これまた環境規制に対応するためにモデルチェンジされたK型。
見た面も中身もガラッと変わりました。外見の方は正にNinjaシリーズといった顔つきになりましたが、それ以上に変わったのが中身の方。
エンジンの基本設計は変わらないものの理想的な燃焼(空燃比)を実現するため自動補正スロットルバルブが付きデュアルタイプになりました。他には今や当たり前となってしまったアシストスリッパークラッチも装備。
ダブルペリメターフレームからトレリスフレームへと再び戻されスイングアームも新設。全体的にコンパクトにされた事もあって20kg近く軽くなってる。
あとサスペンションがカワサキイチオシのホリゾンタルバックリンクになりました。そのおかげか規制対応の為に大きくなったプリチャンバーとマフラーが今まで以上に腹下にしっかり収まってます。
ハンドルもパイプタイプだったものが根本が繋がっている肉抜きセパハン化。そして可変式スクリーンにギヤポジションインジケーター&シフトアップインジケーター付メーターと色々な部分が多機能に。
もうここまで来ると日本製と大差ないんじゃないかと思えてきますね。多分カワサキもそこら辺に凄く気を使ってるんでしょう。
そしてこのモデルからネイキッドバージョンであるER-6nがZ650と改められました。ザッパー(1980 Z650)を思い出す人は・・・そんなに居ないか。
Z650
(ER650H)
-Since2017-
カワサキの二大看板であるNinjaとZの融和がどんどん進んでますね。
ネイキッドバージョンのZとフルカウルのNinja戦略が上手くいってるんでしょう。ダブルペリメターフレームをやめたのはZの事もあってだったのかな。
基本的にはこれまでのERと同様に中身はNinja650と同じだけどネイキッドなぶん193kg(装備重量)と6kgも軽くなってます。
面白いのがLEDテールライトでこのZ650もZのデザインコンセプトである”SUGOMI”の例に漏れずテールライトはZの形。
NinjaはXだからわざわざ作り分けたのかと思ったけどそうではなく、点灯位置をそれぞれ切り替えることで変化させてる。
・・・ちょっと歯抜けみたいだけどテールライトを覗き込む人なんて居ないでしょうから気にする事でもないか。
少し話が反れますが、ER-6でタイカワサキの話をしてたので最近の話を。
2009年に起こった世界恐慌による先進国の需要落ち込みから、カワサキは生産を段階的に明石からタイへ移管する計画
明石→日欧米向けの高額モデルメイン(25万台生産から10万台生産へ)
タイ→その他のバイク(10万台生産から25万台生産へ)
を進める事となりました。
しかし耳にした人も多いかと思いますが、最近では逆にタイから明石に生産を戻す計画(明石工場での生産を10万台から15万台へ)が進められています。
これにはこれまた複合的な要因があるわけですが簡単に言うと
・ASEANの経済成長による人件費高騰と円安でタイで作っても明石で作ってもコストが変わらなくなってきた事
・年々大きくなるASEANの二輪市場用のニューモデルをタイで作るため
といった事から(ホンダなども取り組んでるみたいですが)ASEANから部品を輸入して日本で組み立てる動きが出来てきてるわけです。Ninja250なんかが正にそれなんですが、Ninja650/Z650も日本ではあまり売れないから国内モデルは日本製になる日が来るかも。もはやタイ製でも問題ないんですし、嬉しくもあり悲しくもある理由ですが。
ちなみに明石工場ではロボット事業にも強いカワサキらしく(豆知識:我々が知らないカワサキの別の顔)、自動で必要な部品を所定の場所まで運んでくれるDIY臭プンプンの可愛いロボットが走っています。
ポカヨケシステムというそうです。ポカヨケ君とでも呼ばれているんでしょうかね。
さてさて・・・あんまり車体について話しませんでした。語るタイプのバイクではないので大目に見て欲しいところです。
実際日本でこのバイクに興味のある方は少ないから読む人もそんなに居ないと思いますし。
カワサキを代表するペットネームであるNinjaという割には
「大型バイク」「パラツイン」「先鋭要素無し」
という日本の市場や文化にアンマッチな要素を3つも兼ね備えてますもんね。
最近は当たり前になってきたのでだいぶ聞かなくなりましたが”パラツインなんてNinjaじゃない”と思う人も居るでしょう。
お気持ちはわかります。しかし世界で見た時、カワサキのNinjaといえば今やこの650なのが現実。
ただ安くて台数が出てるだけではありません。確かにコストパフォーマンスに優れる点もNinja650/Z650にとっては欠かせない要素の一つですが、GPZ500Sから一度も期待を裏切らない造りを続けてきたからこそ非常にシビアなミドルクラスで評価され、愛され、欧州カワサキを代表するバイクにまで上り詰めたんです。
それが表れているのがドイツのケルンで開催される世界最大級にして欧州を代表するモーターショーの一つであるインターモト。
このインターモト2016でNinja650は初お披露目となったわけですが、単に発表されたわけではなく新型Z1000SXやH2と並び他の車種を抑えてコンパニオン付きお立ち台に上げられるVIP待遇。
これこそカワサキの看板車種の証であり、来場する多くのギャラリーが関心をよせる車種の証でもあるわけです。
そうですねえ・・・このバイクを例えるなら
「最高のNinja/Zではないけど最良のNinja/Z」
といったところでしょうか。
主要諸元
全長/幅/高 |
2055/740/1135mm [2055/755/1080mm] |
シート高 |
790mm |
車軸距離 |
1410mm |
車体重量 |
193kg(装) [187kg(装)] |
燃料消費率 |
24.0km/L ※WMTCモード値 |
燃料容量 |
15.0L |
エンジン |
水冷4サイクルDOHC2気筒 |
総排気量 |
649cc |
最高出力 |
68ps/8000rpm |
最高トルク |
6.6kg-m/6500rpm |
変速機 |
常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ |
前120/70ZR17(58W) 後160/60ZR17(69W) |
バッテリー |
YTZ10S |
プラグ |
CR9EIA-9 |
推奨オイル |
カワサキ純正オイルR4/S4 または MA適合品SAE10W-40 |
オイル容量 |
全容量2.3L 交換時1.6L フィルター交換時1.8L |
スプロケ |
前15|後46 |
チェーン |
サイズ520|リンク114 |
車体価格 |
748,000円(税別) [728,000円(税別)] ※[]内はZ650 |
系譜図