「MAXIMUM IMPROVE」
CB1000SFの後継にあたる二代目BIG-1ことSC40が出たのは6年後の1998年。
ナンバリングからも分かる通り排気量が1284ccにまで大幅アップ。これはCB1000SFの人気により端を発したビッグネイキッドブームでCBよりも排気量が大きいバイクばかりになったから。
どうしても退けを取ってしまうという声が大きくなり、またセールスも落ち込んできた事から新たに開発されたわけです。
ちなみに先代でも言った通り、まだ限定解除の時代で市場は大きくなかった事からエンジン開発費をCBだけでペイするのは難しいという事で同時開発され先に出たのが『X4/SC38』というバイク。
エンジンはこれがベースというか共有で、X4よりも上を伸ばす様に給排気を再設計。
他にも
・二本出しマフラー
・異径対向6ポットキャリパー
・前後17インチだけどリア190サイズ
などでビッグバイクらしさに更に磨きがかかったわけですが、SC40の特徴といったら何と言ってもこれ。
『ダブルプロリンク』
と呼ばれるホンダの市販車としては初のリアサスペンションです。
これの何が特徴的なのかという話なのですが、一般的な二本サスのネイキッドタイプに採用されるフレームとサスを直接結ぶスイングアーム方式ではリア(アクスル)が沈んだ分だけサスペンションも比例して沈むようになっています。
そのため浅い時は柔らかく、深い時は踏ん張れる様に二段バネ(ダブルレート)を使う様になっています。
しかしこれはバネの働きに全てを依存する形になるので、柔らかいレートのバネが縮みきって硬いレートのバネに差し掛かった時に挙動が変わってしまう。
そこでストロークをバネで調整するのではなくリンクを介しそもそものストローク量を調整しようというのがリンク式で、それをツインショックに応用したのがSC40のダブルプロリンク。
これのおかげでSC40は高性能と言われるリンク式モノサスと変わらぬプログレッシブな(浅い時は柔く、深い時はコシのある)動きをします。
リンク式だからスプリングもネイキッドなのにシングルレートっていう異様さ。
でも二本サスだからシート下には収納スペースがあるっていう。
「じゃあなんで他のネイキッドは採用しないのか」
という話なんですが、バネ下重量の増加やコストなどもあるでしょうが恐らく一番は見た目の問題かと。
こう言ってはアレだけどちょっと不格好なのが否めない。
ただSC40の場合は二本出しマフラーで上手く隠しているから気にならないんですが。
もしかしたらこの為に二本出しにしたのかもしれないですね。ちなみにこのプロリンクを推したのは原さん。
あとこれは原さんの証言ではないのですが、エンジンの冷却フィンも恐らくそう。
もともと原さんはCB1000SFにも冷却フィンを付けるつもりでした。
でも多数決を取ったらみんなフィン無しの方がカッコイイとしてフィンを設けられなかった背景があったんです。なのに二代目になってフィン有りに・・・どう考えても原さんが怪しい。
SC40はもうこれでもかって程の装備を奢ったため、車重も+13kgで装備重量で273kgになりました。
とはいうものの、実はSC40はその巨漢に似合わず先代よりとっても優しいBIG-1。
写真だとちょっと分かりにくいのですが、バックボーンフレームにしてポジションを少し起こしシート形状も見直した事でシート高-10mmという数値以上に足付きが改善。
これはユーザーからもうちょっと乗りやすくしてほしいという声が多かったから。
前後17インチにしたのもハンドリングを自然なものにするため・・・でもそのかわり190にサイズアップっていう譲歩しているんだかしてないんだか分からないBIGさ。
ただ乗りやすくなったのは事実で、その声に応えた事と大型二輪の免許制度改正が追い風となり、SC40は98-99年と二年連続で大型部門販売台数一位を記録。
更に最終年の2000年後半モデルでは
・SSと同じ4ポットブレーキ周り
・マフラーやホイールの肉薄化で5kg軽量化
・ハンドルを少し手前に
などが行われています。
物怖じしてしまう佇まいを持ちつつも、実はとっても優しいBIG-1でした。
主要諸元
全長/幅/高 | 2200/780/1165mm |
シート高 | 790mm |
車軸距離 | 1545mm |
車体重量 | 273kg(装) |
燃料消費率 | 21.6km/L ※定置走行テスト値 |
燃料容量 | 21L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC4バルブ並列4気筒 |
総排気量 | 1284cc |
最高出力 | 100ps/7500rpm |
最高トルク | 12.2kg-m/5000rpm |
変速機 | 常時噛合式5速リターン |
タイヤサイズ | 前130/70R17(62W) 後190/60R17(78W) |
バッテリー | YTX14-BS |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
DPR8EA9/DPR9EA9 X24EPR-U9/X27EPR-U9 |
推奨オイル | ウルトラU(10W-30) または ウルトラスーパー8(10W-40) |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量4.6L 交換時3.7L フィルター交換時3.9L |
スプロケ | 前18|後41 |
チェーン | サイズ530|リンク116 |
車体価格 | 940,000円(税別) |
タンクの形、テールカウルの形、2本出しのマフラー、デザイン、私はsc40とgk78a(rf400r)の2台がカッコいいと思います。