YZF1000R Thunder Ace(4SV)-since 1996-

YZF1000R

「Supersport machines for the real world」

バードじゃないよエースだよ・・・なFZR1000の後継モデルとして発表されたYZF1000R THUNDER ACE。

ファイヤーブレードの影響なのかここに来て何故かペットネーム付きに。

ちなみに全く知られていませんが、当時は弟分のYZF600Rサンダーキャットと合わせてTHUNDERシリーズと呼ばれていました。

YZF1000Rサンダーエース

「YZF」という当時のワークスマシンの名が付いている事からも分かる通り、第二世代GENESISエンジンにYZF750Rのフレームをベースとした新設計デルタボックスを積んだフラグシップスポーツモデル。

※当初これをYZFの初出と書いていましたが、YZFの名が初めてつけられたのはYZF750SP/R(1993年)でした。大変失礼しました。

雷帝

145馬力に198kgと申し分のないスペックは持っているんだけど、FZR1000と同じく

「ビッグバイクにはゆとりが必要」

という考えをサンダーエースでもブレることなく貫いている。

サンダーエースリア

だから日本ではFZRと同じく刺激が足りないと人気は今ひとつだったんだけど、欧州では逆で

「This is サイコーにちょうどいい SuperSports」

と評価は高かった。

サンダーエース

98年にR1が発売された後も03年まで細々と販売されたんだけど、R1のインパクトが強すぎたせいか日本ではあまり知られていない。

最近になって日本でもそういう需要が増えているためか、再評価されつつありますね。

主要諸元
全長/幅/高 2085/740/1175mm
シート高 815mm
車軸距離 1430mm
車体重量 224kg(装)
燃料消費率
燃料容量 20.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1002cc
最高出力 145ps/10000rpm
最高トルク 11.0kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/70R17
後180/55R17
バッテリー YTX14-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
または
X24ESR-U
推奨オイル SAE 10W/30~20W/50
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時3.0L
フィルター交換時3.2L
スプロケ 前17|リア46
チェーン サイズ532|リンク110
車体価格
系譜図
fz750 1985年
FZ750
(1FM)
fzr1000 1987年
FZR1000
(3GM/3LK/3LG)
yzf1000r 1996年
YZF1000R Thunder Ace
(4SV)
4xv 1998年
YZF-R1
(4XV)
5jj 2000年
YZF-R1
(5JJ)
5pw 2002年
YZF-R1
(5PW)
5vy 2004年
YZF-R1
(5VY前期)
5vy後期 2006年
YZF-R1
(5VY後期/4B1)
4C8 2007年
YZF-R1
(4C8)
14b 2009年
YZF-R1
(14B~1KB/45B)
2012YZF-R1 2012年
YZF-R1
(45B/1KB/2SG)
2015YZF-R1 2015年
YZF-R1/M
(2CR/2KS/BX4)
2019YZF-R1 2019年
YZF-R1/M
(B3L/4BS)

FZR1000(2GH/3LK/3LG)-since 1987-

FZR1000

ものすごい早さで勢いを増すレプリカブームに対応すべくヤマハがFZ750に変わって投入したのがFZR1000。FZR400に次いで登場したヤマハ4stレーサーFZRシリーズの長男坊でもあります。

エンジンのベースは前述したFZ750だけど、ここで登場するのが今でも続くデルタボックスフレームと排気デバイスのEXUP(二代目1989年3GMモデル)という機能。

1987年式FZR1000

これだけ聞くとコテコテのレーサーレプリカに思えるFZR1000だけど、そうでもない事を表してるのがワンピースシート。

これのおかげでタンデムも熟せるツアラー性も非常に高いバイクに仕上がってる・・・そう、ヤマハはどれだけ大型バイクのスポーツ人気が高まろうとも、絶対にカリカリなスーパースポーツは作らなかった。

1987GSX-R1100

これは

「ビッグバイク=重くてユッタリ」

という概念を覆し世界中を騒がせたGSX-R750に開発陣が乗ってみた所、あまりにも敏感でクイック過ぎる特性が自分たちの目指す所とは違うという事を再確認したから。

モデルチェンジの経緯を端的にまとめると

初代1987年~

1987年式FZR1000

FZR1000Genesisとも呼ばれるモデル。

逆車135馬力204kgとスーパースポーツなポテンシャルは持ってるものの、乗り味は非常にジェントル。

二代目1989年~

二代目FZR1000

エアーインテークがライト下に移動、更にシリンダーの角度が45度から35度まで上昇、EXUPの採用で145馬力にまでアップ。

三代目1991年~

三代目FZR1000

倒立フロントフォークと共にヘッドライトが左右非対称性の異型になった少し異質な三代目。

四代目1994年~

FZR1000

タイガーアイを採用と6pot化ブレーキキャリパーを採用した最終型。ここまで来るとR1の面影があるような・・・ないような。

となってます。

FZR1000カタログ写真

共通しているのは

「セカンダリーロードを楽しく走れるバイク」

という事。

どれだけスーパースポーツブームが加熱しようと、一切ブレる事なくこのコンセプトを貫き通しました。

主要諸元
全長/幅/高 2200/730/1160mm
[2205/745/1170mm※91以降]
シート高 775mm
車軸距離 1460mm
車体重量 235kg(装)
燃料消費率
燃料容量 19.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1002cc
最高出力 136ps/10000rpm
[145ps/10000rpm※89以降]
最高トルク 11.0kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前130/60-ZR17
後170/60-ZR17
バッテリー YTX14-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
推奨オイル SAE 10W/30~20W/50
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.7L
フィルター交換時3.0L
スプロケ 前16|リア46
[前17|リア47※89以降]
チェーン サイズ532|リンク110
車体価格
系譜図
fz750 1985年
FZ750
(1FM)
fzr1000 1987年
FZR1000
(3GM/3LK/3LG)
yzf1000r 1996年
YZF1000R Thunder Ace
(4SV)
4xv 1998年
YZF-R1
(4XV)
5jj 2000年
YZF-R1
(5JJ)
5pw 2002年
YZF-R1
(5PW)
5vy 2004年
YZF-R1
(5VY前期)
5vy後期 2006年
YZF-R1
(5VY後期/4B1)
4C8 2007年
YZF-R1
(4C8)
14b 2009年
YZF-R1
(14B~1KB/45B)
2012YZF-R1 2012年
YZF-R1
(45B/1KB/2SG)
2015YZF-R1 2015年
YZF-R1/M
(2CR/2KS/BX4)
2019YZF-R1 2019年
YZF-R1/M
(B3L/4BS)

FZ750(1FM)-since 1985-

FZ750

「マン・マシンの一体化」

5バルブ&前傾エンジンというヤマハスポーツを象徴する”GENESIS”の始祖であるFZ750。

当時ヤマハはRZなどで2stで大成功を納めていた一方、大型4stではスーパースポーツと呼べるようなバイクを持っておらず他社に引けを取る状況でした。

前傾エンジン

更に追い打ちを掛けるように国内市販車レースが4st750ccになる事が決定。

もともと4stスーパースポーツを造る必要性があった事から、これを好機だとして作られたのがFZ750。

特徴となるのが45度と大きく寝かせられたシリンダーですが、これは吸気の流れをストレートにすることで抵抗を少しでも減らすため。吸排気レイアウトにはエンジンが水平に近い形だったシグナスのノウハウが活かされたんだとか。

5バルブエンジン

そしてもう一つの特徴が何と言っても吸気3本、排気2本で構成されている市販車初の5バルブ。

これは吸気面積を稼ぐためと、1本あたりのバルブを小さくし質量を減らす事による高回転化が狙い。

ただし、これらの技術はFZ750が全て一から生み出したものではありません。

当時のヤマハは市販車こそ2st偏重だったものの4stの研究にも力を入れており、その最先端にあったのがコードOW34というバイク。

OW34

水冷バンク角90度V4の1000ccエンジンを積んだ耐久レース用のファクトリーマシン。

このバイクの最大の特徴はバルブ数。吸気4本、排気3本の7バルブになっています。

7バルブ

狂気を感じるほどですが残念ながら実戦投入される事はなく77年の東京モーターショーでのお披露を最後にお蔵入り。

ただ計画はここで止まっておらず

「レーサーが無理ならスペシャルバイクとして市販化しよう」

ということで開発コードを001に改めて再始動。

プロジェクト001A

OW34と同じくV4エンジンでもちろん7バルブを採用・・・が、結局市販車として7バルブの耐久性やコスト増をクリアすることが出来ず、またHY戦争の問題もありお蔵入り。

しかし培った多バルブ技術を使わないのはあまりにも勿体ないということで新たに立ち上がったのがモデルコード064。

これは直列4気筒と5バルブ化によって耐久性とコストを解決したアメリカの市販車レース用ホモロゲーションモデル。

プロジェクト064

200万円&200台限定で発売・・・予定だったんですが

「売れないだろう」

という上の判断で三度目となるお蔵入り。

FZ750カタログ2

頓挫に次ぐ頓挫ですがそれでも諦めず

「せめて多バルブ技術を採用した市販車だけは出そう」

と唯一残されていたコード00Mを再始動。これこそがFZ750のプロジェクトです。

ジェネシス思想

つまりFZ750そしてGENESISというのは、OW34が頓挫しても諦めず、001が頓挫してもまだ諦めず、064が頓挫してもそれでも諦めなかったからこそ誕生できた

「足掛け10年の執念の結晶」

というわけ。

開発中は市販車初5バルブのフラッグシップという事で社内ですら極秘扱い。

しかしどうも何か凄い市販車を造っているんじゃないかという噂が社内で広がり始めた。これが何でかっていうと

ジェネシスエンジン

「試作バルブの注文が4本単位ではなく5本単位だったから」

です・・・しかもその中の1本だけ短いバルブっていう怪しさ満点の開発。

(5バルブは3本ある吸気バルブの真ん中だけ少し短い)

1FM

そこでエンジンの開発責任者だった中山さんはダミーとして架空の単気筒プロジェクトを用意。

「た、単気筒とかも造ってるんだよ・・・」

と誤魔化す事で5バルブがバレるのを防いだそう。

FZ750サイド

「せめてこれだけは形にしよう」

という信念というか気迫が篭っていたからか、フレーム担当が最初は市販車ではなくレーサーと勘違いして設計を始めたという逸話まで誕生しました。

FZ750カットモデル

そんなFZ750から始まったヤマハGENESIS思想ですが、皆さんご存知のように多くの車種に採用され、多くの人を魅了する大成功を収めました。

これはひとえに執念深く研究することでGENESIS思想を構築したから。

FZ750ジェネシス

そして執念深く造り続けたことでFZ750という始祖を生み出せたからです。

主要諸元
全長/幅/高 2225/755/1165mm
シート高 790mm
車軸距離 1485mm
車体重量 209kg(乾)
燃料消費率 42.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 21.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 749cc
最高出力 77ps/9500rpm
最高トルク 7.0kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/80H16
後130/80H18
バッテリー YB14L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DP8EA-9
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
スプロケ 前16|リア44
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格 798,000円(税別)
系譜図
fz750 1985年
FZ750
(1FM)
fzr1000 1987年
FZR1000
(3GM/3LK/3LG)
yzf1000r 1996年
YZF1000R Thunder Ace
(4SV)
4xv 1998年
YZF-R1
(4XV)
5jj 2000年
YZF-R1
(5JJ)
5pw 2002年
YZF-R1
(5PW)
5vy 2004年
YZF-R1
(5VY前期)
5vy後期 2006年
YZF-R1
(5VY後期/4B1)
4C8 2007年
YZF-R1
(4C8)
14b 2009年
YZF-R1
(14B~1KB/45B)
2012YZF-R1 2012年
YZF-R1
(45B/1KB/2SG)
2015YZF-R1 2015年
YZF-R1/M
(2CR/2KS/BX4)
2019YZF-R1 2019年
YZF-R1/M
(B3L/4BS)