「街を颯爽とStyle & Impact」
原付スポーツスクーターを代表するモデルと言っても過言ではないホンダ ディオの初代にあたるAF18型。
先に登場していたDJ-1RRと同時発売でエンジンも同系なんですが、決定的に違う部分としては24Lのメットイン(センタートランク)機能が設けられている事。
つまり端的に言うと
「DJ-1にメットインスペースを設けたタイプ」
という立ち位置で登場したのがディオの始まりなんですね。
当時を知らない人のために補足すると、ディオを始めここにきてメットインスクーターが相次いで登場するようになったのは
『ヘルメット着用の義務化』
が1986年から始まったから事にあります。それまで原付はノーヘルで良かったんですね。
それだけでも今の人からすると信じられない話かと思いますが、更に驚きなのがヘルメット着用が嫌で原付を乗らなくなる人が続出した事。
だからメーカーがなんとかヘルメット義務化の負担を減らすために編み出し一気に普及したのがメットインというわけであり、その中でも
『若者向けのメットインスポーツスクーター』
という立ち位置で登場したのがディオという話。
そんな1988年発売のディオなんですがDJ-1よりもモデルチェンジサイクルは凄かったです。
わずか1年足らずの1989年初頭にスペシャルカラーのSPを発売したかと思えば、年末には6.8馬力にまでパワーアップした新設計エンジンと10インチチューブレスホイールを履いてスポーツ性に磨きをかけた後期モデルを発売。
なんでこんなに早かったのかといえば、いま話したようにヘルメット規制によるメットイン買い替え特需が生まれていたから。加えてディオはスタイルも好評だったから造れば造るだけ売れていたんです。
だからこの初代の時点で年間販売計画台数は当時トップの190,000台。今も絶賛販売中であるタクトの実に6倍もの台数です。
そんなディオ人気をさらに加熱させたのが1990年に発売されたSR/AF25型。
6.8馬力にまでチューニングされたエンジンに加えフロントディスクブレーキという原付にあるまじき豪華装備。
個人的にこのSRが若者人気の要因をよく表していると思います。
元々1980年代前後に爆発的な広がりを見せたスクーターというのは
『ファミリーバイク』
といって主婦を始めとしたバイクにそれほど思い入れがないママチャリを愛用していた層に向けた原付からこそヒットした。そのためスクーターというのはそういう層のためのバイクという固定観念みたいな物がメーカーにも市場にも出来ていた。
ディオが若者に支持されマストアイテムとなったのはこれを真っ向から打ち破ったから。
具体的に言うならばそのルックスも勿論そうなんですが合わせて
・チューブレスタイヤ
・油圧サスペンション
・MFバッテリー
・薄型ツインフォーカスヘッドライト
・インテーク付きエアロボディ
などなど、ただの移動手段ならば省かれるようなオートバイ並の装備を兼ね備えつつ”敷居の低い原付一種”だったからです。
「金のない若者でも背伸びすれば何とか手が届くカッコイイ乗り物」
という存在だったからこそディオは若者に人気が出たんですね。
主要諸元
全長/幅/高 | 1600/615/990mm [1610/615/1000mm] {1605/625/1000mm} |
シート高 | 700m |
車軸距離 | 1135mm [1140mm] {1140mm} |
車体重量 | 63kg(装) [67kg(装)] {69kg(装)} |
燃料消費率 | 67.4km/L [50.5km/L] {50.2km/L} ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 4.0L |
エンジン | 空冷2サイクル単気筒 |
総排気量 | 49cc |
最高出力 | 6.4ps/6500rpm [6.8ps/7000rpm] {6.8ps/7000rpm} |
最高トルク | 0.74kg-m/6000rpm [0.73kg-m/6500rpm] {0.73kg-m/6500rpm} |
変速機 | 無段階変速機(Vマチック) |
タイヤサイズ | 前後3.00-10-4PR |
バッテリー | YT4L-BS |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
BPR7HS [BR8HSA] {BR8HSA} |
推奨オイル | ウルトラ2スーパー |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
0.8L |
Vベルト | 23100-GS7-003 [23100-GG2-750] {23100-GG2-750} |
車体価格 | 126,000円 [129,000円] {139,000円} ※[]内は90/1以降の後期 ※{}内はSR/AF25 |