Daytona 675/SE/R後期 -since 2009-

デイトナ675後期

2009年にマイナーチェンジを施し3馬力アップ&3kg減と若干のパワーアップをしたデイトナ675後期。

後期といったほうがいいのか二代目と言ったほうがいいのか微妙なんですが、一応このサイトでは後期ということで扱わせてもらいます。

見た目の変更点としてはアッパーのエアインテークやウィンカーやヘッドライトの形状です。

向かって左が前期で右が後期。かなり厳つくなってますね。

デイトナ675新旧比較

更に翌2010年にメーター新調、2011年にスイングアームの小変更が加わってます。

初代で鮮烈デビューを果たしたデイトナ675はスーパーテストやマスターバイクと言った世界レベルでのプレス向け試乗会で尽く好成績を残し世界中で絶賛されました。
それは2009年にマイナーチェンジを受けたこのモデルに成っても変わらずで、四年連続スーパーバイク受賞という快挙を成し、「キング・オブ・スーパースポーツ・デイトナ675」とまで言われました。

そして2008年にはあまりの好評っぷりと売れ行きから「三気筒=675cc」という新しいレギュレーションが生まれました。
「三気筒=675cc」というレギュレーションはデイトナ675が作ったものなんです。

トライアンフBE1

元々の生い立ちが「速さより楽しさ」のバイクな為か現状世界レースではあまり良い成績を残せてないけど売上や評判にはそれほど影響しなかったみたい。

daytona675といえば性能や造形もそうですが数々の特別仕様も素敵ですね。

2011デイトナ675SE

2011年に出されたスペシャルカラーのSEはフレームとホイールをブルーに塗装しARROWSのマフラーを装着したモデル。

そしてデイトナ900スーパー3のオマージュモデルであるDaytona675Super3。

デイトナ675スーパー3

オマージュなので今回はコスワースのチューニングは施されていませんがクイックシフター等の専用装備が施されています。

そしてそして特別しようといえば何と言ってもコレでしょう。

デイトナ675R

デイトナ675R

前後オーリンズサスにブレンボ製フロントキャリパー、クイックシフターを装着したスペシャルモデル。
このモデルが出た時、実はとっても歓迎されました。
というのも先に話した世界レベルのインプレで「唯一の不満が有るとすればサスペンションが煮詰まってない」という声があったから。

純正でもKYBのフルアジャスタブルだから悪いわけじゃないんだけど、サーキット走行を生業としているプロに言わせると何かあるんでしょうね。まあ我々素人には無縁でもあります。

結局振り返ってみると前期も合わせると8年というSSとしては異例な長寿バイクだったんですね。

トライアンフ デイトナ675

しかし8年前のバイクとはとても思えない異彩を放つデザインと設計は流石ブリティッシュ。

エンジン:水冷4サイクルDOHC3気筒
排気量:675cc
最高出力:
128ps/12600rpm
最大トルク:
7.3kg-m/11750rpm
車両重量:162kg(乾)

系譜図
タイガーT100Rデイトナ

1967年
Tiger 100T/R Daytona

デイトナ1000

1990年
Daytona 750/1000

デイトナ900

1993年
Daytona 900/1200

デイトナT595

1997年
Daytona T595/955i

デイトナ600

2002年
Daytona 600

デイトナ650

2005年
Daytona 650

デイトナ675前期2006年
Daytona 675/SE(前期)
デイトナ675R後期

2009年
Daytona 675/SE/R(後期)

デイトナ675ABS

2014年
Daytona 675 ABS/R

Daytona 675/SE前期 -since 2006-

デイトナ675

「キング・オブ・スーパースポーツ」

CBR600RR、YZF-R6、GSX-R600、ZX-6R、国内四社が犇めき合うミドルSSというクラスに唐突に現れたデイトナ675。
前傾させた三角形軸のコンパクトエンジンやツインスパーフレーム等を見ると明らかに国産SSを参考にしたとしか思えないレイアウト。
ただメインフレームをパイプフレームっぽく見せてるのは上手いですね。(写真は後期です)

デイトナ675ネイキッド

ただ上記の国産600SSと決定的に違うのは、デイトナ675はあくまでも”公道でも楽しめるスーパースポーツ”という立ち位置。

開発コンセプトは

何よりもライディングを飽きさせないバイクを創り出すこと

その結果作られたのがトライアンフの十八番とも言える三気筒エンジンを積んだSS。
二気筒より高回転で四気筒よりトルクフル、そして三気筒ゆえのスリムさを持っている。それらは全てレースを視野から外したから出来たこと。
その証拠にデイトナ675が出た2006年当時のロードレースに三気筒のレギュレーションなんて有りませんでした。

トライアンフもこのデイトナ675について、レギュレーションを無視している事を「殻を破った数少ないバイク」と例えてアピール。

結論を言うと、その卓越したハンドリングと他にない三気筒SSという独自性から世界中から大絶賛されました。

daytona675SE

写真のデイトナは特別カラーのSE仕様。
人気だったこともあり後にスタンダードカラーに仲間入りとなりました。黒ボディに金ホイールが定番なのは日本に限った話じゃないんだね。

ただ勘違いされると困るので言っておきますが、公道向けと言っても街乗りとかじゃないですよ。当たり前ですがSSなので峠とか走行とかのタイムや順位を競わないスポーツ走行での話。

daytona675パンフレット

四気筒キラーという名がピッタリなスーパースポーツ。

エンジン:水冷4サイクルDOHC3気筒
排気量:675cc
最高出力:
125ps/12600rpm
最大トルク:
7.3kg-m/11750rpm
車両重量:165kg(乾)

系譜図
タイガーT100Rデイトナ

1967年
Tiger 100T/R Daytona

デイトナ1000

1990年
Daytona 750/1000

デイトナ900

1993年
Daytona 900/1200

デイトナT595

1997年
Daytona T595/955i

デイトナ600

2002年
Daytona 600

デイトナ650

2005年
Daytona 650

デイトナ675前期2006年
Daytona 675/SE(前期)
デイトナ675R後期

2009年
Daytona 675/SE/R(後期)

デイトナ675ABS

2014年
Daytona 675 ABS/R

Daytona 600 -since 2005-

デイトナ650

更に二年後にはロングストローク化がされ650となりました。

でも直四で650ccってレースのレギュレーションに合ってませんよね?
直四ミドルSSは600までです。

6Rの様に600との併売かと思いきやそうじゃない・・・一体なぜ650にしたのか?

実は先代のデイトナ600はイギリス国内のレースでは活躍したものの、世界レースでは日本メーカーの600SS勢にコテンパンにされてしまった。

そこでトライアンフは方向転換をしたんです。

「速さが全てのレースに重点を置かず、公道で楽しめるスーパースポーツにしよう。速さだけを追い求めるのはノンセンス。」

そしてその結果ロングストローク化によりレースに出場することが出来なくなった反面、乗りやすさが増しました。

この転機が後に675という名車が生まれるんですね。

daytona650

いやはやしかしコレはコレで見れば見るほど癖になるデザインだな。

エンジン:水冷4サイクルDOHC4気筒
排気量:646cc
最高出力:
112ps/12500rpm
最大トルク:
6.9kg-m/11500rpm
車両重量:165kg(乾)

系譜図
タイガーT100Rデイトナ

1967年
Tiger 100T/R Daytona

デイトナ1000

1990年
Daytona 750/1000

デイトナ900

1993年
Daytona 900/1200

デイトナT595

1997年
Daytona T595/955i

デイトナ600

2002年
Daytona 600

デイトナ650

2005年
Daytona 650

デイトナ675前期2006年
Daytona 675/SE(前期)
デイトナ675R後期

2009年
Daytona 675/SE/R(後期)

デイトナ675ABS

2014年
Daytona 675 ABS/R

Daytona 600 -since 2002-

デイトナ600

良くも悪くも凄く印象に残る顔をしているデイトナ600は見た目も立派にSSですが実は直四なんです。

955iやボンネビルのセールスが順調で軌道に乗り始めていたトライアンフだったんですが、このモデルが出る半年ほど前の2002年3月にイギリス史に残る程のとんでもない事をやらかしました。

イギリス史上最大とも言われる大火事を起こしたんです。

トライアンフ工場炎上
トライアンフ火事

もったいないですね・・・管理能力の甘さもあるんでしょうが、ここまで来るともうトライアンフは呪われてるんじゃないかと。

でもそこはトライアンフ。

世界大戦の空襲で工場が爆撃されようとも、アメリカ&ハーレーに関税で虐められようとも、何とかめげずに生き延びてきた歴史があります。

火事でボロボロになった工場も「これは良い機会だ」と思ったのかは分かりませんが、大幅に改築をしました。

トライアンフ新工場

ピカピカですね。

不幸中の幸いだったのは設計等を担当する開発部は無事だったため、半年でこの工場を立ててすぐに再生産を開始し、デイトナ600を出せたんですね。

デイトナ600はトライアンフ初の直四ミドルSSだったにも関わらず、マン島TTを筆頭としたイギリス国内のレースで優勝するなどの大活躍でした。

エンジン:水冷4サイクルDOHC4気筒
排気量:600cc
最高出力:
112ps/12750rpm
最大トルク:
6..8kg-m/11000rpm
車両重量:165kg(乾)

系譜図
タイガーT100Rデイトナ

1967年
Tiger 100T/R Daytona

デイトナ1000

1990年
Daytona 750/1000

デイトナ900

1993年
Daytona 900/1200

デイトナT595

1997年
Daytona T595/955i

デイトナ600

2002年
Daytona 600

デイトナ650

2005年
Daytona 650

デイトナ675前期2006年
Daytona 675/SE(前期)
デイトナ675R後期

2009年
Daytona 675/SE/R(後期)

デイトナ675ABS

2014年
Daytona 675 ABS/R

Daytona T595/955i -since 1997-

daytona T595

さてカワサキの技術提供もありノウハウを吸収したトライアンフが蓄積した自分達のノウハウで設計し作り上げたスーパースポーツがこのT595と955i

アルミフレームや片持ちスイングアーム等、トライアンフ初となる技術が詰め込まれている。

750&1000→900&1200→595&955?何で急にスケールダウン?

と思うことでしょう。

でも実はT595は595ccではなく955ccも排気量があります。

じゃあ955iはというと955ccです。

「・・・うん?」

ですよね。

最初はT595として売っていたんですよ。でも消費者であるライダー達から

「955ccなのにT595とか紛らわしいぞー!」

って声が相次いだことで955iに改名されたんです。だからT595も955iも同じバイク。

daytona955i中期

上が955i前期モデルで下が後期モデル。

daytona955i後期

つまり最初期がT595でその後955iに改名され、2002年と2005年にマイナーチェンジ。

実は675が登場する2006年までトップモデルとして生産されました。

エンジン:水冷4サイクルDOHC3気筒
排気量:955cc
最高出力:
130[149]ps/10700rpm
最大トルク:
9.1[10.2]kg-m/8200rpm
車両重量:192[191]kg(乾)
※[]内は955i後期モデル

系譜図
タイガーT100Rデイトナ

1967年
Tiger 100T/R Daytona

デイトナ1000

1990年
Daytona 750/1000

デイトナ900

1993年
Daytona 900/1200

デイトナT595

1997年
Daytona T595/955i

デイトナ600

2002年
Daytona 600

デイトナ650

2005年
Daytona 650

デイトナ675前期2006年
Daytona 675/SE(前期)
デイトナ675R後期

2009年
Daytona 675/SE/R(後期)

デイトナ675ABS

2014年
Daytona 675 ABS/R

Daytona 900/1200 SuperⅢ -since 1993-

デイトナ900

二年後さらに排気量を上げスポーツ性を増した900と1200になったデイトナ。

スペックを見ると当時一世を風靡していたZZR1100と同等の物があるけど実測ではちょっと違ったみたい。

このモデルで特筆すべきは「スーパー3」と呼ばれる限定仕様のモデルでしょう。

デイトナ900スーパー3

見た目の違いはブラックアウトされたマフラーとカーボンフェンダー、そして同じくブラックのラインが入ったテールカウルにSUPER3というロゴが入ったことくらい。でも中身は別物。

あの有名なF1エンジンビルダーのコスワースが手を加えたチューニングマシンで113馬力を叩き出すエンジンになっている。

限定500台でその内、日本に入ってきているのは僅か20台足らずだったとか。

トライアンフすら中々見ないのにこんな超限定車を見る機会は先ず無いでしょうね。

エンジン:水冷4サイクルDOHC3[4]気筒
排気量:885[1180]cc
最高出力:
113[149]ps/9500rpm
最大トルク:
8.3[11.7]kg-m/8000rpm
車両重量:211[228]kg(乾)
※[]内は1200

系譜図
タイガーT100Rデイトナ

1967年
Tiger 100T/R Daytona

デイトナ1000

1990年
Daytona 750/1000

デイトナ900

1993年
Daytona 900/1200

デイトナT595

1997年
Daytona T595/955i

デイトナ600

2002年
Daytona 600

デイトナ650

2005年
Daytona 650

デイトナ675前期2006年
Daytona 675/SE(前期)
デイトナ675R後期

2009年
Daytona 675/SE/R(後期)

デイトナ675ABS

2014年
Daytona 675 ABS/R

Daytona 750/1000 -since 1990-

デイトナ750

次にトライアンフがデイトナと名の付いたバイクを出したのは何と20年以上も経った後だった。

コレには勿論ワケがある。

70年代に入るとそれまで小排気量だけだった日本メーカーが大型バイクに進出し始めた。

すると大型バイクといえばトライアンフかハーレーだった情勢も大きく変わり、「安い」「速い」「壊れない」と三拍子揃った和製大型バイクにどんどんシェアを奪われた。
レースでも結果を残せず、アメリカにおいてもハーレー救済策として高い関税が敷かれるという不運が重なり経営危機を迎え遂に破綻しました。

しかし実業家がそんなトライアンフを拾い上げ「ボンネビルコヴェントリー」と社名を改め再起・・・でもトライアンフの方が知名度も歴史もあると言うことで結局すぐに社名もトライアンフに戻りました。

デイトナ1000フォア

そしてそんな再起をかけ作った車種の一つがこの「デイトナ750トリプル」と「デイトナ1000フォア」です。

デイトナの名を復活させるだけありトライアンフとしては初となるフルカウルスポーツになります。
750は三気筒で1000は四気筒。

勘の良い方はこの750や1000の造り見て何か違和感を覚えると思います。

というのもこのデイトナ750と1000はカワサキの技術提供を受けて作られたバイクなんです。

トライアンフプラットフォーム

サイドカムチェーンのエンジンやダイヤモンドモノコックフレーム、チェーンアジャスターなんてカワサキお得意のエキセン式そのままですね。

この頃のトライアンフはこのカワサキの助力で作ったプラットフォームでほぼ全車種を作っていました。徹底的な部品の共有化「モジュラーコンセプト」というやつです。

歴史を見ると分かりますが、トライアンフは世界大戦の前から目黒製作所(詳しくはWの系譜へ)という日本の大型バイクメーカーと繋がりを持ってたから、カワサキに目黒製作所が吸収合併された後もパイプが残っていたんでしょうね。

エンジン:水冷4サイクルDOHC3[4]気筒
排気量:749[998]cc
最高出力:
97[120]ps/8750[10500]rpm
最大トルク:
6.7[9.0]kg-m/8500rpm
車両重量:218[235]kg(乾)
※[]内は1000

系譜図
タイガーT100Rデイトナ

1967年
Tiger 100T/R Daytona

デイトナ1000

1990年
Daytona 750/1000

デイトナ900

1993年
Daytona 900/1200

デイトナT595

1997年
Daytona T595/955i

デイトナ600

2002年
Daytona 600

デイトナ650

2005年
Daytona 650

デイトナ675前期2006年
Daytona 675/SE(前期)
デイトナ675R後期

2009年
Daytona 675/SE/R(後期)

デイトナ675ABS

2014年
Daytona 675 ABS/R

Tiger T100R Daytona -since 1967-

タイガーT100Rデイトナ

トライアンフが最初に「Daytona(デイトナ)」と名を付けたバイクがこのタイガーT100R Daytona

そもそも「デイトナ」って何?って思う人も多いと思うので補足から入らせてもらいます。

デイトナという名はトライアンフという老舗バイクメーカー(現存するメーカーとしては最古)が作ったスーパースポーツバイクの読み名です。

名前の由来はアメリカにあるバイク聖地と呼ばれるフロリダ州デイトナから。
何故デイトナがバイク聖地と呼ばれるのかというと、毎年3月の第二週になるとデイトナビーチにバイカー大集合という世界最大級のバイクイベントがあるからです。

デイトナバイクウィーク

毎年ハーレーを筆頭に三万人以上ものバイカーが集合し一週間に渡り占拠して品評会に始まり飲めや食えやのお祭り騒ぎ。
デイトナといえば皆さんご存知の大手バイク用品メーカーのデイトナも同じ名前ですね。このメーカーの名前の由来も同じこのデイトナから取っています。

ただトライアンフのT100Rはもう一つ由来(というかコッチが主な由来)がある。それはここで行われる「世界三大耐久レース」の一つデイトナ200マイルレースです。

というのもこのタイガーT100は1966~67年と二年続けてトライアンフを優勝に導いた記念に作られたマシンのレプリカモデルなんです。

これがトライアンフデイトナの始まりなんですね。

DaytonaT100R

今でこそトライアンフでタイガーと言えばデュアルパーパスクラスを指しますが、最初はスポーツバイクだったんです。更に辿るとタイガーは単気筒がスタートです。

そしてトライアンフはこの勢いそのままにボンネビルを出し、ハーレー独占状態だったアメリカ市場にて初めて成功したバイクメーカーでもあったりします。

エンジン:空冷4サイクルOHV2気筒
排気量:490cc
最高出力:
42ps/7400rpm
最大トルク:
不明
車両重量:不明

系譜図
タイガーT100Rデイトナ

1967年
Tiger 100T/R Daytona

デイトナ1000

1990年
Daytona 750/1000

デイトナ900

1993年
Daytona 900/1200

デイトナT595

1997年
Daytona T595/955i

デイトナ600

2002年
Daytona 600

デイトナ650

2005年
Daytona 650

デイトナ675前期2006年
Daytona 675/SE(前期)
デイトナ675R後期

2009年
Daytona 675/SE/R(後期)

デイトナ675ABS

2014年
Daytona 675 ABS/R

V7クラシック/V7-2/V9シリーズ -since 2008-

V7クラシック

2007年のモーターショーで発表され大きく話題となったV7クラシック。

名前、そして見た目からも分かる通りリバイバルプロジェクトとしてVシリーズの始まりであり名車として今も語り継がれるV7を40年ぶり復活させたわけです・・・っていうと多分コアなグッツィスタの人からツッコミが入りそうなので説明しておきます。

モトグッツィは大きく分けて二種類の系譜があります。少し掘り下げてお話しましょう。

一つはこのMOTO GUZZIの系譜で紹介して来たV7やルマンなどモトグッツィの栄光時代を作っていたバイクたち。これらのバイクはビッグブロックツインの系譜。

ビッグブロックエンジン

その名の通りデカいエンジンが特徴的で発端となった軍や警察に採用されたエンジンが源流です。

そしてもう一つはスモールブロックツインの系譜。これは1977年に出たV35/V50が原点。

V50

大排気量車に対してイタリアが増税を決めたことや、アメリカが高い関税を敷いたことが発端。

V35/50に始まり数々のモデルチェンジを繰り返し、2003年にはブレヴァプロジェクトとして大きく進化した最初からオートバイ専用エンジンとして作られている優秀なエンジンです。

ブレヴァ750

そしてツッコまれると言ったのはこのV7クラシックやV7-2、更には2015年に発売されたV9に積まれているエンジンはビッグブロックだった初代V7シリーズとは違い、ブレヴァプロジェクトによって作られたスモールブロックの方を積んでいるから。

つまり現存するV7はV7というよりはV70とか言ったほうが正しいし、遡らないといけないんだけど、ソッチの系譜まで書く体力ありませんでしたスイマセン。

でも(言い訳をするワケじゃないけど)見た目も味もちゃんとV7らしく仕上げてきたから市場では非常に好評だった。

V7C

2010年頃から欧州でオールドネイキッド(カスタム)ブームが起こっているけど、その火付け役となったのは紛れも無くV7クラシックによるもの。そしてその人気に後押しされるかのように出たのが2011年のV7-2、そしてイケイケな状態から出てきたのが2015年のV9というわけです。ちなみにV7-2は2013年には改良が入っています。

もう一つ断っておかないといけない事があった。それはモトグッツィのクルーザーモデルであるカリフォルニアというバイク。

2016カリフォルニア1400

冒頭でサラッと紹介したっきりで終わってたんだけど、実はVシリーズ以上に会社を助けてきたロングセラー車なんです。この系譜では時代と共に変化していくVシリーズを書きましたが、モトグッツィと言えばカリフォルニアだと考えてる人は珍しくありません。

1972年からずーっと売ってますからね。わざわざ日本でも買える様に向こうから引っ張ってるのには理由があるんです。

もしかしたらモトグッツィといえばV7やV9、California1400しかないと思ってるかもしれないけど本国ではもっと色んなバイクが売ってます。

ラインナップ

・・・なんか自分でも驚くほどモデル紹介になってないですね。グダグダになってしまって申し訳ないです。モデル毎の詳細は自分で調べてください(放棄)

最後にモトグッツィのまとめ

恐らく多くの人がモトグッツィのバイクを見たら

「V2エンジンが縦に積まれてる変なバイク」

という認識でしょう。

試しに雑誌なんかではどう書いているのか見てみたら

「トラクションからエンジンバルブまで全てが感じ取れるバイク」

とか書かれていました・・・そんなこと言われて分かる人なんて居ない。

V9ガレージ

だからといって

「左右に働くトルクリアクションの無い自然なハンドリング」

とか言っても一体それの何が魅力なのかと思うし伝わらないでしょう。

モトグッツィの魅力を一言で言い表すなら・・・そうですね。

V7-2_V9

・・・V2エンジンが縦に積まれてる特異なバイク。。。

系譜図
モトグッチ

1921年
MOTO GUZZIというメーカーについて

初代V7

1966年~
V7 series

ル・マン

1976年~
Le Mans series

デイトナ1000

1992年~
DAYTONA1000

V11

2001年~
V11 series

V7レーサー

2015年~
V7-2/V9 series

V11シリーズ -since 1999-

V11

人気を博した1100Sの後継モデルとして登場したのがV11シリーズ。

先代1100Sの流線的なカウルをまとったデザインは何処にいったのかと言いたくなる変貌となりました。

フレームこそ1100スポルトがベースだけど、エンジン・ミッションは新設計で若干コンパクトになりました。そのおかげでそれまでの大きく重厚だったイメージから軽快なイメージへと変貌。

さて、話が続かないので脱線しますが・・・

モトグッツィのバイクは今まで製造されてきたバイクの中でも非常に特異というか特徴のあるバイク。その理由は皆さんも見て分かる通りV型エンジンが縦に積まれている事にあります。

V11エンジン

エンジンが縦に積まれると一体どういう違いが生まれるのかというと横に比べて左右に対するジャイロ効果が小さくなります。

ジャイロ効果というのは

「自動回転する物体が姿勢を乱されにくくなる現象」

回ってるコマ(今はベイブレードというんだろうか)を横から突っついたりぶつけ合っても倒れずに真っ直ぐに戻ろうとしますよね。アレがジャイロ効果。

中国駒(ディアボロ)の方が分かりやすいか。

ジャイロ効果

回し続けるかぎり落ちないのは正にジャイロ効果によるもの。回転速度が上がれば上がるほど安定します。プロがやってるのを見ると分かりますが、色んな動きをしつつも駒の回転は止めずにもの凄い速さで回してます。

そしてこれはバイクでも働いてる。その部分は主にホイール。

ホイールジャイロ

そしてもう一つがクランクシャフト。

クランクシャフトジャイロ

ジャイロ効果は重ければ重いほど、直径が大きければ大きいほど、また回転が速ければ速いほど力が強くなります。因果なものでホイールとクランクというのはバイクの部品の中でもかなり重い部分。

直四のコーナリング中を想像すると分かりやすいと思います。

バンクとジャイロ

バイクにとって曲がるという事はバンク(傾ける)ということなので

「車体が傾く=クランクシャフトも傾く」

という構図になるわけなんですが、この状態でアクセルを開けるという事は”クランクシャフトに強い回転力を与える”という事になるわけです。

そうするとジャイロ効果が増すのでバイクが起きようとする。アクセルを開けるとマシンが起きるというのはこういう原理から。

ジャイロとコーナリング

「バイクはコーナリング時が苦手」

といわれるのもこういった理由があるからです。まあ事はそう単純ではないんですがバイクは真っ直ぐ・・・そんな事よりモトグッツィの話しろって話ですが、勘の良い方は言いたいことがもう分かると思います。

コッパイタリア

モトグッツィはV型を縦に積んでるわけです。縦に積んでいるという事はクランクも縦。つまり寝かせようが直進しようがクランクの横方向のジャイロ効果が働かない。

これはBMWの水平対向もそうですが、モトグッツィの場合は更にOHV空冷Vツインが相まってが非常に独特な乗り味を出してるというわけ。MotoGPの車両が逆クランク(クランクが逆回転)なのもホイールのジャイロを少しでも減らすため。

このジャイロ効果が弱いと

“クセがある”という人もいれば”自然体に限りなく近い”という人もいる。

モトグッツィの魅力といえば洗練されたデザインばかりが取り沙汰されるけど、実はこういった乗り味に魅了されている人が多いんです。

系譜図
モトグッチ

1921年
MOTO GUZZIというメーカーについて

初代V7

1966年~
V7 series

ル・マン

1976年~
Le Mans series

デイトナ1000

1992年~
DAYTONA1000

V11

2001年~
V11 series

V7レーサー

2015年~
V7-2/V9 series