「4into1(フォーワン)の ひくく 静かな吐息」
大人しすぎるという事からボアを4mm拡大し408ccとなったドリームCB400FOUR。
「ヨンフォア」
という愛称が有名ですね。
排気量を上げてパワーを稼いだだけでなく他にも若干のバックステップ化や、まだ珍しかった集合管を装備しカフェレーサー色を強める事に。
ちなみにこの流れるような取り回しになっているエキゾーストパイプは大きなオイルエレメントを避けつつ集合させる為にこうなった物だったりします。
それがトレードマークになったという何とも面白い話。
ところでヨンフォアのカタログは最初
「おお400。」
というキャッチコピーが表紙にあって中を開くと
「お前は風だ。」
と書かれていたんですが、このフレーズが暴走族を助長させるという事から
「おお400。お前が好きだ」
というフレーズに変えた話が有名ですね。
その事からもわかるように当時は暴走族が社会問題と化していました。そこで1975年に行われたのが運転免許制度の改正です。
【~125cc|無制限】
という区分だった二輪免許を
【~125cc|~400cc|無制限】
と中型を新たに設ける形に。
408ccだった『ヨンフォア潰し』としか言えない改定で、ホンダも慌てて399ccまでボアダウンしたモデル(型式CB400F)を出すなどして対策する事に。
結果としてヨンフォアは全部で三種類が併売される形になりました。
408ccのCB400FOUR
398ccのCB400FOUR-I
398ccとアップハンドルのCB400FOUR-II
の三種類です。
そんな法まで変えてしまったCB400FOURだったんですが、実はそんな反響とは裏腹に僅か三年ほどで生産終了となり後継も出ませんでした。
その理由は
「コストがCB750FOURと変わらず採算が取れない」
という理由から。
実質的にCB750FOURと製造コストはほぼ変わらず排気量の関係から安くする必要があった事が問題だったんです。
だからモデルチェンジで大事にされたのは
『採算性の改善』
排気量を上げたのもパワーを底上げする狙いと同事に売値を上げる為だったんですが、今度は高価になりすぎた事で憧れで終わってしまう人が多く販売台数は伸びず。
まだ2stが全盛で同等以上の速さを持ちつつ半値ほどで買えるバイクがゴロゴロあった時代だった事も影響しています。
そんな状況を打開するため様々なバリエーションも検討されました。
これはその一つのカフェレーサースタイル。
実際にプロトタイプも製作され市販化寸前まで来ていました。
しかし当時はカウルが認められない時代だったので認可が貰えないとなり敢えなくボツに。
捉えようによっては40年前に造られたボルドールのプロトタイプですね。
結局この採算性の問題をクリアする事が出来ず八方塞がりとなってしまい、ホンダは二気筒のホークにバトンダッチする形で直四を止める事になりました。
中免を生んだ事からも分かる通りヨンフォアというバイクは良くも悪くも何もかもがイレギュラーなバイクでした。
時代を代表する名車は数あれど、時代を動かしたバイクはこのヨンフォアくらいではなかろうか。
主要諸元
全長/幅/高 | 2050/705/1040mm {2050/705/1040mm} [2050/780/108 0mm] |
シート高 | – |
車軸距離 | 1355mm |
車体重量 | 183kg(装) {[184kg(装)]} |
燃料消費率 | 36.0km/L {[39km/L]} ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 14.0L |
エンジン | 空冷4サイクルOHC4気筒 |
総排気量 | 408cc {[398cc]} |
最高出力 | 37ps/8500rpm {[36ps/8500rpm]} |
最高トルク | 3.2kg-m/7500rpm {[3.1kg-m/7500rpm]} |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前3.00S18-4PR 後3.50S18-4PR |
バッテリー | – |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
D8EA |
推奨オイル | – |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量3.5L |
スプロケ | – |
チェーン | – |
車体価格 | 327,000円 [327,000円] ※{}内はI型 ※[]内はII型 |