車名に続く記号(型式)について~認定型式と通称型式~

型式について

第五回目は車名に続く記号について。よく考えたら説明していませんでした。

息の長いバイクに乗っている人ほどバイクを車名ではなく記号で呼ぶようになります。

これは型式といって車種に割り振られている識別コードの様なもので、どうしてこれを使うかというと型式を言えば一発でどの年式のどのバイクか分かるから。

※今現在使われている型式についてなので古いバイクは当てはまらない場合があります

ヤマハのYZF-R1を例に説明します。

R1の型式

例えば2007年式YZF-R1(4C8)に乗っているオーナーが他のYZF-R1乗りに

「YZF-R1に乗っているよ」

と言ってもどの年式のR1に乗っているか分かりませんよね。

ところが

「4C8に乗っているよ」

と言えば一発でどのYZF-R1か分かる。

「年式を言えば済むのでは?」

と思うかもしれませんが、そうすると今度はグレードが分からない。

2015~のR1はR1とMモデルがありますね。

だから”2015年式のR1″と言ってもノーマルなのかMなのか区別が付かないというわけ。

※これには色々と誤解や注意があります。

というのもこの記事を書くキッカケになったのは

「系譜さん型式を間違えていますよ、正しくはXXX(公式参照)です。」

というご指摘をいただくようになったからです。例としてYZF-R25を挙げてみましょう。

R25の型式

公式ではRG10Jと書かれています。

ところがバイクの系譜では1WD/2WDと書いてある。車検証にも1WD/2WDとは書かれていない。

となるとバイクの系譜が間違っていると思うのも当然な話です。実際よく打ち間違えていますからね。でもコレは両方間違いではないんです。

ヤマハが公式に書いているRG10Jという型式は認定型式といって、市販するにあたり国土交通省(政府)向けに用意した型式。フレームに刻印されるのもこの型式です。

ちなみに頭文字三文字のJBKというのは

『いつの規制で取得した型式か』

という事を表す型式。

2012年の第二次排ガス規制で型式認可された軽二輪(125cc超250cc以下)はJBK-認定型式、小型二輪(251cc以上)ならEBL-認定型式となる。

排ガス規制による認定型式

2016年の第三次規制に対応した軽二輪(125cc超250cc以下)は2BK-認定型式、小型二輪(251cc以上)なら2BL-認定型式となります。

そしてこの型式というのは一度取得すると大きく変更しない限りはそのまま使えます。

例えばYZF-R25がマイナーチェンジしたとします。消費者から見たら大変貌に見えても、メーカーや国土交通省が変わっていないと認識した場合わざわざ再び型式を貰いに試験を行う必要が無いんです。

これはメーカーや国土交通省の費用や手間を省くため。少し変わる度に全試験なんてやっていたら大変ですから。

しかしこれで問題となるのがモデル管理。

例えば

「RG10J(認定型式)の補修部品が欲しい」

と言われてもこれでは何年の何色のR25の補修部品が欲しいのか分からない。

要するにメーカーや消費者にとってのモデルチェンジと、国土交通省にとってのモデルチェンジにズレが生じる。

型式のズレ

そこでヤマハは”年式・グレード・仕様地・色”等が一発で分かる

『通称型式(モデルコード)』

という公認型式とは別の型式を設けています。それがR25/R3でいえば1WD/2WDというわけ。

つまりいま説明したように仮にR25がモデルチェンジした場合、公認型式はRG10Jのままの可能性はあっても、通称型式は区別するために間違いなく変わる(変える)という事です。

本当はこの三文字の後に2WD1等もう一つ文字が付きます。

これは色を表すコードなんですが、流石に全色全コード覚えている人は居ない事からかオーナー間では省略されるようになりました。

ちなみにこのアルファベット三文字(または四文字)に意味は無く、順番に1~Zまでを順番に振っているだけですが、色を表す末尾コードをZ(例えば2WDZ)まで使った場合、全く新しい通称型式が振られます。

なので必ずしも通称型式が変わったからモデルチェンジというわけではありません。

※YZF-R1(14B~2SG)等

じゃあ他のメーカーはどうか、まずはカワサキからZX-10Rを例に見てみましょう。

カワサキの型式

カワサキもモデルチェンジの度に国土交通省向けの認定型式(ZXT00C等)とは別に通称型式を振っているわけですが、ヤマハと違い通称型式に決まりがあります。

例えばZX-10R(ZX1000D)の場合、Zは四気筒、Xはフルカウル、1000は排気量クラス、Dはアルファベット順で4つ目のZX1000(四気筒フルカウル1000cc)という意味。

これがNinja650/Z650になるとEX650J/ER650Gになります。

カワサキの型式2

Eは二気筒、Ninja650はカウルが有るのでX、Z650は無いのでR、650は排気量クラス、Jはアルファベット順で10つ目、Gは7つ目という意味。

本当はこの下にイヤーコードが付きます。

2006年式ZX-10RならZX1000D6、2007年式ならZX1000D7、2010年からはZX1000JAなどなど。

だから前期後期という分け方は本当は正しくないんだけど、まあ分かりやすい様にという事で・・・ちなみにカラーコードは含まれていません。

比較的分かりやすい事からオーナー間ではE型やJ型などナンバリングにあたる末尾アルファベット一つを取って言っている人が多いですね。

次はスズキの場合。

簡単なんですが、これまた色々と説明しないといけない事があります。

スズキの型式

基本的にK1やK7等のナンバリングが付いているだけなので最も分かりやすい。

Kというのは2000年代、Lは2010年代と言う意味。K3なら2003年モデル、L2なら2012年モデルという具合。

アルファベット順なので2020年モデルはM0という事になります。

ただしスズキは一部の車種に違う機種名を設けています。そのせいで混乱を招いたのがGSX250Sとコブラ。

通称名(車名)機種名(コード)認定型式
COBRAGSX250SGJ73A
GSX250S 刀GSX250SSGJ76A

この事からGSX250Sがコブラなのかカタナなのか混乱する人が出ました。

ただしどちらも車名と思って言っているのでGSX250S(車名)といえばカタナになります。

これは車名に名詞が入っていたからで、アドレスV125やバンディット1250FなどもUZ125やGSX1250FAという機種名を別に用意されています。

ちなみに2000年代まではA~Yというアルファベットでした。上の250カタナで例えるなら91年式はGSX250SSM、92年式はGSX250SSNという感じです。

話を現代に戻すとGSX-R1000で言うなら2005年式ならGSX-R1000K5、2017年式GSX-R1000AならGSX-R1000AL7、GSX-R1000RならGSX-R1000RL7となります。単純明快ですね。

ただカワサキでも言える事ですが、

「L5に乗っている、E型に乗っている」

と末尾だけを言っても、年や何代目かというだけで肝心の車名が全く分からないので注意しましょう。

小話ですが、これ系譜を書く上でも実は凄く困っている事なんです。例えばタイトルにK9と書いても本当はK9なんて型式じゃないから。

かといって

「GSX-R1000-Since2009-(GSX-R1000K9/L0/L1)」

と書くと重複しているみたいですよね。

本当はGT78Aといった認定型式を書いた方が良いのかもしれませんが、系譜が長いと被りが生まれてします。

GSX1100S KATANAなんて20年間のモデル全部GS110Xですからね。その後に続くフレームナンバーで分けろと言われそうですが、それだと本当にマニアにしか伝わらない。

しかもこの認定型式というのはメーカー問わず仕様地によって変わってくるので、逆輸入車などは特に一概に全てがコレとは言えない難しさがある。

気を取り直して最後はホンダ・・・ホンダを最後に持ってきたのはちゃんと訳があります。

ホンダのバイク乗りは一番型式で呼ぶ人が多いイメージですね。RC30やSC59やNC42など聞いたことがあると思います。

RC30は公認型式

が、実は皆が言っているその型式というは国土交通省用の公認型式なんです。

だから他の三メーカーと違って車検証にもバッチリ記載されています。

CBR1000RRを例に挙げてみましょう。

CBR1000RRは2004年モデルはSC57ですが、2006年モデルもSC57です。

つまりSC57だけではモデルチェンジ前のSC57なのか、モデルチェンジした後のSC57なのか正確には分からず管理できませんよね。

ホンダの型式

じゃあどうやって把握しているかというと・・・実はスズキとほとんど一緒なんです。

04年式はCBR1000RR4、09年式はCBR1000RR9

10年式からはアルファベットになりCBR1000RRA

12年式のABS付きはRの代わりにAが入ってCBR1000RAC

14年式のSPはRの代わりにSが入ってCBR1000SAE、15年式はSAF

という具合です。聞きなれないと思います。

認定型式

ちなみに1994年式CBR900RRはCBR900RRRで綺麗なトリプルアール・・・だからなんだって話ですが。

ここまで認定型式が広まったのはホンダ自身も認定型式を宣伝に使ったりしたからでしょう。

RC

VTR1000SPなんて認定型式はSC45なのにアメリカではRC51を名乗ってましたし。

ホンダは認定型式がそのままモデルコードとして認知(誤解)される様になった事で、結果として型式が変わらないモデルチェンジが多くなり前期・中期・後期という呼ばれ方をすることが多くなったというわけです。

だいぶ長くなってしまいましたが、以上が型式に関する話になります。

「結局どう呼べばいいの?」

と思われるならとりあえずサイトの横に書いてある型式を言っておけば大丈夫かと。

「本当のコードはこうだ」

と世論に歯向かって正す必要も無いと思いますし、無理して型式で言う必要もないです。

本来これらの通称型式やモデルコードというのは我々ライダーの為ではなくバイクを管理する人達の為にあるコードですから。

どのバイクを指してるのか伝われば言い方なんて何でもいいんですよ。

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メンテナンス

第四回目は日常のメンテナンスについて。

バイクというのは(車もそうですが)乗り方こそ教習所で学べますが、日常のメンテナンスについては教えてもらえませんよね。

こまめにバイク屋へ点検に出すのが一番確実ですが、懐事情を考えると難しいのが現実。

そこで自分で出来るメンテナンスと注意点を書いていきます。

が、まず初心者の方が第一に頭に叩き込んでおかなければいけない事があります。それは・・・

「締め過ぎは駄目」

ということ。専門用語でオーバートルクといいます。太いネジから細いネジまで締め付ける部品というのはコレが決まっています。

締め過ぎるとどうなるかというとネジ穴が馬鹿になったり、締め付けられる側の部品を壊してしまったりしてしまう。

締め付けられる側というのは基本的に大きい部品だったり、換えが効きにくいor換える事を想定していない部品の場合が多いので高く付きます。

どれくらいの力で締めればいいのかはサービスマニュアルを読むか、やってく内にネジ(ボルト)の頭のサイズでおおよそ判別が付くようになります。

まあとにかく初心者の方は

・両手で思いっきり締める

・体重を乗せて締める

といった締め方をしては”駄目”と覚えておきましょう。締め過ぎは駄目だと頭に入れておけばそこまで神経質になる必要はありません。

思いっきり締めていいのはアクスルシャフトくらいです。

アクスルシャフトというのはホイールを固定している太い鉄の棒です。正確にはこれも締め過ぎは駄目なんですが、100~150N・mとかなり高めで実質的に結構力を入れて締めないといけないので。

まあそんな事より日常でやれるメンテナンスと注意点を挙げていきましょう。

1.チェーンメンテナンス

チェーンメンテナンス

恐らく誰もが一度はやるだろうチェーンのクリーニング&注油というメンテナンス。

「バイク豆知識:チェーンはチューンでチャーン」でも言っていますが、エンジンが生む動力で走る上で最もフリクションロス(動力ロス)の大きい部分なのでチェーンの状態次第で馬力が10%前後も違ったりします。

【手順】

1:クリーナーを掛ける(できれば走行後)

2:チェーンブラシ(真鍮ブラシは絶対ダメ)で軽く磨き拭き取る

3:チェーンルブを掛けて拭き取る(できればその後は放置)

という簡単かつ効果が絶大なメンテナンス。

【注意点1】危ない事を理解する

スタンドで上げてやる場合は絶対に回しながら磨いたり拭いたりせず、進行方向と反対にタイヤを回すこと。

チェーンメンテナンス方法

何故かというとチェーンとスプロケットに指を挟む恐れがあるから。

これ本当に気を付けてください。手で回す程度の速さでも最悪の場合、指を無くす恐れがあります。

【注意点2】こまめに見ないならクリーナーはNG

今時のチェーンというのはほぼシールチェーンです。シールチェーンというのは削れる部分に予めグリスを注入しシールで密閉しているタイプ。つまりシールチェーンの寿命というのはシールの寿命といえるわけです。

シールチェーン

そしてチェーンクリーナーというのはそのシールが破れないように保護している油膜を少なからず落とします。

系譜でも言っていますが”チェーンメンテ大事” “チェーンメンテは絶対にしろ”と言われているのを見てクリーナーとルブを買ってやったはいいもの、数回やったきりで乗りっぱなし等にした場合アッという間に油膜が切れてチェーンの寿命を延ばすどころか縮めてしまうハメになる。

だからもしズボラで500~1000km毎にキッチリチェーンメンテを出来ないと思うならクリーナーはあまり使わない方がいいです。ルブだけ振って拭き取るようにした方が少なくとも悪影響は少ない。それすら面倒ならドライタイプのチェーンルブを振りましょう。

チェーンメンテで検索すると

・最初に付いているグリスを綺麗に落としてルブを塗り直す人

・灯油をクリーナー代わりに使う人

・エンジンオイルをルブの代わりに使う人

といった事をしている人がいますが、こういった行為をする人は常にチェーンに気を配りメンテナンスを怠らない上級者です。ズボラメンテなのに真似をしないように。

2.洗車

洗車

これも絶対に一度はするでしょう。異常のある部分を見つけるキッカケにもなることからメンテナンスの一つとして捉えられています。

基本中の基本ですね。ちなみにチェーンメンテするなら洗車を済ませてからしましょう。

【手順】

1:水を掛ける

2:洗剤つけて洗う

3:拭き取る

4:場合によって磨く

当たり前ですね。

【注意点1】いきなりゴシゴシ洗わない

最初に水でよく洗わないままゴシゴシ磨くというのは表面に付いている見えない小石を車体に擦り付けてる事と同義で傷が付きます。

わかってると思いますが磨く手順も上の方から。できればカウル等の外装を洗うスポンジと油が付着していたりするホイールやエンジンカバー等の下回りのスポンジは分けましょう。理由は今言った事と同じです。

【注意点2】洗うタイミングに気をつける

絶対にしてはいけないのが走行後の洗車。これはバイクがまだ熱い状態だから。そんな状態で水を掛けるとエンジンを始めとした各部に収縮差が生まれ凄く痛みます。

場合によっては塗装表面が剥離や溶解蒸発を起こしマダラになったり剥がれたりといった事にも繋がります。

これは走行前の洗車にも言えること。濡れたままの状態で走り出すのは止めましょう。

【注意点3】磨いてはいけない部分がある

洗車用品の中にはコンパウンド、またはコンパウンド入りワックスというシャンプーとは別に外装に艶を出す為の用品、人間で言えばトリートメントの様なものがあります。

これはシャンプーで綺麗にした後、綺麗で柔らかい布などで擦るように塗る事でテカテカになるわけです。

シャンプーで汚れを落とす

コンパウンドで下地を作る

ワックスで仕上げる

コンパウンドというのは簡単に言うと塗装の表面を軽く削って慣らす研磨剤。線キズなど簡単なキズならコンパウンドで磨く事で見えなくなります。(周りを削る事で傷を消す)

クルマ用の物で大丈夫なのですが、バイクの場合クルマと違って絶対にコンパウンドを掛けてはいけない部分があります。

まず一つ目はスクリーン。

スクリーン

スクリーンをコンパウンドで磨くと、研磨剤なので小傷だらけとなり曇った様になります。こうなると素人には修復不可なので買い換えるしかありません。

もう一つはマット(艶消し)系。

マットブラック

これも取り返しがつかないので要注意です。

艶消し塗装というのは簡単に言うと表面を敢えてデコボコにさせる事で艶を消しているので、もしもそんな表面にコンパウンドを掛けると表面を均す事になり艶が出てしまう。

問題なのは一度コンパウンドを掛けて均してしまうと、もう二度と艶消しにはならないということです。塗装されている部品は基本的に高いので気を付けましょう。

ちなみにコンパウンドはあくまでも下地処理なのでコンパウンドだけ掛けてワックスやガラスコーティングをしないという行為も絶対に止めましょう。

3.プラグ交換

デンソーイリジウムプラグ

ここまでは自分でやる人も多いかと。正しくいうとスパークプラグといってエンジンの上に付いていてガソリンに着火するライターの様な装置ですね。

だいたい5000km~10000kmで交換が必要になります。いわゆる高級版のイリジウムプラグは10000km持つのが普通ですが、プラグメーカーのデンソーやNGKは5000kmで変えるように言っています。

【手順】

1:プラグホールの上に乗っている部品をどける

2:プラグケーブルを引っこ抜く

3:プラグを外す

4:新しいプラグを付ける

5:元に戻す

プラグホールにアクセス出来るようにする方法は車種によって様々なので。同一車種に乗っている先人たちを参考にされてください。

【注意点1】プラグホールに物を落とさないように

スパークプラグを差し込む穴の下はもうエンジン内部(燃焼室)です。

ホコリ等のゴミならまだしもネジなどを落としてしまうと、最悪の場合エンジンを開けないといけなくなります。

【注意点2】締め過ぎ注意

新しいプラグをはめる時は車載されているプラグレンチを使うのが一般的ですが、絶対に最初は手で増す事。

そして手で回らないほど固くなったらソコからスパナやメガネでプラグレンチを

「1/3から1/2」

ほど回すこと。間違ってもメガネやスパナで何周もギューッと締めるような事をしてはいけません。

※この回す範囲はクロスプレーンのR1など一部のバイクでは当てはまらない場合があります。デンソーやNGKのホームページで該当のプラグ説明を読むようにしましょう。

3.オイル交換

メーカーオイル

これも自分でするメンテナンスの代表格の一つですね。特にコダワリが無いならメーカーが用意しているオイルを使いましょう。

【手順】

1:オイル注ぎ口の蓋(キャップやボルト)を開ける

2:ドレンボルトを外す

3:オイルを抜く

4:オイルエレメントを交換する

5:ドレンボルトを締めてオイルを注ぐ

ドレンボルト

【注意点1】締め過ぎ注意

ドレンボルト(オイル栓)は非常にナメやすい上にエンジンに直接付ける部品です。

ドレンボルトに限った話ではないですが、いきなり工具で締めようとせず最初は手である程度締めた後に工具で締めましょう。締め過ぎは本当に注意です。オイル交換の際はまず少し緩めた後にもう一度締めてみてどれくらいの硬さで締まっているか確認すると失敗しにくい。

ちなみにこれはスピンオン式やエレメント交換形のカバーなどにも言えます。

オイルフィルター

オイルフィルターの場合はドレンボルトよりも更に締め付けトルクは弱く設定されている事が一般的で成人男性なら手で済ませる人もいるくらいです。

【注意点2】ちゃんとオイルゲージを見る

慣れてくるとやりがちな行為。

既定値のオイルを入れてオイルゲージを確認せずに終わる。万が一レベルゲージの正常ラインを越えていたり届いていなかったりした場合はエンジンにダメージが行きますし、故障の可能性が高いのでそのまま走っていると最悪の場合廃車になります。

ちゃんと確認しましょう。

【おまけ】よく分からないまま進めない

「何か違うような気がする」

「手順通りなのに上手くいかない」

そう思ったら一旦手を止めて誰かに聞きましょう。怪しいまま進めてしまっても十中八九は傷口を広げるだけで、最悪の場合取り返しのつかない事態になります。

周りに詳しい人が居なかったらSNSを始めとしたネットで聞く事。それでも分からなかったら、勇気を出してバイク屋に聞くこと。

多少説教されたり嫌な顔をされたりするかもしれませんが、一生引きずるような後悔はしなくて済みます。

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コールドスタートでエンジン回転数が上がる理由~ファストアイドルの必要性~

第二十一回
コールドスタートでエンジン回転数が上がる理由
~ファストアイドルの必要性~

コールドスタートでエンジン回転数が上がる理由~ファストアイドル(暖機)の必要性~

アイドリングの必要性

最近のバイクは冷え切った状態からエンジンを掛けるコールドスタートという行為をすると勝手にグワーンとエンジンの回転数を上げてそこを維持しますよね。

あれはファストアイドル(もしくはファーストアイドル)という予め仕組まれている制御なんですが、何のためにやってるのかといえばもちろんエンジンを温めるため。

急速暖機というやつですが、しかし少し疑問に思わないでしょうか。

「温めるだけならそんな回転数を上げなくてもいいのでは」

ということに。

どうして回転数を上げるのかというとエンジンを温めるだけが目的じゃないからです・・・という話を怒られそうなくらい割愛して長々と。

暖気によるクリアランス

確かに暖機には燃焼ペースを上げてエンジン(水温やエンジン)を最適な温度にまで温めて(熱膨張させて)ピストンやカムなど各部のクリアランスを適正に保つ狙いもあります。

温まっていないままだとヘッド周りが異常摩耗したりガソリンが吹き抜けてオイルを希釈しちゃいます。

ただしメーカー的に言うともっと大事な狙いが別にあります。

『排気ガス規制への対応』

です。

燃焼時に出てくるHC、CO、NOxは人間にとって非常に有害なのでそのまま大気放出してはいけませんという規制があるのはご存知と思いますが、これを解決するため排気系に詰め込まれるようになったのがこれ。

三元触媒

『三元触媒』

簡単に言うとレアアースで出来たフィルターみたいなもので、これが有害物質を化学反応で綺麗にしてくれる・・・んですが、残念ながらこの三元触媒は付けただけで解決するほど便利な代物じゃない。

「温まっていないと働かない」

という欠点があるんです。300℃前後まで温めないと効果を発揮しない。

この欠点が無視できなくなったのが2006年の排ガス規制。

排ガステスト

『測定は暖機後ではなく冷機状態から』

に変更されたんです。つまり触媒が効かない状態からの測定になってしまった。

そこでメーカーはリタードとよばれる点火時期を遅らせる制御をコールドスタート時に行うようにしました。この制御をするとまだまだエネルギーがある燃焼ガスを排気に捨ててしまう取りこぼしの様な形になります。

これは本来オーバーヒート時などに行われる制御なんですが、これをコールドスタート時にもやる事でエネルギーが余ったガス(高温の排ガス)をエキゾースト内の触媒に浴びせることで温めてるんです。

触媒の位置

つまり語弊を恐れずに言うとエンジンを温めてると思いがちなファストアイドルは、実はエンジンを温める為の熱を触媒に割り振ってる形なんです。

ちなみにファストアイドル中の回転数が安定しないのもこれが理由。

リタードすることでエネルギーを捨てるということは本来ならば回転に使うはずのエネルギーを捨てるわけで、受け止めるエンジンからすると肩透かしを食らうようなもの。だから回転数が一瞬落ち込んだりして最悪止まってしまう。

そのためバイクにはライダーのアクセルワークで開閉するメインスロットルとは別にバイク自身が判断して開閉するアイドル用のバイパスみたいなものが設けられており吸気量を増やしています。

ISC

分かりやすくいうとバイク自身が開閉できるアイドリング用アクセルが設けられているということ。

ちなみに昨今の完全ワイヤレスな電子スロットルモデルはメインスロットルもECU制御なのでそちらで兼ねるようになっており付いていません。勝手にアクセルひねった状態に制御するなんて時代の進化は凄いですね。

まあ触媒云々なんて興味が無い人も多いでしょうからこの辺にして、もう一つ紹介しておきたいのが愛車を大事にしたいオーナーなら気をつけてほしいこと。

アイドリングの注意点

コールドスタート時にエンジンの回転数を上げるのはエンジンを保護する狙いがあるわけですが、それは一番最初に説明したシリンダーやピストンやカムなどのクリアランス(熱膨張)を適正に保つためだけではなく、クランクシャフトとよばれる非常に重要な棒状の部品のためでもあります。

メインシャフト

これが燃焼による上下運動を回転運動に変換しミッションに伝達することでバイクを走らせる。

ちなみにこのクランクシャフトは昔こそ組立式といってバラバラなものを繋ぎ合わせて一本にしていましたが、強度や重量バランスなど求められる精度が段違いなエンジンの要とも言える部分なため今は鍛造による一体型のものが主流になっています。

鋳造クランク

それで圧力を受けつつ回転するので当然ながらそのままだとエンジンをゴリゴリやってしまうので、支える部分(赤い矢印)が設けられています。

しかし見て分かるように一体型なのでベアリングを打ち込んだりする事は出来ない。そこで登場するのがプレーンベアリング(通称メタル)と呼ばれる合金のカバー。

メタル

これで軸受を囲う事で摩耗しないようにしている・・・・一体どうやってという話ですよね。ここからがアイドリングと関係してきます。

なんとこのメタルを付けることでクランクシャフトが浮くんです。浮かせることで摩耗することを防いでいるんです。物凄く簡単に表すとこんな感じ。

クランクシャフトとメタル

「ちょっと待ってなんでクランクシャフトが浮いてるの」

というツッコミを期待しているんですが、このメタルとクランクシャフトの間にはオイルが流れています。だからクランクシャフトが浮くという話なんですが、恐らく多くの人はこういうイメージをされていると思います。

クランクシャフトとメタルの誤解

いわゆるオイルによるコーティングで摩耗を防ぐイメージ。

でも実際はこうじゃない。こういう形でクランクシャフトを浮かせてる。

クランクシャフトとメタルの正解

わかりにくくて申し訳ないんですが要するにオイルのヌメヌメで摩耗を防いでるわけじゃない。オイルの流れ(油圧)で浮かせているんです。流体潤滑といって水上スキーで引っ張られ続ける限り水の上に立てるのと同じ原理。

じゃあエンジンが止まってる時のクランクはどうなってるのかというと、当たり前ですが落ちてます。

クランクシャフトとメタルの停止時

この状態からスタートする。

これだとゴリゴリやってしまうんじゃないかと思いますが、この時は前回の動作時に流れていたオイルが表面に付いているまさに皆が考える潤滑である境界潤滑があるから少しの間は大丈夫。

だからその境界潤滑で持ちこたえてる間にオイルを勢いよく流して浮かせる流体潤滑に切り替えるというわけ。

じゃあオイルの流れを何処で起こしているのかといえばもちろんオイルポンプ。

オイルポンプ

オイルポンプがどうやって動いているかといえばエンジンから動力を拝借して・・・そしてエンジンが回るほどオイルポンプも回る・・・そう、ファストアイドルでエンジンの回転数を上げるのは前回のオイルでなんとか踏みとどまっているクランクシャフトに急いでオイルを流して浮かせる為にやってる面が強いんです。

コールドスタートからだとクリアランスはガバガバな上にオイルもカチカチだからいつものアイドリングより頑張ってもらわないとしっかり押し流す事が出来ない。だから回転数を上げる。

「オイル交換しないとエンジンが壊れるぞ」

って言われる要因の一つはここで、このメタルとクランクシャフトの関係は単純に当たらないよう潤滑すればいいわけでもない非常にシビアな部分なんです。

クランクシャフトとオイルの関係

なぜなら最初に回転運動するエンジン性能に直結する部分であり、潤滑というのは言い換えると損失でもあるから。

だから開発者の人たちは焼き付き(油膜切れによる損傷)を起こさないギリギリを狙って1/1000mm単位でメタルとクランクシャフトのクリアランスを設計してる。そんな繊細な場所に送るオイルがダメダメだとそりゃ焼き付くよねって話であり、オイル交換はちゃんとしましょうという話。

たまにコールドスタートなのにギアを入れファストアイドルを切った状態での暖機する人が居ますが止めておいた方がいいのはここまで読むと分かるかと。油圧が稼げないからですね。

未来ある若者ライダーへのページなので最後に一言だけ余計な事を言わせてもらうと

「暖機って走りながらでも良いんだよ」

という事を知ってほしいです。

正しい暖機

暖機は長々と停車したままする必要はありません。

ファストアイドルで優先して温めているのは触媒だし油圧も10秒ほども経てばほぼ行き渡るからです。

大事なのはいきなり高回転や低回転など極端なアクセルワークをしないこと。自分の右手で普段のアイドリングより少し高めに維持しながら走るだけで十分な暖機になる。

停車状態で暖機したいならどんなに長くともファストアイドルが収まるまで。長々とやると近所迷惑なだけではなく排熱が追いつかず熱疲労を起こしてそれが故障に繋がったりもします。

そもそも暖機ってタイヤとかブレーキとか駆動系にも必要でそれには走るしか無いわけですからね。

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馬力とトルクの関係性について

フレームの種類

第二回目はわからない人にとっては一生分からないままとなりかねない馬力とトルクについて。

高馬力、トルクがある、下がスッカスッカ。なんとなくイメージでは分かってるものの、今ひとつハッキリせず調べてみると

「1mを1kgでウンタラカンタラ」「馬1頭がウンタラカンタラ」「自転車ウンタラカンタラ」

というちょっとよく分からない例えを目にし諦めてる人が多いのでは。

まず大前提として覚えておいてほしいのは

「トルク(回転する力)×回転数=馬力(仕事量)」

という事でトルクと馬力というのは切っても切り離せない関係という事。

しかしながらエンジンで考えると難しいので別の物・・・そうですね、公園にある回るジャングルジムで例えましょう。

回転式ジャングルジム

ヨイショと”押し回して”遊ぶ遊具で中々のデンジャラスさから撤去が相次いでいる「正式名称:回転式ジャングルジム」です。

ある日、ジャングルジムを押し回す力が強いホンダ君と、ホンダ君の半分の力でしか押し回す事が出来ないスズキ君の二人が

「どちらが多くジャングルジムを回せるか勝負だ」

として勝負することになりました。

「ホンダ君が勝つに決まってるじゃん・・・」

とジャッジとSTOPコールを頼まれたヤマハ君は思いましたが、ヤマハ君が二人の回す回数を数えてみると、ホンダ君とスズキ君のジャングルジムを回す速さは全く一緒で勝負がつかなかった。

普通はホンダ君が勝つと思いますよね。でもこれにはヨイショと押し回すだけではなく押し回す”回数”が関係しているんです。

【押し回す力が強いホンダ君】

押し回す回数は10秒に1回だった。

【押し回す力が弱いスズキ君】

押し回す回数は5秒に1回だった

押し回す力が大きいホンダ君は押し回す間隔が10秒で、押し回す力が小さいスズキ君は押し回す間隔が5秒。

つまりスズキ君はホンダ君の倍の速さで押し回することで自身の倍の回す力を持つホンダ君と引き分けに持ち込めたんです。でもこれは反対に言うとホンダ君はスズキ君の半分の回数で引き分けに持ち込めたとも言えます。

そしてこの一件を馬力とトルクに例え直すと

押し回す力=トルク

押し回す回数=回転数(rpm)

x周回すのに掛かった時間=馬力

となるわけです。つまり上の二人をエンジンで例えると、トルク(押し回す力)こそ違えど発生させている馬力は二人とも同じという事になります。

ここでもう余り見なくなった性能曲線を今度はカワサキ君と回転ジャングルジムで例えてみましょう。

フレームの種類

カワサキ君がジャングルジムを一番力強く押し回せるのは押し回すペース(エンジン回転数)が1分あたり7500回(7500rpm)の時。この時の押し回す力が一番強い(最大トルク)

しかし押し回す力(トルク)こそ少し落ちるものの、まだまだ押し回すペース(エンジンの回転数)を上げられるので、時間辺りでジャングルジムを一番速く(多く)回せるのは1分あたり9500回(9500rpm)の時。これが最大馬力。

それ以上になると押し回すペース(エンジン回数)が速すぎて手が追いつかず、回す力(トルク)を上手く伝える事が出来なり、時間あたりのジャングルジムの周回数(最大馬力)も落ちてしまうというわけ。

で、単気筒エンジンよりも四気筒などの多気筒エンジンの方が馬力が上がりやすいのは何となくわかると思います。この理由を(誤解を恐れずに)言うと、ヨイショと回す手の数は気筒の数ということ。

もしも4つ手あれば時間辺りの押し回すペース(エンジンの回転数)を増やせますよね。押し回す力(トルク)じゃないですよ、押し回す回数(エンジン回転数)です。

つまり最初に言ったホンダ君とスズキ君の勝負で例えるなら、ホンダ君が片手(単気筒)でやっていたのに対し、スズキ君は両手(二気筒)でやっていた様なもの。

だから両手を使っているスズキ君の方がジャングルジムを回す効率は悪く、すぐにお腹(燃料)が減ってしまうというわけです。

・・・分かりにくかったかな。

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アマリングの誤った消し方と安全な消し方

アマリング

タイヤの端の使っていない部分がクッキリ輪っかとなって浮き出るアマリングという言葉を聞いたことがある人は多いと思います。

これは初心者というより初心者を脱したくらいの人や、大型のスポーツバイクに乗り換えた人などが気にする傾向にあるかと。

ワインディングロード

そしてアマリングにコンプレックスを抱き、消そうと峠を攻める・・・それ非常に危険な走りをしている可能性が高いです。

モラルの話でも説教でもありません。

これは該当する人はもちろん、そうでない多くの人にも言えるのですが

「フルバンクさせればアマリングは消える」

という”誤った認識”をしている人が非常に多いです。

そういう誤った認識をしているからアマリングを消そうとして

“スピードを上げて深く寝かせようとする走り”

“ジワジワと抑えつけるように寝かせ続ける走り”

をする。

無理バンク

こういう走り方は何の前触れも粘りもなく急に”スコーン”とまるで足払いをされたかの様なスリップダウンをします。

「本当に危険な誤った方法なので絶対に止めましょう」

このページで最も言いたいことはコレです。そしてそんな走りではアマリングを完全に消すことは出来ません。

何故ならタイヤの端というのは寝かせて使う部分ではなく

「潰して使う部分」

だからです。

正しいエッジの使い方

端を正しく使った場合タイヤはこんな感じで変形します。

比べると一目瞭然。

アマリングの正誤

イタズラに寝かせる曲がり方でアマリングを消そうとする行為がいかに危ないか分かるかと。

ですから

「アマリングは恥ずかしい」

という風潮がありますが実はそうではなく

「撫でる程度しか端を使っていないタイヤ」

「エッジをほとんど使っていないタイヤ」

の方が”正しく荷重を掛けていない証拠”だったりするので恥ずかしかったりします。

ダンロップタイヤ

アマリングは正しく曲がれている証拠です。

だから気にすることではありません・・・と言ったところでアマリングを気にしている人は何とか消そうとするし、そんな説教が聞きたいわけでもないのが正直な所かと。

もう答えは出てる様なものですが、正しいアマリングの消し方と言いますか、正しい端の使い方は

「キッチリ荷重を掛ける」

です・・・いやソレどうするんだって話ですよね。

ハングオフ

怒られそうで言いたくないんですが一番分かりやすいのがハングオフです。

こういうインに身体を入れて走っているのを見たことがあるかと思いますが、これの狙いの一つは荷重をタイヤの接地面にかけて潰すため。

厳密に言うと

「タイヤを潰してグリップを稼ぐため」

で、こういうちゃんと荷重を掛ける走行をすれば(環境にもよりますが)法定速度内でも端まで使えます。

「スポーツ走行では空気圧落とす」

って聞いたことがあると思いますが、それもタイヤを潰しやすくするため。

リーンイン

いきなりハングオフは無理でもリーンイン程度なら可能でしょう。足は開かずにお尻だけ落とす所から始めてみるのもいいかもしれません。

ちなみに動作は寝かし始める前に完了させておくものです。恐らく馴れない内は上半身に力が入って逆に曲がれなくなったり、反対に曲がりすぎたりするので本当に注意して下さい。

SV650

もう一つ大事なのは低回転&ハイギアードでアクセルをちゃんと開けて素早く立ち上がること。いつまでもダラダラと寝かしたり速度変化のない曲がり方は駄目。

少し後ろ乗りで、上半身はリラックスして、メリハリのある加減速で、リアタイヤに全意識を集中。※ライテク本の受け売り

ブリヂストン

「荷重とトラクションを掛けることで端を潰す」

です・・・が、これも最初に紹介した無理やり寝かせる走り方ほどでは無いにしろ危ないので正直あまりオススメしません。

というか恐らくこの方法を言われただけでアマリングを消せるのは極稀に居る才能を持った人くらいかと。

それよりオススメなのが八の字です。

八の字

実質的に反復練習で速度もせいぜい30km/h程度なので重大な事故や故障に繋がりにくい。

難点としては

・真面目にやるほど転倒する

・タイヤのサイドがモリモリ減る

・場所を見つけるのが大変

といった所でしょうか。

八の字には曲がるための動作が全て入っているので、アマリングを消すついでに小旋回やUターンなどの運転技術も向上する非常にオススメな方法です。

CBR1000RR

どれだけ頑張って寝かせてもアマリングが消えないのは速度やバンク角が不足しているからではありません。

「荷重が不足しているから」

です。

「寝ろ〜寝ろ〜」

ではなく

「潰れろ〜潰れろ〜」

です。

闇雲にスピードや回転数を上げて寝かせようとする必要はないです。というか何度でも言いますが

「本当に危険な誤った方法なので絶対に止めましょう」

これが主題です。

いずれにせよ安全運転と、タイヤの温度や空気圧管理、ウェアの装備などはしっかりして絶対に無理はしないこと。

バイク乗りは事故をおこすと全国放送で晒されるという事を肝に銘じておきましょう。

そして一日二日で出来るようになるものでもないという事も。

【最後に一番オススメの方法】

だれでも安全かつ容易にアマリングを一日で消す裏技的な方法があります。サーキットに行くことです。

鈴鹿サーキット

スピードレンジも走行ラインもRも公道とは全く違うので、何も考えずに空気圧を落として走るだけでラップタイム関係なく消せます。

ついでにタイヤが荒れて良いハッタリになります。こんなのを見たことある人も多いでしょう。

荒れたタイヤ

これは公道とは違って路面がギザギザで荒くなっているから。タイヤの食いつき方が全く違うから荒れるんです。

そしてサーキットが一番オススメな理由はもう一つあります。

サーキットを走ってみれば

走行会

“公道走行でのアマリングの有無に拘る事が如何に幼稚で低次元か”

を知る事となるからです。

最初はメーカー、正規取扱店、大型ショップ等が開く走行会や、サーキット場が行うスクールなどがライセンス等も要らず比較的安価なのでオススメです。

【書き忘れ】

ちなみにこれはラジアルタイヤの話で、250等に多く採用されているバイアスタイヤだと話が変わってきます。

というのもバイアスタイヤは簡単に言うとタイヤ全体で剛性を出す構造なのでラジアルタイヤの様には潰れません。

だからバイアスタイヤで端まで使うのはラジアルよりも難しく、メーカーも想定しない場合が多いため基本的に不可能だと思って下さい。

※端まで到達する前にバンクセンサーが当たる場合が大半

【関連】

加速でリアは沈まない〜アンチスクワット〜|バイク豆知識

どんなバイクもタイヤ次第|バイク豆知識

右コーナーが苦手な理由|バイク豆知識

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排気量コンプレックス

※普通自動二輪を取得しアンダー400に乗っている方に向けたページです。

最近はだいぶ廃れてきたと思うのですがアンダー400に乗っている人なら排気量カーストを経験した事がある人も多いのではないでしょうか。

分かりやすいのが大型バイクを勧めてくる俗に言う

『大型はいいぞおじさん』

ですね。

どうして大型はいいぞおじさんが叩かれるのかといえば

排気量と偉さ

『排気量が大きい方が偉い』

という排気量カーストの様な考えが見え隠れするから。そんなさもしい考えの人に遭遇したら運が悪かった程度に思いましょう。

ただ大型はいいぞおじさんをちょっと擁護させてもらうと大型バイクを勧めてくるのは

「必ずしもカーストを意識して言ってるわけではない」

という事。

少し手厳しい事を言わせてもらうと

「排気量でマウントを取られた」

と捉えられてしまうのは言われた方も『排気量カースト』を潜在的ながら意識している場合もあるかと・・・もちろん言い方の問題もありますけどね。

ヤマハの大型バイク

今どき排気量カーストなどという時代錯誤なものを意識している大型乗りなんてそうそういません。

しかし誤解してほしくないのはだからといって

「排気量は関係ない=大型に乗らないでいい」

という話にはならないという事。決してそんな事はありません。

最近そういう類の問い合わせというか悩み相談を頂くようになったので今こうやって書いているわけですが、基本的に

『大型デビューする事を強く推奨』

しています・・・その理由は

ホンダの大型バイク

「絶対に後悔しないから」

です。

乗りたいと思える大型がある人はもちろん、大型に興味が無い人も大型自動二輪免許の取得し大型バイクに乗っても絶対に後悔しないと言い切れます。

恐らく『大型はいいぞおじさん』もそれが言いたいのだと思うので藪蛇を恐れず代弁する形で持論を書いていきたいと思います。

どうして大型デビューした方がいいのかというと排気量の幅が大きい大型バイクに乗ると

『排気量差がもたらす違い』

を知ることが出来るからです。

排気量の輪

その違いというのは『偉さ』ではなく『趣き』です。

バイクという乗り物は排気量が違えば違うほど姿形が似ていようとも全く別の趣きを持ったものになります。

カワサキの大型バイク

これ言うは易しなんですが、この言葉の意味を本当に理解するには実際に大型バイクに乗ってみないと人から幾ら言われても理解は出来ない。逆に言うと実際に乗ってみれば否が応でも理解出来ます。

大型に乗ったら間違いなく大型ならではの素晴らしさを実感し

『小は大を兼ねない』

という認識が生まれる。

しかし大事なのはそれだけではなく、その少し後になってから生まれるであろうもう一つの方。

『大は小を兼ねない』

という認識。

この大小の趣きの違い知ったら間違いなくその後のバイク選びが大きく変わります。

もっと排気量が大きいバイクを選ぶかも知れないし、少し排気量が小さいミドルを選ぶかも知れない。

スズキの大型二輪

再びアンダー400を選ぶ可能性だって十二分にある。これは付き合い方次第で十人十色だから本人にしか分からない。

でも仮にせっかく大型自動二輪免許を取ったのにアンダー400を再び選んだとしてもそれは決して無駄な出費でも回り道でもない。

「絶対に後悔しない」

と言い切れる理由はここにあります。

もしも大型自動二輪免許を取り大型バイクを経験した上でなおアンダー400のバイクを選んだとしてもその時は

「これで十分、これで満足」

なんて妥協の様な考えは絶対に生まれて来ないから。

アンダー400

「この『趣き』が好き」

と心の底から思えるようになってる。

大ならではの素晴らしさを知らなかった頃には気付けなかった

『小ならではの素晴らしさ』

を知った事でアンダー400を今よりもっと好きになれるから大型自動二輪免許を取って大型デビューしても絶対に後悔しないと言い切れるわけです。

大型を勧めるのは排気量至上主義という価値観を押し付けたいわけではなく

『排気量がもたらす趣きの違い』

を知って欲しいから勧めるんです。

ちなみに偉そうに言っていますがこれは小も大も知る大型乗りからすると眠くなるくらい当たり前な話。

大型バイクオーナー

愛車をコロコロ変える浮気癖がある大型乗り、大して乗らないのに多頭飼いする大型乗り・・・そして排気量の話題になる度に

「好きなバイクに乗れよ」

と呆れ気味に言う大型乗りが多いのもこの見識を持っているから。

『排気量は比べるものではなく趣きを測るもの』

という見識を持っているからなんです。

そんな排気量マウントにもカーストにもコンプレックスにも囚われない、排気量関係なく目に映るバイクがどれもこれも魅力的に見えて贅沢な悩みを抱えてしまう

排気量への見識

『バイクを最も楽しめる見識』

を育んでほしいから大型自動二輪免許を取って大型バイクに乗ってみることを強くお勧めする・・・という話でした。

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手組み交換

バイクで一番大きなウェイトを占める消耗品であるタイヤの出費を抑えたいと考え、通販でタイヤだけ買って自分で変える手組みを検討する人も多いかと思います。

実際それに関する問い合わせが非常に多いのでここらへんでAmazonのリンクでも貼って

「アレコレとこれを買ってレッツトライ」

と煽るように工具を宣伝しウハウハ・・・になりたい所なんですが、その前に少し聞いてほしい助言があるので止めておきます。

タイヤ交換

「節約目的なら手組みはオススメしない」

という事です。このページで一番言いたい事はこれ。

「自分で交換すれば安く上がる」

というのは専用工具を持っている事が前提の話で、一からこれらを揃えるとなると安く見積もっても工具だけで5万円ほどする。

タイヤ交換に必要な工具

「個人がそんな大枚はたいて元を取れるのか」

という話。

加えて素人がやると間違いなくホイールやスイングアームなどに傷をつけます。せっかくの新品タイヤをダメにする可能性すらある。

これらを考慮すると高いと思えるバイク屋のタイヤ交換も実はそんなにコストパフォーマンスは悪くないんです。

それでも何とかコストの方を抑えたいと思うなら

『持ち込みを受け入れてくれる所を探す』

『ツーリングがてら大型店に行って変える』

というのがベストとは言いませんがベターかと思います。

ハンドツール

一方でここまで説得されてもなお

「それでも自分でやるからさっさと教えろ」

と思うモノ好きな人も居るかと。

こういう人は言われなくても勝手にやると思うのですが、そういう後先考えない人の失敗を最小限に抑える手助けする気持ちで経験者として手組みする際に気をつけた方がいい事を書いていこうかと思います。

※一般的なチューブレスラジアルタイヤ前提で話を進めます。チューブタイヤや250に広く採用されているバイアスタイヤの手組みは初心者には難しいのでオススメしません。

【必要なもの】

・フロント&リアスタンド(J-TRIP)

・タイヤレバー3本(KTC製を最低1本)

・ビードクリーム(なんでもいい)

・ビードブレーカー(お金が無いなら自作)

・トルクレンチ(お金が無いなら安物)

・アクスルや各部用のレンチ(車載工具にもある)

・ムシ回し(あったほうがいい)

・リムプロテクター(無くてもいい)

・作業台(木の板でいい)

・コンプレッサー(無いならGSで)

タイヤ交換で必要となるであろうツールはこれくらい。センタースタンドがあるバイクはメンテナンススタンドを省けたりします。

メンテナンススタンドの注意点として安物スタンドは使い物にならないので絶対ダメで、J-TRIPなど有名メーカーの愛車に合ったウケを選ぶこと。

スイングアームボルト

スイングアームにボルト穴が付いているタイプのバイクに乗っている方はV字が一番安定するのでスタンドフックとV字受けタイプのスタンドを買いましょう。

ちなみにこのフックボルトは意外にも純正部品が用意されていたりします。

純正フックボルト

それが無いタイプの人はL字受けのスタンドにしてスイングアーム下を支えるタイプ。片持ちは専用品を。

あと車重があるバイクはロングアームタイプにしないと重すぎて持ち上げられない恐れがあります。

【1:アクスルシャフトを緩めておく】

慣れていても意外と忘れがちなのがこれ。

スタンドアップしてから緩める事も出来るんですが不安定なので接地した状態で少しだけ緩めておくこと。

フロントホイールのシャフト

フロントはフロントフォークにホルダーナット(ボルト)がついてるタイプは緩めてからにしましょう。

キズはもちろんナメないように注意してください。

【2:スタンドアップする】

水平な場所でサイドスタンドのままゴムやバンドでフロントブレーキをかけた状態にしてハンドルは左に切り、車体を垂直に立ててスタンドを掛けて上げる(レバーを押し下げる)だけ。

リアのスタンドアップ

この時スタンドアップされた愛車を見て惚れ直す事が出来ます。

※注意点

スタンドの掛け幅が合ってない場合はもちろん、反対側に倒す事を恐れて垂直にせず

『傾いたままスタンドアップ』

をしてしまうと車体を弾き飛ばすように倒してしまうので注意。

とはいえビビるなというのも無理な話なので慣れないうちは予めサイドスタンドの下に何か物を置いて垂直に近くしてから起こすようにすると反対側に倒してしまう恐怖が少し解消されます。

サイドスタンド

フロントはリアを上げたあとにハンドルを水平にしアンダーブラケットのホールに差し込んで上げるだけなので特に問題なし。

上げたらブレーキロックとサイドスタンドは解いておきましょう。

【3:ホイールを外す】

『フロントホイールの場合』

ブレーキキャリパーを外す

フォークのホルダーナット(フロント)を外す

フェンダーを外す(干渉する場合)

ABSセンサーを外す(干渉する場合)

アクスルシャフトを緩めて引き抜く

ホイールが外れる

『リアホイールの場合』

ブレーキキャリパーやサポートを外す

チェーンアジャスターを緩めてダルダルにする

フェンダーを外す(干渉する場合)

ABSセンサーを外す(干渉する場合)

アクスルシャフトを緩めて引き抜く

チェーンをスプロケから外す

ホイールが外れる

※注意点

・外すパーツや手順は車種によって違うので参考までに

・外したキャリパーは宙ぶらりんにするとブレーキホースに負担がいくのでホイールを外したら元の場所に仮止めしておきましょう

・ホイールの穴には簡単に外れるカバーとカラーがあるので左右を覚えて無くさない様に

・リアホイールを外すとチェーンやサポートが落ちてくる場合があるので注意

【4:タイヤのビードを落とす】

外れたホイールはまず作業台に載せます。

作業台といっても飛び出しているディスクローターやスプロケを収めて水平にする為のもので木枠みたいなものを作るだけ。

作業台

シングルディスクなど片方を水平に出来るなら地面と擦れて傷つかない様に厚めのマットを敷くだけでもいいです。

そうしたらタイヤの空気を完全に抜きビードを上下左右どちらも完全に落とします。

ビードを落とす

ビードブレーカーもスタンドと同じく安物はすぐ壊れるのでベストはJ-TRIPですが高いので自作している人が多いですね。

例えば長い木材に太めのL字取付金具をつけてホイールとタイヤのキワを押せばテコの原理で外れます。

ビード落とし

他にもジャッキで挟んで落としたりなどなど。コツはリムのギリギリを押しつぶす事。

※注意点

ビードを落とす方法の一つとして

『タイヤレバーだけでビードを落とす』

というのがあります。

レバーでタイヤを押し下げてビードを見える状態にしつつもう一本をひっくり返してその傍からホイールに当たるまで突き刺してビードの先をレバーで押し下げて落とすというもの。

レバーで落とす方法

これをやるとリムの内側にガリ傷を作ってしまうので正直オススメしません。最終手段と思ったほうがいいです。

【5:タイヤの片側を外す】

ビードを落としたらタイヤレバーをホイールとタイヤの間に突っ込んでビードをテコの原理を使ってすくい上げる様に持ち上げます。

レバーですくい上げる

最初に持ち上げる部分は間違ってバルブを抉ってしまうことを防ぐ為にもバルブ部分でおすすめ。

そうして持ち上げたらその部分は戻らない様にそのまま押さえつけて固定で、ソコから少し横に進んでまたビードを持ち上げるようにすくい上げる。

すくい上げる順番

例えば2番を新しいレバーで同じ様にやって1番と同じ様にそのままをキープ。

そして次は3番をまた新しいレバーで同じ様にやってストッパーの役目を終えた手前の2番のレバーを抜いて4番にいく。これの繰り返し。

ちなみに

「なんとしても傷を防ぎたい」

という人は先にリムプロテクターを嵌めておきましょう。ただしリムプロテクターを付けるとリムの厚みが増す形になるので難易度は上がります。

※注意点

もしもこの時に(特に序盤で)

「ビードとホイールの隙間が無くてレバーが入らない」

とか

「ビードを持ち上げられない」

となった場合は反対側のビードが上がっている可能性が高いので落ちているか確認。

ビードが落ちているか確認

この状態では絶対に外すことは出来ません。

外している反対側の部分を膝や足で抑えて(潰して)いる光景を見たことがあると思いますが、それはこうやってビードを落としたままにするためなので真似しましょう。

そしてこの時に絶対にやってはいけないのが

『レバーが入る所まで飛ばす事』

です。

順番は守る

次の場所にレバーが入らないからといってレバーが入る遠くまで順番を飛ばして無理やり外そうとするとホイールに大ダメージが入るので絶対にしないこと。

「どうやっても次が入らないor外せない」

という場合は

『タイヤ全体を持ち上げたり潰したりする』

『レバーを遠くから入れて手前まで持っていく』

『一つ前のレバーを少し戻して隙間を作る』

などの工夫で対処しましょう。

ちなみに

MCOL-260

「最低一本はKTCのレバーを」

と最初に書いたのもこれが理由で、KTCは高いだけあって先端が他よりも細く本当に良く出来ているから。

同じ様に見えてノーブランド品とはビードの上げやすさが天と地ほど違います。

KTCタイヤレバー

「ここぞの時に頼りになるのがKTCのタイヤレバー」

だからちょっと高いけど最低でも一本はKTCを用意しましょう。

【6:タイヤを完全に外す】

片方のビードを全部外し終わるとこういう状態になります。

片側が外れた状態

これで外す作業の半分が終了。

とはいえ残り半分の下側も手順は同じでホイールとビードの間にレバーを差し込んで持ち上げるを繰り返すだけ。

下側もレバーですくい上げる

何度も言いますがレバーを入れる隙間が無い時や持ち上げられない時は反対側のビードが上がっていないか確認し、決して欲張らず力任せに外そうとしない事。

こうして下側もコツコツやって2/3ほどまで来るとスポっと外れると思うのですが、それでも外れてくれない時は引き剥がすようにタイヤを引っ張ってみたりゴムハンマーでタイヤを縦にしてバシバシ叩けば外れてくれる・・・

ゴムハンマー

・・・かもしれない。

基本はレバーでちゃんと外す事を忘れずに。

【7:タイヤをはめる…前に補足】

タイヤをはめる時は外した手順と逆の事をするだけですが回転方向や軽点(黄色印)の確認をお忘れなく。

タイヤ合わせ

特に方向を間違えると二度手間になるのでパターンで何となく判断するのではなく、ホイールにも記載されている回転方向と合っているかちゃんと確認しましょう。

それでタイヤ銘柄なんですがサイズがあるなら初めての挑戦はミシュランのパイロットパワー系をオススメします。

パイロットパワー

理由として

・軽点が無いのでバルブ合わせが必要がない

・サイズが豊富で車種や用途を選ばない

・比較的安価な部類

などがあるんですが何よりも

「飛び抜けて柔いから」

です。

上に座ると潰れてしまうくらいフニャフニャなので手組みの難易度をかなり下げる事が出来ます。

タイヤはメーカーや銘柄や世代によって硬さがバラバラで使い終わったタイヤですらビクともしないくらいガッチリしているものもあります。

初心者がそんなガチガチ系を手組みで入れようと試みても

「これ絶対に入らないでしょ・・・」

と思うこと間違いなし。

もちろん入るんですが骨が折れるのもまた事実なので最初はパイロットパワー系が良いよという話。

手組みの味方

決してビバンダム君の回し者ではありません。

【8:タイヤをはめる】

新しいタイヤのビード部分の両方に滑らせてスルッと入れるためのビードクリームを塗っておきます。

ビードクリーム

そうしたら進行方向を確認してからガポっと手足と体重を使って下側のビードを半分くらいをホイールに嵌めてニュルッと外れてくるのを膝などで抑えつけます。

入れ始め

上側は入れない事。

あとはタイヤレバーを外す時とは反対方向に持ってレバーの上を滑らせるようにして入れていく。

レバーでビードを入れる

そうしてまず下側を全て入れたら最後の難関となる上側なんですが、どんどんキツくなるので残り1/3くらいからは更に慎重に刻むように。

ここで無理をするとビードが捲れたり千切れたりしてエア漏れの原因になります。何度も言いますがビードが落ちてるか確認しましょう。

最後はプロテクターを入れるスペースが無いほどの狭い隙間にレバーを差し込むんですが、この時に誤ってリム端までレバーの先が届いていないのにグイっと上げてしまうと見事なガリ傷が出来るので注意。

レバーで入れる最後

そうしてビード入れが完了したらビードシーティング俗に言うビード上げです。

コンプレッサーで空気を勢いよく入れて

『パンッパンッ』

とビードが上がった事を示す破裂音が2回鳴ったら念の為に一度空気を抜いて、もう一度入れ直しタイヤのサイドウォールが波を打ったりしていないか確認したら完成。

※注意点

・ビードとタイヤの間で指を挟まないように注意

・ビードが上がる破裂音は鳴らない場合もあるので入れすぎに注意

・エアーがダダ漏れで入っていかない場合はタイヤに乗って縦に潰しつつ入れる

・それでも入らない場合はラチェットをタイヤに沿うように巻いて締め付けて潰す

・軽点がズレた場合は同じくタイヤに乗ってホイールだけ引っ張る様に回す

・破裂音で驚かれるので借りる場合は一言声をかけたほうが良いかと

【9:タイヤを装着する】

外した時と逆の手順でホイールを嵌めてついでにチェーンのラインと張りを調整するだけですが、ホイールを持ち上げつつシャフトを通すのは大変でヘトヘトな身体に無慈悲な追い打ちを掛けてくるので無理して傷めないように。

あと最後の注意点としてアクスルシャフトは

アクスルシャフト

『必ずナット/ボルト側から規定トルクで締める事』

車体が持ち上がって倒れてしまう恐れがあるので最後の締めはまずフロントから下ろしてやりましょう。

あと意外と見落とされがちなのがその後に締めるホルダーナット(ボルト)で、実はこれも同じくらい大事・・・というかこっちのほうが大事だったりします。

ホルダーボルト

これが付いてるタイプはここをちゃんと締めないと振動やハンドリングに大きく影響します。

だから緩すぎずキツすぎない規定トルクでキッチリ上下左右、二度三度どころか六度七度と確認しながら規定トルクで(矢印が付いている場合はそちらから)締め込んでいきましょう。

入念な確認を

それでホイールバランスなんですが手で回してみて

『いつも同じ箇所が下に来る』

『高速走行で振動やブレを感じる』

などの問題が無い限りは気にしなくても・・・というと怒られそうなので取ったほうが良いのは間違いないとだけ言っておきます。最近のは元々バランスが良いので取ってない人やショップが多いのが現実ですが。

廃タイヤ

あと言い忘れていたのですが交換した廃タイヤはタイヤ屋なりGSなりに持っていけば有料(だいたい300円/本)で引き取ってくれます。

【終わりに】

以上がタイヤ交換の大まかな流れです。

最後にもう一度言いますがよほどのモノ好きか環境に恵まれていない限り自分でタイヤ交換するのはオススメしません。

手組みについて

整備不良の危険性を伴うのはもちろんですが、それより何よりいざ自分で道具を揃えてここや色んな所で予習しても絶対にすんなりはいかない。

一日掛かりで汗だくになるし、腰も痛めるし、筋肉痛になるし、ホイールに見事なガリ傷も作るから終わった時には

「もう二度としたくない」

と絶対に思う。手組みに慣れた人ですらそう思うんですから。

その結果せっかく揃えたスタンドや工具がオブジェと化してしまう。

タイヤ工具

もちろん回数を重ねれば前後合わせて1時間掛からずに終われるくらい上達したりもするけど、せいぜい2~3台が当たり前な個人でそうなれるのはずっと先の話。

だから節約目的なら損する未来しかないから本当にオススメしない。

でも得がないわけじゃない。

手組みをやってみると間違いなく今までよりホイールやタイヤ等の足回りを意識するようになるという得を得る事が出来ます。

例えば今までタイヤの銘柄や状態はおろか空気圧すらほとんど気にしてなかったのに

「走る前に測っておこう」

とかね。

何故なら自分で交換してちょっと不安だから。ホイールバランスだってそう。

そして慣れてきたら今度はスタンドアップやホイールの脱着で今まで見えなかった部分が見えるようになり、タイヤの脱着や手組みで少し自信が付いたことで色んな部分の整備に興味も持つようになる。

これが手組みすることによって手に入れる得。

【関連】

マンホールがあんな位置にある理由

どんなバイクもタイヤ次第

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第二回

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第三回

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プリロード調節

簡単だから要注意なメンテナンス

第四回

簡単だからこそ要注意

日常メンテナンス

認定型式と通称型式

第五回

車名に続く記号について

~認定型式と通称型式~

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チェーンはチューンでチャーン

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バッテリー上がりは結果であり原因ではない

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一生に一度はサーキットを走ろう ~サーキット初心者のススメ~

サーキット場

もしもスポーツバイクに乗っているなら排気量やスキルや年齢に関係なく一度だけでもいいのでサーキットは走ってみた方が良いです。

スポーツに対する考え方が変わり、間違いなくその後のバイク人生に大きく影響を与えるからです・・・と言ってもどうすればいいのか分からない人が大半だと思うのでサーキットを全く知らない初心者に向けて一つずつ説明し解決していきたいと思います。

凄く長いですがお付き合いを。

ハードルその1
「参加方法が分からない」

モテギサーキット

ひとえにサーキット走行といっても色々あります。

『公認レース』
『草レース』
『フリー走行』
『スクール』
『走行会』
『体験走行会』

非常にザックリですが大体この様な感じで、上にあるほど金銭面も含めハードルが上がります。

その中で初心者がサーキットデビューするならここ。

サーキットの敷居のライン

サーキット走行に対して

「速い人達の中に放り出されるから怖い」

とか

「ライセンスと走行枠を買わないといけない」

などと思っているなら誤解です。

それはサーキットにドップリハマっている常連というか中~上級者向けである文字通り『フリー走行』などの話。

いきなりフリー走行も可能ではあるんですがサーキットを走ってみたいと思ったら『走行会』や『スクール』がベターです。

「体験走行会は違うのか」

という話ですがそれも含めて説明していきます。

【体験走行会】

バイク!バイク!バイク!

大規模ミーティングや大手ショップまたはサーキット場などが開催しているイベントで基本的に

・ライセンス不要

・先導車付き

・追い抜き禁止

・普段のウェアでOK

という感じで敷居は無いに等しいです。※走行会と分けるために体験と付けました

ただこれはサーキット走行というよりもサーキット場のお祭りに近いイベントで

「サーキットを走るぞ」

というより

「サーキット場を走るぞ」

というパレード的な意味合いが強いので主題とはちょっと違うかと。

取り敢えずサーキットがどんな場所なのか知りたいという人には数千円と安い場合が大抵なので打って付けかと思います。

【走行会】

走行会

主にショップや団体などがサーキットの走行枠を数時間だけ貸し切って走るいわば貸切フリー走行会。

規模によって上記の様な体験スタイルのクラスを設けている所も多いですが基本的に

・ライセンス不要

・追い抜きOK

・レーシングウェア必須

という感じで、サーキットでスポーツ走行してみるなら(コースを自由に走るなら)これが一番優しく手っ取り早いクラス。

料金はサーキット場やシーズンによってバラバラで1~3万円ほど。

サーキットの貸切

「でも走行会の開催情報を知らない」

という人も多いかと。

そういう時は世話になってるバイク屋や正規販売店、またはSNSなどで聞いたり検索してみてください。知ってる人が必ずいると思います。

もしも既に参加予定の人が読んでくれているなら呼びかけてあげてください。

バイク屋

「世話になっていないショップのイベントに参加って嫌な顔をされるのでは」

と心配するかも知れませんが事前に話しておけば結構歓迎されます。

というのもショップの走行会というのは最初に言ったように時間で貸し切って行う場合が大半なので、参加者(頭数)が増えるほど一人あたりの負担額やショップの負担額が減るから。人が集まらないと開催できないんです。

同じ釜ならぬ同じサーキットを食らう事で自然とバイク仲間が増えるメリットもあります。

もちろんキッチリした主催者だと参加枠(人数)や顧客のみなど参加条件を定めていて断られてしまう場合もありますけどね。

人見知りが凄いから無理だと思う人にはこっちがオススメ。

【サーキットスクール】

ライディングスクール

主にサーキット場が行ってるサーキット版ライディングスクール。

初心者から上級者までクラス別でカリキュラムが組まれており、半日から一日をかけて講師付きでみっちり走行出来るイベント。

・ライセンス不要

・レーシングウェア必須

費用は2万円前後で幅があるんですが基本的に費用対効果が一番ある有意義なイベント。そのため非常に人気が高く予約は早めに取らないと無理です。

「あの人見たことある」

って人がインストラクターをされていたりします。

つまりサーキット走行してみたいと思った場合の選択肢は主に二つ。

『ショップの走行会に参加する』

『スクールを予約して参加する』

というわけです。

※サーキット走行の流れ

サーキット走行の流れ

ここでちょっとサーキット走行の流れや注意事項を本当に簡単に説明。

主催者がスケジューリングや説明を事前にすると思うので心配は要らないんですが、予備知識としてサラッと覚えておいてください。

※ここに書かれているのは目安です。主催者やコースのルールが違う場合はそちらを最優先で守る様にしましょう

【1.準備して出発する】

・入念な整備(必須)

・ガムテープ(できれば布)

・レーシング装備一式

・ゲージ付エアポンプ

・タイラップ(可能なら)

・予備レバー(可能なら)

おそらく多くの人が自走(車に積んでこない)だと思うのですが、シングルシートカウルを持っている人はシートと両方持っていくと非常に便利です。

シートカウルを活用

この様にすればいちいちバッグを外す手間が省けます。

ちなみに大きいバッグを付けてツナギも入れておき、走行会が終わったら来た時のツーリングウェアに着替えてツナギは郵送で自宅に送るという手もあります。

そうすると帰りはツナギ分のスペースが空くのでお土産やら何やらが入るという算段。そのまま泊りがけで何処かに行く場合に有効ですね。

【2.手前でガソリンを入れる】

サーキットにもよりますがガソリン単価が高かったりそもそも無かったりするので手前で入れておきましょう。

【3.着いたらガムテープを貼る】

転倒などで破片が飛び散らない様に

・ミラー

・ライトレンズ

・ウィンカー

・反射板

などの保安部品は外すかガムテープで覆う必要があります。

可能ならば外しておいたほうが万が一の時の修理代も浮くのでおすすめです。

【4.空気圧を落とす】

ベタベタに落とす必要はありません。

既定値から1割ほど落としてまだ跳ねるようなら落とし、グニャグニャだと感じたら少し上げましょう。

ちなみにサスセッティングを弄ってるなら少し固めに。分からないなら取り敢えず標準に。

【5.スマホやカメラはしっかり固定する】

走行時の映像を撮影したいと思う方はしっかり固定しましょう。

最近カメラをコース上に落とす事故が増えており運営の頭を悩ませているとの事です。

吸盤やテープなど簡易固定は公道では大丈夫でもサーキットでは簡単に外れます。

「簡単に外せる=簡単に外れる」

です。

ボルトマウントにワイヤリングなど二重三重の固定をして挑みましょう。落とすと運営/主催者/参加者に多大な迷惑をかける事になります。

また身体マウントも危ないので非推奨です。

※サーキットや運営によっては既に禁止

【6.終わったらガムテープを剥がす】

剥がしたガムテープやゴミがコースに入ると大惨事を招くので絶対にそこら辺に置いたり捨てしないように。

あと剥がす時は塗装も一緒に剥がれる可能性があるので慎重に・・・これが走行会で一番気をつけないといけない事かも知れない。

ちなみにそうならないようにガムテープではなく養成テープを貼る人も居ますが、粘着力が弱くキッチリ貼らないと走行中に剥がれてしまうので初心者向けではないです。

※サーキットによっては禁止されている

※走行時の注意編

カーブス

【出入りは手足信号】

コースに出入りする際はウィンカーは使えないので足や手をウィンカーの代わりに出します。

そしてコースに入った際は最初は(既に走っている人と速度差があるため)コースの端を走って様子を見て、コースを走っている人がいない事を確認して走行ラインに加速しながら入る。

反対にピットに戻る際はピットインのかなり手前からコース端にバイクを寄せて手足を上げて入る旨を後続車に伝えて徐々にスピードを落とす・・・という感じです。

端に寄るポイントや合流するポイントはコースによるんですが、取り敢えず覚えておいて欲しい事は一つ。

合流と離脱のライン

「ピットの一つ手前のコーナーから急にピットに入ったり、ピットから出た瞬間にコースに合流したりしないこと」

ヤッツケな絵で申し訳ないですが、寄るタイミングや合流するタイミングを逃したからかといってこういう事をしてはいけません。高確率で接触事故を招いてしまう非常に危険な行為なのでそれだけは止めましょう。

もしも寄るタイミングや合流するタイミングが合わなかったり掴めなかった場合は継続してコース端を走り様子を見ましょう。

【旗は最優先で守る】

サーキットにはマーシャルポストと呼ばれる監視塔があり何かあると旗でそれを伝えます。

マーシャルポスト

レースなどでも見たことがある思いますが、旗が振られたら必ず守りましょう。

色に関わらず旗が振られたらピットに戻って一息付くのも手です。

サーキットフラッグ

【無理に抜かない】

前を走る車両を抜くという行為は想像よりも遥かに難しいので、レースのようなオーバーテイク行為はよほどの速度差や技量差がない限りは止めましょう。

前に自分より遅いバイクが居たらホームストレート等で余裕を持って抜くか、一度ピットに戻って仕切り直すのも手です。

【道を譲らない】

自分よりも速い人に後ろに付かれると非常に焦ってしまう気持ちや申し訳ない気持ちになるかと思います。

しかしだからといって譲るような行為をしてはいけません。

なぜなら後ろについた速い人は

「次のコーナーでインorアウトから抜こう」

と考えていたりするから。

NSF100

唐突な減速や走行ラインの変更で譲ろうとする行為は予想だにしないブロック行為となり接触に繋がったりするんです。急なピットインやピットアウトがダメなものこれが理由。

焦らず前だけを見ましょう。抜くのもテクニックの一つなので抜けないその人が悪いくらいに考えておいて良いです。

【早めの休憩】

サーキット走行というのは想像の何倍も疲れます。

走ってる間は大丈夫と思っていても降りるとフラフラしたり。

それに気付かず走り続けると要らぬミスを招くので休憩は早めに。もしくは決められた時間が終わったらちゃんと休むように。

ピットストップ

【走行会はレースでもタイムアタックでもない】

トドのつまり走行中はこれを心がけておけばOK。

走行会は『みんなでサーキット走行を楽しむイベント』であってレースやタイムアタックをするイベントではありません。

目を三角にして120%の力で走るのではなく、楽しく笑いながら走れるくらいの余裕を持って走るもの。

速い遅い、膝が擦れる擦れない、そんな事は気にするだけ無駄。自分なりにサーキットを楽しむのが走行会です。

まあとにかく何度も言いますが走行会にしろスクールにしろ難しく考える必要はないです。

おそらくここに書いてあるルールを読んでいざ参加してみたら

「なんか系譜に書いてあるより緩いんだけど」

と拍子抜けする場合が大半だと思います。だから本当に気負う必要はないですよ。

参加の意志が決まったら次に立ちはだかるであろうハードルがこれ。

ハードルその2
「装備が高い」

クシタニのツナギ

『レーシングスーツ』

『レーシンググローブ』

『レーシングブーツ』

『胸部&脊椎パッド』

『ヘルメットリムーバー(※)』

『インナー(※)』

※必須ではない

何回行くかも分からない中でこれだけの物を用意する必要があるというのは気が引けても無理もない話。

これを解決する方法は二つあります。

ツナギレンタル

【レンタルサービスを利用する】

クシタニやダイネーゼなどのアパレルメーカー、または大手ショップなどがツナギのレンタルを行っています。

大体2万円ほどで借りる事が出来るので何よりも安く済ませたいならこれ。

【安全装備と思って買う】

皆さん多分ヘルメットは良いやつを持っていると思います。

では胸部プロテクターや脊椎パッドまたはそれが入ったウェア持ってますか・・・持っていない人が大半だと思います。

プロテクター

サーキットの装備いわゆるレーシング装備というのは決して公道で使えない装備ではありません。

プロテクターの入ったレザーのグローブやブーツそして胸部&脊椎パッドというのはツーリングなどでも推奨される非常に安全性が高い装備です。

ズサーと滑った時にレザーではなくナイロン等だと簡単に擦り切れます。

だから流石にツナギは抵抗があるにしても

「ツーリングにも使える安全装備」

と考えれば少し値は張りますがそれだけの価値は間違いなくあるのでこれを機に買ってしまうのをオススメします。

ボスコモト10万円セット

ちなみに安く手っ取り早く済ませたいならボスコモト(ベリック・アレンネス)の一式10万円セットがあり、ツナギだけならセールや年末年始の福袋などがあります。

一つだけ注意点として個々で購入する場合はブーツインとブーツアウトには気をつけましょう。

ブーツインとブーツアウト

ツナギもブーツも基本的にはブーツイン設計なんですが、中には脛ガード付きのブーツアウト設計(主にダイネーゼなど)もあるので

「せっかく買ったのに入らない」

とならない様に注意。

ここまでくればもうサーキットは目と鼻の先ですが・・・最後のハードル。

ハードルその3
「転倒しそう、危なそう」

転倒

サーキット走行はスピードレンジが公道と違う上に、転倒動画なども出回っているので危険だと思ってる人も多いかと思います。

嘘は言いたくないので正直に言いますが、実際のところ走行会で転倒が起こるのは珍しくありません。

ただし走行会まして初心者レベルでの転倒はスリップダウンか曲がれずグラベルに突っ込む場合がほとんどで、投げ出されるハイサイドや回転しながら飛んでいって大破などレースで見る様な事故は早々起こりません・・・というか初心者レベルの走行ではまず起こせません。

ただおそらく一番怖いのはそこではなく

帰れない

「転倒して帰れなくなったらどうしよう」

という事だと思います。

ただしここでも走行会やスクールというのが助けになります。

走行会やスクールというのはそういったトラブルに何度も直面してきた主催者やベテランの人達が居るので助けを求めましょう。というか間違いなく助けてくれると思います。

最後に・・・

「何故サーキットを走った方が良いのか」

サーキットのコーナー

そもそも何故そんなにサーキット走行を勧めるのかという話ですが、サーキットを楽しむと

「公道で無理をしなくなるから」

です。

というのもサーキットでのスポーツ走行は上手い下手関係なく公道の比ではないエキサイトメントがあります。

一度それを体感するとあれほど目を三角にして走り回った峠道をどれだけ攻めてもサーキットのエキサイトメントには遠く及ばない事を痛感する。

そうするとそんな小さなリターンに対するリスクの大きさに気づいて公道で無理をしなくなるんです。

サーキット沼

サーキットでのスポーツ走行は確かに準備費用や参加費用が高いし転倒する危険性もあります。

でもサーキットなら転倒してもほとんどがグラベル(エスケープゾーン)に突っ込んで傷だらけになるだけで済む。

しかしこれが公道になるとエスケープゾーンなんて存在しないからサーキットの半分のスピードと半分以下のエキサイトメントでもバイクや命を失う可能性がある。

グラベル

「本当に高く付くのは公道なのかサーキットなのか」

そのリスクとリターンを身を持って気付けるから一度は

『最高のエキサイトメントを味わえるサーキット走行』

をした方が良いよという話。

最後に何度目か分かりませんが・・・みんなでサーキットを楽しむのが走行会、そしてみんなで学ぶのがスクールなので難しく考える必要も身構える必要も無いですよ。

はてな一覧
フレームQandA第一回
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知ってるようで知らないディスクブレーキの仕組みと大事なこと

ディスクブレーキの仕組み

第九回目は誰もが知っているつもりになっているディスクブレーキについて。

当たり前のように使っていますが、実はとってもよく考えられたブレーキシステムなんですよ。

まず最初にディスクブレーキの流れを簡単に説明すると

ブレーキを握る事でマスターシリンダーがフルード液を押す

ホースを伝ってキャリパー内のピストンを油圧で押し出す

ピストンがブレーキパッドをローターに押し付ける

摩擦によりブレーキが掛かる

ディスクブレーキの主要部品

ですね。

「それくらい知ってるよ」

って人が多いでしょうし、1ページでブレーキを全部書けというのも無理な話なので端折りつつ行きます。

まず最初はブレーキで一番初めに動作するマスターシリンダーから。

マスターシリンダー

ブレーキレバーのそばに付いている細長い筒みたいなものがマスターシリンダー。

仕組みを簡単に表すとこんな感じです。

マスターシリンダーの仕組み

本当はもっと複雑な経路があるんですが、要するにレバーを引くとマスターシリンダー内のピストンが押されフルード液に圧を掛ける・・・わけですが

ブレーキの流れ

「どうしてこんな小さな物と力であんなに重いバイクを止められるのか」

って不思議に思いませんか。

実はこれには皆さんよくご存知な

「テコの原理」

が使われています。

テコの原理

回転するボルト部を支点に、レバーを握ることで力点となり、作用点がマスターシリンダーを押す。

つまりギュッと握っている力がそのままマスターシリンダーを押しているわけではなく、テコの原理によって増幅された力がマスターシリンダーを押しているわけです。

ところで

“ラジアルマスターシリンダー”

というのを聞いたことがある人が多いかと思います。

ラジアルマスターシリンダーの仕組み

これは文字通りマスターシリンダーが従来のように水平ではなくレバーと同じ垂直方向に動く様になっている物の事。

スーパースポーツなどお高いバイクでは当たり前な装備となっています。

従来型とラジアルマスターの違い

「ラジアルだと何が良いのか」

って話ですが、レバーを握ってもらえば分かる通りテコの原理を使っている以上、マスターシリンダーを常に真っ直ぐ押すことは出来ない。

従来型のブレーキレバーの動き

どうしても軽くカーブを描いてしまう。

するとライダーの入力(力)に対し、レバーの角度によって伝わる力が一定でないからタッチの感覚差が大きくなってしまう。

これを何とかしようとして編み出されたのがラジアルマスターシリンダー。

ラジアルブレーキレバーの動き

テコの原理の支点と作用点を近づける事でレバー比を大きくし、レバーの振れ幅を小さくしている。

その代わりストローク量も減るので、ラジアルマスターシリンダーは従来型よりも大径のマスターシリンダーピストンなのが一般的。

マスターシリンダーのストローク量

従来型が深さで圧を稼ぐロングストロークなのに対し、ラジアル型は径の大きさで圧を稼ぐショートストロークというわけ。

つまりラジアルマスターシリンダーというのは、ブレーキの性能を上げる為というよりも精度を増すための構造。

ブレーキ周りで一番影響力がある部分はパッドでもキャリパーでもなくこのマスターシリンダーです。誰が握っても分かるほど通常とラジアルではタッチが全く違います。

NISSINのラジアルマスター

「よし俺もラジアルマスターシリンダーにしよう」

と思われた方が居るかもしれませんが、ちょっと待ちましょう。

ディスクブレーキにはテコの原理だけでなくマスターシリンダー径(圧)が大きく関係している原理がもう一つあります。

密閉された流体の一点に力を加えると同じ強さの力が全ての部分に伝わる。

パスカルの原理

「パスカルの原理」

です・・・ザックリな絵ですが。

テコの原理ほどではないですが、中学か高校物理で習ったはずなので何となく覚えている人が多いかと思います。風船が綺麗に膨らむウンタラカンタラですね。

つまりキャリパーピストンとマスターシリンダーの径(圧)というのはブレーキ性能に直結しているわけです。

キャリパーポット数

パスカルの原理なのでポット数が増えれば増えるほど力はそのまま倍々で増していきます。ちなみに対向では倍になりませんが、Wディスクでは倍になります。

ただし基本的にポット数を増やす場合はキャリパーピストンの径を小さくするのが一般的なので、ポット数だけで単純に強さが決まるわけではありません。

ブレンボのラジアルマスター

話をマスターシリンダーに戻すと、他車種の流用にしろサードパーティ製にしろマスターシリンダーを変更する時は(単純に同一直径で選ぶのでなく)車種にあった物にしましょう。

まあ一番気をつけなくてはいけないのは干渉かと思いますが。横につける事が前提だったハンドルに縦の物を付けるわけですから。

残念ながらまだ話は続きます。

マスターシリンダーによって押されたブレーキフルードがホースを伝ってキャリパーピストンを押す事でブレーキが掛かる。

ブレーキキャリパー

じゃあブレーキを離したら・・・圧が無くなるのでブレーキが解除されますよね。

この時、押し出されたピストンがどうなるかというと、出たままではなく引っ込みます。

ピストンリリース

誤解している人が多いですが、決して出っぱなしではありません。

この役割を担っているのがゴミが入らないようキャリパーに掘られた溝に嵌めてあるダストシールの更に内側にあるピストンシール。

キャリパーシール

ピストンシールは

「ピストンとキャリパーの隙間を密閉しフルードを漏らさない為の栓」

と一般的に言われていますが、役割はそれだけじゃないんです。

ピストンシールはピストンが押し出されると一緒に前に出ます。しかしピストンシールの根元は動かないキャリパー側に固定されているので撓るようにピストンに付いていく。

ピストンシール

そう、つまりこの撓ったピストンシールが戻ろうとする力によってピストンが戻るんです。

ピストンに付着したダストを洗い落とす”ブレーキの揉み出し”が大事と言われる理由や

「絶対にシールの溝にキズを付けるな」

と言われている理由はここにあります。

ただの太い輪ゴムに見えますが実はとっても重要な部品で、溝やシールの形状はメーカーによって何種類もあり車種によって使い分けられています。

ラジアルマウントキャリパー

ちなみにマスターシリンダーと同じようにキャリパーでも”ラジアルマウントキャリパー”というのがありますね。

これはまあ見て分かる通りキャリパーを横から固定するのではなく、縦で固定するタイプのキャリパーの事。

ラジアルマウントボルト

普通は縦ではなく横ですよね。

キャリパーマウント

「こうすると何が良いのか」

っていうと、ブレーキキャリパーというのは動いているホイールを受け止めようとするので強い力が掛かる。だから意外とガタガタ動く。

そこでキャリパーを固定するボルトを放射状に付ける事で、そのガタガタを抑えるという話。

ガタガタ動く範囲が通常とラジアルでは10倍以上違うと言われてます・・・が、ラジアルマスターシリンダーとは対照的に分かる程の効果があるかというと。。。

あともう一つ説明しておきたいのがモノブロックキャリパーというやつ。

2ピースとモノブロック

普通はモナカの様な2ピースなんだけど、そうではなく1枚ものというか1ブロックになってるキャリパーがモノブロックキャリパー。

これは単純に軽くする事が狙い。

モノブロックのメリット

モノブロックにすることで頑丈なボルトも、ボルトを差すスペースも要らなくなる・・・モノブロックのアングルが若干間違えていますね。

※追伸

一体成型による剛性確保を書いていないというご指摘を受けましたスイマセン。

ブレーキを掛かるとパッドを押す凄い力が掛かるので、同時にキャリパーを開こう(曲げよう)とする力が掛かる。

そうした時に一体型のモノブロックだと見て分かる通り剛性が高いから簡単には変形せず安定した制動力を掛けられるという話。

【最後に一番大事なこと】

こうやって散々偉そうに端折りながら説明してきたディスクブレーキシステムですが、大前提として正常なブレーキフルードが入っていないと動作しません。

そしてブレーキフルードというのは最低でも2年毎に交換することが推奨されています。

ブレーキフルードの交換目安

これはヤマハのオーナーズマニュアルからですが、他のメーカーも同じ。

ブレーキフルードを交換しないといけない理由は

「劣化してブレーキが効かなくなるから」

と言われています。

ブレーキフルードは劣化し黒くなってくると沸点が下がりベーパーロック(フルードの沸騰)を起こしやすくなるから。

要するに効かなくなるわけで、マニュアルにも酷使する下り坂ではエンブレ使えと書いてありますね。

ベーパーロックの注意文

ただ今どきのフルードは性能が良い上にバイクはブレーキが剥き出しなのでベーパーロックなんて簡単には起こしません。

じゃあ変えなくていいのかというと断じて違います。

「絶対に最低でも二年毎に変える事」

これはベーパーロックよりも厄介な問題を招くからです。

フルードはグリコールという成分で出来ており、ブレーキホースから(拡散浸透する)水分を、隙間からダストを吸います。

そして交換せずにいると結晶化といってカチカチな粒のような個体が出来たり、ドロドロデロデロな沈殿物が出来てしまう。

問題はそれが”出来る事”ではなく”出来る場所”です。

この結晶やヘドロが何処に付くのかというと、フルードラインの一番下にある大事なピストンシールに付くんです。

ピストンシールの結晶化

戻る力というのはシールの撓りだけなのでとっても弱い。だから些細な詰まりや抵抗が起こるだけでピストンが戻れなくなる。

そしてこれの何が厄介かというと

「なかなか気付くことが出来ない」

という事です。

どうして気付けないのか・・・それは

「テコの原理とパスカルの原理でブレーキは効くから」

ブレーキの流れ

多少詰まったり固まったりして流れや動きが悪くなっても、フルードが少しでも通り、押すことが出来ればブレーキは効くんです。

ただしこれは押すときだけの話で戻りは悪いまま。

新旧ピストンシール

無視できない程の引き摺りを起こすようになってようやく異常に気付く。

しかしもうそこまで行くとキャリパーシールもマスターシリンダーもそれら不純物で駄目になっているのでオーバーホールするしかなくなる。

ずっとブレーキを掛けた状態で走行していたワケなので、お高いディスクローターも熱で曲がり駄目になっている場合もあります。ABS付きの場合ABSユニットまでダメになってしまう可能性もある。

ディスクローターの焼け

ディスクローターがこんな風に茶色く焼けてませんか。それ引き摺ってる可能性高いですよ。

こうならない為にも、後で泣かない為にもブレーキフルードは最低でも2年毎にちゃんと交換するようにしましょう。

純正ブレーキフルード

自分で交換する際は塗装を痛めるので他の部分につかないようにする事と、間違ってもグリコール系(一般的なバイクはコッチ)とシリコン・鉱物系(ハーレーや一部の旧車)を混ぜないこと。入れた瞬間に結晶化してオーバーホールするハメになります。

【まとめ】

ブレーキというとビギナーもベテランもついつい

「効くか、効かないか」

に意識を持っていきがちだけど

ディスクブレーキシステム

「戻るか、戻らないか」

も同じくらい意識を持って見てあげないといけないという事です。

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エンジンブレーキの仕組みとデメリット

エンジンブレーキ

「エンジンブレーキって何処に付いてるんですか」

と聞かれた時に答えられない人、また

「エンジンブレーキよく使っている」

という人に向けたページです。少し長いですけどお付き合いを。

最初にエンジンブレーキの仕組みについてなるべく簡単に説明します。※一般的なMTバイク前提

主要三軸イラスト

エンジンブレーキに関与している部分は当たり前ですがエンジンです・・・って、これじゃ分かりにくいので簡易イラストを作りました。

主要三軸イラスト

クランクはピストンの下に付いてるもの、インプットシャフトとアウトプットシャフトというのは一般的にミッションと呼ばれている部分。

インプットをメイン、アウトプットをカウンターと言う場合も・・・というかそう言う場合が多く、走行する上で絶対に欠かす事が出来ない三本柱で、主要三軸とも言われています。

色分け

普通はピストンの上下運動をクランク(赤)が回転運動へ変換し、端に付いているプライマリーギアやチェーンでインプット(青)を回し、更にアウトプット(緑)とのギア比で変速を完了させてチェーンやシャフトドライブを介してタイヤを回す。

動力のフロー

エンジンブレーキが掛かる時はこの力関係が逆転した時。

簡単に言うとクランク(赤)の回る力より、駆動しているアウトプット(緑)の回る力が上回った場合です。

チェーンやドライブシャフトを介してアウトプット(緑)を回し、インプット(青)で変速され、クランク(赤)を無理やり回す。

動力のフロー2

押し掛けもこれ。要するにエンジン回して駆動するのではなく、駆動でエンジンを回しているということです。

ではどうして減速するのかというとエンジンを回すのが大変だから。

皆が捻るアクセルの開度というのはエンジンの口にあたるスロットルバルブの開度と直結しています。

色分け

アクセルを開ければ開けただけ上の写真のようにガバッと開くし、アクセルを戻せば閉じる。

つまりアクセルを戻すと失速してしまうのは、このスロットルバルブが閉じてしまうから。よく注射器で表されています。

スロットルバルブの役目

ピストンが空気を吸えないからシリンダー内が負圧になり、下がる事に大きな力が必要となる。

この抵抗がエンジンブレーキの代表的な原因の一つ。厳密に言うとピストン運動に至るまでの機械損失も大きい。

失速する理由はこれ・・・ですが、これだけだと説明不足ですよね。

一般的に言われるエンジンブレーキというのはアクセルオフにした時の減速ではなくシフトダウンした時にくるあの

『ギュイン』

でしょう。

これを説明するにはギア比というものも見なくてはいけません。

動力のフロー2

例えばこのバイクは三速6000回転では60km/h出る。

じゃあここから二速に落としたら・・・ギュインとエンブレが掛かって失速しますよね。

これが何故かと言うと

「エンジンと速度が合っていないから」

スロットルバルブの役目

60km/h走行をする場合、三速では6000rpmでよかったけど二速では8000rpmまで回る必要がある。

つまりシフトダウンするとエンジンの回転数が速度に対して足りていない状況になるわけです。

だから

「エンジンさん遅いよ8000rpmだよ」

と駆動が遅いエンジンを無理やり8000rpmまで吊り上げようとする。そのために力が使われるから回転数が上がりつつも、ギュインと両方回転数の良い落とし所まで失速するわけです。

エンブレ

これがシフトダウン時の強烈なエンジンブレーキの正体。

そしてもう一つエンジンブレーキに関して言われるのが

「エンブレは使うべきか使わざるべきか」

という話。

これはバイクに限って言うと

「率先して使うものではない」

と言えます。

何故かと言うとデメリットが結構大きいから。

油冷エンジン

一つは最初に話したエンジンが負圧になる事が関係しています。

負圧になると圧が高い所から吸おうとしますよね。でもさっき言ったスロットルバルブなどは閉まってるから全然吸えない。

しかしまだ吸える所があるんです。それはピストンの下、クランク室です。

スロットルバルブの役目

シリンダーというのはもともとオイルの膜を張る程度のクリアランスが設けられているのでそこを伝ってオイルやブローバイガスが吸い上げられるように燃焼室に入ってきてしまうんですね。

俗にいう

『オイル上がり』

と言うやつです。あまり神経質になる必要はありませんが、エンブレを使うほど消費するオイル量が増えるのは事実です。

それより問題なのはクラッチ。

クラッチ

クラッチというのは最初に紹介した三軸のインプットに付いており、クランクとインプットの橋渡しが役割。

もう少し拡大して詳しく表すとこうです。

クラッチの仕組み

ちなみに上の図はクラッチが繋がっている状態。バネの力で抑えられています。

クラッチの仕組み

これが離れている(クラッチを切っている)状態・・・若干飛び出しちゃってますが。

そして走行中にクラッチを切ったらどうなるかというと、こうなる。

走行中にクラッチを切った場合

橙と青でそれまで一つだった回転が二つに分けられる。反対に言うと二つの回転を一つにも出来る。

つまりギア比で言った通り、両者の速度差を受け止めるのもクラッチの仕事。

クラッチ板

だからシフトダウン時のギュインとなる速度差による減速はクラッチにとっては本当に酷な事なんです。文字通り身を粉にして両者の間中を合わせないといけない。

エンジンブレーキを多用するとクラッチ板(の摩擦材)がどんどん減ります。半クラッチ操作でエンブレの強さを制御する行為も同様です。

クラッチ板

ブレーキパッドの節約とエンブレを多用していたらクラッチ板のほうが摩耗して高く付きますよ。

少し話が反れますが

「シフトチェンジは素早く、クラッチは少し切るだけでいい」

と言われるのは、この青と橙の速度差を可能な限り小さくするため。

変速ショック

アクセルを戻してクラッチを切ると分かりますが、エンジンの回転数が落ちますよね。そうなると駆動で回っているインプットシャフト(青)との速度差が大きくなり、繋いだ時の負荷が大きくなる。

シフトチェンジでショックが大きくギクシャクしてしまう人の大半はこのクラッチの切り過ぎが原因。走行中のシフトチェンジ時のクラッチは本当に少し切るだけでいいという事です。

話を戻すとエンブレを多用すると負担が増す部分はもう一つあります・・・それはチェーンです。

エンブレ使うとチェーンが伸びるのが早くなります。これはエンジンブレーキによってアウトプット(エンジンの回転)とタイヤで速度差が出るから。

チェーンが伸びる

実際に後輪を減速させる部分はここ。

どうしてエンブレを強く掛けすぎるとリアがロックしてしまうのかも分かるかと思います。

タイヤが回るまいとする抵抗するエンジンに負けてチェーンを引っ張れなくなるからロックしてしまうんですね。

チェーンはもちろんスプロケにも非常に悪いです。クラッチなんかより高く付きます。

ボディ

神経質になるほどではないにしろエンジンブレーキは車体のアチコチに負荷を掛けます。

タンデム時や低速・停車時などでは使えるので絶対に使ってはいけないとは言いませんが、シフトダウンして”ギュイン”と唸らせるほど強く掛けるのはバイクに優しくないのであまりしないようにしましょう。

フロントブレーキ

ブレーキの主役はフロントブレーキです。エンブレではなくフロントブレーキを酷使する事。

最後に少し説教臭い事を言わせてもらうと

「初心者ほどエンブレに頼ってしまう」

というのが定説です。

これはいま説明してきたようにエンブレというのは挙動がリアブレーキと一緒だから。ノーズダイブ(前のめり)しない安心感があるから強力なリアブレーキとして重宝してしまいがちになる。

一次旋回と二次旋回

しかし少なくともオンロードスポーツ系のバイクでそんな乗り方をしていては綺麗にも気持ちよく曲がる事も出来ません。

何故なら曲がる時はフロントブレーキで荷重を前にやりフロントフォークを沈めて曲がり始めるが基本です。だから上手い人はエンブレをメインブレーキに使ったりしません。

CB1100

もしもエンジンブレーキによる減速をメインに使っているなら

「エンブレに頼った減速をやめる事」

これはバイクだけでなく自分が気持ちよく曲がる為の第一歩でもあります。

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