S2/S2T Thunderbolt -since 1994-

S2サンダーボルト

このモデルくらいからは覚えてる人も多いかもしれないS2Thunderbolt。

サンダーボルトというのはフラッグシップを表す意味なんですが、それよりも大事なのはそれまでレースやスポーツにあまり重きを置いていなかったハーレーが考えを改め、ビューエルの株の49%を取得(実質子会社化)する契約を結んだこと。

S1/S2カタログ写真

このお陰でそれまでハンドメイドで300万円近かった車体価格が2/3程度にまで抑えられ、日本のハーレーディーラーから発売される様になりました。要するにBuellのメジャーデビューですね。

エンジンはスポーツスター1200の物を専用設計のパイプフレームに搭載したもの。駆動がベルトドライブに変更されているのが特徴ですが、これもいわゆるバネ下重量の軽減というエリックがずっと拘っている事を成すため。

S2Tサンダーボルト

日本に入ってきたのは正確にはS2にパニアケースやレッグシールドを装着したS2T Thunderboltというモデルで、1996年から。

ステップやハンドルの位置も変更されたハイスピードツアラーです。

エンジン:空冷4サイクルOHV二気筒
排気量:1203cc
最高出力:
76ps/5200rpm
最大トルク:
10.5kg-m/5200rpm
車両重量:223kg(乾)
※スペックはS2T

系譜図
エリックビューエル 創業者
Erik Buell
RR1000/1200 1986年
RR1000/1200
RS1200 1989年
RS1200
S2 1994年
S2 Thunderbolt
S1 1996年
S1 Lightning
S3 1996年
S3/T Thunderbolt
M2 1997年
M2 Cyclone
X1 1999年
X1 Lightning
BLAST 2000年
Blast
XB9シリーズ 2003年
XB9R Firerbolt
XB9S Lightning
XB12シリーズ 2004年
XB12R Firerbolt
XB12S Lightning
XB12X ULYSSES
1125シリーズ 2007年
1125R
1125CR
1125シリーズ 2011年
1190RS
1190シリーズ 2015年
1190SX
1190RX

RS1200 -since 1989-

RS1200

先代RR1000/1200が元々レースマシンで実用性に乏しかった事から、公道向け作られたビューエルの二作目RS1200WEST WIND。

RR1200と同じエンジンを積んでいるものの、快適性を考え熱対策はもちろんポジションも優しく改良。

最大の特徴はリトラクタブル式になっているタンデムシートカウル。ヒンジが付いていてパカっと開き背もたれになる。

RS1200WW

なんでこんな機能を付けたのかというと、昔エリックが彼女を後ろに乗せて走っていた際にウィリーをしたところ、彼女が後ろに転げ落ちた事があったからだとか・・・。

後からシングルシート仕様の上位モデルRSS1200も追加されました。

RSS1200WW

ちなみにハーレーのエンジンということで90年にXLH1200が五速に変更されると、RS1200も合わせて五速のRS1200/5に変更。

エンジン:空冷4サイクルOHV二気筒
排気量:998cc
最高出力:
74ps/6500rpm
最大トルク:
9.9kg-m/4500rpm
車両重量:195kg(乾)

系譜図
エリックビューエル 創業者
Erik Buell
RR1000/1200 1986年
RR1000/1200
RS1200 1989年
RS1200
S2 1994年
S2 Thunderbolt
S1 1996年
S1 Lightning
S3 1996年
S3/T Thunderbolt
M2 1997年
M2 Cyclone
X1 1999年
X1 Lightning
BLAST 2000年
Blast
XB9シリーズ 2003年
XB9R Firerbolt
XB9S Lightning
XB12シリーズ 2004年
XB12R Firerbolt
XB12S Lightning
XB12X ULYSSES
1125シリーズ 2007年
1125R
1125CR
1125シリーズ 2011年
1190RS
1190シリーズ 2015年
1190SX
1190RX

RR1000/1200 -since 1987-

RR1000

ビューエルが一番最初に出した市販車がこのRR1000BATTLE TWIN。

皆が思うビューエルのイメージからは大きく掛け離れていると思います。

先に作ったRW750と同様にクロモリ鋼管のトラスフレームという一部のスーパーバイクにしか使われていない贅沢フレームにハーレーのスポーツスターOHVエンジン(XL1000)を積んだマシン。

内部

Buellに詳しい方なら分かると思いますが、恐ろしい事に既に中身はBuellの形が出来上がっている。

しかしこのバイクが誕生したのは実は運が良かった面があります。

というのも当時ハーレーダビッドソンはレースに対し非常に消極的でした。これはCEOだったヴォーン・ビールス氏がアメリカ伝統のサーキット場であるラグナセカのイベントに出席した際に、ハーレー乗りをほとんど見かけなかった事がキッカケ。

RR1000バトルウィン

レースは売上に繋がらないと判断したわけです。この人も元々はエンジニアなんですけどね。

だからAMA(アメリカのレース)の中でも人気だった二気筒レースBOT(バトル・オブ・ツイン)ではドゥカティやビモータが幅を効かせていたんだけど、その事が我慢ならなかったハーレーのオーナーズクラブが身銭を切ることで会社のワークス参戦を後押し。

RR1000バトルウィン

「Lucifer’s Hammer (ルシファーズ ハンマー)」

XR750エンジンをベースに1000ccまで排気量を上げたモデル。84~85年と勝利を収めたアメリカでは伝説のツインレーサーです。

ちなみに漫画:特攻の拓で

『Lucifer’s Hammer (悪魔の鉄槌)』

として名前が取り上げられた事から名前は知っている人も多いかもしれませんが、実はそう単純な意味では無かったりします。

この名前には

「レースなんて道楽に金を使ってるとカミさんから怒られるぞ」

という皮肉、つまり

『悪魔の鉄槌(カミさんの鉄拳)』

という揶揄が込められてる。アメリカならではのユニークさですね。

そんなルシファーズハンマーなんですが、86年は戦闘力不足でドゥカティの伝説マシン851に完敗。そこで白羽の矢が立ったのが天才エンジニアだったエリック。

RR1000とエリック

彼も当時バイクを作るために出資を募っている段階。つまり勝てるバイクが欲しいオーナーズクラブと意図が合致したわけです。

そして誕生したのがルシファーズハンマー2と、その公道モデルRR1000というわけ。

RR1000バトルウィン

惜しくも決勝で転倒し851には勝てませんでしたが、予選ではポールポジションを取る程の速さを見せた事でプライベーター達からの注文が殺到。

ただ残念な事に搭載していたXR1000のエンジンが50機しかハーレーから都合出来なかった事から販売台数は50台のみ。

そのため急遽XLH1200のエンジンを用立ててRR1200も製造。こちらは150台ほど作られたようです。

RR1200バトルウィン

この一件でエリックビューエルという名がアメリカ中に広まることになりました。

エンジン:空冷4サイクルOHV二気筒
排気量:998cc
最高出力:
77ps/5600rpm
最大トルク:
9.8kg-m/4400rpm
車両重量:179kg(乾)
※スペックRR1000

系譜図
エリックビューエル 創業者
Erik Buell
RR1000/1200 1986年
RR1000/1200
RS1200 1989年
RS1200
S2 1994年
S2 Thunderbolt
S1 1996年
S1 Lightning
S3 1996年
S3/T Thunderbolt
M2 1997年
M2 Cyclone
X1 1999年
X1 Lightning
BLAST 2000年
Blast
XB9シリーズ 2003年
XB9R Firerbolt
XB9S Lightning
XB12シリーズ 2004年
XB12R Firerbolt
XB12S Lightning
XB12X ULYSSES
1125シリーズ 2007年
1125R
1125CR
1125シリーズ 2011年
1190RS
1190シリーズ 2015年
1190SX
1190RX

創業者Erik Buell

エリックビューエル

ビューエルの創業者であり、技術責任者であり、レーサーでもあったペンシルバニア州生まれのエリックビューエル。

この人がどんな人かといえば

「三度の飯よりもバイクが好きな人」

という感じ。

10代の頃に親から原付を買い与えられた事がキッカケで、バイクを弄り倒す日々とモトクロスレースの日々に明け暮れるように。

頭の方も秀才で地元の名門ピッツバーグ大学に入学。更にはTZ750でプライベートながらレーサーとしても活躍というバイクに関しては才色兼備な人。

レーサーエリックビューエル

「ケニー・ロバーツの前を走ったことがある※本人談」

が武勇伝との事。

エンジニアとしてのエリック

大学で工学士を取得した後、29歳の時にハーレーダビッドソン社へエンジニア(フレーム担当)として入社。その後もハーレーでの仕事とは別にプライベートで開発を続ける日々。

そんなある日、目に止まったのがBartonというイギリスのエンジンメーカーが作っていた水冷2stスクエア四気筒エンジン。

このエンジンに目をつけ、一から開発したクロモリ鋼管のトラスフレームに搭載したレーサーRW750を入社から僅か4年後の1983年に完成させます。

RW750とエリック

ついでにスポーツバイクを作らせてくれないという理由からハーレーを退社。

しかし残念ながらエンジンが駄目すぎて結果は残せませんでした。

ただこの一件以降

「もっと自由にバイクを作りたい。」

ビューエルモーターカンパニー

と考えたエリックはビューエルモーターカンパニーという会社をウィスコンシン州に立ち上げます。

立ち上げといっても大それた物ではなく最初は本当に小さな小さな会社。

ビューエルモーターカンパニー

一番左が事務所でその奥の掘っ立て小屋が工場。右の建物はエリックの自宅。

従業員も僅か3人からのスタートでした。

系譜図
エリックビューエル 創業者
Erik Buell
RR1000/1200 1986年
RR1000/1200
RS1200 1989年
RS1200
S2 1994年
S2 Thunderbolt
S1 1996年
S1 Lightning
S3 1996年
S3/T Thunderbolt
M2 1997年
M2 Cyclone
X1 1999年
X1 Lightning
BLAST 2000年
Blast
XB9シリーズ 2003年
XB9R Firerbolt
XB9S Lightning
XB12シリーズ 2004年
XB12R Firerbolt
XB12S Lightning
XB12X ULYSSES
1125シリーズ 2007年
1125R
1125CR
1125シリーズ 2011年
1190RS
1190シリーズ 2015年
1190SX
1190RX