CBR250RR(MC51) -since 2017-

CBR250RR

恐らく2016年もっとも話題を集めたバイクな2017年式CBR250RR(MC51)。

ホンダ、ことさらCBR250の歴史というのは基本的に後出しジャンケンなんですが、ここまで仕込んできた後出しジャンケンは初めてだと思います。主要市場であるアジアでのロードレースであるアジア世界選手権(AP250)の為の車両という事もあったからでしょうね。

今更かと言われるかもしれませんが、ちょっと読者置いてけぼり感があるのでなるべく説明主体で書いていきます。既にバイクに魅了されてる人ならそれでもいいのかもしれないけど、250って免許もまだな人も見るでしょうから。そういう未来のライダーを増やすために始めたのに本末転倒ですよ。

すいません話を戻します。

2017CBR250RR

まず何といってもそのルックス。

デザイナーの方はワルキューレルーン(SC54)などをデザインされた方のようですが、フレーム設計段階から携わり今までに無いくらいデザインに予算を掛けたと言ってます。実際デザインにお金かけてる感がヒシヒシと伝わってきますもんね。

CBR250RRヘッドライト

4眼といっていいのかな。ハイビームでは両端のヘッドライトが追加で点灯、上の方の2つはポジションランプ兼ウィンカー。ちなみに全部LEDという贅沢っぷり。

CBRシリーズで一番カッコいいんじゃない。末っ子が一番カッコいいって兄ちゃん達は立つ瀬ない気がしますが。

CBR250RR日本仕様ウィンカー

ただ日本仕様はウィンカーが別に設けられるようです・・・ちょっと残念。

そんなデザインに一番お金かけたという新型CBR250RRだけど、その割には内部もRRと名乗るだけの物はあります。

CBR250RRエンジン

上までよく回る主流の二気筒180度クランクの新設計エンジンは250二気筒としてはクラス一のビッグボアショートストロークエンジン(62.0*41.4)という潔い割り切り。

もちろんエンジンに合わてフレームも形式こそダイヤモンドトラスフレームのままだけど新設計。

CBR250RRガルアーム

更にスイングアームなんだけどアルミってだけでも凄いのに旧CBR250RR以来となるガルアームです。250でガルアーム再びですよ。

今時の子はガルアームっていっても分からないか。ガルアームっていうのはスイングアーム(リアタイヤを掴んでるフレーム)が”への字”に曲がってるのをカモメの片翼に見立てた事からガルアームと言います。

ガルアーム

これによってどんなメリットがあるのかというと、マフラーレイアウトの自由度が増すわけです。

長男坊のCBR1000RRなんかもそうだけどダウンショートマフラー(短いマフラー)のバイクはだいたいこういう形になってます。マフラーを可能な限り重心(エンジン)に近づける為にスイングアームが避けてるんですね。

マフラー内部構造

マフラーの中身は当然ながら複室式。昨今の純正マフラーはみんなこんな感じです。排気ってマフラーの中で彷徨ったりしてるんですよ知ってました?

何でかっていうと排圧を抑える為なんですが、まあこんな話はいいか。純正マフラーが重いのにはちゃんと理由があるんです。

面白いのが吸気レイアウト。

インテーク

これはラムエア・・・と思いきや、そうじゃなくて吸気の流れを整える機能でラムエア(走行風で空気を圧縮する過給機能)ではないみたい。

まあどちらにしろ効果がハッキリ分かるのはサーキットの長いストレートくらいじゃないかな・・・逆に言えばサーキット走行というかレースを考えてる人にとっては結構大事なんだけどね。

個人的に一番驚きだったのがクラス初となるスロットルバイワイヤの採用。250で採用してくるとは思わなかったです。

スロットルバイワイヤシステム

・・・なんて説明すればいいかな。普通アクセルっていうのはアクセルから伸びたワイヤーが直接エンジン(スロットルバルブ)に繋がってて、捻れば捻るだけエンジンがその通りに回る。

それに対してスロットルバイワイヤシステムっていうのはライダーがアクセルを捻っても直接には繋がってなくて、アクセル開度が電気信号に変換されECU(エンジンコントロールユニット)に繋がってる。そしてワイヤーの動きを感知してECUがエンジンを回してる。

何でこういう事をするかというと、こうすることで(言い方が悪いけど)どんなに下手くそなアクセルワークをしてもギクシャクしないようにECUによる補正ができるというわけ。電スロとかとも言われてますね。

スロットルバイワイヤにはもう一つ、副産物的のようなメリットがあります。それはモード切り替え機能。

メーターまわり

「パワフルモード」「スタンダードモード」「タンデムモード」の3つのモードから特性を選べます。

これはいま話した通り直接ライダーがエンジンを動かすわけじゃなくてECUが補正をかけて動かすから可能なわけです。

そして何が驚きってこの機能は大型で最近メジャーになりだした機能だから。大型バイクでもモード切替機能の付いたスロットルバイワイヤの車種なんて大体2010年モデル以降からでまだ付いてないモデルもあるくらいなのに。

これはインテーク(吸気の通路)を縮めるためでもあったのかもね。

インテークマニホールド

フライバイワイヤのもう一つのメリットとして、スロットルバルブを二枚ではなく一枚で制御する事でインテークを短くすることが出来る。短くすると空気の流れが速くなるからエンジンの充填効率を上げられる。要するに馬力を上げられるという事。

クラス初のEURO4(2016年からの厳しい環境規制)に対応しつつ、クラストップの38.7馬力を発揮させる為のスロットルバイワイヤでもあったと思います。凄いですよね旧250RR後期モデルとほぼ変わらないんだから。二気筒な分コッチの方が乗りやすいだろうし。

ちなみに青い空気の流れはエアインジェクションといって、燃えそこなったHCやCOをエキゾーストパイプ内で再燃焼させたり酸素と結合させて無害にするためにフレッシュエアを吹く機能。

あと肝心のポジションもハンドルがトップブリッジの下というスーパースポーツと同じマウントなので結構スポーツ寄り。人によっては程よい前傾かもね。

CBR250RR足付き

シート高も790mmとクラスにしては高めなんだけどシートが絞ってあるし、何より軽いからそこまで問題じゃないでしょう。

さて・・・最初にも言いましたがCBR250は基本的に後出しジャンケンなんですが、流石にここまでしてくると卑怯と言いたくなる気がしないでもないですね。

CBR250RR赤

少し大人の事情を話すと、ホンダがここまで本腰を入れたのはアジアのマーケットを睨んでのこと。生産国であるインドネシアやタイなどにおいてホンダとヤマハは両社合わせて90%近いシェアを持っており、熾烈なシェア争いをしています。原付一種の提携をした日本とは大違いですが、それも当然な話。

ホンダ二輪の2015年度世界販売台数は約1700万台でそのうち1500万台はアジア。いかにアジア市場が重要か分かると思います。ちなみに日本は・・・・・・18万台。欧州は19万台、北米は28万台です。

そして(YZF-R25の系譜でも言ったので省きますが)アジアは経済発展とともに所得が上がってきた事から、生活の足でしかなかった二輪車に嗜好性が求められるようになってきている。つまりこのCBR250RRが出たのはそんな二輪車に嗜好性を求めるアジアの人たちの為に作られたバイクでもあるわけです。向こうの人達にとってはこれが日本でいう大型バイク的な存在。

CBR250RR後ろ

これは我々バイク先進国にとっても非常に喜ばしいことで、日本の100倍近い市場であるアジアで売れる(台数が出る)からこそメーカーもこんなバイクが作れるんです。

あの倒立サス嫌いのホンダが、あのカタログスペック嫌いのホンダが背に腹は代えられないとここまでやってるんですから。アジアのおこぼれ万歳です。

これは日本だけじゃなく欧州もそう。でも可哀想なことに欧州では

「欧州へのCBR250RRの発売予定は(今のところ)無い」

って公式の回答があったせいで声にならない悲鳴を上げています。多分あとから300モデルが出るとは思いますがね。

CBR250RRデザイン

まあそんな事情はどうでもいいか。

話を戻すというか締めようと思うんですが、CBR250RRはネットの反響それにサイトへのリクエストが多い事から凄く注目されているのが伝わってきます。デザインもルックスも申し分ないですから当然といえば当然です。

もし「新型CBR250RRが買いか?」と問われば間違いなく買いだと答えます・・・

CBR250RRフェイス

・・・・・・答えますが、それはあくまでも既にバイクに熱中している人、250にハマっている人ならの話。

いくらタイ製だとはいえ長々と説明した通り結構なコストが掛かってる様なのでいいお値段になると思います。一番怖いのはCBR250RRを見てせっかくバイクに興味を持った若者やエントリー層が、車体価格を見て諦める事。

仮に65万円だとしたら乗り出し価格で70万、免許代も合わせると85万円ほど。YZF-R25やNinja250(55万円)でも高いという声が多い中で65万円はとてもじゃないけど無理でしょう。フルローンという手もありますが。

主要諸元
全長/幅/高 2065/725/1095mm
シート高 790mm
車軸距離 1390mm
車体重量 165kg(装)
[167kg(装)]
燃料消費率 26.7km/L
※WMTCモード値
燃料容量 14L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4バルブ二気筒
総排気量 249cc
最高出力 38ps/12500rpm
最高トルク 2.3kg-m/11000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(54H)
後140/70R17(66H)
バッテリー YTZ7S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
C9EH-9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時1.9L
フィルター交換時2.1L
スプロケ 前14|後41
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 756,000円(税別)
[806,760円(税別)]
※[]内はABS仕様
系譜図
MC141986年
CBR250FOUR
(MC14)
MC171987年
CBR250R
(MC17)
MC191988年
CBR250R
(MC19)
MC221990年
CBR250RR
(MC22)
MC231991年
JADE
(MC23)
MC311996年
HONET
(MC31)
MC412011年
CBR250R
(MC41)
MC41後期2014年
CBR250R
(MC41後期)
MC432014年
CB250F
(MC43)
2017CBR250RR2017年
CBR250RR
(MC51)
CB250R/MC522018年
CB250R
(MC52)

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