GSX-S125(DL32B)-since 2017-

GSX-S125

「The spirit of GSX-R ready for street」

2017年に登場したスズキのGSX-S125/DL32B型。

・前後17インチ
・水冷DOHC単気筒15馬力エンジン
・新設計バックボーンフレーム
・六速ミッション
・ABS標準装備
・液晶デジタルメーター

などなど紛れもなくフルスペック125といえる形で鮮烈デビューを飾りました。

GSX-S125のこのパワフルなエンジンは製造国でもあるインドネシアでスポーツモデルとして売られ絶大な人気を得ているサトリアF150というモデルに使われているものがベースになります。

サトリア150

これに使われているエンジンをベースにストロークを7.6mm下げ、メッキシリンダー加工による耐摩耗性と耐熱性を向上させたものを搭載。

これにより上までキッチリ回る

『15馬力/12000rpm』

という125としては上限とも言える馬力を叩き出す事を達成。

エンジン

ちなみになんで上限と言えるか補足すると、GSX-S125のメイン市場は日本と欧州になるんですが、欧州では125ccは15馬力が日本で言う原付免許の上限だから。

このようにエンジンは基本的に既製品を流用しコストを抑えたことで125としてトップパフォーマーを誇りつつも車体価格は約33万円と抑えた・・・だけじゃないのが凄いところ。

GSX-S125は実は15馬力エンジンに負けないくらい車体の方にコストが掛けられているんです。

フレーム

まずなんと言ってもメインフレームで、GSX-S125(と一部の国向けの150)のためだけに開発された完全新設計のバックボーンタイプという骨格を持っているわけですが、フルサイズ125にも関わらず

・装備重量でわずか133kg
・ホイールベースが1300mmと極端に短い

という尖った要素を持つ事が可能となったのは紛れもなくこれのおかげ。

諸元

250など上のクラスと車体を共有するのではなく

「専用フレームをわざわざ新設計したから」

にあります。

これだけホイールベースが短いにも関わらずクイックさはそのままに17インチらしい素直な操安性を確保しているのも、そしてシートがかなり絞られ脚付きやポジションが悪くないのも全ては専用フレームありきで開発されたからという理由が大きい。

更にダメ押しとなるのが、クイックさと操安性を両立させるためダンロップと協力し専用タイヤ(D102)まで開発し、それを支えるリアサスペンションもこのクラスとしては非常に珍しくリンク式サスペンションを採用。

リンク式サスペンション

DOHCの15馬力エンジンに専用フレームで、リンク式モノサスで17インチにも関わらず133kgと相当軽い。

『お下がりじゃない17インチ125スポーツ』

と言える本当に文句のつけようが無い125。それでいて車体価格が35万円程度というのは流石スズキ。

初っ端にして全力、気合入れすぎとさえ言えるもので、どうしてここまでのモデルを用意したのかって話。アジアで需要が増しているレースを含む市販車スポーツ需要(あっちは主に150)に応えるためだろうと思っていたんですが、理由はそれだけではなく答えの一つは装備にありました。

電装系

GSX-S125はLEDヘッドライトはもちろん、メーターもフル液晶ディスプレイ。加えて立派なアンダーカウルまで標準装備されている。正直ここまでの装備は不要じゃないのかとさえ思えるんですが、何故そこまでしたのかというと

カタログ写真

「俺はGSX-S125を買うんだ」

と言いながら開発していたメンバーが、車体設計を始め多く居たからという単純な話。※GSX-S完全ファイルより

主要諸元
全長/幅/高 2000/745/1035mm
シート高 785mm
車軸距離 1300mm
車体重量 133kg(装)
燃料消費率 44.7km/L
※WMTCモード値
燃料容量 11.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 124cc
最高出力 15ps/10000rpm
最高トルク 1.1kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前90/80-17(46S)
後130/70-17(62S)
バッテリー FTZ5L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR8EDX-9S
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.5L
交換時1.3L
フィルター交換時1.4L
スプロケ 前14|後45
チェーン サイズ428|リンク122
車体価格 328,000円(税別)
系譜図
GSX-S125 2017年
GSX-S125
(DL32B)
GSX-R125 2018年
GSX-R125
(DL33B)

GSX250R(DN11A)-since 2017-

GSX250R

「アーバンストリート」

スズキから発売されたGSX250R/DN11A型。

最初に見た時はGSR250にSSルックなカウルを被せただけかと思ったけど、結構色々と変更されたようで。

・有機的なカウル

・ヘッドライト(ポジションとテールはLED)

・セパレートハンドルとシート

などを見ても分かる通りGSXシリーズの流れを汲んでいて中々スポーティに仕上がっています。

GSX250R

ポジションもGSRに比べると結構前傾気味な。

まあこれはFがかなりアップライトなのもあるので程よい感じ。

メーターもかなり頑張っており

・ギアポジ

・シフトインジケーター

・オイルチェンジ

・燃費計

・時計

GSX250Rメーター

といったかなり多機能なフルデジタルメーター。

足回りも専用フロントフォークに7段階調整式リヤサスにペタルディスク。そして航続距離500kmを可能とした15Lのガソリンタンク。

GSX250Rマフラー

更にマフラーを一本出し化してセンタースタンドも取っ払ったおかげでGSR250F比で-11kgという大減量。

それなのに車体価格はFに+1万円ちょっととかなり抑えてる。

正直GSR250F買った人が少し気の毒にもなる。まあ快適性や長距離などのツアラー性能はアッチのほうが上だけどね。

カタログ的な事はこれくらいでいいでしょうか・・・というのも個人的に掘り下げたい所があります。

それはエンジンというかエンジンスペック。

GSX250Rメーターまわり

GSX250RはGSR250のエンジンベースとはいえ手が加えられています。

ローラーロッカーアームにシリンダーやピストンリングの見直しでGSR250が24馬力なのに対しGSX250Rは・・・なんと24馬力。

というのもこれらの変更はフリクションロス軽減による燃費改善が狙いの改良で馬力を上げるためじゃないから。

ただそのことから

「何も変わってないじゃん」

とか

「全然スポーツじゃなくてガッカリ」

という声が多く聞こえてきて、コレは書かねばと思ったわけです。

GSX250Rエンジン

確かに自分の中で欲しいバイク像が定まっていてGSX250Rはストライクゾーンから外れているというのは分かります。

でもそうじゃない人、例えばこのGSX250Rのメインターゲットであるバイクデビューを考えてるエントリー層や、まだ右も左もよく分からないビギナー層ならこれを機に少しだけ学んで欲しいことがあります・・・それは

「必ずしも馬力が高い方が速いとは限らない」

ということです。

なるべく噛み砕いて説明したいと思います。

GSX250Rフロントとリア

GSR250もそうですがGSX250Rはロングストロークエンジンで低速トルク、下を太らせたバイクです。

トルクって耳にした事くらいはあると思います。

「トルクがある」

とか

「下がスカスカ」

とかよく言われますよね。このサイトでも言ってます。

GSX250Rデザインスケッチ

凄くザックリ言うと本領発揮する回転数を上に持っていけば持っていくほど馬力は上がり、逆に下に持っていくほど馬力が下がるのがエンジンの宿命です。

そして争点はここ。

「どうしてGSX250Rは上に持っていかなかったのか」

ということなんですが、上(高回転)にピークを持っていくと下(低回転)が犠牲になってしまうんです。もちろん反対に下にピークを持っていくと上が犠牲(回らない)になります。

これは(燃焼室の)ボアストローク比というものが大きく関係していて馬力は回転数で稼ぐのが基本だから。

詳しい事は『ロングストロークとショートストロークの違い|バイク豆知識』をどうぞ

GSX250R赤

つまりGSX250Rが24馬力しかないのは下を取ったから。

だからGSX250Rは8,000rpm(回転)という低い回転数でピークパワーを発生させます。

その結果どんなバイクになったのかというと8000rpmまではGSX250Rがライバル達よりも速いんです。

GSX250R広告

「スポーツバイクは馬力!低速トルクなんて要らない!」

という考えも痛いほど分かります・・・ですが少し待ってください。

GSXシリーズの長でありスズキのフラッグシップモデルでもあるGSX-R1000というバイクがあります。

GSXR1000

レースを走る為に生まれたようなマシンで怪物的なスペックと速さを持っていますが、怖そうで難しそうな見た目に反して歴代すべて

「乗りやすいSS」

「初心者が一番速く走れるSS」

とか言われたりします。

そう言われる最大の理由は

「SSなのに低速トルクがあるから」

です。

下が全く無い高回転型エンジンというのはコーナーでも最適なギアチェンやブリッピングをして高い回転数をキープする事で初めて速く走れる。でも反対に言うとそれが出来ないというか出来なくて当たり前な普通の人が乗ると美味しい部分を維持出来ないから遅い。

だから回転数が落ちていようがトルクに物を言わせた力技でグイグイ失速することなく走れちゃうGSXが一番速く走れると言われているんです。

GSX250R全色

GSX250R開発者の福留さんがGSRという24馬力の低速トルク重視エンジンをチューニングする際に上へ押し上げるのではなく更に下を太らせたのもこのため。

スズキのスポーツブランドであるGSXにおける考えとして

GSX250Rバナー

「低速トルクこそが速さに繋がる」

という考えがあり、それは250でも変わらないという事を示したバイクでもあるんです。

これは本当に英断だと思います。営業からセールスポイントにならないから馬力を上げろと絶対に言われたハズ。

GSX250Rサイド

それでも上ではなく下を取ったのは間違いなく排気量が限られている250においてこれが速く、そして楽しく走れるとスズキは考えたから。

スペックは高く感じないけど250スポーツバイクとしての志は高く感じるのがGSX250Rというバイク。

主要諸元
全長/幅/高 2085/740/1110mm
シート高 790mm
車軸距離 1430mm
車体重量 178kg(装)
燃料消費率 32.5km/L
※WMTCモード値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルSOHC2気筒
総排気量 248cc
最高出力 24ps/8000rpm
最高トルク 2.2kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80-17(57H)
後140/70-17(66H)
バッテリー YTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR7EA-9
または
U22EPR9
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時2.2L
フィルター交換時2.4L
スプロケ 前14|後46
チェーン サイズ520|リンク116
車体価格 488,000円(税別)
系譜図
GSX250E1980年
GSX250E(GJ51B)
GSX250T/L1981年
GSX250L/T(GJ51A)
GSX250Eカタナ1982年
GSX250E KATANA(GJ51B)
INAZUMA2502012年
GSR250(GJ55D)
GSR250s2014年
GSR250/S/F(GJ55D)
GSX250R2017年
GSX250R(DN11A)

【関連車種】
CBR250/CB250の系譜YZF-R25/3の系譜Ninja250/Z250の系譜

GSR250S/F(GJ55D)-since 2014-

GSR250S

GSR250が出て二年が経った頃に登場した追加モデルのGSR250S。

大きな大きなハーフカウルを付けたモデルで防風性が桁違いに向上しました。チューリップとか言われてますね。

カウル付けただけかと思いきや実はハンドルも変更されていて無印よりも更に楽ちんなポジションに変わってます。

GSR250ポジション

実はこのGSR250Sは元々中国の広東省での公安車(GW250J)がキッカケ。

大長江GW250J

元々GSR250を作っているのは江蘇省にある常州豪爵鈴木摩托車有限公司というスズキとHaojueという現地資本との共同会社で、GSR250Jという白バイを市販化しようとして出来たのがGSR250S。

経緯はどうあれ良いですよね。

骊驰

見るからに旅バイクな感じでキマってる。右下の方に書いてある文字

「骊驰」

はGSR250(GW250)のペットネームで「リィ ツィー」と読むみたい。

GSR250Sオプション装備

向こうではSのオプションにJ仕様に近しいボックスやガードなどのオプションパーツがあるけど・・・何故日本には入ってこないのか。

GSR250F
(GJ55D)
-since 2014-

GSR250F

Sモデルから半年ほどたった頃に登場したFモデルのGSR250Fはサイドカウルまで装着したフルカウルモデル。

流れ的にはbandit1250Fと同じような感じで可愛い弟分という感じですね。車格は結構負けず劣らずな部分がありますが。

FモデルもSモデルと同様にただカウルを付けただけじゃなくてハンドル変更でポジションがちょっと変わってます。

SモデルとFモデルの比較

スクリーンの長さとハンドルのタレ角に変更が入ってて、更にFモデルはハンドルバーやトップブリッジなどのハンドル周りがブラックアウト化など。

イナズマ250F

ビルトインウィンカーといい形状といい250ccとは思えない凝ったカウルが増えましたね。

主要諸元
全長/幅/高 2145/760/1305mm
[2145/790/1255mm]
シート高 780mm
車軸距離 1430mm
車体重量 188kg(装)
[189kg(装) ]
燃料消費率 29.2km/L
※WMTCモード値
燃料容量 13.0L
エンジン 水冷4サイクルSOHC2気筒
総排気量 248cc
最高出力 24ps/8500rpm
最高トルク 2.2kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80-17(57H)
後140/70-17(66H)
バッテリー YTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
または
U22ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時2.1L
フィルター交換時2.4L
スプロケ 前14|後46
チェーン サイズ520|リンク116
車体価格 456,000円(税別)
[476,000円(税別)]
※スペックはSモデル
※[]内はFモデル
系譜図
GSX250E1980年
GSX250E(GJ51B)
GSX250T/L1981年
GSX250L/T(GJ51A)
GSX250Eカタナ1982年
GSX250E KATANA(GJ51B)
INAZUMA2502012年
GSR250(GJ55D)
GSR250s2014年
GSR250/S/F(GJ55D)
GSX250R2017年
GSX250R(DN11A)

GSR250(GJ55D)-since 2012-

GSR250

コンセプトは「QUARTER SPORT」

先代(と言えるのか微妙だけど)GSX250E KATANAから30年近く経ってから登場したスズキ久しぶりのパラツインエンジンを積んだGSR250

このバイクは元々中国向けにスズキが作ったもので、日本やEUといった先進国へのセールスに対しては消極的というかオマケだった。

GW250

ところがそんなGSR250を見た先進国ユーザー達から思わぬ反響があり、売り出したらやっぱり反響良くてグローバルモデルに昇格したというちょっと特殊な生い立ち。

ちなみに作ってるのは中国ですけど開発設計は日本です。そのせいか中国やアメリカではGW250、EUではINAZUMA250、そして日本ではGSR250と車名も多種多様。

イナズマ250

導入が先進国の中でも比較的遅かった日本に至っても反響は大きく、蓋を開けてみたら目標販売台数の二倍以上の台数を売り2013年126~250cc部門で販売台数2位というセールスを記録しました。

もともと中国向けに作られている事から

『頑丈・安い・トルクフル』

っていう実用性のツボを完璧に押さえたバイク。

ある意味ではスズキらしいコストパフォーマンスに全力なモデルなんですがそれにしても

「これは売れる」

と自信を持って送り出したGSR兄弟のB-KINGやGSR400/600は売れず

GSR兄弟

「これは売れないだろ・・・」

と思ってた末っ子のGSR250が売れたという現実は何だかな。

主要諸元
全長/幅/高 2145/760/1075mm
シート高 780mm
車軸距離 1430mm
車体重量 183kg(装)
燃料消費率 29.2km/L
※WMTCモード値
燃料容量 13.0L
エンジン 水冷4サイクルSOHC2気筒
総排気量 248cc
最高出力 24ps/8500rpm
最高トルク 2.2kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80-17(57H)
後140/70-17(66H)
バッテリー YTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
または
U22ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時2.1L
フィルター交換時2.4L
スプロケ 前14|後46
チェーン サイズ520|リンク116
車体価格 418,000円(税別)
系譜図
GSX250E1980年
GSX250E(GJ51B)
GSX250T/L1981年
GSX250L/T(GJ51A)
GSX250Eカタナ1982年
GSX250E KATANA(GJ51B)
INAZUMA2502012年
GSR250(GJ55D)
GSR250s2014年
GSR250/S/F(GJ55D)
GSX250R2017年
GSX250R(DN11A)

GSX250E KATANA(GJ51B)-since 1982-

GSX250Eカタナ

元祖250カタナことGSX250E KATANA

スズキのカタナといえば誰もがあの形を思い浮かべるけど実は250で最初に出たカタナはこのモデルです。

有名なあのカタナの250版GSX250S KATANAは10年後の91年発売。

「全然カタナっぽくない」

と思う人が大半でしょう。

それは恐らく最初に出たKATANAでありGS650Gの印象が無いから。

GS650G

本当にこのバイクをカタナとして売っていた事を信じられない人もいると思うので当時のGS650Gのカタログ表紙も載せてみます。

GS650Gカタナ

ちゃんとカタナって書いてあるでしょ。

もう恐らく殆どの人が忘れて話に出る事も無いでしょうが。

KATANA250E

とまあそんなこんなでカタナになったGSX250Eだけど、跨って上からタンクを見るとノッペリしてる様から「ザリ」から進化して「ゴキ」という愛称で親しまれました。

ゴキっていうのはみなさんご存知Gです。

ユーザーに愛称を付けられるって名誉な事だけど、こんな愛称だと素直に喜んで良いものか考えものですね。

GSX250Eビキニカウルモデル

翌年にはビキニカウルを付けたモデルも登場しました。

でもこのゴツい見た目や走行性能の良さに加え安かった事が災いしてか、暴走族にも人気が出てしまった。

スズキがこのモデルを最後に後継を出さなかったのはそういう経緯から生まれた三ない運動によるものが大きかったのかもしれない。

主要諸元
全長/幅/高 2100/755/1115mm
シート高 755mm
車軸距離 1410mm
車体重量 157kg(乾)
燃料消費率 45.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16.0L
エンジン 空冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 249cc
最高出力 29ps/10000rpm
最高トルク 2.2kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.60S18-4PR
後4.10S18-4PR
バッテリー FB10L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
D8EA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.5L
スプロケ 前14|後47
チェーン サイズ520|リンク110
車体価格 359,000円(税別)
系譜図
GSX250E1980年
GSX250E(GJ51B)
GSX250T/L1981年
GSX250L/T(GJ51A)
GSX250Eカタナ1982年
GSX250E KATANA(GJ51B)
INAZUMA2502012年
GSR250(GJ55D)
GSR250s2014年
GSR250/S/F(GJ55D)
GSX250R2017年
GSX250R(DN11A)

GSX250T/L(GJ51A/E)-since 1981-

GSX250E

先に紹介したGSX250Eの好評に気を良くしたスズキが出した派生モデルになるGSX250TとGSX250L

Traditionalの頭文字を取ったT型は文字通り旧来のオーソドックスネイキッドモデル。

GSX250L

L型はLuxuryのLで当時プチ流行していたナンチャッテアメリカン。

両車の違いはハンドルくらいだったりするんだけど、TとLどちらも83年にベースのE型がモデルチェンジしたのを機に廃盤となったから僅か3年ほどしか売られてない。

T型ですらどちらかと言えばマイナーなのに更にマイナーなバイク。

主要諸元
全長/幅/高 2055/840/1105mm
シート高 745mm
車軸距離 1410mm
車体重量 154kg(乾)
燃料消費率 43.5km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16.0L
エンジン 空冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 249cc
最高出力 29ps/10000rpm
最高トルク 2.2kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.00S18-4PR
後3.50S17-4PR
バッテリー FB10L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
D8EA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.5L
スプロケ
チェーン
車体価格 329,000円(税別)
※スペックはGSX250T
系譜図
GSX250E1980年
GSX250E(GJ51B)
GSX250T/L1981年
GSX250L/T(GJ51A)
GSX250Eカタナ1982年
GSX250E KATANA(GJ51B)
INAZUMA2502012年
GSR250(GJ55D)
GSR250s2014年
GSR250/S/F(GJ55D)
GSX250R2017年
GSX250R(DN11A)

GSX250E(GJ51B)-since 1980-

GSX250E

ホントのところを言うとこのバイクとGSR250やGSX250Rはほとんど繋がりは無いんだけど、同じスズキのパラツイン250ということでご紹介しようと思います。

時はさかのぼって70年代、スズキはGSシリーズやGTシリーズなど大型では名車を生んでたんだけど中型の方ではデザインの面で他社に引けを取っていた。

「スズキのバイク=実用バイク」

というイメージがユーザーに定着していたんです。

そんなイメージを払拭するために作り出されたスズキ初の4st250がこのGSX250E(通称ザリ)

ザリっていうのは「タンクの形状が丸みを帯びててザリガニみたい」という印象からユーザーの間で広まったアダ名で決してスズキが名付けたわけじゃない。

ザリ

ザリガニみたいと聞くと評判は良くなかったのかと思うかもしれないけどそれは逆で
「戦闘機スタイル」と言われスズキらしからぬデザインが好評だった。

しかしGSX250Eの素晴らしいところはデザインだけではありません。

GSX250E

当時250は400のお下がりが基本だったから「遅くて重い」が当たり前だったんだけど、スズキは中型部門で巻き返しを図るために兄貴分であるGSX400Eとは別に250専用設計のフレームを用意。

斬新なデザインと250専用設計で軽いという二つのアピールが販売面で功を奏したわけです。

主要諸元
全長/幅/高 2060/755/1090mm
シート高
車軸距離 1360mm
車体重量 153kg(乾)
燃料消費率 45.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14.5L
エンジン 空冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 249cc
最高出力 29ps/10000rpm
最高トルク 2.2kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.60S18-4PR
後4.10S18-4PR
バッテリー FB10L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
D8EA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.5L
スプロケ 前14|後47
チェーン サイズ520|リンク110
車体価格 320,000円(税別)
系譜図
GSX250E1980年
GSX250E(GJ51B)
GSX250T/L1981年
GSX250L/T(GJ51A)
GSX250Eカタナ1982年
GSX250E KATANA(GJ51B)
INAZUMA2502012年
GSR250(GJ55D)
GSR250s2014年
GSR250/S/F(GJ55D)
GSX250R2017年
GSX250R(DN11A)

GSX-R400R/SP/SP2(GK76A) -since 1990-

GK76A

「REVOLUTION」

GSX-R400Rの最終型となるGK76型

アルミダブルクレードルフレームに倒立サスペンション、水冷オイルクーラーなど、もう出し惜しみ無しな作りになりました。スラントシートライト(一枚レンズ)が特徴的ですね。

GK76Aフレーム

もちろんエンジンも新作で、お値段さらに上がって73万9000円。

このGK76型の特徴を端的に表すとすれば”極限までレーサーレプリカな作り”かと。

例えば最初に言ったアルミダブルクレードルフレーム。時代は既に今でも使われるアルミツインスパーフレームに移ってたんだけども、GSX-R400Rは”敢えて”アルミダブルクレードルフレームを選んだ。

それは1989年世界耐久レースで見事勝利したGSX-R750Rがアルミダブルクレードルフレームだったから。

89GSX-R750R

さらに言うとGSX-R400は水冷エンジンなんだけど冷却フィンが付いてる。これもGSX-R750Rが油冷エンジンでフィンが付いていたから。見えない部分までも可能な限りレプリカ。

そして有名なのはポジション。
R400は元々ポジションがライバル車と比較しても結構キツめだったんだけど、このGK76型はそのキツい先代から更に7cm近くハンドルが下がってる(シート高参照)

GSX-R400黒

タンクが長いこともあって窮屈ではないけど、ハンドルが遠くて低いっていう一昔前のポジションを突き詰めた形。そのキツさは全バイクの中でもトップレベルで昨今のSSを鼻で笑えるほど。

足回りも想定域を上に絞ってるから、本気で身体入れて走らないと曲がらない。

要するに完全に割りきった作りをしている。いくらレーサーレプリカと言えどここまで公道走行を考慮してないバイクはそうそうないです。

GSX-R400R SP

しかしいま改めて振り返ってみると、この頃のスズキは本当に凄かった。

HY戦争に否が応にも巻き込まれ致命傷を負ってしまい二輪撤退まで囁かれていた中で

ギャグ

GAGという遊び心の溢れるバイクを出して起死回生のヒットを飛ばしたと思ったら

NSR50|YSR50

ホンダやヤマハに後出しジャンケンでボコボコにされ

RG250

RG250Γという2st250ccレーサーレプリカを出してヒットしたと思えば

NSR250|TZR250

またホンダやヤマハにボコボコに

GSX-R

そしてこのGSX-Rという4st400レーサーレプリカを出してヒットしたかと思えば

CBR400RR|FZR400

やっぱりホンダとヤマハ、そしてカワサキまでにもボコボコに。

これは今も続いています。

昨今の市販スーパースポーツの始祖と言えば

CBR900RR|YZF-R1

「CBR900RR(1992年)だ!」「いやYZF-R1(1998年)だ!」

と言われることはあっても

GSX-R750

「GSX-R750(1985年)だろ!」

と言われる事はめったに無い。どれも正解なんだけど何故かGSX-R750だけは言われない。

バイク業界も勝てば官軍か。

話をGSX-R400Rに戻しましょう。

1993年には400ccの馬力規制が59馬力からさらに強化され53馬力になりました。当然GSX-R400Rも例外ではなく1993年モデルからは53馬力に。

これが去りつつあったレーサーレプリカブームのトドメとなりGSX-R400Rも1995年モデルを最後に生産終了となりました。

GSX-R400Rファイナル

決して大人気といえるレーサーレプリカではなかったけど、ガンマと共に時代を開き、最後まで時代に抗ったレーサーレプリカでした。

主要諸元
全長/幅/高1995/710/1060mm
シート高750mm
車軸距離1375mm
車体重量167kg(乾)
燃料消費率36.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量16.0L
エンジン水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量398cc
最高出力59ps/12500rpm
<53ps/12000rpm>
最高トルク4.0kg-m/10000rpm
<3.5kg-m/9500rpm>
変速機常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ前120/60R17(55H)
後160/60R17(69H)
バッテリーFTX7A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EK
推奨オイルスズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.7L
交換時2.8L
フィルター交換時3.0L
スプロケ前14|後44
チェーンサイズ525|リンク108
車体価格739,000円(税別)
[787,000円(税別)]
{797,000円(税別)}
※[]内はSP
※{}内はSP2
※<>内は92年以降モデル
系譜図
GSX-R 1984年
GSX-R
(GK71B)
GSX-R400 1986年
GSX-R400
(GK71F)
GK73A 1988年
GSX-R400/R/SP
(GK73A)
GK76A 1990年
GSX-R400R/SP/SP2
(GK76A)

GSX-R400/R/SP(GK73A) -since 1988-

GK73A

「高純度パフォーマンス」

エンジンが再び新しくなり水冷となったGK73A型

今でこそGSX-Rシリーズといえば

「縦目ヘッドライト」

っていう感じだけど当時はこのウーパールーパーみたいな丸目二眼がブームで、その流れに逆らえず(というか一眼のデザインに問題があると思うんだけど)丸目二眼をキープ。

時代による姿勢の違いが面白いですね。

鈴鹿四耐

この頃、鈴鹿四耐(2st250と4st400の混合)やSP400を始めとしたレースが盛んになりだした事からレース向けにレースキット(シングルシート・クロスミッション・前後専用サス)を最初から組み込んだSPモデルまで用意されました。

GSX-R400Sp

翌1989年には通常モデルSP共にリアも17インチ化されてより現代的になり名前にRがもう一個付いてGSX-R400Rに。

ちなみにSP2というレアなグレードはSPベースなんだけどギア比がノーマルと同じでSPベースにより10万円安い69万9000円というかなりお買得なモデル。限定1000台だけどね。

GK73A

そういえば車体価格の話ってあんまりしてませんでしたね。

当時を知らない若いバイク乗りの人は

「こんなハイパワーな400があったなんていい時代だなあ」

なんて思うかもしれないけど、バイトの時給が400円の時代に73万9000円(CBR400RRもFZR400もZXR400もほぼ同値)と非常に高額で、いくらブームといえど若者がおいそれと買えるバイクじゃなかった。

しかもフルモデルチェンジの嵐で値段は上がる一方。レプリカ離れの一因でもあるわけですが最近のSSと似てますね。歴史は繰り返すのか。

GK73Aカタログ

ということでレプリカブームは去りつつあったんだけど、スズキはまだ納得できなかったのかスポーツを諦めたくなかったのか分かりませんが、250ガンマと同じく他所が手を引こうとも歩みを止めなかったんですね。

主要諸元
全長/幅/高 1995/695/1110mm
シート高 735mm
車軸距離 1375mm
車体重量 160kg(乾)
燃料消費率 45.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 398cc
最高出力 59ps/12500rpm
最高トルク 4.0kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(53H)
後140/60R18(64H)
{前120/60R17
後150/60R17}
バッテリー YTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EK
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
2.8L
スプロケ 前14|後45
チェーン サイズ525|リンク110
車体価格 669,000円(税別)
[739,000円(税別)]
※[]内はSP
※{}内は89モデル
系譜図
GSX-R 1984年
GSX-R
(GK71B)
GSX-R400 1986年
GSX-R400
(GK71F)
GK73A 1988年
GSX-R400/R/SP
(GK73A)
GK76A 1990年
GSX-R400R/SP/SP2
(GK76A)

GSX-R(GK71F) -since 1986-

GSX-R-F

「CHASED AGAIN」

GSX-Rの二代目(厳密に言うと3型)となるF型。わずか二年でほぼ全てを維新。

GSX-Rカタログ

まず当時のスズキが全力で推し進めていた水油空冷システムSTACSを搭載した新型エンジン。さらにアルミフレームも二層構造のDC-ALBOXに進化。

86GK71F

ただまあ皆さん見て分かる通り一体全体どこらへんがレプリカなのかよくわからないフルカウルデザインで人気は出ず。

恐らくその大部分を占めているのがヘッドライト。カウル分の重さを何とかするためにヘッドライトを一眼にしたんでしょうが・・・

ヘッドライト

眠そうな何の変哲もない角目が時代遅れな感じをものすごく醸し出してるっていう。

あまりの不人気っぷりにスズキもマズいと思ったのか、このGK71F型はわずか一年しか売られていない非常に珍しいGSX-Rです。性能は悪くなかったんだけどね。

GSX-R400/R
(GK71F)
-since 1987-

s

「華麗なるRの正装」

そしてこれが後期モデル。

レプリカ感の薄かった為に人気が伸び悩んでいた前期型をレーサーレプリカチックにしたモデル。

初めてGSX-R400と名乗ったのはこのGSXなんだけど、実はこれも翌年フルモデルチェンジという事で一年しか販売されてないから存在を覚えてる人は少ないでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2055/680/1155mm
[2050/680/1125mm]
シート高 755mm
車軸距離 1400mm
[1405mm]
車体重量 153kg(乾)
燃料消費率 45.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 398cc
最高出力 59ps/12000rpm
最高トルク 3.8kg-m/10500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80-17(57H)
後140/80-17(69H)
[前110/70-17(54H)
後140/60-18(64H)]
バッテリー YB10L-B2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LR8A
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.0L
スプロケ 前14|後46
チェーン サイズ525|リンク112
車体価格 639,000円(税別)
[699,000円(税別)]
※[]内は後期モデル
系譜図
GSX-R 1984年
GSX-R
(GK71B)
GSX-R400 1986年
GSX-R400
(GK71F)
GK73A 1988年
GSX-R400/R/SP
(GK73A)
GK76A 1990年
GSX-R400R/SP/SP2
(GK76A)