「ツイスティロード最速」
ここで登場するのが初代YZF-R1の4XV・・・あれほどこだわっていたゆとりは何処かへ消え去りました。
キッカケはご先祖様にあたるYZF1000Rのサンダーエースから走行に不要な部品を全て取っ払い軽くして走ってみたらとてつもないライトウェイトスーパースポーツになった事がきっかけ。
初代YZF-R1の開発主査は三輪さんというYZF750SP(レーサーマシン)を作っていたレース出身の方なのですが、その三輪さんが
「レーシングテクノロジーを全て注ぎ込んだ」
というだけあって本当に凄い作りをしています。
レーサーであるYZR500の公道仕様を作るのが目標として掲げられていただけあり、5バルブDOHC四気筒998cc150馬力という数字でだけでも凄いのですが、本当に凄いのは車体のディメンション。
構造に詳しくない人でもこの車体構成を見たら少しイビツな雰囲気を感じるのでは無いでしょうか。
参考までにFZR1000と比べてみましょう。
エンジンに注目してみてください。明らかにエンジンが寄せ上がってるのが分かると思います。これはシャフトレイアウトを変えてるから。
「シャフトって何」的な人に簡単に説明しておくと、バイクというのは基本的に
・ピストン運動を回転運動に変えるクランクシャフト
・その回転をクラッチを通して受け取るメインシャフト
・ギアを入れてスプロケを回すドライブシャフト(カウンターシャフト)
の文字通り三本柱の構成となっています。これを主要三軸といいます。
青が従来のレイアウトで赤がR1のレイアウトです・・・分かるかな。
R1はメインシャフトを持ち上げ、メインとカウンターを2階建てのようにしてエンジンの全長を大きく縮め、かわりにスイングアームとっても長く取った。
当時520mm前後がメジャーだったのに対し60mmも長い580mm。
全幅の4割以上をスイングアームが占めるという人間で言えば足長モデル体型の様なディメンション。
R1が「ツイスティロード最速」と銘打ったのも、世界で評価された走行性能もこの部分がキモ。
要するにただ速いだけ、軽いだけではなく、懐がとっても広いスーパースポーツだったからコレほどまでに大絶賛されたんです。
今となってはこの手法は現代のスポーツバイクにおいては欠かせない必然的な手法にまでなりましたね。
ただ調べてみて意外だったのは、このR1のディメンション、実はこのエンジン有りきの開発ではなくフレーム開発陣の要望から、つまりフレーム有りきの設計だったということ。
それにエンジン開発陣が応える形になり最初はTDMに近いエンジンレイアウトで進めていた。
するとフレームサイドから厳しいダメ出しをされてボツに。
その後もケツを叩かれまくった結果、上で出したようなGPマシン譲りの超コンパクト三角形レイアウトという極端なクランクレイアウトのエンジンが出来上がったというわけ。
ただR1が騒がれた理由としてもう一つ挙げないといけないのが顔。
今でこそ珍しくもなんとも無いツリ目デュアルライトだけど、当時は攻撃的過ぎるデザインとして一目惚れする人が続出。だからR1が出た後の数年はどのメーカーもみんな同じような顔になりました。
初代YZF-R1は性能で驚かせ、ルックスでも驚かせた正に才色兼備スーパースポーツというわけです。
主要諸元
全長/幅/高 | 2035/695/1095mm |
シート高 | 815mm |
車軸距離 | 1395mm |
車体重量 | 177kg(乾) |
燃料消費率 | – |
燃料容量 | 18.0L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 998cc |
最高出力 | 150ps/10000rpm |
最高トルク | 11.0kg-m/8500rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70ZR17(58W) 後190/50ZR17(73W) |
バッテリー | GT12B-4 |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
CR9E または U27ESR-N |
推奨オイル | SAE 20W40~10W30 |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量3.6L 交換時2.7L フィルター交換時2.9L |
スプロケ | 前16|リア43 |
チェーン | サイズ530|リンク114 |
車体価格 | – |