XELVIS(MC25) -since 1991-

ゼルビス

「遊びに新しいレギュラー」

出る時代を間違えたVT二号のXELVIS/MC25型。

X=Extra(最高の)

EL=Elate(元気づける)

VIS=Visior(友)

から

『XELVIS:心を揺さぶる最高の友人』

と名付けられました。

スーパースポーツのVT250Fがダメで、ストリートスポーツのSPADAもダメだった・・・じゃあもうツアラーしか道はない。

XELVIS

となったのかは分かりませんが、ロングホイールベースの大型ボディにハーフカウル。

更に二人乗りも余裕な優しいポジションに、SPADAから給排気を絞って中低速に厚みを持たせツアラー色が強いモデルに。

ただ当時はレーサーレプリカかジャパニーズネイキッドしか受け付けてくれない流れだったから鳴かず飛ばず。

MC25

最近になってちょっと人気が出てきたのは時代に流されてしまった

「何の気兼ねも遠慮も要らない腐れ縁のような友」

というコンセプトが理解される様になったからでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2095/720/1160mm
シート高 770mm
車軸距離 1430mm
車体重量 172kg(装)
燃料消費率 40.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 249cc
最高出力 36ps/11500rpm
最高トルク 2.6kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80-17(57S)
後130/80-17(65S)
バッテリー FTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EH-9
推奨オイル ウルトラG1(10W-30)
オイル容量 全容量2.5L
交換時1.8L
フィルター交換時2.0L
スプロケ 前14|後43
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 489,000円(税別)
系譜図
VT250F1982年
VT250F
(MC08前期)
MC08後期1984年
VT250F/Z
(MC08後期)
MC151986年
VT250F/Z
(MC15)
MC201988年
VT250SPADA
(MC20)
MC251991年
XELVIS
(MC25)
BA-MC33前期1997年
VTR
(BA-MC33前期)
BA-MC33後期2002年
VTR
(BA-MC33後期)
JBK-MC33前期2009年
VTR
(JBK-MC33前期)
JBK-MC33後期2013年
VTR
(JBK-MC33後期)

VT250SPADA(MC20) -since 1988-

VT250スパーダ

「イタリアンVツインスポーツ」

出る時代を間違えてしまった可哀想なVTとして有名なVT250スパーダ。ちなみにSPADAはイタリア語で『剣』という意味。

VTZ250のエンジンをベースにインテーク/エキゾーストバルブの大径化とバルブタイミングを見直し、敢えて馬力を捨て(-3ps)中低速を強化。

そんなVT250SPADA最大の特徴が刻印までされているCASTECフレームです。

世界初となる一体成型アルミ鋳造フレーム。グラビティ鋳造と呼ばれるアルミホイールなどでよく使われる製法で、強度に優れるんだけど歩留まりが悪いっていう弱点がある。

そんな製法でメインフレームを造るなんて無謀とも言える話で、山中さんいわく量産の目処を立てるのが本当に大変だったそう。ただこの一体型キャステックフレームのおかげでスパーダは乾燥重量で140kgとかなり軽量。

spada

何故ここまで拘ったのかといえばスパーダのコンセプトが

「街乗りでも本当の意味での楽しめるバイクを作りたい」

というもので、そのためには軽さが何より大事だったから。

MC20

スーパースポーツを辞め、街中をVツインパルスを刻みつつキビキビ走って楽しめるロードスポーツに焦点を合わせたVツイン。

それがVT250SPADAというバイクでした・・・が、残念ながらそのコンセプトを理解してくれる人はあまり多くは居らず。。。

ちなみに宣伝に伝説のF1ドライバーであるアイルトン・セナを起用したのは有名ですが、実はこれには面白いエピソードがあります。

VT250SPADA

このSPADAをデザインされた小濱さんが、広報からSPADAをどう宣伝しようか尋ねられた際に

「イタリアン・カジュアルがテーマなんでセナがいいっすね!」

と冗談で言ったら広報が真に受けてしまい、しかも本当にその意見が通って急遽イタリアまでSPADAを抱えて飛ぶハメになったんだとか。

VT250SPADAカタログ写真

セナ起用に一番驚いたのは我々ではなくSPADAのデザイナーだったっていうオチ。

主要諸元
全長/幅/高 2010/715/1020mm
シート高 740mm
車軸距離 1380mm
車体重量 153kg(装)
燃料消費率 49.7km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 11L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 249cc
最高出力 40ps/12000rpm
最高トルク 2.6kg-m/9000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/80-17(52S)
後140/70-17(66S)
バッテリー FTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EH-9
推奨オイル ウルトラG1(10W-30)
オイル容量 全容量2.5L
交換時1.8L
フィルター交換時2.0L
スプロケ 前17|後54
チェーン サイズ428|リンク132
車体価格 498,000円(税別)
系譜図
VT250F1982年
VT250F
(MC08前期)
MC08後期1984年
VT250F/Z
(MC08後期)
MC151986年
VT250F/Z
(MC15)
MC201988年
VT250SPADA
(MC20)
MC251991年
XELVIS
(MC25)
BA-MC33前期1997年
VTR
(BA-MC33前期)
BA-MC33後期2002年
VTR
(BA-MC33後期)
JBK-MC33前期2009年
VTR
(JBK-MC33前期)
JBK-MC33後期2013年
VTR
(JBK-MC33後期)

VT250F/VTZ250(MC15) -since 1986-

MC15

「感性度アップの高性能」

また二年でモデルチェンジし、43psとなったVT250F/MC15型。

再びコンロッドやピストンを見直し&軽量化する事でフリクションロスを減らし出力が向上。

ちなみに開発段階ではCBR400Fの回転数応答型バルブ休止機構REVの搭載も検討されていたんだとか・・・そう、今もCB400でお馴染みVTECの前身です。

CBR400F REV

ただコストが上がるので250には向いていないとして見送りに。もしもこの時に採用されていたら今頃はVTR VTECに・・・ちょっと残念ですね。

話を戻すともう一つ大きく変わったのがフレーム。

従来のダブルクレードルフレームから完全新設計のツインチューブダイヤモンドフレームになりました。

MC15

これによって車重が-6kg、さらにホイールベースも-15mmとなり軽快さが大幅にアップ。更にマフラーも2to1の集合管に変更され中低速でのトルクも向上。

この他にもアルミキャストホイールなど留まる所を知らない改良でした・・・が、実はこの頃250市場が大変動を起こしていました。

いわゆる『直四250ブーム』です。

直4主義

今までは400以上だけだった四気筒の流れが250にも波及していた。

そしてホンダもそれに対抗するためにメカマックスことCBR250Fを発売。※上の写真はその後継になるCBR250RR

要するにユーザーの求める数字が馬力から気筒数に変わってしまった・・・こうなるとVツインはたとえ43馬力あろうが、たとえ取り回しがどれだけ優れていようが辛い。

VT250F/MC15は根強い人気こそあったものの引けを取る事は否めず。

VTZ250カタログ写真

取り回しという長所を活かすために一年遅れでネイキッド版VTZも出したんですが時代は確実に直四になっていた。

VTは方向性を改めざるを得ない状況になってしまったわけです。

主要諸元
全長/幅/高 2030/715/1140mm
[2035/715/1070mm]
シート高 745mm
車軸距離 1370mm
車体重量 161kg(装)
{159kg(装)}
燃料消費率 52.2km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 13L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 249cc
最高出力 43ps/12500rpm
最高トルク 2.5kg-m/10500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54S)
後120/80-17(61S)
[前100/80-17(52S)
後120/80-17(61S)]
バッテリー FB9-B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DP7EA-9/DP8EA-9(標準)/DP9EA-9
または
X22EP-U9/X24EP-U9(標準)/X27EP-U9
推奨オイル ウルトラ-U(10W-30)
オイル容量 全容量2.5L
交換時1.8L
フィルター交換時2.0L
スプロケ 前15|後45
[前14|後43]
チェーン サイズ520|リンク104
車体価格 479,000円(税別)
[429,000円(税別)]
※{}内はWディスク仕様
※[]内はVTZ250
系譜図
VT250F1982年
VT250F
(MC08前期)
MC08後期1984年
VT250F/Z
(MC08後期)
MC151986年
VT250F/Z
(MC15)
MC201988年
VT250SPADA
(MC20)
MC251991年
XELVIS
(MC25)
BA-MC33前期1997年
VTR
(BA-MC33前期)
BA-MC33後期2002年
VTR
(BA-MC33後期)
JBK-MC33前期2009年
VTR
(JBK-MC33前期)
JBK-MC33後期2013年
VTR
(JBK-MC33後期)

VT250F/Z(MC08後期) -since 1984-

MC08後期

「すべてが新しいプログレッシブ90度Vツイン」

僅か二年足らずでモデルチェンジされたVT250F/MC08後期モデル。

最大の特徴は2stスポーツブームを嘲笑うかのように、4stながら40馬力を叩き出した事。

これはピストンやコンロッドなどエンジン内部を再び全面維新し軽量化というバブリーな事も理由だけど、その中でも特筆すべきはハイ・イナーシャ・ポート(Hi Inertia Port)と呼ばれるもの。

Hi Inertia Port

これは吸気ポートの分岐ポイントをかなり手前(青くなっている部分)に持ってくるもので、こうすると吸気慣性が増すので弱い吸気でもグングン吸える様になる。

これで低回転域を補いつつ、思い切り上を伸ばすことが出来たという話。

いきなり5馬力も上がってデザインもエアロフォルムが更に強調された新しいものになったもんだから約36,000台と先代を超える大ヒットに。

VT250Z

これは遅れて登場したネイキッドモデルのVT250Zも投入。カウルを剥いてその分お値段も抑えられています。

更に累計10万台突破を記念してリミテッドモデルも限定発売。

VT250リミテッドモデル

ただ一つ補足しておくとVT250Fが大ヒットしたのは

「速くてカッコよかったから」

だけではないです。

VT250Fが大ヒットしたのはそれらに加え、下からトルクフルで広いパワーバンドという

「4ストローク×Vツイン特有の扱いやすさ」

に磨きを掛けたスポーツバイクだったからです。

ネイキッドモデルを出したのも、ハイ・イナーシャ・ポートで低域を切り捨てる事をしなかったのもそれが理由。

INTEGRA後期

スポーツ至上主義の人だけでなく、街乗りやツーリング層の人からも広い支持を得ることが出来たからVT250Fは大ヒットしたんです。

主要諸元
全長/幅/高 2015/730/1155mm
[2015/730/1050mm]
シート高 765mm
車軸距離 1385mm
車体重量 167kg(装)
[167kg(装)]
燃料消費率 45.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 248cc
最高出力 40ps/12500rpm
最高トルク 2.3kg-m/11000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54S)
後110/90-17(60S)
バッテリー FB9-B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DP7EA-9/DP8EA-9(標準)/DP9EA-9
または
X22EP-U9/X24EP-U9(標準)/X27EP-U9
推奨オイル ウルトラ-U(10W-30)
オイル容量 全容量2.5L
交換時1.9L
フィルター交換時2.0L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ520|リンク104
車体価格 449,000円(税別)
[429,000円(税別)]
※[]内はVT250Z
系譜図
VT250F1982年
VT250F
(MC08前期)
MC08後期1984年
VT250F/Z
(MC08後期)
MC151986年
VT250F/Z
(MC15)
MC201988年
VT250SPADA
(MC20)
MC251991年
XELVIS
(MC25)
BA-MC33前期1997年
VTR
(BA-MC33前期)
BA-MC33後期2002年
VTR
(BA-MC33後期)
JBK-MC33前期2009年
VTR
(JBK-MC33前期)
JBK-MC33後期2013年
VTR
(JBK-MC33後期)

VT250F(MC08前期) -since 1982-

MC08前期

「ザ・スーパーパフォーマンスVツイン」

長い歴史を誇るVTRの始祖であり、バイクブーム時代を象徴するホンダの名車でもあるVT250F/MC08前期型。

当時はRZ250の登場で

「クオータースポーツは2st」

という時代でした。

VT250F

そんな中で出してきたVT250Fだったんですが、市販車初となるフロント16インチホイール、プロリンクサスペンション、インボードディスクなどなどの装備。

そして何より35ps/11000rpmという2stに引けを取らないパワーと、当時としては非常に珍しかったビキニカウルエアロフォルムに赤いフレーム。

MC08前期

何もかもが斬新で、何もかもが凄かった事から爆発的な人気を呼び、30,000台を超える販売台数を記録。

これはもちろんトップセールス。

ちなみにこの頃はカウルが承認されていませんでした。じゃあVT250Fはどうしたのかというとビキニカウルでなくメーターバイザーとして通すというトンチの様な事をやってのけたわけ。

VT250Fインテグラ

ただこの後すぐにカウルが解禁されたことから翌年にはフルカウルバージョンのVT250F INTEGRAも発売。

VT250Fスケッチ

VT250Fは

「4stで2stに勝つ」

というNRの頃から持ち続けていたホンダの信念を体現したような名車でした。

主要諸元
全長/幅/高 2000/750/1175mm
[2000/750/1190mm]
シート高 780mm
車軸距離 1175mm
[1190mm]
車体重量 162kg(装)
[165kg(装)]
燃料消費率 45.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 248cc
最高出力 35ps/11000rpm
最高トルク 2.2kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54S)
後110/80-18(58S)
バッテリー FB9-B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DP7EA-9/DP8EA-9(標準)/DP9EA-9
または
X22EP-U9/X24EP-U9(標準)/X27EP-U9
推奨オイル ウルトラ-U(10W-30)
オイル容量 全容量2.5L
交換時1.9L
フィルター交換時2.0L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ520|リンク104
車体価格 399,000円(税別)
[450,000円(税別)]
※[]内はVT250INTEGRA
系譜図
VT250F1982年
VT250F
(MC08前期)
MC08後期1984年
VT250F/Z
(MC08後期)
MC151986年
VT250F/Z
(MC15)
MC201988年
VT250SPADA
(MC20)
MC251991年
XELVIS
(MC25)
BA-MC33前期1997年
VTR
(BA-MC33前期)
BA-MC33後期2002年
VTR
(BA-MC33後期)
JBK-MC33前期2009年
VTR
(JBK-MC33前期)
JBK-MC33後期2013年
VTR
(JBK-MC33後期)

RVF(NC35) -since 1994-

NC35

「美しい、フォース。」

ミドルV4の最後を飾るRVF/NC35型。

エンジンこそ先代VFR400R(NC30)をベースにしているものの、ファクトリーレーサーであるRVFの名を冠するだけあり倒立フォークやそれに合わせた新設計フレーム、そして前後17インチ化によるハンドリングの向上など余念のない改良が施されています。

カタログ写真

ヘッドライトもそれまでの丸目からツインフォーカスヘッドライトに変更。

先代NC30が兄貴分のRC30のレプリカだったのに対し、NC35とRC45は共同開発(RVF DIRECT BROTHER)だったからそこまで似せなくてもいいという判断だったんでしょうね。アッチはRC30をそのまま大きくしたような丸目二眼です。

RVFレプリカの流れ

他にもブレーキやら何やら書ききれないほどの変更が入っていますが、それよりも書くべきことがあります。

このRVF/NC35はワークス直系でヘッドライトが暗いことを除けば文句なしのV4レーサーレプリカで78万円(当時)でした。これは決して高すぎる値段とは言えないどころか兄貴分のRVF750/RC45が200万円という事を考えれば破格の値段・・・でも売れなかった。

RVFジャケット写真

これが出た1994年にはレーサーレプリカブームがとっくに去っていたから。53馬力という自主規制もそれに拍車をかけたのもあると思います。

そしてTT-F3という400レプリカ競争を加熱させた400レースも人気低迷から91年に廃止。つまり世界選手権を睨んで作られたRVF750/RC45と違ってこのNC35は出れるレースが既に無かった状況だったんです。

RVFレプリカ

レースでも市場でも需要のないバイクを一体どういう意図でホンダが出したのか正確な回答はありませんが、恐らくTT-F3で培ったレース技術の市販車へのフィードバックというNR750から続くV4のコンセプトを忠実に遂行したんだと思われます。

そしてコレが最後のミドルV4レーサーになることも分かっていたから”RVF”というワークスの冠も付けたんじゃないかと。

RVF NC35

「RVF、この名がすべてだ。」

もう誰も見ていなかった4st400ccレーサーレプリカという舞台において、最後のウイニング・ランを飾ったのは間違いなくこのRVF/NC35。

主要諸元
全長/幅/高 1985/685/1065mm
シート高 765mm
車軸距離 1335mm
車体重量 183kg(装)
燃料消費率 30.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 53ps/12500rpm
最高トルク 3.7kgf-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60-17(55H)
後150/60-17(66H)
バッテリー FTX7A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
ER9EH/ER10EH
または
Y27FER/Y31FER
推奨オイル ウルトラU(SAE10W-30)
または
ウルトラGP(SAE20W-50)
オイル容量 全容量3.0L
交換時2.4L
フィルター交換時2.5L
スプロケ 前15|後38
チェーン サイズ525|リンク102
車体価格 780,000円(税別)
系譜図
NC131982年
VF400F/INTEGRA
(NC13)
NC211986年
VFR400R/Z
(NC21)
NC241987年
VFR400R
(NC24)
NC301989年
VFR400R
(NC30)
RVF4001994年
RVF
(NC35)

VFR400R(NC30) -since 1989-

NC30

「Vの本領」

VFR400Rとしては最後のモデルであり、歴代で最も息が長く最も売れたモデルでもあります。

あのVFR750R(RC30)にかなり近いデザインという事も人気を呼んだ理由の一つ。

NC30とRC30

実際NC30は”レーサーRVF400″ではなく”RC30″のレプリカ。

奇遇なことに型式まで同じ30なサンマル兄弟・・・いや、あんまりそんな呼ばれ方してませんけどね。

先代からの変更点としてはホイールベースの短縮やフロントホイールの17インチ化。リアはこの時まだ18インチでこれがマフラーが左出しに纏められた事と並んでNC30の特徴です。

NC30リア

もちろん他にもバックトルクリミッター付きクラッチや、どうしても後ろ二気筒が熱で苦しくなってしまうV4の課題を解決するためデュアルラジエーターなど、ポジションも含め完全にレーサー路線。

翌年にはリアサスペンションがリザーバータンク別体式の物に変更されています。

ただNC30で語るべきはやはりエンジン。

VFR400

ホンダは先々代NC21でクランク角を180度(90度、270度ともいう)に変更したんですが、NC30で再び360度に変更しています。

これがまあ難しい問題でして・・・

一般的にV4(90度バンクV型四気筒)には180度クランク角と360度クランクの二種類があります。

V4は開いたシリンダーの角度を表すバンク角と、クランクピンの角度を表すクランク角という2つの角度を表す表記があるから分かりにくいですね。

※もしクランク角がよくわからないという人は「バイク豆知識:二気筒エンジンが七変化した理由」を先に読んでもらえると助かります。

NC30エンジン

一応このページでは混乱しないようにバンク角の話は置いといてクランクの角度を

“180/360度クランク”

という形で説明していきます。

で、どう違うのかというと360度クランクの場合の燃焼間隔は0-270-360-630-720(0)。

180度クランクの場合は0-270-450-540-720(0)となります。

V4クランクアングル

360度クランクだと一つが点火したらすぐに(90度)次の気筒が点火してしばらく(270度)おやすみ。でまたボンボンと立て続けに点火してまたおやすみ。

ボボン・・・ボボン・・・ボボンといわゆるVツインを2つ並べた点火時期。

対して180度クランクはちょっと長め(270度)に空く時間が一つ出来るのでボボン・・・ボン・ボンという感じ。YZF-R1のクロスプレーンもこうです。

そしてNC30が360度クランクにしたのは

“速く走らせるなら360度クランクの方が有利”

だからです。

これは「バイク豆知識:クロスプレーンだと何が良いのか」のメリットで書いたとおり、タイヤを落ち着かせる270度という間隔が360度クランクの場合は2回転する間に2度もあるから。

V4クランク270度

対して180度クランクの場合は2回転に1度しかない。

だからトラクション性は360度の方が上回っている。速く走るなら360度なのはこれが主な理由。

じゃあなんで先々代NC21が180度クランクにしたのかというと、初代のVF400F(360度クランク)があまりにも極端な点火タイミング故に、排気音が濁っていると不評だったから。

これは本当に好みが別れるところなんですけどね。

透き通った音が好評な180度クランク直列4気筒も並べてもう一度燃焼間隔を見てみましょう。

V4クランクアングル

V型四気筒の180度クランクと360度クランクのどちらが直列4気筒に近いかと言えば180度クランクの方ですよね。

つまり180度クランクV4は(YZF-R1のクロスプレーンでも言われていますが)高回転まで回すと直列4気筒(180度クランク)とほぼ変わらないサウンドになります。

先代NC21が180度クランクを取ったのはこういった理由が大きいんです。

でもだからといって180度クランクのメリットは音だけなのかというとそうではないですよ。

現存している大型のV4(VFR800)のクランク角は180度クランクです。※VFR1200は位相で全く違う

NC30カタログジャケット

これはサウンド云々の問題ではなく180度クランクV4は360度に比べ二次振動(微振動)を限りなく0に出来るというメリットがあるから採用してるんです。

トラクション性が(あくまでも360度V4に比べ)劣るぶん振動を限りなく0に出来る最もスムーズな四気筒なのが180度クランクV4。だからNC21-24はエンジンに合わせてポジションなどが少し優しかったわけ。

VFR400Rカタログ写真

反対に同じV4でもレース色の強いVFR750R/RVF750(RC30/RC45)やRC213V-Sは360度クランクになっています。これはサーキット走行がメイン、つまりトラクション性が何よりも大事だから。

同じV4でもクランク角によって一長一短あるという事です。

VFR400Rスペシャルカラー

そしてVFR400R/NC30はピュアレーサーのようなVFR750R/RC30のレプリカである事、そしてTT-F3を始めとしたレースに勝つ事に重きを置いたマシンだったから360度を取ったという話。

主要諸元
全長/幅/高 1985/705/1075mm
シート高 755mm
車軸距離 1345mm
車体重量 182kg(装)
[185]kg(装)
燃料消費率 37.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 59ps/12500rpm
最高トルク 4.0kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60-17(55H)
後150/60-18(67H)
バッテリー FTX7A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
ER8EH/ER9EH(標準)/ER10EH
または
Y24FER/Y27FER(標準)/Y31FER
推奨オイル ウルトラU(SAE10W-30)
または
ウルトラGP(SAE20W-50)
オイル容量 全容量3.0L
交換時2.4L
フィルター交換時2.5L
スプロケ 前15|後40
チェーン サイズ525|リンク104
車体価格 749,000円(税別)
※[]内は90年以降モデル
系譜図
NC131982年
VF400F/INTEGRA
(NC13)
NC211986年
VFR400R/Z
(NC21)
NC241987年
VFR400R
(NC24)
NC301989年
VFR400R
(NC30)
RVF4001994年
RVF
(NC35)

VFR400R(NC24) -since 1987-

NC24

「新・戦力」

わずか一年ちょっとでモデルチェンジされたVFR400R(NC24)。

大きな変更点としてスイングアームが片持ち(プロアーム)になったこと。ホンダのV4といえばプロアームという人も居るでしょう。

エルフモト

このプロアームはもともとNS500で戦っていたフランスの企業でオイルなどでお馴染みELFというメーカーのレースチームELF MOTOが開発した物でホンダはどちらかというと協力者。

そしてELF MOTOが撤退となったことを機にホンダが特許を買い取りホンダの物になったというわけ。

ホンダのレーサーレプリカといえばプロアームという考える人は多いと思いますが、プロアームのメリットを答える人はどれくらい居るでしょう。

プロアーム

ホンダの当時の謳い文句をそのまま書くと

・タイヤ交換時間の短縮

・剛性値を両持ちより稼げる

・それによってバネ下荷重の軽減

・ブレーキという重量物をセンターに出来る

などなど。

NC24壁紙

でも現代のホンダのレーサーマシンを見ると分かる通り両持ちですよね。

あくまでもレースでの話ですが、これは結局両持ちのほうが軽く出来る(剛性値)を稼げる事が分かった事と、片持ち故に左右でコーナリングの挙動が違うというネガな部分があったから。タイヤ交換も技術の進歩であんまり変わらない。

じゃあプロアームの良いところは無いのかというとそんな事はありません。今でもVFRなどに採用されているのを見れば分かるようにプロアームの良いところはちゃんとあります。

NC24カタログ写真

カッコいい事です。

主要諸元
全長/幅/高 2010/690/1125mm
シート高 770mm
車軸距離 1375mm
車体重量 183kg(装)
燃料消費率 44.2km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 59ps/12500rpm
最高トルク 4.0kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54H)
後130/70-18(63H)
バッテリー FB9L-B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
ER8EH
または
Y24FER
推奨オイル ウルトラGP(SAE10W-40/20W-50)
オイル容量 全容量3.0L
交換時2.4L
フィルター交換時2.5L
スプロケ 前16|後40
チェーン サイズ525|リンク106
車体価格 679,000円(税別)
系譜図
NC131982年
VF400F/INTEGRA
(NC13)
NC211986年
VFR400R/Z
(NC21)
NC241987年
VFR400R
(NC24)
NC301989年
VFR400R
(NC30)
RVF4001994年
RVF
(NC35)

VFR400R(NC21) -since 1986-

NC21

「ウイニング・テクノロジー」

待ってましたと言わんばかりの登場となったレーサーレプリカ、RモデルのVFR400R。

TT-F3

キャッチコピーにもあるようにこのバイクはTT-F3(400cc国内レース)で1985~86年の優勝マシンRVF400のレプリカモデル。

そのマシンに習い、高剛性のアルミツインチューブフレーム、カムギアトレイン、クランク角を360度から180度へ変更などなどHRC(HONDA RACING CORPORATION)テクノロジー満載のバイク。

NC21線図

ただダブルシートなのを見ても分かる通りこの頃はまだカリカリというわけではなく、速さは持っていたけどポジションは優しかったから改めて見ると、とっても速いV4レプリカツアラーという感じ。

そして合わせて登場したのが一部の人しか知らないけど、知ってる人は絶対に忘れないVFR400Z。

VFR400Z
(NC21)
-since 1986-

VFR400Z

VFR400Rのカウルレスネイキッドモデルで丸目二眼が特徴的。

知らないのも無理もない話でV4の400としては最初で最後のネイキッドモデル。Rモデルが一年後にモデルチェンジするんだけどコッチはコッチでマイナーチェンジをし、しばらくは併売していました。

じゃあ知ってる人は絶対に忘れない理由が何かというと、これは教習車としても広く採用されたから。

VFR400Z教習車

80年代後半から90年代にかけてCB400SFに置き換えられてるまで教習車といえばコレ(もしくはCBR400K)が多かったんです。

デチューンされているとはいえV4カムギアトレーンの教習車・・・HRCテクノロジーのありがたみが薄れますね。

NC21佐藤浩市

ちなみに佐藤浩市さんが起用されていた事はあまり知られていない。

主要諸元
全長/幅/高 2010/705/1125mm
[2010/705/1010mm]
シート高 765mm
車軸距離 1375mm
車体重量 182kg(装)
[178kg(装)]
燃料消費率 44.2km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 59ps/12500rpm
最高トルク 3.7kg-m/11000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54H)
後130/70-18(63H)
バッテリー FB9L-B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
C8EH-9
推奨オイル ウルトラGP(SAE10W-40/20W-50)
オイル容量 全容量3.1L
交換時2.4L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前16|後40
チェーン サイズ525|リンク106
車体価格 659,000円(税別)
[629,000円(税別)]
系譜図
NC131982年
VF400F/INTEGRA
(NC13)
NC211986年
VFR400R/Z
(NC21)
NC241987年
VFR400R
(NC24)
NC301989年
VFR400R
(NC30)
RVF4001994年
RVF
(NC35)

VF400F/INTEGRA(NC13) -since 1982-

NC13

「ハイテック・スーパー・ミドル」

同年デビューの打倒2stことVT250Fと瓜二つな見た目で登場した400ccのV4バイクの始まりとなるVF400F(NC14)。

NC13カタログ写真

遂に400でもV4が登場したと(まだ大型二輪が限定解除で難しかった事もあって)話題になり、また裏切らない速さを持っていたことから14000台以上を売るヒットを飛ばし翌1983年にはCBX400Fを抑え年間販売台数トップを獲得。

NC13E

後継モデルの影響か現代ではCBX400Fほど話題にはなりませんが、当時は非常に人気でした。

当時を知らない人の為に補足するとホンダはこの頃からストリートはCB/CBR系、レースはVF/VFR系とツートップ戦略に近いラインナップをしていたんです。

NC13インテグラ

そして1984年からはフルカバータイプのINTEGRAも登場。

これはカウルに対する国土交通省の規制が緩和された事が大きな理由。ノーマルのFの方もどう見てもビキニカウルなんだけど、それじゃ国土交通省の認可が下りない(型式を取れない)事から

VF400F

「これはカウルじゃなくてメーターバイザー」

っていう屁理屈みたいな言い訳で押し通した歴史があるんです。

主要諸元
全長/幅/高 2060/750/1160mm
[2055/730/1195mm]
シート高 780mm
車軸距離 1415mm
[1405mm]
車体重量 191kg(装)
[195kg(装)]
燃料消費率 43.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 17L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 53ps/11500rpm
最高トルク 3.5kg-m/9500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54H)
後110/90-18(61H)
バッテリー FB12A-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DP7EA-9/DP8EA-9/DP9EA-9
または
X22EP-U9/X24EP-U9/X27EP-U9
推奨オイル ウルトラGP(SAE10W-40/20W-50)
オイル容量 全容量3.0L
交換時2.2L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ525|リンク108
車体価格 528,000円(税別)
[589,000円(税別)]
系譜図
NC131982年
VF400F/INTEGRA
(NC13)
NC211986年
VFR400R/Z
(NC21)
NC241987年
VFR400R
(NC24)
NC301989年
VFR400R
(NC30)
RVF4001994年
RVF
(NC35)