X-ADV(RC95) -since 2017-

RC95

「GO EVERYWHERE with EXCITMENT」

スクーター版アドベンチャーと言えばいいのか、スクーターの皮を被ったアドベンチャーと言えばいいのか・・・公式的にはSUV感があふれるビッグスクーターなX-ADV。

X-ADVコンセプトスケッチ

日本ではあまり見ないもののイタリアなどでは一定の成功を収めているインテグラにオフロード要素を取り入れたモデルです。

未舗装路の走行を想定したスクーターといえば・・・

イージー9カタログ

EZ-9を思い出しますね。これは公道走行不可でしたが。

ちなみに雪道用のEZスノーというモデルもありました。

イージースノー

更にいうならばこのEZ-9はアメリカではCUBいう名前で販売されていた歴史があります。

X-ADVサスペンション

それよりX-ADVの話ですよね。

何故ベースのINTEGRAから20万円アップの120万円もするのかという話ですが、一番大きいところは何と言っても足回り。

新設計の倒立フォーク、ラジアルマウントキャリパー、ダブルディスクブレーキ、17インチスポークホイール。

X-ADVサスペンション

そしてリアも専用設計でホイールベースを伸ばすアルミスイングアームと15インチスポークホイール。

フラットダート等コンディションが良くない路面でもしっかり追従し軽快に走れるように足回りが本当に豪華に。インテグラにアフリカツインの足回りを突っ込んだみたいな形。

ちなみに本当はサスのストローク量をアップしているのでINTEGRAから更に足つきが悪くなっているんですが、日本仕様はサスペンション長を変更して30mmダウン。INTEGRAと同じ最低地上高になっています。

X-ADV灯火系

他にも灯火系はフルLED、キーレス、多機能デジタルメーター、五段階可変式スクリーン、ETC、グリップヒーター、ハンドガード、ローレシオ化されたDCTなどなど。

DCTの基本的な仕組みについては「>>VFR1200X(SC70)の系譜」をどうぞ

2018年モデルからはNCシリーズと同じようにレッドが500rpm上がりトラクションコントロールも装備。

ただX-ADVは更にアフリカツインと同じ様に

「G(グラベル)モード」

も装備しました。

これはDCT(クラッチ)制御で、半クラの時間を短くしてアクセルに対するツキの良さを増す制御スイッチ。

X-ADVファイナルスケッチ

さて・・・ベースとなっているINTEGRAでよく言われていたのが

「INTEGRAはビッグスクーターか否か」

という事。

「どう見てもビッグスクーター」

という意見が圧倒的だとは思いますが、少なくともX-ADVが誕生できたのはINTEGRAがビッグスクーターではなかったからという面が大きいんです。

RC95

起伏の少ない林道やフラットダートなどのあまり荒れていない未舗装路というのは走破性よりも安定性が大事なので、低重心でロングスイングアームでエンストの心配がないビッグスクーターというのは(小径ホイールを除けば)意外と悪くなかったりする。

もちろんスタックの恐れがあるゲロデロな道や、腹を打つようなガレ場はまず無理ですが、スクーターで突撃している猛者も昔からチラホラ居ます。

X-ADVダート

「そもそもそんな軽度な未舗装路なら何でも大丈夫」

と突っ込まれそうですがでは何故いままでX-ADVの様にファッションだけでなく本当に大径ホイールとロングストロークサスを履いて走破性を上げたビッグスクーターアドベンチャーが存在しなかったのかというと

「そういう道をビッグスクーターでガンガン走るのは構造的にマズいから」

というのがあります。

その典型なのがエアクリーナーボックスの位置。

ビッグスクーターのエアクリーナーボックス

スクーターに広く採用されているユニットスイング式のエアクリーナーボックス(吸気口)というのはリアタイヤの脇にあります。

この様に低い位置に吸気口があると前輪が巻き上げた砂や埃を大量に吸ってしまう。まして未舗装路ならなおのこと。

砂煙

エアクリーナーボックスを開けたことがある人ならわかると思いますがオンロードのみでも結構ゴミを吸っていたりします。

砂や埃を大量に吸ってしまうとフィルターを詰まらせるだけでなく、フィルターを通り抜けてエンジンまで届くと当然ながらマズい。ボックスの浸水も当然アウト。

だから上で紹介したEZ-9もエアクリーナーはわざわざシート裏に設置されています。

ところがX-ADV(INTEGRA)は中身がNC系。

言ってみればビッグスクーターに擬態したロードバイク、つまりエアクリーナーボックスも一般的なオートバイと同じ位置にある。

インテグラのエアクリーナーボックス

コレがミソ。※上の写真はベースのインテグラ

上の方にあるから防塵性が高いんです。

もちろんインジェクション等も高い位置に事や、異物で千切れたり滑ってたりしてしまうベルトではなくDCTなのも大きな要因。

要するにビッグスクーターアドベンチャーなんていうニッチなバイクに仕上げる事が出来たのは、ベースにあたるインテグラがビッグスクーターではなく

「ビッグスクーターに擬態したロードバイクだったから」

というわけ。

X-ADVトラベルエディション

だからビッグスクーターの低重心な姿を保ったままアドベンチャー要素を取り入れる事が出来た。

有りそうで無かったのは何処も作らなかったわけではなく、何処も作れなかったから。

X-ADVはビッグスクーターに擬態している事を最大限活かしたビッグスクーターアドベンチャー・・・と言うより

X-ADV壁紙

「ビッグスクーター”モドキ” アドベンチャー」

と言ったほうが正しいかもしれないですね。

主要諸元
全長/幅/高 2230/910/1345mm
シート高 790mm
車軸距離 1580mm
車体重量 238kg(装)
燃料消費率 27.0km/L
※WMTCモード値
燃料容量 13L
エンジン 水冷4ストロークOHC4バルブ直列2気筒
総排気量 745cc
最高出力 54ps/6250rpm
最高トルク 6.9kg-m/4750rpm
変速機 電子式6段変速(DCT)
タイヤサイズ 前120/70R17(58H)
後160/60R15(67H)
バッテリー YTZ14S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
FR6G-11K
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量 全容量4.1L
交換時3.2L
フィルター交換時3.4L (クラッチ含む)
スプロケ 前17|後38
チェーン サイズ520|リンク118
車体価格 1,209,600円(税別)

主な変更

2018年:ホンダセレクタブルトルコン(二段階+OFF)を装備

2019年:ETC2.0を標準装備

系譜図
NC700S2012年
NC700S/X/INTEGRA
(RC61/63/62)
NC750S2014年
NC750S/X/INTEGRA
(RC70/72/71)
2016NC750S2016年
NC750S/X
(RC88/90/89)
XADV2017年
X-ADV
(RC95)
2021NC750X2021年
NC750X
(RH09)
RH102021年
X-ADV
(RH10)

GOLDWING/TOUR(SC79)-since 2018-

2018年式ゴールドウィング

「二人の感動に一層の輝きと充実を~The Honda Premium Tourer~」

おおよそ10年単位でのフルモデルチェンジという慣例を破り、7年目にしてフルモデルチェンジとなった2018年型GOLDWINGのSC79型。

2018年式ゴールドウィング

このモデルからノーマルグレードがF6Bのようになり、ロングスクリーンとトップボックスまで装着した従来のゴールドウィングはTOURグレードとなりました。

今回のモデルの特徴は48kgの大幅な軽量化が行われた事と、非常にコンパクトになった事。

それに一役買っているのが話題にもなったダブルウィッシュボーン。

ダブルウィッシュボーンフロントサスペンション

サスペンション部と操舵部が別々になっている車のスポーツカーではメジャーな方式。

バイクでもBMWがデュオレバーという同じようなものを採用しています。

どうして従来のテレスコピックではなくダブルウィッシュボーンを採用したのかというと、一つはゴールドウィングの最大の課題である長いエンジンを更に前にやりたかったから。

そうすればフロント重量が増してハンドリングが更に向上する上に居住スペースを増せるから。

2018ゴールドウィングの内部

ところが従来のテレスコピック方式だとコレ以上に前に押しやる事は無理でした。何故ならタイヤがボディに干渉しないようにクリアランスが必要だから。

ゴールドウィングの場合、タイヤの後ろにあるハズのラジエーターを既にサイド化してあり湾曲加工が出来ないエンジンが直ぐ後ろにある。

ストロークの違い

これをダブルウィッシュボーン方式にするとフロントタイヤはほぼ真上に動くので干渉回避の為のクリアランスに余裕ができる。

こうしてエンジンを更に24mm前方へ持ってくる事が可能となり、先代よりも更に前乗りでスポーツできるポジションになっています。

2018年式ゴールドウィングフレーム

これらを実現するためフレームもエンジンも、当然ながら作り直し。

エンジンはVFR1200Fでお馴染みSOHCながらDOHC並の正確さを持つユニカムバルブトレインの採用などで4バルブ化しながらも前後左右全てを短縮しています。

2018年式ゴールドウィングエンジン

ちなみにこの2018年型の開発責任者は先代SC68から引き続き中西さんでしが、この方もともとは四輪の方。

それでも二輪が造りたくて仕方なく二輪に来たんだとか。ダブルウィッシュボーンになったのもソレが関係しているのかもね。

2018ゴールドウィングツアー

それにしても本当に、前にも増してカッコよくなったというか若返り過ぎではなかろうかと思うほどスタイリッシュになりましたね。

これなら40~50代どころか30代が乗っていてもおかしくない。

壁紙

モデルさんまで前にも増してが若返ってるし。それだけ若返りが切迫した課題ということなんでしょうね。

そんな2018年型ゴールドウィングですが、一番紹介したい事というか一番の感動ポイントはダブルウィッシュボーンではなくDCTです。

DCT

第三世代の最新型DCTで七速(クロス気味な1~3速+ワイド気味の4~6速+クルーズ用の7速)な上に、変速ショックはもちろんメカノイズまで徹底して消すために専用ダンパーなどまで装備している豪華版。

実質ATなので靴が汚れる心配も無く、更にシティーユースでも使えるようになった。

でも感動ポイントはそこじゃない。本当に感動したのはこのDCTが後退駆動する方法。

バックギア

赤い矢印の部分がバックギアというかバック用のチェーンです。

これだけじゃ分かりにくいのでもうちょっと簡単に説明すると・・・

バックする仕組み

まず二重になっているメインシャフトのインナー(赤側)の一速を繋いでカウンターに伝える。

と同時にリバースチェーンでエンジンと繋がっていないもう一つのメイン(青側)に”正回転のまま”戻す。

そしてソコからもう一度、アウター(青側)の二速でカウンターに伝えることで通常とは反対方向に回転が出力されるというわけ。

通常が

「逆→正=正回転」

なのに対し

「逆→正→正(チェーン)→逆=逆回転」

でバックを可能にしている。

・・・そう、つまり後退のためだけのシャフトもギアも要らなくなったわけです。

「GL1500(SC22)の系譜」で話した豪腕エンジニア久米社長との課題を30年後の2018年にDCTという方法でクリアしたんです。

ゴールドウィングDCT

つまり

「技術的な問題を凡人が集まり創意工夫することで解決”した”エンジン」

を積んでいる。

これは軽くコンパクトに出来た要素の一つでしかなく、重量でいえば-48kgのうちの僅か1.3kgでしかない。

2018ゴールドウィング

でも

「創意工夫することで解決する」

というホンダの精神を旗艦として示すには十二分なウェイトを持つ要素かと。

主要諸元
全長/幅/高 2475/925/1340mm
[2575/925/1430mm]
{2575/905/1430mm}
シート高 745mm
車軸距離 1695mm
車体重量 365kg(装)
[379kg(装)]
{383kg(装)}
燃料消費率 17.7km/L
[18.2km/L]
※WMTCモード値
燃料容量 21L
エンジン 水冷4サイクルOHC水平対向6気筒
総排気量 1832cc
最高出力 126ps/5500rpm
最高トルク 17.3kg-m/4500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
{電子式7段変速DCT}
タイヤサイズ 前130/70R18(63H)
後200/55R16(77H)
バッテリー GYZ20L
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
R6HSB-9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(SAE10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.4L
交換時3.5L
フィルター交換時3.7L
スプロケ
チェーン
車体価格 2,530,000円(税別)
[2,740,000円(税別)]
{3,070,000円(税別)}
※[]内はツアー
※{}内はツアーDCT
系譜図
M11972年
M1
(A0K)
GL1000GW1974年
GL1000
GOLDWING
(GL1)
GOLDWING12001980年
GL1100
GOLDWING
(SC02)
GL1200

1984年
GL1200
GOLDWING
(SC14)

GOLDWING-SE1988年
GL1500
GOLDWING
(SC22)
GOLDWING-SE1996年
VALKYRIE/TOURER
(SC34)
SC472001年
GL1800
GOLDWING
(SC47)
SC472004年
VALKYRIE RUNE
/NRX1800
(SC53)
SC682011年
GL1800
GOLDWING
(SC68)
F6C2014年
GOLDWING
F6B/F6C
(SC68)
20182018年
GOLDWING/TOUR
(SC79)

GOLDWING F6B(SC68) -since 2013-

SC68

「街を颯爽とStyle & Impact The Honda Premium Cruiser」

国内受注生産に移管されたゴールドウイングSC68の二年遅れで登場したF6B。

F6Bって何だよって思うわけですがホンダは答えてませんが恐らく
F フラット(水平対向エンジン)
6 六気筒
B バガー

かと。

F6B

バガーっていうのは簡単にいえばツアラーを思い思いにカスタムしたスタイルの事。

公式が狙ったのはショートスクリーンやGLから15mmダウンしたシート高などを見ても、シティユースカスタムといった所でしょう。

F6Bデザイン

価格もゴールドウイングからバックレストなど装備を色々と省いてGOLDWINGより20万円ほど安い200万円。

省いたといってもABSやクルコンやオーディオなどは変わらず付いています。

F6Bフルオプション

ちなみにこれはフルオプション状態。渋いゴールドウィングみたいですね。

色々と省いているというとケチってるだけの様に聞こえるけど、そのおかげでゴールドウィングより32kgも軽い。

ゴールドウイングF6B

だからサスもそれに合わせて再セッティングされ軽快に走れるようスポーツ寄りに。

GL1800の様なゴテゴテ快適装備は要らないしタンデムもそんなにしないって人には良い・・・というか六気筒エンジンのバイクが税別ながら200万円切る価格ってかなりお買い得かと。

2014年にマイナーチェンジが入り、9馬力アップと省かれていた後退機能とクルーズコントロールが標準搭載されました。

GOLDWING F6C
(SC68)
-since 2014-

F6C

「Top End Performance Cruise」

合わせて紹介で申し訳ないですが、F6Bから一年遅れで登場した同じ派生モデルとなるF6C。

またまたF6Cって何だよって思うわけですが今度はホンダさんが発表会でちゃんと言ってました。

F フラット(水平対向エンジン)
6 六気筒
C カスタム

って、これワルキューレと一緒・・・と思ったらアメリカではGOLDWING VALKYRIEという名前でした。

F6C壁紙

クルーザーモデルの頂点という立ち位置なのを見ても派生というよりワルキューレの後継といった方が正しいのかな。

F6Cは見て分かる通り、F6B以上に装備を徹底的に取り払ったモデルだからゴールドウィングより75kgも軽い。

ゴールドウィングワルキューレ

テーマは見た目通り”マッスル”で、ポジションもデザインに合わせてワイドポジションに変更されています。

ちなみにGOLDWINGの系譜だけありツーリングオプションは変わらず豊富。

F6Cフルオプション

これが全部載せなんですが・・・なんか別のバイクみたいですね。

主要諸元
全長/幅/高 2605/945/1225mm
[2470/940/1150mm]
シート高 735mm
車軸距離 1690mm
[1705mm]
車体重量 385kg(装)
[342kg(装)]
燃料消費率 21.0km/L
[25.0km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 25L
[22L]
エンジン 水冷4サイクルOHC水平対向6気筒
総排気量 1832cc
最高出力 109ps/5500rpm
{[118ps/5500rpm]}
最高トルク 16.4kg-m/4000rpm
{[17.0/4000rpm]}
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前130/70R18(63H)
後180/60R16(74H)
バッテリー GYZ20L
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BKR5E-11/BKR6E-11/BKR7E-11
または
K16PR-U11/K20PR-U11/K22PR-U11
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(SAE10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.7L
交換時3.8L
フィルター交換時3.9L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,995,000円
{2,214,000円}
[1,998,000円]
※{}内はF6B後期
※[]内はF6C
系譜図
M11972年
M1
(A0K)
GL1000GW1974年
GL1000
GOLDWING
(GL1)
GOLDWING12001980年
GL1100
GOLDWING
(SC02)
GL1200

1984年
GL1200
GOLDWING
(SC14)

GOLDWING-SE1988年
GL1500
GOLDWING
(SC22)
GOLDWING-SE1996年
VALKYRIE/TOURER
(SC34)
SC472001年
GL1800
GOLDWING
(SC47)
SC472004年
VALKYRIE RUNE
/NRX1800
(SC53)
SC682011年
GL1800
GOLDWING
(SC68)
F6C2014年
GOLDWING
F6B/F6C
(SC68)
20182018年
GOLDWING/TOUR
(SC79)

GOLDWING(SC68) -since 2011-

2011ゴールドウィング

「Majestic Aggression」

アメリカでの金融危機による不況でGL1100から作り続けたオハイオ工場を四輪専用工場に再編し、二輪は熊本工場に集約。

ホンダオブアメリカ

この事から完全受注生産となり、型式もSC68となりました。

メイド・イン・アメリカからメイド・イン・ジャパンになった事で更に高級化するかと思いきや、何と80万円近く安くなって220万円(エアバッグ&ナビモデルは265万円)と大幅プライスダウン。

SC47とSC68の違い

上がSC68で下がSC47。パッと見そんなに変わっていないですが、分かりやすい違いとしては

・ラジエーターのサイドスリットを始め全体的にエアロデザイン強調
・シャフトドライブのサイドカバーを始め各部の樹脂化とメッキ抑制
・ヘッドライトがブラックアウト化

などなど。

更に先代では標準装備だったフォグ等のパーツをOP扱いにしたことでも値段を抑えてあります。

SC68インパネ周り

それでも十二分な装備だと思いますがね。

一方でオーディオ面ではiPodやAUXやUSBジャックといったデバイスに対応と使い勝手が向上。

SC68

ホンダは車体価格を下げると少し前に公言していたんですが、まさかトップエンドのゴールドウイングを下げてくるとは夢にも思いませんでしたね。

これはより多くの人にゴールドウイングを乗ってもらいたい為だそうです。

ゴールドウイング1800広告写真

これは先代SC47の時にもボソッと言われていたんけど、ゴールドウィングオーナー日本に限らず世界共通で高齢化が進み、降りる人が増えてきたから。

だから新たなユーザーを取り込む必要が出てきた。そこで価格を下げて取っ付きやすくして若返りを図ろうというわけ。

ゴールドウイング1800

公式の写真でもそれが見て取れますね。モデルが高齢ではなく爽やかな中年夫婦。

実際このSC68は先代でも話した通り、パッセンジャーシートはファーストクラス並で、車体はスーパースポーツかと思うような造り。

更には荷物まで乗るという欲張りバイクなわけで。

主要諸元
全長/幅/高 2630/945/1525mm
シート高 740mm
車軸距離 1690mm
車体重量 417kg(装)
[425kg(装)]
燃料消費率 20.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 25L
エンジン 水冷4サイクルOHC水平対向6気筒
総排気量 1832cc
最高出力 109ps/5500rpm
最高トルク 16.4kg-m/4000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前130/70R18(63H)
後180/60R16(74H)
バッテリー GYZ20L
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BKR5E-11/BKR6E-11/BKR7E-11
または
K16PR-U11/K20PR-U11/K22PR-U11
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(SAE10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.6L
交換時3.6L
フィルター交換時3.7L
スプロケ
チェーン
車体価格 2,289,000円
[2,782,500円]
※[]内はエアバッグ・ナビ
系譜図
M11972年
M1
(A0K)
GL1000GW1974年
GL1000
GOLDWING
(GL1)
GOLDWING12001980年
GL1100
GOLDWING
(SC02)
GL1200

1984年
GL1200
GOLDWING
(SC14)

GOLDWING-SE1988年
GL1500
GOLDWING
(SC22)
GOLDWING-SE1996年
VALKYRIE/TOURER
(SC34)
SC472001年
GL1800
GOLDWING
(SC47)
SC472004年
VALKYRIE RUNE
/NRX1800
(SC53)
SC682011年
GL1800
GOLDWING
(SC68)
F6C2014年
GOLDWING
F6B/F6C
(SC68)
20182018年
GOLDWING/TOUR
(SC79)

ワルキューレ ルーン/NRX1800(SC53) -since 2004-

ワルキューレルーン

「生産の限界打破」

コンセプトモデルかと見紛う程の造形に変貌した完全受注生産のワルキューレ ルーン別名NRX1800。

先代から更にローロング化され、シームレス加工のボディにゴージャスなスプリンガーフォークに片持ちプロアーム。カウルに沿うように綺麗に流れている装飾のようなラジエーター等など。

SC53メーター

明らかに既存のバイクとは違うオーラを漂わせていますね。それもそのハズで、このバイクは生い立ちが少し他のバイクとは違います。

このバイクが作られる発端となったのは1995年にホンダが出したコンセプトモデル。

ゾディア

この「ZODIA」を市販化しようとアメリカホンダの副社長レイ・ブランクが言い出したのが始まり。

そして2000年にカリフォルニア州のロングビーチで(写真左から)ホットロッドコンセプトのT1、ネオクラシックのT2、ドラッガーのT3の3モデルを展示。

コンセプトT1 T2 T3

大反響だったわけですが、その中でも圧倒的人気を誇ったのがネオクラシックのT2だった。

「今すぐ売ってくれるなら3万ドルまで出す」

と言い出す人まで現れる始末。

そこで何としてもT2を市販化しろと要請を受けたのがGL1800の開発責任者でもあった青木さん。

「こんなの無理・・・」

と思ったらしいのですが、アメリカからの強い要望で製作。

SC53

「何もかもデザインを忠実に再現したのはこのバイクくらい」

と後日談で漏らすほどコンセプトモデルに近づけるために相当な切磋琢磨がありました。

例えばこう見えてクルーザー初となるユニットプロリンクだったり、明後日の方向にあるジェネレーターなど、ルーンのために編み出した新技術は11にも及んだ。

ルーンサービスマニュアル表紙

ただし、単に再現しただけじゃないのがルーンの凄い所。

ルーンは二輪初となるクロームメッキアルミホイールとなるわけですが、スペシャルモデルとして恥じぬ完璧なメッキホイールに仕上げるためには製造元であるアメリカの技術では完璧に仕上げるのは無理だった。

NRX1800

そこで頼ったのが日本にいる熟練の老職人夫婦。

この人達にしか出来ないとして全てのホイールを手作業によるバフ研磨をしてもらうことに。

そのため1日で最大でも7セットにしか出来ず、しかもそれをわざわざアメリカまで送る必要があったため車両本体価格$27000とは別に+$1500のオプション扱いに。

アルミメッキホイール

更には組み立ても手組みだった事から、1日で作れる最大の台数は20台が限度で、約二年間での総生産台数は1200台以下という少なさ。

ちなみに日本ではホンダの逆輸入を取り扱うパッセージが代理輸入という形となりホイール込みで378万円(税別)。日本には100台も入ってきていないとのこと。

ワルキューレルーン

ただ最初にも言いましたがワルキューレルーンの凄い所は、GOLDWINGの2倍近い価格でも、豪華絢爛なメッキでもなく

「T2コンセプトは凄いけど市販は無理だね」

と大多数が考えていた常識を覆した事にあります。

主要諸元
全長/幅/高 2560/920/1090mm
シート高 690mm
車軸距離 1750mm
車体重量 418kg(装)
燃料消費率
燃料容量 23L
エンジン 水冷4サイクルOHC水平対向6気筒
総排気量 1832cc
最高出力 118ps/5500rpm(推定)
最高トルク
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前150/60R18(67V)
後180/55R17(73V)
バッテリー YB18L-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BKR5E-11/K16PR-U11
または
BKR6E-11/K20PR-U11
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(SAE10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.9L
交換時3.6L
フィルター交換時3.7L
スプロケ
チェーン
車体価格
※国内正規販売なしのため
系譜図
M11972年
M1
(A0K)
GL1000GW1974年
GL1000
GOLDWING
(GL1)
GOLDWING12001980年
GL1100
GOLDWING
(SC02)
GL1200

1984年
GL1200
GOLDWING
(SC14)

GOLDWING-SE1988年
GL1500
GOLDWING
(SC22)
GOLDWING-SE1996年
VALKYRIE/TOURER
(SC34)
SC472001年
GL1800
GOLDWING
(SC47)
SC472004年
VALKYRIE RUNE
/NRX1800
(SC53)
SC682011年
GL1800
GOLDWING
(SC68)
F6C2014年
GOLDWING
F6B/F6C
(SC68)
20182018年
GOLDWING/TOUR
(SC79)

GOLDWING(SC47) -since 2001-

SC47

「Plan To Go Everywhere」

13年ぶりのフルモデルチェンジとなった四代目ゴールドウィングのSC47。

フレームもエンジンも一から作り直され排気量は更に上がり1832ccへ。

GL1800カタログ写真

このモデルの狙いは

「MORE POWER AND BETTER HANDLING FOR PAPA,AND FIRST CLASS SEAT FOR MAMA」

後部座席の居住性を上げる事で財務省であるママの了承を得つつ、運転するお父さんが退屈しないようにスポーティさを持たせるというもの。

GL1800

そのためパッセンジャー用のリアシートはファーストクラスを目指し快適性を最大限確保。

ではパパの方はというと、トルク確保のためにかなりロングストローク気味だったエンジンを見直し。

ライディング

排気量を上げることで低速トルクを損なわせる事なくショートストローク化し、前後長も短縮。

それを新設計のアルミツインチューブフレームに剛性メンバーとしてリジットマウント。

GL1800フレーム

しかもただマウントさせるだけでなくラジエーターをサイドにし、前寄りにマウントさせる事でフロント荷重を確保しハンドリング性を向上。

ついでにスイングアームもアルミプロアーム化・・・ってこれどう考えてもスーパースポーツの造りですよね。

誰が作ったんだと調べてみたら青木さんという方。知ってる人はピンとくると思います。

GL1800フレーム

コレ(88以降のNSR250R)を作った人です。別名ミスターNSRと呼ばれている人。

そりゃこうなるわって話。

もちろんスポーツ性だけでなくディスチャージヘッドランプ(HID)・前後連動ブレーキのC-ABS・機能てんこ盛りの液晶メーター・6連奏CDチェンジャー・ワイパー・・・等など快適装備も13年ぶりという事で大幅に進化。

ただそんな中でもう一つ紹介しておきたいのが世界初となる二輪車用エアバッグ。

GOLDWINGエアバッグ

日本では2007年から+50万のエアバッグ・ナビグレードとして登場。

車体に装備される一番のメリットはウェア等に付いている後付物と違って誤発の心配が無いこと。センサーがフロントフォーク内に仕込んであるので、乗り降りする度に身につける必要なし。

エアバッグシステム

絶対に誤作動をさせてはいけないと、開発研究に約10年掛けた代物だそう。

ただ造りも装備も贅沢の限りを尽くしているだけあって先代が当時175万円だったのに対し、廉価版のUSが260万円・無印版は300万円・エアバッグ版は350万円と二倍近くに。

本当に貴族しか買えないバイクになってしまった。

主要諸元
全長/幅/高 2635/945/1500mm
シート高 740mm
車軸距離 1690mm
車体重量 418kg(装)
燃料消費率 20.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 25L
エンジン 水冷4サイクルOHC水平対向6気筒
総排気量 1832cc
最高出力 109ps/5500rpm
最高トルク 16.4kg-m/4000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前130/70R18(63H)
後180/60R16(74H)
バッテリー YTX20L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BKR5E-11/BKR6E-11/BKR7E-11/
または
K16PR-U11/K20PR-U11/K22PR-U11
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(SAE10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.6L
交換時3.6L
フィルター交換時3.7L
スプロケ
チェーン
車体価格 3,000,000円(税別)
系譜図
M11972年
M1
(A0K)
GL1000GW1974年
GL1000
GOLDWING
(GL1)
GOLDWING12001980年
GL1100
GOLDWING
(SC02)
GL1200

1984年
GL1200
GOLDWING
(SC14)

GOLDWING-SE1988年
GL1500
GOLDWING
(SC22)
GOLDWING-SE1996年
VALKYRIE/TOURER
(SC34)
SC472001年
GL1800
GOLDWING
(SC47)
SC472004年
VALKYRIE RUNE
/NRX1800
(SC53)
SC682011年
GL1800
GOLDWING
(SC68)
F6C2014年
GOLDWING
F6B/F6C
(SC68)
20182018年
GOLDWING/TOUR
(SC79)

VALKYRIE/TOURER(SC34) -since 1996-

Valkyrie

「SPIRIT OF THE PHOENIX」

ネイキッドモデルだったSTDがGL1500で無くなり早八年が過ぎた頃、突如登場したアメリカンスタイルのVALKYRIE。GL1500CまたはF6Cとも言われています。

F Flat
6 6Cylinder
C Custom

ちなみに読み方は英語読みのヴァルキリーではなくドイツ語読みのワルキューレ。

これも製造は北米ですが日本にも正規で入ってきました。下の写真はスクリーンやサイドパニアなどのOPを装備したVALKYRIE TOURER。

SC34カタログ

ところで

「SPIRIT OF THE PHOENIX」

ってSHADOWのコンセプトじゃなかったかなと思ったら、これはホンダのアメリカン(シャドウやマグナなど)全てに通ずるコンセプトだったようで、ワルキューレはその頂点に立つ旗艦という立ち位置だったようです。

f6cエンジン

さてこのワルキューレ、専用ボディにGL1500のエンジンを積んでるわけですが、実はGL1500よりも豪華だったりします。

GL1500ではスペースやメンテナンス性の問題から見送られた一気筒一キャブ、つまり3+3の6連キャブがワルキューレでは採用されているんです。

同調取るのが大変そうだけどアメリカンという事でそれを逆手に取ったということでしょうか。

更に驚きなことにバルブタイミングのオーバーラップ量を増やすことで低回転寄りにするどころか高回転寄り(97ps/5000rpmから100ps/6000rpmに)にして、スポーツ性を増すというセオリーに反するチューニング。

SC34カタログ写真

でも一番すごいのはやっぱりマフラー。

一見すると6to2に見えるけど、実は6to6で一切集合していない。

これは排気音を消すことが大事だったGL1500と違い、排気音で六気筒であることを強調しアピールするため。

6本出し

でも見た目は二本出しでスリムっていう何ともニクい演出。

つまりGL1500でタブーとされた事を敢えてやっているのがワルキューレ。

良い意味で

GL1500C

「グレたゴールドウィング」

と言えるかと。

主要諸元
全長/幅/高 2555/980/1185mm
[2555/980/1460mm]
シート高 740mm
車軸距離 1690mm
車体重量 333kg(装)
[359kg(装)]
燃料消費率 22.0km/L
[21.5km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 20L
エンジン 水冷4サイクルOHC2バルブ水平対向6気筒
総排気量 1520cc
最高出力 100ps/6000rpm
最高トルク 13.5kg-m/4500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前150/80R-17(72H)
後180/70R-16(77H)
バッテリー FTX14-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR6EA-9/DPR7EA-9/DPR8EA-9
または
X20EPR-U9/X22EPR-U9/X24EPR-U9
推奨オイル Honda純正ウルトラU(SAE10W-30)
または
HondaウルトラGP(SEA10W-40/20W-50)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.3L
交換時3.5L
フィルター交換時3.7L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,450,000円(税別)
[1,640,000円(税別)]
※[]内はワルキューレツアラー
系譜図
M11972年
M1
(A0K)
GL1000GW1974年
GL1000
GOLDWING
(GL1)
GOLDWING12001980年
GL1100
GOLDWING
(SC02)
GL1200

1984年
GL1200
GOLDWING
(SC14)

GOLDWING-SE1988年
GL1500
GOLDWING
(SC22)
GOLDWING-SE1996年
VALKYRIE/TOURER
(SC34)
SC472001年
GL1800
GOLDWING
(SC47)
SC472004年
VALKYRIE RUNE
/NRX1800
(SC53)
SC682011年
GL1800
GOLDWING
(SC68)
F6C2014年
GOLDWING
F6B/F6C
(SC68)
20182018年
GOLDWING/TOUR
(SC79)

GL1500 GOLDWING/SE(SC22) -since 1988-

GL1500SE

「追随を許さない最高級ツアラー」

六気筒化し1520ccまでスケールアップされた四代目GL1500GOLDWING。

このモデルからネイキッドは完全廃止となりメガクルーザーとなりました。グレードはInterstate/Apencade/SEの三種類。

SC22パンフレット

このモデルの開発はVFR750系やCBR1100XXといったホンダのスーパースポーツを手がけていた山中さんが担当。

当時ゴールドウィングの開発を命じられた時

「スポーツバイクが作りたいから嫌です」

と最初は断ったそう。

しかし北米の稼ぎ頭である最重要バイクを任せられるのはお前しか居ないと言われ、好きにやらせて貰うことを条件に承諾。

GL1500デザイン

サルーンを目指し、内部や繋ぎ目を見せない事を徹底したわけですが、そんな中で一つだけ避けられない絶対条件がありました。

「六気筒は特別、だから絶対六気筒にしろ」

というアメリカからの要望です。

アメリカ人というのは日本人以上に六気筒に並々ならぬこだわりを持っています。

SC22

主要市場であるアメリカの要望を聞かないわけにも行かずスペースとの格闘の末に試作車が完成。

そしてそれをアメリカサイドに乗らせたところ・・・

「低速トルクが足りない。ヒュンヒュン回りすぎ。」

というダメ出しをされてしまう。

水平対向6気筒エンジン

「オデッセイにポルシェのエンジンを積んでファミリーカーを作れと言ってるようなものだ」

と山中さんは頭を抱えたそうですが、ソコはグッとこらえてエンジンのロングストローク化とフライホイールマスの増加、変速比の見直しで何とか対応。

SC22カタログ

結局GL1500の試作機は10台以上にも及んだんだとか。

そんな苦労に苦労を重ねただけあり、GL1500はゴールドウィングの地位を確固たるものにした名車です。

オハイオ工場

それは六気筒もそうなんだけどもう一つ大事なのがリバースギアを採用したこと。

これは幅も重量もある事から手押しが難しいゴールドウイングでバックしようとしたら、奥さんに前から押してもらったりする必要があった。

貴族にそんな情けない事はさせたくないという配慮から、セルモーターにバックギアを仕込む事で時速2km/hでのバックを可能に。

GL1500パンフレット

アメリカの新車発表会でこのバック機能を実際に披露した所

「新しいツーリング時代のはじまりだ!」

と拍手喝采が鳴り止まなかった。

そして何よりこのモデルから見覚えもある人が居るように日本での取り扱いも始まりました。

ゴールドウイングSE

実は日本市場で750cc自主規制を初めて突破したホンダ車は何とこのゴールドウイング。

750cc以上は危険というイメージに対しゴールドウィングは掛け離れているとして発売に踏み切り。

和名は「ゴールドウイングSE」で北米のフルオプション仕様であるSEと基本的に同じ。

もちろん日本でも暖かく迎え入れられ、 結果的にそれまでのモデルサイクルの三倍の13年も売れ続けるロングセラーモデルになりました。

金翼

コチラは北米生産10周年を記念してまた作られた金色のGOLDWING。
モンキーといいホンダは金が好きだなー。いやアメリカ人が好きなのか。

最後にもう一つGL1500に纏わるエピソードを。

社内でこのGL1500のエンジン開発をしていた所、たまたま視察に来ていた三代目社長である久米さんがGL1500のエンジンを見て

久米社長

「このエンジンを作ったやつを呼べ」

と言って呼び出し。

ホンダの社長は技術畑出身という慣例は有名だと思います。

そして久米社長はフォーミュラーエンジンを担当し、本田宗一郎と空油冷問題で激突し出社拒否までし、CVCCエンジンの開発でシビックの名を世界に知らしめた豪腕エンジニア。

だからGL1500のギアとシャフトの異常な多さを一目で見抜いたんです。

SC22エンジン

これは「GL1000(GL1)の系譜」で言った通り前後長を縮めるために二階建てになっている事に加え、このモデルからリバースギア専用のシャフトとギアが入ったから・・・が、そこは流石エンジニアというべきか

「技術的な問題は凡人が集まり創意工夫することで解決する」

というホンダの考えを地で行く社長だったので、多い理由を説明されたところで

「なるほど分かった」

と簡単に引き下がるわけもなく

「まだまだ工夫出来る余地があるはずだ」

と、もはや社長というより社長権限を持ったエンジニア状態で、納得できるまで痛いところを指摘し続け、開発チームは完成間近だったエンジンを正月返上で再設計するハメに。

ゴールドウイングSE国内仕様

結局小変更を加えつつも現状では今のエンジンレイアウトがベストだという答えに辿り着き一段落。

現場は大変だったでしょうが、こうやってトップまでもがエンジニア魂を持ち続けている事こそがホンダがホンダとしてあり続けられる理由なんでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2630/955/1525mm
シート高 770mm
車軸距離 1700mm
車体重量 391kg(装)
燃料消費率 27.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 23L
エンジン 水冷4サイクルOHC2バルブ水平対向6気筒
総排気量 1520cc
最高出力 97ps/5000rpm
最高トルク 15.2kg-m/4000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前130/70-18(63H)
後160/80-16(75H)
バッテリー Y50-N18L-A3
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR6EA-9/DPR7EA-9/DPR8EA-9
または
X20EPR-U9/X22EPR-U9/X24EPR-U9
推奨オイル Honda純正ウルトラU(SAE10W-30)
または
HondaウルトラGP(SEA10W-40/20W-50)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.3L
交換時3.5L
フィルター交換時3.7L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,750,000円(税別)
系譜図
M11972年
M1
(A0K)
GL1000GW1974年
GL1000
GOLDWING
(GL1)
GOLDWING12001980年
GL1100
GOLDWING
(SC02)
GL1200

1984年
GL1200
GOLDWING
(SC14)

GOLDWING-SE1988年
GL1500
GOLDWING
(SC22)
GOLDWING-SE1996年
VALKYRIE/TOURER
(SC34)
SC472001年
GL1800
GOLDWING
(SC47)
SC472004年
VALKYRIE RUNE
/NRX1800
(SC53)
SC682011年
GL1800
GOLDWING
(SC68)
F6C2014年
GOLDWING
F6B/F6C
(SC68)
20182018年
GOLDWING/TOUR
(SC79)

GL1200 GOLDWING INTERSTATE/ASPENCADE(SC14) -since 1984-

GL1200

「LEADER.SHIP.」

カム周りの変更に加え排気量を1182ccまで上げて1200となった三代目ゴールドウィング。

ネイキッドモデルのスタンダード、クルーザーなインターステート、高級モデルのアスペンケードの3モデルラインアップなのは変わらず。

GL1200ネイキッド

ただネイキッドモデルは僅か一年でカタログ落ちとなりました。

既にゴールドウィングといえば大きなフェアリングを纏ったグランドツアラーというイメージが定着していたんでしょうね。

GL1200パンフレット

ホンダも分かっていたのか丸目だった先代からカウルに沿った角目に変更し、パニアケース等もカウル有りきで纏まりのあるデザインに変更。

他にも足回りがブレーキトルク応答型アンチダイブ機構(TRAC)に変更され、タイヤサイズが【F:19/R:17】から【F:16/R:15】へ大幅インチダウン。

その代わりフロントフォークが大径化されハンドリングを向上させています。

GL1200カタログ

トップモデルのアスペンケードにはラジオや液晶はもちろんの事、着脱可能なカセットデッキも新たに装備。

GL1200メーター

もはや何が何のボタンなのか・・・

ただこのモデルチェンジで最も重視されたのはパッセンジャー関係です。

SC14

これは財布の紐を握っている奥様を満足させる為。

乗り心地も良く、くつろげる広いスペースで、女王のように下々を見下せる高いポジションに。

そしてゴールドウィングはこのモデル(1985年)で生誕10周年を迎え、正に金翼と言えるゴールド塗装の記念モデルGL1200LTDを出しました。

GL1200リミテッド

ただ特別塗装してあるだけでなく、フューエルインジェクションやオートクルーズといった最新デバイスを奢ったスペシャルモデルで、大台の1万ドルを初めて越えたモデル。

翌年には同等の装備を施されたSE-iも登場しました。でも金なのはLTDだけ。

主要諸元
全長/幅/高 2355/920/1170mm
{[2505/970/1510mm]}
シート高 790mm
車軸距離 1610mm
車体重量 296kg(装)
[341kg(装)]
{353kg(装)}
燃料消費率
燃料容量 22L
エンジン 水冷4サイクルOHC2バルブ水平対向4気筒
総排気量 1182cc
最高出力 94ps/7000rpm
最高トルク 10.7kg-m/5500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前110/90-19
後130/90-17
「前110/90-19
後120/90-16」※82年モデル
『前110/90-19
後130/90-17』※83年モデル
バッテリー Y50-N18L-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR7EA-9/DPR8EA-9/DPR9EA-9
または
X22EPR-U9/X24EPR-U9/X27EPR-U9
推奨オイル API SEorSF 10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
分解時4.0L
交換時3.2L
スプロケ
チェーン
車体価格
※国内正規販売なしのため
※[]内はINTERSTATE
※{}内はASPENCADE
系譜図
M11972年
M1
(A0K)
GL1000GW1974年
GL1000
GOLDWING
(GL1)
GOLDWING12001980年
GL1100
GOLDWING
(SC02)
GL1200

1984年
GL1200
GOLDWING
(SC14)

GOLDWING-SE1988年
GL1500
GOLDWING
(SC22)
GOLDWING-SE1996年
VALKYRIE/TOURER
(SC34)
SC472001年
GL1800
GOLDWING
(SC47)
SC472004年
VALKYRIE RUNE
/NRX1800
(SC53)
SC682011年
GL1800
GOLDWING
(SC68)
F6C2014年
GOLDWING
F6B/F6C
(SC68)
20182018年
GOLDWING/TOUR
(SC79)

GL1100 GOLDWING INTERSTATE/ASPENCADE(SC02) -since 1980-

SC02

「NOW YOU’VE SEEN EVERYTHING.」

北米ホンダに生産が移管された事を機にモデルチェンジされた二代目ゴールドウィングのGL1100GOLDWING。

排気量を上げホイールベースを延ばす事で更にクルーザー寄りに。

そして大きなカウルとパニアケースを装備した皆の思うゴールドウィングの姿であるインターステート(またはDX)を一年後に発売。

Interstate

これは貴族バイクとして好評だった先代GL1000にカウルやソファーシートそしてフルパニア装備等のアフターパーツを装着し完全なグランドツアラーにするのがアメリカで流行っていたから。

ガレージ文化が根付いているアメリカらしいですが、それを見たホンダもアメリカ人が何を求めているかを理解し、純正でそれらをやってのけたというわけ。

アスペンケード

更にその一年後には前後タイヤの空気圧まで表示される二輪初の液晶メーターやステレオラジオを標準装備した最上位グレードのアスペンケードまで登場しました。

主要諸元
全長/幅/高 2345/920/1195mm
[2400/920/1500mm]
{2430/920/1500mm}
シート高 795mm
車軸距離 1545mm
車体重量 267kg(乾)
[305kg(乾)]
{318kg(乾)}
燃料消費率
燃料容量 20L
エンジン 水冷4サイクルOHC2バルブ水平対向4気筒
総排気量 1085cc
最高出力 81ps/7500rpm
最高トルク 9.2kg-m/5500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前110/90-19
後130/90-17
「前110/90-19
後120/90-16」※82年モデル
『前110/90-19
後130/90-17』※83年モデル
バッテリー Y50-N18L-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
D7EA/D8EA/D9EA
または
X22ES-U/X24ES-U/X27ES-U
推奨オイル API SEorSF 10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
分解時4.0L
交換時3.2L
スプロケ
チェーン
車体価格
※国内正規販売なしのため
※[]内はINTERSTATE
※{}内はASPENCADE
系譜図
M11972年
M1
(A0K)
GL1000GW1974年
GL1000
GOLDWING
(GL1)
GOLDWING12001980年
GL1100
GOLDWING
(SC02)
GL1200

1984年
GL1200
GOLDWING
(SC14)

GOLDWING-SE1988年
GL1500
GOLDWING
(SC22)
GOLDWING-SE1996年
VALKYRIE/TOURER
(SC34)
SC472001年
GL1800
GOLDWING
(SC47)
SC472004年
VALKYRIE RUNE
/NRX1800
(SC53)
SC682011年
GL1800
GOLDWING
(SC68)
F6C2014年
GOLDWING
F6B/F6C
(SC68)
20182018年
GOLDWING/TOUR
(SC79)