KLE500(LE500B) -since 2005-

KLE500日本仕様

「Multi-Fun machines」

EURO2という欧州の排ガス規制を機に、実に14年ぶりというとんでもない年月の後にモデルチェンジした二代目のKLE500/LE500B型。

誰も覚えてない、もしくは知らず

「とんでもない形をしたZ1000みたいだ・・・」

と驚愕してる人も多いと思いますが、このモデルは先代と違いブライトが逆輸入車として取り扱いをしていました。

ブライト正規取り扱い

ちゃんと国内にも売ってたんです。

まず走ってるのを見た事ない人が大半だと思いますが、一部の超物好きにはフロント21インチの軽量デュアルパーパスという事で今も名前が上がったり。

KLE500Bサイド

先代からの主な変更点としては外見とシートの改良でエンジンはハーフニンジャを続投。

規制に合わせて3馬力/200rpmほど抑えられていますが、それ以外は基本的に先代を続投する形になっています。

ダカールラリーを皮切りにまさかのご長寿モデルとなったKLE500なんですが、KLE500がラリーに参戦したのはそれっきりで再戦する事はありませんでした。

では一体どうしてこんな何年も販売される事になったのか、一体何処らへんが評価されて10年以上も続くモデルになったのか気になったので欧州レビューを読み漁ってみたところ

「何の気兼ねもなく乗れる日常万能車」

という感じで評価されていました。

KLE500B

並列二気筒エンジンを中低速寄りにチューニングしたものだからコンパクトで、トルクも回転数に依存せず出てくれるから取り回しが良い。

加えて6速だから街乗りだけではなくツーリングもお手の物だし、オフロードの方もフロントが21インチな事もあって多少のことなら難なくこなせる。

オマケにハンドルガードやアンダーガードまで標準装備で車体価格も安いという事も相まって一番気軽に乗れる下駄車&エントリーモデルというミドルデュアルパーパス冥利に尽きるような需要があったようです。

余談ですけどこれなにが面白いってベースとなっているEX-5/GPZ500も向こうでは

「買って間違いないロードスポーツのエントリーモデル」

みたいな評価だった事。

兄弟車

やはり血が繋がっているだけの事はある。出来る兄弟ですね。

ちなみにKLE500はGPZ500向けのハイカムやピストンなどでパワーアップが出来るちょっと美味しい思いを出来る立場でもありました。

主要諸元
全長/幅/高 2215/880/1270mm
シート高 850mm
車軸距離 1500mm
車体重量 181kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC二気筒
総排気量 498cc
最高出力 44.9ps/8300rpm
最高トルク 4.2kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前90/90-21(54S)
後130/80-17(65S)
バッテリー YTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR9EA
または
X27ESR-U
推奨オイル JASO MA
SAE10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.8L
フィルター交換時3.0L
スプロケ 前17|後44
チェーン サイズ520|リンク110
車体価格
系譜図
LE500A1991年
KLE500
(LE500A)
LE500B2005年
KLE500
(LE500B)
KLE650A/B2007年
VERSYS/ABS
(LE650A/B)
KLE650C/D2010年
VERSYS/ABS
(LE650C/D)
KLE650E2015年
VERSYS650/ABS
(LE650E/F)

KLE500(LE500A) -since 1991-

KLE500A

「WILD AT HEART」

カワサキが1991年に発売したKLE500/LE500A型。

日本も発売されたKLE400の欧州専売モデルで、400と同じくトレール用のパイプフレームにハーフニンジャことEX500(GPZ400Sの500版)のエンジンを中低速よりにチューニングしたものを積んだデュアルパーパスになります。

このモデルを出した理由はダカールラリー、そしてそこからのデュアルパーパスという文化が欧州で流行っていた事が要因かと。

KLE500のカタログ写真

ただカワサキはダカールラリーにはワークス参戦もしていなかったのでインスピレーションやバックボーンがあるわけでもなく、ダカールラリーを睨んで造られたわけでもない。

正直に言うと燃料タンクが15Lしかないのも見ても分かる通り、あくまでも需要があるから造られた雰囲気ラリーレイド的な存在でした。

ただしそこで終わらなかったからヴェルシスへと続く長い系譜になった。

KLE500ラリーレイド

なんとこのKLE500もダカールラリーに1991年から参戦したんです。

「ダカールはテンガイじゃなかったっけ」

と思われている方も多いかと。

確かにテンガイもフランスカワサキ主導で参戦していたんですが、一方でKLE500もイタリアカワサキが主導して参戦していたんです。

1992年のダカールラリー

このダカールラリー参戦がKLE500の命運を決めました。

というのもイタリアヤマハはKLE500が1991年に発売されるとすぐにダカールラリー参戦を計画し、API(イタリアの石油企業)というメインスポンサーの獲得に成功したことで実現。

しかし伊カワサキはタンクを54Lのビッグタンクに変更したくらいで、それ以外の部分は大きくKLE500からかけ離れるようなチューニングをしなかった。

1992年のダカールラリー

要するにプロダクション(市販車)みたいな形でレースに出場。

もちろんワークス体制でバリバリのファクトリーマシン(試作車)を用意していたライバルには敵わなかったんですが、見事に走り切る事に成功し500クラスとしては優秀な成績だった。

いろんなページで言ってるように当時のラリーは欧州をメインに一番加熱していた時代だったからこの事で

「カワサキの市販デュアルパーパスやるじゃん」

と最高のアピールになったんです。

またEX-5/GPZ500ベースで価格も抑えていた事も相まって飛ぶように・・・とまでは言わないけどイタリアやスペインを中心に広く認知されるようになった。

LE500Aのカタログ写真

ダカールラリーというバックボーンを販売後に作るという一風変わった背景を持ってるKLE500。

「試合に負けて勝負に勝ったデュアルパーパス」

と言えるかと。

主要諸元
全長/幅/高 2215/880/1270mm
シート高 850mm
車軸距離 1500mm
車体重量 181kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC二気筒
総排気量 498cc
最高出力 48ps/8500rpm
最高トルク 4.3kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前90/90-21(54S)
後130/80-17(65S)
バッテリー YTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR9EA
または
X27ESR-U
推奨オイル JASO MA
SAE10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.8L
フィルター交換時3.0L
スプロケ 前16|後44
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格
系譜図
LE500A1991年
KLE500
(LE500A)
LE500B2005年
KLE500
(LE500B)
KLE650A/B2007年
VERSYS/ABS
(LE650A/B)
KLE650C/D2010年
VERSYS/ABS
(LE650C/D)
KLE650E2015年
VERSYS650/ABS
(LE650E/F)

V-STROM1050/XT(EF11M)-since 2020-

ブイストロム1050

「THE MASTER OF ADVENTURE」

2020年排ガス規制であるEURO5を契機にモデルチェンジされたV-STROM1050/XTのEF11M型。

最初に主な変更点を上げると

・LEDヘッドライト
・6段階の輝度調整が可能なフル液晶メーター
・クランクケース樹脂カバー
・3段階スクリーン調整(工具必要)
・新設計セパレートシート
・アルミテーパーハンドル
・鉄製フットレスト
・USB端子
・スロットルバイワイヤ(電子スロットル)
・スロットルボアを拡大
・3パターンの出力特性が選べるSDMS
・IMUを5軸から6軸へ
・トラコン制御をOFFを含む3段階から4段階へ

などの変更が入っています。

※スリッパークラッチやローRPMアシストは先代に引き続き搭載

ブイストロム1050XT

スポークホイールモデルであるXTの方はそこからさらに

・後下がりを防ぐヒルホールドコントロール
・勾配に応じたABS制御を行うスロープディペンデントコントロール
・前後を連動させ自然に制動距離を短くするロードディペンデントコントロール
・モーショントラックブレーキ(前後連動2モードABS ※先代は標準)
・クルーズコントロール

などの最新電子制御機能に加え

・LEDウィンカー
・クリアテールレンズ
・シート下に12VのACC電源
・新型ミラー
・センタースタンド
・パニアステー
・エンジンガード
・ナックルガード
・11段階スクリーン(工具不要)
・+20mmに出来る新設計シート

など基本的にOPで用意しているものを最初から備えた豪華版となりました。

ブイストロム1050とXT

ちなみに車体価格は

『無印:1,300,000円|XT:1,380,000円』

電子制御に加えて13万円分以上のOPが付いているにも関わらずXTは僅か8万円差。ただでさえ買い得なV-STROM1050が更にお買い得感の増す形になっています。

でもこのモデルで話題となったのはご存知のように見た目ですね。

往年の名車というか色んな意味で有名なビッグオフのDR-BIGことDR750を完全に意識したものに変わりました。

V-STROM1050とDR750S

アドベンチャーにネオレトロ(ヘリテージ)要素を加えて綺麗にまとめるというスズキらしからぬ匠さなんですが、何を隠そうデザインを担当したのがDR-BIGをはじめオフロードバイク全般を手掛けてきた宮田さんだからなんだとか。

ちなみに中身の方を説明するとナンバリングが1000から1050と+50されている事から排気量が上がったのかと思いきや、実際の排気量は1036ccのまま変わっていない。

ただ

・スロットルバルブの大径化
・それに伴い給排気のカムを変更
・オイルクーラーの水冷化

など大きく手を加えており排ガス規制が強化されたにもかかわらず排気量はそのまま+7馬力を達成。さらに吹け方に相当拘ったことでフィーリングも大幅に向上しています。

V-STROM1050エンジン

じゃあなんで上げたのかって話ですが

・フラットダート等で恩恵を受けるであろう電子制御を始めとした改良の数々

・DR-BIGのデザイン踏襲

でオフ色が強いアドベンチャーに生まれ変わった事をアピールするためにナンバーを上げたんじゃないかと思います。

V-STROM1050の各部

思います・・・が、個人的かつ余計な見解を言うとそれでもV-STROM1050/XTのメインステージはあくまでも先代から変わらずオンロードにあるかと。

ビッグオフの怪鳥デザインがキマっているのでそっちに目が行きがちなんですが決して騙されてはいけません。

V-STROM1050のフレーム

その皮を剥くとスーパースポーツかなと思うほど細マッチョなボディを持っており、それに載ってるエンジンも元気ハツラツな100mmボアのVツインエンジン。

だからアクセルをグイっと捻った時の中毒性があるパルス感やワインディングを流した時の軽快さなど、良い意味でイメージを裏切るスポーツ性や官能性を持ってる。

その理由は

「大元がVツインスーパースポーツのTL1000だから」

といえばそれまでなんですが、明らかにその要素というかゾーンみたいなものが意図的に残され守られてるから。

V-STROM1050(EF11M)

結局のところモード切替やトラコン細分化やクルコンなどの電子制御がコストに厳しいスズキ車でも一二を争うほど贅沢に奢られているのは、アドベンチャークラスのフラッグシップモデルという立ち位置も当然あるけど

『高揚を生むTL1000の息吹』

みたいなものを犠牲にすることなくフラットダートやツーリングなどアドベンチャーに求められる多様性に対応するためなんじゃないかと。

主要諸元
全長/幅/高 2265/870/1515mm
[2265/940/1465mm]
シート高 850mm
[830~850mm]
車軸距離 1555mm
車体重量 236kg(装)
[247kg(装)]
燃料消費率 20.3km/L
※WMTCモード値
燃料容量 20.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 1036cc
最高出力 106ps/8500rpm
最高トルク 10.1kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80R19(59H)
後150/70R17(69H)
[前110/80R19(59V)
後150/70R17(69V)]
バッテリー FTZ14S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR8BI-9
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.7L
フィルター交換時3.0L
スプロケ 前16|後41
チェーン サイズ525|リンク116
車体価格

1,300,000円(税別)
[1,380,000円(税別)]
※[]内はXTモデル

系譜図
TL1000S 1997年
TL1000S
(VT51A)
TL1000R 1998年
TL1000R
(VT52A)
Vストロム1000 2002年
V-STROM1000
(VT53A)
SV1000 2003年
SV1000/S
(VT54A)
Vストロム1000 2014年
V-STROM1000ABS
(VU51A)
2017V-STROM1000 2017年
V-STROM1000ABS
(VU51A後期)
2020V-STROM1050 2020年
V-STROM1050/XT
(EF11M)

【関連車種】
DR750S/DR800S(SK43A/SR43A)|系譜の外側Africa Twinの系譜SUPER TÉNÉRÉの系譜VERSYS1000の系譜

V-STROM1000(VU51A後期)-since 2017-

V-STROM1000ABS後期

「The Powerful V-Twin」

弟分の650と足並みを揃えてモデルチェンジされたV-STROM1000のVU51A後期L7~型。型式が変わっていない事からも分かるように基本的には先代の改良型になります。

前期後期V-STROM1000

見た目の違いとしては650と共通の新デザインにハンドルガードとアンダーガードを標準装備。

他にはスリッパークラッチやローRPMアシスト機能などで負担も軽減し、エキゾーストパイプ内にエキゾーストパイプの長さを擬似的に変更する可変バルブを装着することで低速域での排気脈動を効率化しトルクを改善。

しかし一番大きいのはスーパースポーツで採用が進んでいる5軸IMU(姿勢制御)を搭載したこと。

V-STROM1000とIMU

「アドベンチャーにそれ要るのか」

と思いたくなりますが、もちろんスーパースポーツの様に速く走るために装備したわけではありません。

これを装備した理由は

「より正確なトラクションコントロールとABS制御をするため」

です。

IMUによって車体が今どういう状況なのかをECUが正確に把握することで、電子制御の制度をより高める事が出来るから。

加えて

スーパースポーツのGSX-R
ストリートスポーツのGSX-S
アドベンチャーのV-STROM

というスズキが打ち立てた三本柱の一角を担うモデルになったの大いに関係しているかと。

V-STROM1000XT

あとエンジンが・・・というかこれが一番の理由じゃないかと思います。

あまり言われないですがV-STROM1000のエンジンってスーパーバイクがベースで100馬力を叩き出すVツインエンジンですからね。オンロードをガンガン行ける一方で、オフロードは電子制御ないと元気が有り余って大変な事になる。

主要諸元
全長/幅/高 2280/930/1470mm
シート高 850mm
車軸距離 1470mm
車体重量 232kg(装)
[233kg(装)]
燃料消費率 20.5km/L
※WMTCモード値
燃料容量 20.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 1036cc
最高出力 99ps/8000rpm
最高トルク 10.2kg-m/4000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80R19(59V)
後150/70R17(69V)
バッテリー FTZ14S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR8BI-9
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.7L
フィルター交換時3.1L
スプロケ 前17|後41
チェーン サイズ525|リンク116
車体価格 1,300,000円(税別)
[1,34,000円(税別)]
※[]内はXTモデル
系譜図
TL1000S 1997年
TL1000S
(VT51A)
TL1000R 1998年
TL1000R
(VT52A)
Vストロム1000 2002年
V-STROM1000
(VT53A)
SV1000 2003年
SV1000/S
(VT54A)
Vストロム1000 2014年
V-STROM1000ABS
(VU51A)
2017V-STROM1000 2017年
V-STROM1000ABS
(VU51A後期)
2020V-STROM1050 2020年
V-STROM1050/XT
(EF11M)

V-STROM1000(VU51A)-since 2014-

V-STROM1000/VU51A

「DISCOVERY THE WHOLE STORY」

二代目V-STROM1000のVU51A型。

弟分650との兼ね合いか、どちらかというと高級版V-STROMという立ち位置になりました。ちなみに開発者の方はV-STROM650と同じ方。

TL1000以来となる倒立フォークにABS付きラジアルマウントキャリパーなどアドベンチャーというよりSSの様な足回り強化も凄いんですが、一番はトラクションコントロールシステムを”スズキ車で初めて”採用したこと。

トラクションコントロールシステム

一般的に最先端技術と言えばSSやメガスポといったモデルから始まるのがセオリーなのにそれらよりも先に採用。

如何にスズキにとってV-STROMが重要なバイクかが分かるわけですが、更に凄いのが車重。

もともとV-STROM1000は(650もだけど)軽さが評価されていました。だから今回のモデルも軽量化に力を入れており、先代から更に軽くなって装備重量228kgを達成。もちろんクラス最軽量。

ブイストロム1000

V-STROM1000の場合さらに国内唯一のVツインだから幅を絞れて取り回しも優れている。

そのエンジンも先代ひいてはTL1000の物でボアアップにより遂に大台の100mmとなったんだけど、ピストンやフライホイールなどを変えた事もあって前にも増して従順な物になっています。

ブイスト1000広告

「これがTL1000のエンジンだったなんて信じられない・・・」

とか向こうで言われてますし、乗ったら間違いなくそう思うかと。

残っている要素と言えばセミカムギアトレインが織り成すメカニカルノイズくらいでしょうか。

まあでもやっぱ一番目を引くのはデザインでしょう。

V-STROM1000CONCEPT

何とも思い切った顔な事で。

というのも実は先代で

「V-STROM1000は完成度が高い。唯一の欠点は大人しすぎる見た目だ。」

とか言われていた。

その事を鑑みた結果がこのクチバシなんでしょう。

DR800S

元ネタは元祖クチバシ、または怪鳥の異名でお馴染みのDR750/800S(DR BIG)です。

クチバシの話はV-STROM650の方で話したので割愛しますけど,

ラフスケッチの資料にさり気なく映ってました。

デザインスケッチ

左上に薄っすらと映ってる尖ったクチバシと羽のような溝を備えてるアレは紛れも無くDR750S。

つまりやっぱりV-STROM1000も怪鳥。

ブイスト1000顔

子供が見たら泣きそうですね。

それにしても話が逸れますがスズキのリッターツインの系譜車はこのV-STROM1000もそうですが歴代全て強烈ですね。

スズキVツイン1000シリーズ

しかしレースの為に作ったカリカリVツインのベストな着地点がアドベンチャーだったなんて誰が予想できたでしょう。

スズキの人ですら思っても見なかったのではないかと。

主要諸元
全長/幅/高 2285/865/1410mm
シート高 850mm
車軸距離 1555mm
車体重量 228kg(装)
燃料消費率 20.9km/L
※WMTCモード値
燃料容量 20.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 1036cc
最高出力 100ps/8000rpm
最高トルク 10.5kg-m/4000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80R19(59V)
後150/70R17(69V)
バッテリー FTZ14S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR8BI-9
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.7L
フィルター交換時3.1L
スプロケ 前17|後41
チェーン サイズ525|リンク116
車体価格 1,300,000円(税別)
系譜図
TL1000S 1997年
TL1000S
(VT51A)
TL1000R 1998年
TL1000R
(VT52A)
Vストロム1000 2002年
V-STROM1000
(VT53A)
SV1000 2003年
SV1000/S
(VT54A)
Vストロム1000 2014年
V-STROM1000ABS
(VU51A)
2017V-STROM1000 2017年
V-STROM1000ABS
(VU51A後期)
2020V-STROM1050 2020年
V-STROM1050/XT
(EF11M)

V-STROM1000(VT53A)-since 2002-

ブイストロム1000

「The Adventure in Your Mind」

ここで登場するのが初代V-STROM1000のVT53A型。

「ホイールベースを短くするのが難しいなら長いホイールベースが必要なアドベンチャー作ろう」

となったのかは分かりませんが、TL1000から改良されたエンジンを積んだスズキ初のアドベンチャー・ツアラーになります。

DL1000

もともと欧州ではアドベンチャー層が多いから、そこを狙って投入したわけです・・・が、少し話を脱線。

アチコチで言ってますが欧州ではツーリングやスポーツ走行がメインな日本と違い、日常から何日もかけて走り倒すツーリングというより旅のような事にまでバイクを活用する人が多いです。

ボルミオ

その理由の一つとして向こうはSSのようにスポーツ性能が高いモデルになるほど税金や保険料が跳ね上がるので、おいそれと乗れるクラスではない事。

そのせいかバイクも車と同様に生活必需品である事に加え、楽しみながら移動できる趣味の物として捉えてる人が多い。

つまり日常での使い勝手に加え、週末のレジャーまでをも楽しめる欲張りなバイクを求められる傾向が強い。

ブイスト1000

そんな中で登場したV-STROM1000。

パッと見はただのアドベンチャー・・・しかしアルミフレームの採用により乾燥重量で208kgとアドベンチャーにあるまじきクラストップの軽さ。

そして何よりあのTL1000のセミカムギアの元気なエンジン。

中低速の扱いやすさを向上させつつも、上まで回すほどTL1000が蘇ってくるという、SSとアドベンチャーを掛け合わせた様なバイク。

V-STROM1000海外向けカタログ写真

これが見事に的中し、なんでもこなせるスーパースポーツアドベンチャーとして高い評価を獲得。

正にV-STROM1000は起死回生の一手ならぬ、起死回生の一車なバイクだったんです。

V-STROM1000後期

それは1000だけでなく650もそうだし250もそう。

今も続くV-STROMシリーズの始まりはここになります。

2006年にはマイナーチェンジが入り2008までは日本にも逆輸入されていました。

主要諸元
全長/幅/高 2295/865/1335mm
シート高 840mm
車軸距離 1535mm
車体重量 207kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 995cc
最高出力 98ps/7600rpm
最高トルク 9.2kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80R19(59H)
後150/70R17(69H)
バッテリー YTX14-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EK
または
U24ETR
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.3L
交換時2.7L
フィルター交換時2.9L
スプロケ 前17|後41
チェーン サイズ525|リンク110
車体価格

998,000円(税別)
※モトマップ価格

系譜図
TL1000S 1997年
TL1000S
(VT51A)
TL1000R 1998年
TL1000R
(VT52A)
Vストロム1000 2002年
V-STROM1000
(VT53A)
SV1000 2003年
SV1000/S
(VT54A)
Vストロム1000 2014年
V-STROM1000ABS
(VU51A)
2017V-STROM1000 2017年
V-STROM1000ABS
(VU51A後期)
2020V-STROM1050 2020年
V-STROM1050/XT
(EF11M)

KLE400(LE400A)-since 1991-

LE400A

「TRANS-NATURE」

ドギツいカラーリングが話題となったKLE400。最初に紹介したGPZ400Sのトレールモデル。

二年後に登場する250のアネーロの兄貴分なんですが、こちらのモデルには”アネーロ”というペットネームは与えられず。

KLE400

トレールボディにビュンビュン系パラツイン、多少の悪路ならビクともしない万能快速ツアラー。

正に2010年代後半から流行りだしたマルチパーパスの典型だったんですが、当時はまだまだドマイナーなジャンルで振り向いてくれる人は少く・・・辛抱強く2006年まで生産したんですが。

KLE400カタログ写真

あともう少しで春が来たかもしれなかった。

主要諸元
全長/幅/高 2210/870/1215mm
シート高 850mm
車軸距離 1505mm
車体重量 185kg(乾)
燃料消費率 36.5km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 11.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 398cc
最高出力 42ps/9000rpm
最高トルク 3.4kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前90/90-21(54S)
後130/80-17(65S)
バッテリー YTX12-BS
プラグ DR8A
または
X24ESR-U
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.4L
交換時2.8L
フィルター交換時3.0L
スプロケ 前16|後44
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 509,000円(税別)
系譜図
GPZ400S1986年
GPZ400S
(EX400A)
EN4001985年
EN400-TWIN
(EN400A/B/C)
KLE4001991年
KLE400
(LE400A)
EX-41994年
EX-4
(EX400B)
R2010年
Ninja400R
(EX400C/D)
ER-4n
(ER400B/C)
2014年
Ninja400
(EX400E/F)
2018ニンジャ4002018年
Ninja400
(EX400G)

RACCOON(AD02) -since 1980-

ラクーン/AD02

「走りはのびのび!クロスオーバー。」

同じMB50の派生モデルであるトレールタイプMT50の要素を加えたシティバイクのRACCOON/AD02型。

AD02

MB50を少し起こした様な構造で、アップライトなポジションと700mmという低シート高&大型シートが特徴。

エンジンの方も中低速重視にチューニングされ6馬力になっています。

ちなみにRACCOON(アライグマ)という名前は”ラクラクに運転できる”というコンセプトから。

RACCOONカタログ写真

とはいうものの、可愛い見た目と名前とは裏腹に最高時速は80km/hオーバー。

この頃の原付は本当にあなどれない。

主要諸元
全長/幅/高 1845/760/1040mm
シート高
車軸距離 1210mm
車体重量 82kg(装)
燃料消費率 65.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 5.5L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 6.0ps/7000rpm
最高トルク 0.62kgf-m/6500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前2.50-17-4PR
後3.00-14-4PR
バッテリー 6N2-21A-8
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
B8HS
推奨オイル
オイル容量
推奨トランスミッションオイル ウルトラU(10W-30)
オイル容量 全容量1.0L
交換時0.9L
スプロケ 前13|後38
チェーン サイズ420|リンク104
車体価格 139,000円(税別)
系譜図
MB501979年
MB50/MB-8
(AC01/HC01)
ラクーン1980年
RACCOON
(AD02)
MBX501982年
MBX50/80
(AC03/HC04)
MCX501982年
MCX50
(AC04)
NS50F1987年
NS50F
(AC08)
NSR501987年
NSR50/80
(AC10/HC06)
MC181991年
NS-1
(AC12)

X-ADV(RH10) -since 2021-

RH10

「ADVENTURE URBAN TRANSPORTER」

X-ADVとしては二代目となる2021年3月発売のRH10型。

・1kg軽量化された新設計フレーム
・電子制御スロットルの採用
・新型FIを採用
・給排気やバランサーの見直しで4馬力向上と1.4kg軽量化されたエンジン
・メットインスペースが+1Lで23Lに
・ウインカーオートキャンセラー
・エマージェンシーストップシグナル
・新型スクリーン

など2021年モデルのNC750X/RH09と共通の変更が多くなっているのですが、X-ADV/RH10はそれに加えて

・DRLの採用
・HSVCSを搭載
・シート前方を絞って足つき性向上(日本仕様はダウンサスも継続採用)
・4速から6速までをロングレシオ化
・DCTのシフトスケジュール設定を2段階から5段階に
・グラベルが加わった5つのライディングモード
(スポーツ/”グラベル”/スタンダード/レイン/ユーザー)
・メットインスペース内にUSB Type-C(15W/5V,3.0A)
・スマートキーのメインスイッチをノブ式からプッシュ式へ変更
・パーキングブレーキをハンドル右側へ移設
・空いたスペースにフェアリングポケットを新設
・4つの表示パターンを選べる多機能5インチカラーTFTメーター
・純正パニアケースをOPで用意(トップはスマートキー連動型)

など更に様々な改良と追加が入っています。

X-ADVデイタイムランニングライト

DRLというのはデイタイム・ランニング・ランプといって簡単に言うと

「シグネーチャーランプを昼間点灯の代わりにしてもOK」

という2020年末から解禁された制度で、ホンダとしてはこのX-ADVが第一号。

光るロゴ

ちなみにDRL点灯中は目尻にあるロゴも光る遊び心つき。

あともう一つ説明が必要だと思われる新機能が

『HSVCS(Honda Smartphone Voice Control system)』

というやつで、簡単に言うとスマホとヘッドセットのBluetooth接続を補佐するシステム。

HSVCS

スマートフォンとヘッドセットを直接ペアリングするのではなく、間に本体に内蔵されたBluetoothユニットを挟む形で

・ナビ(GoogleMapで矢印をメーター表示)
・電話
・メッセージ送受信(SMS)
・音楽

をスマホを操作せずバイクに乗りながら行えるようになる。※2021/11/28時点ではBluetooth4.2以上のAndroidのみ

これだけだとバイクが介入する必要性があまり無いように感じられるもののそうでなく、これの肝となる部分は左ハンドルに備え付けられたセレクトスイッチ。

HSVCSスイッチ

例えば電話やSMSなどが来るとヘッドセットから

「電話に出るor電話に出ない」

「SMSを読み上げるor読み上げない→音声入力で返信するor返信しない」

という風に二択方式の案内が入り、ハンドルについている物理スイッチの左右でそれぞれYES/NOを選択出来るようになる。説明するまでもないですが、こうすることでグローブをつけたままで確実な操作が出来るようになる。

更にはアプリがフリーズなど応答を停止した場合も自動で再起動を掛けてくれる機能付きだから、スマートフォンはメットインスペースに新たに設けられたUSB Type-Cソケット(15W/5V,3.0A)に繋いで放り込んでおけばOK。

HSVCSスイッチ

より洗礼されたスマートキーも合わさって

「煩わしさを徹底して排除した形」

になったのが今回の一番の変更点じゃないかと。フレームもステア周りの剛性が上げられて走りにも磨きが掛かっているんですけどね。

ところでX-ADVがこれほど贅沢というか高待遇な改良が加えられたのは、弟分などが登場している事からもお分かりの通り大成功を収めたからというのがあります。

X-ADVのフロントとリア

X-ADVは約120万円とNC兄弟の中でも最高値なのですが、それにも関わらず初代モデルはMCN(イギリスのバイク誌)によると、2019年までに世界で約32,000台(ヨーロッパだけで7,500台)のセールスを記録。近年のホンダ車を代表するスマッシュヒットモデルとなりました。

ちなみに免許制度の関係で需要が小さいであろう日本でも年間500台前後の販売となっています。

このヒットの要因が何処にあるのかといえばズバリ

「ビッグスクーターの概念を覆したモデルだったから」

という点に尽きるかと思います。

X-ADVサイドビュー

先代でも少し話しましたがビッグスクーターは

・パワーユニットが埃を被る下側にある
・車重やバネ下が重くなりがち
・メットイン機能でシート高が上がるので大径ホイールが難しい
・同理由でロングストロークのサスペンションなども難しい

といった問題があることから

「オフロードとスクータースタイルを両立させるのは難しい」

というのが現実問題としてあった。だからオンロードとしてコンフォートやスポーツに振るしか無かった。X-ADVはそんな定石を覆した形。

クロスオーバースタイル

とはいえ実際のところNC派生の新型スクーター(X-ADV)を造るプロジェクトが始まった際も、最初からこのSUVスタイルだったわけではなく、インテグラのような従来スタイルの案もあった。

では何故SUVスタイルに方針決定されたのかというと、レジャーでも使えるビッグスクーターがほしいという要望がフランスやイタリアからあったというのも要因なのですが、決定打となったのはプロジェクトリーダーの見崎さんいわく

「こういうバイクがあったら楽しいよね」

というEZ-9に通ずる実にホンダらしい至極単純な理由から。

SUVデザイン

そしてそれに呼応するようにそういうのが大好きなイタリアホンダ(アフツイと同じMaurizio Carbonaraさん)がノリノリでSUVコンセプトデザインを作成。これがX-ADVの始まりになります。

参照:How the Honda X-Adv went from concept to reality|MCN

実際に形にすることが出来たのはX-ADVのパワーユニットがスクーターではなく一般的なオートバイだからというのが大きいというのは先代でも話した通り。

ディメンション

でもX-ADVが絶妙だったのはここから。

というのも見てわかるようにメットイン機構を設け、そのためにリアホイールを15インチにインチダウンするなど、決してスクーターが持つ利便性という武器を捨ててまでオフロード偏重にしているわけではないから。

ラゲッジスペース

「じゃあオフロードっぽいのはただの飾りか」

っていうと決してそうではなく、開発にはホンダのフラッグシップアドベンチャーでありガチンコアドベンチャーでもあるアフリカツインのメンバーも招集されノウハウが注入されました。

しかしそこで目指したものはアフリカツインに迫れるような性能を持つ優れたアドベンチャーというわけではなく

「オフロードを走ってもワクワク出来るエモーショナルを持たせる」

ということでした。

大ヒットとなった要因は間違いなくここで、X-ADVはコンセプトとパフォーマンスそのどちらも大事にしたのは心を躍らせる『ワクワク感』だったわけです。

2021X-ADV

今までにないタフなルックスを見て心が躍る・・・だけじゃない。

乗ってみるとメットインがあってゆったり座れるポジションだから街乗りも楽だけど、あくまでスクーターに擬態した形だから足回りのバタつきや鈍重さが無いからスポーティな走りを楽しめる。

豊富な低速トルク&超低燃費なエンジンとクラッチ不要のATだからストップアンドゴーの多い街乗りに最適だけど、ベルトによる無段階変速ではなくDCTだからエンジン回転数の変化を楽しみながらの走ることも出来る。

そして何よりエンストの心配無用でアクセルワークに集中できるから、躊躇なく道を外れて悪路を楽しく走ることだって可能。

X-ADVフランス仕様

X-ADVはコミューターの要件を満たすプレジャー要素の塊みたいなモデルになっているから、それが結果として

「平日はコミューターとして、休日はアドベンチャーとして使えるバイク」

という評価を獲得し、多くの人をワクワクさせているという話。

コミューターとして使うも、アドベンチャーとして使うもオーナー次第。スポーツ多目的車(Sport Utility Vehicle)というコンセプトに偽りなしですね。

余談・・・

ご存知の方も多いとは思いますが、ホンダは昔からAT(クラッチレス)の可能性を広げるために色んなタイプのAT車を出しては受け入れられず消えていった歴史がある。

そんな歴史を持つだけにX-ADVのヒットは本当に感慨深いものがあるし、同時にそんな歴史があるからこそX-ADVを造れたんだろうなと。

主要諸元
全長/幅/高 2200/940/1340mm
シート高 790mm
車軸距離 1580mm
車体重量 236kg(装)
燃料消費率 27.7km/L
※WMTCモード値
燃料容量 13L
エンジン 水冷4ストロークOHC4バルブ直列2気筒
総排気量 745cc
最高出力 58ps/6750rpm
最高トルク 7.0kg-m/4750rpm
変速機 電子式6段変速(DCT)
タイヤサイズ 前120/70R17(58H)
後160/60R15(67H)
バッテリー YTZ12S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
FR6G-11K
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.1L
フィルター交換時3.4L (クラッチ含む)
スプロケ 前17|後38
チェーン サイズ520|リンク118
車体価格 1,200,000円(税別)
系譜図
NC700S2012年
NC700S/X/INTEGRA
(RC61/63/62)
NC750S2014年
NC750S/X/INTEGRA
(RC70/72/71)
2016NC750S2016年
NC750S/X
(RC88/90/89)
XADV2017年
X-ADV
(RC95)
2021NC750X2021年
NC750X
(RH09)
RH102021年
X-ADV
(RH10)

NC750X(RH09) -since 2021-

2021年式NC750X

「CROSSOVER URBAN TRANSPORTER」

NC750Xとしては三代目となるRH09型。このモデルからSが無くなりXのみとなりました。

まず変更点を上げると

・スタイリングの大幅な刷新
・灯火系のフルLED化
・サスペンションをリセッティング
・吸/排気系を新設計し4馬力アップ
・スロットルボアを拡大
・新型フューエルインジェクション
・スロットルバイワイヤ(電スロ)
・軽量ピストンの採用
・エンジンのバランサー軸径を見直し
・エンジン全体で1.4kgの軽量化
・1.6kg軽量化された新設計フレーム
・全体で計7kgの軽量化
・4つのライディングモード
(スポーツ/スタンダード/レイン/ユーザー)
・新型LCDメーター
・ウインカーオートキャンセラー
・エマージェンシーストップシグナル
・メットインを1L拡大し23Lに
・新開発ハイブリッド表皮シート
・アシスト&スリッパークラッチ※MTモデル
・MT/DCTともにローレシオ化

などなど排気ガスの第4次(EURO5)規制へ対応するとともに、電子制御スロットルを筆頭に結構大掛かりな変更となっています。

フルオプション

今回モデルチェンジの狙いはズバリ走行性能になります。

吸気系の大幅な刷新に加えスロットルボアの2mm拡大、それに電子制御スロットルと軽量ピストンの採用により4馬力アップでご覧の通り。

RH09パワーカーブ

上が大きく伸びているのがわかるかと思います。

しかしこれだけでなく最初にもあげた通り7kgもの大幅なダイエットまでやっており、スポーツ性能を高めたモデルチェンジとなりました。

その意図がよく現れているのがフロントを17インチのままだったこと。これ結構驚き。

400Xと750Xのホイール

というのも弟分というか同系である400Xが一足先にフロントを19インチにしてクロスオーバー要素を強めるモデルチェンジをしていたから。そんなもんだからてっきりNC750Xも19インチになるのかと思ったら17インチをキープ。

ロードタイプとして併売していた750Sと統合する意味合いがあったのか、明らかにオンロードユーズを誇示した形で共有プラットホーム展開の分布図においてセンターに置かれるようなモデルになりました。

LEDヘッドライト

シリーズの看板車種であることを明確にするためか、レイヤード感を増したカウルや分割されたLEDヘッドライト(上がローで下がハイ)などデザインもさらに気合が入ったものに。

RH09カタログ写真

ここで改めてNC750シリーズのコンセプトをおさらいしたいんですが

「フィットのエンジンを半分に割った(参考に開発した)」

という逸話が有名でそのことから”バイク版フィット”とか言われましたが、エンジンだけではなくコンセプトもフィットに通ずるものがあります。

当たり前のように30km/Lを超える燃費だったり、見かけによらず23Lものメットイン容量を備えていたり、毎日乗っても苦じゃない落ち着いた性格(挙動)だったり。まさにフィットがそのままバイクになったような感じ。

750X/RH09壁紙

ただし今回はそのコンセプトは崩さない範囲でアクティブさを加えた形。例えるなら・・・バイク版フィットモデューロXといったところでしょうか。

主要諸元
全長/幅/高 2210/845/1330mm
シート高 800mm
車軸距離 1525mm
[1535mm]
車体重量 214kg(装)
[224kg(装)]
燃料消費率 28.6km/L
※WMTCモード値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4ストロークOHC4バルブ直列2気筒
総排気量 745cc
最高出力 58ps/6750rpm
最高トルク 7.0kg-m/4750rpm
変速機 常時噛合式6段リターン
[電子式6段変速(DCT)]
タイヤサイズ 前120/70R17(58W)
後160/60R17(69W)
バッテリー YTZ12S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
IFR6G-11K
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.4L
フィルター交換時3.6L
[全容量4.0L
交換時3.1L
フィルター交換時3.4L (クラッチ含む)
]
スプロケ 前16|後43
[前17|後41]
チェーン サイズ520|リンク114
車体価格

840,000円(税別)
[900,000円(税別)]
※[]内はDCTモデル

系譜図
NC700S2012年
NC700S/X/INTEGRA
(RC61/63/62)
NC750S2014年
NC750S/X/INTEGRA
(RC70/72/71)
2016NC750S2016年
NC750S/X
(RC88/90/89)
XADV2017年
X-ADV
(RC95)
2021NC750X2021年
NC750X
(RH09)
RH102021年
X-ADV
(RH10)