「6750RPM。」
登場から7年目にして遂にフルモデルチェンジを果たしたCB400SF/NC39型。
見た目も中身も大きく変わりカラーリングもスペンサーカラーとなりました・・・でもスペンサーカラーって若い人は分からないですよね。
スペンサーカラーというのは文字通りフレディ・スペンサーのマシンのカラーの事で、このカラーは1982年のAMAデイトナ100マイルレース(アメリカ最大の市販車レース)で優勝した時のCB750Fのカラーリング。
スペンサーはその後WGP(現MotoGP)に行きホンダのNS500に乗って最年少優勝(これはロスマンズカラー)も果たしたました。
ついこの間、同じホンダのマルケスによって再び塗り替えられましたが。
最大の特徴は何と言っても
『HYPER VTEC』
ですね、説明しましょう。
これは吸気と排気それぞれ2本ずつあるエンジンバルブ(扉)を低回転域で1本つづ休止させる(吸気1本・排気1本にする)バルブ休止システムの事。
車のVTECとは違います。あれはバルブの開閉のタイミングやリフト量を変えるシステム。
なんでこういう事をしてるのかと言うと、騒音対策と低速トルクの改善を狙っての事。
バルブっていうのはエンジンの出入り口でそれが片方開かないとなると出入りする空気の量が減る。空気の量が減るという事は排気も減る。排気が減るということは排気騒音が減るということ。
これにより2db~5dbほどの騒音低減が実現。
それと同事に中低域というのは吸気の力も弱いので吸込口は大きく開けるより小さく開けるほうがよく吸える。細いストロー太いストローですね。
逆に6750rpmを超えると吸い込む力が大きくなるので両方のバルブを開き、モリモリ空気を吸わせてモリモリ燃料を出した方がパワーを稼げる。
この両方を狙って開発されたのがCB400SFのHYPER VTECというメカニズム。
どういう仕組で切り替えているかというと、バルブの開閉は
カム→バルブリフタ→バルブ
という順番で押して開閉するのですが、VTECには休止側のバルブリフター内が空洞になっていて、通常時はカム(おにぎり形状の回るやつ)に押されたバルブリフター(黄部)がバルブを押してもそのスペース(緑部)に入り込んでバルブを押さない空打ち状態になってる。
VTECを作動させる時は、バルブの脇にある通路からオイルを出し油圧でスライドピン(青部)を割り込ませる。
そうするとカムに押され下がったバルブシム(黄部)がスライドピン(青部)を押し、スライドピンがそのままバルブを押すのでバルブが開かれるという仕組み。
この切り替えは音もパワーも変わるので誰でも体感できます。
例えるならHYPER VTECというのは低域時で優等生を演じるための仮面みたいなものですね。そして6750rpmを超えると仮面を取って本性を現すっていう。
このメカニズムは非常に評価が高くCB400SFは絶大な支持を獲得し確固たる地位を獲得。
ここから約16年も400ccトップセールスを死守する事になります。
主要諸元
全長/幅/高 | 2050/725/1070mm |
シート高 | 760mm |
車軸距離 | 1410mm |
車体重量 | 188kg(装) |
燃料消費率 | 37.0km/L ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 18L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 399cc |
最高出力 | 53ps/11000rpm |
最高トルク | 3.9kg-m/9500rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/60ZR17(55W) 後160/60ZR17(69W) |
バッテリー | FTX7A-BS |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
CR8EH-9/CR9EH-9 U24FER9/U27FER9 |
推奨オイル | Honda純正ウルトラG1(10W-30) |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量3.8L 交換時3.0L フィルター交換時3.2L |
スプロケ | 前15|後44 |
チェーン | サイズ525|リンク108 |
車体価格 | 609,000円(税別) |