DUKE390 -since 2014-

DUKE390

DUKE125の構造からDUKE200の影を見抜き、見事に当てて満足していたマニア達もこの390は予知できなかった事でしょう。

まあでも無理もない話です。125cc並の車体に誰が400のエンジンを積んで来ると予想できたでしょうか。

デューク390

そんなスモールDUKEシリーズの長男になるDUKE390ですが厳密に言うと排気量は375ccです。何で390なのかといえばKTMが90という数字が好きなだけっていう単純な理由。

そしてこの390は200や250のDUKEに比べてちょっと異質。っていうかかなり異質。

DUKEシリーズのボディは全て共通なんですが、超短いホイールベースもスマートで軽量な車体も小排気量のライトウェイトスポーツだから成せた事。

トラスフレーム

トラスフレームも、というかトラスフレームというのは他のフレームよりも”載せるエンジン有りき”に一から考えて作られるフレームなので流用性が非常に乏しい。それなのに有りきのはずのエンジンを変えちゃったら元も子もない話。

この390を出すにあたって共通である車体の方も見直しが入ったんですけど、それでも375ccのエンジンが収まりきれず、KTMがどうしたかといえば・・・

DUKE390エキゾースト

干渉する部分のエキパイを凹ませるという荒業に出ました。日本メーカーなら絶対にしないような荒業というか力技ですよね。

90って数字を使いたいためか分からないですけど本当は350ccくらいで想定したのを無理矢理+25cc拡大したみたい。

そうまでして積まれたエンジンは375ccで44馬力も発揮するパワフルな物なので足回りも合わせて硬くしてるですけど、もともと上で言った通りとても400クラスの車体じゃない事と軽すぎる事で非常に玄人仕様な出来になってる。

なんか初代ファイヤーブレードであるCBR900RR(SC28)やビューエルのXBシリーズを思い出しますね。軽くてショートホイールベースでパワフルだった事からエキスパート向けでした。

どういうことか分からない人に言うと簡単に吹っ飛ぶと言う事です。

エンジン:水冷4サイクルDOHC単気筒
排気量:375cc
最高出力:
44ps/8500rpm
最大トルク:
3.56kg-m/7250rpm
車両重量:139kg(乾)

系譜図
KTMとDUKEについて

KTMについておさらい

デューク125

2011年
DUKE125

デューク200

2012年
DUKE200

デューク390

2014年
DUKE390

デューク250

2015年
DUKE250

DUKE200 -since 2012-

DUKE200

「絶対出る!絶対出る!問題はいつ出るかだ!」

と言われてたDUKE125の兄貴分にあたるDUKE200ですが出たのは一年後の話でした。

ほぼ125と同じ造りで違うのはエンジンのボア・ストローク比だけ。

欧州では共通のボディで排気量だけ上げたバイクを出す場合は一般人が簡単にボアアップ出来ないようにストロークも変えないと売っちゃいけない法律があるんですね。知りませんでした。

つまり”腰上(シリンダーやピストン)だけ変えてDUKE125をDUKE200に”っていうのが出来ないようになってます。

ずいぶんと厳しい規制ですね。向こうはそういう事をやる人が多いんでしょうか。まあ日本でも4miniのボアアップは結構メジャーですけど。

KTMデューク200

んでこの200ですが125と違って欧州免許を気にしなくていいのでグーンっと上がって26馬力も発生するエンジンとなってます。

それでもほとんどパーツは一緒なので車重は僅か+2kgだけ。

恐らくこのモデルがスモールDUKEシリーズの本命でしょうね。
スモールデュークシリーズとしては三男坊になるけど、軽さとパワーのバランスから言っても一番スモールデュークらしいデュークかと。

エンジン:水冷4サイクルDOHC単気筒
排気量:199.5cc
最高出力:
26ps/10000rpm
最大トルク:
2.0kg-m/8000rpm
車両重量:129kg(乾)

系譜図
KTMとDUKEについて

KTMについておさらい

デューク125

2011年
DUKE125

デューク200

2012年
DUKE200

デューク390

2014年
DUKE390

デューク250

2015年
DUKE250

DUKE125 -since 2011-

DUKE125

スモールDUKEの第一弾として発売されたのが末っ子となるDUKE125

車重が乾燥で127kgしかないという超軽量モタードで、エンジンはモトクロス用に作られた125ccの水冷単気筒の物をベースにしてるだけあってクラストップの15馬力を発揮。

末っ子といいつつ4st125では最速の部類。

本当は15馬力以上出せるんだろうけどEUの免許制度(15馬力まではA1)っていうのを考慮してるんだろうね。まあこれはDUKEに限らずYZF-R125なんかもそうだけど。

デューク125フレーム

フレームはクロモリ鋼管パイプフレーム、そして補強骨をあえてみせるシャレオツ(死後)なアルミ製スイングアーム。

足回りも倒立サスにラジアルマウントキャリパーで125としては必要十八分くらいある。

で、ですね。

実はこのDUKE125が出た時、KTM好きなマニア達の間で非常に話題になったことがあります。

「これ絶対もっと上の排気量のDUKEが控えてるわ!」

って。

というのも先述の通り明らかに125ccだけの為にしてはオーバースペックのような車体。
さらにエンジンスペースや強度の余裕やマウントなどの構造で見抜いたんでしょうね。さすがマニアとしか言いようがありません。まあすぐにアナウンスがあったんですが。

KTMデューク125

そんな125ですが・・・まあ初期型はトラブルの嵐でした。冷却水やフルードといった液体系のお漏らしやジェネレーターのトラブルなどなど。

海外メーカー&処女作&インド生産っていうトリプルコンボなので仕方ないっちゃ仕方ない。

でもABSが付いた現在のモデルからはそういったトラブルが解消したみたいですね。全く心配ないかと言われれば疑問も残りますが、まあ遊びバイクですし。

エンジン:水冷4サイクルDOHC単気筒
排気量:124.7cc
最高出力:
15ps/10500rpm
最大トルク:
1.22kg-m/8000rpm
車両重量:127kg(乾)

系譜図
KTMとDUKEについて

KTMについておさらい

デューク125

2011年
DUKE125

デューク200

2012年
DUKE200

デューク390

2014年
DUKE390

デューク250

2015年
DUKE250

KTMについておさらい

KTM

日本でKTMを知ってる人はどのくらいでしょう。

オーストリアのメーカー(オーストラリアじゃないよ)で主にオフロードで有名というかオフロード専門メーカー。

オフのレースやダカール・ラリー等で優秀な成績を収める名門なのでオフ好きの間では結構有名だったりするわけですが、近年インドのバイクメーカーバジャージ・オートが筆頭株主になった事でオンロードバイクも出すようになってきたわけです。

創業当初はオフロード専門メーカーというわけではなくMVアグスタからエンジンを買ってレースに出場したりもしてました。

KTMの社名の由来ですが

ハンスとエルンスト

K=創業時の出資者だった投資家のErnst “K”ronreif(エルンスト クローノライフ)

T=創業者であるHans ”T”runkenporz(ハンス トゥルンケンポルツ)

M=創業時の土地であるオーストリアのザルツブルク州”M”attighofen(マッティヒホーフェン)

となってます。

マッティングホーフェン本社

「クローノライフ・トゥルンケンポルツ・マッティヒホーフェン(KTM)」

凄く長いですね。

レッドブル

ちなみに”翼をさずける”で有名なレッドブルも同じオーストリア ザッツブルグ州の企業。

その為か両社は非常に仲が良かったりします。

更に上げるならハスクバーナって聞いたことありませんか?

ハスクバーナ

もともとは芝刈り機やチェーンソーのメーカーでバイクのチェーンを作ってる内にいつの間にかエンジンからフレームまで作るようになっていったってユニークなスウェーデンのメーカー。

バイク部門はハスクバーナモーターサイクルといってもうチェーンソーのハスクバーナとは関係ないですが、アグスタやBMWといったメーカーにたらい回しになっていて今はKTMに拾われてます。

フサベル

ちなみにアグスタへと吸収される際にハスクバーナを辞めていったエンジニア達で立ち上げた会社であるフサベルも今はハスクバーナと同じくKTMに拾われてます。元サヤというか何というか。

ちなみにどのメーカーも基本的にオフ車メーカーです・・・どんだけオフ車好きなんだよって話ですが。

さて話を戻して

実はKTMは自転車(ロードバイク)も作ってますが一応分社化された別会社となってます。

よくよく考えてみるとバイク作ってる会社で自転車作ってるメーカーって無いですよね。ヤマハは電動自転車を出してますがモーターのみで車体はブリヂストンだし、スズキに至ってはパナソニックのOEMってだけ。意外だな。

話が戻ってませんでした・・・

KTMには一貫したコンセプトがあります。

それは「READY TO RACE」

Ready to Race

これはどういう意味かというと、別にレースに出ろと言ってるわけではありません。

オーナーがバイクに乗っている内にレースに興味を持ったら、いつでも出れるような純粋で冒険的で極限性能なバイクをKTMは作っている。

という意気込み的な意味。

まあそんなこと言われても?ですよね。

KTMバイクの特徴を簡単に説明するなら

「何を差し引いてでも軽さ(パワーウェイトレシオ)を最優先」

という事。

耐久性より軽さ!メンテナンス性より軽さ!扱い易さより軽さ!コストより軽さ!

とにかく軽さです。車重しか見てないんじゃないかってくらい軽さに拘りを持っています。

軽さへのコダワリは半端なものじゃなくウェアやパーツといったコラボモデルですら軽さ第一です。

そのためかKTMはエキスパート向けという非常にマニアックなイメージに。まあ販路の問題や車種もニッチな物が多かったのもありますが。

しかし上で言った通りバジャージ・オートの横槍かアジア市場への参入という利害が一致したのか分かりませんが、方針転換によりエントリーモデルと成り得るスモールDUKEシリーズを出したことでそのイメージも大分変わってきました。

このサイトへのリクエストでもDUKEシリーズを希望する方が思いのほか多くて驚きました。

今回はそんな新生KTMとも言えるスモールDUKEシリーズを紹介します。

系譜図
KTMとDUKEについて

KTMについておさらい

デューク125

2011年
DUKE125

デューク200

2012年
DUKE200

デューク390

2014年
DUKE390

デューク250

2015年
DUKE250

Daytona 675 ABS/R -since 2014-

デイトナ675ABS

675になって初とも言えるフルモデルチェンジを果たした2014型デイトナ675ABS(紛らわしいのでこの名で)

今回のモデルチェンジの最大の目的はコストカット・・・と言うと何だか夢のない話と思われるかもしれないけど車体価格の高騰でSS離れが起こってるのが現状。
これは日本に限った話じゃないんですね。EUの方も日本同様SS離れが酷いらしく、老舗トライアンフもデイトナ675というSSを持ってる以上は他人ごとではない。

あんまり注目されなかったけど、先代も日本国内において為替が幾ら変わろうとも物価が上がろうとも正規物はほとんど値段据え置き状態だった。
我々一般人からしたら何て良心的なメーカーなんだと思うけど、流石にそんなことをずっと続けてたらまた倒産しちゃうよね。

もちろんただ単にコストカットしただけじゃないのであしからず。

675R

・2016年から始まるABSの義務化に対応するために切り替え式のABSを搭載
・サブフレームをパイプフレームからメインフレームに合わせたアルミ製に
・チタンバルブ、デュアルインジェクターの採用
・スリッパークラッチ・クイックシフターの搭載
・軽量5本スポークホイール&ダウンショートマフラー

等など改良や新装備も多岐にわたる。
(でも一番の改良点は先代で頻発してたお漏らしなどの不具合潰しだったり)

デイトナ675Rカウルレス

今回はRモデルも最初からあるみたい。今度はARROWSのマフラーも標準装備みたいですね。

スパイショット等の段階からセンターアップマフラーの不採用が判明して大きく話題になりましたね。これで残るは600RRとR1とF4だけか。

今回のモデルチェンジの最大の目的はコストカットなんだけど、もう一つある。

それはライバルの出現。

アグスタF3

アグスタF3 675(Since 2010)

「走る宝石」と自ら言いのけるメーカーのアグスタから出たミドルSS。奇しくもエンジンはdaytona675と同じ並列三気筒。つまり排気量も同じ675cc。

これまでデイトナと言えば「クラス唯一の三気筒」という優位性を持っていたけど、今回それが失われてしまった。
更に脅威なのはアグスタも価格を抑えるという経営方針の変更をした事。
F3は三気筒でアグスタ入門のミドルだからということで160万円を切る安さ。本当は三気筒のミドルだからって安く作れるワケじゃないんだけど、ブランド価値を下げずに価格を下げるためにアグスタはこう言ってる。
世界レースにおいて初参戦ながらトライアンフよりも好成績を残す大健闘。
更にF3 800というレギュレーション無視の800ccスーパースポーツ、トライアンフの言う「殻を破ったバイク」までも発売。

トライアンフとしては面白いわけはなく、反撃の為のモデルチェンジでもあります。

ミドルSSランキング

見た目がガラッと変わって違うバイクになったと思われるかもしれませんが、スーパーテスト(世界規模インプレ)を見るに相変わらずの高評価なので順当進化みたいですね。

そんな675ABSは本国やUSでは2013年から発売中。しかし日本には騒音規制に通らず入荷したくても出来ない状況でした。

日本もEUやアメリカ並とはいかないものの、それらに次ぐ大型バイク市場を持っている。
だからトライアンフもドゥカティと同じくジャパニーズのための特別仕様を用意し、2014年遂に待望の発売となったわけです。

デイトナ675国内仕様

待望の・・・待・・・え?
あー、ですよね。マフラーそうなっちゃいますよね~。う~ん。

音量測定をするのはエンドバッフルからなのでサイレンサーを同じく騒音を生むエンジンやチェーンからなるべく遠くに離すというのは至極当たり前です。
でも、でもですよ。ドゥカティも(アグスタも)そうだけど「もうちょっと考えてよ!」って言いたくなりますよね。

675ABS

まあ凝ればその分コスト上がるし、バカ売れするならともかくそれほど売れない日本に手間かけないか。

しかしここでHAYABUSAの系譜(国内仕様)で2014年からの規制について読んでくださった方は疑問に思う事でしょう。

「規制緩和されたからハヤブサはOKになったのに、デイトナ675は何で駄目なの?」

と。

実はこの2014年から緩和される規制は「国産車」に限った話なんです。じゃあ「輸入車」はというと三年後の2017年から。
ハヤブサは元々「逆輸入車」だったとは言え製造は日本国内です。つまりラインナップに加えるだけで国産車。

それに対しトライアンフはあの空襲や火事を起こしたイギリスの工場で作ってます。つまり輸入車。

2013daytona675エンジン

日本で作れば万事解決ですが、さすがにそれは無理があるってもんです。

つまり要するに新型デイトナ675が欲しいけどこの日本スペシャル仕様に満足できない人は三年待てという事です。

三年後には恐らく車検が通るUK仕様が入ってくるでしょう。
~2016年型を買ってマフラーをUK仕様の物に変えても車検は通りません。果報は寝て待てです。
こんなこと言うとトライアンフに怒られそうですね。

まあ実際、眠れない人は待たずに買っても何の問題も無いわけですが。

エンジン:水冷4サイクルDOHC3気筒
排気量:675cc
最高出力:
128[125]ps/12500rpm
最大トルク:
7.5[7.3]kg-m/11900rpm
車両重量:185kg(乾)
※[]内は国内仕様

系譜図
タイガーT100Rデイトナ

1967年
Tiger 100T/R Daytona

デイトナ1000

1990年
Daytona 750/1000

デイトナ900

1993年
Daytona 900/1200

デイトナT595

1997年
Daytona T595/955i

デイトナ600

2002年
Daytona 600

デイトナ650

2005年
Daytona 650

デイトナ675前期2006年
Daytona 675/SE(前期)
デイトナ675R後期

2009年
Daytona 675/SE/R(後期)

デイトナ675ABS

2014年
Daytona 675 ABS/R

Daytona 675/SE/R後期 -since 2009-

デイトナ675後期

2009年にマイナーチェンジを施し3馬力アップ&3kg減と若干のパワーアップをしたデイトナ675後期。

後期といったほうがいいのか二代目と言ったほうがいいのか微妙なんですが、一応このサイトでは後期ということで扱わせてもらいます。

見た目の変更点としてはアッパーのエアインテークやウィンカーやヘッドライトの形状です。

向かって左が前期で右が後期。かなり厳つくなってますね。

デイトナ675新旧比較

更に翌2010年にメーター新調、2011年にスイングアームの小変更が加わってます。

初代で鮮烈デビューを果たしたデイトナ675はスーパーテストやマスターバイクと言った世界レベルでのプレス向け試乗会で尽く好成績を残し世界中で絶賛されました。
それは2009年にマイナーチェンジを受けたこのモデルに成っても変わらずで、四年連続スーパーバイク受賞という快挙を成し、「キング・オブ・スーパースポーツ・デイトナ675」とまで言われました。

そして2008年にはあまりの好評っぷりと売れ行きから「三気筒=675cc」という新しいレギュレーションが生まれました。
「三気筒=675cc」というレギュレーションはデイトナ675が作ったものなんです。

トライアンフBE1

元々の生い立ちが「速さより楽しさ」のバイクな為か現状世界レースではあまり良い成績を残せてないけど売上や評判にはそれほど影響しなかったみたい。

daytona675といえば性能や造形もそうですが数々の特別仕様も素敵ですね。

2011デイトナ675SE

2011年に出されたスペシャルカラーのSEはフレームとホイールをブルーに塗装しARROWSのマフラーを装着したモデル。

そしてデイトナ900スーパー3のオマージュモデルであるDaytona675Super3。

デイトナ675スーパー3

オマージュなので今回はコスワースのチューニングは施されていませんがクイックシフター等の専用装備が施されています。

そしてそして特別しようといえば何と言ってもコレでしょう。

デイトナ675R

デイトナ675R

前後オーリンズサスにブレンボ製フロントキャリパー、クイックシフターを装着したスペシャルモデル。
このモデルが出た時、実はとっても歓迎されました。
というのも先に話した世界レベルのインプレで「唯一の不満が有るとすればサスペンションが煮詰まってない」という声があったから。

純正でもKYBのフルアジャスタブルだから悪いわけじゃないんだけど、サーキット走行を生業としているプロに言わせると何かあるんでしょうね。まあ我々素人には無縁でもあります。

結局振り返ってみると前期も合わせると8年というSSとしては異例な長寿バイクだったんですね。

トライアンフ デイトナ675

しかし8年前のバイクとはとても思えない異彩を放つデザインと設計は流石ブリティッシュ。

エンジン:水冷4サイクルDOHC3気筒
排気量:675cc
最高出力:
128ps/12600rpm
最大トルク:
7.3kg-m/11750rpm
車両重量:162kg(乾)

系譜図
タイガーT100Rデイトナ

1967年
Tiger 100T/R Daytona

デイトナ1000

1990年
Daytona 750/1000

デイトナ900

1993年
Daytona 900/1200

デイトナT595

1997年
Daytona T595/955i

デイトナ600

2002年
Daytona 600

デイトナ650

2005年
Daytona 650

デイトナ675前期2006年
Daytona 675/SE(前期)
デイトナ675R後期

2009年
Daytona 675/SE/R(後期)

デイトナ675ABS

2014年
Daytona 675 ABS/R

Daytona 675/SE前期 -since 2006-

デイトナ675

「キング・オブ・スーパースポーツ」

CBR600RR、YZF-R6、GSX-R600、ZX-6R、国内四社が犇めき合うミドルSSというクラスに唐突に現れたデイトナ675。
前傾させた三角形軸のコンパクトエンジンやツインスパーフレーム等を見ると明らかに国産SSを参考にしたとしか思えないレイアウト。
ただメインフレームをパイプフレームっぽく見せてるのは上手いですね。(写真は後期です)

デイトナ675ネイキッド

ただ上記の国産600SSと決定的に違うのは、デイトナ675はあくまでも”公道でも楽しめるスーパースポーツ”という立ち位置。

開発コンセプトは

何よりもライディングを飽きさせないバイクを創り出すこと

その結果作られたのがトライアンフの十八番とも言える三気筒エンジンを積んだSS。
二気筒より高回転で四気筒よりトルクフル、そして三気筒ゆえのスリムさを持っている。それらは全てレースを視野から外したから出来たこと。
その証拠にデイトナ675が出た2006年当時のロードレースに三気筒のレギュレーションなんて有りませんでした。

トライアンフもこのデイトナ675について、レギュレーションを無視している事を「殻を破った数少ないバイク」と例えてアピール。

結論を言うと、その卓越したハンドリングと他にない三気筒SSという独自性から世界中から大絶賛されました。

daytona675SE

写真のデイトナは特別カラーのSE仕様。
人気だったこともあり後にスタンダードカラーに仲間入りとなりました。黒ボディに金ホイールが定番なのは日本に限った話じゃないんだね。

ただ勘違いされると困るので言っておきますが、公道向けと言っても街乗りとかじゃないですよ。当たり前ですがSSなので峠とか走行とかのタイムや順位を競わないスポーツ走行での話。

daytona675パンフレット

四気筒キラーという名がピッタリなスーパースポーツ。

エンジン:水冷4サイクルDOHC3気筒
排気量:675cc
最高出力:
125ps/12600rpm
最大トルク:
7.3kg-m/11750rpm
車両重量:165kg(乾)

系譜図
タイガーT100Rデイトナ

1967年
Tiger 100T/R Daytona

デイトナ1000

1990年
Daytona 750/1000

デイトナ900

1993年
Daytona 900/1200

デイトナT595

1997年
Daytona T595/955i

デイトナ600

2002年
Daytona 600

デイトナ650

2005年
Daytona 650

デイトナ675前期2006年
Daytona 675/SE(前期)
デイトナ675R後期

2009年
Daytona 675/SE/R(後期)

デイトナ675ABS

2014年
Daytona 675 ABS/R

Daytona 600 -since 2005-

デイトナ650

更に二年後にはロングストローク化がされ650となりました。

でも直四で650ccってレースのレギュレーションに合ってませんよね?
直四ミドルSSは600までです。

6Rの様に600との併売かと思いきやそうじゃない・・・一体なぜ650にしたのか?

実は先代のデイトナ600はイギリス国内のレースでは活躍したものの、世界レースでは日本メーカーの600SS勢にコテンパンにされてしまった。

そこでトライアンフは方向転換をしたんです。

「速さが全てのレースに重点を置かず、公道で楽しめるスーパースポーツにしよう。速さだけを追い求めるのはノンセンス。」

そしてその結果ロングストローク化によりレースに出場することが出来なくなった反面、乗りやすさが増しました。

この転機が後に675という名車が生まれるんですね。

daytona650

いやはやしかしコレはコレで見れば見るほど癖になるデザインだな。

エンジン:水冷4サイクルDOHC4気筒
排気量:646cc
最高出力:
112ps/12500rpm
最大トルク:
6.9kg-m/11500rpm
車両重量:165kg(乾)

系譜図
タイガーT100Rデイトナ

1967年
Tiger 100T/R Daytona

デイトナ1000

1990年
Daytona 750/1000

デイトナ900

1993年
Daytona 900/1200

デイトナT595

1997年
Daytona T595/955i

デイトナ600

2002年
Daytona 600

デイトナ650

2005年
Daytona 650

デイトナ675前期2006年
Daytona 675/SE(前期)
デイトナ675R後期

2009年
Daytona 675/SE/R(後期)

デイトナ675ABS

2014年
Daytona 675 ABS/R

Daytona 600 -since 2002-

デイトナ600

良くも悪くも凄く印象に残る顔をしているデイトナ600は見た目も立派にSSですが実は直四なんです。

955iやボンネビルのセールスが順調で軌道に乗り始めていたトライアンフだったんですが、このモデルが出る半年ほど前の2002年3月にイギリス史に残る程のとんでもない事をやらかしました。

イギリス史上最大とも言われる大火事を起こしたんです。

トライアンフ工場炎上
トライアンフ火事

もったいないですね・・・管理能力の甘さもあるんでしょうが、ここまで来るともうトライアンフは呪われてるんじゃないかと。

でもそこはトライアンフ。

世界大戦の空襲で工場が爆撃されようとも、アメリカ&ハーレーに関税で虐められようとも、何とかめげずに生き延びてきた歴史があります。

火事でボロボロになった工場も「これは良い機会だ」と思ったのかは分かりませんが、大幅に改築をしました。

トライアンフ新工場

ピカピカですね。

不幸中の幸いだったのは設計等を担当する開発部は無事だったため、半年でこの工場を立ててすぐに再生産を開始し、デイトナ600を出せたんですね。

デイトナ600はトライアンフ初の直四ミドルSSだったにも関わらず、マン島TTを筆頭としたイギリス国内のレースで優勝するなどの大活躍でした。

エンジン:水冷4サイクルDOHC4気筒
排気量:600cc
最高出力:
112ps/12750rpm
最大トルク:
6..8kg-m/11000rpm
車両重量:165kg(乾)

系譜図
タイガーT100Rデイトナ

1967年
Tiger 100T/R Daytona

デイトナ1000

1990年
Daytona 750/1000

デイトナ900

1993年
Daytona 900/1200

デイトナT595

1997年
Daytona T595/955i

デイトナ600

2002年
Daytona 600

デイトナ650

2005年
Daytona 650

デイトナ675前期2006年
Daytona 675/SE(前期)
デイトナ675R後期

2009年
Daytona 675/SE/R(後期)

デイトナ675ABS

2014年
Daytona 675 ABS/R

Daytona T595/955i -since 1997-

daytona T595

さてカワサキの技術提供もありノウハウを吸収したトライアンフが蓄積した自分達のノウハウで設計し作り上げたスーパースポーツがこのT595と955i

アルミフレームや片持ちスイングアーム等、トライアンフ初となる技術が詰め込まれている。

750&1000→900&1200→595&955?何で急にスケールダウン?

と思うことでしょう。

でも実はT595は595ccではなく955ccも排気量があります。

じゃあ955iはというと955ccです。

「・・・うん?」

ですよね。

最初はT595として売っていたんですよ。でも消費者であるライダー達から

「955ccなのにT595とか紛らわしいぞー!」

って声が相次いだことで955iに改名されたんです。だからT595も955iも同じバイク。

daytona955i中期

上が955i前期モデルで下が後期モデル。

daytona955i後期

つまり最初期がT595でその後955iに改名され、2002年と2005年にマイナーチェンジ。

実は675が登場する2006年までトップモデルとして生産されました。

エンジン:水冷4サイクルDOHC3気筒
排気量:955cc
最高出力:
130[149]ps/10700rpm
最大トルク:
9.1[10.2]kg-m/8200rpm
車両重量:192[191]kg(乾)
※[]内は955i後期モデル

系譜図
タイガーT100Rデイトナ

1967年
Tiger 100T/R Daytona

デイトナ1000

1990年
Daytona 750/1000

デイトナ900

1993年
Daytona 900/1200

デイトナT595

1997年
Daytona T595/955i

デイトナ600

2002年
Daytona 600

デイトナ650

2005年
Daytona 650

デイトナ675前期2006年
Daytona 675/SE(前期)
デイトナ675R後期

2009年
Daytona 675/SE/R(後期)

デイトナ675ABS

2014年
Daytona 675 ABS/R