VTR(BA-MC33前期) -since 1997-

MC33

「自由の価値。」

実質的にSPADAの後継となるV-Twin RoadsportsのVTR/MC33型。細かいですが『VTR』と言えばこの250ccモデル。

鳴かず飛ばずのゼルビスの反省を活かし小柄で軽量な車体。

初代VTR

これは

「常用域における良好な使い勝手と、気負わず走る楽しさ」

という事で40~60kmを重点に置いたから。

だから軽くスリムだから街中もスイスイ行ける取り回しの良さ。加えて低速からパワーのあるVツインだから街乗りでこのバイクの右に出る250は無いんじゃないかと。

VTR分布図VTRが出た頃というのはまだ250ccも直四が存続していました。

ただホンダ含め各社ともこぞって四気筒出すもんだから、四気筒が当たり前になり物珍しさやありがたみも無かった。そしてそんな蔓延していた四気筒特有の車重というか取り回しの重さにウンザリしている人たちも居た。

そんな中でVツインというボリュームで負けてしまう要素を逆手に取った250が出たんだから直四に飽きた人たちから歓迎された。

VTRカタログ写真

ボリューム負けを逆手に取っている事がよく現れているのが外見。

『パーツレスデザイン』

といって”一部品一機能”ではなく”一部品多機能”という削ぎ落とす事を第一としたコンセプト。

これのおかげでVTRはVTシリーズ最軽量となる乾燥重量139kgを達成し、大人気とまではいかなかったけど一定の人気を獲得する事になりました。

主要諸元
全長/幅/高 2040/720/1050mm
シート高 780mm
車軸距離 1410mm
車体重量 153kg(装)
燃料消費率 40.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 13L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 249cc
最高出力 32ps/10500rpm
最高トルク 2.4kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17(54H)
後140/70-17(66H)
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EH9(標準)/CR9EH9
または
U24FER9(標準)/U27FER9
推奨オイル ウルトラG1(10W-30)
オイル容量 全容量2.4L
交換時1.9L
フィルター交換時2.1L
スプロケ 前14|後41
チェーン サイズ520|リンク104
車体価格 429,000円(税別)
系譜図
VT250F1982年
VT250F
(MC08前期)
MC08後期1984年
VT250F/Z
(MC08後期)
MC151986年
VT250F/Z
(MC15)
MC201988年
VT250SPADA
(MC20)
MC251991年
XELVIS
(MC25)
BA-MC33前期1997年
VTR
(BA-MC33前期)
BA-MC33後期2002年
VTR
(BA-MC33後期)
JBK-MC33前期2009年
VTR
(JBK-MC33前期)
JBK-MC33後期2013年
VTR
(JBK-MC33後期)

XELVIS(MC25) -since 1991-

ゼルビス

「遊びに新しいレギュラー」

出る時代を間違えたVT二号のXELVIS/MC25型。

X=Extra(最高の)

EL=Elate(元気づける)

VIS=Visior(友)

から

『XELVIS:心を揺さぶる最高の友人』

と名付けられました。

スーパースポーツのVT250Fがダメで、ストリートスポーツのSPADAもダメだった・・・じゃあもうツアラーしか道はない。

XELVIS

となったのかは分かりませんが、ロングホイールベースの大型ボディにハーフカウル。

更に二人乗りも余裕な優しいポジションに、SPADAから給排気を絞って中低速に厚みを持たせツアラー色が強いモデルに。

ただ当時はレーサーレプリカかジャパニーズネイキッドしか受け付けてくれない流れだったから鳴かず飛ばず。

MC25

最近になってちょっと人気が出てきたのは時代に流されてしまった

「何の気兼ねも遠慮も要らない腐れ縁のような友」

というコンセプトが理解される様になったからでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2095/720/1160mm
シート高 770mm
車軸距離 1430mm
車体重量 172kg(装)
燃料消費率 40.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 249cc
最高出力 36ps/11500rpm
最高トルク 2.6kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80-17(57S)
後130/80-17(65S)
バッテリー FTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EH-9
推奨オイル ウルトラG1(10W-30)
オイル容量 全容量2.5L
交換時1.8L
フィルター交換時2.0L
スプロケ 前14|後43
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 489,000円(税別)
系譜図
VT250F1982年
VT250F
(MC08前期)
MC08後期1984年
VT250F/Z
(MC08後期)
MC151986年
VT250F/Z
(MC15)
MC201988年
VT250SPADA
(MC20)
MC251991年
XELVIS
(MC25)
BA-MC33前期1997年
VTR
(BA-MC33前期)
BA-MC33後期2002年
VTR
(BA-MC33後期)
JBK-MC33前期2009年
VTR
(JBK-MC33前期)
JBK-MC33後期2013年
VTR
(JBK-MC33後期)

VT250SPADA(MC20) -since 1988-

VT250スパーダ

「イタリアンVツインスポーツ」

出る時代を間違えてしまった可哀想なVTとして有名なVT250スパーダ。ちなみにSPADAはイタリア語で『剣』という意味。

VTZ250のエンジンをベースにインテーク/エキゾーストバルブの大径化とバルブタイミングを見直し、敢えて馬力を捨て(-3ps)中低速を強化。

そんなVT250SPADA最大の特徴が刻印までされているCASTECフレームです。

世界初となる一体成型アルミ鋳造フレーム。グラビティ鋳造と呼ばれるアルミホイールなどでよく使われる製法で、強度に優れるんだけど歩留まりが悪いっていう弱点がある。

そんな製法でメインフレームを造るなんて無謀とも言える話で、山中さんいわく量産の目処を立てるのが本当に大変だったそう。ただこの一体型キャステックフレームのおかげでスパーダは乾燥重量で140kgとかなり軽量。

spada

何故ここまで拘ったのかといえばスパーダのコンセプトが

「街乗りでも本当の意味での楽しめるバイクを作りたい」

というもので、そのためには軽さが何より大事だったから。

MC20

スーパースポーツを辞め、街中をVツインパルスを刻みつつキビキビ走って楽しめるロードスポーツに焦点を合わせたVツイン。

それがVT250SPADAというバイクでした・・・が、残念ながらそのコンセプトを理解してくれる人はあまり多くは居らず。。。

ちなみに宣伝に伝説のF1ドライバーであるアイルトン・セナを起用したのは有名ですが、実はこれには面白いエピソードがあります。

VT250SPADA

このSPADAをデザインされた小濱さんが、広報からSPADAをどう宣伝しようか尋ねられた際に

「イタリアン・カジュアルがテーマなんでセナがいいっすね!」

と冗談で言ったら広報が真に受けてしまい、しかも本当にその意見が通って急遽イタリアまでSPADAを抱えて飛ぶハメになったんだとか。

VT250SPADAカタログ写真

セナ起用に一番驚いたのは我々ではなくSPADAのデザイナーだったっていうオチ。

主要諸元
全長/幅/高 2010/715/1020mm
シート高 740mm
車軸距離 1380mm
車体重量 153kg(装)
燃料消費率 49.7km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 11L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 249cc
最高出力 40ps/12000rpm
最高トルク 2.6kg-m/9000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/80-17(52S)
後140/70-17(66S)
バッテリー FTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EH-9
推奨オイル ウルトラG1(10W-30)
オイル容量 全容量2.5L
交換時1.8L
フィルター交換時2.0L
スプロケ 前17|後54
チェーン サイズ428|リンク132
車体価格 498,000円(税別)
系譜図
VT250F1982年
VT250F
(MC08前期)
MC08後期1984年
VT250F/Z
(MC08後期)
MC151986年
VT250F/Z
(MC15)
MC201988年
VT250SPADA
(MC20)
MC251991年
XELVIS
(MC25)
BA-MC33前期1997年
VTR
(BA-MC33前期)
BA-MC33後期2002年
VTR
(BA-MC33後期)
JBK-MC33前期2009年
VTR
(JBK-MC33前期)
JBK-MC33後期2013年
VTR
(JBK-MC33後期)

VT250F/VTZ250(MC15) -since 1986-

MC15

「感性度アップの高性能」

また二年でモデルチェンジし、43psとなったVT250F/MC15型。

再びコンロッドやピストンを見直し&軽量化する事でフリクションロスを減らし出力が向上。

ちなみに開発段階ではCBR400Fの回転数応答型バルブ休止機構REVの搭載も検討されていたんだとか・・・そう、今もCB400でお馴染みVTECの前身です。

CBR400F REV

ただコストが上がるので250には向いていないとして見送りに。もしもこの時に採用されていたら今頃はVTR VTECに・・・ちょっと残念ですね。

話を戻すともう一つ大きく変わったのがフレーム。

従来のダブルクレードルフレームから完全新設計のツインチューブダイヤモンドフレームになりました。

MC15

これによって車重が-6kg、さらにホイールベースも-15mmとなり軽快さが大幅にアップ。更にマフラーも2to1の集合管に変更され中低速でのトルクも向上。

この他にもアルミキャストホイールなど留まる所を知らない改良でした・・・が、実はこの頃250市場が大変動を起こしていました。

いわゆる『直四250ブーム』です。

直4主義

今までは400以上だけだった四気筒の流れが250にも波及していた。

そしてホンダもそれに対抗するためにメカマックスことCBR250Fを発売。※上の写真はその後継になるCBR250RR

要するにユーザーの求める数字が馬力から気筒数に変わってしまった・・・こうなるとVツインはたとえ43馬力あろうが、たとえ取り回しがどれだけ優れていようが辛い。

VT250F/MC15は根強い人気こそあったものの引けを取る事は否めず。

VTZ250カタログ写真

取り回しという長所を活かすために一年遅れでネイキッド版VTZも出したんですが時代は確実に直四になっていた。

VTは方向性を改めざるを得ない状況になってしまったわけです。

主要諸元
全長/幅/高 2030/715/1140mm
[2035/715/1070mm]
シート高 745mm
車軸距離 1370mm
車体重量 161kg(装)
{159kg(装)}
燃料消費率 52.2km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 13L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 249cc
最高出力 43ps/12500rpm
最高トルク 2.5kg-m/10500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54S)
後120/80-17(61S)
[前100/80-17(52S)
後120/80-17(61S)]
バッテリー FB9-B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DP7EA-9/DP8EA-9(標準)/DP9EA-9
または
X22EP-U9/X24EP-U9(標準)/X27EP-U9
推奨オイル ウルトラ-U(10W-30)
オイル容量 全容量2.5L
交換時1.8L
フィルター交換時2.0L
スプロケ 前15|後45
[前14|後43]
チェーン サイズ520|リンク104
車体価格 479,000円(税別)
[429,000円(税別)]
※{}内はWディスク仕様
※[]内はVTZ250
系譜図
VT250F1982年
VT250F
(MC08前期)
MC08後期1984年
VT250F/Z
(MC08後期)
MC151986年
VT250F/Z
(MC15)
MC201988年
VT250SPADA
(MC20)
MC251991年
XELVIS
(MC25)
BA-MC33前期1997年
VTR
(BA-MC33前期)
BA-MC33後期2002年
VTR
(BA-MC33後期)
JBK-MC33前期2009年
VTR
(JBK-MC33前期)
JBK-MC33後期2013年
VTR
(JBK-MC33後期)

VT250F/Z(MC08後期) -since 1984-

MC08後期

「すべてが新しいプログレッシブ90度Vツイン」

僅か二年足らずでモデルチェンジされたVT250F/MC08後期モデル。

最大の特徴は2stスポーツブームを嘲笑うかのように、4stながら40馬力を叩き出した事。

これはピストンやコンロッドなどエンジン内部を再び全面維新し軽量化というバブリーな事も理由だけど、その中でも特筆すべきはハイ・イナーシャ・ポート(Hi Inertia Port)と呼ばれるもの。

Hi Inertia Port

これは吸気ポートの分岐ポイントをかなり手前(青くなっている部分)に持ってくるもので、こうすると吸気慣性が増すので弱い吸気でもグングン吸える様になる。

これで低回転域を補いつつ、思い切り上を伸ばすことが出来たという話。

いきなり5馬力も上がってデザインもエアロフォルムが更に強調された新しいものになったもんだから約36,000台と先代を超える大ヒットに。

VT250Z

これは遅れて登場したネイキッドモデルのVT250Zも投入。カウルを剥いてその分お値段も抑えられています。

更に累計10万台突破を記念してリミテッドモデルも限定発売。

VT250リミテッドモデル

ただ一つ補足しておくとVT250Fが大ヒットしたのは

「速くてカッコよかったから」

だけではないです。

VT250Fが大ヒットしたのはそれらに加え、下からトルクフルで広いパワーバンドという

「4ストローク×Vツイン特有の扱いやすさ」

に磨きを掛けたスポーツバイクだったからです。

ネイキッドモデルを出したのも、ハイ・イナーシャ・ポートで低域を切り捨てる事をしなかったのもそれが理由。

INTEGRA後期

スポーツ至上主義の人だけでなく、街乗りやツーリング層の人からも広い支持を得ることが出来たからVT250Fは大ヒットしたんです。

主要諸元
全長/幅/高 2015/730/1155mm
[2015/730/1050mm]
シート高 765mm
車軸距離 1385mm
車体重量 167kg(装)
[167kg(装)]
燃料消費率 45.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 248cc
最高出力 40ps/12500rpm
最高トルク 2.3kg-m/11000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54S)
後110/90-17(60S)
バッテリー FB9-B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DP7EA-9/DP8EA-9(標準)/DP9EA-9
または
X22EP-U9/X24EP-U9(標準)/X27EP-U9
推奨オイル ウルトラ-U(10W-30)
オイル容量 全容量2.5L
交換時1.9L
フィルター交換時2.0L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ520|リンク104
車体価格 449,000円(税別)
[429,000円(税別)]
※[]内はVT250Z
系譜図
VT250F1982年
VT250F
(MC08前期)
MC08後期1984年
VT250F/Z
(MC08後期)
MC151986年
VT250F/Z
(MC15)
MC201988年
VT250SPADA
(MC20)
MC251991年
XELVIS
(MC25)
BA-MC33前期1997年
VTR
(BA-MC33前期)
BA-MC33後期2002年
VTR
(BA-MC33後期)
JBK-MC33前期2009年
VTR
(JBK-MC33前期)
JBK-MC33後期2013年
VTR
(JBK-MC33後期)

VT250F(MC08前期) -since 1982-

MC08前期

「ザ・スーパーパフォーマンスVツイン」

長い歴史を誇るVTRの始祖であり、バイクブーム時代を象徴するホンダの名車でもあるVT250F/MC08前期型。

当時はRZ250の登場で

「クオータースポーツは2st」

という時代でした。

VT250F

そんな中で出してきたVT250Fだったんですが、市販車初となるフロント16インチホイール、プロリンクサスペンション、インボードディスクなどなどの装備。

そして何より35ps/11000rpmという2stに引けを取らないパワーと、当時としては非常に珍しかったビキニカウルエアロフォルムに赤いフレーム。

MC08前期

何もかもが斬新で、何もかもが凄かった事から爆発的な人気を呼び、30,000台を超える販売台数を記録。

これはもちろんトップセールス。

ちなみにこの頃はカウルが承認されていませんでした。じゃあVT250Fはどうしたのかというとビキニカウルでなくメーターバイザーとして通すというトンチの様な事をやってのけたわけ。

VT250Fインテグラ

ただこの後すぐにカウルが解禁されたことから翌年にはフルカウルバージョンのVT250F INTEGRAも発売。

VT250Fスケッチ

VT250Fは

「4stで2stに勝つ」

というNRの頃から持ち続けていたホンダの信念を体現したような名車でした。

主要諸元
全長/幅/高 2000/750/1175mm
[2000/750/1190mm]
シート高 780mm
車軸距離 1175mm
[1190mm]
車体重量 162kg(装)
[165kg(装)]
燃料消費率 45.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 248cc
最高出力 35ps/11000rpm
最高トルク 2.2kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54S)
後110/80-18(58S)
バッテリー FB9-B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DP7EA-9/DP8EA-9(標準)/DP9EA-9
または
X22EP-U9/X24EP-U9(標準)/X27EP-U9
推奨オイル ウルトラ-U(10W-30)
オイル容量 全容量2.5L
交換時1.9L
フィルター交換時2.0L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ520|リンク104
車体価格 399,000円(税別)
[450,000円(税別)]
※[]内はVT250INTEGRA
系譜図
VT250F1982年
VT250F
(MC08前期)
MC08後期1984年
VT250F/Z
(MC08後期)
MC151986年
VT250F/Z
(MC15)
MC201988年
VT250SPADA
(MC20)
MC251991年
XELVIS
(MC25)
BA-MC33前期1997年
VTR
(BA-MC33前期)
BA-MC33後期2002年
VTR
(BA-MC33後期)
JBK-MC33前期2009年
VTR
(JBK-MC33前期)
JBK-MC33後期2013年
VTR
(JBK-MC33後期)

REBEL250(MC49) -since 2017-

REBEL250

「EXPRESS YOURSELF」

21世紀に復活を遂げたREBEL250は北米のジェネレーションY世代を狙ったバイク・・・ジェネレーションYというのはネットの普及とともに成長してきた80~90年代生まれの世代のことだそう。

ジェネレーションY世代

日本でいえばゆとり世代と同じくらいでしょうか。世代に名称を付けて分けるのが好きなのは日本だけじゃないんですね。

話をREBELに戻すと、REBEL250(北米300)は500と(細部は違うものの)フレームを共有化し、CBR250RやCRF250そしてご先祖様と同じ名前を持つCB250Fにも使われているエンジンを積んだバイク。

ただし吸排気を低速を厚めに専用のチューニングしているのでエンジン型式がMC41EからMC49Eに変わってます。

REBEL300エンジン

このREBELを担当されたのは三倉さんという方で、系譜の外側で紹介したNM4-01/02も担当された方。その為かこのREBELは面白い事にNM4と同じ手法が取られています。

それはフロントフォーク角で「系譜の外側:NM4-01/02」を読んでもらえた人ならわかると思いますが、NM4と同様にフロントフォークをスラントさせている。

REBEL250

そっちで話したので割愛しますがこれはトレール量(直進安定性)のバランスを取るため。

フォークを前に突き出せばカッコいいけどハンドリングに影響が出る。REBELは250というエントリークラスだから初心者が乗っても違和感を覚えさせないハンドリングは絶対だったから”アメリカンなイメージを出しつつハンドリングはニュートラルに”というNM4と同じ狙いと手法を取ったというわけ。

ただREBELの初心者への配慮はもっと見えやすい部分にもあります。それは何処にもお金を掛けてるように見えない事。

REBEL250壁紙

これは車体価格を抑える意味があって実際50万(税別)を切る安さを誇ってる。

先代がそうだったようにREBELと名前を付けるからには若者に手の届く、若者に寄り添ったバイクじゃないとダメですからね。

ただ、先代と違って21世紀のREBELは更に一歩踏み込んだ狙いがある。

何処にもお金を掛けてるように見えない事のもう一つの理由は”先々のカスタムを考えて”です。

例えばミラーやウィンカーなどの灯火系周りは見るからに何処かで見たことある部品を取ってつけたようで正直ちょっと惜しいよね。

REBEL250前後

でもこれらの部分は弄り方を知らない初心者でも比較的簡単に変えられる(カスタムできる)部分。

だからケチってるんです。

アンバランスで細部の詰めが甘いのにデザインが破綻してるようには見えないのは

・アイコンである特徴的なタンク

・くびれたナローメインフレーム

・ファットワイドな足回り

REBEL250前後

という、初心者がカスタムしようと思っても難しい土台である主要部分はキッチリ仕上げてるから。

デザインコンセプトが「RAW(未加工)」である事を見てもこのREBELは

REBELラフデザイン

「お前の手で完成させろ」

というホンダらしくない初心者への甘くない優しさが隠されてるわけです。

【関連車種】

Shadow400の系譜DragStar400の系譜インクラ/ブルバ400の系譜DragStar250の系譜

主要諸元
全長/幅/高 2190/820/1090mm
シート高 690mm
車軸距離 1490mm
車体重量 168kg(装)
燃料消費率 34.1km/L
※WMTCモード値
燃料容量 11L
エンジン 水冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 26ps/9500rpm
最高トルク 2.2kg-m/7750rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前130/90-16(67H)
後150/80-16(71H)
バッテリー YTZ8V
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
SIMR8A9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.8L
交換時1.4L
フィルター交換時1.5L
スプロケ 前14|後36
チェーン サイズ520|リンク110
車体価格 498,000円(税別)
※ABS仕様は+2kg&47,000円
系譜図
CB2501968年
CB250シリーズ
(CB250)
MC041980年
CM250T
(MC04)
MC061981年
250T Master/LA Custom
(MC06/MC07)
MC131985年
REBEL
(MC13)
MC261991年
NIGHT HAWK250
(MC26)
MC492017年
REBEL250
(MC49)

NIGHT HAWK250(MC26) -since 1991-

ナイトホーク250

ホンダが付けたペットネームの中でも一二を争うほど普及しなかったのに諦めず復活となったホークシリーズのナイトホーク250。

REBELのエンジンとフレームを使い、キャスター角を立て、同じ年にデビューしたJADE同様にサイドカバーから一体となったシートカウルなどでネイキッドとクルーザーの間の子のような・・・というか先祖返りしたようなスタイリングに。

このバイクはNIGHTHAWK(アメリカヨタカ)という名前からも分かる通りアメリカ市場がメイン。

ナイトホーク250

向こうではそれまでCM200というバイクがあったんだけど、それの後釜として用意された。前後ドラムブレーキにスポークホイールという割り切った形をしています。

対して日本ではビジネスバイクだったCD250Uの後継的な扱い。

ナイトホーク250

ネイキッドブームが起こっていたのでネイキッド版レブルという狙いがあったものと思われます。

ただ日本向けのナイトホークは北米向けと違ってグリメカ製のキャストホイールを装備。

グリメカというメーカーはイタリアにあるホイールやキャリパーといった主に足回りの部品を作るメーカーで、フェラーリにも採用された事があるそう。

ナイトホーク250

一級品のホイールを履いているモダンな実用バイクと言っていいのか、実用性を兼ね備えるモダンネイキッドと言いのか分からない何とも不思議なネイキッド。

しかし残念ながらこれがホークシリーズ最後のモデルとなりました。

主要諸元
全長/幅/高 2090/755/1090mm
シート高 745mm
車軸距離 1425mm
車体重量 145kg(装)
燃料消費率 50.0m/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16L
エンジン 空冷4サイクルOHC二気筒
総排気量 233cc
最高出力 21ps/8500rpm
最高トルク 2.0kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前90/100-18(54S)
後120/90-16(63S)
バッテリー FTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR6HSA
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.6L
交換時1.4L
スプロケ 前14|後33
チェーン サイズ520|リンク104
車体価格 349,000円(税別)
系譜図
CB2501968年
CB250シリーズ
(CB250)
MC041980年
CM250T
(MC04)
MC061981年
250T Master/LA Custom
(MC06/MC07)
MC131985年
REBEL
(MC13)
MC261991年
NIGHT HAWK250
(MC26)
MC492017年
REBEL250
(MC49)

REBEL250(MC13) -since 1985-

初代レブル

“反逆者”という意味を持つREBEL(レブル)。

非常に簡単に言うと250T M&Cをベースに、フロントフォークを更に突き出し、ティアドロップタンクやボブテールなど各部を見直しアメリカンらしさを更に強調したモデル。

レブルSP

この頃といえばレーサーレプリカブーム真っ只中だったんですが皆が皆そういうレーサーに憧れを持っていたかというとそうでもなかった。

ツナギを着て峠を走るのではなく、街をカッコよくスマートに乗りたいと思ってる人たちも多く、またちょうどこの頃というのは『白バイ野郎ジョン&パンチ』というアメリカドラマの影響もあって

「街をカッコよく乗り回せるバイク=アメリカン」

という認識が広まってた。

初代レブルCatalog

そんな中で登場したこのレブルは本当にそれを実現させる為だけに生まれてきた様なバイクだったんです。

当然ながら人気も高くこのレブルがヒットしたことで250アメリカンも激しい競争が始まり、その熱は90年台半ばまで続きました。

MC13北米モデル

ちなみにアメリカなど一部の国ではこのREBEL(海外名:CMX250)は教習車(練習車)として非常に重宝された歴史もあったりします。

主要諸元
全長/幅/高 2115/815/1100mm
シート高 660mm
車軸距離 1460mm
車体重量 147kg(装)
燃料消費率 55.0m/L
※定地走行テスト値
燃料容量 10L
エンジン 空冷4サイクルOHC二気筒
総排気量 233cc
最高出力 21ps/8500rpm
最高トルク 2.0kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.00-18-4PR
後130/90-15(66P)
バッテリー FB9L-B
[FTX7L-BS]
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR6HSA
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.9L
交換時1.5L
スプロケ 前14|後33
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 339,000円(税別)
※[]内は90年モデル以降
系譜図
CB2501968年
CB250シリーズ
(CB250)
MC041980年
CM250T
(MC04)
MC061981年
250T Master/LA Custom
(MC06/MC07)
MC131985年
REBEL
(MC13)
MC261991年
NIGHT HAWK250
(MC26)
MC492017年
REBEL250
(MC49)

250T MASTER/LA CUSTOM(MC06/MC07) -since 1981-

250T

下を太らせたエンジンを新たに用意しCM250Tよりも更にコンパクトな車体に搭載した250T MASTERと、アルミホイールとディスクブレーキを採用した250T LAカスタム。

CM250Tとの併売モデルだったのですが、こちらはそれなりに売れました。

なぜなら、軽い(130kg)・安い(税別29万円)・優しい(シート高730mm)と三拍子揃ってたから。

LAカスタム

ちなみに安さの秘訣は400の共有化ではなく、翌年に発売される125と共有化したから。その為か排気量は233ccと若干寸足らずだったりします。

翌年の1981年にはノーマルタイプをベースにベルトドライブ化されたSD(SILENT-DRIVE)が追加。

250T SD

三拍子に加えメンテナンスフリーが加わり四拍子に。

スクーターのVマチックを除くとホンダとしては唯一のベルトドライブ車じゃないかなこれ。

主要諸元
全長/幅/高 2030/810/1130mm
[2030/810/1175mm]
シート高 730mm
車軸距離 1345mm
車体重量 141kg(装)
[143kg(装) ]
燃料消費率 58.0m/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12L
エンジン 空冷4サイクルOHC二気筒
総排気量 233cc
最高出力 21ps/8500rpm
最高トルク 2.0kg-m/4000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.25S18-4PR
後110/90-16(59S)
バッテリー FB9-B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
C7HSA
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.8L
交換時1.5L
スプロケ
チェーン サイズ520|リンク94
車体価格 290,000円(税別)
[311,000円(税別)]
※[]内はLAカスタム
系譜図
CB2501968年
CB250シリーズ
(CB250)
MC041980年
CM250T
(MC04)
MC061981年
250T Master/LA Custom
(MC06/MC07)
MC131985年
REBEL
(MC13)
MC261991年
NIGHT HAWK250
(MC26)
MC492017年
REBEL250
(MC49)