GSX-R(GK71A) -since 1984-

GSX-R

「POWER ENDURANCER」

世間がスズキのガンマに一喜一憂していたわずか一年後に出してきた秘密兵器ならぬ秘密バイク第二弾のGSX-R。そして今もなお続くスズキSSの代名詞でもある”GSX-R”という名前が付けられた最初のバイクでもあります。

ちなみにGSXの意味は
G:Grand
S:Sports
X:4Valve

です。

1984

GSX-Rと名前が付くだけあってスペックは申し分ないもの。単体重量でわずか7kgしかないアルミフレームによるクラス最軽量(乾燥重量152kg)に加えクラストップの59馬力を発揮する水冷直四を積んだとんでもない400スポーツ。

GSX-Rメーター

少し前まであった400ccの59馬力規制が生まれたのは他ならぬGSX-Rのせいです。メーターが3000rpmより下が刻まれてない事からも凄さが分かるかと。

そしてキャッチコピーに「POWER ENDURANCER」とある様にこのバイクもレーサーレプリカの類い。元となったのは耐久レースで目覚ましい戦績(1983年のボルドール24時間耐久レース優勝など)を残していたGS1000R。

GSX-Rハーベーカラー

そのGS1000Rと同じカラーリングを施したHBカラーも限定ながら発売。

正に400のスーパースポーツなわけでそれはもう人気を呼びました。400レーサーレプリカの先駆車です。

ところでなんで400という数字が入っていないのかというと

スズキ曰く

GSX-Rカタログ写真

「もはやこれは400ccではない排気量を超えた速さを持っているから」

との事。

翌1985年にはキャブセッティングなどの微調整が入ってます。

主要諸元
全長/幅/高 2090/710/1185mm
シート高 780mm
車軸距離 1425mm
車体重量 152kg(乾)
燃料消費率 45.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 398cc
最高出力 59ps/11000rpm
最高トルク 4.0kg-m/9000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54H)
後110/90-18(61H)
バッテリー YB10L-B2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
C8HSA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.0L
スプロケ 前15|後46
チェーン サイズ525|リンク114
車体価格 629,000円(税別)
系譜図
GSX-R 1984年
GSX-R
(GK71B)
GSX-R400 1986年
GSX-R400
(GK71F)
GK73A 1988年
GSX-R400/R/SP
(GK73A)
GK76A 1990年
GSX-R400R/SP/SP2
(GK76A)

Bandit1250S/F(GW72A後期)-since 2015-

2015年式bandit1250s

「All Round Performer」

マイナーチェンジが入ったbandit1250の最終モデルになるGW72A後期型。

主な変更点はアイドルの回転数を調整するISC(アイドルスピードコントロール)とSモデルのハーフフェアリング造形の変更。

バンディット1250フェイス

ラジエーターまで覆い隠すほど伸びたヨーロピアンチックな物になり、エンジンとホイールに次いでハンドル周りまでブラックアウト化して引き締まった印象に。

2015年式バンディット1250F

しかし残念な事に2018年の排ガス規制強化に伴い生産終了となってしまいました。

GSX-Sの登場でお役御免という形でしょうか。

最後に少し小言。

バンディット1250はスズキのネイキッドとしては代表作と言ってもいいほどの物だったんですが、ライバル勢と比べると少し影が薄かったのも事実。

2010年式GSF1250

でもですね、そこら辺のインプレサイトでもいいし実際に乗ったことがある知人でもいいのでbandit1250の感想を聞いてみてください。

下取りが安いという事を除けば悪い意見はほぼ聞かないと思います。

このbandit1250は本当にビッグネイキッドにあるまじき乗りやすさと楽しさを兼ね備えていたんですよ。

bandit1250ファイナル

それが何故かといえば、ビッグネイキッドなのにモノサスだから。そしてビッグネイキッドなのにSSのようなコンパクトさをもったエンジンとボディだから。

2018年式bandit1250

bandit1250はビッグネイキッドであることを魅せるのではなく、ビッグネイキッドとしての走りで乗り手を魅せるバイクでした。

主要諸元
全長/幅/高 2130/790/1235mm
{2130/790/1245mm}
シート高 790~810mm
車軸距離 1480mm
車体重量 252kg(装)
{256kg(装)}
燃料消費率 27.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 19.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1254cc
最高出力 100ps/7500rpm
最高トルク 10.9kg-m/3500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17(58W)
後180/55-17(73W)
バッテリー FT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR6E/CR7E
または
U20ESR-N/U22ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.7L
交換時3.0L
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前18|後41
チェーン サイズ530|リンク116
車体価格 1,030,000円(税別)
{1,070,000円(税別)}
※{}内はバンディット1250F
系譜図
GSF12001995年
GSF1200/S
(GV75A/B)
イナズマ12001998年
INAZUMA1200
(GV76A)
Bandit1200/S2000年
Bandit1200
(GV77A)
2006Bandit1200/S2006年
Bandit1200/S
(GV79A)
Bandit1250/S2007年
Bandit1250/S/F
(GW72A)
Bandit1250後期2015年
Bandit1250/S/F
(GW72A後期)

【関連車種】
CB1300の系譜XJR1300の系譜ZRX1200DAEGの系譜

Bandit1250/S(GW72A)-since 2007-

2007年式バンディット1250

「フルバンクで行く週末」

先代と入れ替わる様に登場した新世代のバンディットことbandit1250のGW72A型。

最大の特徴は何と言っても水冷になったこと。

バンディット1250エンジン

わざわざバンディットの為だけに造った専用開発エンジン。

先代よりもストロークが5mm長く、シリンダーもメッキ化し圧縮比もアップ。

そして微振動を打ち消すバランサーを搭載していながら『10.9kg-m/3500rpm』という太いトルクを発生。

GW72Aエンジン

もちろんFI化とデュアルスロットルバルブSDTV(Suzuki Dual Throttle Valve)という新技術搭載で非常に調教されたスムーズさ。

見た目はほとんど同じなんだけど先代までの1200とこの1250は本当に別物です。

先代が古き良きゴリゴリ感があったのに対し、このモデルは本当にスムーズでヒュンヒュン回る。皆さんが漠然と思う油冷(空冷)と水冷のイメージをそのまま研ぎ澄ましたような形。

Bandit1250とBandit1250S

ちなみにみんな丸目バンディットを見たことが無い事からも分かるように人気はSに集中し、丸目モデルは発売から二年ほどでラインナップから消えました。

と思ったら2011年からイメチェンして再登場。

2011年式Bandit1250

グラディウスっぽいヘッドライドに新デザインのフレームネックカバー。

更にブラックアウトエンジン(※以降の全モデル)やクリアレンズに専用テールなど色々と手が加えられましたが・・・反対に人気を呼んだのが同時期に発売されたFモデル。

Bandit1250F

GSX-Rかと見紛うルックスのフルカウルモデルです。ちなみに北米などでは名前もGSX1250F。

こちらはバーハンの楽ちんGSX-R1250の様なものなのでコンスタントに1000台/年ほどの人気を獲得。

無印ネイキッドには申し訳ないけど、この偏り方バンディットのコンセプトと人気の理由をよく表していますよね。

Bandit1250S

「ビッグネイキッドに必要なのは優れたオールラウンド性」

っていう。

主要諸元
全長/幅/高 2130/790/1095mm
[2130/790/1235mm]
{2130/790/1245mm}
シート高 790~810mm
車軸距離 1480mm
車体重量 250kg(装)
[252kg(装)]
{256kg(装)}
燃料消費率 27.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 19.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1254cc
最高出力 100ps/7500rpm
最高トルク 10.9kg-m/3500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17(58W)
後180/55-17(73W)
バッテリー FT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR6E/CR7E
または
U20ESR-N/U22ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.7L
交換時3.0L
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前18|後41
チェーン サイズ530|リンク116
車体価格 950,000円(税別)
[980,000円(税別)]
{1,040,000円(税別)]
※[]内はバンディット1250S
※{}内はバンディット1250F
系譜図
GSF12001995年
GSF1200/S
(GV75A/B)
イナズマ12001998年
INAZUMA1200
(GV76A)
Bandit1200/S2000年
Bandit1200
(GV77A)
2006Bandit1200/S2006年
Bandit1200/S
(GV79A)
Bandit1250/S2007年
Bandit1250/S/F
(GW72A)
Bandit1250後期2015年
Bandit1250/S/F
(GW72A後期)

Bandit1200/S(GV79A)-since 2006-

2006年式Bandit1200

「パフォーマンスネイキッド」

バンディットとしては二代目であり・・・油冷ファイナルでもあるbandit1200のGV79A型。

主な変更点はスイングアームを45mmも伸ばしてホイールベースを1480mmまで延長し安定性を向上させた事や、シート高を770~790mmの二段階調節式にした事など。

Bandit1200S

ネイキッドの方はメーターとライトの間に気持ち程度の風防カウルが付いてるのが特徴的で、ハーフカウルのSバージョンはシェイプアップされたものになりました。

ただ残念なことにこのモデルは規制強化に伴い、このモデルはわずか二年のみの販売。

Bandit1200ファイナルエディション

登場して一年後にはファイナルエディションが出てしまうという短命さ。

ちなみにファイナルエディションにはタンクに油冷ステッカーが付いています。

Bandit1200ファイナルエディション

ただしちょっと覚えておいて欲しいのは、このエンジンが凄いのは油冷システムだけじゃない事。

このエンジンのルーツは1985年の初代GSX-R750にあるんですが、何が素晴らしいってその頃に生まれた油冷というシステムだけでなく造形までも守り続けた事。

Bandit1200エンジン

こんな細かい冷却フィンを持ったエンジンは他には無い。

もともとこれは冷却性を上げようとGSX-R750でやった事。つまりレースで勝つために行ったコストよりも性能な改良。なのにレースとは無縁なネイキッドになろうが続けたんです。

ライバル社の凄い所を言い合う雑誌(失念)の企画でヤマハの人がこの造形は真似ができない(コスト上許されない)と讃えていました。

油冷ファイナル

こうやって画像で見ると間隔が狭すぎてハレーションを起こしてるほど。

このエンジンを積んだ最後のモデルが二年しか売ることが出来ないにも関わらずモデルチェンジのされたこのBandit1200のGV79型。

スズキが如何に油冷に対して誇りを持っていたかが分かるモデルです。

主要諸元
全長/幅/高 2130/790/1095mm
[2130/790/1235mm]
シート高 770~790mm
車軸距離 1480mm
車体重量 212kg(乾)
[215kg(乾)]
燃料消費率 26.5km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 20.0L
エンジン 油冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1156cc
最高出力 100ps/8500rpm
最高トルク 9.5kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17(58W)
後180/55-17(73W)
バッテリー YT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
JR8B
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.6L
交換時3.3L
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ530|リンク116
車体価格 828,000円(税別)
[858,000円(税別)]
※[]内はバンディット1200S
系譜図
GSF12001995年
GSF1200/S
(GV75A/B)
イナズマ12001998年
INAZUMA1200
(GV76A)
Bandit1200/S2000年
Bandit1200
(GV77A)
2006Bandit1200/S2006年
Bandit1200/S
(GV79A)
Bandit1250/S2007年
Bandit1250/S/F
(GW72A)
Bandit1250後期2015年
Bandit1250/S/F
(GW72A後期)

Bandit1200/S(GV77A)-since 2000-

2000年式GSF1200

「軽量・コンパクト・スポーティ」

GSF1200の後継モデルとして登場した初代バンディットことBandit1200のGV77A型。

GSF1200のトレードマークであった薄いタンクはそのままに直線基調となったダブルクレードルフレームが特徴。

2000年式GSF1200

驚きなことにあの超ショートホイールベースだったGSF1200から更にホイールベースが縮められ1430mmになりました。

相変わらず引っくり返るのかと思うかもしれませんが、スロットルポジションセンサーによる点火タイミングとキャブ変更によりトルクピークを少し上げて元気さは持ちつつも扱いやすい特性に・・・それでもかなり過激な方ですが。

そしてバンディットといえばコレとも言えるSモデルもカウル造形がシャレた物に。

Bandit1200S/GV77A

油冷ビッグネイキッドというスズキの道を邁進したわけですが、ここでちょっとした豆知識。

詳しい説明はGSX-R750の系譜で書いたので割愛しますが油冷というのは

『走行風に加えてオイルでも冷却』

という空冷の発展形といえる形なので空冷と見分けが付きにくい・・・そう思っている人も多いかと。でも油冷エンジンである事を象徴している分かりやすい部分はちゃんとあるんです。

それはエンジンヘッドとクランクを結んでいるこの太いホース。

油冷エンジン

これはエンジンヘッドからクランクへオイルを戻す為のバイパス。

油冷というのは空冷と違いシリンダーヘッドへオイルをジェットで勢いよく大量に吹くのでオイルの回収が大変。

空冷と同じ様にカムチェーントンネルから戻そうとすると間に合わず、フリクションロスや撹拌による性能低下を招いてしまう。

しかしだからといって専用の通路をブロックに設けてはせっかくのスリムさが台無しに・・・そこでGPマシンにも関わっていた岡本さんは閃きました。

「中を通すこと無理なら外を通せばいいじゃない」

SACS

そうやって生まれたのがこの太いバイパスなんです。

Bandit1200Sジャケット写真

つまりこのバイパスこそ油冷の証であり、油冷の命綱でもあるわけです。

主要諸元
全長/幅/高 2140/765/1100mm
[2070/765/1220mm]
シート高 775mm
車軸距離 1430mm
車体重量 214km(乾)
[218kg(乾)]
燃料消費率 26.5km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 20.0L
エンジン 油冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1156cc
最高出力 100ps/8500rpm
最高トルク 9.5kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17(58W)
後180/55-17(73W)
バッテリー FTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
JR8B
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.6L
交換時3.3L
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格 819,000円(税別)
[848,000円(税別)]
※[]内はバンディット1200S
系譜図
GSF12001995年
GSF1200/S
(GV75A/B)
イナズマ12001998年
INAZUMA1200
(GV76A)
Bandit1200/S2000年
Bandit1200
(GV77A)
2006Bandit1200/S2006年
Bandit1200/S
(GV79A)
Bandit1250/S2007年
Bandit1250/S/F
(GW72A)
Bandit1250後期2015年
Bandit1250/S/F
(GW72A後期)

INAZUMA1200(GV76A)-since 1998-

GV76A

「心、解き放つモノ。」

GSF1200とのWラインナップで登場したコテコテなジャパニーズネイキッドスタイルのINAZUMA1200/GV76A型。

このモデルもGSF1200と同じ様に400-750-1200で車体を共有化していたわけですが、こちらの場合は逆にビッグネイキッドらしい大型が基軸。

INAZUMA1200

エンジンもベースこそGSF1200と共有なものの、点火タイミングを制御するスロットルポジションセンサーとキャブレーターの変更で非常にマイルドな仕様。

二本サスでシート高もベタベタの780mmと、何もかもがGSF1200とは真逆なビッグネイキッド。

イナズマ1200カタログ写真

さあ行くぞと意気込むGSFと違って、気軽に乗れるビッグネイキッドというのがコンセプトでした。

ちなみにこのINAZUMA1200はスズキとしては非常に珍しいオーソドックスな油冷ネイキッドだった事と、新車でも89万円という安さだった為か、本来とは別の需要で人気が出ました。

別の人気・・・それはKATANA化のベース車両として。

主要諸元
全長/幅/高 2140/780/1100mm
シート高 780mm
車軸距離 1465mm
車体重量 208kg(乾)
燃料消費率 28.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18.0L
エンジン 油冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1156cc
最高出力 100ps/8500rpm
最高トルク 10.0kg-m/4500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17(58W)
後170/60-17(72W)
バッテリー FTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
JR8B
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.6L
交換時3.3L
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前15|後44
チェーン サイズ230|リンク112
車体価格 798,000円(税別)
系譜図
GSF12001995年
GSF1200/S
(GV75A/B)
イナズマ12001998年
INAZUMA1200
(GV76A)
Bandit1200/S2000年
Bandit1200
(GV77A)
2006Bandit1200/S2006年
Bandit1200/S
(GV79A)
Bandit1250/S2007年
Bandit1250/S/F
(GW72A)
Bandit1250後期2015年
Bandit1250/S/F
(GW72A後期)

GSF1200/S(GV75A/GV75B)-since 1995-

1995年式GSF1200

「SPORT EVOLUZIONISMO」

スズキが出したビッグネイキッド第一弾であるGSF1200のGV75A型とハーフカウルモデルのGV75B型。

GSF1200ハーフカウルバージョン

これを出した理由は1990年の750自主規制撤廃、そして1995年の大型二輪制定などで1970年代以来となるビッグネイキッドブームが到来したから。

数々のモデルが登場し人気を博していた中で、最後発となったスズキが出したビッグネイキッドの答えは非常にスズキらしいものでした。

まず何を隠そう伝統の油冷エンジン。

gsf1200カタログ写真

GSX-R1100の物をベースにボアを1mm拡大することで1156ccとし、カム周りはGSX1100Gの物を搭載。

キャブレターもGSX-R1100から少し絞った物に変えられ中低速重視に。

ここでちょっと補足しておくとGSX1100GというのはこのGSF1200が出る少し前に出された何故かシャフトドライブのビッグネイキッド。

GSX1100G

欧州向けでしたが一応日本にも入ってきています。

ちなみに知らない人は知らないけど、知っている人はよく知っているバイクです・・・というのも実はこのGSX1100Gなんと矢沢永吉さんが実際に所持したバイク。

話を戻しますが、GSF1200が実にスズキらしいといえる部分は車体にもあります。

明らかにヨーロッパのセンスを強く取り入れてる独創的なダブルクレードルフレームと薄いタンクが特徴的ですが、このボディは先に出ていた弟である600と共有しているもの。

GSF1200S

つまりこのGSF1200はミドルかと思うほどコンパクトなんです。

そしてもう一つ重要というか凄いのが1435mmという驚異的なショートホイールベースであること。これはライバルより100mm以上短く400cc並、ちょうどGSR400と同じ長さ。

GSF1200リア

それに加えて中低速重視で

『9.8kg-m/4000rpm』

を叩き出す油冷エンジン・・・そりゃもう簡単にひっくり返る。

なんでこんな極端な事をしたのかというと、企画の西本さんいわく開発チームがGSF1200では

GSF1200黒

「ネイキッドじゃなくてスポーツカーを造ろう」

という目標があったから。

ミソなのはレプリカではなくスポーツカー。

スズキGSF1200

つまり公道でその性能を楽しめるバイクを目指した結果。

この極端なショートホイールベースとコンパクトボディ、だけどキツくないポジションという組み合わせはそのためなんです。

GSF1200サイド

ちなみに車体設計の松本さんが言うに、開発段階ではキャンバー角(フロントフォーク角)はもう少し立てていて更に過激になる予定だった。

しかし先に出ていた600が欧州で

「過激すぎて危ない」

という声が多く寄せられた事で1200では1°寝かせられ26°になったんだそう。

※バイカーズステーション1994-8 インタビューより

主要諸元
全長/幅/高 2105/785/1095mm
シート高 835mm
車軸距離 1435mm
車体重量 208kg(乾)
燃料消費率 27.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 19.0L
エンジン 油冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1156cc
最高出力 97ps/8500rpm
最高トルク 9.8kg-m/4000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17(58W)
後180/55-17(73W)
バッテリー FTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
JR8B
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.6L
交換時3.3L
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格 798,000円(税別)
系譜図
GSF12001995年
GSF1200/S
(GV75A/B)
イナズマ12001998年
INAZUMA1200
(GV76A)
Bandit1200/S2000年
Bandit1200
(GV77A)
2006Bandit1200/S2006年
Bandit1200/S
(GV79A)
Bandit1250/S2007年
Bandit1250/S/F
(GW72A)
Bandit1250後期2015年
Bandit1250/S/F
(GW72A後期)

Bandit250/V/VZ(GJ77A)-since 1995-

バンディット250後期

「Artistic Modern」

バンディット250の後期モデルとなるGJ77A型。

あまり代わり映えしないものの何気に10kgもの大幅なダイエットに成功していたりするわけですが、一番の話題はやはり可変バルブを機能を備えたVCエンジン搭載のBANDIT250V/VZでしょう。

Bandit400VCエンジン

CB400SFのHYPER VTECとは違います。アッチはバルブ休止システム。コッチはバルブの開閉の動きを変える機能のこと。車の方でVTECとかVVTとか聞いたことがあると思いますが、大体アレと一緒です。

どうやってバルブの動きに変化を持たせているのかというと、バルブを押すおにぎりの形をしたカムを中低速用の背の低い(浅くゆっくり開く)やつと、高速用の背の高い(深く速く開く)やつの2つを併せ持ったカムを積んでいる。

可変バルブのカム

そしてバルブを押すロッカーアームもそのカムに合わせて中低速用と高速用を備えてるわけなんですが、回転数が一定以上になるとECUがソレノイドバルブという装置を作動させ油圧でピストンを押し広げます。ここまではホンダのHYPER VTECと同じですね。

VCエンジンシステム

スズキのVCの場合は押されたピストンが先に噛むように付いてるロッカーアームシャフトを回します。

するとシャフトに付いているバルブを押す高速用のロッカーアームが回ることで迫り上がり、低速カムの上から覆うような形になる。

VCエンジンシステム

これで高速用のカム&ロッカーアームが当たるようになって作動するというわけ。

どうしてこんな事をやるのかっていうと、ザックリ言って中低速域における効率的な吸気と、高回転域における効率的な吸気は相反するから。四輪の方では低・中・高と三段階のカムを用意している3ステージなんかもあったりします。

まあそんな話はどうでもいいか。

bandit250VZ

上の写真はその可変バルブを搭載した赤ヘッドVCエンジンに加え、ビキニカウルを装着したBandit250VZ。

バンディット250はそれなりに人気は出たんですが、直四エンジンとコダワリのダイヤモンドパイプフレームというコストを400との二台体制だけでペイできるほど台数が出なかったためコスト高を理由に2000年をもって生産終了となりました。

スズキとしては(失礼ながら)珍しく綺麗にまとまっている250だったにも関わらず台数がそれほど出なかった理由は

「独創的・癖があるデザイン」

と思った人が多かったからでしょう。

そう思われるのはトレードマークであるダイヤモンドパイプフレームがウェイトを占めてると思います。最近はそうでもないですが当時はあまり馴染みのないフレームでしたし。

しかし基本的に250ccの四気筒エンジンましてレーサーレプリカの物というのは、いくら4-2-1マフラーや可変バルブなどで低速を厚くしようが限界はあり、下がスカスカで軽々と上まで回るエンジンなのは変わらない。

そんな無駄に回って無駄に速いエンジンで味のある走りやドッシリした走りは無理がある。

bandit250フレーム

じゃあどうするかといえば”エンジンを活かそう”となる。

ダイヤモンドフレームというのはエンジンを積極的に剛性メンバーとして活用するフレーム形式。

そうすることでフレームを軽く出来るし操舵性にも有利に働くからレプリカエンジンを活かすなら当たり前な選択。それに合わせられるサスペンションも追従性に優れるモノサスになるのも当たり前。

つまりBandit250の形というのは直四ネイキッドとしては独創的どころか至って普通というか合理的な形をしているんです。

bandit250V

ただその合理性が250というエントリークラスの王道であるネイキッド層には伝わらなかった。

まあ・・・無理もない話ですけどね。念願のバイクという夢を買いに来たエントリー層に

「この変なフレームこそ合理美」

と説いたところで分かるわけがないし、何より無粋な話。

主要諸元
全長/幅/高 2050/730/1160mm
シート高 750mm
車軸距離 1435mm
車体重量 144kg(乾)
[146]kg(乾)
{147}kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 248cc
最高出力 40ps/14000rpm
最高トルク 2.5kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17(54H)
後140/70-17(66H)
バッテリー YTX7A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.7L
フィルター3.0L
スプロケ 前13|後47
チェーン サイズ520|リンク114
車体価格 499,000円(税別)
[538,000円(税別)]
{558,000円(税別)}
※[]内はV
※{}内はVZ
系譜図
GS250FW1983年
GS250FW
(GJ71A/B)
GF2501986年
GF250/S
(GJ71C)
GSX-R2501987年
GSX-R250/R/SP
(GJ72A/GJ73A)
コブラ1989年
COBRA
(GJ73A)
バンディット250前期1989年
Bandit250/LTD
(GJ74A)
アクロス1990年
ACROSS
(GJ75A)
GSX250S カタナ1991年
GSX250S KATANA
(GJ76A)
Bandit250後期1995年
Bandit250/V/VZ
(GJ77A)

【関連車種】
CBR250RR/CB250の系譜FZR250Rの系譜ZXR250/BALIUSの系譜

GSX250S KATANA(GJ76A)-since 1991-

GSX250S

「もうひとつの新しいKATANA」

どこからどう見てもカタナなGSX250S KATANA。

GSX250S 刀

250カタナの話をする前に一つ説明しておかなければならないのがGSX250Sという名前について。

「GSX250SはCOBRAでKATANAはGSX250SSだ」

と言われている事があります。確かにあっちもGSX250Sなんだけど、どちらかと言うとCOBRAをGSX250Sというのが間違い。

通称名機種名型式
COBRAGSX250SGJ73A
Bandit250GSF250GJ74A
GSX250S 刀GSX250SSN/MGJ76A

カタログに記載されている名前や皆が呼ぶ時のバイク名は通称名で、商品呼称というのはどの年式かを表すときに使われる言葉。

250KATANAの事をGSX250SSN/Mと呼称で呼ぶ人がマニアしか居ないのを見てもGSX250Sといえば250KATANAでCOBRAはCOBRAです。

ただ例外としてV125やGSX-RといったバイクはK5とかK8とか商品呼称の後に付くモデルイヤーコード(K5なら2005)で呼ばれていたりします。

このサイトでもそう書いていますが、それは通称名や型式が変わらないままモデルチェンジを繰り返したりしているから。

「V125/CF46Aに乗ってる」←年式が分からない

「UZ125K5に乗ってる」←2005年式だと分かる

だから”K5″とか使われているわけです。

だいぶ話が反れました。GSX250S KATANAの話をしましょう。

GSX250Sカタログ写真

250カタナはスズキの250ラッシュの最後を飾ったモデル。

当時スズキは今まで紹介してきたCOBRA、BANDIT250、ACROSS、そしてこのGSX250S KATANAと250cc四気筒車を4車種も出すという豊富すぎるラインナップでした。

何処からどう見てもKATANAな250KATANAのカウルはチンスポイラーやサイドカウルなどはGSX1100Sからそのまま持ってくる一方、ライト周りの顔などは専用に作り直し。

GSX250Sカタナ

何処からどう見てもKATANAなんだけど、何処からどう見てもKATANAに見えるように細部を新しく専用設計してるわけです。

ただ一点だけKATANAに寄せなかった部分があります。それはホイール。

GSX250Sリア周り

KATANAというとフロント19(もしくは16)インチ、リア17インチで星型もしくは6本スポークなんだけど、この250だけはBanditの物をそのまま流用した前後17インチの3本スポークホイール。

これはコストの兼ね合いからだと思うんだけど、KATANAマニアにとってはマイナスポイントのようで・・・。

GSX250S 刀

でも似ていない事に目を瞑れば前後17インチというのは主流のサイズだから、タイヤ銘柄の選択肢も豊富でハンドリングも現代的という多大なメリットがあるんですけどね。

主要諸元
全長/幅/高 2060/685/1160mm
シート高 750mm
車軸距離 1435mm
車体重量 160kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 248cc
最高出力 40ps/13500rpm
最高トルク 2.7kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17(54H)
後140/70-17(66H)
バッテリー YTX7A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.8L
フィルター3.2L
スプロケ 前13|後49
チェーン サイズ520|リンク116
車体価格 565,000円(税別)
系譜図
GS250FW1983年
GS250FW
(GJ71A/B)
GF2501986年
GF250/S
(GJ71C)
GSX-R2501987年
GSX-R250/R/SP
(GJ72A/GJ73A)
コブラ1989年
COBRA
(GJ73A)
バンディット250前期1989年
Bandit250/LTD
(GJ74A)
アクロス1990年
ACROSS
(GJ75A)
GSX250S カタナ1991年
GSX250S KATANA
(GJ76A)
Bandit250後期1995年
Bandit250/V/VZ
(GJ77A)

ACROSS(GJ75A)-since 1990-

アクロス

「NEW URBAN SPORTS」

不人気車として一部の人に有名なアクロス。奇しくも250ツアラーの代表格であるZZR250と同年デビュー。バンディットもゼファーと同年ですし何か因果を感じますね。

このバイクはどこか優しさがあったGSX-R250の前期モデルをベースに作られたツアラーのような・・・ツアラーじゃないようなバイク。

まず何処らへんがツアラー要素なのかというとフレームまで覆ったフルカバーカウルでライダーへ来る熱を遮断。ポジションも比較的アップライト。

そして何より25Lという大容量パーソナルスペースを備えている事。

アクロスメットイン機能

この機能がアクロス最大の特徴ですね。フルフェイスがすっぽり入るほどの大きなスペースでルームランプまで付き、ロックもちゃんと電磁式。

じゃあガソリンタンクは何処にあるのかというとリアシートの下で給油口はテールライトの上。スイッチを押すと蓋がパカっと開く仕組み。

アクロスカタログ写真

これだけ聞くと良く出来たツアラー・・・じゃあツアラーじゃない部分は何処かというと中身にあります。

最初に言いましたがアクロスはGSX-R250前期がベース。バンディット250と同じ45馬力/14500rpmを発揮するエンジンはとても元気でツアラーらしかぬ吹け上がり。

ただそれは裏を返すとそれだけ燃費も悪くなりがちで、シート下に燃料タンクを移したことで燃料タンク容量が12Lしかない事もあり、ツアラーなのに長距離走行はあんまり得意じゃなかったりするわけです。

GXS250Fカタログ写真

「”A CROSS(横断)”なのに横断が得意じゃないとはこれ如何に」

という事でCOBRAほどではないにしろあまり人気が出ず。

でもこれアクロスが悪いって言うよりスズキの売り出し方が悪かったような気が・・・。

GSX250F

確かにツアラーとして見ると疑問点が生まれてボヤケちゃうけど呼称名のGSX250Fの方にして

「荷物を載せられるGSX-R250」

アクロスの広告

とすればもっと魅力が伝わったんじゃないのかな。

主要諸元
全長/幅/高 2020/695/1135mm
シート高 mm
車軸距離 1380mm
車体重量 159kg(乾)
燃料消費率 45km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 248cc
最高出力 45ps/14500rpm
[40ps/13500rpm]
最高トルク 2.6kg-m/10500rpm
[2.7kg-m/10000rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17(54H)
後140/70-17(66H)
バッテリー YTX7A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7HSA
または
U22FSR-U
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.2L
交換時2.6L
フィルター2.9L
スプロケ 前14|後48
チェーン サイズ520|リンク110
車体価格 545,000円(税別)
※[]内は93年モデル
系譜図
GS250FW1983年
GS250FW
(GJ71A/B)
GF2501986年
GF250/S
(GJ71C)
GSX-R2501987年
GSX-R250/R/SP
(GJ72A/GJ73A)
コブラ1989年
COBRA
(GJ73A)
バンディット250前期1989年
Bandit250/LTD
(GJ74A)
アクロス1990年
ACROSS
(GJ75A)
GSX250S カタナ1991年
GSX250S KATANA
(GJ76A)
Bandit250後期1995年
Bandit250/V/VZ
(GJ77A)