TEMPTER(NK43A)-since 1997-

テンプター

「大人のスタンダード」

1997年に登場したテンプター/NK43A型。Savageが”獰猛なやつ”という意味だったのに対しこちらは

「Tempt(誘惑)+er(する人)=TEMPTER(誘惑する人)」

という意味。

ちなみにこれは通称名という一種のあだ名みたいなもので正式な機種名はST400Vといいます・・・そう、クラシックな見た目からも分かる通りST250のお兄さん的な立ち位置で登場したバイクなんですね。

ST400V

特徴としてはサベージと同じエンジンを王道のようなセミダブルクレードルフレームに搭載する形で他にも

・アルミバフ仕上げの二連メーター
・バフ仕上げのシリンダーヘッドカバーキャップ
・懐かしい円筒クロムメッキウィンカー
・スリムさを重視したタンクとシート
・パイプ状のグラブバー
・デュアルツーリーディングブレーキ
・アルミH型リムスポークホイール

などなどちょっとした細かい部品にクラシカルというかイギリス臭プンプンな拘りを散りばめたような形になっています。

テンプターの細部

そんな中でも面白いのが足回りブレーキで、このテンプターは相変わらず聳え立ってるエンジンも目立つんだけどこれが一番の特徴。

『機械式デュアルツーリーディングドラムブレーキ』

を採用しているんです。

テンプターブラックスタイル

デュアルツーリーディングっていうのは簡単に言うとトラックなどに多い強力なドラムブレーキのことで、例えるならWディスクブレーキならぬWドラムブレーキみたいな感じ。

ツーリーディングドラムブレーキ

なんでこれが特徴かと言うとこのブレーキシステムが使われていたのは遥か昔、まだディスクブレーキが普及してない頃に制動力をなんとかするために使われていたドラムブレーキだから。

ただしこれ正に二重苦で調整が非常に難しく、フィーリングも簡単にカックンブレーキになるからディスクブレーキの普及で廃れました。スズキが採用していたのも1972年の水牛ことGT750まで。

それをわざわざH型アルミリムと共に復刻させたんですね。当然ながらこの時代にこんなドラムブレーキが付いていたのはこのテンプターだけ。

デュアルツーリーディングブレーキ

なんで今更そんな大昔のホイール周りを復活させたのかというと

・当時ドラムブレーキによるレトロ化が流行っていた

・1950年代のイギリス車がこういうスタイルだった

という事からでしょう。

そんな昔風を通り越して本当に昔にするという加減を知らずのテンプターだったんですが、残念な事に2000年をもってモデルチェンジされることなくカタログ落ちとなりました。

スズキテンプター

理由はハッキリ言ってしまうとSR400の壁が厚すぎたから。

これなんとも因果な話で、前のページで話した通りサベージは主に北米などでエントリーであると同時にカスタムベースとしても人気が出てカスタムビルダーも参加した。

これによってカスタマイズ性の豊富さというアドバンテージ、言い換えるなら

「買った後も楽しめる付加価値であり参入障壁」

があったからロングセラーになった。

テンプター カタログ

一方でテンプターもサベージと同じように美しくもシンプルな形でカスタムにも持ってこいのポテンシャルは持っていた。

しかしそのポテンシャルを既に持っているライバルが居たことで、育ててくれる時間も環境も人も与えられなかったから短命に終わってしまったという話。

一番最初に市場に出ることで多大な利益を得る『先行者利益』という要素は親しい2つのモデルの評価をこれほどまでに変えてしまう力を持っているんですね。

しかもテンプターの場合さらに可哀想なことに上で紹介した通りホイール周りが完璧だった事からそれだけ取られて重宝されるという仕打ちまでうけました。

テンプター400カタログ写真

しかしそんなテンプターも最近はカスタムブームが落ち着いてきてレトロもパッケージングが求められる時代なったためか、当時が嘘のように再評価され中古が値上がりしているっていう。

もう少し早く出すか遅く出すかしていたらまた違った結果になっていたのではなかろうかと思うんですが、まあそれでこそのスズキとも言えるわけで。

主要諸元
全長/幅/高 2110/730/1040mm
シート高 780mm
車軸距離 1430mm
車体重量 159kg(乾)
燃料消費率 43.5km/L
※60km/hテスト値
燃料容量 12.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 396cc
最高出力 27.0ps/7000rpm
最高トルク 3.0kg-m/5000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前100/90-18(56S)
後130/80-17(65S)
バッテリー FTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR8EA-9
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時1.8L
フィルター交換時2.4L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ520|リンク110
車体価格 469,000円(税別)
系譜図
サベージ 1986年
LS650/400
SAVAGE
(NP41A/NK41A)
テンプター 1997年
TEMPTER
(NK43A)

LS650/LS400Savage(NP41A-B/NK41A-B)-since 1986-

サベージ

「ビッグ・シングル 独立宣言」

ビッグシングルクルーザーのLS650Savage/NP41A型とLS400Savage/NK41A型。

スズキいわく獣のような”獰猛さ”という意味がある通称サベージですが最初に構成を紹介すると

・SOHC4バルブ空冷シングル
・オートデコンプ連動セルスターター
・高張力鋼管セミダブルクレードルフレーム
・スズキ初のベルトドライブ(400はチェーン)
・リターン式5速ミッション
・フラットハンドルとアップハンドルの2パターン

などとなっています。

何よりも目につくのはやはり直立不動で鎮座しているビッグシングルエンジンですね。

LS650サベージ

94×94mmというスクエアシングル(400は88×65mm)で、一軸バランサーを組み込むだけでなくクランクとジェネレーターの間にフライホイールを起きフィーリングを重視したエンジン。

さらにカムチェーンテンショナーもクランクに内蔵させることでスリムさを犠牲にすること無く、空冷フィンを含めシリンダーをキレイに仕立て上げています。

サベージのエンジン

「ミドルシングルクルーザーにしては色々と創意工夫がされてるんだな」

と思うわけですがそれもそのハズ、実はこのエンジンはDR600の部品を流用しつつもサベージのために用意された新設計したエンジンなんですね。

他にもデザインコンセプトである

『ロー・ロング・ニート』

を表現するためスピードメーターをタンクに設置しセンサーもドライブから取り、フロントまわりをスッキリさせるなどの工夫が施されています。

サベージカタログ

でも更に凄いのはこれだけの事をやっていながら

『499,000円(400は479,000円)』

と50万円を切る破格の安さだったこと・・・この事でサベージは2005年にBOULEVARD S40(LS650B)と改名されつつも2019年まで大きく変わることなく販売される超ご長寿モデルになりました。

LS650B

意外と知られていないんですがアメリカなどでは650モデルが2019年まで約33年間も継続して販売されていたんですよこのモデル。

LS400サベージカタログ

日本では出てはすぐ消えて、クルーザーブームが到来したことで1992年に再度B型として登場したもののまたすぐ消えて・・・を繰り返した事から誰も覚えていないかネタ扱いかのどちらかにされがちですけどね。

じゃあ

「何がそんなにウケたのか」

という話をすると安かったのも勿論あるけどそれだけでロングセラーになったわけじゃない。

このサベージはスズキのグローバルクルーザー戦略における”第二弾”で、スズキは前年にあたる1985年に第一弾としてVS750イントルーダーというVツインのモデルを出しました。

VS750イントルーダー

イントルーダーシリーズの始祖となるモデルなんですがデザインが非常に好評で、ドイツなどでは今でもスズキを代表する三英傑に挙げられるほど好評だった。

そんなVS750の弟分として片肺だけ取り出したような形で翌年に出たのがサベージ。

LS650サベージカタログ写真

VS750の流れを組みつつ圧倒的な安い価格だっただけでなく

・大きすぎず小さすぎない車体
・セオリー無視のビッグシングル
・人畜無害な性能

などによりクルーザーの入門としてこれ以上の最適解はないと主にエントリー層に人気が出たんですが、それだけじゃない。

ブルバードS40

サベージは空冷シングルというシンプルさから

『整備やカスタムにうってつけ』

と人気が出たんです。

ガレージ文化やカスタム文化が盛んな海外でこれは非常に重用な要素で、この需要がカスタムビルダーを呼び、それがサベージを長生きさせることになった。

もちろんこれは市場の流れを変えたり歴史に名を残したりするほどの人気ではなかった。でもそんな需要をスズキ自身も切らずに何年も何十年も応えたからこそここまで来れた。

NK41Bのカタログ

『メーカー×ユーザー×カスタムビルダー』

三位一体となって愛されたからことでサベージそしてブルバードS40はご長寿クルーザーとなれたんですね。

主要諸元
全長/幅/高 2195/690/1080mm
{2195/775/1130mm}
シート高 650mm
車軸距離 1480mm
車体重量 160kg(乾)
[159kg(乾)]
{161kg|160kg(乾)}
燃料消費率 42.0km/L
[40.0km/L]
※60km/h走行テスト値
燃料容量 10.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 652cc
[396cc]
最高出力 30.0ps/5500rpm
[24.0ps/7000rpm]
最高トルク 4.5kg-m/3000rpm
[2.7kg-m/4000rpm]
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前100/90-19(57H)
後140/80-15(67H)
バッテリー FB14L-B2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DP8EA-9
または
X24EP-U9
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時1.8L
スプロケ [前17|後50]
チェーン [サイズ520|リンク110]
車体価格 499,000円(税別)
[479,000円(税別)]
※[]内はLS400
※{}内はアップハンドル仕様
系譜図
サベージ 1986年
LS650/400
SAVAGE
(NP41A/NK41A)
テンプター 1997年
TEMPTER
(NK43A)

スカイウェイブ250S/SS/M/LTD(CJ46A/CJ45A) -since 2008-

CJ46A

現行スカブにあたるCJ46A型とCJ45A型。

少しややこしいんですが、

・標準モデルのスカイウェイブSベーシック

・グリップヒーターやロングスクリーンやナックルバイザーといった防寒装備のリミテッド

・エアロマスクやメッキハンドルなどを装備したカスタムのSS

この三種類がCJ46Aで、電子制御式CVT(変速モード)を付けたMモデルがCJ45Aとなってます。

どっちもマイナーチェンジが入ってるので合わせて紹介します。

まず電子制御CVTのMモデルは2007年に出てわずか一年でモード追加とスロットルシフト機能が搭載。

そしてノーマルタイプの方も旧型のままだったSSが現行ベースにモデルチェンジ。

スカイウェイブSS

つまりSS、タイプS、リミテッドがCJ46型でMがCJ45型。

そんなスカイウェイブは販売台数においてフォルツァやマジェスティに勝る事はないものの、250ビッグスクーター御三家と言われるだけあって食らいついて行くほどの人気はありました。

しかし、まあ知っての通りビッグスクーターブームが去ってしまった今となってはもう見る影もないほどの人気となっています。スカイウェイブに限った話ではないけどね。

更にバーグマンっていう新しいスクーターを出しました。そちらはソコソコ売れているようです。

BURGMAN200 -Since2014-

バーグマン200

これはタイ産の別のバイクになるんだけど、もともとバーグマンって言う名前はスカイウェイブの海外名だったわけです。ビッグスクーターと言うよりはイタスクに近いかな。

バイクのグローバル化が進む中で日本だけのガラパゴスバイクというは厳しい物があります。バーグマンという海外名を新型に取られた事からも察せます。

スカイウェイブ250はどうなるんでしょうね。長男坊の650は海外で通用している事もあってか比較的安泰なんだけど、250ビッグスクーターってのは日本特有だから逃げ道が無いんですよね。

主要諸元
全長/幅/高 2270/760/1225mm
シート高 710mm
車軸距離 1585mm
車体重量 214kg(装)
燃料消費率 39.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 13.0L
エンジン 水冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 26ps/7500rpm
最高トルク 2.5kg-m/6000rpm
変速機 Vベルト
{MTモード付きVベルト}
タイヤサイズ 前120/80-14(58S)
後150/70-13(64S)
バッテリー YT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7EK
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.5L
交換時1.2L
フィルター交換時1.3L
Vベルト 27601-06H00
車体価格 599,000円(税別)
[619,000円(税別)]
{670,000円(税別)}
※[]内はTypeS
※{}内はTypeM
系譜図
初代1998年
SKYWAVE type1/2(CJ41A/CJ42A)
二代目2002年
SKYWAVE/SS(CJ43A)
三代目2006年
SKYWAVE S/LTD/M(CJ44A/CJ45A)
ジェンマ2008年
gemma(CJ47A)
四代2008年
SKYWAVE S/SS/LTD/M(CJ46A/CJ45A)

ジェンマ(CJ47A) -since 2008-

CJ47A

「FULL FLAT 2-SEATER」

フォルツァ・マジェスティに対するスカイウェイブ、そしてマグザムやフュージョンに対するジェンマ。

2008年に登場(厳密に言うと現行スカブ250より数ヶ月あとに出てる)にも関わらず既に生産終了となった短命ビッグスクーター。

ところでジェンマと言っても今の人はこの250しか知らないと思うのでちょっと補足。

一番最初にジェンマというバイクが出たのはこの250が出るずっと前の1982年ジェンマ125が始まり。

ジェンマ125
(CF41A)-Since 1982-

CF41A

1982年と言えばアレですね、HY戦争まっただ中。つまりジェンマもホンダのリードやタクト、ヤマハのキャロット、リリックマリック三兄弟(って言っても分かんないか)と同じHY戦争の申し子なんです。

ちなみにこの125は空冷4stだったんですが、後から出てきた50と80、そして最後のジェンマクエスト90は2stでした。今のジェンマとは似ても似つかない形ですね。

ジェンマ50

話をジェンマ250に戻して・・・

ローロングで非常にヌメヌメしたボディデザインのジェンマ250は本当に好き嫌いがハッキリ別れるでしょう。

ジェンマ250カタログ

これはカタナやハヤブサが社内アンケートで意見が真っ二つに別れた事と同じで、スズキは社内で意見が両極端になったデザインこそイケるデザインという捉え方をしています。ジェンマもまさにその類のデザイン。

「ナメクジみたいで気持ち悪い」

という人もいれば

「アキラバイクみたいでカッコいい!」

という人もいる。まあ人気の無さからいって前者が多かったのは言うまでもないんだろうけど意欲的なバイクだったのは間違いない。

ジェンマリア

それにジェンマが出た2008年後半には既にビッグスクーターブームが去りつつあったことと、あと造形にこだわり過ぎてカスタムメーカーを振り落とした事も要因かな。

でもまあ一番はやっぱり値段ね。68万円は同年デビューのスカイウェイブSS(次で紹介)とほぼ同じ値段。良いなと思ってもここで二の足踏んだ人が多いと思う。

フュージョンが再販して売れたように、ジェンマもあと3年早く出てたらもう少し違った結果になったんじゃないかな。

ジェンマ壁紙

ジェンマが面白いのは見た目だけじゃありません。

フォルツァかなんかの系譜で言ったけどスクーターにおいてローにするということは即ちメットインスペースを削るということになるわけです。

マグザムメットインスペース

写真はマグザムのものなんですがビッグスクーターらしからぬメットインスペースの少なさですね。でもこれでもかなり頑張ってて良い方なんですよ。フュージョンに至っては右のリアトランクだけなんですから。

じゃあジェンマ場合。

リア周りは絞ってるので一見するとメットインスペースは何処にも無いように見えますが、ちゃんとあります。さて何処でしょう?

ジェンマ東京モーターショー

正解は・・・

ジェンマメットインスペース

足元のトンネルでした。

乗ったまま使えるというありそうでなかった利便性を兼ね備えています・・・がフルフェイスは厳しい物があります。そのためかリアにはメットホルダーが標準装備。でもそのリアも形に拘ったシートとグラブバーが仇となりバッグや荷物を積むのは難しいっていう。

でも、ですね、そうしてまでこだわったジェンマのデザインを褒めてあげてください。気持ち悪いって。

その典型と言えるのがヘッドライト。ジェンマはデザインにおいてタブーに近いアシンメトリーを採用しています。

ヘッドライト

人間はアシンメトリーなものを見ると不安感や嫌悪感を抱くように出来てるんです。だからジェンマを見てそういう気持ちを抱くのはまさにデザイナーの思惑、そしてスズキの罠に掛かっている証拠。

ジェンマ250

見てくださいこのアピールの仕方が斜めすぎて売る気が無いんじゃないのかと思えるほどの表紙を。

もうこんなスクーターは二度と出ないでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2280/810/1085mm
シート高 660mm
車軸距離 1690mm
車体重量 210kg(装)
燃料消費率 36.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12.0L
エンジン 水冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 22ps/7500rpm
最高トルク 2.2kg-m/6000rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前120/80-14(58S)
後150/70-13(64S)
バッテリー FTZ9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7EK
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.5L
交換時1.2L
フィルター交換時1.3L
Vベルト 27601-06H00
車体価格 670,950円(税別)
系譜図
初代1998年
SKYWAVE type1/2(CJ41A/CJ42A)
二代目2002年
SKYWAVE/SS(CJ43A)
三代目2006年
SKYWAVE S/LTD/M(CJ44A/CJ45A)
ジェンマ2008年
gemma(CJ47A)
四代2008年
SKYWAVE S/SS/LTD/M(CJ46A/CJ45A)

スカイウェイブS/LTD/M/M LTD(CJ44A/CJ45A) -since 2006-

CJ45A

デザインからフレームからエンジンに至るまでほぼ全てが見直され大変貌を遂げたCJ44A型。

ちなみに写真の黄色は翌年に発売された変速モード付き電子制御式CVTを積んだMモデル(CJ45A)です。

車格が一段と大きくなって少し重くなったんだけど、その分エンジンがDOHC化され26馬力と更にパワーアップ。250のビッグスクーターでこの馬力はクラストップです。ビッグスクーターにおいてまでDOHC化による高回転化でパワー稼ぐって考えがいかにもスズキ。

他にもキーレスシステムやメットイン容量の拡大などで使い勝手も向上。グリップヒーター、ナックルガードを付けたリミテッドモデルも登場しました。

SV1000

スズキの二眼といえばちょっとクセのあるデザインなのが定説でこのスカイウェイブも例に漏れず少しクセのある顔になってますよね。

CJ44AタイプS

これでもかってくらいライトレンズがデカい。でもみんな実車を見たことあるからわかると思うけど横から見ると意外と良いんだよね。

角度によって表情が変わるデザインは良いデザインと言われるけどスズキとして珍しいんじゃないかな。正面から見ると”ああスズキだ”ってなりますけどね。

主要諸元
全長/幅/高 2270/760/1385mm
シート高 710mm
車軸距離 1585mm
車体重量 193kg(乾)
燃料消費率 39.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 13.0L
エンジン 水冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 26ps/7500rpm
最高トルク 2.5kg-m/6000rpm
変速機 Vベルト
{MTモード付きVベルト}
タイヤサイズ 前120/80-14(58S)
後150/70-13(64S)
バッテリー YT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7EK
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.5L
交換時1.2L
フィルター交換時1.3L
Vベルト 27601-06H00
車体価格 589,000円(税別)
[599,000円(税別)]
{660,000円(税別)}
※[]内はTypeS
※{}内はTypeM
系譜図
初代1998年
SKYWAVE type1/2(CJ41A/CJ42A)
二代目2002年
SKYWAVE/SS(CJ43A)
三代目2006年
SKYWAVE S/LTD/M(CJ44A/CJ45A)
ジェンマ2008年
gemma(CJ47A)
四代2008年
SKYWAVE S/SS/LTD/M(CJ46A/CJ45A)

スカイウェイブ250/SS(CJ43A) -since 2002-

CJ43A

二代目に当たるスカブ250のCJ43A。

初代を更にスタイリッシュな現代風にリファインしたデザインに生まれ変わりました。

構造的な事で言うとヘッドライトがデュアル化、シガソケ搭載に、FI化で燃費が向上。

驚きなのがモデルチェンジな上にFI化されたにも関わらずお値段据え置きということ。普通FI化されると5万円前後の値上げになっちゃうんだけど価格はそのままとかスズキは庶民の味方ですね。

少し遅れてショートスクリーンやメッキハンドルやスモークテールレンズなど装備、いわゆるカスタムモデルであるSSが発売。

この頃から若者を中心とした第二次スクーターブームが巻き起こりだしたのは記憶に新しいと思います。

ビッグスクーターブーム

その中でも”走りのスカイウェイブ”と言わてた所以は馬力もそうなんですが、それよりもスイングユニット式でありながらリンク式モノサスを採用している点にあります。

これは先代もそうだった上にスズキがわかりやすく解説してるのでわざわざ言うまでもないんですが・・・

リンク式モノサス

こうすることで図右にあるように荷重に応じたプログレッシブな特性を持ったサスペンションに出来るというわけ。これライジングレート効果っていいます。スポーツ系では当たり前になったサスペンション形式ですね。

まあ要するにショックの大きさに応じてショックが的確に吸収してるってことで、地面への追従性が上がるわけ。

スカブのサスペンション

デメリットがあるとするならばモノサスに使われるショックアブソーバーは二本サスより良い物(正確な物)を使わないといけないし、フレームの剛性も高くないといけない。そうしないとフレームが負けちゃうから。

つまりコストが掛かるわけですが、それでもスカイウェイブはリンク式モノサスにこだわったというわけですね。というかスズキはほんとモノサスにこだわりますよね。

当然このモデルにもカワサキのエプシロン250もありましたがコレが最後です。

エプシロン250

OEMのくだりは初代で話したけどエプシロン(スカブ)とか250SB(Dトラ)とかを全く見ない辺りバイクのOEMはメリットが薄いのかもね。車と違って二輪は嗜好性が高い分、こだわりを持ってる人が多いからOEMは受け付けないという人が多いのかも。

まあカワサキはJ300っていうキムコのOEMを続けてますけどね。

マジェスティ

あとあんまり関係ないけど、このスカイウェイブをデザインされた仲村さんはこの後ヤマハのエルムデザインに行かれてマジェスティのデザインを手がけていたりします。

主要諸元
全長/幅/高 2260/760/1375mm
シート高 695mm
車軸距離 1590mm
車体重量 166kg(乾)
燃料消費率 41.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 13.0L
エンジン 水冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 23ps/7500rpm
最高トルク 2.5kg-m/6500rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前110/90-13(55P)
後130/70-13(57P)
バッテリー FT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EK
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.3L
交換時1.9L
フィルター交換時2.0L
Vベルト 27601-14F11
車体価格 549,000円(税別)
[569,000円(税別)]
※[]内はTypeS
系譜図
初代1998年
SKYWAVE type1/2(CJ41A/CJ42A)
二代目2002年
SKYWAVE/SS(CJ43A)
三代目2006年
SKYWAVE S/LTD/M(CJ44A/CJ45A)
ジェンマ2008年
gemma(CJ47A)
四代2008年
SKYWAVE S/SS/LTD/M(CJ46A/CJ45A)

スカイウェイブ250 type1/2(CJ41A/CJ42A) -since 1998-

CJ41A

スカブの愛称で親しまれてるスカイウェイブの初代モデルに当たるCJ41A。

初代マジェスティにより端を発した第一次ビッグスクーターブームでホンダフォーサイトに続きデビュー。これで今も続く三社の三つ巴状態に突入。

スカブはホンダやヤマハといった規模の大きいところに対して遅れて登場したにも関わらず負けず劣らずなヒットを飛ばしました。

これは

「もう少し走行性能が良ければ完璧なんだけど」

っていうユーザーの声を見事に突いたから。

スズキはこのスカブの為だけにエンジンを新造。クラス唯一の4バルブエンジンでクラストップの23馬力をマークしてる。タイヤもライバルメーカーより大きい13インチ。スクーターでも走行性能にこだわる所がスズキらしいね。

もちろんA3アタッシュケースが収納可能な大型他トランク、いたずら防止のシャッター付きメインキー、足つき向上のためのフロアボードなどなど。装備や収納性といったビッグスクーターにおける大事な要素もキッチリ抑えててライバルをよく研究した作りをしてる。

1998スカブ

最初に発売されたのがtype1で、一ヶ月遅れでタンデムバックレスト、パーキングブレーキ、メッキミラーを標準装備したtype2が発売。

細かい変更点をいうと翌99年には排ガス規制への対応でスロットルポジションセンサーの追加とバッテリーが8Ahに容量アップ。一応これがCJ41A後期になるのかな。

エプシロン250

次のCJ42A型はシートの見直しでメットインスペースの拡大と足付き改善、パーキングブレーキの改良、コンビネーションランプなどの熟成を図ったモデル。

そして写真を見てもらうと分かる通りこのモデルからカワサキへのOEM(カワサキ名エプシロン250)が始まりました。

スズキからはこのスカブ250とアヴェニス125とDR-Z125が出され、カワサキからはバリオス2とD-TRACKER、KX65が出されることに。

OEM

なんでそんなことをする必要があるのか分からない人に簡単に説明すると、需要があるからといって新しく作るより他所から引っ張って来たほうが安上がりな上にリスクも無いからですね。更に工業製品というのは大量に作れば大量に作るほどコストが下がるので出す側にもメリットがあるわけです。スズキなんかは車の方でも積極的にOEM供給やってるので有名かな。

epsilon150

まさにWin-Winのような話ですが勿論デメリットもあります。(写真はエプシロン150)

まず否が応でもシェアが下がります。更に問題なのは販売店の方でスズキワールドやカワサキプラザなどのメーカー専門店などからしてみると敵に塩を送る様なものなので歓迎されません。他にもブランド力の低下にも繋がりますね。

話をスカブに戻しましょう。

最後にスズキがこの初代スカブでやったちょっと面白い遊び心をご紹介。その遊び心はシート下にあります。

シート下

シート下にキャブレターのスペースを確保するために少し盛り上がってる部分があるんですが、ただ盛り上げるだけでなく耳や鼻を付けてカエルやクマのマークにあしらうという遊びっぷり。

こういう遊び心いいですよね。

主要諸元
全長/幅/高 2260/765/1365mm
シート高 695mm
車軸距離 1590mm
車体重量 162kg(乾)
燃料消費率 39.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 13.0L
エンジン 水冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 23ps/7000rpm
最高トルク 2.5kg-m/6000rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前110/90-13(55P)
後130/70-13(57P)
バッテリー YTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.3L
交換時1.9L
フィルター交換時2.0L
Vベルト 27601-14F11
車体価格 549,000円(税別)
※スペックは00以降モデル(CJ42A)
系譜図
初代1998年
SKYWAVE type1/2(CJ41A/CJ42A)
二代目2002年
SKYWAVE/SS(CJ43A)
三代目2006年
SKYWAVE S/LTD/M(CJ44A/CJ45A)
ジェンマ2008年
gemma(CJ47A)
四代2008年
SKYWAVE S/SS/LTD/M(CJ46A/CJ45A)

ST250E(NJ4CA)グラストラッカー(NJ4DA)-since 2008-

ST250E

現行にあたるST250Eとグラストラッカー。

恐らくこのシリーズとして一番大掛かりなモデルチェンジ。そうです、排ガス規制強化に伴ったFI化です。

普通のバイクなら「FI化されました~」で流すような内容なんだけどこれまではコストを抑えるためにも比較的小規模な変更ばかりだった。

それに比べればFI化はとんでもないくらいのコスト増のモデルチェンジ。前代未聞なほど。

2015ST250E

このモデルチェンジを機にEタイプのみの販売に変わりました。

質感向上やFI化や排気ガスの触媒などで値段が449,000円まで上がったのはちょっと残念だけどね。

グラストラッカー

当然ながら兄弟車であるグラストラッカーもモデルチェンジしてFI化。

変更点はST250と同じでFI化に伴いキックが無くなり、燃料タンクが6Lから8Lへ容量アップ。

グラストラッカー10周年

GN250から始まったこのフレームとエンジンもなんだかんだで30年を超えました。

排気ガス強化でバタバタと空冷が倒れていく中でも、しっかりちゃっかり存続してるST250とグラストラッカー。

もうここまで来たらこのエンジンとフレームで何処まで行けるのか見届けてみたいものです。

主要諸元
全長/幅/高 2070/750/1075mm
[2050/900/1130mm]
<2200/910/1145mm>
シート高 770mm
[750mm]
<790mm>
車軸距離 1375mm
[<1405>]
車体重量 146kg(装)
[136kg(装)]
<139kg(装)>
燃料消費率 48.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12.0L
[<8.0L>]
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 19ps/7500rpm
最高トルク 2.1kg-m/5500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前90/90-18(51S)
後110/90-18(61S)
[前3.00-18(47S)
後120/80-17(61S)]
<前100/90-19(57P)
後130/80-18(66P)>
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.7L
交換時1.3L
フィルター1.4L
スプロケ 前15|後43
[前15|後41]
<前15|後43>
チェーン サイズ520|リンク108
[サイズ520|リンク100]
<サイズ520|リンク108>
車体価格 429,000円(税別)
[399,000円(税別)]
<429,000円(税別)>
※[]内はグラストラッカー
※<>内はBIGBOY
系譜図
DR250S 1982年
DR250S
(SJ41A)
GN250E 1982年
GN250E
(NJ41A)
ボルティー 1994年
ボルティー
(NJ47A)
マローダー250 1998年
マローダ250
(NJ48A)
グラストラッカー 2000年
グラストラッカー/ビッグボーイ
(NJ47A/NJ4BA)
ST250 2003年
ST250/E
(NJ4AA)
ST250E 2008年
ST250E/グラストラッカー/ビックボーイ
(NJ4CA/NJ4DA)

ST250/E(NJ4AA) -since 2003-

ST250カタログ

人気を博したボルティーの後継として登場したST250。

人気だったボルティーの基本コンセプトをそのまま引き継いでいるだけあって、相変わらず人気は上々。

またまたこれもしつこいですがエンジンフレーム、足廻り共にGN250から続くもの・・・なんだけど実はシリンダーがメッキタイプに変更されていて燃費とパワーが向上。

ST250

さらにホイールも前後18インチの物に変更されてる。

このモデルからシンプルベーシックなST250とメッキパーツなどの装飾が施されキックスターターが付いたTypeEの二本立てになった。

そう、勘の良い人はピンとくるだろうこのキックスターター。これはグラストラッカーのビッグボーイでも使われてるやつ。ST250Eにも付けてコスト下げようっていうコストパフォーマンス魂の現れ。

主要諸元
全長/幅/高 2070/750/1075mm
シート高 770mm
車軸距離 1375mm
車体重量 127kg(乾)
[129kg(乾)]
燃料消費率 55.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12.0L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 20ps/7500rpm
最高トルク 2.2kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前90/90-18(51S)
後110/90-18(61S)
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.7L
交換時1.3L
フィルター1.5L
スプロケ 前15|後43
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 349,000円(税別)
[379,000円(税別)]
※[]内はE Type
系譜図
DR250S 1982年
DR250S
(SJ41A)
GN250E 1982年
GN250E
(NJ41A)
ボルティー 1994年
ボルティー
(NJ47A)
マローダー250 1998年
マローダ250
(NJ48A)
グラストラッカー 2000年
グラストラッカー/ビッグボーイ
(NJ47A/NJ4BA)
ST250 2003年
ST250/E
(NJ4AA)
ST250E 2008年
ST250E/グラストラッカー/ビックボーイ
(NJ4CA/NJ4DA)

グラストラッカー(NJ47A/NJ4BA) -since 2000-

グラストラッカー

90年代中頃に起こったトラッカーブームに合わせて登場したグラストラッカー。

もちろんエンジンからフレーム、足廻りに至るまでボルティーと一緒。正に七変化。

ただグラストラッカーはセルに付け加えてキックも付いてる。

これは車名となっているグラストラッカーが1970年代にアメリカで流行った草レースの事でキックが付いたのはそのため。(万が一用)

グラストラッカーもボルティーほど安くは無かったんだけど出ると同時にブームの波に乗って人気が出るというスズキとしては珍しくスタートダッシュが決まったバイク。

そして一年遅れで今も続く派生モデルのビッグボーイが発売。

グラストラッカービッグボーイ

これはフロントフォークとスイングアームを延長してワンサイズ大きいタイヤを履いたモデル。

ファッショナブルな無印に比べて未舗装路での走行性を向上させたモデル。

だからBIGBOYの方がよりグラストラッカー(オフ寄り)と言えなくもない。

主要諸元
全長/幅/高 1995/900/1130mm
[2135/910/1145mm]
シート高 745mm
[785mm]
車軸距離 1325mm
[1405mm]
車体重量 124kg(乾)
[127kg(乾)]
燃料消費率 54.5km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 6.4.L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 20ps/7500rpm
最高トルク 2.1kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.00-18(47S)
後120/80-17(61S)
[前100/90-19(57P)
後130/80-18(66P)]
バッテリー YB10L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.7L
交換時1.3L
フィルター1.4L
スプロケ 前15|後41
[前15|後43]
チェーン サイズ520|リンク100
[サイズ520|リンク108]
車体価格 384,000円(税別)
[394,000円(税別)]
※[]内はBIGBOY
系譜図
DR250S 1982年
DR250S
(SJ41A)
GN250E 1982年
GN250E
(NJ41A)
ボルティー 1994年
ボルティー
(NJ47A)
マローダー250 1998年
マローダ250
(NJ48A)
グラストラッカー 2000年
グラストラッカー/ビッグボーイ
(NJ47A/NJ4BA)
ST250 2003年
ST250/E
(NJ4AA)
ST250E 2008年
ST250E/グラストラッカー/ビックボーイ
(NJ4CA/NJ4DA)
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