NS-1(AC12)-since 1991-

NS-1

「フルサイズ50スポーツ」

NS50Fの後継としてNSR50/80と併売する形で登場したNS-1/AC12型。

先に登場し紹介したNSR50と同じくツインチューブフレームなものの、前後17インチホイールを履きギア比もクロス気味に設定されたフルサイズのスポーツモデル。

NS-1最大の特徴は何と言っても原付初となるこれ。

メットイン

バコッと開いてフルフェイスヘルメットが入るか入らないかくらいのメットインスペース。ヘルメットの義務化に合わせた配慮。

ちなみに燃料タンクはシート下です。

速いだけでなく大容量の物入れまである正にオールマイティに使える原付スポーツとして非常に人気が出ました。

発売から四年後の1995年にはマイナーチェンジ。

1995NS-1

RVFルックのデュアルヘッドライトに変更され、電装系も改良。

更に97年モデルからはフレームとホイールをブラックアウト化。

1997NS-1

NS-1は車体価格がかなり高かった(約30万円)にも関わらず非常に人気がありました。

それは上のクラスに負けない車格と性能を持った”原付”という敷居の低さがあったから。

NS-1価格

NS-1はとっても偉大な原付です。

それは性能が良かったからでも敷居が低かったからでもなく、その敷居の低さを武器に若者を魅了したから。

1997NS-1カタログ写真

NS-1でバイクデビューした人は間違いなく多いでしょう。

やたらとこの頃の原付(ABCピストンや載せ替え等)に詳しく、またうるさい人が多いのを見れば疑いの余地はないかと。

昨今『若者のバイク離れ』という見出しをよく見ます。

250でも免許代を入れたら安く見積もっても50万円を超える。そんな大金を若者が出せるわけがない。離れていくのも当たり前な話。

そう考える度に、多くの若者にバイクで走る楽しさと弄る楽しさを教えた原付免許で乗れるNS-1を思い出し・・・

NS-1カタログ写真

そしてもうNS-1も、NS-1のようなスポーツバイクも存在していない事を思い知らされる。

※1999年モデルをもって生産終了

主要諸元
全長/幅/高 1905/670/1080mm
シート高 752mm
車軸距離 1295mm
車体重量 101kg(装)
燃料消費率 54.3km/L
[55.3km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 8.0L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 7.2ps/10000rpm
最高トルク 0.65kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前90/80-17(46P)
後100/80-17(52P)
バッテリー FT4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR7ES
推奨オイル Honda純正ウルトラ2スーパー
オイル容量 1.2L
推奨トランスミッションオイル ウルトラU(10W-30)
オイル容量 全容量0.9L
交換時0.8L
スプロケ 前14|後41
チェーン サイズ420|リンク128
車体価格 279,000円(税別)
[299,000円(税別)]
※[]内は95以降モデル
系譜図
MB501979年
MB50/MB-8
(AC01/HC01)
ラクーン1980年
RACCOON
(AD02)
MBX501982年
MBX50/80
(AC03/HC04)
MCX501982年
MCX50
(AC04)
NS50F1987年
NS50F
(AC08)
NSR501987年
NSR50/80
(AC10/HC06)
MC181991年
NS-1
(AC12)

NS50F(AC08)-since 1987-

NS50F/AC08

「グランプリ・ムーブメント」

先代にあたるMBXの後継として登場したのがHURRICANE系デザインのNS50F/AC08型。

前後17インチのアルミ製キャストホイールや小物入れ内蔵のシートカウル、そして明るいハロゲンヘッドライトなどを装備。

NS50F諸元

50ccスポーツにおける一つの集大成の様なモデルで、ストリート・サーキット問わず非常に高い評価でした。

1988年にはエンジンのマウントと給排気が見直され中低速での使い勝手を向上。更に翌1989年にはレンズ一体型のデュアルヘッドライトで光量アップ。

NS50F/AC16

ディスクローターも現代的な多孔タイプに変更されました。

NS50Fは『ゴエフ』と呼ばれ親しまれていたんですが、いかんせん需要低迷期だった事と後継の人気が爆発したことで影に埋もれがちというか何というか。

NS50Fエアロ

ただ実はこのNS50Fは生産終了後も別の形でバイク文化に多大な貢献をした偉大なバイクでもあります。

それが何かというと『レースベース』です。

市販状態からレースなどに不要な保安部品を最初から付けないことで少し安くなっているモデル。

NS50R

スーパースポーツなどでご存知の方も多いと思いますが、そのレースベースという車両を一番最初に始めたのは実はこのNS50F/NS50R。

企画したのは二輪事業の小澤さんという偉いお方。

キッカケはレーサーレプリカブームの終焉により人気が落ち込んでいくレース事情と同時に

「前後17インチの原付レーサーを」

という声がショップから上がってきた事から。

どうして17インチなのかというと大型クラスと同じサイズだからステップアップに打って付けなんですね。

という事でNS50Fが生産終了となった1996年に混合給油に変更したNS50RをHRCから発売。

NS50Rカタログ

これがRSなど高価な市販レーサーとも、余計なものや制約が付いている量販車とも違う

『レースベース車』

と呼ばれる文化の始まりなんです。

今でこそ規格化され当たり前の様に販売されていますがそんな文化が無かった当時

『完成した量販車から保安部品を取って安価に販売』

なんていうのは到底理解されるものではないんだけど

「未来のレーサーやメカニックを育てるため」

という大義の為に何とかよ用意されたのが実情。

当然ながら宣伝の予算もなく個々のショップでコピー出来る諸元表だけでカタログも無しの完全予約制の受注生産。

NS50R諸元

だから最初は存在を知らずに逃してしまう人が多かったものの、ベースとなっているNS50Fが元々レース界で評判が良かった事やその存在が口コミで広まり雪だるま式に注文が入った事から何度も追加生産が行われました。

AC08カタログ

これはNS50Fにも言えることだけど、この17インチのNS50F/Rで腕を磨いた人は間違いなく多い。

もしかしたら一番レーサーを育てたバイクと言えるかもしれない。

主要諸元
全長/幅/高 1855/630/1065mm
シート高 760mm
車軸距離 1260mm
車体重量 92kg(装)
燃料消費率 68.4km/L
[61.5km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 10L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 7.2ps/8000rpm
[7.2ps/10000rpm]
最高トルク 0.65kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前2.75-17-4PR
後3.00-17-4PR
バッテリー FB3L-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR8ES
推奨オイル Honda純正ウルトラ2スーパー
オイル容量 1.1L
推奨トランスミッションオイル ウルトラU(10W-30)
オイル容量 全容量0.9L
交換時0.8L
スプロケ 前14|後41
チェーン サイズ420|リンク116
車体価格 209,000円(税別)
[225,000円(税別)]
※[]内は89以降モデル
系譜図
MB501979年
MB50/MB-8
(AC01/HC01)
ラクーン1980年
RACCOON
(AD02)
MBX501982年
MBX50/80
(AC03/HC04)
MCX501982年
MCX50
(AC04)
NS50F1987年
NS50F
(AC08)
NSR501987年
NSR50/80
(AC10/HC06)
MC181991年
NS-1
(AC12)

NSR50/80(AC10/HC06)-since 1987-

NSR50前期

「×3/4WORKS」

ホンダのGPマシンNSR500のミニチュアの様な佇まいでお馴染みNチビことNSR50/AC10と、Nパチでお馴染みNSR80/HC06型。

NSR500VとNSR50

後ろに見えるのが元ネタ2st水冷V型四気筒500ccの化物マシンNSR500です・・・本当にソックリで可愛いですね。

しかし可愛いのは見た目だけの話で、中身は大真面目なもの。

車体構成

エンジンこそNS50Fの物を持ってきているものの、トラック重視のクロスレシオに専用のスチール製のツインチューブで剛性アップ。

オマケに12インチで前後ディスクブレーキまで採用してる完全なコーナリングスポーツ原付。

そもそもなんでこんなユニークなミニバイクを造ったのかと言うと理由は二つほどあります。

一つは当時レーサーレプリカ原付というかレーサーレプリカパロディ原付の人気が出ていた事。

NSR50アクセサリーカタログ

「原付免許さえあれば誰でもスペンサーやガードナーに」

という狙い。

そしてもう一つは原付クラスのアマチュアレース人気が出ていた事。

車体価格

そんなレースを視野に入れて・・・というか明らかにそれを狙って出されたバイク。

だからこのバイクの登場を飛び跳ねて喜んだのは、未来ある人生を送っている若者というより草レースに人生捧げたような人達。

NSR500とNSR50

車体価格もちょっと高かったしね。

ただ高いだけあって本当にこのNSR50/80は飛び抜けていました。しかもそれはNSRという名の通り、決して気難しくない安心かつ絶対的な速さで卑怯者呼ばわりされるほど・・・。

なんですが、NSR50/80はそんな空気を微塵も読むこと無くキッチリ改良を積み重ねるという更に卑怯な行為に出ました。

NSR50二型

これは二年後の1989年に出された二型モデル。

アップタイプに変更されたチャンバーとカウルのスラント化が分かりやすい変更点ですが、一番大きいのは前後サスの強化。

これによってコーナリング性能がさらに向上。ギア比も少し中低速寄りに変更されています。

この時点で向かうところ敵なしだったんですが、それでも止まらず1993年には三型にモデルチェンジ。

NSR50三型

ホイールが6本スポークのものになり、排気ポート見直しで更に高回転化。

ヘッドライトが常時点灯式なのもこのモデルから。

そしてトドメとなる1995年の四型。

NSR50三型

シートカウル、ステム周り、フレーム、スイングアーム、電装系、すべてを刷新した最終型です。

なんちゃってではなく完全にレーサーレプリカの系譜ですね。

NSR50パンフレット

少し小言を話すと、レーサーレプリカブームっていうのはすでに30年以上前の話。

だから昨今ではレーサーレプリカに生きた人と、レーサーレプリカを知らない世代が口論しているのをよく見ます。

NSR50パンフレット

まあ当時を知らないのに

「2stレーサーレプリカの魅力を分かれ」

なんて無理な話。もうタマも無いですからね。

でも、そんなスペンサーやガードナーを知らない世代の人でもこのレーサーレプリカNSR50/80だけは分かるでしょう。

NSR50カタログ写真

軽く100km/h以上出る公道を走れるチビレーサー・・・楽しくない訳がない。

ちなみにこのNSR50も先に紹介したNS50F同様にレースベース車両なるものが初めて用意されたバイクでもあります。

NSRミニ

『NSR Mini』

前後サスとチャンバーとECUを専用品に変えた物で、NSR50/80の生産終了と同時に登場し2009年まで発売されていました。

主要諸元
全長/幅/高 1580/625/935mm
シート高 665mm
車軸距離 1085mm
車体重量 86kg(装)
[87kg(装)]
燃料消費率 58.7km/L
[41.0km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 7.5L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
[79cc]
最高出力 7.2ps/10000rpm
[12ps/10000rpm]
最高トルク 0.65kg-m/7500rpm
[0.97kg-m/8000rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-12(48J)
後120/80-12(54J)
バッテリー 6N2-21A-8
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
B8HS
推奨オイル Honda純正ウルトラ2スーパー
オイル容量 1.1L
推奨トランスミッションオイル ウルトラU(10W-30)
オイル容量 全容量0.9L
交換時0.8L
スプロケ 前14|後40
チェーン サイズ420|リンク106
車体価格 230,000円(税別)
[250,000円(税別)]
系譜図
MB501979年
MB50/MB-8
(AC01/HC01)
ラクーン1980年
RACCOON
(AD02)
MBX501982年
MBX50/80
(AC03/HC04)
MCX501982年
MCX50
(AC04)
NS50F1987年
NS50F
(AC08)
NSR501987年
NSR50/80
(AC10/HC06)
MC181991年
NS-1
(AC12)

NSR250R/SE/SP(MC28) -since 1993-

NSR250R/MC28

「公道快速-SPポテンシャルNo.1」

プロアームとなった最終型となるMC28型。

姉妹車である市販レーサーRS250Rが一足先にプロアーム化してたのでそれに準ずる形ですね。

プロアーム

知ってる人も多いと思いますがプロアームというのはELFとホンダによって生み出された技術。

ただそれが採用された理由の一つとしてガルアームの特許問題が絡んでいたりします。

エンジン周りの方も電子制御ユニットの16bit化による点火マップ最適化でPGM-IVに。

チャンバー

そしてもう一つ大きな変更点がカードキーですね。

キーではなくカードというニクいアイテム。

PGMカードリーダー

本体のシリアルとカードのシリアルが一致した場合のみエンジンが掛かります。

そして実はエンジンマッピングもこの中に入っている。

HRCカード

だからノーマルでは規制値である40馬力だけど、別売りのHRCカードを挿せばフルパワー。

KITも組み込むと75馬力にまで跳ね上がります。まあこれを買うには廃車手続きが必要で、灯火系が効かなくなるんですけどね。

ちなみにNSR250Rでよく挙げられるのが最後の最後まで正立フォークだった事。

MC28

これについて調べてみると、実はMC28の開発段階では倒立もテストしていたそう。

しかし倒立を入れてしまうと剛性が高すぎて『しなやかフレーム』のコンセプトに合わないという事が分かり敢えて採用しなかった経緯がありました。

NSR250Rロスマンズカラー

これは乾式クラッチを採用したSEや、マグネシウムホイールを履いているSPモデルも同様です。

ただSEモデルでは先代に引き続き減衰力調整付きののカートリッジタイプですが、SPモデルは新たに新設計のカートリッジタイプタイプの正立が採用されています。

最後に・・・MC28には開発チーム内で掲げた裏コンセプトがありました。

MC28-SP

「裏切らねーぜ(原文ママ)」

というコンセプト。

MC28は出る前の時点で40馬力規制が既に敷かれていました。

しかしNSR250Rというのは”速く走りたい”と思う人達が買うバイク。だから40馬力規制があろうと、その思いを”絶対に裏切ってはいけない”とチーム全員が考えていた。

NSR250R SE

「絶対に裏切らねーぜ」

という裏コンセプトはその意気込みなんです。

わざわざ吸気系も排気系も見直し、一からマッピングを作り直している手間を見ればそのコンセプトが偽りではない事が分かりますね。

ところで

「裏切らねーぜ」

なんてずいぶんと砕けた意気込みだなと思いますよね。

意外に思うかもしれませんが、これはNSR250Rの開発チームが捻くれ者であることを自負するような人たちが集まった小さいチームだった事があります。

確かにNSR250Rは時代を代表する名車・・・しかしそれは我々側から見た時の話で、ホンダ側からすると少なくとも基軸ではありませんでした。

CBR400RとVFR400R

2stレーサーレプリカ全盛期だろうとホンダの基軸はCBRとVFRでした。何故なら”ホンダは4st屋”だからです。

「じゃあなんでNSR250Rなんて出したのよ」

と思いますよね。

これについては当時の責任者だった梨本さんとネモケンの対談に答えがありました。

製造コスト問題に対する話の中でNSR250Rの造りに対するコストについて聞かれ

「あれはホンダファンの期待に応えるためのバイク。」

とコストには一切触れないお茶を濁すような答え。

結局NSR250Rというバイクはホンダが造りたくて造ったバイクではなく、ホンダファンが望んだから造ったバイクという事です。

そうして造られたNSR250Rは多くの熱心なホンダファンに愛されました。

それが如実に現れてたがこのMC28時代、レーサーレプリカの晩年です。

1994年式NSR250R SP

NSR250Rは基本設計が大きく変わる事は無かったので、晩年になると最速とは言い難いものになっていました。

にも関わらず一般ユーザーはもちろん、速いことが大正義のレース活動をする人たちですらNSR250Rばかりだった。

これが何故かと言えば、口コミ、特性、カスタム、トラブルシューティング、全ての情報においてNSR250Rが圧倒的だったからです。

ホンダNSR250R

ファンが望んだ事で生まれ、ファンが支える事でモデルチェンジを繰り返し、ファンが世話する事で最後の最後まで戦えた。

NSR250Rはホンダファンのための、ホンダファンによるレーサーレプリカでした。

主要諸元
全長/幅/高 1970/650/1045mm
シート高 770mm
車軸距離 1340mm
車体重量 153kg(装)
[157kg(装)]
{156kg(装)}
燃料消費率 22.2km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16L
エンジン 水冷2サイクルV型2気筒
総排気量 249cc
最高出力 40ps/9000rpm
最高トルク 3.3kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6段リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(54H)
後150/60R17(66H)
バッテリー FT4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR8ECM/BR9ECM/BR10ECM
または
W24EMR-C/W27EMR-C/W31EMR-C/
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量 1.2L
推奨トランスミッションオイル ウルトラU(10W-30)
オイル容量 全容量0.8L
交換時0.7L
スプロケ 前15|後44
チェーン サイズ520|リンク110
車体価格 680,600円(税別)
[720,000円(税別)]
{800,000円(税別)}
※[]内はSE
※{}内はSP
系譜図
MVX250F1983年
MVX250F
(MC09)
NS250R/F1984年
NS250R/F
(MC11)
MC161986年

(MC16)

MC181988年
/SP
(MC18)
MC211990年
/SE/SP
(MC21)
MC281993年
/SE/SP
(MC28)

【関連車種】
TZR250の系譜250Γの系譜KR-1の系譜

NSR250R/SE/SP(MC21) -since 1990-

NSR250R/MC21

「PROSPEC 90’s」

またまた・・・またモデルチェンジしたNSR250R/MC21型。

最大の特徴は何と言っても『への字』をしたガルアームですね。

MC21パンフレット写真

チャンバーの邪魔しないようにスイングアームを避ける為の構造。

もちろんそれ以外にも改良は入っています。

エンジンは新造され、リアタイヤを18inchから17inchへインチダウン、PGMもバージョン3となりました。

ちなみに乾式クラッチと減衰力調節機能付き前後サスなのがSE、それに加えマグホイールを履いているのがSPです。

MC21ディメンション

そんなMC21ですが、最も変わったのがメインフレーム。

”動的剛性バランス”を求めた通称『しなやかフレーム』と呼ばれる新設計のアルミツインチューブフレームです。

具体的に言うと、縦剛性と捻れ剛性は上げつつも、肉厚を減らす事で横剛性を少し落としている。

MC21カタログ写真

これはスパルタン過ぎて一般ライダーが楽しめる領域になかった事を改善するため。

「一般公道でもしっかり楽しめるレーサーレプリカを作りたい」

と先代からのプロジェクトリーダーだった青木さんが考えた結果なんです。

MC21カタログ写真

その狙いからこのMC21は開発チーム内で

「小谷野ワークス」

というアダ名が付けられていました。

小谷野というのは操安テストを担当していた方の名前。国際A級ライセンスを持ち、ワークスマシンNSR250で入賞も果たす程の腕前をお持ちです。

なぜそんなアダ名になったのかというと、MC21の開発において最も大事にされたのが小谷野さんの基準だったから。

じゃあ小谷野さんがどう考えていたのかというと

リアステアリング

「何だか知らない内に楽しいなと思えるリアステアの感覚」

これを絶対に実現させたいと考えていた。

そうして出来たのが『しなやかフレーム』であり

「どのバイクよりもリアステアが決まっているMC21」

というわけです。

ホンダNSR250R/MC21

発売後、MC21がリアステアが一番キマってる様を見て

「してやったり」

と開発チームは皆で密かに喜びあったんだとか。

主要諸元
全長/幅/高 1975/655/1060mm
シート高 770mm
車軸距離 1340mm
車体重量 151kg(装)
[153kg(装)]
{156kg(装)}
燃料消費率 30.2km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16L
エンジン 水冷2サイクルV型2気筒
総排気量 249cc
最高出力 45ps/9500rpm
最高トルク 3.7kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6段リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(54H)
後150/60R17(66H)
バッテリー FT4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR9ECM/BR10ECM
または
W27EMR-C/W31EMR-C
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量 2.0L
推奨トランスミッションオイル ウルトラU(10W-30)
オイル容量 全容量0.8L
交換時0.7L
スプロケ 前15|後40
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 609,000円(税別)
[649,000円(税別)]
{719,000円(税別)}
※[]内はSE
※{}内はSP
系譜図
MVX250F1983年
MVX250F
(MC09)
NS250R/F1984年
NS250R/F
(MC11)
MC161986年

(MC16)

MC181988年
/SP
(MC18)
MC211990年
/SE/SP
(MC21)
MC281993年
/SE/SP
(MC28)

NSR250R/SP(MC18) -since 1988-

MC18

「I am PROSPEC」

『ハチハチ』という愛称でお馴染みの二代目NSR250R/MC18型。

・ラバーマウントエンジン

・キャブレーターの大径化(Φ28→Φ32)

・大径化による流速低下を防ぐための電子制御PGM

・可変排気ポート/RCバルブで圧縮比UP(6.2→7.3)

・カセットミッション用オイルポンプ

・4.50まで許容するワイドリム

・5角断面目の字アルミフレーム

・市販車初マグホイール(SPのみ)

などなど・・・などなど。以下省略

1988NSR250R

わずか二年弱で大規模なモデルチェンジしたわけですが、これには二つほど理由があります。

一つはTZR250Rの存在です。

プロジェクトリーダーの青木さん曰く

「必ずMC16を超えてくると思った。だから絶対に手を緩めたくないと考えていた。」

との事。

本当は87年にもモデルチェンジを予定していたそうですが、流石に早すぎるとして見送りになった背景があります。

そしてもう一つはHRCとの関係が更に濃密になった事があります。

そのキッカケとなったのは前年から発売されたレースキットを最初から組み込んだコンプリートマシンNSR250RKにあります。

HRC製NSR250RK

少し混乱している人がいるかも知れないので補足すると

【NSR250(RS250R-W)/HRC】

これはHRCが造ったワークスマシン。NSR250Rの元ネタでもあります。

【RS250R/HRC】

これはNSR250Rと共同開発された市販レーサー。

【NSR250R/朝霞研究所】

市販レーサーRS250Rの公道バージョンという立ち位置。

【NSR250RK/朝霞研究所HRC改】

NSR250Rにレースキットを組み込んだTT-F3(市販車レース)用のモデル。

RS250Rより安価。

HRCとの関係

HRCが手掛けたNSR250のレプリカである朝霞研究所のNSR250Rを再度HRCと手がけるという流れ。

この流れでHRCとNSR250R開発チームの関係がより親密になり、HRC製NSR250RKに引き上げられる形でNSR250Rも大きく進化したというわけ。

少し話を脱線すると、レースの敷居を下げる目的で提案されたRK販売計画は当初、大反対に合いました。

MC18パンフレット写真

実質的にHRCの技術を安売りする上に、製造も大変なので当然といえば当然な話。

しかし諦めきれずに上司に直談判し、了承&助力を得ることで実現する事となりました。

福井 威夫(ふくい たけお)

ちなみにその時の上司というのは福井威夫(ふくい たけお)さん。

後に六代目ホンダ社長となられる方・・・なんですが、実は福井さんバリバリのレース/HRC育ち。

レース復帰早々にホンダに栄光をもたらした2stレーサーであり、NSR250の大元でもあるNS500のエンジニアだった方。

因果というか奇跡というか、運命的なものを感じますね。

そんなハチハチですが、更に恐ろしいのが翌年に再びモデルチェンジしたこと。

NSR250Rカタログ写真

パッと見は変わっていない様に見えますが、大きく変わっています。

・エンジンコントロールユニットPGMをIIへアップデート

・レッドゾーン+500rpm(12500rpm)

・スイングアームも5角断面目の字

・前後ラジアル

・キャスター角の見直し

・乾式クラッチ(※)

・減衰力調節機能付きの前後サス(※)

などなど。※SPのみ

MC18

このモデルチェンジの狙いは乗りやすくする事にあります。

MC18前期いわゆるハチハチは圧倒的な速さを誇っていました。

NSR250R SP

「レースで勝つならNSR250R一択」

と言われるほどだったんですが、それはエキスパートたちの話で誰にでも扱える代物ではなかった。

あまりにも玄人志向過ぎたんですね。

NSR250Rポスター写真

こう聞くと良くなかったんじゃないかと思うかもしれませんが、決して違います。

ダントツで速かったのは紛れもない事実。

そして

「一筋縄ではいかない圧倒的な速さ」

というホンダらしからぬ攻撃的な特性に心を奪われた人は多かった。

NSR250Rカタログ写真

MC18で検索すれば今もその衝撃を忘れれない人がゴロゴロ見つかると思います。

それくらいこのMC18の登場、そしてMC18の速さは衝撃的だったんです。

最後に・・・これはそんなMC18のパンフレットの1ページ。

いま私と出逢えるライダーは幸福である。

「いま、私と出逢えるライダーは幸福である。」

NSR250R/MC18は正にその通りとなったレーサーレプリカでした。

主要諸元
全長/幅/高 1985/640/1105mm
<{1980/650/1060mm}>
シート高 770mm
<{780mm}>
車軸距離 1355mm
<{1345mm}>
車体重量 145kg(装)
[144kg(装)]
{149kg(装)}
<150kg(装)>
燃料消費率 36.0km/L
{30.2km/L}
※定地走行テスト値
燃料容量 16L
エンジン 水冷2サイクルV型2気筒
総排気量 249cc
最高出力 45ps/9500rpm
最高トルク 3.8kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6段リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(54H)
後140/60R18(64H)
<{前110/70R17(54H)
後150/60R18(67H)}>
バッテリー FT4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR9ECM/BR10ECM
または
W27EMR-C/W31EMR-C
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量 1.3L
推奨トランスミッションオイル ウルトラU(10W-30)
オイル容量 全容量0.8L
交換時0.7L
スプロケ 前15|後42
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 579,000円(税別)
[660,000円(税別)]
{599,000円(税別)}
<689,000円(税別)>
※[]内はSP
※{}内は89モデル
※<>内は89SP
系譜図
MVX250F1983年
MVX250F
(MC09)
NS250R/F1984年
NS250R/F
(MC11)
MC161986年

(MC16)

MC181988年
/SP
(MC18)
MC211990年
/SE/SP
(MC21)
MC281993年
/SE/SP
(MC28)

NSR250R(MC16) -since 1986-

NSR250/MC16

「it’s Honda Racing」

TZRの登場でレーサーレプリカというジャンルが明確に誕生し、それに向けて造られた初代NSR250RのMC16型。

新設計クランクケースリードバルブVツインに目の字断面アルミツインスパーフレームとそれまでとは一線を画する性能を引き下げていました。

MC16

こうなった理由は先にも言ったとおり、これまでの延長線上では対抗できないと悟ったから。

そこで考えられた方法が

「RS250R-W(NSR250)をコピーして保安部品つけて出す」

というシンプルイズベストなもの。

スペンサーNSR250

補足しておくとRS250R-W(NSR250)というのは世界GP250ワークスマシンの事。

フレディ・スペンサーが参戦し優勝、500とのWタイトル獲得という快挙を成し遂げたチャンピオンマシンです。

GPを戦ってきた人たちが造り上げたRG250ΓやTZRに対抗するにはこの方法しかないと考えたわけですね。

しかし当然ながらそんな事をHRCが許すわけがない。トップシークレットなんだから当たり前。

そこで八木澤さん筆頭に開発メンバーはHRCへ転属願いを出すわけです。教えてくれないなら見て盗もうという職人根性。

1986NSR250R

そうしてHRCと質問攻めと押し問答を繰り返した末に完成したのがこれ。

1985年NSR250と瓜二つなNSR250Replica/MC16というわけ。

MC16カタログ写真

それまでの鬱憤を晴らすかのような圧倒的な速さを誇り、2万台弱の大ヒットで86年2stレーサーレプリカ販売台数一位を記録。

MVX250Fのリベンジを達成する事となりました。

主要諸元
全長/幅/高 2035/705/1105mm
シート高 750mm
車軸距離 1360mm
車体重量 141kg(装)
燃料消費率 41.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16L
エンジン 水冷2サイクルV型2気筒
総排気量 249cc
最高出力 45ps/9500rpm
最高トルク 3.6kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6段リターン
タイヤサイズ 前100/80R17(52H)
後130/70R18(63H)
バッテリー FT4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR8ECS/B9ECS/B10ECS/B8ES/B9ES
または
W24ES-C/W27ES-C/W31ES-C/W24ES-U/W27ES-U
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量 1.3L
推奨トランスミッションオイル ウルトラU(10W-30)
オイル容量 全容量0.9L
交換時0.55L
スプロケ 前15|後42
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 559,000円(税別)
系譜図
MVX250F1983年
MVX250F
(MC09)
NS250R/F1984年
NS250R/F
(MC11)
MC161986年

(MC16)

MC181988年
/SP
(MC18)
MC211990年
/SE/SP
(MC21)
MC281993年
/SE/SP
(MC28)

NS250R/F(MC11) -since 1984-

NSR250R

「2サイクル・エキスパート」

MVX250Fの失敗から僅か1年少しで登場したフルエアロ外装のNS250Rとネイキッド版のNS250F。

MC11

アルミ製のダブルクレードルフレームとスイングアーム(Fはスチール)に調節式プロリンクサス、エンジンは新設計Vツイン。

左右非対称チャンバーにNSシリンダーと、GPマシンと同じNSという名を冠すだけあり非常に高いパフォーマンスを発揮。

NS250RとNS250FとRS250R

ここに来て急激に進歩したのは市販レーサーRS250Rとの連携が大きく寄与しています。

「やっとホンダから戦える2stが出た」

と評判になりました。

しかし、いざ発売されたNS250RでSPレース等に挑んでいる人たちを見るとみな苦戦していた。

NS250価格

「確かに速いんだけど扱いが難しい」

そういう声が締めていたんです。

これではいかんとなった開発チームですが、更に追い打ちをかけるように打倒すべき相手がRZからTZRと遥かに高くなった。

「このままでは勝てない」

として開発チームは門外不出の最重要部署ともいえるHRCの扉を叩くことになるわけです。

主要諸元
全長/幅/高 2005/720/1125mm
[2005/720/1040mm]
シート高 780mm
車軸距離 1375mm
車体重量 161kg(装)
燃料消費率 36.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 19L
エンジン 水冷2サイクルV型2気筒
総排気量 249cc
最高出力 45ps/9500rpm
最高トルク 3.6kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6段リターン
タイヤサイズ 前100/90R16(54S)
後110/90R17(60S)
バッテリー FTX5L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
B8ES
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量 1.7L
推奨トランスミッションオイル
オイル容量
スプロケ 前15|後42
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 539,000円(税別)
[429,000円(税別)]
系譜図
MVX250F1983年
MVX250F
(MC09)
NS250R/F1984年
NS250R/F
(MC11)
MC161986年

(MC16)

MC181988年
/SP
(MC18)
MC211990年
/SE/SP
(MC21)
MC281993年
/SE/SP
(MC28)

MVX250F(MC09) -since 1983-

MVX250F/MC09

「V3センセーション」

ワークスマシンNS500を彷彿とさせるV3型2stロードスポーツMVX250/MC09型。

当時を知らない人は意外に思うかもしれませんが、ホンダとしてはクラス初の2stになります。

ホンダMVX250F

というのもホンダというのは4st一辺倒で、どちらかというとアンチ2stなメーカー。

これは本田宗一郎が2st嫌いだった事や、4stの方が未来ある技術だった事が理由です。

だからホンダも2st250スポーツ熱が高まろうとも、VT250Fという4stで対抗していました。

実際にVT250Fは空前の大ヒットとなったわけですが「打倒RZ250」という目的は果たせなかった。

VT250Fがどれだけ売れても、RZ250の勢いが落ちなかったんです。

これにより

「4stと2stは購買層が違う」

という事が分かりMVX250Fが開発されたというわけ。

MVX250Fカタログ写真

16インチのコムスターホイールにインボードディスク、ビキニカウルなどVT250Fと通ずる物を持ちつつも、エンジンはV型三気筒という世界チャンピオンにも輝いたGPレーサーNS500に通ずるもの。

NS500とMVX250F

「NS500のフィードバック」

という事を大々的に謳いました・・・が、ご存知の方も多いようにMVX250Fは

「ホンダの失敗作」

と言われるほどお世辞にも良いバイクとは言えませんでした。

MVX250Fエンジン

そもそもNS500とは大きく異なるエンジンレイアウト(NS500はリアに二気筒)で、レプリカというよりはオマージュでした。

そして焼き付きを防ぐためにかなり濃いめなオイル供給だったため、ナンバーが見えなくなってしまうほど飛び散るオイル。

チャンバーレイアウトの問題でバッテリーなど他の部品を焼いてしまう等の問題。

そして冷却に問題があった事もあり焼き付きを起こす人が多かった。

MVX250F

八木澤さんを始めとした当時の開発に携わった方々も

「今にして思えば、我々は2stをよく分かっていなかった。世界一メーカーという奢りがあった。」

と当時を振り返っておられました。

処女作の様なものなので無理もないんですが、結果的に天狗となった鼻を折られる形に。

ただまあこの失態があったから後があるわけで。このMVX250Fが糧となったのは事実です。

主要諸元
全長/幅/高 2010/735/1155mm
シート高 780mm
車軸距離 1370mm
車体重量 155kg(装)
燃料消費率 38.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 17L
エンジン 水冷2サイクルV型三気筒
総排気量 249cc
最高出力 40ps/9000rpm
最高トルク 3.2kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6段リターン
タイヤサイズ 前100/90R16(54S)
後110/80R18(58S)
バッテリー YB7BL-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
B8ES/W24ES-U
または
B9ES/W27ES-U(高速時)
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量 1.7L
推奨トランスミッションオイル ウルトラU(10W-30)
オイル容量 全容量1.7L
交換時1.55L
スプロケ 前15|後40
チェーン サイズ520|リンク104
車体価格 428,000円(税別)
系譜図
MVX250F1983年
MVX250F
(MC09)
NS250R/F1984年
NS250R/F
(MC11)
MC161986年

(MC16)

MC181988年
/SP
(MC18)
MC211990年
/SE/SP
(MC21)
MC281993年
/SE/SP
(MC28)

NC750S/X/INTEGRA(RC88/90/89) -since 2016-

2016年式NC750

売れてるからか二年でまたモデルチェンジしたNCシリーズのNC750S(RC88)とNC750X(RC90)。

基本的な構造は先代のままだけど見た目が大きく変わったからインパクトはありますね。

グローバルのコストパフォーマンスモデルなのにLEDを装着とは。もしかして時代は進んで今やハロゲンとあんまりコスト変わらないんだろうか。

LEDヘッドライト

リアのテールランプこれグロムと同じやつかと。LEDなら流用は歓迎ですね。

LEDテールライト

当然ですがLEDパーツ流用して見た目を新しくしただけじゃありませんよ。

このモデルで大きく進化した点は2つ。

1つ目の進化はデュアルベンディングバルブフロントフォーク。

フロントフォーク

これはSHOWAが開発した新しい構造のサス・・・というより減衰方式で、それまでのオリフィスの穴による抵抗から、多重構造バルブにすることでプログレッシブな減衰を可能にした新しいサスペンション。

フロントフォーク

ザックリ簡単に説明するとインナーチューブにあるフォークオイルの出入り口を変えるだけなので、従来形状のまま付けるだけというお手軽さが売り。そんなお手軽変更でもピッチングモーションが抑えられジェントルなワンクラス上のサスに。

既存のサスにも後付け出来るようなキットを売れば爆発的な人気が出る様な・・・売って欲しいですがSHOWAだし無理か。

そして2つ目はマフラー。

2016NC750Xアクセサリー

見て分かる通り形状がよりスタイリッシュになりましたが、進化したのはソコじゃありません中身です。

注目して欲しいのはエンド付近のパンチング孔とレゾネーター室。

muffler

パンチング孔はまだしも”レゾネーター室とはなんぞや”とお思いの人も多いでしょう。

レゾネーターというのは別名ヘルムホルツと言い、笛などにも使われている共鳴器の事。つまりこの構造にしたことで低周波域が強調されてる。つまり270度クランク(Vツイン)特有のパルス感が強調されるようになったという話。

先代の750が二軸バランサーも相まって非常にジェントルな特性になってたんだけど、今回は逆に強調させるようにキャラ立てしてきたわけです。

RC90

消音には人一倍うるさく、チェーンの音しか聞こえない事を正義の様に思ってるホンダがこんなことをしてくるとは少し意外ですね。騒音規制が国際基準化で少し緩和されたのも影響してるのかな。

ちなみにエンジンとフレームは変わってないので先代と互換性があり、ジェントルな先代にもパルス感溢れるこの代にもなれる模様。まあそれだけで現行ってわけには行きませんが。

他にはDCTも進化して3段階調節が付くように。

DCT

クラッチにも改良が加わっており更にスムーズにシフトチェンジフィールが改善。

あとはスクリーンの大型化(750X)とかかな。まあとにかく結構色んな改良が加わってて、まあその分お値段も五万円ほど上がってるのが痛い所ですがそれでも大型バイクとしてはかなり安い部類かと。

ウェイブキー

あとウェーブキーも採用。調べてみると最近ホンダ車はウェーブキーの採用を進めているみたいですね。耐久性、防犯性に優れる既存の鍵とは違うちょっと変わった鍵。

これに伴ってハンドルロックとキーシリンダーも強化タイプに変わったそうです。

キーシリンダー強化はありがたい話。ハンドルロックが壊れて解除出来なくなった経験をした事ある人は多いと思います(最近のバイクはそうでもないのかもしれないけど)

ところで本当はインテグラもフルモデルチェンジしててRC89となったんだけど、何故か日本では同時発売はされず。

2016インテグラ

TMAXもそうだったんですよね。やっぱり売れる市場を優先してるからだろうか。まあ日本ではこのクラスは無いに等しいしね・・・

最後に

ホンダがどうしてこんな異質なバイクを作ったかといえば当然ながら根拠があります。

ホンダが日米欧で調査をしたところ、普段使いのライダーの9割が日常では6000rpm以下で走行、最高速は140km以下という調査結果が出ました。

この調査結果を見て

「1割を捨て、9割を取った新しいバイクを作ろう。」

となったわけです。

加速性能

ご存知のようにホンダに限らずほとんどの大型バイクは9割の人間が使わない6000rpm以上の部分に多くのコストを割いています。何故なら馬力や速さというのは数字で表せる分かりやすいセールスポイントですし、作り手としても技術力を表す燃える部分だからです。

もちろんだからといって「そんな馬力あって何処で使うの」「無駄の極み」「盆栽バイク」と否定するのも違います。その1割の魅力はとても強く、魅了されている人が多いのが事実ですから。大型バイクの特権ですしね。

ただ、そんな1割の為に9割を捨てているバイクがあるなら、9割を取って1割を捨てたビッグバイクがあっても不思議ではないでしょう。 NCはそんな”1割を捨てた勇気あるバイク”です。

NC開発陣

ちなみに左から二番目がNCの生みの親である青木主査なんですが、実はこの人あのNSR250(88以降全て)を開発された方だったりします。

そんなホンダの開発陣いわくNCシリーズの魅力を一言で言い表すなら

NC750S壁紙

「普段使いの最高性能バイク」

との事です。

開発された方なだけあって本当なわかりやすい例えですね。

主要諸元
全長/幅/高 2230/845/1350mm
[2215/775/1130mm]
{2215/845/1320mm}
シート高 830mm<LD:800mm>
[790mm]
{800mm}
車軸距離 1535mm
[1525mm]
{1520mm}
車体重量 218kg(装)
[216kg(装)]
{X:231kg/S:221kg(装)}
燃料消費率 28.3km/L
※WMTCモード値
燃料容量 14L
エンジン 水冷4ストロークOHC4バルブ直列2気筒
総排気量 745cc
最高出力 54ps/6250rpm
最高トルク 6.9kg-m/4750rpm
変速機 常時噛合式6段リターン
または
電子式6段変速(DCT)
タイヤサイズ 前120/70R17(58W)
後160/60R17(69W)
バッテリー YTZ14S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
IFR6G-11K
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量 全容量3.7L
交換時3.1L
フィルター交換時3.4L
または
【全容量4.1L
交換時3.2L
フィルター交換時3.4L (クラッチ含む)
※DCTモデル】
スプロケ 前17|後43
チェーン サイズ520|リンク114
車体価格

668,000円(税別)
[619,000円(税別)]
※スペックはNC750X(RC90)
※[]内はNC750S(RC88)
※INTEGRA(RC89)は日本未発売
※ABSモデルは+2kg
※DCTモデルは+12kg
※{}内はABSとETC2.0を標準装備した18年モデル

系譜図
NC700S2012年
NC700S/X/INTEGRA
(RC61/63/62)
NC750S2014年
NC750S/X/INTEGRA
(RC70/72/71)
2016NC750S2016年
NC750S/X
(RC88/90/89)
XADV2017年
X-ADV
(RC95)
2021NC750X2021年
NC750X
(RH09)
RH102021年
X-ADV
(RH10)