるいるのでモデルチェンジも合わせて行われたんだけど、意外と専用品がチョコチョコあったりする。

そしてこのモデルからZ1/Z2から続く兄と弟という関係が明確に変わり始めました。

Z1000とZ750

というのもZ1000が年を追う毎にスペックが上がっていくのに対し、Z750は逆にスペックが下がっていった。
この理由についての正式な理由はカワサキからは何もないけどその後の経緯から見ても、Z1000とZ750の方向性の違いが最大の要因だと思う。

Z750はZ1000と違い、スペックよりもオールマイティに何でも熟せるバイクへとより大きく舵を切った。

ZR750L

例えるなら無鉄砲な兄のZ1000を冷めた目で見る器用な弟・・・的な。

でも結果的にコレが日常でバイクを使う欧州人に「日常で楽しめるストリートファイター」としてウケた。

Z750カタログ写真

結果として兄であるZ1000を凌ぐ販売台数を記録。

750ccで100馬力もある直四のバイクが「チョウドイイ」と思える欧州人の感覚は日本とはかけ離れてる気がしないでもないですね。

主要諸元
全長/幅/高 2085/805/1440mm
シート高 815mm
車軸距離 1440mm
車体重量 203kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 18.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 748cc
最高出力 100ps/9000rpm
最高トルク 8.0kg-m/8300rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EK
または
U27ETR
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4/T4
または
MA適合品10W-40
オイル容量 全容量3.8L
交換時3.1L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前15|後43
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 880,000円(税別)
系譜図
Z21973年
750RS
(Z2/Z2A)
Z750FOUR1976年
Z750FOUR
(Z750A4/A5/D1)
Z750FX1979年
Z750FX
(Z750D2/D3/E)
Z750GP1982年
Z750GP
(Z750R)
ZR750J2004年
Z750/S
(ZR750J/K)
ZR750L2007年
Z750
(ZR750L)
ZR750N2011年
Z750R
(ZR750N/P)
ZR800B2012年
Z800
(ZR800A)
ZR900B2017年
Z900
(ZR900B)
ZR900B2017年
Z900RS/CAFE
(ZR900C/E)

Z750/S(ZR750J/K) -since 2004-

2004年式Z750

「新世代Zパフォーマンス」

実に20年ぶりに復活したZ750。

Z1000の一年遅れで登場という奇しくもZ1/Z2と全く同じ登場の仕方になったZ750(ZR750J)の通称J型。過去のZ750と区別するために水冷Z750とか言われたりもしてますね。

ただそれまでのZ1/Z2と大きく違うのはZ1/Z2が世界戦略車と国内向けだったのに対し、Z750も世界戦略車ということ。

Z750リア

基本的な構造はZ1000に準ずるもののサスペンションを正立にしスイングアームも簡略的な物になりマフラー四本出しから集合管へと変わっている。

これは海外市場において750ccという存在が日本で言う400ccのミドルクラスに近い存在でコストパフォーマンスが要求されるから。

エンジンも尖ったZ1000の物だけどストローク幅はそのままボアを縮小し748ccまでダウン。これによりZ1000よりも広域で扱いやすい性格になっています。

それでも最高出力はZ1000が127馬力なのに対し109馬力と750にしてはかなり高い方だけどね。

更にその一年後には大型のハーフカウルを付けたSモデルが登場。

Z750S

恐らく多くの人が

「あーあったねこんなの」

ぐらいに思ってるかと。なんでこんなの出したのか疑問に思う人も多いのではないかと。

その理由はZRX1200Sもそうだけど

「日本人の言うネイキッド≠欧米のネイキッド」

だから。

海外でネイキッドと言えば(国によるんだけど)Sモデルみたいなバイク。でもその海外でも無印ばかりが売れてSモデルは余り売れなかったみたいですけどね・・・

まあしかしそのおかげでZ1000もZ750もヘッドライトはオマケ程度でも良いと分かりストファイブームに一役買った事は間違いないです。

主要諸元
全長/幅/高 2080/780/1055mm
[2080/780/1180mm]
シート高 815mm
車軸距離 1425mm
車体重量 195kg(乾)
[199kg(乾)]
燃料消費率
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 748cc
最高出力 109ps/11000rpm
最高トルク 7.6kg-m/8200rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EK
または
U27ETR
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4/T4
または
MA適合品10W-40
オイル容量 全容量3.8L
交換時3.1L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前15|後43
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 850,000円(税別)
[860,000円(税別)]
系譜図
Z21973年
750RS
(Z2/Z2A)
Z750FOUR1976年
Z750FOUR
(Z750A4/A5/D1)
Z750FX1979年
Z750FX
(Z750D2/D3/E)
Z750GP1982年
Z750GP
(Z750R)
ZR750J2004年
Z750/S
(ZR750J/K)
ZR750L2007年
Z750
(ZR750L)
ZR750N2011年
Z750R
(ZR750N/P)
ZR800B2012年
Z800
(ZR800A)
ZR900B2017年
Z900
(ZR900B)
ZR900B2017年
Z900RS/CAFE
(ZR900C/E)

Z750GP(Z750R) -since 1982-

Z750GP

各社からZより速いバイクがゴロゴロ出てきた事で、もはやZブランドは無いに等しいものになってた。

そんな状況を何とか挽回しようとしたカワサキが出したバイクがこのZ750GP。

サイドカバーを見てもらうと「GPz750」と書いているのが分かる。

Z750GPなのかGPz750なのか非常に紛らわしいけど車名はZ750GPです。GPz750は二年後に登場する。

じゃあなんでGPz750なんて書いてあるのかというと「GPモデルのZ750」という意味。結果的にこれがGPzという名前を生んだキッカケになった。

さてそのZ750GPだけどエンジンこそ先代FXから続くザッパーだけど兄貴分のZ1000GPの造りを意識した物になっている。

何と言ってもこの時代にFIを採用したこと。

d.f.i

Z1000GPでも言ってるけど正直褒められた出来ではなく、エンジンストールが絶えなかったとか何とか・・・

結果的にZ系のネイキッドはハイスペックカウル車ブームに伴いGPz系へバトンタッチすることでしばらくお休みすることになった。

主要諸元
全長/幅/高 2170/780/1130mm
シート高 -mm
車軸距離 1460mm
車体重量 216kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 21.0L
エンジン 空冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 738cc
最高出力 70ps/9500rpm
最高トルク 6.0kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前100/90-19
後120/90-18
バッテリー YB12A-AK
プラグ B8ES
推奨オイル
オイル容量
スプロケ 前13|後33
チェーン サイズ630|リンク88
車体価格 645,000円(税別)
系譜図
Z21973年
750RS
(Z2/Z2A)
Z750FOUR1976年
Z750FOUR
(Z750A4/A5/D1)
Z750FX1979年
Z750FX
(Z750D2/D3/E)
Z750GP1982年
Z750GP
(Z750R)
ZR750J2004年
Z750/S
(ZR750J/K)
ZR750L2007年
Z750
(ZR750L)
ZR750N2011年
Z750R
(ZR750N/P)
ZR800B2012年
Z800
(ZR800A)
ZR900B2017年
Z900
(ZR900B)
ZR900B2017年
Z900RS/CAFE
(ZR900C/E)

Z750FX(Z750D2/D3/E) -since 1979-

Z750FX

海外で低迷するZ1の人気を再び押し上げたZ1000MARK2の750cc国内バージョンがこのZ750FX。

「通称:角Z」

と呼ばれるモデルです。このモデルも非常に人気が高く、今でもプレミア価格で取引されてます。

Zオーナー達にとっては常識と怒られるかもしれませんが、実はこのFXはZシリーズにおいて大きな転機を迎えたバイクでもあります。

このZ750FXが型式が2つあるのは最初こそZ2ベースだったのですが、1980年のZ750FXIIからはZ650のエンジン(Z750E)になっているから。

ザッパー

Z650通称ザッパーというのはZ1/Z2のエンジンから数年後に開発されたエンジンで軽量コンパクトを重視して作られたスポーツエンジン。Z650に最初に積まれたこのエンジンでZ系もしばらく行くことになります。

ザッパーについてはコチラ

Z750FXII

ちなみにこれがZ650ベースになったZ750FXII/KZ750E型。

角Zから一転して丸Z風に様変わりしたんですが、これが結構不評でした。

Z750FXIII

という事で翌年のZ750FIII/E型後期で再び角Z風にモデルチェンジしていたりします。やっぱりFXといえば角Zと考える人が当時から多かったんでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2180/900/1190mm
[2135/835/1150mm]
シート高 810mm
車軸距離 1500mm
[1425mm]
車体重量 246kg(乾)
[228kg(乾)]
{232kg(乾)}
燃料消費率
燃料容量 17.8L
エンジン 空冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 746cc
[738cc]
最高出力 70ps/9000rpm
[67ps/9500rpm]
最高トルク 5.7kg-m/8500rpm
[5.6kg-m/7500rpm]
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.25H19
後4.00H18
バッテリー YB14L-A2
[YB12A-A]
プラグ B7ES
または
W22ES-U
[B8ES]
推奨オイル
オイル容量
スプロケ 前15|後42
[前13|後33]
チェーン サイズ630|リンク96
[サイズ630|リンク88]
車体価格 515,000円(税別)
※[]内はFXII(D3)
※{}内はFXIII(E型)
系譜図
Z21973年
750RS
(Z2/Z2A)
Z750FOUR1976年
Z750FOUR
(Z750A4/A5/D1)
Z750FX1979年
Z750FX
(Z750D2/D3/E)
Z750GP1982年
Z750GP
(Z750R)
ZR750J2004年
Z750/S
(ZR750J/K)
ZR750L2007年
Z750
(ZR750L)
ZR750N2011年
Z750R
(ZR750N/P)
ZR800B2012年
Z800
(ZR800A)
ZR900B2017年
Z900
(ZR900B)
ZR900B2017年
Z900RS/CAFE
(ZR900C/E)

Z750FOUR(A4/A5/D1) -since 1976-

Z750フォア

車名を改め、Z750FOURとなったゼッツー・・・と言っていいのかな?

実は人によって意見が別れる所なんです。
もともと”ゼッツー”と呼ばれる様になった要因は型式によるものなのですが
人によっては

「A5までゼッツーだ!」とか「D1までゼッツーだ!」とか「Z2はRSだけだ!」とか意見がまちまちなんです。

これは永遠に解決しない問題です・・・興味のない人にとってはどうでもいい事かも知れませんが、Zオーナー達にとっては死活問題だったりします。

Z750A4

さてこの750フォアと先代の違いとして、フロントブレーキがダブルディスク化したこと、スピードリミッター装備、テールの大型化などが挙げられます。

Z2と数年違うだけで今や中古価格が倍以上違うのを見るとなんだかなーと思ったり。

主要諸元
全長/幅/高 2200/865/1170mm
シート高 820mm
{825mm}
車軸距離 1500mm
車体重量 236kg(乾)
{245kg(乾)}
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 空冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 746cc
最高出力 70ps/9000rpm
最高トルク 5.6kg-m/8500rpm
{5.7kg-m/8500rpm}
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.25H19
後4.00H18
バッテリー YB10L-A2
[{YB14L-A2}]
プラグ B8ES
{B7ES
または
W22ES-U}
推奨オイル
オイル容量
スプロケ 前15|後42
チェーン サイズ630|リンク100
[{サイズ630|リンク96}]
車体価格 485,000円(税別)
※[]内はA5
※{}内はD1
系譜図
Z21973年
750RS
(Z2/Z2A)
Z750FOUR1976年
Z750FOUR
(Z750A4/A5/D1)
Z750FX1979年
Z750FX
(Z750D2/D3/E)
Z750GP1982年
Z750GP
(Z750R)
ZR750J2004年
Z750/S
(ZR750J/K)
ZR750L2007年
Z750
(ZR750L)
ZR750N2011年
Z750R
(ZR750N/P)
ZR800B2012年
Z800
(ZR800A)
ZR900B2017年
Z900
(ZR900B)
ZR900B2017年
Z900RS/CAFE
(ZR900C/E)

750RS(Z2/Z2A) -since 1973-

カワサキ750RS

「ROYAL MACHINE」

皆さんご存知ゼッツーこと750RS/Z2~Z2A型。

900Super4(Z1)と同じく当時を知らないと”ゼッツー”が車名だと勘違いしているパターンが多いんですがゼッツー(Z2)は型式で正しい車名は

『750RS(Road Star)』

といいます。ちなみに勘違いしてZ750RSとか言うとバカにされる恐れがあるので注意しましょう。

750RSは900Super4に少し遅れる形で販売されたんですが、そもそもなんでZ1とは別にZ2を作ったのかと言うと、当時の国内仕様では750ccまでしか販売することが許されなかったから。だからこうやってわざわざ用意したという話。

あくまでも自主規制だから逆輸入として900Super4(Z1)を引っ張ってくれば乗れたんですが、まだ正規逆輸入なんか無かった時代で為替も1ドル300円の時代だからとんでもない額だったから今のように簡単には買えなかったんですね。

ゼッツー

じゃあ750RSは幾らだったのかというと当時の値段で418,000円、今で言うなら100万円前後。フラッグシップモデルだと言うことを考えれば手が届かないでもない金額でも無いですね。

市販車初のDOHC750ccで速さはピカイチ、そしてZ1に勝るとも劣らないルックスだった事もあって大ヒットしました。

ちなみにこの二台は瓜二つなんですが簡単な見分け方としては

900Super4(Z1)750RS(Z2)
900エンブレム750エンブレム
可変ステップ固定ステップ
マイルメーターkmメーター
レンズ一体ライトハロゲンライト
タンデムベルト無しタンデムベルト有り

という感じ。もちろん細かいことをいうとキャブやピストンリング、それになんとクランクシャフトまで違います。弟分という事からストロークを短くしただけと思われがちな750RSなんですが、実はクランクシャフトまでわざわざ750RS用に造ってるんです。

これはエンジンを造った稲村さんが

「排気量を落としても性能は落としたくない」

と意地になって譲らなかったから。だから750RSっていうのは国内仕様と言えるんだけど国内スペシャル仕様とも言えるんですね。

しかし750RSが発売されてから数年後の1975年に二輪業界は大きな転機を迎える事になります・・・それは二輪免許制度の改定。

それまで125cc以上というひと括りだった自動二輪免許が

『~400cc|401cc~』

に分けられ俗にいう限定解除制度(要試験)という厳しいものになってしまったんです。

この結果、大型に乗りたくても乗れない人が増えてしまいメーカー的に言えば不味い状況になった。

Z2

何故こうなったのかといえばオートバイのスペック向上に比例して二輪事故が増えたから。

それを象徴するのがずば抜けたデザインと圧倒的な性能を持っていた750RS。皆が憧れ、皆が性能に酔いしれたからこうなった。750RS(Z2)はそれだけ凄かったという話。

主要諸元
全長/幅/高 2200/865/1170mm
シート高 820mm
車軸距離 1500mm
車体重量 230kg(乾)
[232kg(乾)]
燃料消費率
燃料容量 17.0L
[16.0L]
エンジン 空冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 746cc
最高出力 69ps/9000rpm
最高トルク 5.9kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.25H19
後4.00H18
バッテリー YB14L-A2
プラグ B8ES
推奨オイル
オイル容量
スプロケ 前15|後42
チェーン サイズ630|リンク96
車体価格 418,000円(税別)
※[]内はZ2A
系譜図
Z21973年
750RS
(Z2/Z2A)
Z750FOUR1976年
Z750FOUR
(Z750A4/A5/D1)
Z750FX1979年
Z750FX
(Z750D2/D3/E)
Z750GP1982年
Z750GP
(Z750R)
ZR750J2004年
Z750/S
(ZR750J/K)
ZR750L2007年
Z750
(ZR750L)
ZR750N2011年
Z750R
(ZR750N/P)
ZR800B2012年
Z800
(ZR800A)
ZR900B2017年
Z900
(ZR900B)
ZR900B2017年
Z900RS/CAFE
(ZR900C/E)