Z200(KZ200A) -since 1977-

KZ250C

「Being Single」

恐らくZシリーズの中で一番Zという名が相応しくないトコトコバイクなZ200。

なんの変哲もないシングルエンジンを何の変哲もないシングルクレードルフレームに積んでいます。

Z200カタログ写真

目立つ部分としてはリッチにディスクブレーキを採用しているくらいなもの。

エンジンもバランサーなんて付いていない旧時代の物のままだったから振動もエゲツない程あります。晩年モデルには付いたようですが。

そんな何の変哲もないZ200ですが、何が凄いって何処からどう見てもZにしか見えない事。

Z200

リアの垂れ下がったメッキフェンダーはZというよりもFOURなんだけど、奇跡に近いほど綺麗に纏まっている。

Z200カタログ写真

直系を除けば恐らく一番Zの名に恥じないデザインではなかろうか・・・最もZに相応しくないのに、最もZとして綺麗に纏まっているという何とも面白いバイク。

主要諸元
全長/幅/高 1925/775/1055mm
シート高
車軸距離
車体重量 137kg(装)
燃料消費率 57.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 8.1L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 198cc
最高出力 18ps/8000rpm
最高トルク 1.68kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前2.75-18-4PR
後3.25-17-6PR
バッテリー YB10L-B
プラグ
推奨オイル
オイル容量
スプロケ
チェーン
車体価格 240,000円(税別)
系譜図
Z200

1977年
Z200
(KZ200A)

Z250FS

1980年
Z250LTD/FS
(KZ250LTD/C)

250CS

1985年
250CS
(BR250A)

Z250SL/ニンジャ250SL

2015年
Z250SL
(BR250E)
Ninja250SL
(BX250A)

VERSYS-X 250(LE250B/D)-since 2017-

ベルシスX

「ANY ROAD.ANY TIME.」

20年以上の月日を経て復活したアネーロならぬVERSYS-X。

VERSYS(ヴェルシス)の名前の由来は

『Vertex(頂点)+System(システム)』

からです。

アネーロが専用フレームにZZR250のエンジンを積んだように、VERSYS-Xも新設計フレームにNinja250のエンジンを積んでいるわけですが、新しい排ガス規制に対応するためにリセッティングされたものでNinja250より2馬力ほど上がっています。次のNinja250もこの改良型が乗るのかな。

ベルシスXエンジン

VERSYS-Xは更にドリブンスプロケットも2丁上げられているのでNinja250よりも加速寄り。積載しても不足なく走れるようにするのが狙いかと思います。

ジャンルの方のページでも話したんですが250は右も左も分からないエントリー層も見ると思うので改めて説明すると、いわゆる”アドベンチャー・デュアルパーパス”というオン/オフ両方走れるバイクで、両立しないオンとオフの性能どちらに比重をおいているかは最低地上高もそうですが、フロントホイールの大きさとタイヤを見れば大方分かります。

このVERSYS-Xで話をするならば、ライバルとして挙げられるのはCRF250RALLY、V-STROM250といったところでしょうが、CRF250RALLYは走破性重視で21インチホイールとブロックタイヤを履いています。対してV-STROM250は17インチとモタードなどが履くオールラウンダータイヤ。これは舗装路での操舵性を良くするため。

ベルシスX

そして肝心のVERSYS-Xはどうかというと19インチにオールラウンダータイヤ。

つまりこの中でいうとVERSYS-Xは250デュアルパーパスの中の真ん中的な立ち位置という事になりますね。

先代が21インチだったのに対し19インチにダウンされた事や、タンク容量が12Lから17Lに増やされた事を見ても結構オンロード寄りなデュアルパーパス。カワサキとしてはデュアルパーパスというよりツアラーなんだろうけどね。

ベルシスX300

ただ先代同様ツアラーよりも、サスペンションのストローク量は大きく取り、最低地上高もそれなりにあるので、起伏が穏やかな林道や砂利道くらいは何の問題もなく走れます。

そんなVERSYS-Xでも目を引くのがツーリングパッケージ。

ベルシスXツアラー

パニアケース、エンジンガード、ハンドガード、センタースタンド、DCソケットとリレーが付いてノーマルから+5万円の68万円。後から揃えると11万円ほど掛かるのでかなりお買い得。流石にPIAA製LEDフォグ(39,096円)は付かないみたいです。

だったら写真に付けるなよとも思いますが、メーカー純正OPという信頼感と使い勝手は何物にも代えがたいのでユーザーとしては本当にありがたい話。

買うなら絶対コッチでしょう。コレ買えばすぐにでもキャンプツーリングに行けます。

【長い小言】

VERSYS-Xも上で紹介したCRF250RALLYもV-STROM250も(というか250ほぼ全般)そうですがメインターゲットは東南アジアです。向こうは少し道を外れると平らな未舗装路が当たり前なので打ってつけなんでしょうね。

日本も欧米もアジア需要のオコボレを頂戴するカタチになっているわけですが、VERSYS-Xは第一便はアッという間に完売し既に納車待ちになっているほどの人気。

売るバイクが無いという嬉しいのか本当なのかよく分からない悲鳴がバイク屋から聞こえたりするわけですが、こういう話やここ最近の人気モデルの動向を聞くと日本の二輪市場が変わってきているような気がします。

ベルシスXアーバン

日本はずっとクラス関係なくスペックが売上に直結していました。四気筒250cc、リッター超えばかりの大型ラインナップなどが良い例ですね。用途や使い勝手よりもどれだけ凄いバイクを所持できるか、どれだけ非現実的な乗り物に乗るかがメインだった。

ところが最近は販売台数ランキング等を見ても分かる通り、売れているバイクは非実用的なハイスペック車というよりは、街乗りやツーリングなどの実用性を兼ね備えたバイクがクラスを問わず多い。

ベルシスXタンデム

これはバイクをツールとして見ている人が増えてきている現れではないかと。

売れているバイクとハイスペックバイクは車体価格が全然違うと言われるかもしれませんが、車体価格(コスパ)もツールにとっては非常に重要なファクターです。

威張れるわけでも、特筆すべき部分があるわけでもなく、使い勝手に重点を置いているVERSYS-Xがアッという間に完売する程の人気なのは

LE250D

「これは使えそう」とか「これで走ったら楽しそう」といったバイクをツールとして見て評価している人、つまり”バイクを楽しむ人”というより”バイクで楽しむ人”が増えている証のように思えます。

主要諸元
全長/幅/高 2170/860/1390mm
[2170/940/1390mm]
シート高 815mm
車軸距離 1450mm
車体重量 175kg(装)
[183kg(装)]
燃料消費率 24.8km/L
※WMTCモード値
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC二気筒
総排気量 248cc
最高出力 33ps/11500rpm
最高トルク 2.1kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-19(57S)
後130/80-17(65S)
バッテリー FTX9-BS
プラグ CR8E
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量2.4L
交換時2.0L
フィルター交換時2.2L
スプロケ 前14|後46
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 583,000円(税別)
[633,000円(税別)]
※[]内はTOURER(LE250B型)
系譜図
アネーロ2501993年
KLE250 ANHELO
(LE250A)
ヴェルシス2502017年
Versys-X 250
(KLE250D)

【関連車種】
CRF250の系譜|V-STROM250の系譜

KLE250(LE250A)-since 1993-

KLE250アネーロ

「ATTRACTIVE QUARTER」

なんとも珍妙な色と形をしているKLE250ANHELO。

“ANHELO”はアネーロといいスペイン語で”憧れ”の意味なんですが、カタログもこれまた凄く珍妙。

KLE250カタログ写真

いわゆる未舗装路もそれなりに走れるデュアルパーパスモデルで400/500がほぼ同じデザインで先に出ていたわけですが、カタログにも描いてある通りアネーロにはモチーフになった鳥がいます。

KLE400カタログ写真

それはオーストラリアに生息する非公式の国鳥エミュー(上の写真はKLE400)です。言われてみれば何となくそう見えなくもない気がしないでも・・・。

エミュー

見た目に反して温厚で人懐っこい性格の持ち主。だからイメージに選ばれたのかもしれませんね。

肝心の車体の方はというと、足はストロークが深いサスペンションにフロント21インチのスポークホイールを履かせて走破性をアップ。

LE250A

しかしながらフレームはダブルクレードルフレームなので二気筒なのも相まって車重は少しある。それにエキゾーストパイプがエンジンの下を通るから最低地上高も高くない。

何よりエンジンがZZR250の並列二気筒を特に下(低速トルク)を太らせるわけでもなく基本そのままだからソコソコ高回転寄り。だからコレで未舗装路を走るには結構スキルが居る。

KLE250カタログ写真

オンロード性能はというと荷物を載せられる頑丈なキャリアを付けて長距離のツーリングも考慮されてるんだけど、シートがあまりヨロシクなくお尻がすぐに痛くなる上にタンク容量が12Lしか入らないので航続も得意な方ではない。

器用貧乏と言えるほど器用でも・・・例えるならスプリンターデュアルパーパスといったところでしょうか。

250アネーロ広告写真

当時の広告もこれまた何を表したいのか・・・しかしまさかコレが20年以上の時を経て復活するなんて誰が想像したでしょう。

主要諸元
全長/幅/高 2150/825/1165mm
シート高 805mm
車軸距離 1445mm
車体重量 146kg(乾)
燃料消費率 43.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC二気筒
総排気量 248cc
最高出力 35ps/11000rpm
最高トルク 2.4kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.00-21(51S)
後120/80-17(61S)
バッテリー YTX7L-BS
プラグ CR8HSA
または
U24FSR-U
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量1.9L
交換時1.6L
フィルター交換時1.9L
スプロケ 前14|後43
チェーン サイズ520|リンク106
車体価格 449,000円(税別)
系譜図
アネーロ2501993年
KLE250 ANHELO
(LE250A)
ヴェルシス2502017年
Versys-X 250
(KLE250D)

KMX125(MX250A) -since 1986-

KMX125R

「2-STROKE INCENTIVE PERFORMANCE」

KE125以来11年ぶりの登場となったKMX125。モトクロッサーKX125がベースとなっています。

KX125

排気デバイスKIPSの採用で22馬力に上がったパワーも目を引くけど、最大の売りはクラス初採用となったディスクブレーキ。

この頃はまだまだドラムブレーキが主流でディスクはタブーに近かった。泥や石といったゴミがキャリパーに入ってきてトラブルを招く恐れがあったからですね。サスペンションのストローク量が多い事からブレーキラインの取り回しの大変さもあります。

しかしドラムブレーキは重くなる上に効きがコントローラブルじゃない。そんな中でカワサキはライバルに打ち勝つ為にタブーとされていたディスクブレーキを採用したモトクロッサーでレースに挑み、トライアンドエラーを繰り返すことで実用化にこぎつけたわけです。始まりはZ400FXのリアキャリパーの流用からだったそうです。

KMX

そして1982年の市販モトクロッサーKX125にて標準採用され、市販車KMX125にも下りてきたというわけ。

このカワサキが形にしたオフロード車でのディスクブレーキは制動力が一気に上がった革新的な装備で、モトクロスレースの走り方を一変させました。

ただもう一つ忘れてはならない革新がユニトラックサスです。今ではスポーツバイクでは欠かせない装備となっているリンク式モノサス(一本サス)ですね。

ユニトラックサスペンション

これは初期の物で現在の物(ボトムリンク式)とは少し違うので違和感があるかもしれませんが、これがリンク式モノサスペンションの原型。

こうすると何が良いのかというのを簡単に言うと、スイングアームが直接サスペンションを動かすわけではないので、ホイールトラベル(ホイールの上下の動きの幅)を大きく取れ、初期沈みは柔らかく吸収し路面を追従する一方で沈み込みが深くなると踏ん張る(簡単に底打ちしない)プログレッシブ(二次曲線)な特性を得られる。

これが出るまでのいわゆる二本サスというのは衝撃を受けたら受けた分だけ比例してサスペンションが縮んでいた。それで問題となるのは底打ちした時。ドッタンバッタンと動くオフロードでサスペンションが底打ちをすると吸収しきれなかった分の衝撃がライダーに来るので吹っ飛んでしまう。

だからとっても硬いサスペンションにして底打ちさせないようにしていたんだけど、そうすると今度は簡単なギャップを全く吸収せず弾くようになるからポンポン跳ねるようになりスピードを出すのが難しい状況だった。

そんなデメリットを解消したユニトラックサスは上で紹介したディスクブレーキ以上に革新的なサスペンションで、始めて装備したモトクロッサーKX125は圧倒的な速さを誇り、ライバルメーカーも後を追うようにリンク式サスペンションへと変わっていきました。

ただ面白い事にこのユニトラックサスを最初に考えたのはモトクロッサーKX125の開発メンバーではありません。これを実現させようと開発していたのは同じ設計室で進められていたKR350/250というロードレーサーのチーム。

カワサキKR

先に挙げたサスの問題を抱えていたKXの増田さんがその構造を見て

「これはオフロードにこそ必要だ」

という事で拝借のような応用。それが正しい判断で大成功に繋がったというわけ。

KMX

このユニトラックサスペンションによる大変貌&快進撃によりカワサキは

“速く走る為に大事なのは馬力ではなくサスペンション”

とそれまでの考えを改める事になりました。

主要諸元
全長/幅/高 1988/840/1165mm
シート高 845mm
車軸距離 1375mm
車体重量 96kg(乾)
燃料消費率 44.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 9.0L
エンジン 水冷2サイクル単気筒
総排気量 124cc
最高出力 22ps/9000rpm
最高トルク 1.7kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前2.75-21(4PR)
後4.10-18(4PR)
バッテリー YB4L-B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR8ES
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.2L
スプロケ 前14|後48
チェーン サイズ428|リンク128
車体価格 282,000円(税別)
系譜図
125TR

1970年
125TR
(F6)

KE125

1975年
KE125
(KE125A)

KMX125

1986年
KMX125
(MX125A)

KDX125SR

1990年
KDX125SR
(DX125A)

KLX125

2009年
KLX/D-TRACER125
(LX125C/D)

KLX250(LX250S)D-TRACKER X(LX250V)-since 2008-

2008KLX250

排ガス規制の強化を機にフルモデルチェンジとなったKLX250と車名にXが付いたD-TRACKER X

FI、新設計D型断面スイングアーム、外装の変更、足回りの強化、足つきの改善などなど。

実はDトラッカーが思わぬ大ヒットを成し遂げた事もあって2008年のフルモデルチェンジからはDトラッカーXがメインという逆転現象が起きました。

D-TRACKER Xカタログ

先代がただオンロードタイヤを履かせてハンドルを変えただけだったのに対し、Xからは足回りも専用設計の物になりモタードとしての性能を向上。

(そしてちゃっかりスクランブラーとは言わずモタードと言い始めた)

DトラッカーX前期

規制強化で6馬力ダウンと若干の車重増になっちゃったんだけどギア比を中低速寄りに変更することでカバー。

もちろん高回転まで綺麗に吹け上がるモトクロッサーKX譲りのエンジンはそのまま。

他社に先駆けて水冷化した事もあって気付けば250オフではこのエンジンがいつの間にか最年長になっちゃいましたね。

デジタルメーター

さてそんな吹け上がりの軽いモトクロッサーエンジンを誇示するためか演出かわからないけど2008年モデルからは無駄にタコメーターが付いてる。

ところでこの2008年型が出た時、オフ車らしくないガンダムチックな二灯フェイスは賛否両論だった。

実は仕様地によってKLX250は保安の関係でライトが大型の物に変えられてる。

地域によっては車名にSが付いてKLX250Sとなってたり。

KLX250S

何かパチモン臭い・・・CRF250がそうだった様に普通はコストの関係で何処の国でも通るように統一したライト形状にするのが一般的です。

それでもわざわざ日本向けがガンダム顔なのはカワサキ自身コッチが好きなんでしょうね。

余談

有名なので知ってる方も多いと思いますが、KLX250は(2015年現在)自衛隊の偵察用オートバイに採用されています。

自衛隊KLX250

もはや”闘う4st”というより”戦う4st”ですね。

主要諸元
全長/幅/高 2200/820/1190mm
[2130/795/1125mm]
シート高 890mm
[860mm]
車軸距離 1430mm
[1420mm]
車体重量 136kg(装)
[138kg(装)]
燃料消費率 29.5km/L
※WMTCモード値
燃料容量 7.7L
エンジン 水冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 24ps/9000rpm
最高トルク 2.1kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.00-21(51P)
後4.60-18(63P)
[前110/70-17(54S)
後130/70-17(62S)]
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.5L
交換時1.3L
フィルター交換時1.4L
{全容量1.3L
交換時1.3L
フィルター交換時1.4L}
スプロケ 前14|後42
[前14|後39]
チェーン サイズ520|リンク106
[サイズ520|リンク104]
車体価格 528,000円(税込)
[548,000円(税込)]
※[]内はD-TRACKER X
※{}内は11年以降モデル
系譜図
KL250

1977年
KL250
(KL250A/C)

KLR

1984年
KL250R/KLR250
(KL250D)

ES|SR

1993年
KLX250ES/SR
(LX250E/F)

スーパーシェルパ

1997年
SUPER SHERPA
(KL250G/H)

H型、J型、M型

1998年
KLX250
D-TRACKER
(LX250H/J)

S/V型前期

2008年
KLX250
(LX250S)
D-TRACKER X
(LX250V)

【関連車種】
CRF250RALLY/L/Mの系譜WR250R/Xの系譜SEROW250の系譜

KLX250D-TRACKER(LX250H/J)-since 1998-

LX250H

SRとESのいいとこ取りで一つに纏まったLX250E後期型、またはBA-LX250E型。

※BAというのは適合規制の記号です。詳しくは>>認定型式と通称型式

定評があったエンジンや足回りはそのままに多機能デジタルメーターなどの装備を充実化。

そして同時に発売となったのが国内ではマイナーだったモタードを普及させるキッカケとなった名車D-TRACKER(LX250J)です。

Dトラッカー

KLX250に17インチのオンロードタイヤを履かせたもの。

多くにとってオフ車なのにオンロードタイヤというスタイルは斬新すぎて最初は敬遠された。

しかし海外では既にモタードブームが起きていたこと、ジムカーナで人気だったこと、大型バイク顔負けな速さで下り去っていく玄人がいた事・・・などなど

多角面的にスポーツのイメージが広まっていった事で一年も立たずして人気が出てきた。

カワサキが得意とする先見の明・・・と思いきや実は違う。

今でこそDトラと言えば250モタードの先駆車、モタードの鉄板と言われていますが、カワサキはモタードとしてDトラを売りだした訳ではないんですね。

Dトラッカーのカタログ写真

最初はスクランブラーとして売り出してたんです。

スクランブラーっていうのはまだオフロードバイクが確立する前のカテゴリで、オフ走行を考慮されたオンロードベースのバイク事。

ちなみにD-TRACKERって車名の由来は多分そのままダートトラックから来てるんだと思います。

ダートトラック

ダートトラックというのは平坦な土をグルグル回るレース。とても同じジャンルのバイクには見えませんよね。でも当時のプレスリリースにもそう書いてあります。

ただDトラの場合、性能が良かったからモタードの潜在層や、本来ならターゲットじゃない層にまでウケて成功しちゃったというわけ。

つまり、別に先駆けたつもりは無かったのに気がついたら先駆車になってて名モタードに奉られてたっていう何とも面白い成功車。こうなった事に誰よりも驚いたのはカワサキじゃないかな。

2004年には生産台数が追いつかなかったのかタイへ生産が移され、ブランケットやリム幅、ショックなどに変更が入りました。

主要諸元
全長/幅/高 2135/885/1210mm
[2065/790/1175mm]
シート高 885mm
[865mm]
車軸距離 1435mm
車体重量 116kg(乾)
[118kg(乾)]
燃料消費率 46.5km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 8.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 30ps/8500rpm
最高トルク 2.6kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.00-21(51P)
後4.60-18(63P)
[前110/70-17(54H)
後130/70-17(54H)]
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.5L
交換時1.3L
フィルター交換時1.4L
スプロケ 前14|後42
[前14|後39]
チェーン サイズ520|リンク106
[サイズ520|リンク104]
車体価格 459,000円(税別)
[469,000円(税別)]

系譜図

系譜図
KL250

1977年
KL250
(KL250A/C)

KLR

1984年
KL250R/KLR250
(KL250D)

ES|SR

1993年
KLX250ES/SR
(LX250E/F)

スーパーシェルパ

1997年
SUPER SHERPA
(KL250G/H)

H型、J型、M型

1998年
KLX250
D-TRACKER
(LX250H/J)

S/V型前期

2008年
KLX250
(LX250S)
D-TRACKER X
(LX250V)

Super Sherpa(KL250G/H) -since 1997-

スーパーシェルパ

KLXシリーズとはまた違った方向性、いわゆるトレッキングのスーパーシェルパ。

初期型はダウンフェンダー仕様(KL250G)とアップフェンダー(KL250H)が選べたのですが二年目からはアップフェンダーのみになっています。

SUPERSHERPAカタログ

トレッキングモデルということで足つきが非常に良く、エンジンも元気いっぱいなKLX250の物を再び空冷化した物。

なんでわざわざ空冷に先祖返りさせたのかって言うと、軽量化とエントリーモデルということで転けた時に水冷だとラジエーターを破損するおそれがあるのでそのためだろうね。

スーパーシェルパカタログ

オフ車の走破性にこだわりを持ってたカワサキらしくトレッキングの割には走破性が高い。

パワートレッキングというこれまた絶妙というか微妙というか・・・

でもそのおかげでセローにこそ敵わなかったもののソコソコ人気が出た。ただ空冷だったために排ガス規制を通せなかった為に2006年で生産終了となりました。

ちなみにオーストラリアやアメリカなどの農業者や牧場者向けのアギ(AGI)バージョンも存在した。

その名はSTOCKMAN

ストックマン

可能な限りガードとキャリアステーを付けたモデルなんだけど残念ながら日本では売られてない。

なんでかって言うとライト周りへのキャリア取り付けは違法だったから。

主要諸元
全長/幅/高 2060/780/1130mm
シート高 810mm
車軸距離 1360mm
車体重量 107kg(乾)
燃料消費率 44.5km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 9.0L
エンジン 空冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 26ps/9000rpm
最高トルク 2.4kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前2.75-21(45P)
後41.0-18(59P)
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.5L
交換時1.3L
フィルター交換時1.4L
スプロケ 前14|後43
チェーン サイズ520|リンク102
車体価格 409,000円(税別)
系譜図
KL250

1977年
KL250
(KL250A/C)

KLR

1984年
KL250R/KLR250
(KL250D)

ES|SR

1993年
KLX250ES/SR
(LX250E/F)

スーパーシェルパ

1997年
SUPER SHERPA
(KL250G/H)

H型、J型、M型

1998年
KLX250
D-TRACKER
(LX250H/J)

S/V型前期

2008年
KLX250
(LX250S)
D-TRACKER X
(LX250V)

KLX250SR/ES(LX250E/F) -since 1993-

LX250E

「打倒2st!闘う4st!!」

高性能で人気を博していたKLRの後継となるKLX250SR

ぶっ飛んだ性能だったKLRの後継がどうなるかと思ったら更にぶっ飛んでた。

モトクロッサー(競技用)のKLR250Rと同時開発で30馬力を発生させる新設計の水冷DOHCエンジンを125cc並の軽量ボディに搭載。

KLX250SRカタログ写真

メッキシリンダーにペリメターフレームに日の字断面スイングアームにインナー43φの16段階減衰力調整機能付き倒立フォークで始動はキックのみ。

ライトもオマケ程度の物しか付いていないという徹底っぷり。

KLX250SR

水冷4stならではの高回転の伸びと乾燥重量109kgという軽さも相まって他を圧倒するほどの速さを持っていた。

現代の高性能オフの先駆車の様な存在。

その一年後に登場したのがKLX250ES

KLX250ES

スパルタン過ぎるSRに対し、こちらはセルと正立フロントフォークを装備した使い勝手を考慮したモデル。

それでも速さは圧倒的だった。オフロードブームだったからこそ出せたバイクだね。

ちなみにKLX250Rというモデルも同時発売された。

SRをベースに吸排気やサス変更をし、保安部品を取っ払ったバイク。

競技専用車両なので割愛します。

主要諸元
全長/幅/高 2135/885/1220mm
[2135/885/1210mm]
シート高 885mm
車軸距離 1435mm
車体重量 109kg(乾)
[119kg(乾)]
燃料消費率 50.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 8.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 30ps/8500rpm
最高トルク 2.6kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.00-21(51P)
後4.60-18(63P)
バッテリー [YTX7L-BS]
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.5L
交換時1.3L
フィルター交換時1.4L
スプロケ 前14|後42
チェーン サイズ520|リンク106
車体価格 449,000円(税別)
[459,000円(税別)]
系譜図
KL250

1977年
KL250
(KL250A/C)

KLR

1984年
KL250R/KLR250
(KL250D)

ES|SR

1993年
KLX250ES/SR
(LX250E/F)

スーパーシェルパ

1997年
SUPER SHERPA
(KL250G/H)

H型、J型、M型

1998年
KLX250
D-TRACKER
(LX250H/J)

S/V型前期

2008年
KLX250
(LX250S)
D-TRACKER X
(LX250V)

KL250R/KLR250(KL250D) -since 1984-

KL250R

先代KL250の後継として国産としては初めてトレールに水冷エンジンを積んだバイクでもあるKL250R。

DOHCで二軸バランサーで28馬力を発揮するエンジンも凄いけど、セミエアフォークにユニトラックサスと実は足回りも凄いやつ。

トレール車らしからぬヒュンヒュン回るエンジンと元々定評のあった走破性に磨きが掛かった事でロングセラーとなったモデル。

KLR250

性能が良かった事から、アメリカの海兵隊の特殊部隊「アメリカ海兵隊武装偵察部隊」で使われてた実績がある。

結果として初登場時の84年から93年まで大したマイナーチェンジもなく売られ続けたロングセラー車。

KLR250

ちなみにKLR250とKL250Rと2つ呼び名があるけどどっちも同じこのバイクの事を指す。

カワサキが国ごとに使い分けてたせいでゴチャゴチャになってる。

日本では最初はKL250Rで売ってたけど80年代後半からKLR250に切り替えたみたい。

主要諸元
全長/幅/高 2140/855/1205mm
シート高 835mm
車軸距離 1415mm
車体重量 117kg(乾)
燃料消費率 58.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 11.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 38ps/9000rpm
最高トルク 2.3kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.00-21-4PR
後4.60-17-4PR
バッテリー FB4L-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DP9EA-9
または
X27EP-U9
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.5L
交換時1.3L
フィルター交換時1.4L
スプロケ 前15|後44
チェーン サイズ520|リンク104
車体価格 388,000円(税別)
※スペックは84KL250R
系譜図
KL250

1977年
KL250
(KL250A/C)

KLR

1984年
KL250R/KLR250
(KL250D)

ES|SR

1993年
KLX250ES/SR
(LX250E/F)

スーパーシェルパ

1997年
SUPER SHERPA
(KL250G/H)

H型、J型、M型

1998年
KLX250
D-TRACKER
(LX250H/J)

S/V型前期

2008年
KLX250
(LX250S)
D-TRACKER X
(LX250V)

KL250(KL250A/C) -since 1977-

KL250

カワサキ初となる4st250トレール車のKL250

エンジンはオンロードモデルのZ200の物をボアアップしたものだけど、フレームや足回りの開発には当時のKX(2st競技用モトクロッサー)メンバーが関わっていた事もあってオフロードの走破性は初代ながら目をみはるものがあった。

KL250カタログ

目をみはるものっていうか最初期のトレール車はメーカー問わずだいたい二本サスなんだけど、その中でもKL250は頭ひとつ抜けてた。

ただ初期はバランサーを搭載してないので振動も凄まじく、パーツが振動でもげるのも珍しくないほど。

KL250C

80年にセミエアサスを採用し、晩年の82年に249ccまでボアアップされバランサーを装備しました。

主要諸元
全長/幅/高 2155/855/1160mm
シート高 855mm
車軸距離 1415mm
車体重量 125kg(装)
[126kg(装)]
燃料消費率 46.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 9.8L
エンジン 空冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 246cc
[249cc]
最高出力 21ps/8500rpm
[22ps/8500rpm]
最高トルク 2.0kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.00-21-4PR
後4.60-17-4PR
バッテリー 6N6-1D-2
[6N6-3B]
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
B7ES
[B8ES]
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.5L
スプロケ 前14|後40
チェーン サイズ520|リンク96
車体価格 278,000円(税別)
※[]内は後期C型
系譜図
KL250

1977年
KL250
(KL250A/C)

KLR

1984年
KL250R/KLR250
(KL250D)

ES|SR

1993年
KLX250ES/SR
(LX250E/F)

スーパーシェルパ

1997年
SUPER SHERPA
(KL250G/H)

H型、J型、M型

1998年
KLX250
D-TRACKER
(LX250H/J)

S/V型前期

2008年
KLX250
(LX250S)
D-TRACKER X
(LX250V)