MT-10/SP(B67/BW8) -since 2016-

MT-10

「The king of MT.」

そのコンセプト通りMT-01以降不在となっていたMTシリーズの長男坊として登場したMT-10(B67)とMT-10SP(BW8)。

元がR1なだけあってトラクションコントロールシステムやクイックシフター、スリッパークラッチや出力モード切り替えといった電子制御の成せる装備はそのまま標準装備し、更にはR1になかったクルーズコントロールシステムまで採用。ポジションや足付きも改善されています。

MT-10SP

2017年に追加されたSPモデルはR1Mと同様に電子制御サスペンションやフルカラー液晶などを搭載してるんだけど面白いのがYZF-R1Mと同様に積まれたYRC(ヤマハ・ライド・コントロール)という装備。

「PWR(出力モード)」「TCS(トラコン)」「QSS(クイックシフター)」「ERS(前後サスのセッティング)」を自分なりにセッティング出来る。しかもハンドルスイッチだけでなくスマホ(専用アプリ)でも。

MT-10

スマホ世代を狙い撃ちとは・・・まあSPは200万円しますけどね。YZF-R1Mより100万円も安い事を考えると結構お買い得な気がしないでもないですが。

なんて冗談はさておき

「MT-10はYZF-R1をネイキッドスタイルにしたバイク」

と簡単に片付けてはつまらないので少し掘り下げてみます。

MT-10UK仕様

MT-10のエンジンのベースとなっているYZF-R1のCP4エンジンというのはご存知の通りクロスプレーンの不等間隔燃焼エンジンです。

クロスプレーン直四のメリットは一般的な直四が起こす慣性トルク(トルクの波)と二次振動(微振動)を起こさないこと。

※クロスプレーンについては「クロスプレーン(不等間隔燃焼)だと何が良いのか」をどうぞ

クロスプレーン

当然ながら微振動やトルクの波は無い方が扱いやすいし疲れないから、性能的に言えばクロスプレーンの方が優れていると言えるんだけど・・・官能的かといえば意見が別れるのが現実。

一般的な直四好きが思う直四(フラットプレーン)の魅力は

「アクセルを捻れば何処までも突き抜ける疾走感」

でしょう。

これは回転数に応じて等間隔な点火タイミングから来るモーターのような排気サウンドと微振動が起こるから。よく漫画で跨ってエンジン捻った途端に鳥肌が立ったように描画されたりするアレです。

MT-10ヘッドライト

それがMT-10(クロスプレーン直四)は無い。だからエンジンサウンドに違和感があるとか、気付いたら凄いスピードが出ていたとか言われますね。

何よりも速さが大事なYZF-R1という半レーサーにおいてそんなタイムを縮める事に一切関係のない要素は必要ないのは当然だけど、これがストリートユースまして猛々しさが必要なストリートファイターとなると話が変わってくる。

MT-10欧州壁紙

そこでヤマハは吸排気系を絞ってギア比を落とすという低速寄りチューニングのメジャーな方法だけでなく、MTシリーズ共通のコンセプトである”トルク&アジャイル”を実現するためクランク周りの動力部分の重量(慣性モーメント)も上げました。

「トルク&アジャイル」とか「慣性モーメント」とか言われてもナンノコッチャですよね。ヤマハの開発者の人には申し訳ないけどザックリ言って、一つ一つの動きが重くなるので体感トルク(トルクフィーリング)が増します。実トルクも増しますが。

ちなみにフレームもスピードレンジが変わることから剛性を最適化するため60%も作り変えられたとのこと。何だかんだで結構大掛かりな変更が加わってますね。

MT-10カウルレス

何となく分かると思いますが低回転寄りにするということは即ち高回転を捨てるということになるわけですが、クロスプレーンでソレをした事で面白い変化を生んでいます。

YZF-R1は低回転域では”デロデロ”または”ドコドコ”という二気筒のようなフィーリングな一方で、美味しい回転数である10000rpm以上になると一般的な直四と大差ないフィーリングになる。

ところがMT-10の場合はレッドも11500rpmとR1よりも低速寄りにしているので、結果として美味しい部分がデロデロのまま。怖い顔でデロデロいわせながらグイグイ引っ張って行くわけです。

つまりMT-10というのは悪く言うと

「四気筒らしさがほとんど無いバイク」

MT-10カタログ

と言えるんだけど、反対に良く言うと

「物凄く回る二気筒っぽいバイク」

欧州仕様

と言えるわけです。四気筒は四気筒なんだけど四気筒×1じゃなくて二気筒×2みたいなバイク。

一般的な四気筒が好きな人はこれに乗っても今ひとつピンと来ないかもしれないけど、反対に直四が好きじゃない人はコレに乗ったらビンビン来るかもね。

主要諸元
全長/幅/高 2095/800/1110mm
シート高 825mm
車軸距離 1400mm
車体重量 210kg(装)
[212kg(装)]
燃料消費率 14.0km/L
※WMTCモード値
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 997cc
最高出力 160ps/11500rpm
最高トルク 11.3kg-m/9000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17(58W)
後190/55-17(75W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR9E-J
推奨オイル ヤマルーブ プレミアムシンセティック
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.9L
交換時3.9L
フィルター交換時4.1L
スプロケ 前16|リア43
チェーン サイズ525|リンク114
車体価格 1,550,000円(税別)
[1,850,000円(税別)]
※[]内はSPモデル
系譜図
MT-01 2005年
MT-01/S
(5YU)
MT-03 2006年
MT-03
(5YK/29D)
MT-10 2017年
MT-10/SP
(B67/BW8)

MT-03(5YK/29D) -since 2006-

MT-03

日本ではほとんど馴染みのないMT-03(型式は海外のもの)
出た時は紹介されたから「あーこんなのあったネ」と思い出す人も居るかな。

といってもこのバイクはイタリアヤマハの発案で生産もイタリア。車名もMT-“03″なんだけど排気量は660ccと大型クラス。

エンジンのベースとなっているのはXT660の物。
近年では珍しいデュアル排気ポートでシングルエンジンながら二本出しマフラーでMT-01の流れを汲んでる。

MT-03コンセプト

でもこれまた残念ながら01に続き思うように販売台数が伸びず、2009年をもって欧州での生産は終了となりました。日本はハナから相手にせず未発売という見切りっぷり。

ブラジル向け(29D)は2013年まで売られていたとの事です。

MT-03カタログ写真

そんなこんなで01、03と二代続けてセールス失敗に終わったMTシリーズだったけどヤマハは何故か諦めなかった。

主要諸元
全長/幅/高 2070/860/1115mm
シート高 805mm
車軸距離 1420mm
車体重量 192kg(装)
燃料消費率
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 660cc
最高出力 45ps/6000rpm
最高トルク 5.73kg-m/5250rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17(58W/58H)
後160/50-17(69W/69H)
バッテリー GT9B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
推奨オイル 10W30から20W50まで
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時3.0L
フィルター交換時3.1L
スプロケ 前15|リア47
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格
※国内取扱いなしのため
系譜図
MT-01 2005年
MT-01/S
(5YU)
MT-03 2006年
MT-03
(5YK/29D)
MT-10 2017年
MT-10/SP
(B67/BW8)

MT-01(5YU)-since 2005-

MT-01

「ソウルビートVツインスポーツ」

MTシリーズは車名以外繋がりはほぼ無いんだけど、基本コンセプトは一緒だし紹介したかったので載せました。

新型発表で動画などのCMをバンバン打ってるからご存じの方も居るかと思いますが、車名のMTは元々これが始まりでMax Torque(マックストルク)という意味・・・と言われており信じていたんですが、いざ調べてみると実はそんな情報が見当たらない。

そこで調べてみたら少し前の特設サイトMTワールドに答えがあった

MT-01

『MEGA TORQUE』

こっちが正しい由来みたいですね。

さてそんな初代MTであり初代ダークサイドでもあるMT-01に積まれたVツイン1670ccエンジンはXV1700のエンジンをベースにしたもの。

XV1600

つまりアメリカンのエンジンを積んだスポーツネイキッド。

恐らくMT-01に興味のない人はヤマハの一代限りのマイナー車種という認識かもしれないけど、MT-01に対するヤマハの思いや作り込みは眼を見張るものがあります。

MT-01エンジン

エンジンはXV1600ベースとは言ったけど、メッキシリンダーや鍛造ピストン、FIやクランクなど90%近い部品が変更されていて、もはや別物エンジンとも言えるほどの改良。

さらにボルト締占式バックボーンフレーム、ハブが絞られている逆トラス式スイングアーム共にR1やR6と言ったフラグシップスポーツで採用されている溶接痕が無い綺麗なアルミダイキャスト製。

MT-01カットモデル

そしてブレーキもR1と同じ物(2007年R1と同時に6POT化)を装備しスポーツ性能を高め、更にリアショックの位置やエキゾーストパイプやチタンマフラー等の見た目までにもこだわっています。

鼓

ちなみにイメージテーマは鼓(つづみ)だそうです。

言われてみれば確かに。

でもやっぱり何と言っても一番は01のコンセプトである「鼓動(KODO)」

MT-01壁紙

Vツインエンジンのコレでもかというソウルビートというかパルス感を味わえる様にチューニングされている。

ピークが4750rpmなのを見ると分かる通り、走りだした瞬間からそりゃもう嫌ってほど。

鼓動

「SSでスポーツ走行するのはとても楽しい。でも現実は家を出た瞬間、前を走る車にブロックされストレスが溜まる。それは面白くない。だからそんな状況でも楽しめるスポーツバイクを作りたかった。」

その答えがこのMT-01・・・ただ実はこのMT-01を立案したのはヤマハの人ではありません。

このバイクの立案はヤマハ車のデザインを創業時からほぼ一手に担っているGKデザインによるもの。それをヤマハが承諾し形にしたというプロセスが逆のようなバイク。個性的なのも納得ですね。

ヤマハMT-01

社外デザイナーが企画を立てて実際に形にするなんて普通あり得ない話ですが、ヤマハとGKという腐れ縁のような関係だからできたんでしょう。

ただそんなGKにヤマハが乗る形で作り上げたMT-01ですが、ご存知の通り受注生産ながらあまり売れず2009年をもって受注終了となってしまいました。

こだわる余り車体価格が150万円と高くなってしまった事とあまり認知されていないニッチなカテゴリだった事が理由かと・・・意欲的&威圧的過ぎて腰が引ける人が多かったのもあると思いますが。

ちなみにオーナーさん達の話によるとVMAXと間違われるそうです。それほど認知されてない。そりゃビューエルも捨てられるよって話ですよ。

ビーキングとMT-01

ちなみにネットでよく変態バイクとしてスズキのB-KINGがネタ扱いされていますが、海外ではそんなB-KINGと双璧を成すもうひとつの変態バイクとしてはMT-01は扱われています。

喜ばしいんだか何だか・・・

主要諸元
全長/幅/高 2185/790/1160mm
シート高 825mm
車軸距離 1525mm
車体重量 240kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 15.0L
エンジン 空冷4サイクルOHV2気筒
総排気量 1670cc
最高出力 90ps/4750rpm
最高トルク 15.3kg-m/3750rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17
後190/50ZR17
バッテリー GT14B-4B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR7EA-9
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.1L
交換時3.7L
フィルター交換時4.1L
スプロケ 前16|リア43
チェーン サイズ530|リンク114
車体価格 1,399,000円(税別)
※プレスト価格
系譜図
MT-01 2005年
MT-01/S
(5YU)
MT-03 2006年
MT-03
(5YK/29D)
MT-10 2017年
MT-10/SP
(B67/BW8)

シグナスX SR(1YP後期)-since 2015-

七代目シグナス

モデル整理でSRモデルへ一本化されたシグナスX SRの1YP後期モデル。

てっきり次こそフルモデルチェンジだと思ったら先に紹介した2013年モデルの1YP前期と同様にまた外見の変更がメインのマイナーチェンジ・・・と思ったら違った。というか見落としてましたゴメンナサイ。

2015シグナスX SR

実はこれ生産国でもあり、メイン市場でもある台湾では既に行われていたモデルチェンジだったりするわけで、それが日本仕様にも適用されたというわけ。

主な変更はまず外見から言うと特に顔とテールのLEDが変更されてる。

シグナスXテールライト

相変わらずヤマハは近未来感を出すデザインが上手いな。

まあでも今回一番の目玉はやっぱりブレーキかと。

ディスクブレーキ なんとリアまでディスク化されました。125cc以下のスクーターにおいてリアのディスク化ってコスト増な事から、特に日本メーカーにおいては消極的だったんですけど採用して来たってことはこれからは原二も前後ディスクブレーキが当たり前になっていくんですかね。

着眼点の鋭い人は「タイヤMAXXISかよ!」って思うかもしれませんが今どきの海外生産のバイクでは仕方ない話です。

アジアンタイヤが標準なのはもう当たり前になっちゃいましたね・・・そこのコストは削ってほしくない様な。まあシグナスに限った話じゃないですけど。

2015シグナスSR

今回はホイールとスイングアームが見直されてなんと4kgもの軽量化に成功してるとの事です。更に吸排気も見直されてシグナス唯一の欠点だった燃費がカタログ燃費で3.3kmほど伸びました。

しかもお値段あまり変わらず税別285000円也。これは先代というか前期モデルの時に言った狙いと同じかと。

でもまさか二段階テコ入れをしてくるとは思わなかったですね。というか随分とブルーコアエンジンを出し渋りますね。

NMAX日本仕様

なんて言ってたらどうも先のシグナスXで紹介したブルーコアエンジン搭載のNMAXを日本でも売るみたいです。

ちなみにNMAX(ブルーコアエンジン)はインドネシアでシグナスは台湾だからシグナスも同じブルーコアエンジンにってのが簡単に出来ないんだろうね。

でもヤマハさんはどうするんだろう。空冷バージョンのブルーコアエンジンを台湾で作るのかな。

というかシグナスって何かいっつも味方に後ろから撃たれてるイメージが・・・

主要諸元
全長/幅/高 1870/685/1135mm
シート高 785mm
車軸距離 1295mm
車体重量 122kg(装)
燃料消費率 39.1km/L
※WMTCモード値
燃料容量 7.1L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 124cc
最高出力 11ps/8500rpm
最高トルク 0.93kg-m/7500rpm
変速機 Vベルト式
タイヤサイズ 前110/70-12(47L)
後120/70-12(51L)
バッテリー GT7B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
推奨オイル ヤマルーブ
スポーツ(10W-40)
または
スタンダードプラス(10W-40)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
交換時0.9L
スプロケ
Vベルト 2JS-E7641-10
車体価格 270,000円(税別)
※スペックは2015年モデル
系譜図
XC1801982年
CYGNUS180
(25G)
XC1251984年
CYGNUS125
(2YM)
XC125D1995年
CYGNUS125
(4KP/4TG/5CY/5NN)
2003XC1252003年
CYGNUS X/SR
(5UA)
2007XC125X2007年
CYGNUS X/SR
(28S)
2013XC125X2013年
CYGNUS X/SR
(1YP)
2015XC125X2015年
CYGNUS X SR
(1YP後期)

【関連車種】
PCXの系譜LEADの系譜TRICITYの系譜Addressの系譜

シグナスX/SR(1YP)-since 2013-

六代目シグナス

「URBAN SPORTY × SHOW OFF SPORTY」

何だかんだで初代以来となる10年選手となったシグナスXだったけど遂にモデルチェンジ。

基本的な構造はそのままに造形をLED主体の今風にした感じ。っていうか中身は何一つ変わってない。

エンジンは愚か寸法も変わらずって(まあペタルディスクに変わりましたが)

六代目シグナス

そんな馬鹿な・・・って思ったら安くなってるんですね。先代から三万円安で30万円を切るお値段に。

ちなみに下の写真はインド向けシグナスのシグナスRAY。

シグナスRAY

なんとインドのデザイン賞を取りました。

えぇ何かちょっと・・・正直日本のシグナスの方が・・・

話を戻して個人的な考えを悪乗りしつつ言わせてもらえば

シグナスXといえばネーミングからしてお高く止まってる原二って認識だったから値段を抑えるモデルチェンジしてきたのが意外。てっきり水冷化して性能アップしてくるものだとばかり・・・

というのも皆さんもご記憶に新しいと思いますが、2010年にホンダがPCXという
「超低燃費」「走り良好」「原二らしからぬ造形」「29万9250円」
という出る前から原二王者を約束されたような世界戦略車を出してきました。

PCX

もうアレよアレよという間もなく原二界はPCX一色に。しかもタイからベトナム工場への移転に伴ってモデルチェンジしちゃったから勢いは増すばかり。

ホンダに真正面からぶつかれるのはヤマハしか居ないのは紛れも無い事実なわけで、ヤマハの対PCXを待ってた人は結構いると思うわけですよ。

シグナスの主戦場は台湾で、ホンダは台湾で原付を売ってないからってアグラかいて・・・ってまあそんなわけは無いか。

って思ったらこんなバイクを出してきました。

PCX

「Next Generation Fun to Ride Commuter」

マジェスティSです。155ccの水冷エンジンを積んだ新しい小型スクーターでPCX150を超える売れ行き。

ここで思い出して欲しいのは二代目シグナスの事。二代目シグナスもマジェスティという上位互換が生まれたことでお株を奪われた。その悪夢再びです・・・ヤマハはシグナスを亡き物にしたいんだろうか。

という悪乗りはここまでにして。

真面目な話をすると言い方は悪いですが、このシグナスXのモデルチェンジは思うに延命的なもの。その根拠となっているのはヤマハの次世代小排気量エンジンの完成がすぐそこまで迫っているから。

ブルーコアエンジンという燃費が従来のエンジンに対し50%も向上という嘘みたいなエコエンジン。

ブルーコアエンジン

なんでも原二のエンジニアは勿論のこと、トヨタのエンジンを担当しているエンジニアやマリン部門のエンジニア、果てはMotoGPの担当をしているエンジニアまで、とにかくヤマハ発動機のエンジニアを総動員して作り上げたと言われています

んでこのエンジンなんですけど実は既に導入されているバイクが海外向けに出ています。

ブルーコアエンジン

NMAXというTMAXシリーズの末っ子的な存在のスクーターでPCXと同じく125と150があります。

となると当然ながらPCXと比べられるわけで、実際どうなのかって話ですが

イギリスのカタログ燃費を見る限りPCX125がMPG133.9(56.9km/L)に対しNMAXはMPG129(54.8km/L)で若干PCXが勝っています。

ブルーコアvva

ただPCXが2バルブなのに対しNMAXは4バルブで可変バルブ式なため0.5馬力ほど上。可変バルブなので体感差は数値以上に感じると思います。というか原ニも可変バルブの時代なのか。

これは3つあるブルーコアエンジンの水冷バージョンの話であってシグナスXにもこれと同じものが乗るのかは分かりませんが、少なくともブルーコアエンジンへのモデルチェンジがそう遠くないのは間違いないと思います。

なんかシグナスの話じゃなくてブルーコアエンジンの話になってしまいましたね。

ただし

「じゃあ今シグナスを買うのは時期が悪いのか」

っていうと考え方によってはちょっと違う。

何故なら今のこの装備のシグナスXにブルーコアエンジンを積んだら間違いなく30万円じゃ収まらないから。

ヤマハ シグナスX

設計が2003年と古く、次世代が控えてるという事をヤマハが考慮したからこその品質アップしつつ値下げという一風変わったモデルチェンジでありSRの一本化なわけですね。

いやーよく考えてる。

主要諸元
全長/幅/高 1870/685/1135mm
シート高 785mm
車軸距離 1295mm
車体重量 122kg(装)
燃料消費率 40.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 7.1L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 124cc
最高出力 11ps/8500rpm
最高トルク 0.93kg-m/7500rpm
変速機 Vベルト式
タイヤサイズ 前110/70-12(47L)
後120/70-12(51L)
バッテリー YT7B-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
推奨オイル ヤマルーブ
スポーツ(10W-40)
または
スタンダードプラス(10W-40)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
交換時0.9L
スプロケ
Vベルト 5ML-E7641-00
車体価格 270,000円(税別)
※スペックはSR
系譜図
XC1801982年
CYGNUS180
(25G)
XC1251984年
CYGNUS125
(2YM)
XC125D1995年
CYGNUS125
(4KP/4TG/5CY/5NN)
2003XC1252003年
CYGNUS X/SR
(5UA)
2007XC125X2007年
CYGNUS X/SR
(28S)
2013XC125X2013年
CYGNUS X/SR
(1YP)
2015XC125X2015年
CYGNUS X SR
(1YP後期)

シグナスX/SR(28S)-since 2007-

五代目シグナス

シグナスX(5UA)の後期モデルに28S。

大きな違いは排出ガス規制に伴ってFI化されたこと。見た目の違いとしてはヘッドライトが尖ってウィンカーとテールライトがクリアタイプになったこと。

でもこのシグナスで偉いなと思うのはフロントディスクローターが大径化されたことかな。スクーターのブレーキって弱い事が当たり前な風潮がありますがアレ何なんでしょうね。まあコストカットなんでしょうけど。

シグナスX SR

この頃から俗にいう第二次原二ブームが巻き起こりだしたと記憶しています。写真はSR。

その中でもシグナスXは(重いことで)燃費がちょっとヨロシクナイ事を除けば王道のトップクラスって感じでしたね・・・値段もトップクラスだったから当たり前か。

台湾シグナスX

コッチは本場(?)の台湾シグナスで正式名称はシグナスX FI SPORTYといいます。

日本にも並行物が出まわってたりしますね。台湾仕様だけペタルディスクローターなんてズルい。

まあ出る台数が桁違いだから仕方ないのかな。

主要諸元
全長/幅/高 1855/685/1130mm
シート高 785mm
車軸距離 1295mm
車体重量 122kg(装)
燃料消費率 40.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 7.1L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 124cc
最高出力 11ps/8500rpm
最高トルク 0.93kg-m/7500rpm
変速機 Vベルト式
タイヤサイズ 前110/70-12(47L)
後120/70-12(51L)
バッテリー YT7B-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
推奨オイル ヤマルーブ
スポーツ(10W-40)
または
ベーシック(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
定期交換時0.9L
スプロケ
Vベルト 5ML-E7641-00
車体価格 325,500円(税別)
[315,000円(税別)]
※[]内はSR
系譜図
XC1801982年
CYGNUS180
(25G)
XC1251984年
CYGNUS125
(2YM)
XC125D1995年
CYGNUS125
(4KP/4TG/5CY/5NN)
2003XC1252003年
CYGNUS X/SR
(5UA)
2007XC125X2007年
CYGNUS X/SR
(28S)
2013XC125X2013年
CYGNUS X/SR
(1YP)
2015XC125X2015年
CYGNUS X SR
(1YP後期)

シグナスX/SR(5UA)-since 2003-

四代目シグナス

「タフネス コンフォート コミューター」

先代の失敗に加えマジェスティの台頭で地に落ちていたシグナスブランドを復活させたと言っても良いんではなかろうかと思う五代目シグナスのシグナスX。

先代でブーブー文句言われていた10インチを止め12インチへとインチアップ。

そしてエンジンはなんとOHCながら4バルブしかもメッキシリンダーという無駄に贅沢な物を積んでる。いや無駄って言ったらおかしいですね、そのおかげで10.4馬力/8500rpmというピークパワーを発揮するわけですから。

メットインスペース

他にもメットインスペースが27Lに拡大されたりリアがツインサスになって乗り心地が向上したりといった非常に行き届いた作りになりました。(写真は次モデル)

後ろ姿

まあでもシグナスXが大成功と言えるほど売れた一番の理由はやっぱりデザインでしょうね。オッサン臭さが全くと言って程なくなった。

ヘッドライトをアッパーではなくボディに、それも下の方に埋め込む斬新なスタイルは今となってはシグナスのトレードマーク。

SR

そして翌年にはお馴染みというか今ではメインに取って代わられたSRモデルも登場。

三段階調節機能付きリアサスと専用のカラーリングを施されたモデル。晩年にはキャリパーのレッド塗装も加わりました。

主要諸元
全長/幅/高 1855/685/1110mm
シート高 755mm
車軸距離 1295mm
車体重量 119kg(装)
燃料消費率 46.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 7.1L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 124cc
最高出力 10.4ps/8500rpm
最高トルク 0.94kg-m/7500rpm
変速機 Vベルト式
タイヤサイズ 前110/70-12(47L)
後120/70-12(51L)
バッテリー YTX7A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
推奨オイル エフェロプレミアム(10W-40)
または
エフェロスポーツ(10W-40)
または
エフェロベーシック(20W-40|10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.1L
交換時0.9L
スプロケ
Vベルト 5ML-17641-00
[5ML-E7641-00]
※[]内は06以降
車体価格 309,000円(税別)
系譜図
XC1801982年
CYGNUS180
(25G)
XC1251984年
CYGNUS125
(2YM)
XC125D1995年
CYGNUS125
(4KP/4TG/5CY/5NN)
2003XC1252003年
CYGNUS X/SR
(5UA)
2007XC125X2007年
CYGNUS X/SR
(28S)
2013XC125X2013年
CYGNUS X/SR
(1YP)
2015XC125X2015年
CYGNUS X SR
(1YP後期)

シグナス125/D/Si/SV(4KP/4TG/5CY/5NN)-since 1995-

二代目シグナス

三代目にあたるシグナス125(4KP)

このモデルからは台湾ヤマハ製造となりました。

えーっと、最初にオーナーの方が居たら誤っておきますゴメンナサイ。というのはヤマハらしかぬ不人気車だったから。

シグナスといえば先鋭的なデザインと上質感で長距離も熟せるゆとりあるスクーターって感じだったんだけど、台湾製になってからデザインが・・・いやまあ台湾の人からしたらこれが先鋭的なのかもしれないけどね。

しかも幸か不幸かヤマハは同年にマジェスティを出してるんです。

初代MAJESTY

「大人のセダン」

というコンセプトで言ってみればソレまでのシグナスが持っていたコンセプトの上位互換のようなバイク。しかも大ヒット。

だから原二の方はデザインより実用性だろってヤマハが判断したのかもしれない・・・

でもあまりの不人気っぷりからヤマハは結構テコ入れというか色々出しました。

翌年にはフロントをディスクブレーキにしたスペイシーみたいな三代目シグナス125D(4TD)

シグナス125D

そして1998年にはデザインをガラリと変えて更に実用性を高めるべくコンパクト軽量になった四代目のシグナス125Si、そして2001年にはDとSiのイイトコ取り(ディスクブレーキのSi)な五代目シグナスSVが出ました。

シグナス125SV

シグナスというよりジョグっぽいですねSiやSVって。10インチだからそう見えちゃうのかな。

これらは併売、統合などがあったので○代目というのはちょっと違うんだけどまあ細かいことは気にしないで下さい・・・

しかしこれらのモデル展開でも人気は回復すること無く、125SVが出た2年後にXへとバトンタッチされることになりました。

さてここでシグナスマニアは出てないシグナスがあることに気付かれてると思います。というか私も完全に忘れてました。

それはこのシグナス125より先の1992年に出た台湾シグナス。

その名はシグナスGT150(4DH)

シグナス150

果たして知っている(覚えている)人がどのくらい居るのか疑問ですがちゃんと日本でも発売されました。

実はこのGT150は水空冷エンジンというとってもユニークなエンジンを積んでいます。エンジンのヘッド部分は水冷でシリンダーは空冷。

それにしても、うーん・・・この頃のシグナスは良くも悪くも最もオジサマシグナスですね。

というか何処らへんがはくちょう座の要素が無い。

主要諸元
全長/幅/高 1840/705/1105mm
シート高 755mm
車軸距離 1220mm
車体重量 104kg(乾)
燃料消費率 70.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 7.8L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 124cc
最高出力 10.0ps/8000rpm
最高トルク 1.9kg-m/6000rpm
変速機 Vベルト式
タイヤサイズ 前後3.50-10-51J
バッテリー YTX7A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.2L
交換時1.0L
スプロケ
Vベルト 4CW-17641-01
車体価格 279,000円(税別)
系譜図
XC1801982年
CYGNUS180
(25G)
XC1251984年
CYGNUS125
(2YM)
XC125D1995年
CYGNUS125
(4KP/4TG/5CY/5NN)
2003XC1252003年
CYGNUS X/SR
(5UA)
2007XC125X2007年
CYGNUS X/SR
(28S)
2013XC125X2013年
CYGNUS X/SR
(1YP)
2015XC125X2015年
CYGNUS X SR
(1YP後期)

シグナス125(2YM)-since 1984-

シグナス125

125としては初めてとなるシグナス2YM

基本的には先代の180と同じコンセプトで二人でゆったり長距離を走れる125。

その要素として挙げられるのが大型キャリアと一軸バランサーを搭載したOHCエンジン。そのおかげで振動も少なく非常にジェントルな原二になってる。

ちょっと話が逸れるけど原付レベルのエンジンに一軸バランサーを入れるのは結構異例な事。

ソレは何故かと言えば一軸バランサーを入れると振動が抑えられる代わりにエンジン出力を10%前後もロスしてしまう事になる。そして何よりコストアップ。

だから小排気量に一軸バランサーを入れるのは普通ではあまり無いんだけど敢えて搭載した。

シグナス125後期

でもその狙いが的中してジェントルなスクーターだと見事に大ヒット。2stのリード、4stのシグナスとして人気を二分する存在となりました。

1988年に足回りとシートの見直しが入った後期モデルが出た後も売れ続け終わってみたら10年以上発売されていたロングセラースクーター。

あとまあバイクだから目の肥えた人たちには想像が付かないかもしれないけど当時はデザインも先鋭的だと評判になりました。

主要諸元
全長/幅/高 1880/650/1095mm
シート高 760mm
車軸距離 1250mm
車体重量 91kg(乾)
燃料消費率 70.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 7.0L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 124cc
最高出力 11ps/8000rpm
最高トルク 1.1kg-m/6500rpm
変速機 Vベルト式
タイヤサイズ 前後3.50-10-4PR
バッテリー YB7C-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
C6HSA
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
スプロケ
Vベルト
車体価格 249,000円(税別)
系譜図
XC1801982年
CYGNUS180
(25G)
XC1251984年
CYGNUS125
(2YM)
XC125D1995年
CYGNUS125
(4KP/4TG/5CY/5NN)
2003XC1252003年
CYGNUS X/SR
(5UA)
2007XC125X2007年
CYGNUS X/SR
(28S)
2013XC125X2013年
CYGNUS X/SR
(1YP)
2015XC125X2015年
CYGNUS X SR
(1YP後期)

シグナス180(25G)-since 1982-

シグナス180

これを初代と言って良いのか微妙な所なんだけど初めてシグナスという名前のバイクが出たのは1982年の事。

シグナス180(XC180)は佳境に入っていたHY戦争(詳しくはHY戦争を参照)により生まれたバイク。

完全新設計&専用設計のOHV171ccで片持ちボトムにデジタル時計や燃料計まで装備したバブリーな一台。

XC180

ヤマハがこのバイクで狙いたかったのは、近距離の下駄という認識のスクーターとは一線を画する長距離も熟せるプレミアムコンパクトスクーターってやつ。

シグナス180カタログ写真

皆さんご存じない通りカラーチェンジすら行われることなく生産終了した不人気車なわけですが、でもいま大ヒット中のマジェスティSとコンセプトは通ずる所があるんですよね。

うーん出る時代が早すぎたのか・・・

主要諸元
全長/幅/高 1840/715/1120mm
シート高 745mm
車軸距離 1290mm
車体重量 108kg(乾)
燃料消費率 60.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 6.5L
エンジン 空冷4サイクルOHV単気筒
総排気量 171cc
最高出力 15ps/7300rpm
最高トルク 1.5kg-m/6000rpm
変速機 Vベルト式
タイヤサイズ 前後3.50-10-4PR
バッテリー YB10L-B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
D7EA
推奨オイル ヤマルーブ
スポーツ(10W-40)
または
スタンダードプラス(10W-40)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.3L
スプロケ
Vベルト
車体価格 289,000円(税別)
系譜図
XC1801982年
CYGNUS180
(25G)
XC1251984年
CYGNUS125
(2YM)
XC125D1995年
CYGNUS125
(4KP/4TG/5CY/5NN)
2003XC1252003年
CYGNUS X/SR
(5UA)
2007XC125X2007年
CYGNUS X/SR
(28S)
2013XC125X2013年
CYGNUS X/SR
(1YP)
2015XC125X2015年
CYGNUS X SR
(1YP後期)