VFR400R(NC30) -since 1989-

NC30

「Vの本領」

VFR400Rとしては最後のモデルであり、歴代で最も息が長く最も売れたモデルでもあります。

あのVFR750R(RC30)にかなり近いデザインという事も人気を呼んだ理由の一つ。

NC30とRC30

実際NC30は”レーサーRVF400″ではなく”RC30″のレプリカ。

奇遇なことに型式まで同じ30なサンマル兄弟・・・いや、あんまりそんな呼ばれ方してませんけどね。

先代からの変更点としてはホイールベースの短縮やフロントホイールの17インチ化。リアはこの時まだ18インチでこれがマフラーが左出しに纏められた事と並んでNC30の特徴です。

NC30リア

もちろん他にもバックトルクリミッター付きクラッチや、どうしても後ろ二気筒が熱で苦しくなってしまうV4の課題を解決するためデュアルラジエーターなど、ポジションも含め完全にレーサー路線。

翌年にはリアサスペンションがリザーバータンク別体式の物に変更されています。

ただNC30で語るべきはやはりエンジン。

VFR400

ホンダは先々代NC21でクランク角を180度(90度、270度ともいう)に変更したんですが、NC30で再び360度に変更しています。

これがまあ難しい問題でして・・・

一般的にV4(90度バンクV型四気筒)には180度クランク角と360度クランクの二種類があります。

V4は開いたシリンダーの角度を表すバンク角と、クランクピンの角度を表すクランク角という2つの角度を表す表記があるから分かりにくいですね。

※もしクランク角がよくわからないという人は「バイク豆知識:二気筒エンジンが七変化した理由」を先に読んでもらえると助かります。

NC30エンジン

一応このページでは混乱しないようにバンク角の話は置いといてクランクの角度を

“180/360度クランク”

という形で説明していきます。

で、どう違うのかというと360度クランクの場合の燃焼間隔は0-270-360-630-720(0)。

180度クランクの場合は0-270-450-540-720(0)となります。

V4クランクアングル

360度クランクだと一つが点火したらすぐに(90度)次の気筒が点火してしばらく(270度)おやすみ。でまたボンボンと立て続けに点火してまたおやすみ。

ボボン・・・ボボン・・・ボボンといわゆるVツインを2つ並べた点火時期。

対して180度クランクはちょっと長め(270度)に空く時間が一つ出来るのでボボン・・・ボン・ボンという感じ。YZF-R1のクロスプレーンもこうです。

そしてNC30が360度クランクにしたのは

“速く走らせるなら360度クランクの方が有利”

だからです。

これは「バイク豆知識:クロスプレーンだと何が良いのか」のメリットで書いたとおり、タイヤを落ち着かせる270度という間隔が360度クランクの場合は2回転する間に2度もあるから。

V4クランク270度

対して180度クランクの場合は2回転に1度しかない。

だからトラクション性は360度の方が上回っている。速く走るなら360度なのはこれが主な理由。

じゃあなんで先々代NC21が180度クランクにしたのかというと、初代のVF400F(360度クランク)があまりにも極端な点火タイミング故に、排気音が濁っていると不評だったから。

これは本当に好みが別れるところなんですけどね。

透き通った音が好評な180度クランク直列4気筒も並べてもう一度燃焼間隔を見てみましょう。

V4クランクアングル

V型四気筒の180度クランクと360度クランクのどちらが直列4気筒に近いかと言えば180度クランクの方ですよね。

つまり180度クランクV4は(YZF-R1のクロスプレーンでも言われていますが)高回転まで回すと直列4気筒(180度クランク)とほぼ変わらないサウンドになります。

先代NC21が180度クランクを取ったのはこういった理由が大きいんです。

でもだからといって180度クランクのメリットは音だけなのかというとそうではないですよ。

現存している大型のV4(VFR800)のクランク角は180度クランクです。※VFR1200は位相で全く違う

NC30カタログジャケット

これはサウンド云々の問題ではなく180度クランクV4は360度に比べ二次振動(微振動)を限りなく0に出来るというメリットがあるから採用してるんです。

トラクション性が(あくまでも360度V4に比べ)劣るぶん振動を限りなく0に出来る最もスムーズな四気筒なのが180度クランクV4。だからNC21-24はエンジンに合わせてポジションなどが少し優しかったわけ。

VFR400Rカタログ写真

反対に同じV4でもレース色の強いVFR750R/RVF750(RC30/RC45)やRC213V-Sは360度クランクになっています。これはサーキット走行がメイン、つまりトラクション性が何よりも大事だから。

同じV4でもクランク角によって一長一短あるという事です。

VFR400Rスペシャルカラー

そしてVFR400R/NC30はピュアレーサーのようなVFR750R/RC30のレプリカである事、そしてTT-F3を始めとしたレースに勝つ事に重きを置いたマシンだったから360度を取ったという話。

主要諸元
全長/幅/高 1985/705/1075mm
シート高 755mm
車軸距離 1345mm
車体重量 182kg(装)
[185]kg(装)
燃料消費率 37.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 59ps/12500rpm
最高トルク 4.0kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60-17(55H)
後150/60-18(67H)
バッテリー FTX7A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
ER8EH/ER9EH(標準)/ER10EH
または
Y24FER/Y27FER(標準)/Y31FER
推奨オイル ウルトラU(SAE10W-30)
または
ウルトラGP(SAE20W-50)
オイル容量 全容量3.0L
交換時2.4L
フィルター交換時2.5L
スプロケ 前15|後40
チェーン サイズ525|リンク104
車体価格 749,000円(税別)
※[]内は90年以降モデル
系譜図
NC131982年
VF400F/INTEGRA
(NC13)
NC211986年
VFR400R/Z
(NC21)
NC241987年
VFR400R
(NC24)
NC301989年
VFR400R
(NC30)
RVF4001994年
RVF
(NC35)

VFR400R(NC24) -since 1987-

NC24

「新・戦力」

わずか一年ちょっとでモデルチェンジされたVFR400R(NC24)。

大きな変更点としてスイングアームが片持ち(プロアーム)になったこと。ホンダのV4といえばプロアームという人も居るでしょう。

エルフモト

このプロアームはもともとNS500で戦っていたフランスの企業でオイルなどでお馴染みELFというメーカーのレースチームELF MOTOが開発した物でホンダはどちらかというと協力者。

そしてELF MOTOが撤退となったことを機にホンダが特許を買い取りホンダの物になったというわけ。

ホンダのレーサーレプリカといえばプロアームという考える人は多いと思いますが、プロアームのメリットを答える人はどれくらい居るでしょう。

プロアーム

ホンダの当時の謳い文句をそのまま書くと

・タイヤ交換時間の短縮

・剛性値を両持ちより稼げる

・それによってバネ下荷重の軽減

・ブレーキという重量物をセンターに出来る

などなど。

NC24壁紙

でも現代のホンダのレーサーマシンを見ると分かる通り両持ちですよね。

あくまでもレースでの話ですが、これは結局両持ちのほうが軽く出来る(剛性値)を稼げる事が分かった事と、片持ち故に左右でコーナリングの挙動が違うというネガな部分があったから。タイヤ交換も技術の進歩であんまり変わらない。

じゃあプロアームの良いところは無いのかというとそんな事はありません。今でもVFRなどに採用されているのを見れば分かるようにプロアームの良いところはちゃんとあります。

NC24カタログ写真

カッコいい事です。

主要諸元
全長/幅/高 2010/690/1125mm
シート高 770mm
車軸距離 1375mm
車体重量 183kg(装)
燃料消費率 44.2km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 59ps/12500rpm
最高トルク 4.0kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54H)
後130/70-18(63H)
バッテリー FB9L-B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
ER8EH
または
Y24FER
推奨オイル ウルトラGP(SAE10W-40/20W-50)
オイル容量 全容量3.0L
交換時2.4L
フィルター交換時2.5L
スプロケ 前16|後40
チェーン サイズ525|リンク106
車体価格 679,000円(税別)
系譜図
NC131982年
VF400F/INTEGRA
(NC13)
NC211986年
VFR400R/Z
(NC21)
NC241987年
VFR400R
(NC24)
NC301989年
VFR400R
(NC30)
RVF4001994年
RVF
(NC35)

VFR400R(NC21) -since 1986-

NC21

「ウイニング・テクノロジー」

待ってましたと言わんばかりの登場となったレーサーレプリカ、RモデルのVFR400R。

TT-F3

キャッチコピーにもあるようにこのバイクはTT-F3(400cc国内レース)で1985~86年の優勝マシンRVF400のレプリカモデル。

そのマシンに習い、高剛性のアルミツインチューブフレーム、カムギアトレイン、クランク角を360度から180度へ変更などなどHRC(HONDA RACING CORPORATION)テクノロジー満載のバイク。

NC21線図

ただダブルシートなのを見ても分かる通りこの頃はまだカリカリというわけではなく、速さは持っていたけどポジションは優しかったから改めて見ると、とっても速いV4レプリカツアラーという感じ。

そして合わせて登場したのが一部の人しか知らないけど、知ってる人は絶対に忘れないVFR400Z。

VFR400Z
(NC21)
-since 1986-

VFR400Z

VFR400Rのカウルレスネイキッドモデルで丸目二眼が特徴的。

知らないのも無理もない話でV4の400としては最初で最後のネイキッドモデル。Rモデルが一年後にモデルチェンジするんだけどコッチはコッチでマイナーチェンジをし、しばらくは併売していました。

じゃあ知ってる人は絶対に忘れない理由が何かというと、これは教習車としても広く採用されたから。

VFR400Z教習車

80年代後半から90年代にかけてCB400SFに置き換えられてるまで教習車といえばコレ(もしくはCBR400K)が多かったんです。

デチューンされているとはいえV4カムギアトレーンの教習車・・・HRCテクノロジーのありがたみが薄れますね。

NC21佐藤浩市

ちなみに佐藤浩市さんが起用されていた事はあまり知られていない。

主要諸元
全長/幅/高 2010/705/1125mm
[2010/705/1010mm]
シート高 765mm
車軸距離 1375mm
車体重量 182kg(装)
[178kg(装)]
燃料消費率 44.2km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 59ps/12500rpm
最高トルク 3.7kg-m/11000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54H)
後130/70-18(63H)
バッテリー FB9L-B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
C8EH-9
推奨オイル ウルトラGP(SAE10W-40/20W-50)
オイル容量 全容量3.1L
交換時2.4L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前16|後40
チェーン サイズ525|リンク106
車体価格 659,000円(税別)
[629,000円(税別)]
系譜図
NC131982年
VF400F/INTEGRA
(NC13)
NC211986年
VFR400R/Z
(NC21)
NC241987年
VFR400R
(NC24)
NC301989年
VFR400R
(NC30)
RVF4001994年
RVF
(NC35)

VF400F/INTEGRA(NC13) -since 1982-

NC13

「ハイテック・スーパー・ミドル」

同年デビューの打倒2stことVT250Fと瓜二つな見た目で登場した400ccのV4バイクの始まりとなるVF400F(NC14)。

NC13カタログ写真

遂に400でもV4が登場したと(まだ大型二輪が限定解除で難しかった事もあって)話題になり、また裏切らない速さを持っていたことから14000台以上を売るヒットを飛ばし翌1983年にはCBX400Fを抑え年間販売台数トップを獲得。

NC13E

後継モデルの影響か現代ではCBX400Fほど話題にはなりませんが、当時は非常に人気でした。

当時を知らない人の為に補足するとホンダはこの頃からストリートはCB/CBR系、レースはVF/VFR系とツートップ戦略に近いラインナップをしていたんです。

NC13インテグラ

そして1984年からはフルカバータイプのINTEGRAも登場。

これはカウルに対する国土交通省の規制が緩和された事が大きな理由。ノーマルのFの方もどう見てもビキニカウルなんだけど、それじゃ国土交通省の認可が下りない(型式を取れない)事から

VF400F

「これはカウルじゃなくてメーターバイザー」

っていう屁理屈みたいな言い訳で押し通した歴史があるんです。

主要諸元
全長/幅/高 2060/750/1160mm
[2055/730/1195mm]
シート高 780mm
車軸距離 1415mm
[1405mm]
車体重量 191kg(装)
[195kg(装)]
燃料消費率 43.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 17L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 53ps/11500rpm
最高トルク 3.5kg-m/9500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54H)
後110/90-18(61H)
バッテリー FB12A-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DP7EA-9/DP8EA-9/DP9EA-9
または
X22EP-U9/X24EP-U9/X27EP-U9
推奨オイル ウルトラGP(SAE10W-40/20W-50)
オイル容量 全容量3.0L
交換時2.2L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ525|リンク108
車体価格 528,000円(税別)
[589,000円(税別)]
系譜図
NC131982年
VF400F/INTEGRA
(NC13)
NC211986年
VFR400R/Z
(NC21)
NC241987年
VFR400R
(NC24)
NC301989年
VFR400R
(NC30)
RVF4001994年
RVF
(NC35)

Shadow Classic/Custom400(NC44/45) -since 2008-

シャドウ400

2008年の排ガス規制を機にFI化されカスタムとクラシックの2モデルとなったシャドウ400。

旧来のクラシックモデルに加えてカスタムモデルは実質的にシャドウスラッシャーの後継的な立ち位置。といってももう2015年時点で残ってるのはクラシックだけだけどね。

日本はやっぱりディープフェンダーにファットタイヤを履いたクラシックモデルが人気みたいね。

さてしかし、意外なことにこのシャドウ400はホンダ車なのライバル車であるスズキのイントルーダーやヤマハのドラッグスターに販売台数で負けています。ホンダ車でライバル車より不人気なバイクって非常に珍しい気が・・・

シャドウ

やっぱり二本サスが原因かな。

一番人気のドラッグスターは空冷な上にリジッド風サス、二番人気のイントルーダーは水冷だけどリジッド風サス。それらに対してシャドウは水冷で二本サス。

重ねて言いますがなんでスティードではリジッド風サスにしたのにシャドウでは二本サスなのよって話ですけど、ホンダは何も言ってないからシャドウシリーズの始祖である1986年のシャドウ750(RC25)がそうだったからとしか・・・もしくは真似はしないというホンダスピリットの現れか。

そして恐らくこのシャドウ400は2017年の排ガス規制をもって生産終了です。ホンダからも生産終了のお達しが出回ってるみたいです。

兄弟車のVT400S(海外名Shadow RS)に至ってはもう一足先に生産終了しちゃってるし。

VT400S

シャドウ自身も次期型やモデルチェンジの話も今のところ何も・・・だからマイチェンで規制を通してくるのか、無くなるのか分かりません。

エンジンも既にシャドウとシャドウファントムにしか使ってないし、海外はシャドウよりF6BやFURYを押してる感じだから頃合いなのかな。

スピリット・オブ・ザ・フェニックス

でもシャドウは「スピリット・オブ・ザ・フェニックス」ですよ。

不死鳥です。何度倒れようと甦ってくる・・・かも。

というかホンダってスティードもそうだしマグナもそうだけど、何でヒットしたクルーザーって短命なんでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2510/920/1125mm
[2445/835/1130]
シート高 660mm
[650mm]
車軸距離 1640mm
[1655mm]
車体重量 255kg(装)
[244kg(装)]
燃料消費率 40.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14L
エンジン 水冷4ストロークOHC2気筒
総排気量 398cc
最高出力 31ps/7000rpm
最高トルク 3.4kg-m/3500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/90-17(64S)
[前90/90-21(54S)]
後90/90-21(54S)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR7EA-9/DPR8EA-9
または
X22EPR-U9/X24EPR-U9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(SAE10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.2L
交換時2.5L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前16|後43
チェーン サイズ520|リンク124
車体価格 750,000円(税別)
[730,000円(税別)]
※[]内はシャドウカスタム(NC45)
系譜図
nc121985年
NV400Custom
(NC12)
NC261988年
STEED400
(NC26)
NC341997年
Shadow400
(NC34)
NC402000年
Shadow Slasher400
(NC40)
NC44|NC452008年
Shadow400
Classic/Custom
(NC44/45)

Shadow Slasher400(NC40) -since 2000-

シャドウスラッシャー400

シャドウの派生モデルとして登場したのがこのシャドウスラッシャー400。

シャドウ400との違いは前輪が19インチ化されたことと、外装がシンプル&ショート化されシャドウより3万円ほど安かった。今で言うカスタムモデル。

翌年にはブルハンドル仕様も追加し排ガス規制による生産終了までの8年間シャドウと併売して売られ、最終年にはタンクにフレアパターンの入ったDX仕様が限定で発売されました。

余談だけどシャドウも国によって名前がVTだったりシャドウだったり色々とややこしいんですよねえ・・・

主要諸元
全長/幅/高 2310/795/1060mm
シート高 645mm
車軸距離 1625mm
車体重量 232kg(装)
燃料消費率 40.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 13L
エンジン 水冷4ストロークOHC2気筒
総排気量 398cc
最高出力 33ps/7500rpm
最高トルク 3.5kg-m/5500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前110/80-19(59S)
後160/80-15(74S)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR7EA-9/DPR8EA-9
または
X22EPR-U9/X24EPR-U9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(SAE10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.9L
交換時2.2L
フィルター交換時2.4L
スプロケ 前16|後44
チェーン サイズ520|リンク124
車体価格 629,000円(税別)
系譜図
nc121985年
NV400Custom
(NC12)
NC261988年
STEED400
(NC26)
NC341997年
Shadow400
(NC34)
NC402000年
Shadow Slasher400
(NC40)
NC44|NC452008年
Shadow400
Classic/Custom
(NC44/45)

Shadow400(NC34) -since 1997-

シャドウ400

「SPIRIT OF THE PHOENIX」

スティードとは別にクラシックモデルとして登場したのがシャドウ。

日本でアメリカンといえば今でこそクラシッククルーザーが標準だけど当時はまだそこまで確立していなかった。

それにホンダはスティードがバカ売れしてたんだけど何でスティードとは別に新しいクラシックスタイルのクルーザーを出したかといえばライバル車の出現があったから。

94年にはチョッパースタイルのイントルーダー400、そして96年にはもはや王道のドラッグスター400が登場。

それまでのライバル不在な状況じゃなくなったんだね。

初代シャドウ400

んでシャドウの特徴なんだけどやっぱりツインサス。

これがねえ・・・何でスティードはリジッド風だったのにシャドウでツインサスにしちゃったのよって話なんですが、ホンダとしてはボリューム感を出したかったみたい。

あと名前の由来ですけど「ワイルド」「渋い大人」のイメージを持たせるためだとか。

主要諸元
全長/幅/高 2455/945/1105mm
シート高 695mm
車軸距離 1625mm
車体重量 242kg(装)
燃料消費率 34.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14L
エンジン 水冷4ストロークOHC2気筒
総排気量 398cc
最高出力 33ps/7500rpm
最高トルク 3.5kg-m/5500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/90-17(64S)
後170/80-15(77S)
バッテリー FTX14-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR7EA-9/DPR8EA-9
または
X22EPR-U9/X24EPR-U9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(SAE10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.9L
交換時2.2L
フィルター交換時2.4L
スプロケ 前16|後44
チェーン サイズ520|リンク124
車体価格 629,000円(税別)
系譜図
nc121985年
NV400Custom
(NC12)
NC261988年
STEED400
(NC26)
NC341997年
Shadow400
(NC34)
NC402000年
Shadow Slasher400
(NC40)
NC44|NC452008年
Shadow400
Classic/Custom
(NC44/45)

STEED400(NC26) -since 1988-

スティード400

第二次クルーザーブームの火付け役として有名な本格クルーザーのスティード。

あのNV400カスタムから僅か3年でこの差は何だ?と思う人も多いかもしれない。

実はスティードはHAM(ホンダ・オブ・アメリカ・マニュファクチュアリング)との共同製作車。つまり本場であるアメリカの声を交えて(というか主体?)で作られた本当のアメリカン。

スティードコンセプトスケッチ

だからこれだけの造りがいきなり出来たわけだね。画期的だった位相クランクエンジンだったけどクルーザーには相応しくないってことでヤメて大幅に改良された低回転寄りのエンジンになった。

さらに今ではイントルーダー400やDS400も使ってるリジッド風に見えるリア周りはスティードが初。

まあその結果、そりゃもうコレでもかってくらいの大ヒット。

それまで400のクルーザーといえばヤマハのビラーゴだったけど、スティードでホンダが一気に掻っ攫った。

NC26

カスタムベースとして見ても優秀だったのも人気の一つかな。

途中途中に派生モデルとして安価モデルのVLC、ディッシュホイールを付けたVSE、スプリンガーフォークを付けたVLS等が発売されました。

2002年の排出ガス規制に伴って2001年にノーマルのVLXに一本化するマイナーチェンジをしたんだけど、ホンダはそのモデルを最後にスティードの生産を終了して併売していたシャドウへ一本化することなりました。一部の海外では既にシャドウという名で売られてたりしたんだけどね。

スティードシャドウ

実に16年間も売られてた超ロングセラー車。ホンダクルーザーとしては唯一成功を収めたバイクと言えるかも。ああ、でもマグナ250もヒットしたか。

主要諸元
全長/幅/高 2310/760/1130mm
シート高 680mm
車軸距離 1600mm
車体重量 208kg(装)
燃料消費率 37.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 9L
エンジン 水冷4ストロークOHC2気筒
総排気量 398cc
最高出力 30ps/7500rpm
最高トルク 3.3kg-m/5500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前100/90-19(57S)
後170/80-15(77S)
バッテリー FTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR7EA-9/DPR8EA-9
または
X22EPR-U9/X24EPR-U9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(SAE10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.8L
交換時2.1L
フィルター交換時2.3L
スプロケ 前16|後45
チェーン サイズ525|リンク120
車体価格 599,000円(税別)
系譜図
nc121985年
NV400Custom
(NC12)
NC261988年
STEED400
(NC26)
NC341997年
Shadow400
(NC34)
NC402000年
Shadow Slasher400
(NC40)
NC44|NC452008年
Shadow400
Classic/Custom
(NC44/45)

NV400Custom(NC12) -since 1985-

NV400カスタム

一大ブームを巻き起こしたスティード、そしてシャドウシリーズのご先祖様にあたるNV400カスタム。

俗にいうナンチャッテアメリカンの類なんだけど非常にホンダらしい部分がある。それはエンジン。

バンク角52度というクルーザーの要素として大事な挟角Vツインという条件を満たしてるんだけどホンダは要らぬひらめきをしてしまったんですね。

「狭角Vツインでもクランクを位相にすれば90度Vツインと同じく一次振動を0でパワーを稼げる!」

位相クランクVツイン

そのおかげでこのNV400カスタムは挟角Vツインながらヒュンヒュン回るエンジンで44馬力ものパワーを発生させる画期的なエンジンとなりました。

NV400カスタム

そんな画期的だったエンジンを積まれ満を持して発売されたNV400カスタムの評価はというと・・・

「ヒュンヒュン回り過ぎでVツインの鼓動感が全くない。」

というまあクルーザーとしては当たり前なダメ出しをくらう結果に。

非常に面白いエンジンを積んだバイクでしたが、残念ながらクルーザーとしての人気は出ませんでした。

いやむしろ何でクルーザーでそんな事したんだって話ですが、まあ当時は第一次クルーザーブームとレプリカブームの間みたいな時期でメーカーも方向性が分からなかったんでしょう。

NV400SP

このヒュンヒュン回る挟角Vツインエンジンは後のシャドウシリーズにも改良され載るのは勿論のこと、NV400SPというスポーツモデルにも搭載されました。

ホンダ ブロス

さらにそこから派生してブロスとなり、そのまた派生としてVRX400ロードスター等が出てたりします。

VRX400ロードスター

ほかにもトランザルプ400やアフリカツインにも積まれてたりと、実は結構兄弟車というか従兄弟が多いんです。

ここまでの乱立を見るにホンダが何とかこのエンジンを使ったヒットバイクを作ろうとしていた形跡が伺えますね。まあ面白いエンジンなので無理もない話です。

主要諸元
全長/幅/高 2175/840/1190mm
シート高 770mm
車軸距離 1490mm
車体重量 193kg(装)
燃料消費率 44.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12L
エンジン 水冷4ストロークOHC2気筒
総排気量 399cc
最高出力 43ps/9500rpm
最高トルク 3.5kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.50S18-4PR
後130/90-16(67S)
バッテリー FB12A-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR7EA-9/DPR8EA-9/DPR9EA-9
または
X22EPR-U9/X24EPR-U9/X27EPR-U9
推奨オイル Honda純正ウルトラU(SAE10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.0L
交換時2.5L
フィルター交換時2.7L
スプロケ
チェーン
車体価格 499,000円(税別)
系譜図
nc121985年
NV400Custom
(NC12)
NC261988年
STEED400
(NC26)
NC341997年
Shadow400
(NC34)
NC402000年
Shadow Slasher400
(NC40)
NC44|NC452008年
Shadow400
Classic/Custom
(NC44/45)

CBR400R(NC56) -since 2019-

CBR400R/NC56

「MOVE YOUR HEART」

2019年からのCBR400Rと400XのNC56型。

最初にCBR400Rから書いていくと、何よりもまず更にアグレッシブな見た目に変貌した事。

CBR400Rコンセプトデザイン

CBR250RRとCBR650Rを足して2で割った様なデザインで、本来ならばインナー(アッパーカウルの裏側)に備え付けられるカウルを表にまで出してアクセントにしてるのが非常にカッコいい。

CBR400Rアッパーカウル

ホンダのデザイナーの方がバイクのデザインについて

「車と違ってバイクはインテリアが無いんですよ、全てがエクステリアなんです。」

と言っていたのを思い出したんですが、まさにそれを匠に表現してる感じですね。

ただ変更はデザインだけではなく中身もそうで色々と変わっています。

CBR400Rトップブリッジ

アルマイト加工のフォークキャップや新設計のフルデジタルメーターも目立つのですが、それよりもハンドルをトップブリッジ上から下に変更しポジションを少し前傾気味になりました。

CBR400Rポジション

更にエンジンにも変更が加わっているんですが、これがまたなかなか硬派な内容。

まずカムを変更しバルブリフト量を上げつつ開口時間を少し狭めてあります。加えてバッテリーをワンサイズ落とす事で吸気レイアウトに自由度を持たせて抵抗の少ないストレート構造へと変更。

CBR400Rエアフロー

そして面白いのが燃料を吹くインジェクションで、エンジンの回転数を検知するクランク角センサーを従来の2.6倍へと細分化すると同時に従来の拡散型から収束型に変更していること。

フューエルインジェクションの変更

細かく吹いて空気と綺麗に混ぜる事が大事と言われている時代で収束噴射というのは何とも逆行しているように思えるのですが、何でもこれは吸気が弱い中低速でもちゃんと燃料を燃焼室まで届けるためとの事。

要するにこれらの狙いが何かというと

『中低速域における燃焼の安定』

というもの。

これのおかげでNC56型は中低速トルクの厚みが増し、最大馬力は上がっていないもののピークを500rpm下に持ってくる形になってる。

NC56パワーカーブ

これは先代の街乗りからツーリングまで何にでも使える使い勝手の良さが非常に評価されている事を鑑みてでしょうね。

スリッパークラッチの採用による負担の軽減とミッションの見直しによるフィーリングの向上、そしてサスペンションが良いものに変更されたものの決して硬すぎない事から見ても

CBR400R/NC56壁紙

「使い勝手はそのままにもっと元気に走れる様に」

という意図があるものかと。

ちなみにマフラーも実質緩和に近い新規制に合わせ、ストレート管が追加された非常に良い音を出す物に変更されています。

400X
(NC56)
-since 2019-

400X/NC56

「Tough and Wild」

アドベンチャーモデルとなる400Xも合わせてモデルチェンジとなり型式は同じNC56型。

装備やエンジン関係はいま紹介したCBR400Rと同じなので省きますが、こちらはCBR400Rとは対照的に結構思い切った変更がされました。

何が思い切ってるかというともちろんフロントホイールが19インチに変更されたこと。

400Xポジション

フロントホイール径を上げるとどうなるのか簡単に言うと、走破性と直進安定性が増します。大きいコマほどジャイロ効果が増してなかなか倒れないのと同じ原理。

オフロードを走るバイクが大きなフロントホイールを履いているのはこのためなんですが、つまり17インチだった先代までの400Xがスポーツとアドベンチャーの良いとこ取りだったのに対して、NC56型はそれをやめてアドベンチャーとして大きく傾いたという事。

400X/NC56リアビュー

もう少し上の排気量であるNC750Xですら17インチなのを見れば如何に思い切った変更なのかが分かるかと。

分かりやすく言うと未舗装路も走れるバイクから

400X壁紙

「未舗装路で輝くバイク」

に変わったという話。

副産物と言って良いのか分かりませんが19インチに合わせてラジエーターの大型化やロングスクリーンなど、フロントのボリュームをホイールだけでなくボディ全体で増す変更が加えられているのでインパクトも増大しています。

400X壁紙2

だからそういう場所に停めるだけでも絵になる役得感があるっていう。

最後に余談。

このCBR400R/400Xには海外向けに500のモデルがあります。

2019CBR500R/500X

そういう場合って物理的に仕方ないんですが

『大きい海外仕様がベースで小さい日本仕様はストローク下げただけ』

というのがお決まりのパターン。

つまりこのCBR400R/400Xも同じ様に500のストロークダウンモデルになっている・・・わけじゃないんですねこれが。

そもそも

「400と500って排気量近すぎ」

と思いませんか。国内向け400の海外仕様って600とか650がメジャーですよね。

なのにこのモデルは100しか、もっと言うとストロークが10mmほど違うだけで正確には72ccしか差がない。

これが何故かと言うと、実はこのモデルはもともと

『400として開発されていたモデル』

なんです。

エンジンレイアウト

初代(NC47)の総責任者はNCシリーズも担当された青木さんという結構有名な方なんですが、この400を開発していたところ

「排気量上げたモデルも造れ」

と後から無理を言われて開発されたのが500なんです。

恐らく欧州で2013年からのA2免許制度が理由だと思われるんですが、400として開発していたもんだから出来ることは本当に限られていて

「主要部品を4つ変更するだけで全高は上げず対応させた」

という旨の話をされていました。その結果が72ccという僅かな差を持った500という話。

※Bikers Station/No.310のインタビューより

つまりこの400って大型のお下がりモデルじゃないんですよ。

2019年式CBR400R/400X

『最新の400専用設計車』

と言えるバイクだったりするんです。

国内で非常に高い評価を獲得している理由もここら辺にあるんでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2080/755/1145mm
[2140/825/1380mm]
シート高 785mm
[800mm]
車軸距離 1410mm
[1435mm]
車体重量 192kg(装)
[196kg(装)]
燃料消費率 28.3km/L
※WMTCモード値
燃料容量 16.0L
[17.0L]
エンジン 水冷4サイクルDOHC二気筒
総排気量 399cc
最高出力 46ps/9000rpm
最高トルク 3.9kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17(58W)
後160/60-17(69W)
[前110/80-19(59H)
後160/60-17(69H)]
バッテリー YTZ8V
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR8EA-9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.2L
交換時2.5L
フィルター交換時2.7L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ520|リンク114
車体価格 808,500円(税込)
[826,100円](税込)
※[]内は400X
系譜図
NC171983年
CBR400F
/ENDURANCE
/FORMULA-3
(NC17)
NC23前期1986年
CBR400R
(NC23)
NC23後期1988年
CBFR40RR
(NC23)
NC291990年
CBR400RR
(NC29)
/CB400F/400X2013年
CBR400R
CB400F
400X
(NC47)
/CB400F/400X2016年
CBR400R
400X
(NC47後期)
/400X(NC56)2019年
CBR400R
400X
(NC56)