FZ400R/N(46X/2EL/3CD/1FK) -since 1984-

FZ400R

「リアルレスポンス」

もしかしたらというか、恐らく系譜の始まりにして最も人気があるであろうFZ400R。

FZ400Rは当時4st水冷400のスーパースポーツ(レーサーレプリカ)での出遅れを取り戻す事を狙って作られたバイクで、TT-F3のFZR400(純レーサー)と共同開発という謳い文句で登場しました。

TT-F3 FZR400

ちなみにこのFZR400は見事TT-F3初代チャンピオンに輝きました。

そんなFZR400との二卵性双生児であることが最も現れているのが、大きなフロントフェアリングと流れるようなシートカウル。

FZ400Rサイド

このカウルは空気抵抗を軽減する為に編み出された造形で、ヤマハとしてはRVZ500Rと並び”飾りではない本当の空力パーツ”として取り入れた初めての市販車。

でもライダーはそんな事よりも単純にこの斬新なデザインにヤラれた人が多かった。

46X

今改めて振り返ってみると本当にFZ(FAZER)シリーズの始祖に相応しいデザインですね。

コチラは翌1985年に出たネイキッドモデルであるFZ400N。

FZ400N

N=ネイキッド=カウルレスという認識はこのバイクから始まりました。

2年後の86年モデルではハンドルなどのポジションが見直され、87年モデルではフルカウルモデル(3CD型)も登場するなど、FZ400Rは二年保たないのが当たり前だったレーサーレプリカ時代において、4年以上もラインナップに居た超長寿レーサーレプリカだったりします。

FZ400Rフルカウル

これが何故かと言うとFZ400R/Nは基本設計が古かったからです。

誤解している人も多いのですがFZ400RはGENESIS思想のバイクではありません。GENESISの始まりはFZ400Rの翌年に出たFZ750やFZ250PHAZERから。

1FKカタログ写真

FZ400R/Nはアルミフレームでも無いし、エンジンはXJ400Zの物だから純粋なレーサーレプリカかと言うとそうでもない。

でもこれが良かったんです。

FZ400Rカタログ写真

これまで培ってきた直四や鉄フレームから来る若干のナローさのおかげで、速いだけでなく懐が非常に広かったから何年経ってもFZ400を選ぶ人が多かったんです。

主要諸元
全長/幅/高 2025/690/1145mm
[2025/705/1145mm]
シート高 785mm
車軸距離 1385mm
車体重量 165kg(乾)
[166kg(乾)]
燃料消費率 55.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 399cc
最高出力 59ps/12000rpm
最高トルク 3.7kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54H)
後120/80-18(62H)
バッテリー FB12A-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
D8EA
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.9L
交換時2.2L
フィルター交換時2.5L
スプロケ 前16|リア45
チェーン サイズ520|リンク104
車体価格 598,000円(税別)
[615,000円(税別)]
※スペックはFZ400R(46X)
※[]内はフルカウルモデル(3CD)
系譜図
FZ400R1984年
FZ400R/N
(46X/2EL/3CD/1FK)
1wg/2TK1986年
FZR400/R
(1WG/2TK)
3EN1988年
FZR400/R
(3EN)
3TJ1990年
FZR400RR/SP
(3TJ)

FJR1300A/AS(B88/B95) -since 2016-

四代目FJR1300

「ダイナミックツーリング」

五代目にあたるFJR1300。ここまで来といて申し訳ないんだけどFJRは本当はもっと刻んでモデルチェンジ(というかマイナーチェンジ)しています。大体二年ごと。でもソコまで書く気力が無かったので大まかに世代ごとに分けて書いてますゴメンナサイ。

このモデル最大の特徴はなんといってもミッションが5速から6速になった事。これによってミッションガチャガチャと忙しなくシフトチェンジして走るスポーツ走行と回転数を抑えたジェントルな走りが可能になりました。

ミッション

他にも最近のモデルチェンジの定番として定着しつつあるヘッドライトのLED化。

でもただのLEDヘッドライトではありません。ASモデルでは更にFRONT ADAPTIVE CORNERING LIGHTSという物が備わってます。

アダプティブコーナリングライト

これはまあ要するにコーナーの先を照らしてくる補助ライトの事でヘッドライトの上に付いてます。

アダプティブヘッドライト

車では標準装備になりつつある装備ですが、バイクでもコレからは標準装備が増えていくんだろうか。これあったら便利ですよね。

二輪で最初にやったのはBMWのK1600だったかな。アッチはヘッドライトと鏡を傾ける事で実現してるみたい。まだコレっていう方法が確立されてないんでしょうね。バイクはスペースに限りがあるし。

テールライト

テールもLED化されたんですが、ブレーキランプだけじゃなくてウィンカーまでLEDになってますね。昨今はLEDブレーキランプは珍しくないけどLEDウィンカーはまだまだ普及してないからドヤ顔出来ますね。

さてさて、FJR1300は欧州とは対照的に日本ではあまり売れてません。

「車格のツアラー日本向きじゃない」

って思ってる人が多いからだと思います。私自身そう思ってました・・・思ってましたというのはある意見を聞いて考えが少し変わったからです。

実はこのFJR1300に惚れ込んで日常の足としても使ってるバイクジャーナリストの方が居ます。

丸山浩

それは丸山浩さん。バイク雑誌を読んだことがある方なら一度は目にしたことがあると思うので説明不要な気もしますが、モータージャーナリスト&WITH ME代表&プロライダーの方です。

しかもただ持ってるわけじゃありません。初代乗ってて二代目に乗り換えるほどのFJRに惚れ込んでる。

そんな丸山さんがFJRに乗る理由として明らかに新型バイクのインプレを語る時よりウキウキと饒舌に

「大きいミラーに加えて大容量パニアケースで仕事道具全部詰めて出張るのにピッタリ」

と語ってたんです。

スポーツツアラーと聞くと、週末に凄く遠くに旅に出るためのバイクという固着観念を持っていた身としては青天の霹靂といいますか寝耳に水といいますか、とにかく衝撃でした。

今さらFJRのツーリング性能をとやかくいう必要は無いと思いますし、こういうことを言うと本末転倒と突っ込まれそうですが、別にツアラーだからって遠くに行かなくてもいいし、旅をしなきゃいけないわけじゃない。なにも自ら用途を絞る必要はないわけで。

2016FJR1300壁紙

普段なら車で行くような遠出とまでは行かないショッピングや散策に使ったっていいわけですよ。パニアケースがあれば荷物乗るし、連れが居たってこのシートを嫌う人は居ないでしょう。

週末のホームセンター巡りをFJRでしてもいいじゃない。FJRは街乗りしかしない白バイに世界中で採用されるほど懐が広いんだから。

お高いバイクだからってお高く止まる必要はない。

主要諸元
全長/幅/高 2230/750/1325~1455mm
シート高 805~825mm
車軸距離 1545mm
車体重量 289kg(装)
[296kg(装)]
燃料消費率 16.6km/L
※WMTCモード値
燃料容量 25L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 1297cc
最高出力 147ps/8000rpm
最高トルク 14.1kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58WW)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー GT14B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR8EA-9
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.9L
交換時3.8L
フィルター交換時4.0L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,400,000円(税別)
[1,700,000円(税別)]
※[]内はFJR1300AS(B95)
系譜図
1984FJR11001984年
FJ1100
(36Y)
1991FJR12001986年
FJ1200/A
(4CC)
20012001年
FJR1300 /A
(5JW/5VS)
20062006年
FJR1300A/AS
(3P6/2D2)
20102010年
FJR1300A/AS
(1CY/1DA)
2014as2013年
FJR1300A/AS
(1MC/1MD)
20162016年
FJR1300A/AS
(B88/B95)

【関連車種】
CBR1100XXの系譜HAYABUSAの系譜ZX-14R/GTRの系譜

FJR1300A/AS(1MC/1MD) -since 2013-

三代目FJR1300

「ダイナミックツーリング」

FJRとしては初めての外装デザインが大幅に変わった四代目。

ジャンピングムーブメント

大きく変わりましたね。

デザインテーマはマシンが前に飛び出すように見える“ジャンピングムーブメント”。

ラフデザイン

大きな第一歩を踏み出そうとするライダーの背中を押せるようなデザインとの事。

内部的な事をいうとYCC-S(クラッチレス)のASモデルとAモデルの2モデル展開はそのままにトラクションコントロールやDモード(モード切替)が採用。

更にASモデルには倒立サス(しかも電子制御)にクルーズコントロールシステム、STOP MODEを搭載。更にクラッチ制御がよりナチュラルになるように改良されています。

ハンドル周り

もはや何が何のスイッチだか説明する気も失せる多さですし、バイクでクルーズコントロールなんて恐ろしいような試してみたい様な魅力ですが、このモデルチェンジで間違いなく重宝するのはSTOP MODEでしょう。

ASは先に言った通りシフトチェンジを自分でしなきゃいけないという特性なんですが、止まった時や止まる時に自分でガチャガチャ一速に入れないといけないという少し煩わしい点があります。

このSTOP MODEはそんな煩わしさを解消するために、止まった時は自動で一速に入れてくれるモード。これでガチャガチャともおさらば出来るわけです。

FJR1300壁紙

さて、FJRは先代までの時点で世界販売台数10万台を突破する大ベストセラーで今ではスポーツツアラーの定番と化してるわけですが、欧州との規制統一化によって今までプレスト扱いだった日本でもヤマハ直々に取扱いとなりました。このおかげで前よりも身近になりましたね。

唐突ですが、書くこともないので少し話を脱線。

FJR1300は2001年の初代と早い段階から電動スクリーンを採用しています。今となっては電動スクリーンなんてツアラーじゃ当たり前でソレ自体は珍しくもなんともないわけですが、果たして皆さんは電動スクリーンの恩恵をちゃんと理解しているでしょうか。

ウインドプロテクション

電動で高さを変えられる事で防風性能を気軽に変えられる・・・半分正解です。

電動スクリーンのメリットは確かに高さを手軽に変えられる事。でもそれは闇雲に風を防ぐ為だけにあるわけじゃないんです。それなら最初から背の高いスクリーンをつければ良いだけでしょ?

正しく言うなら電動スクリーンのメリットはウインドプロテクションをコントロール出来る事。

言ってること一緒じゃんと言われそうですが違います。

バイクで走っている時、スクリーンのあるバイクは風を受け流してライダーに当たらない様にしてるわけですが、そうすると一つ問題が出てくる。

CFD

注目して欲しいのはスクリーンの裏側にあたるハンドル付近の青くなってる部分。これは前に進むバイクが風を掻き上げる事でスクリーン裏が負圧になってるわけです。極端に言えば真空状態しかも慢性的な。

すると圧力差から周りの空気が流れ込み、入り乱れたトルネードの様になる。写真のバイクはスクリーンがそれほど大きくないのでアレですが、もしコレが頭まですっぽり隠れる程のスクリーンだったらどうなるでしょう。ライダーはその入り乱れたトルネードのすぐ後ろに身体を置かないといけなくなるわけです。

そうなってしまうと負圧で身体を引っ張られるわ、トルネードの轟音に晒されてしまうわ、疲れないためにあるはずのスクリーンという名の風防が疲れを誘発させる風防に早変わってしまう。

ちなみにトップブリッジにカメラやスマホをマウントして撮影しても轟音で音が全く拾えなかったりするのもこのトルネードのせい。

スクリーン

要するにスクリーンというのは高すぎても駄目なんです。

でも座高の高さなんて千差万別で誰が乗っても完璧なエアロダイナミクスなんて不可能。だから自分にピッタリのエアロダイナミクスを可能にする電動スクリーンはとっても理に適ったありがたい装備であり、今となってはツアラーの必需品になってるわけですね。

・・・バイクトリビアの方に書けばよかったな。

主要諸元
全長/幅/高 2230/750/1325~1455mm
シート高 805~825mm
車軸距離 1545mm
車体重量 289kg(装)
[296kg(装)]
燃料消費率 16.3km/L
※WMTCモード値
燃料容量 25L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 1297cc
最高出力 147ps/8000rpm
最高トルク 14.1kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58WW)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー GT14B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR8EA-9
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.9L
交換時3.8L
フィルター交換時4.0L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,350,000円(税別)
[1,650,000円(税別)]
※[]内はFJR1300AS(B95)
系譜図
1984FJR11001984年
FJ1100
(36Y)
1991FJR12001986年
FJ1200/A
(4CC)
20012001年
FJR1300 /A
(5JW/5VS)
20062006年
FJR1300A/AS
(3P6/2D2)
20102010年
FJR1300A/AS
(1CY/1DA)
2014as2013年
FJR1300A/AS
(1MC/1MD)
20162016年
FJR1300A/AS
(B88/B95)

FJR1300A/AS(1CY/1DA) -since 2010-

三代目FJR1300

マイナーチェンジに近いモデルチェンジが入った三代目FJR1300。

各部が見直されているわけですが・・・ここでちょっと目についた物。それはキャリパー。

ニッシンキャリパー

NISSINのキャリパーが付いてる・・・ナンテコッタイ。

ヤマハ通の人ならこの事に違和感を覚えると思いますが、分からない人に説明すると

Nissin(日信工業)はホンダ系列のブレーキメーカーで、ホンダを筆頭にスズキやカワサキに供給していますが、ヤマハはせいぜいマスターシリンダーのみでフロントキャリパーまでニッシンなヤマハバイクはほとんどありません。

何故ならヤマハはアドヴィックス(旧住友でトヨタ系)というブレーキメーカー側の企業だから。MOSキャリパーやヤマンボ(OEMブレンボ)がいい例ですね。

アドヴィックス

そんなヤマハがどうして(FJRは昔からだけど)NISSINキャリパーを使ってるんだろうと思い調べてみるとFJR1300のABSブレーキは前後連動式。つまりニッシンの前後連動ABSシステムを採用しているという事ですね。(先代も)

もしかしたらアドヴィックスのABSが遅かった事と関係しているかもしれません。というかニッシンが凄いのか。

ニッシン

ニッシンは二輪におけるブレーキ関係でハード面もソフト面も担える世界で唯一のメーカーですからね。世界シェア1位ですし。

ハンドリングを大事にするヤマハは前後連動を一番嫌ってるメーカーだから余計に意外だけど、まあ車重が車重なので安全性を取ったんでしょう。

主要諸元
全長/幅/高 2230/750/1450mm
シート高 805~825mm
車軸距離 1545mm
車体重量 291kg(装)
燃料消費率
燃料容量 25L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 1297cc
最高出力 143.5ps/8000rpm
最高トルク 13.7kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58WW)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー GT14B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
または
U24ESR-N
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.9L
交換時3.8L
フィルター交換時4.0L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,430,000円(税別)
※プレスト価格
系譜図
1984FJR11001984年
FJ1100
(36Y)
1991FJR12001986年
FJ1200/A
(4CC)
20012001年
FJR1300 /A
(5JW/5VS)
20062006年
FJR1300A/AS
(3P6/2D2)
20102010年
FJR1300A/AS
(1CY/1DA)
2014as2013年
FJR1300A/AS
(1MC/1MD)
20162016年
FJR1300A/AS
(B88/B95)

FJR1300A/AS(3P6/2D2) -since 2006-

二代目FJR1300

二代目FJRは2006年から。

このモデルチェンジでグレード分けがAとASに。この時から既にABSが標準化されました。

AはABSモデル、そしてAS(国によってはES)はABSに加えてYCC-S(Yamaha Chip Controlled Shift)を搭載したモデル。

YCC-Sというのはまあ要するにクラッチを電子制御することでクラッチレスになってるセミMTの事。

クラッチレスMT

ご覧のようにクラッチレバーがありません。代わりにパドルシフトが加わってます。このパドルシフトでギアを上げ下げ出来るわけですね。

もちろんシフトペダルもちゃんと付いてます。つまりハンドルでも足でもシフトチェンジが可能な。

シフトペダル

面白いのはAS(クラッチレス)モデルはシフトチェンジが”1→N→2→3….”ではなくN→1→2→3…とボトムニュートラルになってること。これは長距離走行時の疲労を少しでも和らげるためなんだって。走行中に間違ってNに入れてしまわない様に停止時以外はNに入らないようになってます。

ところで何故ATではなくセミMTというのかというと、クラッチは無いけどシフトチェンジは自分でしないといけないから。

例えば三速で走ってて信号で止まったとしてもギアは三速のまま。発進する時は自分で一速に入れないといけないし、アクセルをどれだけ開けても勝手にシフトを上げたりしない。

ココらへんがホンダのDCTとの違いだね。ホンダのDCTは自動でシフトチェンジをするからアッチはAT。いやDCTなんだけど。

メーター周り

なんで自動でしないの?って話だけど、これには実にヤマハらしいというかFJRらしい理由がある

それはあくまでもFJRは”スポーツツアラー”であり”ツアラー”じゃないから。

クラッチだけでなくシフトチェンジまで自動でやってくれると疲労は減るんだけど、それではファンライディングが楽しめない。だからシフトチェンジというバイクを操る要素を残したんだって。

2007壁紙

もちろんこのYCC-S以外にもリアフレーム、ラジエーターなどに変更が加わっています。

ちなみに2008年モデルからパニア別売り化で価格も下がっています。

主要諸元
全長/幅/高 2230/750/1450mm
シート高 800~820mm
車軸距離 1545mm
車体重量 264kg(乾)
[268kg(乾)]
燃料消費率
燃料容量 25L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 1297cc
最高出力 144ps/8000rpm
最高トルク 13.7kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58WW)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー GT14B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
または
U24ESR-N
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.9L
交換時3.8L
フィルター交換時4.0L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,430,000円(税別)
[1,670,000円(税別)]
※プレスト価格
※[]内はFJR1300AS(2D2)
系譜図
1984FJR11001984年
FJ1100
(36Y)
1991FJR12001986年
FJ1200/A
(4CC)
20012001年
FJR1300 /A
(5JW/5VS)
20062006年
FJR1300A/AS
(3P6/2D2)
20102010年
FJR1300A/AS
(1CY/1DA)
2014as2013年
FJR1300A/AS
(1MC/1MD)
20162016年
FJR1300A/AS
(B88/B95)

FJR1300/A(5JW/5VS) -since 2001-

初代FJR1300

「タンデムで10日間3,000kmが可能なバイク」

その目標を掲げ、一から作り直され名前にRが付いたFJR1300。

新設計の水冷エンジンをこれまた新設計のアルミツインスパーフレームに搭載したスポーツツアラーのパイオニアです。

2001FJR1300

新設計の1298cc水冷直四エンジンにアルミツインスパーフレームにフューエルインジェクション・・・

FJR1300フレーム

これだけ書くとメガスポーツかと思うけど、ヤマハはメガスポーツの可能性よりもツアラーの可能性を求めた。

これ日本ではツアラー扱いだけど海外ではスーパースポーツツアラーとか言われててるわけで、同じバイクでも国によってジャンルが変わるなんて非常に面白いですね。

んでまあその選択は大正解だったわけです。

日本ではハヤブサやZZRといったメガスポーツが人気でツアラーはあんまりだから実感が無いかもしれないけど、コレが欧州で出た時はそれはもう注目の的でした。

アクセルを捻れば捻った分だけ猛々しく回り加速旋回するSSの様なスポーツさを備えつつ、タンデムでも優雅に流せるツアラーの要素も持っている欲張りなバイクだと。

FJR1300パニアケース

更にはパニアケースが標準装備だった事が旅好きのハートを鷲掴み。

こういうバイクを求めていたとヒットを飛ばし、仕舞にはベストツアラー賞まで受賞しました。

主要諸元
全長/幅/高 2195/760/1420mm
シート高 805mm
車軸距離 1515mm
車体重量 275kg(装)
[282kg(装)]
燃料消費率
燃料容量 25L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 1297cc
最高出力 144ps/8000rpm
最高トルク 13.7kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58WW)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー GT14B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
または
U24ESR-N
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.9L
交換時3.8L
フィルター交換時4.0L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,380,000円(税別)
[1,430,000(税別)]
※プレスト価格
※[]内はFJR1300A(5VS)
系譜図
1984FJR11001984年
FJ1100
(36Y)
1991FJR12001986年
FJ1200/A
(4CC)
20012001年
FJR1300 /A
(5JW/5VS)
20062006年
FJR1300A/AS
(3P6/2D2)
20102010年
FJR1300A/AS
(1CY/1DA)
2014as2013年
FJR1300A/AS
(1MC/1MD)
20162016年
FJR1300A/AS
(B88/B95)

FJ1200/A(4CC)-since 1986-

FJ1200

FJ1100で言った通り不遇な立場なFJですが、ヤマハも見捨てたわけでなく排気量を1188ccに上げて130馬力となりました。1188ccは当時の空冷エンジンとしては国内最大排気量です。

更にはビルドインウィンカーを始めとしたエアロフォルムを取り入れて空力性能も向上。

FJ1200Aカタログ

このFJ1200はFJとしては最後のモデルであり、FJRの礎となるモデルでもあります。

フルモデルチェンジしたFJ1200ですが空冷エンジンに大人しい見た目だった事もあり馬力を上げただけでは当然ながら人気は出ず。

FJ1200A

そこでヤマハが取った行動はマイナーチェンジ毎にカウルを大型化するなどしてメガスポーツ路線からツアラー路線へジワジワと方向転換することでした。ちなみに国産車初のABS装着車でもあります。

この方向転換が功を奏し後にFJR1300となって花開くことになるわけです。まさかFJシリーズがツアラーの代名詞とまで呼ばれる様になると誰が想像できたでしょうか。

あとこのエンジンはXJRへと受け継がれる事になってます。

FJ1200カタログ写真

ただこれは日本での話で、欧州ではこの頃すでにツアラーとして非常に人気モデルでした。

主要諸元
全長/幅/高 2230/775/1200mm
{2230/780/1240mm}
シート高 780mm
車軸距離 1490mm
車体重量 258kg(装)
{274kg(装) }
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 空冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 1188cc
最高出力 130ps/9000rpm
[90ps/9000rpm]
※[]内は国内仕様
最高トルク 11.0kg-m/7500rpm
[9.3kg-m/6000rpm]
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17
後150/80-16
バッテリー YTX14-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR8EA-9
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.2L
交換時3.0L
フィルター交換時3.35L
スプロケ 前17|リア40
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格 [890,000円(税別)]
※[]内は国内仕様
※{}内はABS仕様
系譜図
1984FJR11001984年
FJ1100
(36Y)
1991FJR12001986年
FJ1200/A
(4CC)
20012001年
FJR1300 /A
(5JW/5VS)
20062006年
FJR1300A/AS
(3P6/2D2)
20102010年
FJR1300A/AS
(1CY/1DA)
2014as2013年
FJR1300A/AS
(1MC/1MD)
20162016年
FJR1300A/AS
(B88/B95)

FJ1100(36Y) -since 1984-

FJ1100

開発コンセプト「世界最速のツアラー」

最高速競争が始まりだした頃に出たヤマハのスポーツツアラーがFJ1100。

ヤマハはホンダやカワサキに対し四気筒のフラッグシップモデルで少し遅れを取っていた。それを挽回するために作られたヤマハの今でいうメガスポーツ車。

FJ1100の凄い所は空冷で125馬力もある事。

当時の空冷DOHCでは最高馬力。当然ながら最高速度も最高速は235km/hに達し、CB1100・1100S KATANA・GPz1100といったライバルである空冷イレブン達を抑え見事に最速に輝いた。

ただ知名度の無さから分かるように残念ながら売れませんでした。それはカタナや後に出るGPZ900Rといった性能だけでなく唯一無二なデザインまで与えられた歴史的な名車の存在があったから。

それに対し比較的オーソドックスな外見だったのに加え、水冷化の波に取り残されてしまったFJ1100は見向きもされなかった。

VMX1200

そしてトドメは翌年に同じヤマハから発売された145馬力V4エンジンのアルティメットマッスルVmax・・・性能だけでなくカタナやGPZに勝るとも劣らないデザインも完備。

そんなだったのでFJ1100は不運というか時代に恵まれなかった可哀想なバイクなわけです。ナナハン規制で逆輸入車もまだ珍しい時代なのもありましたしね。

主要諸元
全長/幅/高 2175/730/1230mm
シート高 780mm
車軸距離 1490mm
車体重量 252kg(装)
燃料消費率
燃料容量 24.5L
エンジン 空冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 1097cc
最高出力 125ps/9000rpm
最高トルク 9.8kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/80-V16
後150/80-V16
バッテリー YB14L
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DP8EA-9/DPR8EA-9
または
X24EP-U9/X24EPR-U9
推奨オイル 20W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.2L
交換時3.0L
フィルター交換時3.35L
スプロケ 前17|リア41
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格
※国内正規販売なしのため
系譜図
1984FJR11001984年
FJ1100
(36Y)
1991FJR12001986年
FJ1200/A
(4CC)
20012001年
FJR1300 /A
(5JW/5VS)
20062006年
FJR1300A/AS
(3P6/2D2)
20102010年
FJR1300A/AS
(1CY/1DA)
2014as2013年
FJR1300A/AS
(1MC/1MD)
20162016年
FJR1300A/AS
(B88/B95)

GSX-R1000/R(L7~)-since 2017-

2017年式GSX-R1000R

「The KING is Back」

実に八年ぶりとなるフルモデルチェンジとなった七代目のGSX-R1000/L7~型。

このモデルからはR1000とR1000Rの二本立て。本当はABSが付くのはGSX-R1000AなんですがABSが義務化された日本では無印がA扱い。

GSX-R1000とGSX-R1000Rの違い

LEDポジションライトの有無が分かりやすいですが両車の違いを並べると

【GSX-R1000】箇所【GSX-R1000R】
SHOWA製BPF
(ビッグピストンフォーク)
フロントフォークSHOWA製BFF
(バランスフリーフロントフォーク)
SHOWA製リアショックリアサスペンション SHOWA製BFRC-lite
(バランスフリーライト)
ピッチで判断モーショントラックブレーキシステム
(サーキット走行用ABS)
ピッチ/リーンで判断

※UP/DOWN対応クイックシフター

その他

※2019年モデルから

UP/DOWN対応クイックシフター
ローンチコントロール(回転数制御)
LEDポジションライト
黒背景LCDメーター
小型バッテリー

※ステンメッシュブレーキホース
※可変ピボットフレーム
※マフラーヒートガード形状変更

となっておりエンジンやフレームはもちろん
・ロール/ピッチ/ヨーの6軸センサーによる10段階トラコン制御
・3種類出力を選べるモードセレクターS-DMS
・Brembo製モノブロックキャリパー

などはグレード関係なく共通。

GSX-R1000R国内仕様

2019年モデルで無印もクイックシフターが付いたんですが、2017年末からETC2.0を付けた国内仕様が登場したため実質GSX-R1000Rのみの扱いとなりました。

※180km/hリミッターは2018年モデル(L8)より撤廃

この代でGSX-R1000/Rは202馬力&202kg(装)と大幅なパワーアップを果たしたんですが、それに大きく貢献したのがカムをフィンガーフォロワー式に変更したこと。

ロッカーアーム式

簡単に言うとバルブを押すカム(おにぎり上の回転物)の負担をエンジンブロック側に支点を持つアームを設ける事で緩和(軽量化)し、高回転化とリフト量の増加を可能にしている形。

SSとしては今でこそ珍しくない機構だけどスズキはこれまた他社に先駆ける形で採用しました。

フィンガーフォロワー

どうして可能だったかというとこれはMotoGPで培った技術だから。形状までMotoGPマシンGSX-RRとほぼ同じとの事。

そんなGSX-R1000/L7~型なんですが注目して欲しいのはこの装備重量でパワーウェイトレシオ1になった事よりもMotoGP技術が投入されても相変わらず全くブレなかった所にあります。

スズキはGSX-R1000/Rに関する説明でこう謳っています。

『SR-VVT』&『SET-A』&『S-TFI』

“Broad Power System”

Broad Power System

「全域パワフルシステム」

これが一体どういうことか説明していきます。

1つ目。

『SET-A(Suzuki Exhaust Tuning-Alpha)』

SET-A

これは簡単に言うとエンジン回転数に応じて目まぐるしく変わる排気の流れをエキゾーストパイプ内にバルブを設け整える事でトルクを増す機構。

どっかの豆知識で書いたと思うのでザックリ言うと、排気というのは弱い時は抜けにくい方が良くて、強い時は抜ける方が効率が良いんですね。

加えて排気脈動といってパイプ内を行き来する圧力の経路を回転数に応じて変えることで排気によって生まれる圧のタイミングによる得意不得意がある。

L7エンジン

四気筒ことさらスーパースポーツにおいては超高回転でパワーが出るように最適化しているんですが、そうするとただでさえ苦手な低回転域が吹き返しや漏れで更に苦手になる。

デュアルバタフライ

それを解消するためにエキパイを1-4/2-3とダブルで連結させたうえに可変バルブを設ける事で容量や経路を擬似的に可変式にすることで解消しているのがSET-A。

ちなみに集合後にあるのが初代から採用されてる従来型のSETで、これも同じように通路を塞ぐ事で背圧を変えたりして騒音規制をクリアする排気デバイス。

L7エキゾーストシステム

これらの機構により高回転だけでなく低回転域でも最適な排気を可能にしているという話。

次は

『S-TFI(Suzuki Top Feed Injector)』

S-TFI

いわゆるデュアルインジェクションで今まではセカンダリースロットルバルブの下に設置していたんですが、それをエアクリーナーボックスの上に付ける形に変更。

デュアルインジェクションシステム

これはワイドバイワイヤ(電子スロットル)化でメインスロットルバルブを完全な制御化に置くことでサブを廃止し、メイン一枚化によるインテーク長の短縮と、繊細なアクセルワークでも空気(混合気)の流入量を最適化しギクシャクせず豊富なトルクを生むため。

そして最後・・・これが一番の目玉。

『SR-VVT(Suzuki Racing Variable Valve Timing)』

SR-VVT

スズキマニアやバンディット250/400Vを知ってる人なら”V”という字が入ってるだけでピンと来るかもしれませんね。そう可変バルブタイミング機構。

しかしバルブリフト量を変えるVC等と違ってコチラはバルブの開閉タイミングを変えるタイプ。

仕組みは吸気カムの部分にボールの入ったガイドプレートが備え付けられていて、回転数(遠心力)に応じて中の玉が内外に動くことで吸気バルブのタイミングを早めたり遅めたりしているわけです。

VVT_ボールガイド

高回転型の四気筒は基本的にオーバーラップを多めに取っています。オーバーラップというのは吸気バルブと排気バルブがどちらも開いてる状態の事。

一つ一つを区切ってやっていたら吸気も排気も間に合わず効率が悪いからなんですが、ことさら超高回転でパワーを求められるSSはどっちも開いてる時間が大きめに設けられてる。

2017エンジンバルブピストン

しかしこれは問題があってオーバーラップを大きく取るほど低回転域が犠牲になる。せっかく流れ込んだ空気が漏れたり、せっかく吐き出した排気ガス戻ったきたりしてしまう。

そこで回転数に応じてバルブタイミングを変更することで、高回転時でも低回転時でも理想のバルブタイミングに出来るのが可変バルブタイミングでありGSX-R1000のSR-VVTというわけ。

ちなみにこれもMotoGPが800ccになった際に落ちてしまった低速トルクを何とかするために生み出された技術。

これらがBroad Power System、全域パワフルの仕組み・・・なんですが

2017GSX-R1000顔

「全域パワフルなのに低回転域の話ばっかりだな」

と思ってる人も多いんじゃないでしょうか。ここがGSX-R1000/Rのとっても大事な部分であり、一番の目玉でもある部分。

系譜を遡ってもらうと分かるのですがGSX-R1000はレース規格になろうと、馬力競争が激しくなろうと、初代K1からずっと過去一度も低回転域を犠牲にした事が無いんです。過去一度もです。

それがこの2017年型でも変わらなかった。ピストンのボアを2mmほど拡大したものの、それでもSSとしてはロングストロークエンジン。

パーツ群

MotoGPで培った技術を用いてもっとビッグボアにすれば馬力は簡単に上げる事が出来る、下を切り捨てればピークパワーをもっと稼ぐことが出来るのにそれをしなかった。それどころか低域を犠牲にしない為にMotoGP技術を投入した。

これが何故かといえばそれは散々話してきたように

「低域トルクが乗りやすさ、ひいては速さに繋がる」

というコンセプトの元に開発されているのがGSX-R1000だからです。

GSX-R1000とGSX-R1000R

ちなみにMotoGP技術を多く投入できたのはMotoGPに携わってる人が開発しているからという単純明快な理由だったりします。

普通MotoGPなどの世界最高峰レースで経験を積んだエンジニアは技術指導も兼ねて少し経ってから市販車部門に携わるんですが、スズキの場合は二足のわらじのようにMotoGPで活躍されているエンジニアが市販車を開発されている。

寺田プロジェクトリーダー

例えばこのGSX-R1000/Rのプロジェクトリーダーかつエンジン設計の寺田さんは前年までMotoGPプロジェクトリーダー&エンジン開発を担っていた凄いお方。

可変バルブを始めとしたMotoGPの技術がフィードバック出来たのは、MotoGPでその技術を開発した人がGSX-1000/Rのエンジンを開発したから。

寺田プロジェクトリーダー

GSX-RRとGSX-R1000のフレーム形状が似ているのは現MotoGPプロジェクトリーダーの佐原さんがGSX-R1000/Rの車体開発に携わったから。

もはやレプリカの域すら超える出し惜しみの無さで逆に不安にもなるんですが、スズキがMotoGPをやってる理由は市販車へ還元する事と言っていたので有言実行という話。

GSX-R1000R/GSX-RR

そんな人達が手掛けたにも関わらずコンセプトはブレなかった。

「GSX-Rの開発というだけでみんな何をすべきか分かってる」

「乗り手を不安にさせるような事を絶対にしない」

「乗り辛くするのは裏切り行為」

「ピーキーにするなんて論外」

「VVTがないと下がスカスカそんなのはお客様に失礼」

「お客様全員に”GSX-Rが一番速く走れる”と言ってもらう事が目標であり美点」

これは歴代GSX-R1000に携わった方たちのコメントなんですが、20年近くどの代でもこの考えを全員が怖いくらい共有し進化し続けてる。

スズキワールドGSX-R1000

それが見て取れるのが低域トルクを切り捨てない事だったり、車体をコンパクトにする事もだったり、シート高が低く前傾が比較的緩い事だったりする。

「初心者が最も安心して速く走れるSSはGSX-R1000」

等と雑誌で書かれる理由もここにある。

そしてそれはこの代でも変わらなかった。

これまでもこれからもカタログスペックを見比べると見劣りするかもしれない。でもGSX-R1000/Rの本当の魅力はそこには載っていないという事を知ってほしいと思います。

2019GSX-R1000

GSX-R1000/Rは限られた人しか使えない高域だけでなく、誰もが使える低域を重視し、誰でも安心して乗れるようにする事を第一に開発しているんです。

何故ならそれこそがGSX-Rであり、スズキが考える真のスーパースポーツであり、速く走れる事に繋がると考えているから。

どれだけ凄いスーパースポーツを造るかではなく

2019GSX-R1000

「どれだけ安心してもらえるスーパースポーツになれるか」

というに徹し、一切ブレず、スズキのフラッグシップとして市場動向に関係なく開発し続ける事を特例で許されているモデル。

それがGSX-R1000というライダー思いの優しいスーパースポーツなんです。

主要諸元
全長/幅/高 2075/705/1145mm
シート高 825mm
車軸距離 1420mm
車体重量 202kg(装)
[203kg(装)]
<203kg(装)>
燃料消費率 16.6km/L
※WMTCモード値
燃料容量 16.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 998cc
最高出力 202ps/13200rpm
<197ps/13200rpm>
最高トルク 11.2kg-m/10800rpm
<11.9kg-m/10800rpm>
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/55ZR17(75W)
バッテリー YT12A-BS
[YTZ10S]
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EIA-9
または
IU27D
推奨オイル スズキ純正
エクスターR9000
MA2 10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.1L
交換時3.1L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前17|後45
チェーン サイズ525|リンク120
車体価格 1,730,000円(税別)
[2,030,000円(税別)]
<1,960,000円(税別)>
※[]内はR1000R
※モトマップ価格
※<>内は国内仕様
※国内仕様の馬力差は測定方式の違い
系譜図
K1/K2 2001年
GSX-R1000
(K1/K2)
K3/K4 2003年
GSX-R1000
(K3/K4)
K5/K6 2005年
GSX-R1000
(K5/K6)
K7/K8 2007年
GSX-R1000
(K7/K8)
K9/L0/L1 2009年
GSX-R1000
(K9/L0/L1)
L2 2012年
GSX-R1000
(L2~L6)
L7 2017年
GSX-R1000/A/R
(L7~)

【関連車種】
CBR1000RRの系譜YZF-R1の系譜ZX-10Rの系譜SuperBikeの系譜

GSX-R1000(L2~L6)-since 2012-

12GSX-R1000

「BRED FROM THE SAME DNA」

ブレンボキャリパーが眩しい六代目GSX-R1000のL2~L6型。

パッと見ではブレーキキャリパーとマフラーくらいしか変わってない様に見えますが、こう見えて大幅に変わってます。

まずピストンを11%もの軽量化に成功した新設計ピストンを採用すると共に圧縮比を0.1アップ。

2015エンジン

合わせてカムも見直されています・・・が、馬力は変わらず185馬力。それもそのハズこれの狙いは低速トルクの向上だから・・・どんだけブレないんだって話。

L2side

ちなみに一本出しに戻ったマフラー理由はコストと重量の削減なんですが、一番は2008年までMotoGPのエンジニアをやっていた荒瀬さんたっての希望。

GSX-R1100の頃(91年以降モデル)から二本出しが嫌いだった思いがあり、同じ轍は踏まないと執念で実現させた一本出しマフラーだったりします。

ブレンボキャリパー

エンジンを新設計しようがフレームを新設計しようがマフラーを新設計しようが

「センターアップマフラーなんて流行りもの流されたりしない」

という言葉を貫き通した事にプライドというか信念を感じますね。

あとブレンボに隠れがちなんですがディスクローターも世界初となる放熱と軽量化に優れるSUNSTARの耐熱ステンレス鋼の物でサプライヤーの熱意も変わらず。

そして2015年のL5モデルからはABSモデルを併売する形で追加。

GSX-R1000ABSモデル

これは欧州でのABS義務化への対処で、現在では日本も義務化されていますね。

ところで1985年から続く元祖スーパースポーツGSX-Rシリーズは2013年に世界累計販売台数100万台を達成しました。

GSX-Rシリーズ世界累計販売台数100万台

これはGSX-Rが一般ライダーは勿論、プライベーター達にも認められ重宝された歴史があったから成し得た偉業。

プライベーターの話はR750の方で話したのでもう書きませんが、後釜を引き受けたGSX-R1000も初代からずっとプライベーター達に重宝されています。

ちなみに100万台達成を記念して初代の発売年にちなんで1985台限定で限定カラーがGSX-R1000/R750/R600とそれぞれ発売されたんですが、GSX-R1000の記念車がこれ。

限定カラー

赤鼻といっていいのか分からない凄い配色で世間を少し騒がせました。

アメリカとか海外の方で人気があるからそっち好みにしたんだろうか。

主要諸元
全長/幅/高 2045/705/1130mm
シート高 810mm
車軸距離 1405mm
車体重量 203kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 998cc
最高出力 185ps/11000rpm
最高トルク 11.9kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EIA-9
または
IU27D
推奨オイル SAE 10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.8L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前17|後42
チェーン サイズ530|リンク114
車体価格 1,510,000円(税別)
※モトマップ価格
系譜図
K1/K2 2001年
GSX-R1000
(K1/K2)
K3/K4 2003年
GSX-R1000
(K3/K4)
K5/K6 2005年
GSX-R1000
(K5/K6)
K7/K8 2007年
GSX-R1000
(K7/K8)
K9/L0/L1 2009年
GSX-R1000
(K9/L0/L1)
L2 2012年
GSX-R1000
(L2~L6)
L7 2017年
GSX-R1000/A/R
(L7~)