M2 Cyclone -since 1997-

M2サイクロン

もっとビューエルを身近に感じてもらおうと考えて作られた優しいビューエルなM2サイクロン。

基本的にはS1からのキャリーオーバーモデルなんだけど、タンデムも難なく熟せるロングシートにビューエルとしては初めてとなるSHOWAサスを採用。エンジンもチューニングを控え扱いやすさを重視されています。

価格も135万円(国内価格)とS1に対し20万円ほど安かった事もあり、カスタムベースとしても人気が高く、2002年まで発売された息の長かったモデル。

CYCLONE

1999年にはヘッド周りに手を加え高圧縮化した事で91馬力に、更に2000年にはエキゾーストをスチールからステンレスへ、01には更にフレンドリーにするためにローシート化などの変更が入りました。

エンジン:空冷4サイクルOHV二気筒
排気量:1203cc
最高出力:
83ps/5800rpm
最大トルク:
11.0kg-m/4500rpm
車両重量:197kg(乾)

系譜図
エリックビューエル 創業者
Erik Buell
RR1000/1200 1986年
RR1000/1200
RS1200 1989年
RS1200
S2 1994年
S2 Thunderbolt
S1 1996年
S1 Lightning
S3 1996年
S3/T Thunderbolt
M2 1997年
M2 Cyclone
X1 1999年
X1 Lightning
BLAST 2000年
Blast
XB9シリーズ 2003年
XB9R Firerbolt
XB9S Lightning
XB12シリーズ 2004年
XB12R Firerbolt
XB12S Lightning
XB12X ULYSSES
1125シリーズ 2007年
1125R
1125CR
1125シリーズ 2011年
1190RS
1190シリーズ 2015年
1190SX
1190RX

S3/T Thunderbolt -since 1996-

S3サンダーボルト

S2モデルの後継に当たるS3/T Thunderbolt。

基本的な構造はS2から踏襲されたフラッグシップ的な立ち位置でS1との部品共有が進んでいるモデル。S2にあったようにS3にもハイスピードツーリングモデルであるS3Tもラインナップ。

S3サンダーボルト

国内には殆ど入ってきていない様ですが、本土の方はかなり長く発売されたロングセラーモデルだったりします。

1998年からは先に紹介した101馬力のサンダーストームエンジンを搭載したモデルになりました。

少し話をそらすと、ビューエルといえば

「振動が凄い」

というのを聞いたことがあると思います。

これはとどのつまりハーレーのエンジンを積んでいるからですが、このエンジンを積むにあたって使われているのがエリックが開発したエンジンラバーマウント。

アイソレーター

後にハーレーなどにも採用される振動吸収材で頭(ヘッド)とお尻(ステップ裏)でマウントされています・・・が、まあ当然コレだけで振動を抑えれるわけもなく。

各部にクラックが入ったり、ミラーが飛んでいったり、サイドスタンド立てても動いていったり等など。

代を追う毎にマウントの創意工夫が施され大人しくなっていくのですが、逆に言うと初期であるこのSシリーズは一線を画する振動があります。定期的にマウントを交換しないとフレームにクラックが入るレベル。

ただそれがビューエルの魅力の一つなんですけどね。乗ったら最後です。

エンジン:空冷4サイクルOHV二気筒
排気量:1203cc
最高出力:
91ps/5800rpm
最大トルク:
12.0kg-m/5200rpm
車両重量:211kg(乾)

系譜図
エリックビューエル 創業者
Erik Buell
RR1000/1200 1986年
RR1000/1200
RS1200 1989年
RS1200
S2 1994年
S2 Thunderbolt
S1 1996年
S1 Lightning
S3 1996年
S3/T Thunderbolt
M2 1997年
M2 Cyclone
X1 1999年
X1 Lightning
BLAST 2000年
Blast
XB9シリーズ 2003年
XB9R Firerbolt
XB9S Lightning
XB12シリーズ 2004年
XB12R Firerbolt
XB12S Lightning
XB12X ULYSSES
1125シリーズ 2007年
1125R
1125CR
1125シリーズ 2011年
1190RS
1190シリーズ 2015年
1190SX
1190RX

S1 Lightning -since 1996-

S1ライトニング

ネイキッドスーパースポーツの意味を表すライトニングの名を持ったS1Lightning。

厳密に言うと生産は先に紹介したS2が先だけど、日本に入ってきたのはこのS1が先。※ハーレージャパンの取扱開始が1996年からのため

S1Lightning

お尻が短いことが特徴のS1もS2と同じスポーツスター1200のエンジンなんだけど、ビューエルとしては始めてエンジン内部にまで大きく手を加えられているモデル。

ピストンやヘッド周りを専用の物に変更し圧縮比を上げ、エアクリーナーも大容量の物に変更することで25馬力UPの90馬力に。

車体右側についてる黒い大きな箱のようなものがそのエアクリーナーボックス。

S1W ライトニング

1998年には更にチューニングされ101馬力にまで跳ね上がったS1Wが登場。

バルブ系などを更に拡大したサンダーストームエンジン搭載の一人乗り専用モデルで、ハーレーエンジンとしては初となる100馬力超え。

S1W広告写真

コレに乗ると側頭葉が大変なことになると・・・ちなみにS1Wはホワイトライトニングというペットネームを持っていますが、WはホワイトのWではなく後述のS3と同じ20.8Lワイドタンクのワイドからと言われています。

正式にはS1Wホワイトライトニング、もしくはホワイトライトニングS1Wです。

S1Wブラックライトニング

限定で入ってきたS1WBのBは文字通りブラックからです。ブラックライトニングS1Wというわけ。ややこしいですが。

もしかしたらサスペンションのWP社(ホワイトパワー)と同じように倫理上の問題が絡んでいるのかもしれませんね。

エンジン:空冷4サイクルOHV二気筒
排気量:1203cc
最高出力:
90ps/6200rpm
最大トルク:
10.5kg-m/5000rpm
車両重量:202kg(乾)

系譜図
エリックビューエル 創業者
Erik Buell
RR1000/1200 1986年
RR1000/1200
RS1200 1989年
RS1200
S2 1994年
S2 Thunderbolt
S1 1996年
S1 Lightning
S3 1996年
S3/T Thunderbolt
M2 1997年
M2 Cyclone
X1 1999年
X1 Lightning
BLAST 2000年
Blast
XB9シリーズ 2003年
XB9R Firerbolt
XB9S Lightning
XB12シリーズ 2004年
XB12R Firerbolt
XB12S Lightning
XB12X ULYSSES
1125シリーズ 2007年
1125R
1125CR
1125シリーズ 2011年
1190RS
1190シリーズ 2015年
1190SX
1190RX

S2/S2T Thunderbolt -since 1994-

S2サンダーボルト

このモデルくらいからは覚えてる人も多いかもしれないS2Thunderbolt。

サンダーボルトというのはフラッグシップを表す意味なんですが、それよりも大事なのはそれまでレースやスポーツにあまり重きを置いていなかったハーレーが考えを改め、ビューエルの株の49%を取得(実質子会社化)する契約を結んだこと。

S1/S2カタログ写真

このお陰でそれまでハンドメイドで300万円近かった車体価格が2/3程度にまで抑えられ、日本のハーレーディーラーから発売される様になりました。要するにBuellのメジャーデビューですね。

エンジンはスポーツスター1200の物を専用設計のパイプフレームに搭載したもの。駆動がベルトドライブに変更されているのが特徴ですが、これもいわゆるバネ下重量の軽減というエリックがずっと拘っている事を成すため。

S2Tサンダーボルト

日本に入ってきたのは正確にはS2にパニアケースやレッグシールドを装着したS2T Thunderboltというモデルで、1996年から。

ステップやハンドルの位置も変更されたハイスピードツアラーです。

エンジン:空冷4サイクルOHV二気筒
排気量:1203cc
最高出力:
76ps/5200rpm
最大トルク:
10.5kg-m/5200rpm
車両重量:223kg(乾)
※スペックはS2T

系譜図
エリックビューエル 創業者
Erik Buell
RR1000/1200 1986年
RR1000/1200
RS1200 1989年
RS1200
S2 1994年
S2 Thunderbolt
S1 1996年
S1 Lightning
S3 1996年
S3/T Thunderbolt
M2 1997年
M2 Cyclone
X1 1999年
X1 Lightning
BLAST 2000年
Blast
XB9シリーズ 2003年
XB9R Firerbolt
XB9S Lightning
XB12シリーズ 2004年
XB12R Firerbolt
XB12S Lightning
XB12X ULYSSES
1125シリーズ 2007年
1125R
1125CR
1125シリーズ 2011年
1190RS
1190シリーズ 2015年
1190SX
1190RX

RS1200 -since 1989-

RS1200

先代RR1000/1200が元々レースマシンで実用性に乏しかった事から、公道向け作られたビューエルの二作目RS1200WEST WIND。

RR1200と同じエンジンを積んでいるものの、快適性を考え熱対策はもちろんポジションも優しく改良。

最大の特徴はリトラクタブル式になっているタンデムシートカウル。ヒンジが付いていてパカっと開き背もたれになる。

RS1200WW

なんでこんな機能を付けたのかというと、昔エリックが彼女を後ろに乗せて走っていた際にウィリーをしたところ、彼女が後ろに転げ落ちた事があったからだとか・・・。

後からシングルシート仕様の上位モデルRSS1200も追加されました。

RSS1200WW

ちなみにハーレーのエンジンということで90年にXLH1200が五速に変更されると、RS1200も合わせて五速のRS1200/5に変更。

エンジン:空冷4サイクルOHV二気筒
排気量:998cc
最高出力:
74ps/6500rpm
最大トルク:
9.9kg-m/4500rpm
車両重量:195kg(乾)

系譜図
エリックビューエル 創業者
Erik Buell
RR1000/1200 1986年
RR1000/1200
RS1200 1989年
RS1200
S2 1994年
S2 Thunderbolt
S1 1996年
S1 Lightning
S3 1996年
S3/T Thunderbolt
M2 1997年
M2 Cyclone
X1 1999年
X1 Lightning
BLAST 2000年
Blast
XB9シリーズ 2003年
XB9R Firerbolt
XB9S Lightning
XB12シリーズ 2004年
XB12R Firerbolt
XB12S Lightning
XB12X ULYSSES
1125シリーズ 2007年
1125R
1125CR
1125シリーズ 2011年
1190RS
1190シリーズ 2015年
1190SX
1190RX

RR1000/1200 -since 1987-

RR1000

ビューエルが一番最初に出した市販車がこのRR1000BATTLE TWIN。

皆が思うビューエルのイメージからは大きく掛け離れていると思います。

先に作ったRW750と同様にクロモリ鋼管のトラスフレームという一部のスーパーバイクにしか使われていない贅沢フレームにハーレーのスポーツスターOHVエンジン(XL1000)を積んだマシン。

内部

Buellに詳しい方なら分かると思いますが、恐ろしい事に既に中身はBuellの形が出来上がっている。

しかしこのバイクが誕生したのは実は運が良かった面があります。

というのも当時ハーレーダビッドソンはレースに対し非常に消極的でした。これはCEOだったヴォーン・ビールス氏がアメリカ伝統のサーキット場であるラグナセカのイベントに出席した際に、ハーレー乗りをほとんど見かけなかった事がキッカケ。

RR1000バトルウィン

レースは売上に繋がらないと判断したわけです。この人も元々はエンジニアなんですけどね。

だからAMA(アメリカのレース)の中でも人気だった二気筒レースBOT(バトル・オブ・ツイン)ではドゥカティやビモータが幅を効かせていたんだけど、その事が我慢ならなかったハーレーのオーナーズクラブが身銭を切ることで会社のワークス参戦を後押し。

RR1000バトルウィン

「Lucifer’s Hammer (ルシファーズ ハンマー)」

XR750エンジンをベースに1000ccまで排気量を上げたモデル。84~85年と勝利を収めたアメリカでは伝説のツインレーサーです。

ちなみに漫画:特攻の拓で

『Lucifer’s Hammer (悪魔の鉄槌)』

として名前が取り上げられた事から名前は知っている人も多いかもしれませんが、実はそう単純な意味では無かったりします。

この名前には

「レースなんて道楽に金を使ってるとカミさんから怒られるぞ」

という皮肉、つまり

『悪魔の鉄槌(カミさんの鉄拳)』

という揶揄が込められてる。アメリカならではのユニークさですね。

そんなルシファーズハンマーなんですが、86年は戦闘力不足でドゥカティの伝説マシン851に完敗。そこで白羽の矢が立ったのが天才エンジニアだったエリック。

RR1000とエリック

彼も当時バイクを作るために出資を募っている段階。つまり勝てるバイクが欲しいオーナーズクラブと意図が合致したわけです。

そして誕生したのがルシファーズハンマー2と、その公道モデルRR1000というわけ。

RR1000バトルウィン

惜しくも決勝で転倒し851には勝てませんでしたが、予選ではポールポジションを取る程の速さを見せた事でプライベーター達からの注文が殺到。

ただ残念な事に搭載していたXR1000のエンジンが50機しかハーレーから都合出来なかった事から販売台数は50台のみ。

そのため急遽XLH1200のエンジンを用立ててRR1200も製造。こちらは150台ほど作られたようです。

RR1200バトルウィン

この一件でエリックビューエルという名がアメリカ中に広まることになりました。

エンジン:空冷4サイクルOHV二気筒
排気量:998cc
最高出力:
77ps/5600rpm
最大トルク:
9.8kg-m/4400rpm
車両重量:179kg(乾)
※スペックRR1000

系譜図
エリックビューエル 創業者
Erik Buell
RR1000/1200 1986年
RR1000/1200
RS1200 1989年
RS1200
S2 1994年
S2 Thunderbolt
S1 1996年
S1 Lightning
S3 1996年
S3/T Thunderbolt
M2 1997年
M2 Cyclone
X1 1999年
X1 Lightning
BLAST 2000年
Blast
XB9シリーズ 2003年
XB9R Firerbolt
XB9S Lightning
XB12シリーズ 2004年
XB12R Firerbolt
XB12S Lightning
XB12X ULYSSES
1125シリーズ 2007年
1125R
1125CR
1125シリーズ 2011年
1190RS
1190シリーズ 2015年
1190SX
1190RX

創業者Erik Buell

エリックビューエル

ビューエルの創業者であり、技術責任者であり、レーサーでもあったペンシルバニア州生まれのエリックビューエル。

この人がどんな人かといえば

「三度の飯よりもバイクが好きな人」

という感じ。

10代の頃に親から原付を買い与えられた事がキッカケで、バイクを弄り倒す日々とモトクロスレースの日々に明け暮れるように。

頭の方も秀才で地元の名門ピッツバーグ大学に入学。更にはTZ750でプライベートながらレーサーとしても活躍というバイクに関しては才色兼備な人。

レーサーエリックビューエル

「ケニー・ロバーツの前を走ったことがある※本人談」

が武勇伝との事。

エンジニアとしてのエリック

大学で工学士を取得した後、29歳の時にハーレーダビッドソン社へエンジニア(フレーム担当)として入社。その後もハーレーでの仕事とは別にプライベートで開発を続ける日々。

そんなある日、目に止まったのがBartonというイギリスのエンジンメーカーが作っていた水冷2stスクエア四気筒エンジン。

このエンジンに目をつけ、一から開発したクロモリ鋼管のトラスフレームに搭載したレーサーRW750を入社から僅か4年後の1983年に完成させます。

RW750とエリック

ついでにスポーツバイクを作らせてくれないという理由からハーレーを退社。

しかし残念ながらエンジンが駄目すぎて結果は残せませんでした。

ただこの一件以降

「もっと自由にバイクを作りたい。」

ビューエルモーターカンパニー

と考えたエリックはビューエルモーターカンパニーという会社をウィスコンシン州に立ち上げます。

立ち上げといっても大それた物ではなく最初は本当に小さな小さな会社。

ビューエルモーターカンパニー

一番左が事務所でその奥の掘っ立て小屋が工場。右の建物はエリックの自宅。

従業員も僅か3人からのスタートでした。

系譜図
エリックビューエル 創業者
Erik Buell
RR1000/1200 1986年
RR1000/1200
RS1200 1989年
RS1200
S2 1994年
S2 Thunderbolt
S1 1996年
S1 Lightning
S3 1996年
S3/T Thunderbolt
M2 1997年
M2 Cyclone
X1 1999年
X1 Lightning
BLAST 2000年
Blast
XB9シリーズ 2003年
XB9R Firerbolt
XB9S Lightning
XB12シリーズ 2004年
XB12R Firerbolt
XB12S Lightning
XB12X ULYSSES
1125シリーズ 2007年
1125R
1125CR
1125シリーズ 2011年
1190RS
1190シリーズ 2015年
1190SX
1190RX

690DUKE -since 2016-

三代目690DUKE

2016年にモデルチェンジしDUKE5となりました。

またまたフルモデルチェンジ。ホイールがRと同じものになりましたが、それよりエンジンがまた全面的に変わりました。

2016LC4

具体的に言うとただでさえビッグボアショートストロークなのを更にビッグボアショートストローク化。そしてヘッドカバーをマグ化しバルブを吸気直打、排気ローラーロッカーアームに変更。これらのおかげで馬力が更に上がって遂に74馬力に。もういいでしょと言いたくなりますね。

DUKE5ヘッド

でもヘッドにもバランサーが付いたことで馬力は上がってるんだけど過激になったというより更に調教された特性になりました。

サスのオフセットも減らしてトレール幅を増やしたしもう本当にネイキッドになりましたね。いやストファイかな。ここまで来るとビギナーが普通に乗っても超ライトウエイトスポーツとして楽しめるでしょう。マニアは690SMC(スーパーモトコンペティション)を買えって事かな。

DUKE5r

R仕様はお馴染みオレンジホイールにBremboモノブロックキャリパー、WPフルアジャスタブルサスペンションを装備。更にリーンアングル・センサー連動ABS、トラコン、スーパーモト・モードといったOPを標準装備。

DUKE5ボディ

まあ何度もいいますがあくまでもそれまでのDUKEシリーズに比べたら調教されたというわけで、他社と比べたらそれでもぶっ飛んだ特性を持っているのは相変わらず。

ちなみにこんなにピークパワーを追求して軽いLC4エンジンの耐久性を疑問視する人が居るかもしれないけど、これも元がエンデューロ用という事で非常にタフに作られてて、KTM自身も最低10万キロは持つように設計をしてる。

ダカール・ラリー ウィナーリスト

しかもそのLC4と同じ技術で作られているRALLYでKTMはダカール・ラリーにおいて無類の強さを発揮していたり。だから信頼性は証明されてます。

ただ軽量化の一環としてウォーターポンプのインペラがクランクと表裏一体で直結してるので劣化とともにエンジン内にクーラントが入っちゃうっていう持病というか問題点があります。

少し入ったくらいではなんともないタフさを持ってはいますが、放置しておくと大変なので買う人や買ったはラジエーター液の水位に注意してね。

2016duke

終わりに・・・

今シングルエンジンで最大排気量となってるのはこのKTMのDUKEを始めとしたLC4エンジンです。というかシングルエンジン、特に大型ロードスポーツはもう死滅状態です。

日本メーカーも過去にはホンダGBやヤマハSRXといったシングルスポーツはありましたがメーカーもそして消費者も多気筒化に流れ消えてしまいました。

KTMデューク

これは思うに

・カタログスペックで見た場合どうしてもマルチに引けを取る。

・シングル感(鼓動感)が騒音規制に引っ掛かってまうので出しにくい。

・軽さが絶対なシングルスポーツだが軽くするにはアルミやマグといったコスト増に直結する素材を多用しないといけない。

・割に合わない(シングル=安いという消費者の意識)

といった問題点を抱えてるからだと思うわけです。

ただそれでも地をはうように出し続け、今となってはシングルスポーツの代名詞とも言えるほどになったKTMのDUKEシリーズ。

SUPERDUKE1290R

最近ではRC8のVツインエンジンを積んだSUPER DUKEなるものを出し世界で絶賛されていますが

「DUKEと言えば690、DUKEと言えばシングルスポーツ」

DUKEシリーズ

このままビッグシングルスポーツの道を極めていって欲しいものです。

エンジン:水冷4サイクルSOHC単気筒
排気量:690cc
最高出力:
73ps/8000rpm
最大トルク:
7.5kg-m/6550rpm
車両重量:148kg(乾)

系譜図
デューク1

1994年
620DUKE

デューク2

1999年
640DUKE

デューク3

2008年
690DUKE/R

デューク4

2012年
690DUKE/R

デューク5

2016年
690DUKE/R

690DUKE -since 2012-

690DUKE

690としては二代目となるDUKE4

R専用だった690ccエンジンが積まれて晴れて690になったのかと思ったら、Rをベースに更に改良を重ねてきた。

ダブルしかもダイレクトイグニッションシステム、それにフル・ライド・バイ・ワイヤー(完全電スロ)で馬力は遂に70馬力へ。690ccのシングルエンジンが70馬力とか。そりゃもう良くも悪くもビッグシングルとは思えないほど低回転域はスッカスカですよ。ピストンのペラペラっぷり見たらもう言葉ないです。

それまでのDUKEのトレードマークの縦目二眼をやめてオーソドックスになりましたね。

デューク3ファミリー

まあファミリー並べてみても明らかにデュークだけ浮いてたからコッチが正解なのか。

ただデザイン面でいうとライトだけじゃなくてボディデザイン全体がモタード調からネイキッド調に変わってますね。それを見ても分かる通り、これまでの蹴り飛ばされる様なDUKEは何だったのかと思えるほど調教され乗りやすく、また疲れにくくなっています。

エンジンも外見も手を加えたもんだから先代から90%近い部品が変わったそうで。

DUKE4R

こっちはRモデル。

アクラポビッチマフラーとマッピングの変更で無印より2馬力アップ。

他にもチューニングされたWPサスにBremboのM50、ホイールにガードやシングルシートなどのパワーパーツを装備。更にABSはZX-10Rやディアベルにも使われているBOSCHのGeneration9でSUPERMOTOモードが追加。当然ながらフレームも先代同様強化されるスペシャルモデル。

デューク4

重ねて言うけどDUKE690はこのモデルから先代以上に扱いやすく多目的に使えるネイキッドへと大変貌を遂げました。

まあそれでもひと度回せば元レース用エンジンという事を思い知らされる魅力は相変わらず持ち合わせてますけどね。690ccで70馬力もあるビッグシングルなんだから当たり前ですけど。

エンジン:水冷4サイクルSOHC単気筒
排気量:690cc
最高出力:
70ps/7500rpm
最大トルク:
7.1kg-m/6550rpm
車両重量:149kg(乾)

系譜図
デューク1

1994年
620DUKE

デューク2

1999年
640DUKE

デューク3

2008年
690DUKE/R

デューク4

2012年
690DUKE/R

デューク5

2016年
690DUKE/R

690DUKE -since 2008-

初代690DUKE

ズズッとときは流れて2008年。

今ではお馴染みの690DUKEの初代が誕生しました。620から数えて三代目だからDUKE3。この頃KTMはアメリカのポラリスという会社と提携しています。日本でポラリスって聞いてもピンと来ない人が多いでしょう。

ポラリスインダストリーズはアメリカの企業で元々はスノーモービルなどのメーカーでした。

ポラリス

ところが2000年代後半にRZRというヤマハっぽい名前の四輪バギーを開発しこれが空前絶後の大ヒット。

そんじょそこらの大ヒットとは比べ物にならないほどの大ヒットで、あっという間にパワースポーツ車両(=バイク、スノーモービル、オフロード車などの総称)部門においてヤマハ・スズキ・カワサキ、果てはホンダまで抜いて世界一となりました。

バイク部門ではクルーザーいわゆるアメリカンの生みの親であるインディアンを買収し、更にはヴィクトリーモーターサイクルという自社ブランドも展開。

ヴィクトリーモーターサイクル

アメリカで非常に高い評価を得ている今一番勢いのあるメーカーです。

話がソレましたね。

しかしKTMがまさかクルーザー作ってるメーカーと手を結ぶというのは意外ですね。まあ本業のATVは同じオフロードだから良いのかもしれませんが。ちなみにこの提携は試験的なものでわずか二年ほどですけどね。

その後KTMは2016年現在インドのバジャージ・オートと提携しています。スモールデュークが生まれたのはその影響です。>スモールデュークの系譜

話が戻ってない。

デューク3

新しく生まれ変わった690DUKEですが、久しぶりのフルモデルチェンジということでほぼ変わっていますが、一番はLC4エンジンを新しく設計しなおしたということ。

ああ、トラスフレームもこの代からですね・・・チューブラーフレームって言ったほうがいいのかな。

DUKEとSM

「とにかく軽く」

というモットーはこの新DUKEでも同じで、このフレームなんと重さが9kgしかありません。乾燥重量で148kg・・・凄い。

しかしやっぱり一番はエンジン。

セントラルバランスシャフト

66馬力を発揮するようになった新型LC4はセントラルバランサーシャフトを採用してるのが特徴。

でもそれより感動なのがシリンダーヘッドカバーですよ。

2008LC4エンジン

ヘッドカバーが斜めに組み付けられてるのが分かりますか?

これはバルブクリアランス調整などを容易にできるにようにとのKTMの計らいというかKTMのLC4に対する本気度の現れ。

LC4ヘッド

正にREADY TO RACEです。

しかしDUKEに限った話で言うと新しくなった690はそれまでのDUKEより更にモタードからネイキッド寄りになりました。

デューク3

これは長距離も熟せるようにするためとの事。

でも実は690といいつつ排気量は653ccだったり・・・理由ですか?KTMが90という数字が好きだからです。

そんな中で2011年に足回りとフレームを強化したDUKE Rが登場したんですが、このモデルでストロークが伸ばされ排気量が表記通り690cになりました。

DUKE3 R

Bremboのラジアルモノブロックキャリパーやカーボン製マットガード、R(ファクトリー)の証であり同じように見えて実は剛性が全然違うオレンジフレームなどなど。

でもそんな豪華装備に目が行きがちだけどDUKEの面白いところは必ずしもRが上位互換というわけではないということ。剛性と足の硬さの違いが明確て、ヨレて乗り手を楽しませるDUKEと、カッチリキビキビなRといった感じ。

でもどうせ買うならRがいい・・・って考えちゃうのは消費者のSAGAってやつですね。まあお買い得ですし。

エンジン:水冷4サイクルSOHC単気筒
排気量:653cc
最高出力:
65ps/7500rpm
最大トルク:
6.6kg-m/6550rpm
車両重量:148kg(乾)

系譜図
デューク1

1994年
620DUKE

デューク2

1999年
640DUKE

デューク3

2008年
690DUKE/R

デューク4

2012年
690DUKE/R

デューク5

2016年
690DUKE/R