YZF-R25(1WD/2WD)-since 2014-

YZF-R25

「日常で乗れるスーパースポーツ」

ヤマハとして何年ぶりになるのか分からないくらい久しぶりに登場した250ccニューモデル。

最初に話題となったのは2013年の東京モーターショーへの出展だったと思いますが一時期はこのR25の話題で持ちきりでした。

YZF-R25コンセプト

そもそもヤマハは

「国内モデルはもう無理」

というアナウンスを2000年代後半にしていました。ではどうしてここに来て250ccのニューモデルを出したのかと言うと、実はこのクラスがグローバルモデルになったから。

YZF-R25コンセプトスケッチ

我々にとってはエントリークラスである一報で、いま一番熱いアジアにとっては実質トップクラスでもあるわけです。

だからこそ出すことが出来たというわけ。

YZF-R25メーター周り

主な特徴としては

・マルチファンクションメーター

・逆スラント二眼ヘッドライト

・LEDテール

・非対称スイングアーム

・ダイヤモンドフレーム

・並列二気筒180度クランク

などなど。

YZF-R25各部

中でもエンジンはYZF-Rシリーズらしく

『36ps/12000rpm|2.3kg-m/10000rpm』

というクラストップのパワー・・・なんですが、排気量から見ても分かる通りお世辞にも低速トルクがあるわけじゃないし、ハイギヤードだからギアチェンジの頻度もかなり上がる。

しかしR25の凄い所はそれが決して扱いづらさに直結していないという事。

2015YZF-R25

実はR25で一番煮詰められた部分はピークパワーではなくここ。

アクセル開度による空気流入量の変化による”もたつき”を徹底的に潰して扱いやすさを生み出してるわけです。

そしてもう一つ大事なのがそれに合わせられる車体。

YZF-R25フレーム

・スチール鋼管のトラスフレーム

・41mm径インナー正立フォーク

・リンクレスモノサス

などなどハッキリ言うと何か画期的な装備が付いているわけではなく非常にオーソドックスな造り。

でもそれはつまりヤマハが既に熟知している技術という事でもあり、ハンドリングとフィーリングを煮詰める事をより容易にした。

YZF-R25青

つまりYZF-R25というバイクは

『回しやすいエンジン』

とそれに合わせられる

『フィーリングの良い車体』

によってスポーツライディングが非常にしやすいバイクになっているという事。

YZF-R25スポーツ

「毎日乗れるスーパースポーツ」

というコンセプトはここにあるわけです。

主要諸元
全長/幅/高2090/720/1135mm
シート高780mm
車軸距離1380mm
車体重量166kg(装)
[168kg(装) ]
燃料消費率26.2km/L
※WMTCモード値
燃料容量14.0L
エンジン水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量249cc
最高出力36ps/12000rpm
最高トルク2.3kg-m/10000rpm
変速機常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ前110/70-17(54S)
後140/70-17(66S)
バッテリーGTZ8V
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
[CR8E]
{LMAR8A-9}
推奨オイルヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時1.8L
フィルター交換時2.1L
スプロケ前14|リア43
チェーンサイズ520|リンク112
車体価格515,000円(税別)
[555,000円(税別)]
※[]内はABSモデル
※{}内は18年モデル(BS8/B0E型)
系譜図
yzf-r252014年
YZF-R25
(1WD/2WD/BS8/B0E)
yzf-r32014年
YZF-R3
(B02)
mt-25|mt-032015年
MT-25|MT-03
(B04/B05)
2019年式YZF-R252019年
YZF-R25/R3
(B3P/B6P/B7P)
2020mt-25|mt-032020年
MT-25|MT-03
(B4W/B6W)

YZF-R6(BN6) -since 2017-

2017YZF-R6

「Respect R World」

規制に伴い9年ぶりのモデルチェンジとなり立ち位置が大きく変わった六代目YZF-R6のBN6型。

BN6黒

・ABS標準装備

・6段階トラクションコントロールシステム

・クイックシフター(UPのみ)

・3種類の出力モード切替

・R1と同型の大径フロントフォーク(φ43㎜)

・R1と同型のブレーキ(φ320mm)とフロントホイール

・アルミ化された新型燃料タンク

・新開発のMgシートフレームで約20㎜スリム化

などなど足回りと電子制御を中心とした強化が入っています。

2017YZF-R6フューチャーマップ

もともと電スロをいち早く採用していたからABSやトラコンはの採用はかなり遅かったと言っていいほどなんだけど、これはどうも市場の縮小もありますが先代がモデルチェンジせずともすこぶる好評だった事も関係していたようです。

カタログスペックとしてはEURO4(排ガス規制)の関係で118馬力と+2kgとなっているわけです・・・が、それ以上に注目したいのが相変わらずデザイン。

このYZF-R6は従来の路線とは真逆ともいえる方向へ大変貌しました。

2017YZF-R6サイド

YZF-R1と同系の新設計のカウルデザインによりCdA値(空気抵抗)がなんと8%も向上し最高速アップ。

ちなみにR1と同様に光ってる部分はポジションライトでアッパーカウルの下に付いてる丸いレンズが本体。左がロー、右がハイ。当然ながらヘッドライトのみならずウィンカーまでもがLEDとなってます。

2017YZF-R6ヘッドライト

睨んでいる様に見える顔ですが、これは『白面の者(うしおととら)』から取ったんだそう。

それでどうして真逆なのかって話ですが、系譜を見ると分かるように

「R6はR1の弟分ではない」

という事を誇示するように似ていないデザインだった。

壁紙

しかし今回それが大きく変更されR1に準ずる様なデザインに。特にリア周りは特にR1と区別が付きにくいほど。

リア周り

開発責任者の平野さんいわく

「R1に抜かれたと思ったらR6だった」

という思惑が込められているんだそう。やられた方はなかなか屈辱的ですね。

それでR6がR1と親しいデザインになった理由なんですが、これはR1とR6しか居なかった状況からYZF-R1~YZF-R25まで(海の向こうではR125まで)のYZF-Rファミリーになったから。

ヤマハ語でいう

『R-DNA(プラットフォーム化)』

で展開する様ために関連付ける必要があったからR1ともR25ともデザインから改められたという話。

2017YZF-R6メーター

これにはミドルスーパースポーツのブームが去ったことも影響しているかと思います。

R6は歴代累計16万台ほど生産したようなんですが、今やそれが嘘のように閑古鳥が鳴く始末でライバルたちもバタバタと倒れゆく時代。

そんな中で存続するだけでなくモデルチェンジに加え世界市販600レースへのワークス再参戦という逆張りに近い行為が出来たのもファミリーに一翼を担うようになったおかげでしょう。

WSS2017R6

そのおかげというべきか案の定というべきか600レースは国内外問わずYZF-R6が猛威を奮ってたりします。

『Furious Track Master(猛烈なサーキットの怪物)』

という開発コンセプト通りサーキットで傍若無人っぷりを発揮しているわけですね。

ただ残念ながらもうクラスが完全に下火というかもうレースでしか存続してない事もあり2020年モデルがEURO5規制の関係で最後な模様。後継の話もいまの所なし。

まあモデルチェンジした翌年の2018年ですら424台と大型一位だったバイクの1/10しか売れてないですからね。開発費が掛かる類のバイクなのにこれじゃ存続も無理な話。

そのため生産も期間を絞った受注生産に近い形なので欲しい人は店頭に並ぶのを待つのではなく今すぐ予約しましょう・・・と購入を煽りたい所ですが価値観の押し付けの様な話を批判覚悟で少し。

2017YZF-R6白

正直に言うと(先代含む)R6はオススメしません。

オーナーからの苦情を覚悟で言わせてもらいますが、もし周りでR6を

「言われるほどキツくない、乗り辛くない」

などと言ってる人が居たらそれは間違いなく納車されたてで浮かれている人か、サーキット沼にハマって頭のネジが2~3本取れてる人です。

LED

スーパースポーツというのはR6に限らず基本的にサーキット走行ありきなので日常的な走りは苦手です。

・キツいポジション

・高すぎる回転数

・硬いサスペンション

などなど。

ただメーカーも数を売らなければいけないので(一部のホモロゲや外車SSを除き)可能な限り一般ユーザーが使うであろう用途も考慮しているのが実情。

しかしR6の場合それがほとんど無い。

このスーパースポーツは外車も真っ青なくらい

「公道のための1を捨ててサーキットの0.1を取った」

といえるモデルなんです。ポジションやシート高などがよく言われていますね。

どうしてそうなのかといえばこれまでの系譜でも話した通り

LED

「走りで存在感を出す」

という事に重きを置いているから。

本当にトラックに全振りしているスーパースポーツしてるバイクだから

「ルックス買いなら止めといたほうがいいよ」

とアドバイスします。

ただ勘違いしてほしくないのは

「R6はピーキー過ぎてお前には無理だよ」

という事が言いたいわけではありません。

2020年式

むしろ反対でR6はライダーの入力に正確に応えてくれる本当にピュアなスーパースポーツ・・・だからこそレーサーでもなんでもない一般的なライダーには向いていない。

メーカーも一般ライダーに買ってもらうために街乗りしてる写真を出したりキャッチコピーでも

『場所を問わないエンターテイメント』

とかやってますがハッキリ言って無理がある。

もちろんツーリングや街乗りで使うのも盆栽するのも可能だし個人の自由なんだから大いに結構。でもそういう付き合い方だと長く付き合っていく事は難しいと思います。

BN6グレー

よく大型初心者の人が想像から

「公道でSSは難しいですよね」

なんて言ったりしていますが意外とそうでもなく乗れてる気になれる事は可能だったりする。

でもR6はちょっと例外で

『下スカスカで上スカスカで最上がドッカン』

だから公道でスポーツしようにもリッターSSより難しい・・・というか無理。そして気持ちよくスポーツ出来ないフラストレーションにクラスでも抜きん出たキツいポジションや足つきや排熱など公道ではネガでしかない部分ばかりが気になり始めて嫌になってくる。

早い話がバイクに乗らなくなる要因がこれでもかというほどあるからオススメしないって話なんですが、ここまで言われてもなお

「それでも一番カッコ良いR6が欲しい」

と思うなら買えばいいです。

2019年式BN6プライス

ただし一つだけどうしても聞いて欲しい事があります・・・それは

「長く付き合っていきたいと思うなら絶対に一度はR6でサーキットを走って」

ということ。

R6でサーキットを走れば自分が今どの程度のライディングスキルを持っているのか否が応でも分かります。全然乗れてない事に落胆すると思います。

ただそれと同時にほんの一瞬かもしれないけど公道の1を捨てサーキットの0.1を取った要素

『Furious Track Masterの片鱗』

を感じ取る事も出来る。

2017YZF-R6壁紙

それを知ってたとえ年に数回だろうとサーキットに行って少しずつでもR6の本領を発揮できるようになれば

「カッコいいミドルSS」

という表面的なR6の魅力だけでなく下手くそなら下手くそと、上手いなら上手いと誤魔化さず走りで応えてくれる

「正直者なミドルSS」

という内面の魅力にも気付ける。だからサーキットを走って欲しいんです。

BN6メーター

これはトラクションコントロールというアシスト機能が付いたこの代でもそう。

トラコンは”甘えの装備”とか言われるんですが、このR6にはIMU(慣性計測装置)が付いておらず6段階も細分化された”自分で設定する必要がある調整機能”になっている。

これがどういう事かと常に自動でベストな補正をしてくれるわけではないという事。

つまり

「いま自分がどれくらいの制御が必要なのか」

己で見極めて走る必要があるんです。

トラクションコントロール

要するにクラストップの速さを持つR6だけど、丸投げで速く走れるSSでも勘違いさせてくれるSSでもないという事。

公道ではあまり見ないのにサーキットにいくとよく居る理由、優しくないのに絶対に手放ない人がよく居る理由もここにある。

2019年式BN6壁紙

R6の魅力というのはカッコよさや超高回転という表面的なものではなく

『何処まででも切磋琢磨していける関係性を築ける内面』

が本当に素晴らしい魅力なんです。

その事を理解できれば5年でも10年でも20年でも付き合っていける関係になる。ポジションも足つきも排熱も嘘のように気にならなくなる。

もし仮に手放す事になったとしてもその時は

「YZF-R6ありがとう」

などというありきたりな感謝の念を抱くような事はない。

BN6壁紙

「YZF-R6には色々と教えてもらった」

と敬愛の念を抱くようになる。

【関連車種】

CBR600RRの系譜GSX-R600の系譜ZX-6Rの系譜DAYTONA675の系譜

主要諸元
全長/幅/高 2040/695/1150mm
シート高 850mm
車軸距離 1375mm
車体重量 190kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 118ps/14500rpm
最高トルク 6.3kg-m/10500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTZ7S(F)
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR10EK
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.4L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前16|後45
チェーン サイズ525|リンク114
車体価格 1,450,000円(税別)
※プレスト価格
系譜図
1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S/1JS/2CX)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)

YZF-R6(13S後期/1JS/2CX) -since 2010-

2010R6

「CATCH THE EXTREME」

2010年モデルからとなる13S、

型式がたくさんあるのはカラーコードが尽きたから(1SJで例えると1SJ1~1SJWまで)で13S~2CXまでの間で目立った変更はありません。

2016R6

基本的な構造はそのままですが、エアクリーナーの変更とマフラーのロング化で馬力を5馬力落とした代わりにパワーバンドを更に拡大。

ただ非常に残念なことにこのモデルは最初の一年だけ(13S後期だけ)で2011年モデルからは正規(プレスト扱い)で入ってこず。これは国産SSとしては初。理由としては騒音規制に対応できなくなったから。マフラーを伸ばして近接騒音対策したけどそれでも日本では無理だったんだろうね。

プレストYZF-R6

なんか2011年から今までザルだった逆輸入の規制(並行輸入自動車審査制度)が厳しくなったとのこと。確かに(言い忘れてたけど)2C0以降は純正マフラーとは思えないほど良い排気音をさせてましたもんね。

しかし国内で生産されているにも関わらず国内では買えないとは何とも悲しい話。

YZF-R6WGP50th

当然ながらこのWGP50周年モデル(2012年モデル)もヤマハ60周年のイエローストロボ(2016年モデル)も指を加えて見ている事しかできなかった・・・唯一正規で買えたのは保安部品が外されたレースベース車だけっていう。

YZF-R6ヤマハ60周年モデル

ちょっと気になって某バイク販売サイトを覗いてみたら並列輸入車(個人輸入みたいなもの)はチラホラ入ってきてるみたいですね。ゴニョゴニョして通したんだろうけど、メリット&デメリットを知らずに買って失敗する人がいたら可哀想なので少し説明。

プレストが取り扱わない事が大きく話題になりましたが何が問題なのかというと、実質的にヤマハの逆輸入部門であるプレストが扱わないということは国内ヤマハのサポートが受けられないという事。つまりパーツ(特に外装など)で思わぬ躓きをしたり、リコールが行われても並列物は受けられなかったりする。

プレストYZF-R6取扱

保証もヤマハ/プレストが2年なのに対し、並列物は基本的にありません。ショップ1年保証と書いてあるところもありましたがヤマハやプレストが取り合わないバイクを何処まで保証するのかショップのさじ加減なのでなんとも。買う時は気をつけてください。

あと驚いたのがフランス仕様が売られていたこと。フランス仕様はEU/UK仕様と違って106馬力だろと思ったんですが2016年に撤廃されたよう。フランス仕様を買おうと思ってる人は確認を忘れずに。

ついでにいうと今更ですが一重に逆輸入といっても仕様地によってパワーは変わってきます。これはR6に限った話ではないのですが基本的に

EU/UK(ユーロ仕様)>US/CA(米やカナダ仕様で同等か少し低い)>>>その他の仕様地

となってます。ちなみにヤマハの逆輸入(プレスト扱い)は2004年モデル以降はほぼUS/CA仕様。

このサイトでは基本的にスペックはフルパワーのEU仕様を載せてるからこの13S後期も「124ps/14500rpm」と書いてるけど日本に正規で入ってきてるCAモデルは「123ps/14000rpm」だったり・・・あんまり変わらないか。

WGP50R6

なんかあんまりR6の話をしてなくてスイマセン。

話を戻すと・・・YZF-R6はこの13S型になった08年にAMA(アメリカの市販車レース)で優勝、さらに翌2009年には遂にWSS(600cc市販車世界レース)で初代の00年以来となる優勝を果たしました。(ライダーはクラッチロー選手#35)。

WSSチャンピオン

その快進撃は止まらず11年、13年も優勝。サーキットに絞ったマシンなので当然といえば当然かもしれませんね。

13S型はデザインから見ても分かる通り荷重分布【52.5:47.5】とかなりフロント荷重なバイク。ちなみに同時期のR1は【50:50】です。

2CXR6

これがどういうことか少し大げさに言うと

「とにかく突っ込んでナンボ、フルバンクさせてナンボ、アクセルすぐ開けてナンボ」

という感じ。ポジションやサスペンションの硬さもそうなんだけど、このバイクで眠い走りをしてると、曲がらないし、遅いし、フロント掬われて転ぶ。

ただこれがサーキットに通い詰めるようなある程度使える上級者になると評価が逆転するんです。

2010年式YZF-R6

従順なエンジン、突き抜ける吸排気音、寝かし込みや切り返しの圧倒的な軽さ、そしてラインを自由自在に選べる機敏なハンドリング。

だからサーキット好きは勿論のこと、生計を立てているレーサーからも非常に評価が高い。長く手を加えられず販売され続けたのにはこういった理由があるわけです。

だから公道ではあまり見ないR6もサーキットにいくとハイエースからウジャウジャ出てきたりします。

主要諸元
全長/幅/高 2040/705/1100mm
シート高 850mm
車軸距離 1380mm
車体重量 189kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.3L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 124ps/14500rpm
最高トルク 6.7kg-m/10500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR10EK
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.4L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前16|後45
チェーン サイズ525|リンク114
車体価格 1,120,000円(税別)
※プレスト価格

系譜図

1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)
系譜図
1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S/1JS/2CX)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)

YZF-R6(13S/1JS/2CX)-since 2008-

2008R6

「CATCH THE EXTREME」

デザインが非常に好評だったため大きくは変えていないものの、確かに変わっている五代目R6の13S。

R6比較

見た目としての変更点は

・アッパーカウルの更なるスラント化

・サイドカウルの造形変更

・マフラー形状の変更

・ポジションランプの変更

などなど。

分かりやすい見分け方としてはオデコにあるポジションランプ形状(丸い06、尖ってる08)とアンダーカウルのインテーク(有り06、無し08)かと。

2c0と13sの違い

その他にもサイドカウルやシートカウルも変わっています。まあ早い話が尖ってる方が13S型という事。

13S顔

ただし外見と違って中身は再び大きく手が加えられました。

同形状に見えて新設計となっているフレームも凄いんですが、その中で注目したいのが珍しくもYZF-R1の後追いとして採用された可変機構の電子制御インテークYCC-I。

可変エアファンネル

これは簡単にいうと空気を吸う口(筒)の長さを変える事が出来る可変機構のこと。

どうして長さを変える必要があるのかというと、この筒の長さによって吸気効率が大きく変わるから。

ザックリ言うとエンジンが空気を吸おうと思っても空気にも質量があるからすぐには来てくれない。だから物凄い速さで吸ったり吐いたりする高回転時は筒は短いほうがいっぱい吸えるからありがたい。

YZF-R6カットモデル

でも一方で吸う力が弱く遅い低回転時には長くして滑り台のように筒で空気の流れを加速させた方がありがたい。

このまるでシーソーのようなバランスを改善するために低回転では連結させて長い筒にし、高回転時にはパカッと開いて短い筒にするという良いとこ取りの様な形にしたのがこの電子制御インテークのYCC-Iという話。

補足:自然吸気も過給している~慣性吸気と吸気脈動~

エンジン

つまりR6がこれを採用した理由は超高回転型ながらパワーバンドを広くするためで、合わせてクランクやバルブスプリングやカムチェーンも見直しも入っているんですが

「じゃあ乗りやすくなったのか」

というと残念ながらちょっと違う。

13S内部

あくまでもサーキット(レース)の為にあるのがこのR6。

パワーバンドが広がったと言ってもこの可変吸気がパカッと開くのは13750rpmから・・・つまり広がったというより更に高くなったという表現の方がシックリ来るような内容。

R6の短いエアファンネル

キツすぎるポジションやヤマハの中でもトップの圧縮比である事からも分かる通り

「走りで存在感を示す」

という点に重きを置いてあるバイクという立ち位置はブレないどころか更に研ぎ澄まされたという話。

13S銀

だから正直言って一般人が公道で乗ってもせいぜい直線番長くらいしかR6のエクスタシーを感じることは・・・と思いましたが誰も気付ける

『日常使いで誰で分かるYZF-R6のエクスタシー』

が一つありました。それは排気音です。

WGP50R6

このダウンショートになったR6は純正とは思えないほど良い音を出します。かといって社外ほど下品な音でもない。

騒音規制が実質的に緩和されたことで拘るようになった2018年以降のバイクに負けないくらい調律された本当に良いエキゾーストノートを奏でます。

13Sマフラー

ここらへんはさすがヤマハ。

しかし不運にもそれが祟って経年劣化による音量の増大をカバーできなかったのか2010年モデル(13S後期)ではサイレンサーが延長。

2010R6

と思ったら逆輸入規制(並行輸入自動車審査制度)が厳しくなった事と、やっぱりみんなR1を買っちゃう事からか日本では2010年モデルを最後に逆輸入車の正規取扱(プレスト扱い)が終了という事態に。

キャッチザエクストリーム

そのため2011年からの1JS型と、2014年型からの2CXは正規では入ってきませんでした。

ちなみに型式が違いますが、これは主に仕様地(ECUなど)やカラーリングを区分するマーケティングコードでモデルチェンジがあったわけではありません。

2016R6

ちなみに最終型の2CXではR6のロゴが一足先に新型にも採用されている新しいフォントになっていたりします。

主要諸元
全長/幅/高 2040/705/1100mm
シート高 850mm
車軸距離 1380mm
車体重量 188kg(装)
[189kg(装) ]
燃料消費率
燃料容量 17.3L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 129ps/14500rpm
[124ps/14500rpm]
最高トルク 6.7kg-m/10500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR10EK
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.4L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前16|後45
チェーン サイズ525|リンク114
車体価格 1,100,000円(税別)
[1,120,000円(税別)]
※プレスト価格
※[]内は13S後期
系譜図
1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S/1JS/2CX)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)

YZF-R6(2C0)-since 2006-

2006R6

「EXTREME SUPER SPORTS」

ユーロ3の排ガス規制に合わせて大激変を遂げた四代目YZF-R6の2C0型。

変更点としてはまずやっぱりエンジン。

2C0エンジン

・ビッグボア&ショートストローク化

・圧縮比をアップ

・クランクマスの軽量化

・マグネシウムヘッド

・バルブのさらなる狭角化と大径化

・排気デバイスEXUPの採用

・アイドルコントロール

・YCC-T(電子制御スロットル)

・トリプルCPU内蔵ECU

などにより127ps/14500rpmというただでさえ高回転型だったのが更に高回転型に。

2C0メーター

その結果タコメーターには遂に20000rpmの文字が登場。

「お前は250ccレーサーレプリカか」

と言いたくなる話なんですが他にも

・新設計CFアルミダイキャストフレーム

・新型サスペンション

・1kgの減量

・スリッパークラッチ

・アルミサイドスタンド

・チタンサイレンサー

などなど。

2007R6エンジン

相変わらずR1より豪華な最先端装備の数々・・・ですが、それ以上に騒がれたのがデザインかと。

性能に負けずとも劣らない超攻撃的な姿。

2007YZF-R6壁紙

ヤマハの象徴であるレイヤードカウルの始まりもここにあるんですが黎明期のデザインとは思えないほどの完成度ですね。

ただそれもそのハズで、実はこのデザインはR6の開発チームがたまたま目にしたスケッチを発見しビビッと来て

「次期型のデザインはこれで行こう」

と問答無用で決定したから。

つまりこの型はデザインが結構大きなウェイトを占めており、設計を寄せていった末の形なんですね。

2007YZF-R6

わざわざポジションランプのレンズに音叉マーク入れてる事も含め、これだけのデザイン性をもったSSが出来たのも納得な話。

これで性能も見た目もますます尖ったSSになったわけですが

「どうしてそこまで尖らせるのか」

というと理由は2つあります。

一つは欧州で盛り上がりがピークを迎えていた600ccレースに勝つため。

2007YZF-R6wallpaper

YZF-R6はデビュー当初こそ他を寄せ付けない性能を誇り、各地のレースで大活躍していたんですが競争の激化によるライバルの出現で苦戦するようになっていた。

それを挽回する狙いがあったのが一つ。

そしてもう一つは初代でも少し話しましたが

『YZF-R1という存在』

にあります。

R6よりも排気量が大きいR1という存在が居る以上どれだけR6を豪華にしても存在感や所有感を上回る事は不可能だと三輪さんを始めR6チームは分かっていた。

そんな中でR6の存在感や所有感をR1よりも出すにはどうしたらいいか考えた結果

2007年式R6

「走りで存在感や所有感を出そう」

となった。

じゃあ走りで絶対的な排気量差があるR1よりもそれらを出すにはどうしたら良いか・・・最新の装備を奢って極端なエンジン特性にするしかないですよね。これがR6が思い切りやろうというコンセプトで誕生した根本であり尖っていった理由。

だからR6はR1の弟分でも下位互換でも無いんです。先代PLの小池さんいわくR6開発チームはそう思われたくないと考えてる。むしろそれは屈辱でしかない。

2006R6

R6はサーキットでR1よりも存在感を出せる、R1のインを差せるように開発されている一点突破ミドルスーパースポーツという事。

この2C0型はそんなR6のアイデンティティを本当によく現したモデルでした。

主要諸元
全長/幅/高 2040/700/1100mm
シート高 850mm
車軸距離 1380mm
車体重量 182kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 127ps/14500rpm
最高トルク 6.7kg-m/12000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー FT9B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR10EK
推奨オイル SAE10W30~20W40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.4L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前16|後45
チェーン サイズ525|リンク114
車体価格 1,050,000円(税別)
※プレスト価格
系譜図
1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S/1JS/2CX)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)

YZF-R6(5SL後期)-since 2005-

2005R6

熟成が図られた5SLの後期モデル

主な変更点はスロットルボディ(38mm→40mm)、エアファンネル(39.4mm→41.6mm)とそれぞれ大径化して2馬力アップ、剛性が見直されたデルタボックスフレーム、フロントタイヤを現代の主流である120/70に変更、倒立フォークとラジアルマウントキャリパー&マスターなどの足回り強化。

他にもアンダーカウル形状が変更されたりと、見た目はそれほど変わってないけど中身は結構大掛かりに変更されました。僅か一年しか売られなかったので知らない人も多いんじゃないかな。

あんまり見た目が変わっていない事へのテコ入れか、ロッシデザインのカラーとテルミニョーニマフラーとオマケにロッシのサイン入りタンクというロッシファンならたまらないモデルが世界限定500台(シリアルナンバー付き)で発売されました。

ロッシカラー

ロッシのゼッケンナンバーから取ってその名も「YZF-R46」

右側から見ると太陽をイメージした黄色ベースのカラーリング。

ロッシカラー

左側から見ると月をイメージした黒色ベースのカラーリング。

ロッシカラー

上から見ると・・・

ロッシカラー

綺麗に分かれてる。

実にロッシらしいデザインですね。

主要諸元
全長/幅/高 2045/690/1105mm
シート高 820mm
車軸距離 1385mm
車体重量 183kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 120ps/13000rpm
最高トルク 6.8kg-m/12000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー GT9B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EK/CR10EK
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.4L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前16|後48
チェーン サイズ532|リンク116
車体価格 990,000円(税別)
※プレスト価格
系譜図
1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S/1JS/2CX)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)

YZF-R6(5SL)-since 2003-

2003R6

「エキサイティングなベスト600ccスーパースポーツ」

大きく生まれ変わった三代目YZF-R6の5SL型。

開発目標は更なるコーナリング性能の向上とエキサイティングなエンジン性能の具現化。

そのためにまずエンジンを

・ダイレクトメッキシリンダー

・シリンダーの剛性アップ

・クランク圧のポンピングロスを減らすバイパス

・狭角ハイカム化

・負圧ピストン付きのFI

・二重管構造のチタンパイプ

・発電システムの薄型化

など約9割の部品を新設計というもはや完全新設計と言っていいほどの変更。

5SLのエンジン

いま改めて振り返ってみるとメッキシリンダーや二重管チタンなど現代でこそハイエンドモデルでは当たり前となっている技術の数々をミドルにも関わらずいち早く採用している本当に意欲的でバブリーなエンジン。

そのおかげか10年以上もベースエンジンとして第一線を張り続けただけでなく、突き抜けるような超高回転という官能性も非常に評価されていますね。

5SL

ちなみにそんなR6の官能的なエンジンに酔いしれている人は現行を含め多くおられると思いますが、最初に酔いしれたのは実は他ならぬ開発陣。

実験担当だった伊藤さんいわく、この新設計エンジンの試作機が完成し実験を開始したところ、どこまでも軽やかに突き抜けるどころか回せば回しただけ性能が出るもんだから興奮してアクセルを緩める事ができず、結局クランクを突き破るまで(コンロッドが折損するまで)回してしまい1基ダメにしてしまうというオチ。

2003R6

そんな事をやらかすほどだったからメーターには19000rpmまでしか刻まれていないんだけど

「本当はこんなもんじゃない」

とまで言う始末※CLUBMAN/No216より

それほどまでに凄いエンジンが出来たとチーム内では手応えを感じていたというわけです。

5SLカタログ写真

ただ5SLの凄い部分はまだあります。

それは
『CFアルミダイキャスト』
です。

ダイキャストというのは簡単にいうとドロドロの合金をコンマ何秒という速さで型に注入することで精密かつ複雑な成形を可能にする大量生産向きの鋳造の事。

しかしアルミは凄い速さで固まってしまう事と潤滑剤が発生させるガスや空気などの巻き込みで中に空洞(鋳巣)が出来てしまい強度が落ちてしまう問題があったため、薄かったり細かったりするものは造れないのが一般的だった。

そこでヤマハはこの問題を解決するためになんと自社でダイキャスト設備について研究開発し編み出したのがCFダイキャスト技術。

CFアルミダイキャスト

特殊なシールで真空度を上げると同時に注入速度を5倍に速め、ヒーターでアルミが途中で固まるのを防ぐ事でガスの混入率を1/5にまで低減することに成功。

それにより安定した強度を出せる様になった事で、これまで無理だった細い形状や薄い形状のダイキャストを可能にした・・・というのがヤマハのCFアルミダイキャスト。

5SLのフレーム

そして大事なのがその技術で初めて造られたのが他ならぬこのYZF-R6/5SL型のメインフレームとスイングアームという話。

つまり5SLというのはエンジンもシャーシも何もかも最先端の技術の塊のようなバイクだったんです。だからデザインも当初は変える予定はなかったものの大きく進化した事をアピールするために変更された背景がある。

カタログ

ちなみにこのモデルのイメージは空気を食らう怪物。虎をイメージされたとの事。

残念ながらこの頃のR6は日本ではあまり有名ではありませんが、レースがより身近にある欧州ではメディアなどを見る限り非常に高い評価で当時向こうではミドル一番人気だった模様。

だから欧州仕様にはイモビライザーが付いていました、これは欧州で盗難事故が増えてきてR6も人気があって狙われやすかったから。

R6盗難保険

この事で欧州の盗難保険会社はその後イモビ有りとイモビ無しで分け実質的な値上げ。フランスやオランダなどではイモビがついてないと盗難保険に入ること自体が不可になるほどの事態になりました。

そんな5SLですが最終年となる3年目の2005年にはマイナーチェンジがされています。

2005R6

・スロットルボディ(38mm→40mm)

・ エアファンネル(39.4mm→41.6mm)

・フレームの剛性バランスを見直し

・ホイールベースを5mm延長

・フロントタイヤ120/70ZR17に変更

・倒立フォークとラジアルマスターとキャリパー

などの変更点が加わりスペックは+3馬力と更に向上。

5SLの壁紙

ただこれは大人気だっていたからこそ可能だった欧州仕様のみの欧州スペシャルモデルみたいなもの。

更に向こうでは

・右半分が太陽をイメージした黄色

・左半分が月をイメージした黒色

というセンターで色分けされた独創的なカラーリングとテルミニョーニのスリップオンが付いたモデルも販売。

YZF-R46

ご存知ロッシのスペシャルカラーで本人のサインとシリアル付きで限定300台。

ロッシカラー

その名も『YZF-R46』

10年以上前なだけあってロッシが若い。

主要諸元
全長/幅/高 2025/690/1090mm
[2045/690/1105mm]
シート高 820mm
車軸距離 1380mm
[1385mm]
車体重量 182kg(装)
[183kg(装) ]
燃料消費率
燃料容量 17.0L
[17.5L]
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 117ps/13000rpm
[120ps/13000rpm]
最高トルク 6.78kg-m/12000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60ZR17(55W)
後180/55ZR17(73W)
[前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)]
バッテリー GT9B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EK/CR10EK
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.4L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前16|後48
チェーン サイズ532|リンク116
車体価格 980,000円(税別)
[990,000円(税別)]
※プレスト価格
※[]内は5SL後期(05年モデル)

系譜図

1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S/1JS/2CX)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)
系譜図
1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S/1JS/2CX)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)

YZF-R6(5MT)-since 2001-

2001R6

「RACE-READY」

二代目となるYZF-R6/5MT型。

デザイン面で目立つ変更点としてはテールランプがLEDに変更されたこと。

YZF-R6壁紙

スペックとしては1kg減に留まっているものの細部が大幅に見直されています。ここらへんも二代目YZF-R1/5JJに通ずる所ところがありますね。

ただR1と決定的に違うこととして生い立ちもそうなんですが最初から4バルブエンジンだった点があります。

コンパクトなエンジンにアルミデルタボックスフレームとGENESIS思想が色濃く出てるんだけどバルブだけは4バルブ。

YZF-R6フレーム

当時はヤマハが5バルブを推していた事もあり

「いつになったら5バルブになるんだ」

とか言われていたんですが、600ccという小排気量でもう一本バルブを追加する必要がある5バルブにするにはヘッドを大型化するしかなかった。

しかしそうするとコンパクト性が失われてしまう為に採用はしなかったという話。ただ今にして思えばそれで正解でしたね。

主要諸元
全長/幅/高 2025/690/1105mm
シート高 820mm
車軸距離 1380mm
車体重量 188kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 120ps/13000rpm
最高トルク 6.9kg-m/11500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60ZR17(55W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー FT9B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR10EK
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.5L
フィルター交換時2.7L
スプロケ 前16|後48
チェーン サイズ532|リンク116
車体価格
系譜図
1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S/1JS/2CX)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)

YZF-R6(5EB/5GV) -since 1999-

1999R6

「エキサイトメントあふれる走行性能」

スポーツに対する考えを180度方向転換したヤマハが造った初代YZF-R6こと5EB型。

日本では先に出ていた大排気量のYZF-R1が注目されましたが実は吹っ切れ度はYZF-R6の方が上と言っていいほど。

というのもこのYZF-R6はプロジェクトリーダーこそYZF-R1と同じ三輪さんだったんですが別々のチームで

「70%が楽しめるのがR1ならR6は100%だ」

と対抗心バチバチだったから。

2000YZF-R6

その言葉に嘘はなく当時クラストップとなる120馬力/13000rpmエンジンにアルミツインチューブフレームで車重も169kg(乾)ともはやレーサーそのもので、ラムエアシステムも兄より先に採用。

これからずっとそうなんですが、実は最先端装備をいち早く採用する傾向が強いのはR1よりR6だったりします。

2000YZF-R6

ちなみにデザインコンセプトは意外にも昆虫との事。

何故これほどまでに尖ったYZF-R6が登場したのかというと欧州で人気だった600ccレースが1999年から世界選手権に格上げされた事が背景にあります。

要するにスーパースポーツ競争の火蓋が切って落とされたわけで、その中でYZF-R6はその先陣を切った形のバイクなんです。

もちろん圧倒的な速さで市場はもちろんレースでも大人気で世界タイトルを三連覇するほどの大活躍でした。

しかし面白い話ですよね。

レースとは無縁な形で生まれて後にレースマシンとなったYZF-R1。

YZF-R1とYZF-R6

一方でレース人気の高まりにより生まれたのがYZF-R6。

同じ様に見えて生い立ちは全くの逆なんですから。

主要諸元
全長/幅/高 2025/690/1105mm
シート高 820mm
車軸距離 1380mm
車体重量 188kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 120ps/13000rpm
最高トルク 6.9kg-m/11500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60ZR17(55W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー FT9B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR10EK
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.5L
フィルター交換時2.7L
スプロケ 前16|後48
チェーン サイズ532|リンク116
車体価格
系譜図
1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S/1JS/2CX)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)

YZF600R ThunderCat(4WE) -since 1994-

4WE

「The POWER to SATISEY」

YZFというヤマハスーパースポーツの名前を冠しているだけあって、かなり攻撃的なスタイルになったYZF600Rサンダーキャット。

雷猫

デザインが先鋭的な物になっているものの、パワーユニットは基本的に一部の国で併売されていた先代と変わらずポジションもそこまで前傾がキツくないツアラー寄りなポジションに。

先のページでも話した通り、この頃になると欧米で600ccスポーツ熱が非常に高まっていて各地でレースも行われる様になっていたんですが・・・

サンダーキャット壁紙

そんな背景があるにも関わらず何故YZF600Rをカリカリにしなかったのかというと当時のヤマハはスポーツに対する考えが違ったから。

雷猫

YZF1000Rでも話したんですがヤマハは当時

「大型スポーツにはゆとりが必要」

と考えていてカリカリのスーパースポーツを造ることを良しとしてなかったんです。

これは日本の三ない運動はもちろん欧州でも70年代後半に同じ様に社会問題化した事が少なからずあったかと。ヤマハは欧州では人気メーカーですからね。

YZF600Rカタログ写真

だから速さを取りつつもゆとりのある性格やポジションのバイクを心がけていた。実際ディバージョンなんかはそれで大成功を収めていたわけですし。

そしてそれはミドルでも例外ではなく結果としてYZF600Rも速いんだけど楽なポジションのミドルスポーツという形になったというわけ。

そんなYZF600Rは一応日本でも販売されていました。

4WE

しかし覚えてる人はだれも居ないくらい・・・スーパースポーツブームが去った今

「楽なポジションのミドルYZFですよ」

って出したら結構人気が出ると思うんですけどね。時のうつろいとはよく言ったもんです。

サンダーキャット

ちなみに今ではお馴染みであるこのブルーストロボが初めて採用されたオンロードスポーツは実はこのYZF600R Thundercatだったりします。

ヤマハはこの後スポーツに対する考えをガラッと変えるわけですが、保守的な考えをしていたヤマハの最後のバイクが革新的な考えを代表するヤマハカラーを初めて纏ったバイクというのは何とも感慨深い。

主要諸元
全長/幅/高 2060/725/1190mm
シート高 805mm
車軸距離 1415mm
車体重量 212kg(装)
燃料消費率
燃料容量 19.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 100ps/11500rpm
最高トルク 6.7kg-m/9500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60ZR17(55W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー YTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
または
U27ESR-N
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.6L
フィルター交換時2.9L
スプロケ 前15|後47
チェーン サイズ530|リンク108
車体価格
系譜図
1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S/1JS/2CX)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)