オフロード系

オフロードとは

人気の上り下がりが激しいオフロード。

といっても低空飛行が多く、オンロード車に比べると(特に国内では)比較的ニッチなカテゴリ。でも実はジャンルごとに区切って言えば非常に歴史が長く、一番技術革新に貢献したクラスだったりします。

【特徴】

とにかく細く、軽く、ハンドル切れ角がとても大きい。

悪路による転倒を前提としているので部品点数が少なく損傷に強い。

オンロード車とは比べ物にならないほどのリフトアップとサスストローク量。

走破性と安定性を取るためにフロントは21インチが基本で構造上シート高が絶望的に高かったりする。

上記の理由から舗装路はあまり得意ではなく、高速巡航などはかなり苦手な部類。

【歴史】

ひとえにオフロードと言ってもスクランブラーとかトレールとかモトクロッサーとか色んな分け方があるので初心者の方は結構混乱するんじゃないかと思います。そこでまずその言葉が何を意味しているのかという事から簡単に説明したいと思います。

【スクランブラー】

スクランブラーとは

一言で簡単に表すなら、アップライトなポジションに加えて地面と当たらないように最低地上高やマフラーを少し上げたりすることで未舗装路の走行を考慮している

『オンロードベースのオフロード車』

という感じ。

まだオフロードのスタイルが確立する前の1960年頃に悪路を走れる・・・というよりも

「悪路をやり過ごせるようなバイク」

として誕生したモデル。

レトロブームの到来でドゥカティのスクランブラー(60年代に流行ったモデル)などが復刻されるようになっています。

【モトクロッサー/エンデュランサー】

モトクロッサー

ザックリ言うとナンバーが取れない(公道を走れない)競技用オフロード車の事。

・モトクロス(モトクロッサー)

・エンデューロ(エンデュランサー)

の二種類があるんですが簡単にいうと、モトクロッサーはジャンプなど様々な障害物があるコースで競うレース向けのモデル。1957年から続く世界モトクロス選手権を頂点にレースを視野に入れて造られている面が大きく、MXなどと略されてたりもしています。

走破性

一方でエンデュランサーはコースになっていないコース、整備されていない未舗装路を走破する耐久(エンデューロ)レース向け。極端な事をいうとラリーなどがそう。

サスペンションの硬さやタイヤの種類、それにタンクや加速の味付けなど細部がそれぞれに特化した形になっています。

モトクロッサーとエンデュランサー

例えるなら

・モトクロッサー=短距離走
・エンデュランサー=長距離走

という感じです。

【トレール or デュアルパーパス】

トレール・オフロードとは

恐らく最も多くの人がイメージするであろうこのページの主題であるオフロード車。

舗装路も未舗装路も走れるうえに公道走行可能なモデルで場合によってはトレールとかデュアルパーパスとか言われています。日本車でいうとCRF250L/SEROW/KLX250など保安部品が付いているモデルは基本的にここに該当します。

特徴を簡単にいうと最初に紹介したスクランブラーよりも更に最低地上高が高く、またフロントフォーク長が非常に長い事。これはデコボコ道を進む際にストローク量が多くないと底打ちといって衝撃を吸収できず吹っ飛んでしまうから。

ちなみにオフロードの歴史はとっても長いんですが、この公道を走れる量販車に限って話をするなら始まりはトレールという言葉を生み出した1968年に出たヤマハのDT-1かなと思います。

DT-1

まだオンロードとオフロードのカテゴリーが曖昧だったスクランブラー時代に

・底付きしないロングストロークサス

・悪路でも食いつくブロックタイヤ

・エンジンガードを兼ねたアップマフラー

などなどオフロード走行のツボを抑えた初めてのオフロード主体バイク。アメリカからの要請で作られたバイクなんですが、アメリカのみならず日本でも大ヒットしました。

ダートレース

このDT-1のヒットによりそれまでモトクロス選手権用のスペシャルマシン(モトクロッサー)しかなかったオフロード界の敷居が大きく下がり1970年代には第一次オフロードブームが到来。

そりゃそうですよね、今まで走りたくなかった未舗装路が楽しい道に変わったわけですから。

更に1980年代後半になるとホンダのXL250SやカワサキのKL250などレースで磨いたモトクロス技術を色濃く反映したの走破性の高いモデルが次々と登場。

XL250S

反対に二輪二足(足をつきながらゆっくり走る)という違ったアプローチのSEROWも登場し第二次オフロードブーム(林道ブーム)に発展。休日に山に行くとオフ車乗りで溢れかえる程のブームになりました。

セロー

しかし同時に無差別に山道などを無差別に走り荒らす人たちが溢れ社会問題にもなりバイクの通行を禁止する動きになった事、加えて道路の舗装が進んでいった事で沈静化し、現在は低空飛行が続いているのが現状です。

ちなみに低空飛行なのは日本だけの話で海外ではこういったオフロード系のバイクの方が人気があったりします。最近ではアジアの方でも人気なんだとか。

話が少し脱線しますがオンオフ問わず昨今のサスペンションの礎を築いたのはこのオフロード勢だったりします。

ネイキッドの方で話していたモノサスやツインサス。上で紹介したDT-1を見て分かる通り、最初はオフロード車もツインサスでした。

SL250

しかし飛んだり跳ねたりするモトクロスレースにおいて

「勝つためには初期は柔らかく、奥で踏ん張ってくれるサスペンションが必要だ」

ということでヤマハが1972年に開発したYZ250(モトクロッサー)に採用されたのがモノクロスサスペンション。

モノクロスサスペンション

ストローク量が従来の二倍になり、奥で踏ん張り底打ちしない画期的なサスペンション。

その効果は絶大でそれまで一つ一つ往なしていた凸凹を一気に飛び越えて行けるほどの安定性で圧倒的な速さを誇り

『空飛ぶサスペンション』

と言われました。

YZ250

このモノクロスサスペンションこそがモノサスの原点で現代の一本サスは全てこのサスペンションから。ちなみに倒立フォークも同じ様な理由でモトクロスレースが発端だったりします。

【最後に】

いわゆるオフロードバイクにとって大事なのは走破性で基本的に

モトクロッサー>エンデューロ>トレール>スクランブラー

という当然ながらモトクロッサーやエンデューロがオフロード性能は一番良い構図になります。というか本格的なコースだったり荒れた山道になるとモトクロッサーやエンデューロクラスじゃないと走れなかったりもする場合すらある。

「じゃあモトクロッサーやエンデューロの方が良いのか」

っていうと必ずしもそうとは限らないのが難しい所。

というのもオフロード走行に求められる走破性(性能)とオンロード走行に求められる性能(日常的な扱いやすさ)というのは基本的に反比例する関係にあります。

KLX230

つまりオフロードを走るだけならモトクロッサーに敵うバイクは無いけど、舗装路になるとスクランブラーに軍配があがったりするわけです。誤解を恐れずに言うと上の相関図は

「どれだけオンロード性能を始めとした日常の使い勝手を捨てたか」

という相関図でもある。

ヤマハのモトクロッサー

例えばモトクロッサーはオイル管理がシビアだし、軽量化のためにキック始動オンリーなのが当たり前とかね。

だから初心者が選ぶ時は単に走破性や性能で選ばず

『どれくらい未舗装にウェイトを置いて走るか』

というのを考えて買うのが失敗しないと思われます。まあいきなりモトクロッサー買う人なんて居ないとは思いますが。

※市販車が無いトライアル車は割愛させてもらいました

該当車種

CRF250L/Mの系譜

WR250R/XSEROWの系譜

KLX250/D-TRACKER Xの系譜

DUKE690Small DUKEの系譜

などなど

種類一覧
ネイキッドネイキッド系
ストリートファイターストリートファイター系
オフロードオフロード系
モタードモタード系
マルチパーパスマルチパーパス系
ストリートストリート系
スーパースポーツスーパースポーツ系
フルカウルスポーツフルカウルスポーツ系
ツアラー系ツアラー系
メガスポーツメガスポーツ系
クルーザークルーザー系
スクータースクーター系
クラシッククラシック系

「オフロード系」への1件のフィードバック

  1. 本文中のアドバイス通り、「どれだけ未舗装路面を走るか」を基準に考えると、後悔は少なくなると思います。
    あと、走るスタイルというか目的によりまた違ってくるかと。
    例えば、一日中徹底的に走り倒す長距離ツーリングをトライアルバイクで行く人はめったにいませんよね(修行の様な感じで面白そうですが)。
    自分が何をしたいのか、どんな所を走りたいのかを冷静に分析する事が肝要ですぞ。
    まかり間違っても「せっかくだからスゴい性能のバイクを」なんてスケベ根性を出してはいけません。
    ほとんどの場合持て余し、つまらなくなって走りに行く機会は減ってしまう事でしょう。
    昔の200cc位のバイク(スカスカじゃないTW200やDT200等)はどこにでも行けて面白かったな。

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